事業承継・引継ぎ補助金の必要書類を事業承継の類型別に解説

事業承継・引継ぎ補助金に申請したい人の中には、どんな必要書類を準備すればいいかと気になる人もいますよね。その際、具体的な書類名や入手方法を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の申請時に必要な書類を解説します。申請枠ごとの書類や事業形態別の書類も紹介するので、事業承継・引継ぎ補助金の必要書類の種類が知りたい人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト(7次公募〜)にある各公募要領をもとに作成しています。

すべての申請者が提出する書類と該当者のみが提出する書類がある

必要書類には「すべての申請者」が提出する書類と「該当者のみ」が提出する書類があります。すべての申請者が提出する書類には「交付申請書」「類型別の書類」があり、該当者のみが提出する書類には「事業承継の類型ごとの書類」や「加点申請のための書類」があります。

【事業承継・引継ぎ補助金の必要書類】※10次公募では「専門家活用」のみ募集

申請枠

すべての申請者が提出する書類 

該当する申請者が提出する書類の例

経営革新

  • 交付申請書(別紙)
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 事業承継の類型別の書類
  • 補助率に関する要件充足を証明する書類
  • 「未来の承継」の要件充足を証明する書類
  • 「グループ申請」の必要書類
  • 資格要件充足を証明する書類
  • 賃上げ要件の充足意向を表明する書類
  • 加点事由への該当を証する書類

専門家活用

  • 交付申請書
  • 事業承継の類型別の書類
  • 補助率に関する要件充足を証明する書類
  • 加点事由への該当を証する書類

廃業・再チャレンジ

  • 交付申請書
  • 事業承継の類型別の書類

「再チャレンジ申請」の場合は①~③のいずれかを提出

①事業承継・引継ぎ支援センターから交付された支援依頼書の写し

②M&A 仲介業者や地域金融機関など M&A 支援機関との業務委託契約書の写し

③M&A マッチングサイトへの登録が完了したことを確認できる WEB ページまたは電子メールの写し

参考:公式サイト(7次公募〜)にある各種公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

経営革新枠へ申請する場合、すべての人が提出する書類は「交付申請書」と「認定経営革新等支援機関による確認書」です。該当する人のみが提出する書類には、グループ申請を行う場合に必要となる「出資関係図」や交付申請時に事業承継が完了していない場合に必要となる「経歴書、在籍証明書」などがあります。

また、専門家活用枠へ申請する場合、すべての人が提出する書類は「交付申請書」のみで、認定支援機関による確認書は必要ありません。該当する人のみが提出する書類には、補助率に関する要件を満たすことを証明する書類や、加点項目に該当することを証明する書類などがあります。

事業承継・引継ぎ補助金で全員必須の必要書類は「交付申請書」であり、その他の必要書類は状況によって異なります。該当者のみが提出する書類は、各申請枠の公募要領にある「該当する場合に必要な書類」の項目に記載されているので、確認してみましょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboも認定支援機関として事業承継・引継ぎ補助金の申請サポートを行っています。事業承継・引継ぎ補助金の申請のために準備すべき書類や流れを知りたい人は下記よりお問い合わせください。

事業承継引継ぎ補助金は利用できる?無料診断

すべての申請者は交付申請書と類型別の書類を提出することになる

すべての申請者は、交付申請書と事業承継の類型別の書類を提出することになります。交付申請書には「GビズID」「担当者名」などの複数の項目を記載します。類型別の書類は事業者により異なるため、事業者は自社の「交付申請類型番号」を調べて自身がどの類型の書類を用意するのかを確認する必要があります。

【交付申請類型番号の調べ方】

①申請する枠の公募要領をパソコンで表示させる

②目次を見て、以下のページを表示させる

経営革新枠の場合:事業承継形態に係る区分整理
専門家活用枠の場合:経営資源引継ぎ形態に係る区分整理
廃業・再チャレンジの場合:廃業・再チャレンジに係る区分整理

③「承継者」「被承継者」の区分と「事業承継の形態」を照らし合わせ、交付申請類型番号を導き出す

【専門家活用枠における例(経営資源引継ぎ形態に係る区分整理)】

買い手支援類型(Ⅰ型)

対象者

引き継ぎ形態

交付申請類型番号

jGrants申請フォーム番号

実績報告類型番号

承継者

(法人)

株式譲渡

1

1

1

第三者割当増資

株式交換

吸収合併

2

吸収分割

3

事業譲渡

4

承継者

(個人事業主)

株式譲渡

2

2

1

第三者割当増資

事業譲渡

4

参考:専門家活用枠 公募要領(10次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、個人事業主が専門家活用枠に申請する場合、専門家活用枠の公募要領で「経営資源引継ぎ形態に係る区分整理」を確認します。承継者が個人事業主、事業承継の形態が株式譲渡、被承継者が法人の場合、交付申請類型番号とjGrants申請フォーム番号はいずれも「2」番となります。

交付申請類型番号やjGrants申請フォーム番号を確認すると、該当する事業者ごとに必要な書類が分かります。申請時に必要な類型別の必要書類は、公募要領の「必要書類」の説明ページにある交付申請類型番号をみて確認しましょう。

交付申請類型番号やjGrants申請フォーム番号から必要書類を確認する

交付申請番号およびjGrants申請フォーム番号を確認すると、申請時の必要書類が分かります。必要書類はそれぞれの申請枠のチェックリストで確認できるため、交付申請番号およびjGrants申請フォーム番号の確認後に公式サイトからチェックリストをダウンロードしてみましょう。

【必要書類チェックリストを使った必要書類の調べ方(一部抜粋)】

項目

J Grants申請フォーム番号

書類名

履歴事項全部証明書

直近の確定申告書

直近3期分の決算書

常時使用する従業員1名の労働条件通知書

営業利益低下に関する計算書

●:必須

○:該当必須

△:任意

-:不要

参考:公式サイト「必要書類チェックリスト」(専門家活用>交付申請手続き>各種資料)|事業承継・引継ぎ補助金

上記は専門家活用枠の必要書類チェックリストを一部抜粋したものです。交付申請類型番号およびjGrants申請フォーム番号が「1」の事業者の提出書類は「履歴事項全部証明書」「直近3期分の決算書」が必要だとわかります。

また、「常時使用する従業員1名の労働条件通知書」は要件に該当する人のみ提出が必須となる書類です。提出が必須となる要件はチェックリストの「補足」に記載されているため、自身が要件に該当するか確認しましょう。

必要チェックリストにある「j Grants申請フォーム番号」は「交付申請類型番号」と紐づいています。チェックリストを利用したい人は、各申請枠の「交付申請手続き」のページからダウンロードしてみてください。

該当者のみが提出する書類には補助率や加点で必要な書類がある

該当者のみが提出する書類には、補助率や加点など、状況に応じて必要な書類があります。該当者のみが提出する書類を用意すると、事業者は補助率の引き上げや審査に有利な加点に申請できます。

【要件に該当する事業者のみ必要書類を提出するケース】

  • 補助率引き上げ
  • 加点
  • 補助額上限の引き上げ(経営革新のみ)
  • 未来の承継(経営革新のみ)

たとえば、経営革新枠で補助額上限を800万円に引き上げたい場合、必要書類は「賃金引上げ計画の誓約書」「従業員への賃上げ計画の表明書」などの3点です。経営革新枠の必要書類チェックリスト内で「引上げ」の文字で検索をすると、必要な書類名が表示されます。

また、経営革新枠で「未来の承継」をする場合の必要書類は「事業承継計画表」「事業承継計画表(骨子)」「補助事業の実施体制図」などの5点です。経営革新枠の必要書類チェックリスト内で「未来」の文字で検索すると、必要な書類名が表示されます。

該当者のみの必要書類を提出すると、必要書類を提出しない時よりも補助率や審査が有利になる可能性があります。該当者のみの必要書類は原則、添付書類としてデータで送付するため、ExcelやPDF形式などの公募要領で指示された形式で準備してみてください。 

加点を希望する場合の必要書類

事業承継・引継ぎ補助金で加点を希望する場合は、別途、必要な書類があります。加点とは、要件を満たすことで審査を有利にする基準です。加点の申請は任意ですが、加点に必要な書類を提出することにより審査が有利になる可能性があります。

【申請枠ごとの加点の条件と必要書類(一部抜粋)】

経営革新枠

加点の要件

必要書類

以下いずれかの適用を受けている

  • 「中小企業の会計に関する基本要領」
  • 「中小企業の会計に関する指針」

以下のいずれかを提出

  • 中小企業の会計に関する基本要領のチェックリスト
  • 中小企業の会計に関する指針チェックリスト

※いずれも顧問会計専門家印のあるもの

以下いずれかの認定を受けている

  • 「経営力向上計画」
  • 「経営革新計画」
  • 「先端設備等導入計画」

以下のいずれかを提出

  • (経営力向上計画)経営力向上計画の認定書および申請書類
  • (経営革新計画)承認書
  • (先端設備等導入計画)認定書

「地域おこし協力隊」として地方公共団体から委嘱を受けている

(※取組の実施地が当該地域(市区町村)であること)

  • 地域おこし協力隊員の身分証

専門家活用

加点の要件

必要書類

以下いずれかの適用を受けている

  • 「中小企業の会計に関する基本要領」
  • 「中小企業の会計に関する指針」

以下のいずれかを提出

  • 中小企業の会計に関する基本要領のチェックリスト
  • 中小企業の会計に関する指針のチェックリスト

※いずれも顧問会計専門家印のあるもの

以下いずれかの認定を受けている

  • 「経営力向上計画」
  • 「経営革新計画」
  • 「先端設備等導入計画」

以下のいずれかを提出

  • (経営力向上計画)経営力向上計画の認定書および申請書類
  • (経営革新計画)承認書
  • (先端設備等導入計画)認定書

「地域未来牽引企業」である

地域未来牽引企業の選考証

ワーク・ライフ・バランス等の推進の取り組みに該当している

基準適合一般事業主認定通知書の写し

※計画期間が有効であること

参考:公式サイト(7次公募〜)にある各種公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠の場合、加点の要件には「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていることが挙げられます。これらの加点を満たすためには、専門家印のある中小企業の会計に関する「チェックリスト」を提出します。

また、専門家活用枠の場合は、経営革新枠と同じ加点もあれば、異なる加点「地域未来契印企業であること」のような加点もあります。加点を希望する事業者は、専門家印のある中小企業の会計に関する「チェックリスト」や「地域未来牽引企業の選考証」などを提出します。

加点の必要書類は多ければ多いほど審査において有利になる可能性があるため加点の要件を満たせるものはないか確認してみましょう。また、複数の加点要件を満たしている事業者は、すべての加点の必要書類を提出しましょう。

補助率2/3を希望する場合は別の必要書類がある

事業承継・引継ぎ補助金において、規定の条件を満たす申請者は補助率が1/2から2/3に引き上げられます。補助率2/3への引き上げを希望する場合は申請時に追加書類が必要となるため、まず補助率2/3を満たす条件を満たしているかを確認したうえで各要件に合う必要書類を用意しましょう。

【補助率2/3への引き上げを希望する場合の必要書類】

事業名

条件

提出する書類

経営革新

以下のいずれか1点に該当すること

① 中小企業基本法等の小規模企業者

② 物価高等の影響により、営業利益率が低下している者

③ 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者

④ 中小企業活性化協議会等からの支援を受けている者

①の場合:
(法人の場合)直近期の法人事業概況説明書の写し
(個人事業主の場合)直近期の所得税青色申告決算書

②の場合:
(法人・個人事業主共通) 営業利益率低下に関する計算書
(法人)直近期および 2 期前の確定申告の基となる決算書
の損益計算書
(個人事業主)直近期および 2 期前の所得税青色申告決算書

③の場合:

(法人)直近期の、確定申告の基となる決算書の損益計算書

(個人事業主)税務署の受付印のある直近の確定申告書 Bと所得税青色申告決算書

④の場合:

交付申請時において再生事業者であることを証明する書類

専門家活用

※売り手支援類型(Ⅱ型)のみ

以下のいずれか1点に該当すること

① 物価高等の影響により、営業利益率が低下している者

② 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者

経営革新と同じ

廃業・再チャレンジ

なし

なし

参考:公式サイト(7次公募〜)にある各種公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、従業員20人以下の小規模事業者に該当する事業者の場合、経営革新枠へ申請すると補助率2/3が適用される可能性があります。その際、法人なら「直近期の法人事業概況説明書の写し」を、個人事業主なら「直近期の所得税青色申告決算書」を提出します。

ただし、小規模事業者廃業・再チャレンジから申請する場合はそれらの書類は必要ありません。廃業・再チャレンジ枠の補助率はもともと2/3となっているため、補助率2/3のために希望を出す必要がないためです。

事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠または専門家活用枠に申請する人は、条件を満たすことにより補助率2/3へ引き上げられる可能性があります。 補助率2/3の条件を満たしている場合は、必要書類を確認してjGrantsでの交付申請時に添付しましょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboは認定支援機関として事業承継・引継ぎ補助金の申請サポートを行っています。事業承継・引継ぎ補助金の申請のために準備すべき書類や流れを知りたい人は下記よりお問い合わせください。

事業承継引継ぎ補助金は利用できる?無料診断

申請書は申請期間中に電子申請で提出する

事業承継・引継ぎ補助金の申請書は、申請期間中に電子申請で提出することで申請が受理される仕組みです。申請スケジュールは確定したものから順次公開されるため、事業承継・引継ぎ補助金に申請したい人はこまめに公式サイトを確認しましょう。

【10次公募のスケジュール】

項目

スケジュール

申請受付期間

2024年7月1日(月)~ 2024年7月31日(水)17:00まで

交付決定日

8月末~9月初頭(予定)

事業実施期間

交付決定日~2024年11月22日(金)

実績報告期間

2024年8月29日(木)~2024年11月25日(月)

補助金交付手続き

2024年12月中旬以降(予定)

参考:事業スケジュール(専門家活用)|事業承継・引継ぎ補助金

10次公募では申請受付期間が1ヶ月となっています。申請時の必要書類の中には準備に時間がかかるものもあるため、必要書類を確認して早めに用意しましょう。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の交付決定(採択)を受けて補助事業を実施した場合、事業者は補助事業の終了後に実績報告書を提出することになります。実績報告書の必要書類について知りたい人は「事業承継引継ぎ補助金の実績報告とは?必要書類と注意点も解説」を参考にしてみてください。

まとめ

必要書類には「すべての申請者が提出する書類」と「該当者のみが提出する書類」があります。前者には「交付申請書」「申請枠ごとに必須となる書類」があり、後者には「加点」「補助率引上げ」「補助上限額の引き上げ」「未来の承継」などの書類があります。

