事業承継・引継ぎ補助金とは?概要と申請要件を解説

2023/04/25

2023/3/24

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業承継やM&Aをする予定がある人の中には、関連する補助金を探している人もいますよね。その際、事業承継・引継ぎ補助金に関心を持つこともあるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の概要を解説します。事業承継・引継ぎ補助金に申請するための条件(要件)も紹介するので、事業承継・引継ぎ補助金が気になる人は、参考にしてみてください。

なお、当記事は令和3年度補正予算事業の「承継・引継ぎ補助金 公募要領」を参考に作成しています。

事業承継・引継ぎ補助金とは事業承継や引継ぎを支援する補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業者等が事業承継やM&Aをする際、事業者が支払う経費の一部を補助する制度です。これから新たに事業を任せられる人や、事業統合や株式譲渡をしたい人は、本補助金を利用すると、支払う総額を抑えられる可能性があります。

【事業承継・引継ぎ補助金の概要】
概要 事業者の事業承継や引継ぎを支援する補助金
対象者 中小企業者等
補助対象事業  個人事業主  法人
  • 事業譲渡する・される
  • 株式譲渡される 
  • 第三者割当増資される
  • 事業再編されて廃業する
  • 既存事業を廃業して新たな事業を始める

(一部廃業も可)など

  • 吸収合併する・される
  • 事業譲渡する・される
  • 株式交換する・される
  • 新設合併する・される
  • M&Aで事業を譲り渡す、または事業を譲り受け、既存事業を廃業する(一部廃業も可)など

事業承継・引継ぎ補助金公式サイトより、各事業の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、個人事業主の場合、事業譲渡や廃業後の新事業が補助対象事業となっているので、後継者がいない経営者や事業を売りたい人は、事業承継・引継ぎ補助金の対象となります。

また、法人の場合も、M&Aによる吸収合併や事業譲渡が補助対象事業なので、他の法人と合併する人や株式を取得する人は、本補助金の対象となります。

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継やM&Aをする事業者のための補助金です。「後継者がいない」「事業売買で話を持ちかけられている」などの状況の人は、事業承継・引継ぎ補助金の利用を検討してみましょう。

なお、事業承継・引継ぎ補助金は2022年7月に開始され、2022年度の募集は終了しました。2023年度の公募は5次公募からとなり、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトで詳細が発表されます。関心のある人は早めに情報収集をして、申請に備えておきましょう。

対象となる事業承継・引継ぎは3種類に分かれる

事業承継・引継ぎ補助金の補助対象事業は、大きく分けると、3種類に分かれます。事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」のいずれかの申請枠を選ぶことになります。

3つの申請枠のうち、「経営革新」枠と「専門家活用」枠は、さらに類型に分かれています。

【事業承継・引継ぎ補助金の対象事業と類型の概要】
申請枠  類型 概要
経営革新枠 創業支援型 中小企業者等が、事業承継やM&Aで設備や従業員を引継ぎ事業開始する際、かかる事業費の一部を支援する
経営者交代型 中小企業者等が、親族内承継や従業員承継で新たに事業を始める際、かかる事業費の一部を支援する
M&A型 中小企業者等が、事業再編・事業統合等で新たに事業を始める際、かかる事業費の一部を支援する
専門家活用枠 買い手支援型 中小企業者等が株式や経営資源を譲り受ける事業再編・事業統合をする際、かかる専門家契約費を支援する
売り手支援型 中小企業者等が株式や経営資源を譲り渡す事業再編・事業統合をする際、かかる専門家契約費を支援する
廃業・再チャレンジ枠

〈併用申請〉

経営革新枠または専門家活用枠を利用する際、併用申請することで、廃業にかかる経費を支援する

〈単独申請〉

廃業して新たな事業に取り組む際、廃業にかかる経費を支援する

※事業承継・引継ぎ補助金公式サイトより、各事業の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、事業承継をする中小企業の場合、事業承継をきっかけに新たな事業を始めるなら、「経営支援」および「廃業・再チャレンジ」に該当します。経営支援枠と廃業・再チャレンジ枠は併用申請できるので、事業者は両方の申請枠に申請することも可能です。

また、M&Aをされる個人事業主の場合、専門家契約を結び、最終契約をして成功報酬を支払うなら、「専門家活用」枠の「売り手支援型」の対象となります。

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際に選ぶ申請枠は、「事業承継だけでなく新事業をする」「専門家契約を結ぶ」「廃業する」などの目的で分けられます。どの申請枠を選ぶべき分からない時は、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトにある「事例集」も参考にしてみてください。

補助される対象経費は申請の枠で異なる

事業承継・引き継ぎ補助金で補助される対象経費は、申請枠によって違いがあります。事業承継・引継ぎ補助金で申請枠を選ぶときは、自社がどのような経費を支払う予定なのかを確認してから、申請枠を選びましょう。

【事業承継・引継ぎ補助金の補助対象経費】
経営革新枠  専門家活用枠 廃業・再チャレンジ枠
  • 人件費
  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費 など
  • 専門家への謝礼
  • 委託費
  • システム利用料
  • 在庫廃棄費 など
  • 廃業支援費
  • 原状回復費
  • リースの解約費
  • 移転・移設費用

※事業承継・引継ぎ補助金の各申請枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、経営革新枠の場合、新たな事業を始める人が対象なので、補助対象経費には新しい事業での人件費や原材料費などの事業費が含まれます。

また、専門家活用枠の場合、M&Aをする事業者の専門家契約を補助する申請枠なので、補助対象経費には専門家への謝礼や委託費が