事業承継・引継ぎ補助金への申請は電子申請「jGrants」で行うので、必要書類は「jGrants 上の申請フォーム」への入力やPDFの添付で提出します。その際、公式サイトから「必要チェックリスト」をダウンロードして確認をすると、申請時の書類ミスの防止に役立ちます。

事業承継・引継ぎ補助金の申請書は、申請期間中に電子申請で提出することで申請が受理される仕組みです。事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールは確定したものから順次公表されていくので、事業承継・引継ぎ補助金に申請したい人はこまめに公式サイトの最新情報を確認しましょう。

事業承継引継ぎ補助金のスケジュールを申請から補助金交付まで解説

事業承継やM&Aをしたい人の中には、事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを知りたい人もいますよね。その際、事業承継・引継ぎ補助金の公式ページを見ても、どこを見れば最新の情報が記載されているのか、分からない人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の申請スケジュールを解説します。補助事業の締め切りや申請準備をいつまでにすればよいかも解説するので、事業承継・引継ぎ補助金に申請する可能性がある人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトをもとに作成しています。

10次公募の申請締切は2024年7月31日

事業承継・引継ぎ補助金の10次公募の申請締め切りは2024年7月31日17:00です。事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールは年間計画として公開されないため、公式サイトから新着情報を随時確認する必要があります。

【10次公募のスケジュール】

募集枠

専門家活用

申請受付期間

2024年7月1日~2024年7月31日(水)17:00

交付決定日

8月末~9月初頭(予定)

事業実施期間

交付決定日~2024年11月22日(金)

実績報告期間

2024年8月29日(木)~2024年11月25日(月)

補助金交付手続き

2024年12月中旬以降(予定)

参考:専門家活用「事業スケジュール」|事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金には「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3つの枠がありますが、10次公募では「専門家活用」枠のみの募集です。7月1日〜7月31日までの1カ月間の募集となり、採択された場合に補助金を受け取ることができる時期は年末ごろとなる見込みです。

なお、交付決定日や交付申請手続きの時期は暫定であり、状況により変更となる可能性があります。日程が確定次第、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトにて発表されるため、最新の情報を知りたい人は公式サイトの「事業スケジュール」もあわせて確認してみてください。

事業承継・引継ぎ補助金の申請から補助金交付までのスケジュールを把握する

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを把握する際は、申請のスケジュールだけでなく、補助金交付までスケジュールまで把握しておきましょう。事業承継・引継ぎ補助金の全体のスケジュールを把握すると、申請時のミスや交付決定後のトラブルの防止につながります。

【把握すべきスケジュールの種類】

項目

備考

公募要領は公開されているか

事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトの「公募要領等ダウンロード」からダウンロードが可能

申請期間はいつか

2024年7月1日~2024年7月31日(水)17:00

電子申請で必要なGビズIDプライムアカウントはいつ申請すればいいか

申請の2~3週間前

(アカウント発行に2週間程度要するため)

交付決定された場合、補助事業(専門家との契約等)はいつ行えばいいか

交付決定日~2024年11月22日(金)までに完了させる

事務局への報告はいつ行えばいいか

〈実績報告〉

補助事業の完了時に、実績報告書を提出する

〈事業化状況報告〉

補助事業期間終了後、3年間にわたり実施

参考:公募要領(10次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金の電子申請で必要となるGビズIDプライムアカウントは、申請から取得までに2週間程度かかる可能性があります。事業承継・引継ぎ補助金に申請したい日から起算して、遅くとも2週間前にはGビズIDプライムアカウントを申請しましょう。

また、事業承継・引継ぎ補助金の10次公募の場合、交付決定を受けたら2024年11月22日までに補助事業を終える必要があります。専門家との契約や補助対象経費の支払いは、2024年11月22日までに済ませなければなりません。

事業承継・引継ぎ補助金の申請をする人は、締切だけでなく申請に関連するGビズIDプライムアカウントの申請や認定支援機関への相談時期などもあわせて計画をたてる必要があります。不備なく申請を行えるよう、スケジュールが確定するまでは公式サイトを随時確認しましょう。

申請前に交付希望の申請枠の公募要領をダウンロードして読む

事業承継・引継ぎ補助金に申請を予定している人は、申請の前に交付希望の申請枠でダウンロードして読みましょう。事業承継・引継ぎ補助金の公募要領とは申請ルールをまとめたもので、公募回ごとに更新され、3つの申請枠ごとに別の公募要領が用意されています。

【事業承継・引継ぎ補助金の対象事業と類型の概要】※10次公募では「専門家活用枠」のみ募集

申請枠

類型

概要

経営革新枠

創業支援型

中小企業者等が、事業承継やM&Aで設備や従業員を引継ぎ事業開始する際、かかる事業費の一部を支援する

経営者交代型

中小企業者等が、親族内承継や従業員承継で新たに事業を始める際、かかる事業費の一部を支援する

M&A型

中小企業者等が、事業再編・事業統合等で新たに事業を始める際、かかる事業費の一部を支援する

専門家活用枠

買い手支援型

中小企業者等が株式や経営資源を譲り受ける事業再編・事業統合をする際、かかる専門家契約費を支援する

売り手支援型

中小企業者等が株式や経営資源を譲り渡す事業再編・事業統合をする際、かかる専門家契約費を支援する

廃業・再チャレンジ枠

〈併用申請〉

経営革新枠または専門家活用枠を利用する際、併用申請することで、廃業にかかる経費を支援する

〈単独申請〉

廃業して新たな事業に取り組む際、廃業にかかる経費を支援する

参考:公式サイト(7次公募~)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠の公募要領を読むと、「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3つの申請型があることや、補助対象経費や補助金額の説明が記載されています。

また、専門家活用枠の公募要領の場合、「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」があることや、補助対象経費や補助金額の説明が記載されています。

事業承継・引継ぎ補助金では、補助対象事業や補助対象経費の支払い時期も決まっています。公募スケジュールを確認する際は、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトから最新の公募要領をダウンロードして、各申請枠の理解を深めるようにしましょう。

申請受付期間に間に合うよう電子申請j Grantsから申請する

事業承継・引継ぎ補助金の申請方法は電子申請「j Grants」での申請です。事業承継・引継ぎ補助金に申請したい人は、申請受付期間中にj Grantsから申請してください。J Grantsにログインするには、無料で作成できる「GビズIDプライムアカウント」が必要です。

【j GrantsとGビズID】

Webサイト名

概要

j Grants

国や自治体の補助金にネットで申請できる、日本政府公式のWebサイト

GビズID

補助金や年金などの行政サービスにログインするためのID。GビズIDにはエントリーやプライムなどの種類がある

たとえば、経営革新枠の場合、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトから申請しようとすると、「交付申請手続き」ページの一番下には「j Grantsホームページ」としてj Grantsへのリンクが貼られています。

また、「交付申請手続き」ページから「j Grantsホームページ」をクリックする場合は、「j Grantsホームページ」のトップページが表示され、ログインボタンをクリックすると、GビズIDを求められます。

事業承継・引継ぎ補助金は、電子申請「j Grants」のシステムを利用する補助金です。最近ではj Grantsのシステムを使った電子申請が増えているため、事業承継・引継ぎ補助金以外の補助金にも関心がある人は、GビズIDの作成を検討してみましょう。

なお、GビズIは「エントリー」「メンバー」「プライム」の3種類があります。事業承継・引継ぎ補助金で使うGビズIDは「GビズIDプライムアカウント」なので、GビズIDを取得する際は間違えないように注意してください。

GビズIDプライムのアカウント登録に必要なものを揃える

GビズIDプライムの申請を行う際は、パソコンや印鑑証明書などが必要です。GビズIDプライムは郵送またはオンラインによる申請が可能であり、それぞれ申請に必要なものが異なるため、スムーズにGビズIDプライムアカウントを取得するためにアカウント申請に必要なものを確認しましょう。

【GビズIDプライムのアカウント登録に必要なもの】

申請方法

項目

備考

共通

メールアドレス

  • ログインする際のアカウントIDとなる
  • ワンタイムパスワードを取得するためにも使用する

パソコン

〈対応OS〉

Windows10、11

MacOS 14以上

〈対応ブラウザ〉

Microsoft Edge

Google Chrome

Safari

※いずれも最新版

【スマートフォンの場合】

iPhone:iOS 17以上

Android:AndroidOS 14以上

スマートフォン/携帯電話

SMS(ショートメッセージサービス)を受信できる端末を用意

郵送

プリンター

  • 作成した申請書を印刷するために必要
  • 印刷した申請書に押印する

印鑑証明書/印鑑登録申請書

  • 個人事業主の場合は印鑑登録証明書となる
  • 発行日より3ヶ月以内の原本が必要

オンライン

マイナンバーカード

  • 署名用電子証明書暗証番号(英数字6-16桁)
  • 券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)

GビズIDアプリ

マイナンバーカード読み取りのために必須

参考:ご利用ガイド(GビズIDクイックマニュアルgBizIDプライム編)|GビズID

たとえば、メールアドレスの場合、GビズIDプライムアカウントの申請で「jigyou@~」のメールアドレスを登録したとすると、j Grantsにログインする際のIDは「jigyou@~」となります。

また、パソコンのWindowsの場合、OSはWindows10または11で、ブラウザはMicrosoft EdgeまたはGoogle Chromeの最新版が推奨されています。推奨環境以外からGビズIDを申請した場合、申請手続きが最後まで完了しない可能性があります。

事業承継・引継ぎ補助金の手続きは電子申請なので、申請する予定の人は、早めにGビズIDの申請準備を始めましょう。GビズIDの申請については、GビズIDサイトのご利用ガイド「GビズID クイックマニュアル gBizIDプライム編」を参考にしてみてください。

経営革新と廃業・再チャレンジでは認定支援機関に申請前に相談する

事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」枠と「廃業・再チャレンジ」枠では、申請の前に認定支援機関に相談しましょう。経営革新枠と産業・再チャレンジ枠では、申請時に必要な書類の中に認定支援機関が発行する「確認書」が含まれているためです。

【事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠の必要書類の例】

すべての申請者

事業譲渡を受ける個人事業主の場合

  • 交付申請書
  •  認定支援機関による確認書
  • 住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 税務署の受付印のある直近 3 期分の確定申告書 B(第一表・第二表)
  • 所得税青色申告決算書

参考:経営革新枠 公募要領(9次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠に申請する事業者の場合、「交付申請書」「認定支援機関による確認書」が必要で、事業譲渡を受ける個人事業主なら、さらに「住民票」「確定申告書B」「所得税青色申告決算書」も必要です。

認定支援機関に相談することにより、専門的な立場から「対象事業者の要件を満たすか」といった視点で申請内容を確認してくれます。認定支援機関は全国各地にあるので、認定支援機関を探す際は「認定経営革新等支援機関検索システム」で条件を指定して調べてみましょう。

交付決定は締め切りのあと約1ヶ月で発表される

事業承継・引継ぎ補助金では、申請締切から1ヶ月〜1ヶ月半程度で採択結果が公開されます。交付決定は事業承継・引継ぎ補助金の「公式サイト」および「jGransts」で発表され、発表された日が「交付決定日」となります。

補助事業を実際に行うことができる期間は、交付決定日から公募回ごとに指定されている期日までとなります。10次公募の場合、補助事業実施期間は交付決定日〜2024年11月22日(金)と指定されているため、この期間内であれば事業者は補助事業を実施する期間を自由に設定できます。

事業承継・引継ぎ補助金では、申請締切日からおおよそ1ヶ月〜1ヶ月半後に交付決定の発表があります。交付決定を受けるとすぐに補助事業を始められるので、事業承継・引継ぎ補助金に申請する事業者は、交付決定後すみやかに補助事業に取り組めるよう準備をしておきましょう。

補助事業完了日から起算して30日以内を目処に実績報告を提出する

事業承継・引継ぎ補助金で交付決定を受けた人は、補助事業完了日から起算して30日以内を目処に「実績報告」を提出しなければなりません。実績報告での必要書類は、事業者がどのような事業承継・引継ぎをするのかによって異なります。

【経営革新枠で個人事業主が実績報告をする際の必要書類】

事業承継形態

被承継者

必要書類

事業譲渡

法人

  • 事業譲渡契約書
  • 移動した資産・負債の一覧
  • 事業譲渡が行われたことの証明書(徴収書、検収書、開廃業届など)
  • 開業届

(申請時に開業前の承継者の場合)

個人事業主

株式譲渡

株式を保有された法人

  • 株式譲渡契約書
  • 被承継者の株式譲渡前と株式譲渡後の株主名簿
  • 議事録および履歴事項全部証明書

(譲渡後に取締役の交代等が行われている場合)

参考:経営革新枠 公募要領(9次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、事業譲渡で法人から事業を譲り受ける場合、実績報告の際には「事業譲渡契約書」「移動した資産・負債の一覧」などの書類が必要となります。

事業承継・引継ぎ補助金では、交付決定後に補助事業を行い、補助事業の完了時に実績報告を行います。実績報告時には必要な提出書類があるので、これから事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は、事業承継の際の契約書や開業届を忘れずに保管しておきましょう。

補助金交付は実績報告後の確定検査後に振り込まれる

事業承継・引継ぎ補助金の補助金交付は、実績報告後の確定検査の後に振り込まれます。確定検査では、事業者が申請する経費が補助対象かどうかを確認するため、事業承継・引継ぎ補助金事務局が実績報告で提出された内容の確認と精査をします。

【事業承継・引継ぎ補助金の補助対象経費】

経営革新枠

専門家活用枠

廃業・再チャレンジ枠

  • 人件費
  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費 など
  • 専門家への謝礼
  • 委託費
  • システム利用料
  • 在庫廃棄費 など
  • 廃業支援費
  • 原状回復費
  • リースの解約費
  • 移転・移設費用

参考:各申請枠の公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、専門家活用枠の場合、専門家への謝礼やM&Aマッチングサイトの利用料などが補助対象となります。確定検査では契約書や領収書の金額が妥当なのか、補助対象期間中に契約と支払いがされたかなどが検査されます。

事業承継・引継ぎ補助金でもらえる補助金は、確定検査のあとに振り込まれます。経費の支払い時には一度申請者が全額を立て替える必要があるので、資金の用意をしてから事業承継・引継ぎ補助金に申請しなければならないことに留意しておきましょう。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金の10次公募は、2024年7月31日17:00まで公募されます。事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールは年間計画として公開されないため、事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを知りたい人は随時公式サイトで最新の情報を確認してください。

事業承継・引継ぎ補助金の補助事業は、交付決定日から補助事業完了日までの「対象期間」中に行います。補助事業完了日は申請する経営革新や専門家活用などの申請枠ごとに定められていますが、10次公募の場合は専門家活用枠のみの募集であり、2024年11月22日までとなっています。

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを把握する際は、申請のスケジュールだけでなく、補助金交付までスケジュールまで把握しましょう。事業承継・引継ぎ補助金の全体のスケジュールを把握することにより、申請時のミスや交付決定後のトラブルの防止につながります。

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は?不採択になる理由や採択事例も解説

事業承継をしたい人の中には、事業承継・引継ぎ補助金に関心がある人もいますよね。その中には、事業承継・引継ぎ補助金の申請前に採択率を知りたい人や、申請後に採択率が気になる人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の採択率を解説します。不採択となる理由や採択事例も解説するので、事業承継・引継ぎ補助金の採択率が気になる人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトをもとに作成しています。

事業承継・引継ぎ補助金の平均採択率は57.3%

これまでの事業承継・引継ぎ補助金の平均採択率は57.3%です。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトでは、申請者数と採択者数は公開されているので、計算すると各公募回での採択率がわかります。

【事業承継・引継ぎ補助金の採択率】

公募回 採択率 申請者数 採択者数
1次

52.5%

1,033  531

2次

 51.3%  631 348

3次

55.8%  626  354

4次

55.0% 810 446

5次

59.8% 799 478

6次

60.6%  862 523

7次

59.4% 839

499

8次

60.5%

730

442

9次

61.1% 853 522

※小数点第2以下切り捨て

 参考:1次~4次採択結果、5・6次採択結果、7次~9次採択結果|事業承継・引継ぎ補助金

補助金の採択率は「申請者数÷採択者数×100」の計算式で求めることができます。たとえば、1次の採択率の場合、申請者数1,033人を採択者数531人で割ると52.5%なので、採択率は52.5%となります。

また、事業承継・引継ぎ補助金のこれまでの公募において、最も高い採択率となったのは9次公募の61.1%でした。一方で、最も低い採択率となったのは2次公募の51.3%でした。

事業承継・引継ぎ補助金のこれまでの採択率は、50%~60%前後を推移していています。今後の採択率に関しては、申請者数の増減も影響するので、あくまで目安として覚えておきましょう。

なお、他の補助金の採択率を知りたい人は「補助金の採択率とは?」の記事も参考にしてみてください。

公募回や申請する枠で採択率は変わる

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、申請する枠によっても変わります。そのため、申請する枠が決まっているなら、申請する枠の採択率もあわせて確認しておきましょう。

【1次から9次公募までの申請枠別の採択率】

公募回 経営革新 専門家活用 廃業・再チャレンジ
1次 採択率 50.2% 51.5% 55.8%
申請者数 209  790 34
採択者数 105  234 19
2次 採択率 55.8% 55.4% 42.8%
申請者数 188 422 21
採択者数 105 234 9
3次 採択率 56.6% 57.3% 44.8%
申請者数 189 408 29
採択者数 107 234 13
4次 採択率 55.3% 55.9% 35.7%
申請者数 264 518 28
採択者数 146 290 10
5次 採択率 60.1% 60.7% 45.9%
申請者数 309 453 37
採択者数 186 275 17
6次 採択率 61.0% 60.2% 62.1%
申請者数 357 468 37
採択者数 218 282 23
7次 採択率 60.7% 60.0% 35.7%
申請者数 313 498 28
採択者数 190 299 10
8次 採択率 60.1% 61.2% 54.5%
申請者数 334 374 22
採択者数 201 229 12
9次 採択率 60.0% 62.5% 56.0%
申請者数 388 440 25
採択者数 233 275 14
※採択率は小数点以下切り捨て

 参考:1次~4次採択結果、5・6次採択結果、7次~9次採択結果|事業承継・引継ぎ補助金

 「経営革新」と「専門家活用」枠の場合、1次公募から9次公募までの採択率がすべて50%を上回っています。しかし、「廃業・再チャレンジ」枠では4次と7次公募において40%を下回る採択率となりました。

事業承継・引継ぎ補助金の申請枠ごとに採択率を見ると、申請枠によって採択率に差があることが分かります。各申請枠の採択率は、公募要領の改訂により増減する可能性もあるので、事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は公式サイトを確認してみてください。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の廃業・再チャレンジ枠は、他の申請枠と併用できます。廃業・再チャレンジ枠は単独申請が少なく、ほとんどの事業者が併用申請をしているため、廃業・再チャレンジ枠に申請する人は併用申請ができるかを検討してみましょう。

申請前には不採択となる理由を確認してみる

事業承継・引継ぎ補助金に申請するなら、あらかじめ不採択となる理由を確認しておきましょう。不採択となる理由を把握して対策を検討することにより、事業承継・引継ぎ補助金で不採択となるリスクを軽減できる可能性があります。

【事業承継・引継ぎ補助金で不採択となる理由と具体例】

不採択となる理由 具体 例
対象事業者に該当しない <廃業・再チャレンジ枠の場合>
対象事業者ではない特定非営利活動法人(NPO)として申請した
事業承継の要件を満たしていない <経営革新枠の場合>
グループ企業の間で、不動産のみを保有する事業を承継する
対象事業の要件を満たしていない <経営革新枠でデジタル化の事業計画を提出する場合>
IPA が実施する「SECURITY ACTION」の宣言を行っていなかった
<経営革新事業で経営者交代型に申請する場合>
特定創業支援事業を受ける者等、経営の実績や知識があることを証明できなかった
必要書類に不備があった <経営革新枠または廃業・再チャレンジ枠の場合>
認定支援機関が発行する「確認書」を提出しなかった
〈共通:採択され交付申請をする場合〉
補助対象経費に必要な相見積を提出しなかった

参考:公式サイト|事業承継・引継ぎ補助金(7次公募~)

たとえば、経営革新枠の場合、経営革新枠では事業承継のあとに新たな事業を始めることが要件なので、不動産の承継のみをする事業者は対象外です。

また、経営革新枠および廃業・再チャレンジ枠の場合、提出書類に認定支援機関の「確認書」が含まれるので、電子申請時に添付するZipファイルにExcelファイル「確認書」を入れないと不採択になります。

事業承継・引継ぎ補助金では、公募要領に記載された要件やルールを遵守していない場合、不採択になります。申請する際は、公募要領や公式サイトの内容を熟読しておきましょう。

当メディアを運営する株式会社SoLaboは認定支援機関として事業承継引継ぎ補助金の申請サポートを行っています。サポートさせていただいた案件では採択された実績もありますので、不採択となった理由を特定し、再申請に活かしたい人は下記よりお問い合わせください。

事業承継引継ぎ補助金は利用できる?無料診断

なお、2024年7月に実施される事業承継・引継ぎ補助金の10次公募では専門家活用枠のみの募集となります。

申請前に採択事例を確認すると成功例がわかる

事業承継・引継ぎ補助金に申請するなら、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトで、採択結果を確認してみましょう。採択結果を確認すると、どのような事業が採択されているのかがわかるため申請準備をする際の参考にすることができます。

【事業承継・引継ぎ補助金の採択事例】

申請枠と類型の種類  採択された事業内容
経営革新(創業支援型)
  • 有害物質を使用しない発色法による陶器用釉(うわ)薬の開発をする
  • レンタルしている物件の一部を改装し、地域にはない、女性のための心理カウンセリングと整体を開業する
  • 地元農家と競合し、地元野菜と自社栽培フルーツを生かしたドライフルーツを開発する
経営革新(経営者交代型)
  • 特殊計測用治具の需要増を背景に、CNC精密旋盤を導⼊し熟練技術と最新機械を融合し顧客要求に応える
  • コロナ禍でも集客に影響しない、歯のホワイトニング専用セルフサロンを展開する
  • IT化の遅れる運送業において、自社独⾃の業務システムを導⼊し、B to BからB to Cへの市場転換を行う
経営者革新(M&A型)
  • 営繕⼯事事業をしている中で、空調設備の有限会社を買収し、空調設備の経験者を代表に据え、地域ゼネコンの設立を目指す
  • これまでの桐箱オーダーメイド事業の販路を開拓するため、バイヤー、木工・藍染業者等と事業統合し、国内外の見本市へ出展する
  • 特定のレストランのみに卸していた食品を、スーパーに卸すため、真空・急速凍結機メーカーと提携し、大量生産できる体制を整える

参考:採択結果|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営者支援(創業支援型)の場合、事業承継期間内に創業する承継者が対象なので、採択結果の事業計画には、新しい技法や地域にないサービス業としての開業が見受けられました。

また、経営支援(M&A型)の場合、経営や実績のある被承継者に対しM&Aをする承継者が対象なので、採択結果の事業計画には、地域内での異業種の合併による総合企業や地域ゼネコンの事業が見受けられました。

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、申請者が応募する事業計画の内容にも左右されます。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトでは実際に採択された事業計画が一部閲覧できるので、申請する人は事前に確認してみてください。

申請する際は3つの申請枠の中から選ぶことになる

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、3つの申請枠から自社に合った事業を選び、申請することになります。3つの申請枠はそれぞれ、補助対象経費や補助金額などに違いがあります。

【事業承継・引継ぎ補助金の3つの事業の概要】※10次公募では「専門家活用」のみ募集

事業名 類型 補助対象経費 補助金額と補助率
経営支援 創業支援型(Ⅰ型)

〈事業費〉

  • 人件費
  • 店舗等借入費設備費
  • 原材料費
  • など

〈廃業費〉

  • 廃業支援費
  • 在庫廃棄費
  • 解体費
  • 原状回復費

など

<補助金額>
100万円~600万円以内
※廃棄費として+150万円以内の上乗せが可能
<補助率>
補助対象経費の2/3
経営者交代型(Ⅱ型)
M&A 型(Ⅲ型)
 専門家活用 買い手支援型(Ⅰ型)
  • 謝金
  • 旅費
  • 外注費
  • 委託費
  • システム利用料
  • 保険料
  • 廃業費
  • 廃業支援費
  • 在庫廃棄費

など

経営支援と同じ
売り手支援型(Ⅱ型)
廃業・再チャレンジ
  • 廃業支援費
  • 在庫廃棄費
  • 解体費
  • 原状回復費
  • リースの解約費
  • 移転・移設費用(併用申請のみ計上可)
 <補助対象経費>
50万円
<補助率>
補助対象経費の2/3

たとえば、経営支援枠の場合、補助対象経費には事業承継後に新事業をするための事業費と廃業費が補助されるので、事業承継をきっかけに新事業を始める人は、経営支援枠を選ぶことになります。

また、専門家活用枠の場合、補助対象経費に事業承継の専門家(登録FA・仲介業者)に支払う費用が補助されるので、事業再編や統合で株式・経営資源の売買をする人は、専門家活用枠を選ぶことになります。

事業承継・引継ぎ補助金に事業者が申請する際は、3つの申請枠から1つまたは2つ以上の申請枠を選択し、申請します。各申請枠で設定している対象事業者には違いがあるので、実際に申請する際は、各申請枠の公募要領にある「対象事業者」を確認してみてください。

なお、廃業・再チャレンジと合わせて併用申請する場合は、「廃業・再チャレンジ」として申請するのではなく、「経営革新」または「専門家活用」として申請するので、覚えておきましょう。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金の1次~9次公募における平均採択率は57.3%です。直近の9次公募の採択率は「経営革新」が60.0%、「専門家活用」が62.5%、「廃業・再チャレンジ」が56.0%でした。

事業承継・引継ぎ補助金の3つの申請枠の採択率は「経営革新」「専門家活用」はともに50~60%台となる傾向にありますが、「廃業・再チャレンジ」は40%台となる場合もあり、枠によっても採択率に差がある場合があります。

事業承継・引継ぎ補助金で採択されるには、不採択となる要素をできる限り取り除くことです。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトからダウンロードできる公募要領や、採択結果を見ると、事業承継・引継ぎ補助金での不採択事例や成功事例を確認できます。

なお、2024年7月に実施される10次公募では専門家活用枠のみの募集となります。

事業承継引継ぎ補助金の申請代行は頼むべき?費用と支援機関を説明

事業承継・引継ぎ補助金は、事業者が事業承継やM&Aをする際の経費を、国が一部補助する制度です。事業承継・引継ぎ補助金に申請予定の事業者で、準備がなかなか思うように進まず、申請代行を頼むべきか迷う人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の申請代行を頼むべきなのかを解説します。事業承継・引継ぎ補助金の申請代行にかかる費用や支援機関も紹介するので、事業承継・引継ぎ補助金の申請代行が気になる人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトをもとに作成しています。

事業承継引継ぎ補助金では申請代行を頼むべきケースがある

事業承継・引継ぎ補助金では、申請代行を頼むべきケースがあります。事業承継・引継ぎ補助金で特定の申請枠から申請する際は、「認定支援機関」という業者へ申請サポートを依頼しなければなりません。他にも、事業者によっては申請代行を依頼すべきケースがあります。

【事業承継引継ぎ補助金で申請代行を頼むべきケース】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

  1. 「経営革新」枠で申請するので、認定支援機関の「確認書」を発行してほしい
  2. 「専門家活用」枠に申請するので、事業承継やM&Aの登記書類を作成してほしい
  3. 事業者が申請要件を満たしているか、申請内容が間違っていないかを確認してほしい
  4.  加点を適用するため、必要な書類作成に協力してほしい

たとえば、事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」と「専門家活用」から申請する場合、必要書類として認定支援機関の確認書を提出する必要があるので、事業者は認定支援機関へ確認書の発行を依頼しなければなりません。

また、事業承継・引継ぎ補助金への申請が不安な場合は、申請前に申請代行業者にアドバイスやチェックを依頼すると、事業者は疑問点を解消しながら申請に臨めます。

事業承継・引継ぎ補助金では、申請代行を頼むことが「義務」の場合と「任意」の場合があります。事業承継・引継ぎ補助金の申請代行を検討している人は、自社がどの申請枠から申請するのかを確認して、申請代行を頼むべきかを判断しましょう。

なお、事業承継・引継ぎ補助金では、申請代行業者が事業者から情報を得て代わりに申請すると、公募要領に違反します。当記事では申請代行という言葉を使いますが、実際は事業者に向けて書類作成を支援する「申請サポート」であることに留意しておきましょう。

当サイトを運営する株式会社SoLaboは認定支援機関として事業承継引継ぎ補助金の申請サポートを行っています。事業承引継ぎ補助金の申請でどの枠に申請すべきか、補助金の対象となるかを知りたい人は下記よりお問い合わせください。

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「経営革新」および「廃業・再チャレンジ」枠から申請する場合

事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」および「廃業・再チャレンジ」枠から申請する場合は、認定支援機関に申請代行を依頼しましょう。「経営革新」および「廃業・再チャレンジ」枠の必要書類には、認定支援機関が発行する「確認書」があるからです。

認定支援機関は中小企業者の経営を支援する機関です。認定支援機関は事業者が申請要件を満たすかを確認し、必要書類の「確認書」を発行してくれます。

【必要な提出書類の具体例】

経営革新枠  廃業・再チャレンジ枠
手続き名 事業譲渡または株式譲渡 廃業と再チャレンジ
申請代行で作成してもらえる書類の具体例
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 履歴事項全部証明書の取得
  • 確定申告書の作成(個人事業主の場合)
  • 決算書の作成(法人の場合)
  • 履歴事項全部証明書の取得
  • 直近の確定申告の基となる直近 3 期分の決算書
  • 株主名簿
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • M&A(事業の譲り渡し)に着手したことの証憑

参考:「経営革新枠」および「廃業・再チャレンジ枠」公募要領(9次)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠の場合、事業譲渡を受ける個人事業主は認定支援機関の確認書、履歴事項全部証明書、確定申告などの必要書類があります。税理士や中小企業診断士などの認定支援機関に依頼すると、確認書以外の書類作成も可能です。

また、廃業・再チャレンジ枠の場合、事業譲渡や株式譲渡などで廃業の事業者は、認定支援機関の確認書、株主名簿、M&Aに関わる証憑などの必要書類があります。経営コンサルタントや弁護士などの認定支援機関に依頼すると、確認書以外の書類作成も可能です。

経営革新枠および廃業・再チャレンジ枠で申請をする場合は、認定支援機関に申請代行を依頼しましょう。その際、認定支援機関の種類はさまざまなので、税理士やM&Aアドバイザリーなど、事業者の希望に合わせた書類作成ができる認定支援機関を選びましょう。

認定支援機関は経営支援の専門性があることを経済産業省に認定された機関

認定支援機関は経済産業省に経営支援の専門性があることを認定された機関のことで、信用金庫や商工会、個人の税理士や民間コンサル会社などの認定支援機関もあります。認定支援機関は全国に約3万7千機関あり、専門分野が異なるので、探す際は希望の条件を決めてから探しましょう。

【認定支援機関の種類と依頼できる書類作成の例】

認定支援機関の種類  依頼できる書類作成の例
共通 認定支援機関が発行する確認書
弁護士
  • 事業譲渡契約書
  • 株式譲渡契約書
  • 遺産分割協議書
税理士
  • 確定申告書
  • 賃金台帳
  • 法人事業概況説明書
中小企業診断士
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 営業利益率低下に関する計算書
行政書士
  • 公正証書遺言書の原案
  • 履歴事項全部証明書の取得
法律事務所
  • 事業譲渡契約書
  • 株式譲渡契約書
  • 遺産分割協議書
M&Aアドバイザリー
  • ロングリスト・ショートリスト
  • PMI計画書
  • 事業承継計画書

たとえば、事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」枠に申請したい会社の場合、以前から付き合いのある税理士が認定支援機関の資格をもっていれば、事業承継・引継ぎ補助金の申請代行をそのまま頼むことも可能です。

また、税理士や経営コンサル会社と付き合いがない個人事業主の場合も、口座をもつ信用金庫や地元の商工会が認定支援機関の資格をもつこともあるので、自社の周りで認定支援機関を見つけられる可能性があります。

認定支援機関は身の回りにある銀行や税理士事務所などです。各認定支援機関の専門は事業承継やM&Aでない場合もあるので、事業承継・引継ぎ補助金で認定支援機関を探す際は、専門知識や申請サポート経験のある認定支援機関を探すようにしましょう。

なお、認定支援機関を探す際は、中小企業庁が運営する「認定支援機関検索システム」を使いましょう。認定支援機関検索システムではエリアや相談内容を絞り込めるので、認定支援機関を探す際は、認定支援機関検索システムで条件を指定して検索してみてください。

「専門家活用」枠に申請する場合

事業承継・引継ぎ補助金の「専門家活用」枠から申請する場合、事業者は事業承継やM&Aを専門家に相談して専門家契約を結ぶ必要があります。事業承継の専門家は申請要件の確認や登記書類の作成をするので、結果的に、事業者は申請代行を頼むことになります。

【登録FA・仲介業者の概要】

  • 中小企業等が安心して事業承継に取り組めるよう、経済産業省が令和3年8月に創設した
  •  「M&A支援機関に係る登録制度」に登録されたファイナンシャルプランナーやM&A仲介業者である

令和4年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金の「専門家活用」枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、M&Aで別の会社から株式を譲渡される法人の場合、まずは申請前に「登録FA・仲介業者」へ相談しましょう。採択のあとにM&Aアドバイザリー専門家契約や成功報酬を支払うなら、事業承継・引継ぎ補助金の補助対象経費として補助されます。

一方、同じ条件の法人の場合でも、事業承継やM&Aに関する相談を「登録FA・仲介業者」以外の業者に依頼すると、事業承継・引継ぎ補助金に採択されても、契約や発注する経費は補助されません。

専門家活用枠で申請する人は、登録FA・仲介業者に事業承継の仲介を依頼することになります。登録FA・仲介業者に相談する際は、「事業承継・引継ぎ補助金の申請経験があるか」「申請サポートを依頼できるのか」といった点を確認しておきましょう。

加点を適用したい場合

事業承継・引継ぎ補助金で加点を適用して審査を有利にしたい場合は、申請代行業者に加点関係の書類作成を支援してもらえます。事業承継・引継ぎ補助金で加点を適用したいけれど、自社で対応できない場合は、申請代行業者に加点の申請書類を相談してみましょう。

【事業承継引継ぎ補助金で加点に必要な書類(抜粋)】

申請する事業の種類 加点の種類  作成が必要な書類
経営革新および専門家活用 中小企業の会計に関する基本要領への適用 「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関するチェックリスト
経営力向上計画 経営力向上計画に係わる認定申請書
経営革新  地域おこし協力隊員の身分証明書 地域おこし協力隊採用内定証明書

たとえば、経営革新枠の「経営力向上計画」の場合、事業者は事業計画書を作成する必要があるので、事業計画を作成できる経営コンサルや中小企業診断士に申請代行を依頼すれば加点申請のための書類を作成できます。

一方、経営革新枠の「地域おこし協力隊員の身分証明書」の場合は、自社が実際に地域おこし協力隊員になることで内定証明書が手に入れられるため、士業や金融機関に申請代行を頼んでも申請サポートはしてもらえません。

事業承継・引継ぎ補助金の申請代行では、事業者が加点を適用させる場合の書類作成もサポートしてもらえます。加点の内容により申請代行できない場合もあるので、加点で申請代行を検討する際は、申請代行業者に依頼が可能なのかを問い合わせてみましょう。

申請代行業者を頼む場合に必要な情報を確認する

事業承継・引継ぎ補助金の申請代行に関心があるなら、申請代行の費用や探し方などを確認しておきましょう。事業承継・引継ぎ補助金の申請代行業者は、資格が必要な場合や費用がかかる場合があるので、事前に申請代行業者の情報を確認しておくとスムーズな依頼が可能です。

【申請代行業者を頼む場合に必要な情報】

項目 具体例
申請代行業者の資格 認定支援機関、登録FA・仲介業者
申請代行業者の専門性 事業承継やM&Aの取引実績や年数
申請代行の費用
  • 着手金のみ
  • 成功報酬のみ
  • 着手金+成功報酬

※依頼する事業者や依頼内容によって異なる

申請代行費用を支払うタイミング 着手金は初回無料相談のあとの契約時、成功報酬は事業承継・引継ぎ補助金の採択後10日以内
申請代行のサポート内容
  • 申請要件の確認
  • 事業内容の確認
  • 決算書類の作成
 申請代行の方法 メール、電話、ZOOM、対面

たとえば、申請代行業者の資格の場合、認定支援機関は経営革新枠で必要な書類「確認書」を発行するので、経営革新枠に申請する人は、認定支援機関を選ぶことになります。

また、申請代行業者に費用を支払うタイミングの場合、着手金がある申請代行業者なら相談時に着手金を準備する必要がありますが、成功報酬だけの場合は相談時に費用を準備する必要はありません。

事業承継・引継ぎ補助金で申請代行を依頼する際は、費用だけでなく、資格や専門性も確認しましょう。特に、経営革新枠あるいは専門家活用枠に申請したい人は、申請代行業者が認定支援機関や登録FA・仲介業者の資格を持っているか、あらかじめ確認しておきましょう。

当サイトを運営する株式会社SoLaboは事業承継引継ぎ補助金の申請サポートを行う認定支援機関です。事業承継補助金の申請で対応している認定支援機関を探している人は下記よりお問い合わせください。

事業承継引継ぎ補助金は利用できる?無料診断

認定支援機関と登録FA・仲介業者を探す方法を確認しておく

申請代行を依頼する際は、事業承継・引継ぎ補助金に適した申請代行業者を探せるので、国の公式サイトを活用しましょう。認定支援機関を探す際は「認定支援機関検索」から、登録FA・仲介業者を探す際は「M&A支援機関登録制度」から検索できます。

【認定支援機関と登録FA・仲介業者を探せる国の公式サイト】

認定支援機関を探す場合  認定支援機関検索_エリア選択
登録FA・仲介業者を探す場合  登録機関データベース

たとえば、東京の認定支援機関を検索する場合、検索システムで「東京都」をクリックし、条件指定の画面で税理士や銀行など、希望の条件にチェックを入れましょう。

また、大阪で登録FA・仲介業者を検索する場合は、上部の「登録支援機関データベース」をクリックし、「支援業務提供都道府県」で大阪を指定して検索すると、大阪の登録FA・仲介業者を探せます。

申請代行業者を国の公式サイトから選ぶと、公募要領に沿った条件の申請代行業者が選びやすくなります。特に認定支援機関や登録FA・仲介業者にこだわらない場合は、ネット検索で「事業承継・引継ぎ補助金 申請代行業者」といったキーワードで調べてみましょう。

登録FA・仲介業者への成功報酬は補助対象外となる

専門家活用事業で登録FA・仲介業者へ支援を委託する際は、専門家契約をせずに成功報酬だけの場合、補助対象経費としてみなされません。専門家活用事業で登録FA・仲介業者へ申請代行依頼をする際は、公募要領で補助対象経費となる契約形態で契約してください。

【登録FA・仲介業者との契約時期と補助対象経費の可否】

実施時期 補助対象経費該当可否
補助事業期間開始前 補助事業期間 補助事業期間終了後
専門家契約、最終契約、成功報酬支払い
専門回契約 最終契約、成功報酬支払い
専門家契約、最終契約 成功報酬支払い
専門家契約、最終契約 成功報酬支払い

事業承継・引継ぎ補助金の専門家活用枠を申請する際は、契約の時期により補助対象外となることがあります。事業承継・引継ぎ補助金を使ってファイナンシャルプランナーやM&A専門会社に手続きを委託する人は、適切な契約時期に専門家契約を結んでください。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金で経営革新枠から申請する際は、「認定支援機関」に申請サポートを依頼し、専門家活用枠から申請する際は、補助対象経費の補助を受けるため、「特定FA・仲介業者」へ相談する必要があります。

また、事業承継引継ぎ補助金の申請代行業者には税理士や経営コンサル会社もあるので、加点を適用させたい場合に相談すると、履歴事項全部証明書や損益計算書などの書類をサポートしてくれることがあります。

事業承継・引継ぎ補助金の申請代行業者を探すなら、国の公式サイト「認定支援機関検」や「M&A支援機関登録制度」を活用しましょう。その際、事業者の希望地域や申請代行業者に求める専門性などの条件を決めておくと、より希望に合った申請代行業者を探せます。

補助金の相談は誰にする?相談できる内容に合った相談先を解説

補助金に応募したい人の中には、自分が補助金の対象なのかを確認したい人や、提出書類の質問をしたい人もいますよね。その際、どこに補助金の相談をすればいいか迷う人もいるでしょう。

当記事では、事業者向けの補助金における相談先を解説します。さまざまな相談内容に合わせた相談先を紹介するので、補助金の相談をしたい人は当記事を参考にしてみてください。

事業に使える補助金の相談をするなら

事業に使える補助金の相談をするなら、まずは商工会や認定支援機関などの公的機関に相談しましょう。商工会や認定支援機関では、希望に合う補助金の提案をしてくれたり、検討中の補助金についてアドバイスしてくれたりするためです。

【事業に使える補助金の相談先の一覧】
相談内容  相談先
小規模事業者持続化補助金の相談 商工会・商工会議所
経営の専門的な知識が必要な相談 認定支援機関
助成金の相談 社会保険労務士、公認会計士
完全無料の相談 よろず支援拠点
東京で創業する際の補助金で相談 TOKYO創業ステーション

補助金の相談先にはいくつも候補がありますが、各機関で対応できる相談内容はそれぞれ異なります補助金の相談先を決める際は、相談したい内容が相談できるかを基準に相談先を探しましょう。

小規模事業者持続化補助金の相談なら商工会・商工会議所

小規模事業者持続化補助金の相談なら、商工会・商工会議所が適しています。なぜなら、小規模事業者持続化補助金の必要書類には、地域の商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」があり、どちらにせよ商工会・商工会議所に相談する必要があるためです。

商工会と商工会議所は名称が似ていますが、商工会議所は「東京」や「大阪」など管轄のエリアが広いのが特徴です。

【商工会・商工会議所で相談できる内容の例】
相談できる内容
商工会
  •  小規模事業者持続化補助金
  •  販路開拓の支援
商工会議所
  • 地域限定の助成
  • 業種別の補助金

たとえば、「小規模事業者持続化補助金」に関心がある人の場合、地域の商工会に行けば、小規模事業者持続化補助金がどんな補助金なのか説明してくれます。その際、小規模事業者持続化補助金の申請に必要な「販路開拓」についても、アドバイスをしてくれます。

また、地域限定の補助金や助成金に関心がある人の場合は、商工会議所に行けば、「中小企業等活性化補助金」といった地域限定の補助金を紹介してくれます。また、過去に新型コロナが流行していた際は、新型コロナウイルスの給付金への質問に対応してくれました。

商工会と商工会議所はどちらも商工会員から成る組織ですが、会員以外の地域の経営者の相談にも無料で乗ってくれます。商工会への相談をする際は、事前予約制の場合があるので、近くの商工会のホームページを確認してみてください。

なお、商工会が発行する「事業支援計画書」のフォーマットは、商工会のホームページに掲載されています。どのような書類なのか確認したい人は、「応募時提出資料・様式集」の15ページを参考にしてみてください。

経営の専門家に相談したいなら認定支援機関

経営の専門家に相談したいなら、認定支援機関に相談しましょう。認定支援機関とは、国の認定を受けた税理士や公認会計士などのことです。認定支援機関は別名:認定経営革新等支援機関と言い、補助金に必要な事業計画や経営戦略を立てることが可能です。

この他、認定支援機関には税理士や信用金庫などさまざまな種類があり、それぞれ得意分野が異なります。主に対応する補助金は「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「ものづくり補助金」の4つです。

【認定支援機関で相談できる内容の例】
信用金庫
相談できる内容 ※得意分野は資金調達
  • 補助金申請時の自己資金の確認
  • 補助金とセットで申請できる融資の提案
  • よろず支援拠点の紹介
  • 補助金支援サービスの紹介
税理士
相談できる内容  ※得意分野は税金
  • 状況に合った補助金の提案
  •  補助金の要件を満たすかの確認
  •  補助金とセットでできる税制優遇の提案
  •  申請に必要な事業計画、決算書等の作成支援
  •  補助金採択後のサポート
行政書士
相談できる内容 ※得意分野は許認可
  • 状況に合った補助金の提案
  • 会社設立や法人りの書類作成
  • 事業計画に必要な許認可のサポート
  • 経営力向上計画の認可サポート
  • 申請に必要な事業計画の作成
民間の補助金サポート/コンサル会社
相談できる内容 ※得意分野は創業や融資
  • 状況に合った補助金の提案
  • 補助金の要件を満たすかの確認
  • 補助金への質問対応
  • 申請に必要な事業計画、決算書の作成支援
  • 補助金採択後のサポート

特に、事業再構築補助金では認定支援機関が発行する「確認書」の提出が必須なので、事業再構築補助金への相談は認定支援機関が適しています。補助金の相談で認定支援機関を探す際は、何を得意とする認定支援機関なのかを意識して探してみましょう。

当サイトを運営する株式会社SoLaboも融資や補助金の申請サポートを行う認定支援機関です。小規模事業者持続化補助金をはじめとする補助金の相談を承っておりますので、どの補助金に申請するかお悩みの人は診断してみてください。

補助金は利用できる?無料診断

助成金の相談なら社会保険労務士や公認会計士

補助金と合わせて助成金の相談もしたい人は、社会保険労務士や公認会計士に相談しましょう。なぜなら、社会保険労務士法第2条の2号と施行令2条1項により、助成金の書類の作成は社会保険労務士および公認会計士の独占業務とされているからです。

補助金と助成金の大きな違いは、助成金は従業員の労働環境に特化した支援だという点です。厚生労働省が管轄する助成金には、「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」「雇用調整助成金」「職場意識改善助成金」などの助成金があります。

【助成金の相談ができる相談先の例】
社会保険労務士
相談できる内容 ※得意分野は雇用
  • 状況に合った助成金の提案
  • 助成金の要件を満たすかの確認
  • 助成金への質問対応
  • 申請に必要な事業計画、決算書の作成支援
  • 助成金採択後のサポート
公認会計士
相談できる内容 ※得意分野は監査、税務
  • 状況に合った補助金/助成金の提案
  • 補助金/助成金の要件を満たすかの確認
  • 補助金/助成金への質問対応
  • 申請に必要な事業計画、決算書等の作成支援
  • キャッシュフローが適正であるか確認

たとえば、社会保険労務士の場合、「この助成金に申請したいが、自社は対象となるのか」確認することが可能です。

また、公認会計士の場合は、財務に特化した助成金の書類作成ができます。そのため、助成金をもらった際に勘定科目や仕訳をどうすればよいか、相談できます。

従業員を雇う事業者の場合、雇用保険に加入していれば、さまざまな助成金の制度を活用できます。助成金の内容を把握したい、申請書類の作成を任せたいなどの相談は、社会保険労務士または公認会計士に相談してみてください。

完全無料の相談を希望するならよろず支援拠点

完全無料の相談を希望するなら、よろず支援拠点に相談しましょう。商工会でも無料相談はできますが、よろず支援拠点の場合、相談者の経営課題に応えるため、金融機関や商工会を巻き込んで協力してくれる「コーディネーターがいる」という違いがあります。

【よろず支援拠点で相談できる内容】
  • 事業者の課題に合う補助金の提案
  • お金がかからず売上を伸ばす提案
  • 金融機関を巻き込み、資金繰り表や改善計画の作成支援
  • 補助金の事業計画書、決算書等の作成支援

    たとえば、よろず支援拠点の公式サイトで「全国の支援事例」をみてみると、飲食店を経営している個人事業主が事業再構築補助金でどのような再構築ができるかを相談したとの記載があります。

    飲食店の事例では、コーディネーターが個人事業主の話を聞き、経営分析の専門家に引き継ぎました。その結果、個人事業主はコロナ以後不調だった観光レストラン業からカフェスイート業への事業再構築を計画し、事業再構築補助金に採択されています。

    よろず支援拠点は国の公的機関「中小機構」が運営する、中小経営者のための相談所です。誰でも無料で利用できるため、補助金の相談に乗って欲しい事業者も、支援拠点一覧」を参考にして最寄りのよろず支援拠点を探してみて下さい。

    都内で起業するための助成金の相談ならTOKYO創業ステーション

    補助金ではありませんが、都内で起業するための助成金の相談なら、TOKYO創業ステーションが適しています。TOKYO創業ステーションは東京での起業を支援する公的機関であり、東京都の「創業助成金」の運営にも携わっています。

    TOKYO創業ステーションを利用できる人は「①東京在住で起業したい人」または「②東京以外の在住者、かつ、将来的に東京で起業したい人」です。

    【創業助成金についてTOKYO創業ステーションがサポートできる内容】
    • 東京都の創業助成事業の説明
    • 創業助成金(東京都中小企業振興公社)に必要な「ビジネスプラン」の作成を担任制でサポート
    • 創業助成金に関する質問への対応(専用電話番号あり

    TOKYO創業ステーションでは、創業助成金の対象経費やビジネスプランの立て方を教えてもらえます。創業助成金の申請時期は毎年10月頃なので、創業助成金に関心がある人は、スケジュールに余裕をもってTOKYO創業ステーションに相談してみてください。

    申請のサポートを行う企業もある

    補助金の申請のサポートを行う企業もあります。申請サポートをしてくれる企業に相談すると、補助金へのアドバイスだけでなく、実際に補助金申請に必要な書類作成を依頼できます。

    補助金の申請には複数の書類が必要なので、簡単な作業ではありません。補助金に初めて申請する人や時間が足りない人は、申請サポートを行う企業に相談してみるのも一つの方法です。

    【申請代行の相談ができる相談先の例】
    民間の補助金サポート/コンサル会社
    相談できる内容 ※得意分野は採択に関わるノウハウ
    • 状況に合った補助金の提案
    • 補助金の要件を満たすかの確認
    • 補助金の採択率を上げる提案
    • 申請に必要な事業計画、決算書等の作成支援
    • 補助金採択後のサポート

    たとえば、事業再構築補助金に申請する際の書類作成を依頼する場合、申請サポート企業の担当者は事業者と現状の事業についてカウンセリングをします。そのうえで、採択されるための根拠として必要な市場調査や損益計算書の作成などを行います。

    申請サポートの企業は税理士や行政書士が在籍している場合が多く、公的機関ではありません。そのため、無料相談のあとは着手金や成功報酬を請求されることがあります。依頼をする前には、何の作業でいくら料金がかかるのかを確認するように心がけましょう。

    なお、申請サポート企業の特徴として、採択率にこだわるという傾向があります。申請サポートの企業が実際にサポートして採択された場合は、どの補助金で何件採択されたかホームページに記載がある場合もあるので、参考にしてみましょう。

    補助金を受け取るには先に経費を支払う必要がある

    補助金を受け取るには先に経費を支払う必要があります。なぜなら、補助金は使った経費が戻る仕組みだからです。

    【補助金を受け取るための流れ】
    1. 補助対象経費を支払う
    2. 領収書や明細書などの証拠書類を事務所へ送付する
    3. 補助対象経費の一部が補助金として振り込まれる

    補助金は返済不要の資金とネットに記載されていることがありますが、補助金は返済が不要な反面、最初に経費を支払う必要があります。高額な補助金の場合は、申請者が最初に支払う経費も高額になるので、資金繰りに留意して申請するようにしましょう。

    まとめ

    事業に使える補助金の相談をするなら、まずは商工会や認定支援機関などの公的機関に相談しましょう。小規模事業者持続化補助金の場合は商工会、事業再構築補助金は認定支援機関への相談が必須なように、公的機関への相談が優先されるケースがあるためです。

    公的機関に補助金の相談をする利点は、補助金の知識や経営の知識をもつ担当者に無料相談してもらえる点です。一方、一部の認定支援機関への相談は有料なこともあるので、相談の際は費用の確認も大切です。

    補助金の相談で申請書類の作成をしてもらいたい場合は、申請サポートの企業へ依頼することもできます。専門的な視点を交えて書類作成のアドバイスをもらうことにより、補助金の審査において採択につながりやすくなるでしょう。

    設備投資に活用できる補助金や助成金の種類と概要を解説

    新たに機械や備品などを導入できる設備投資は事業主とって事業の発展のために重要です。しかし、設備投資に必要な資金を用意するには負担がかかります。

    設備投資にかかる費用をどう抑えるか悩んでいる人もいるでしょう。

    当記事では設備投資に活用できる補助金や助成金の種類と概要を解説します。設備投資の資金について補助金を検討している人は、参考にしてみてください。

    設備投資に活用できる補助金

    設備投資に活用できる補助金には、国が運用する事業再構築補助金やものづくり補助金などがあります。設備投資とは、さまざまな理由により事業に必要となった機械や備品、ソフトウェアなどの固定資産を購入することです。

    【設備投資に活用できる補助金の例】

    • 事業再構築補助金
    • ものづくり補助金
    • 小規模事業者持続化補助金
    • IT導入補助金
    • 事業承継・引継ぎ補助金

    たとえば、事業再構築補助金は事業再構築を遂行するために製品の増産が行える設備などに投資が行えます。また、小規模事業者が対象者である小規模事業者持続化補助金は、補助事業に沿った機械装置などの設備投資が可能です。

    ほかにも、小規模事業者や中小企業がITツールの導入を実施する際に活用できるIT導入補助金もあります。

    新しい設備にすることで、商品の増産、試作開発といった経営の発展や生産性の向上などが見込めるため設備投資は重要です。設備投資の費用について悩みがある人は、補助金の申請を検討してみてください。

    事業再構築補助金

    事業再構築補助金では事業に関する設備投資に取り組めます。事業再構築補助金は、事業、業種転換や新市場開拓といった事業再構築を行う中小企業者などを対象者とした補助金です。

    【事業再構築補助金の概要】

    項目

    概要

    対象者

    • 中小企業者
    • 中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人
    • 中堅企業等
    • 個人事業主

    全枠共通必須要件

    • 事業再構築の定義に該当する事業を実施すること
    • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額を一定以上に向上させること

    補助率

    • 中小企業者等 1/2~3/4
    • 中堅企業等 1/3~2/3

    ※申請枠により異なる

    ※大規模な賃上げを行う場合の補助率引き上げ措置あり

    補助対象経費

    • 建物費
    • 機械装置
    • システム構築費(リース料を含む)
    • 技術導入費
    • 専門家経費
    • 運搬費
    • クラウドサービス利用費
    • 外注費
    • 知的財産権等関連経費
    • 広告宣伝・販売促進費
    • 研修費

    参考:第12回公募要領|事業再構築補助金

    たとえば、事業再構築補助金を利用することで、新分野に展開するために商品の加工設備やシステム構築などに投資を行えます。

    ただし、指針に沿った事業計画を事業主で作成し、指定の支援機関の確認を受け、補助事業が終了した後の3~5年で付加価値額を向上させる計画であることが必須要件です。

    製造業や小売業などのさまざまな業種が補助事業に関連する設備投資に活用することができます。なお、事業再構築補助金について詳しく知りたい人は、「事業再構築補助金とは?対象や要件など概要をわかりやすく解説」を見てみてください。

    ものづくり補助金

    ものづくり補助金を利用する場合は、設備投資が必須です。ものづくり補助金の目的が、商材開発または生産プロセスやサービスの提供方法の改善に必要な設備投資などを支援することだからです。

    【ものづくり補助金の概要】

    項目

    概要

    対象者

    • 中小企業者
    • 特定事業者の一部
    • 特定非営利活動法人
    • 社会福祉法人
    • 個人事業主

    基本要件

    • 事業計画期間において給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
    • 事業計画期間において事業所内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とする
    • 事業計画期間において事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる
    • 申請時点において申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していること
    • 補助事業の実施場所を持っていること

    補助率

    1/3~2/3

    ※申請枠や補助額の範囲によって異なる

    補助対象経費

    • 機械装置・システム構築費
    • 技術導入費
    • 専門家経費
    • 運搬費
    • クラウドサービス利用費
    • 原材料費
    • 外注費
    • 知的財産権等関連経費

    参考:公募要領(18次締切分)|ものづくり補助金

    たとえば、デジタル複合機といった補助事業に使われる機械装置や器具の購入、製作にかかる費用などが補助対象経費です。専用ソフトウェアや情報システムに要する経費、導入した機械装置の改良、修繕または据付けにかかる費用も対象となります。

    また、ものづくり補助金では申請時に満たすべき要件が複数あります。基本要件のほかに、設備投資を行い、申請時に事業所内の最低賃金を一定額引上げる計画を立てていることも必須要件のひとつです。

    ものづくり補助金を利用する際の設備投資には、設備ひとつにつき50万円(税抜)以上行うことが必要です。ものづくり補助金について詳しく知りたい人は、「ものづくり補助金とは?概要をわかりやすく解説」をご覧ください。

    なお無料診断ではものづくり補助金の対象事業者に当てはまるかを診断できます。この補助金に申請できるか、いくら受け取れそうか、設備投資を含めどのような経費に使えそうかなどがわかりますので、申請を検討している人は診断してみてください。

    ものづくり補助金は利用できる?無料診断

    小規模事業者持続化補助金

    小規模事業者持続化補助金は、経営計画に基づいた販路開拓や生産性の向上の取り組みにかかる費用の一部を補助する制度です。

    【小規模事業者持続化補助金の概要】

    項目

    概要

    対象者

    • 小規模事業者
    • 個人事業主
    • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
    • 申告済みの直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと

    補助対象事業

    • 策定した経営計画に基づいて実施する販路開拓等とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること
    • 商工会や商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること

    補助率

    2/3

    ※賃金引上げ枠へ申請する赤字事業者は3/4

    補助上限額

    通常枠:50万円

    特別枠:200万円

    補助対象経費

    • 機械装置等費
    • 広報費
    • ウェブサイト関連費
    • 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
    • 旅費
    • 開発費
    • 資料購入費
    • 雑役務費
    • 借料
    • 設備処分費
    • 委託・外注費

    参考:第 16 回公募要領|小規模事業者持続化補助金

    小規模事業者持続化補助金の通常枠へ申請をする場合、補助上限額50万円までで、販路開拓や生産性の向上につながるソフトウェアの購入、新サービス提供にむけての試作機の導入などができます。また、通常枠以外の「特別枠」と呼ばれる4つの申請枠の補助上限額は200万円までです。

    ただし、汎用性が高いPC関連や補助事業以外の通常で使う場合、修理費用などは補助対象として認められていません。購入品が、故障や不具合などにより補助事業に使用ができなかった場合は補助対象外となってしまうため、注意しましょう。

    なお、小規模事業者持続化補助金を詳しく知りたい人は、「小規模事業者持続化補助金とは?対象者や活用例をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。

    IT導入補助金

    IT導入補助金はコンピュータに関連する設備投資に使えます。中小企業や小規模事業者が対象のIT導入補助金には、通常枠のほかセキュリティ対策推進枠やデジタル化基盤導入枠の申請枠があります。

    IT導入補助金の概要】

    項目

    概要

    対象者

    • 中小企業
    • 小規模事業者
    • 個人事業主

    補助率

    【通常枠】

    1/2以内

    【インボイス枠(インボイス対応類型)】

    ソフトウェア:2/3以内~4/5以内(事業規模や補助額の範囲により異なる)

    ハードウェア:1/2以内

    【インボイス枠(電子取引類型)】

    中小企業・小規模事業者等:2/3以内

    その他の事業者:1/2以内

    【セキュリティ対策推進枠】

    1/2以内

    補助上限額

    【通常枠】

    150万円未満

    (導入するツールの機能数が4機能以上の場合は450万円以下)

    【インボイス枠(インボイス対応類型)】

    ソフトウェア:50万円以下

    (2機能以上を有する場合は350万円以下)

    ハードウェア:10万円以下

    (レジ・券売機等は20万円以下)

    【インボイス枠(電子取引類型)】

    350万円以下

    【セキュリティ対策推進枠】

    100万円以下

    補助対象経費

    • ソフトウェア購入費
    • クラウド利用料
    • 導入関連費
    • ハードウェア ※インボイス枠(インボイス対応類型)のみ

    参考:IT導入補助金2024公式サイト

    通常枠の場合、ソフトウェア購入費や導入に関連する費用が補助対象です。通常枠は事業者の課題に特化した幅広いソフトウェアを導入できる申請枠です。

    インボイス枠(インボイス対応類型)の場合、ソフトウェアに加えパソコンやプリンターなどのハードウェア購入費も対象です。インボイス制度への対応を推進するため、通常枠と比較して高い補助率が設定されています。

    しかし、既存のソフトウェアの追加購入分など補助対象外になるものがあるため、IT導入補助金の公式サイトにて詳細の把握を行う必要があります。

    IT導入補助金は、ITに関する設備投資を行い生産性の向上や業務効率化を図りたい中小企業や小規模事業者が活用できる補助金です。なお、IT導入補助金について興味がある人は、「IT導入補助金とは?申請枠と申請の流れをわかりやすく解説」を見てみてください。

    事業承継・引継ぎ補助金

    事業承継・引継ぎ補助金は事業承継の際にかかる設備投資に利用が可能です。事業承継・引継ぎ補助金は中小企業や小規模事業者の事業承継などによって新たに取り組む事業の経費の一部を支援する制度です。

    【事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)の概要】

    項目

    概要

    対象者

    • 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること
    • 中小企業や小規模事業者の定義に該当する事業であること
    • 経営資源引継ぎの要件に該当する事業をおこなうこと

    補助率

    2/3以内または1/2以内

    ※申請類型により異なる

    補助上限額

    600万円以内

    ※条件を満たす場合は上限を150万円として廃業費の上乗せが可能

    補助対象経費

    • 謝金
    • 旅費
    • 外注費
    • 委託費
    • システム利用料
    • 保険料
    • 廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用等)

    参考:第10次公募要領|事業承継引継ぎ補助金

    事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継、事業再編、事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。支援の内容に応じて「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3つの枠がありますが、2024 年7月に実施される第10次公募においては「専門家活用」のみ募集が行われます。

    事業承継やM&Aにより新しい事業活動を考えている中小企業や小規模事業者は事業承継・引継ぎ補助金の活用を検討してみてください。事業承継・引継ぎ補助金を詳しく知りたい人は、「事業承継・引継ぎ補助金とは?概要と申請要件を解説」を参考にしてみてください。

    設備投資に活用できる自治体独自の補助金

    設備投資に活用できる自治体独自の補助金があります。国が実施している補助金のほかに、東京都や神奈川県、大阪府など以下の例のように地方が行っている制度もあるため検索してみましょう。

    【設備投資に活用できる自治体の補助金の例】

    自治体

    補助金の名前

    概要

    神奈川県平塚市

    脱炭素設備投資促進補助金

    【対象】

    • 市内に事業所がある中小事業者
    • 既存の設備と比較して、二酸化炭素の排出量が年間2%以上削減されること
    • 事前に二酸化炭素排出量の削減効果の内容が確認されていること

    【補助率】

    1/5

    【対象経費】

    設備導入に要する本体価格及び設置工事費(税抜)

    愛知県名古屋市

    小規模企業経営基盤強化設備投資補助金

    【対象】

    • 市内で事業を営む小規模事業者
    • 市内に所在する事業所に新たに機械設備等を設置する事業であること

    【補助上限額】

    300万円

    【補助率】

    1/10以内

    【対象経費】

    固定資産課税台帳(償却資産)に登載された機械設備等の取得価額

    福井県

    企業における省エネ設備等導入支援事業補助金

    【対象】

    • 県内で事業を営む小規模事業者および個人事業主
    • 製造業または商業・サービス業を営む事業者
    • 「ふくい女性活躍推進企業」に登録していること ※個人事業主は不要

    【補助上限額】

    600万円

    【補助率】

    1/2以内

    【対象経費】

    • 設備の購入費のみ

    ※設置工事費、撤去費、廃棄費、運搬費等は対象外

    神奈川県平塚市が実施している「脱炭素設備投資促進補助金」では、市内の中小事業者を対象に二酸化炭素排出量の削減のための設備投資に必要な本体価格や設置工事費の一部が補助されます。太陽光発電などの再生可能エネルギーまたは省エネルギー設備などが対象です。

    上記以外にもさまざまな自治体で設備投資に利用できる補助金を実施しています。事業所のある地域の自治体の公式サイトや補助金の検索サイトにて、設備投資に活用できる補助金がないか検索してみてください。

    業務改善助成金は生産性向上のための設備投資に使える

    業務改善助成金は生産性向上のための設備投資に使えます。業務改善助成金は、事業所内の最低賃金を一定の金額まで引き上げるとともに、設備投資などとあわせて計画を実施することで支給される制度です。

    【業務改善助成金の概要】

    項目

    概要

    対象者

    • 中小企業、小規模事業者であること
    • 業所内の最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
    • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

    助成率

    申請前の事業所内最低賃金によって変わる

    900円未満:9/10

    900円以上950円未満:4/5(9/10)

    950円以上:3/4(4/5)

    ※()は規定の要件を満たし補助率引上げを受ける場合

    助成対象経費

    生産性向上に資する設備投資等

    参考:業務改善助成金|厚生労働省

    たとえば、レジシステムを導入することにより、清算の時間短縮になることや製造の機械を導入することで、商品が増産され作業効率が上がるなどの生産性の向上が見込める設備投資などが補助対象です。

    経費削減のために文具を交換することや事業所の環境改善、通常の事業に使用する消耗品など対象外の経費には使うことはできません。

    ただし、事業所内の最低賃金が950円未満であるなどの要件が当てはまった特例事業者は、助成対象にならないパソコンや一部の車両、関連する経費などを助成対象経費として申請することができます。

    業務改善助成金は、設備投資に加え、従業員の事業所内の最低賃金の引上げを行う必要があり、従業員がいない場合は助成金の申請をすることはできないため注意しましょう。

    なお、業務改善助成金の詳細が知りたい人は厚生労働省の公式サイト「業務改善助成金」を確認してください。

    まとめ

    設備投資は、事業に必要である備品などの固定資産を購入することです。設備投資を実施することは、企業において事業の発展や生産性の向上につながります。

    設備投資に活用できる補助金には事業再構築補助金やものづくり補助金などの国が実施する制度のほか、地方自治体が独自に実施している助成金などの制度もあります。設備投資の資金について悩みがある人は、補助金や助成金の活用の検討をしてみましょう。

    飲食店が2024年も申請できる補助金や助成金を利用目的にあわせて解説

    飲食店を経営する事業者の中には、設備投資やデジタル化による業務効率化など新たな計画を考える人もいますよね。その際、新たな事業計画にかかる経費の補填に「補助金の利用」を検討している人もいるのではないでしょうか。

    当記事では、飲食店が事業や雇用などの課題に取り組む際に利用できる補助金や助成金を目的別に解説していきます。また、飲食店の開業にかかる経費に利用できる補助金や助成金も紹介するので、飲食店が申請できる補助金情報を知りたい人は参考にしてみてください。

    補助金や助成金は、どちらも国や地方公共団体から目的に応じた支援金を受けられる制度です。しかし、補助金と助成金には意外と知られていない「制度の違い」があります。飲食店が補助金や助成金を検討する際は、先に2つの制度の違いを理解しておきましょう。

    【補助金と助成金の違い】
    補助金 ・経済産業省や中小企業庁、地方自治体の管轄
    ・事業の支援や地域振興、公益に関する支給
    ・要件を満たし、採択審査に通過しなければ補助金が受けられない
    助成金 ・厚生労働省、地方自治体の管轄
    ・雇用や労働環境の改善に関する支給
    ・要件を満たせばほぼ助成金が受けられる

    ※中小企業基盤整備機構J-net21のビジネスQ&Aを参考に株式会社SoLaboが作成

    補助金は、主に「新規事業の支援や地域振興」などを目的に支給されます。一方で、助成金は、主に「雇用や労働環境の改善」などを目的に支給されます。

    また、補助金には採択件数や予算が決まっているため、申請すれば必ず受給できるものではありません。申請者の作成した「事業計画書」を元に採択審査が行われ、審査に通過した人のみが補助金を受けられます。一方で、助成金は要件を満たせば原則給付されます。

    ただし、補助金や助成金という言葉は明確に区別されていないため、助成金と称していても補助金の色合いが強い場合もあります。補助金や助成金を申請する際は、各々の制度の詳細を確認することが必要です。

    飲食店の目的別に利用できる補助金や助成金

    飲食店が申請できる補助金や助成金には、国が公募しているものや地方公共団体が公募しているものが複数あります。飲食店が補助金を探す際は、補助金の「利用目的」や「事業を営んでいる地域で受けられるもの」など、方々からの情報を得ながら探してみましょう。

    【飲食店が申請できる補助金や助成金の一例】

    補助金

    小規模事業者持続化補助金(経済産業省)

    <補助事業の目的>

    事業の販路開拓・生産性向上

    <補助上限額>

    【通常枠】

    50万円

    【特別枠】

    200万円 

    ※インボイス特例が適用される場合は補助上限額に一律50万円上乗せ

    <補助率>

    2/3~3/4(申請枠によって異なる)

    <対象経費>

    機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、資料購入費、委託・外注費など

    <対象者>

    個人事業主、または従業員数5~20人程度の小規模事業者

    <要件など>

    • 商工会または商工会議所を通して販路開拓に資する事業計画と経費計画を作成する

    関連記事:飲食店での小規模事業者持続化補助金の活用方法や事例を紹介

    IT導入補助金(中小企業庁)

    <補助事業の目的>

    ITツールの導入によるインボイス対応や業務効率化

    <補助上限額>

    【通常枠】

    450万円 

    【インボイス枠】(電子取引類型/インボイス対応類型)

    ソフトウェア:350万円

    PC・タブレット等:~10万円

    レジ・券売機等:~20万円 

    【セキュリティ対策推進枠】

    100万円

    【複数社連携IT導入枠】

    3,200万円(参画事業者数によって異なる)

    <補助率>

    ソフトウェア:1/2~4/5

    ハードウェア:1/2

    <対象経費>

    ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、サービス利用料(最大2年分)、ソフトウェア導入に必要なハードウェア購入費など

    <対象者>

    中小企業、小規模事業者、個人事業主

    <要件など>

    • IT導入支援事業者を通してITツールの購入と申請を行う
    • デジタル化による業務効率化やセキュリティ対策に取組む

    関連記事:IT導入補助金を飲食店が使うための申請方法を解説

    ものづくり補助金(中小企業庁)

    <補助事業の目的>

    生産性向上・持続的な賃上げに向けて開発や生産プロセスの省力化を狙った設備投資

    <補助上限額>

    【省力化(オーダーメイド)枠】

    750万円~8,000万円

    【製品・サービス高付加価値化枠】

    750万円~2,500万円(従業員規模によって異なる)

    【グローバル枠】

    3,000万円

    <補助率>

    中小企業:1/2

    小規模・再生事業者:2/3(1,500万円を超える部分は補助率が下がる)

    <対象経費>

    機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、原材料費、クラウドサービス利用料、海外旅費、通訳・翻訳費など

    <対象者>

    中小企業、小規模・再生事業者、個人事業主

    <要件>

    • 以下①~③の基本要件を目指す3~5年の事業計画に取組むこと

    ①事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させる 

    ②給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる

    ③事業計画期間において事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上であること

    関連記事:ものづくり補助金に飲食店で申請する際の要件と採択事例を解説

    事業再構築補助金(経済産業省)

    <補助事業の目的>

    ポストコロナや物価上昇の社会変化に対応するための思い切った事業再構築

    <補助上限額>

    中小企業:最大1億円

    中堅企業:最大1.5億円

    <補助率>

    1/3~3/4(申請枠、条件によって異なる)

    <対象経費>

    建物費、機械装置・システム構築費、外注費、広告宣伝・販売促進費など

    <対象者>

    中堅企業、中小企業、個人事業主

    <要件>

    • 事業計画について認定経営革新支援機関の確認を得る
    • 付加価値額を年率平均3%~5%向上させる
    • 事業再構築の類型沿った事業転換や新市場進出などの事業再構築を行う

    関連記事:事業再構築補助金は飲食店でどのように活用できるのかを解説

    インバウンド対応力強化支援補助金(東京都)

    <補助事業の目的>

    外国人旅行者への利便性や快適性を向上させるための取組み

    <補助上限額>

    飲食店1店舗にあたり最大300万円(対象事業によって異なる)

    <補助率>

    1/2

    <対象経費>

    工事費、制作費・開発費、機械装置等費、専門家謝金、借料、委託費など

    <対象者>

    宿泊施設、飲食店、中小企業者、個人事業主、組合団体など

    公式サイト:インバウンド対応力強化支援補助金

    ECサイト活用補助金(東京都中央区)

    <補助事業の目的>

    新たにオンライン販売から電子決済までを行うサイト構築や利用開始

    <補助上限額>

    5万円

    <補助率>

    1/2

    <対象経費>

    独自ECサイト駆逐費用、モール型ECサイトへの初期登録費用

    <対象者>

    中小企業者で本社、本店または主たる事業所を区内に有する者

    公式サイト:ECサイト活用補助金

    脱プラスチック製容器等購入費補助金(東京都文京区)

    <補助事業の目的>

    プラスチックごみの削減を目的とした脱プラスチック製容器の購入

    <補助上限額>

    12万円

    <補助率>

    10/10(対象経費の実支出額)

    <対象経費>

    飲食店のイートイン、テイクアウトにおける脱プラスチック製容器購入費用

    <対象者・要件など>

    ぶんきょう食べきり協力店の登録店舗または文教ソコヂカラ公式サイトの登録店舗

    公式サイト:脱プラスチック製容器等購入費補助金

    助成金

    業務改善助成金(厚生労働省)

    <助成の目的>

    生産性向上とともに賃金引上げに取り組む

    <助成金額>

    事業規模30人未満の場合:60万円~600万円、

    事業規模30人以上の場合:30万円~600万円(賃金を引き上げる労働者の数と引き上げ額により異なる)

    <助成率>

    最大9/10

    <対象経費>

    設備投資、経営コンサルティング、店舗改装費など

    <対象者>

    中小企業、小規模事業者、個人事業主

    <要件>

    • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること・解雇、賃金引き下げなどがないこと

    公式サイト:業務改善助成金

    キャリアアップ助成金(厚生労働省)

    <助成の目的>

    有期雇用労働者や派遣労働者のキャリアアップ促進や正社員化などで人材の成長や定着を目指す

    <助成金額>

    80万円(正社員化コース)

    <対象経費>

    有期雇用労働者の正社員化、処遇改善の取組みを行った事業主に助成金支給

    <対象者>

    労働者50人以下の中小企業等(飲食店の場合)

    <要件>

    • 雇用保険適用事業所の事業主であること・キャリアアップ計画を作成し、労働局長の認定を受けること

    公式サイト:キャリアアップ補助金

    たとえば、小規模事業者持続化補助金は「販路開拓」を目的とした経費に利用できます。経費例には、新メニューを調理するための業務用オーブンなどの機材購入や、チラシ、看板制作などの経費を申請できます。

    また、インバウンド対応や脱プラスチック製容器の購入を支援する目的の補助金、従業員の成長や定着を目的とした取組みを支援する助成金などもあります。

    飲食店が補助金や助成金を探す際は、支援を受けたい取組みや目的に合致する補助金の情報を探しましょう。まずは利用したい補助金の補助金額や対象経費、申請要件などの概要を確認します。概要を確認し、申請できそうであれば次に申請の流れや必要書類なども確認しましょう。

    なお、最新の補助金や助成金の情報は「J-Net21支援情報ヘッドライン」にて紹介されています。

    下記無料診断では、小規模事業者持続化補助金の対象となるかを診断できます。どのような経費に使えるか、いくらもらえるかもわかりますので、補助金の申請を検討している人はお試しください。

    持続化補助金は利用できる?無料診断

    飲食店の開業に利用できる補助金や助成金

    飲食店の開業に利用できる補助金や助成金は、市区町村の公共団体で公募している場合があります。創業や開業に係る経費を支援する補助金や助成金の公募は、飲食店を営む所在地の情報を探してみましょう。

    補助金

    「がんばる岸和田」企業経営支援補助金(大阪・岸和田市)

    <補助事業の目的>

    創業者の販路開拓を支援

    <補助上限額>

    10万円

    <補助率>

    1/2

    <対象経費>

    出展料、製品(商品)紹介動画制作費、開業時広告宣伝費、法人設立に要する経費、開発費、知的財産権取得費など

    <対象者>

    市内で創業予定または創業後5年未満の創業者

    <要件>

    • 特定創業支援等事業による経営相談受けていること
    • 必要な許認可等を受けていること

    公式サイト:「岸和田市 創業者の販路開拓を支援します

    羽曳野市地域活性創業支援補助金(大阪・羽曳野市)

    <補助事業の目的>

    新規創業促進のための設備費用や店舗改装に係る費用を支援

    <補助上限額>

    20万円

    <補助率>

    1/2

    <対象経費>

    事務所設備費用、備品購入費用、店舗棟の改装費用

    <対象者>

    ・羽曳野市内に主たる事業所を置いて創業する者

    <要件>

    • 市が実施する特定創業支援等事業を受けていること
    • 必要な許認可を受けること

    公式サイト:「羽曳野市地域活性創業支援補助金

    福岡よかこと起業支援金(福岡県)

    <補助事業の目的>

    福岡県内での新たな起業、事業承継、第二創業する人の事業の立ち上げを支援

    <補助上限額>

    最大200万円

    <補助率>

    1/2

    <対象経費>

    人件費、店舗等借料、設備費、原材料費、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、委託・外注費、マーケティング調査費など

    <対象者>

    ・福岡よかことビジネスプランコンテストの通過者

    <要件>

    • 地域課題の解決を目的とした社会的事業であること など

    公式サイト:「福岡よかこと起業支援金

    糸島市商工会新規起業者応援補助金(福岡県糸島市)

    <補助事業の目的>

    糸島市内における空き物件を活用した事業者の増加、商工業の振興を図る

    <補助上限額>

    30万円

    <補助率>

    1/4

    <対象経費>

    店舗改装費用、広報費、地代家賃など

    <対象者>

    • 糸島市内に賃貸物件を借りる者
    • 糸島市内で事業を開始する者
    • 糸島市税に滞納がないもの  など

    公式サイト:「糸島市商工会 創業支援

    助成金

    若手、女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都中小企業振興公社)

    <助成の目的>

    都内の商店街で新たに開業する店舗を支援し商店街の活性化を図る

    <補助上限額>

    730万円

    <補助率>

    2/3~3/4(申請する経費によって異なる)

    <対象経費>

    店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費、実務研修受講費、店舗賃借料など

    <対象者>

    女性または39歳以下の男性の創業予定の個人または個人事業主

    <要件>

    • 開業日が申請する会の交付決定日以降であること・申請予定店舗が都内商店街であること
    • 申請時点で実店舗を持っていないこと

    公式サイト:若手、女性リーダー応援プログラム助成事業

    創業助成事業(東京都中小企業振興公社)

    <補助事業の目的>

    2030年度に都内開業率を12%まで向上させる政策目標達成に向け、都内創業予定者に対し創業初期に必要な経費の一部を助成する

    <補助上限額>

    300万円

    <補助率>

    2/3

    <対象経費>

    賃借料(不動産やサーバー)、広告費、器具備品購入費(椅子、机、エアコンなど)、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費など

    <対象者・要件など>

    都内創業予定者または創業して5年未満の中小企業者等

    ※書類と面接による審査有、例年2回公募(4月・10月)

    公式サイト:創業補助金(創業助成事業)

    たとえば、開業を支援する補助金には、都道府県・市区町村内の商店街や空き物件などを積極的に活用する目的のものが見られます。「古民家を改装してカフェを開業」する計画や「商店街利用者の集客を狙った「イートイン・テイクアウトも可能なたこ焼き店の開業」に利用できます。

    また、地域の開業率を向上させる政策目標に向けて創業予定者を支援する助成金もあります。開業予定の飲食店に購入したい機材や導入予定のサービスは、申請予定の補助金の対象であるかどうかも確認しておきましょう。

    市区町村の管轄の補助金や助成金は、給付される補助金額が少額のものや対象経費・対象者が限られている場合もあります。そのため、創業や開業でまとまった金額の資金が必要な場合は、補助金や助成金の情報だけではなく「融資」を調べてみることも検討しましょう。

    補助金や助成金に関する注意点

    飲食店が補助金や助成金に申請する場合、はじめに知っておいた方が良い注意点がいくつかあります。注意点を知らずに申請を進めていたために「補助対象外」となり、補助金の交付を受けられなくなる場合もあるからです。

    【補助金や助成金に関する注意点の一例】

    注意点の項目

    注意事項

    スケジュール

    • 補助金や助成金の公募期間には約1週間で締め切る短いものもある
    • 定員に達した場合には公募期間中に終了していることもある

    書類

    • 申請書類や添付書類などに不備不足がある場合は補助対象外になる
    • 補助事業を実施した際の見積もり・発注・領収書などは「証拠書類」として提出するため整理して保管しておく必要がある

    補助事業の開始時期

    • 補助事業を開始できるのは原則として交付決定通知(審査に通過した通知)を受けたあと
    • 交付決定を受ける前に購入したものや導入したサービスの経費は補助対象外になる

    補助金の交付時期

    • 補助金や助成金は原則後払いである
    • 飲食店の補助事業や開業時経費を補助金や助成金で支払うことはできない

    補助金の併用

    • 同一事業者が同一の事業内容で国が実施する助成金や補助金を併用することはできない可能性が高い

    利用してみたい補助金や助成金に申請する場合、まずは公募スケジュールを確認しておく必要があります。補助金の公募期間は1~2ヶ月のものから1週間ほどで終了するものもあります。また、助成金は定員になり次第公募を締め切る場合もあるので、最新の情報を確認しましょう。

    補助金や助成金は、金融機関に申請する融資とは違い、基本的には返済が不要です。しかし、審査に通るとすぐに入金される融資とは異なり、補助金や助成金は基本的に後払いです。そのため、補助事業や開業の資金は先に用意しておく必要があることを留意しておきましょう。

    補助金に関する不明点は地域の商工会やよろず支援拠点に相談できる

    補助金や助成金に関する不明点は、地域の商工会や商工会議所、よろず支援拠点に相談できます。商工会や商工会議所は、個人事業主や中小企業に対する経営相談や補助金・助成金などの案内、IT 支援などを行っています。

    また、よろず支援拠点とは、国が全国に設置した「事業者のあらゆる相談に無料で対応してくれる相談所」です。事業資金の補助を受けたい事業者が、お金を払って補助金申請のサポートを受けるのがためらわれる場合、最初の相談窓口として頼ることが可能です。

    【商工会やよろず支援拠点で相談できる内容の一例】

    • 中小企業が活用できる補助金や助成金の案内
    • 申請に必要な事業計画書作成の支援
    • その他専門家による 起業支援、経営相談、法務・労務相談、税務相談、IT相談など

    商工会やよろず支援拠点は、どちらも中小企業の経営相談を無料で行っている機関です。飲食店の悩みや目的に合った補助金・助成金の提案も含め、店舗の経営や開業に関するアドバイスを受けられます。

    現在、よろず支援拠点は各都道府県に1か所以上所在しており、商工会や商工会議所は各市区町村に所在しています。また、都道府県によっては、よろず支援拠点が商工会議所内に設置されている場合もあります。補助金の相談を受けたい場合は、足を運びやすい商工会やよろず支援拠点に問い合わせてみましょう。

    まとめ

    飲食店が申請できる補助金や助成金を探す場合、支援を受けたい目的別に公募されている補助金、助成金を探してみましょう。支援を受ける目的としては、飲食店の「販路開拓」や「生産性向上」「IT化による業務効率化」などがあります。

    飲食店の開業に利用できる補助金や助成金は、市区町村の公共団体によって公募されている情報を確認してみましょう。しかし、補助金や助成金は「開業して事業を開始していること」が要件となっているものが多いため、開業に利用できる補助金が見つからない場合は「融資」も検討しましょう。

    補助金や助成金には注意点があり、知らずに申請を進めると「補助対象外」「不採択」となる可能性があります。申請する場合は各補助金や助成金の公式サイトや公募要領を熟読し、注意点も把握しておきましょう。なお、補助金に関する相談は地域の商工会やよろず支援拠点で受けることが可能です。

    補助金は併用できるのか?補助金の種類別に併用可否を解説

    補助金が併用できる場合、返済不要の資金を同時に調達できるようになるため、複数の補助金に申請したいと考える人もいますよね。その際、補助金の併用が公式に許可されているのか、無駄な手続きをしないためにも事前に確認したい人もいるでしょう。

    当記事では、補助金の併用ができるのかについて、根拠を交えて解説します。具体的に併用できる補助金とできない補助金の種類も紹介するので、補助金の併用が気になる事業者や個人の人は当記事を参考にしてみてください。

    なお、当記事では補助金と同じ意味で使われることがあるため、助成金、給付金等に関しても内容に含まれます。

    補助金の併用申請はできる

    補助金は併用申請ができます。なぜなら事業者向けの補助金と個人向けの補助金の多くは、補助金の交付規定に「複数の補助金に申請してはいけない」という規定が書かれていないからです。

    【補助金の併用申請の例】
    事業者向け
    1つ目の補助金  2つ目の補助金  申請可否
    事業再構築補助金 小規模事業者持続化補助金
    小規模事業者持続化補助金  IT導入補助金
    ものづくり補助金 事業再構築補助金
    IT導入補助金 ものづくり補助金
    個人向け
    1つ目の補助金 2つ目の補助金 申請可否

    子育てエコホーム支援事業

    住まいの復興給付金(復興省の補助事業)

    子育てエコホーム支援事業

    外構部の木質化対策支援事業

    (林野庁の事業)

     たとえば、事業者向けの補助金である「事業再構築補助金」と「小規模事業者持続化補助金」へ同時期に申請することは可能です。

    また、個人向けの補助金である「子育てエコホーム支援事業」と復興庁が実施する「住まいの復興給付金」へ同時期に申請することも可能です。

    複数の気になる補助金がある場合、申請や書類作成の時間が取れるならば併用申請を検討してもよいでしょう。ただし、補助金によって締め切りが異なるので、同時期に2つ以上の補助金に申請する際は時間管理に留意して申請準備に取り組みましょう。

    なお、補助金は使った経費に対して国が経費分のお金の一部を振り込む後払いの制度です。複数の補助金を併用すると最初に申請者が用意すべき資金も増えるので、補助金を併用する場合は、資金繰りに留意しましょう。

    併用できないと記載がある場合は補助金を重複して受け取れない

    申請する補助金の要項に併用できないと記載がある場合、補助金を重複して受け取ることはできません。そのため、仮に併用不可の補助金に2つ以上採択された場合は、受給するひとつの補助金以外すべてを辞退することになります。

    併用できない補助金の判断基準は、補助金の公募要領や公式サイトに「併用できない」と記載があるかどうかです。併用不可の文面にはさまざまな形式があるので、注意深く文章を読み解く必要があります。

    【補助金が併用できない根拠】

    対象 補助金名 併用不可の記載
    事業者向け

    ものづくり補助金

    「補助対象経費の重複に限らず、テーマや事業内容から判断し、本事業を含む補助金若しくは委託費と同一若しくは類似内容の事業(※中略※)の重複がある事業を申請する事業者は補助対象とならない」

    事業再構築補助金

    「補助対象経費が重複していない場合でも、テーマや事業内容が国が支出する他の制度と同一又は類似内容の事業である場合は対象外となります」 

    IT導入補助金

    「国及び中小機構その他の独立行政法人の他の補助金等と重複する事業については、補助事業の対象として含んでいないこと」

    個人向け

    子育てエコホーム支援事業

    (P.11)

    原則として、本事業と補助対象が重複する国の他の補助制度との併用はできません。
    なお、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。

    安全で快適な家づくり助成

    「ガーデニング等整備助成との併用不可」

    傷病手当金

    「同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません」

    「資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている方が、老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません」

    併用受給ができない主な補助金は、同じ事業を支援する補助金同士、または、同じ経費を支援する補助金同士です。補助金の要項や公式サイトで併用可否を判断しづらい場合は、補助金の事務局に問合せすることも検討してみましょう。

    なお、補助金の併用について記載されている箇所は、補助金の種類によって異なります。補助金の併用を検討している場合は、申請する補助金の公募要領や公式サイトなどから併用に関する記載を確認しましょう。

    事業者向けの補助金における併用可否

    国を財源とする事業者向けの補助金の場合、同じ事業や経費において2つ以上の補助金を受給することはできません。とはいえ、事業者向けの補助金の中には一度交付を受けても「別の申請枠なら2度目の交付が可能」という補助金もあります。

    事業者の場合、補助金の併用ができない場合がほとんどですが、別の事業や別の時期であれば併用できる可能性があります。補助金のルールは各補助金により異なるため、補助金の併用を検討している人は併用したい補助金のそれぞれのルールを調べてみましょう。

    併用できる例

    併用できる事業者向けの補助金の具体例を紹介します。「別の事業で申請する補助金」「ライフラインの意味で支給される補助金」などの場合、2つ以上の補助金を併用して受給できる可能性があります。

    【併用できる事業者向けの補助金の例】

    1つ目の補助金の申請内容 2つ目の補助金の申請内容 併用可否

    【補助金名】

    事業再構築補助金

    【申請内容】
    カラオケ事業をコワーキングスペースとして再構築する

    【補助金名】

    小規模事業者持続化補助金

    【申請内容】

    コワーキングスペースに出張で税務相談ができるサービスを創業する

    【補助金名】

    IT導入補助金

    【申請内容】

    薬局での業務効率化のため、レセコン一体型の電子薬歴を導入する

    【助成金名】

    人材開発支援助成金

    【申請内容】

    中堅の薬剤師にリーダーとしての研究を受けさせるため、研修を受けさせる

    たとえば、事業再構築補助金で「飲食店のテイクアウト」事業が採択された事業者がいたとします。この事業者が別の「WEBマーケティング事業」で申請するなら、「小規模事業者持続化補助金」で新たに補助金を受給できる可能性があります。

    また、IT導入補助金で薬局が「電子薬歴の導入」で採択された場合は、同時期に人材開発助成金も受け取れる可能性があります。なぜなら、IT導入補助金で支援されるのは薬局の受付の効率化で、人材開発助成金で支援されるのは社員のリーダー育成なので、補助されるジャンルが異なるためです。

    事業者向けの補助金を併用して受け取りたい場合は、別の事業を申請するか、または、厚生労働省が管轄の人材育成系の助成金を検討しましょう。補助金採択者向けの追加措置としての補助金を実施している自治体もあるので、より多くの補助を受けたいと考えている人は採択者向けの補助金も調べてみましょう。

    併用できない例

    併用して交付されない事業者向けの補助金の例を紹介します。同じ事業者が同じ事業で申請する場合、同じ目的で支援される国と自治体が実施する補助金同士は、重複して受け取れません。

    【併用できない事業者向けの補助金の例】

    1つ目の補助金と申請内容 2つ目の補助金の申請内容 併用可否

    【補助金名】

    ものづくり補助金

    【申請内容】

    飲食店が自然派のピザ開発でピザ窯を申請する

    【補助金名】

    小規模事業者持続化補助金

    【申請内容】

    飲食店が自然派のピザ開発で広告費を申請する

    不可

    【補助金名】

    事業再構築補助金

    【申請内容】

    ビジネスホテルをワーケーション施設に改装するため改装費を申請する

    【補助金名】

    ものづくり補助金

    【申請内容】

    ビジネスホテルをワーケーション施設に改装するため予約システム費を申請する

    不可

     

    【補助金名】

    IT導入補助金

    【申請内容】

    レジ業務を効率化するため、POSレジシステム一式を申請する

    【補助金名】

    小規模事業者持続化補助金

    【申請内容】

    レジ業務を効率化するため、新たなポイントシステムを宣伝する広報費を申請する

     不可

    【補助金名】

    サイバーセキュリティ対策促進助成金

    (東京都)

    【申請内容】

    WEB関連企業がコンテンツセキュリティ対策製品を申請する

    【補助金名】

    IT導入補助金

    【申請内容】

    WEB関連企業がサイバーセキュリティお助け隊サービス利用費を申請する

    不可

    たとえば、ものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金で「自然派のピザ開発」事業を提出するなら、補助金の重複受給はできません。仮に、もうひとつの補助金を受給することを隠したまま両方の補助金を受給した場合、不正受給として罰則を受けます。

    ものづくり補助金や事業再構築補助金など国を財源とする事業者向けの補助金は、同じ事業で同時期に2つ以上の制度を利用することはできません。他の事業もしている場合は他の事業で、他の会社も運営している場合は他の会社として申請してみましょう。

    申請したい補助金の併用が可能かは無料で診断できます。小規模事業者持続化補助金とIT導入補助金などの複数の補助金の併用は事業や申請の内容やなどによって可否が異なるため、下記診断をお試しください。

    持続化補助金は利用できる?無料診断

    個人向けの補助における併用可否

    児童手当や住宅の給付金など個人向けの補助金は、財源が国の税金であっても、併用可能なケースが多く存在します。なぜなら、個人向けの補助金は国民の生活を支える側面があるため、事業者向けの補助金と比べ支援される経費のジャンルが幅広いためです。

    たとえば、新築住宅購入費用や失業時の住居確保支援金のほか、子供の医療費や給食費の無償化など、個人向けの補助金や給付金は生活全般に幅広く存在します。そのため、個人の場合は複数の補助金を併用できる傾向にあります。

    ただし、似たような目的をもつ補助金は併用できない場合があります。補助金のルールは各補助金により異なることがあるため、補助金の併用を検討している人は、併用したい補助金のそれぞれのルールを調べてみましょう。

    併用できる例

    併用できる個人向けの補助金の具体例を紹介します。同じ目的の補助金でも、財源が国と自治体で異なる場合や、補助する経費が異なる場合は、併用できることがあります。

    【併用できる個人向けの補助金の例】

    1つ目の補助金と申請内容 2つ目の補助金の申請内容  併用可否

    【補助金名】

    子育てエコホーム支援事業

    【申請内容】

    子育て世帯がZEH水準を満たす新築分譲住宅の購入費を申請する

    【補助金名】

    東京ゼロエミ住宅の助成事業

    【申請内容】

    東京都で省エネ性能に優れる住宅を注文するため、購入費を申請する

     可

    【補助金名】

    CEV補助金

    【支給内容】

    CEV(クリーンエネルギー自動車)の購入費用を申請する

    【補助金名】

    戸建住宅におけるV2H普及促進事業(東京都)

    【支給内容】

    CEVの購入に際し、V2H(家での自動車充電システム)の導入費用を申請する

    【補助金名】

    給湯省エネ事業

    【申請内容】

    元の給湯器が壊れたため、高効率給湯器を申請する

    【助成金名】

    サステナブル建築物等先導事業

    【申請内容】

    家をリフォームするので、冷暖房のエネルギー消費を抑える工事を申請する

    たとえば、経済産業省が管轄の「給湯省エネ事業」の場合、国土交通省の実施する「サステナブル建築物等先導事業」と一部併用が可能です。そのため、給湯器を買い替える補助金を受け取りつつ、家の冷暖房のリフォーム工事費の補助金を受け取れる場合があります。

    個人の住宅補助金の場合、住宅、給湯器、窓など補助金の種類はさまざまあり、対象の経費が異なれば併用できます。ただし、個人向けの補助金は予算が埋まると1回の実施で受付が終了になることもあるので、申請前に各補助金の公式情報を確認してみてください。

    併用できない例

    併用して交付されない個人向けの補助金の具体例を紹介します。1つの自治体の中で実施される補助金と、2つ目の補助金の申請内容に類似性がある場合は、補助金は併用できません。

    【併用できない個人向けの補助金の例】
    1つ目の補助金と申請内容  2つ目の補助金の申請内容 併用可否

    【補助金名】

    家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金

    (埼玉県)

    【申請内容】

    既存の住宅にエネファーム(家庭用燃料電池)を導入

    【補助金名】

    新座市太陽光発電設備等設置費補助金

    (埼玉県新座市)
    【申請内容】

    既存の住宅に蓄電池を導入

    不可

    【補助金名】

    子育てエコホーム支援事業

    【申請内容】

    再生エネルギーを考慮した新築分譲住宅の購入費を申請する

    【補助金名】

    ZEH補助金

    (環境省/経済産業省)
    申請内容: 再生エネルギーに考慮した液体集熱式太陽熱利用温水システム費を申請する

    不可

    【補助金名】

    ZEH補助金

    (環境省/経済産業省)

    【申請内容】

    再生エネルギーを考慮し、定置型蓄電システム費を申請する

    【補助金名】

    地域型住宅グリーン化事業

    (国土交通省)

    【申請内容】

    新築住宅における木造の認定長期優良住宅費を申請する

    不可

    【補助金名】

    若年世帯新居購入支援制度

    (兵庫県)

    【申請内容】

    兵庫県の土地購入価格の割引を申請する

    【助成金名】

    安全で快適な家づくり助成

    (兵庫県)

    【申請内容】

    再生エネルギーを考慮し、ハイブリッド給湯システムを備えた住宅の費用

    不可

    個人向けの併用できない補助金は、同じ自治体の中で実施されている場合や、国の省庁で別の管轄が実施する場合があります。公式サイトや交付規定を読んでも併用可否がわからない場合は、補助金の公式サイトに記載の連絡先へ問い合わせをしてみましょう。

    税制優遇やクラウドファンディングなら併用可能

    補助金と税制優遇やクラウドファンディングなら、併用が可能です。なぜなら、補助金と税制優遇やクラウドファンディングは別の制度で財源も異なるため、補助金の重複には当たらないからです。

    【補助金と併用できる税制優遇やクラウドファンディング】
    制度名 概要
    税制優遇

    <事業者向け>

    •  中小企業投資促進税制

    一定の設備投資を行った中小企業は、7%の税額控除か、30%の特別償却が認められる

    <個人向け>

    •  ふるさと納税

    住民税の支払い先を選べる制度。

    任意の自治体に寄付をすると、2千円を除いた全額が控除される

    経営力向上計画

    <事業者向け>

    •  中小企業経営強化税制

    中小企業者等が、認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得した場合、即時償却または法人税(所得税)の取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用できる

    クラウドファンディング
    •  CAMPFIRE

    国内最大のクラウドファンディング。

    プロジェクトを立ち上げ寄付が集まれば、資金をプロジェクトに利用できる。

    • READYFOR

    社会派のクラウドファンディング。

    社会問題が多く扱われる。

    • MAUAKE

    物販と体験に特化したクラウドファンディング。

    融資

    <事業者向け>

    • 企業活力強化資金
      卸売業、小売業、飲食サービス業などが事業拡大に使える融資制度。
    •  新創業融資
      新たに事業を始める人、または、創業から2期以内の人が利用できる融資制度。

    <個人向け>

    • 教育一般貸付(国の教育ローン)
      決められた年収以内の世帯が子供の教育費に利用できる国の教育ローン。
    • カードローン
      一時的に数十万円~百万円程度の現金が必要な時に、利用できる。

    補助金の併用が難しい場合は、税制優遇やクラウドファンディングなどで資金調達することもひとつの方法として検討してみましょう。

    2つ以上の補助金に申請する場合の注意点

    2つ以上の補助金に申請する場合は、いくつかの注意点があります。

    【2つ以上の補助金に申請する場合の注意点】

    • 事業内容が同じではないか
    • 補助対象経費は同じではないか
    • 「既に申請した補助金名を記入してください」と公募要領に記載がないか

    事業内容や対象経費が同じものである場合や、既に申請した補助金名の記載が必要であるにもかかわらず記載せずに申請をおこなった場合は、申請しても補助金を受給することはできません。補助金の申請の時間を無駄にしないためにも、申請する補助金の事業内容と経費は同じでないか、申請した補助金名を記載する義務はないか、確認してみてください。

    まとめ

    補助金の併用は、申請は可能ですが、受給はできる場合とできない場合があります。事業者向けの補助金の場合、申請内容が同じ事業または同じ経費なら、事業再構築補助金や小規模事業者補助金などは併用して同時期に受け取ることはできません。

    一方、個人向けの補助金の場合は、生活のための給付金であれば併用して受け取れることがあります。併用して受け取れない補助金であれば、交付規定や公式サイトに「併用できない」と記載があるので、申請前に確認することが大切です。

    補助金のルールは各補助金により制度が異なり、同一の補助金であっても別の枠であれば併用申請ができる場合や、前回の交付から12か月が経過していれば申請できる場合もあります。併用したい補助金がある人は、該当の補助金におけるルールを確認しましょう。

    なお、補助金の併用が難しい場合は税制優遇やクラウドファンディングで資金調達をするのもひとつの方法です。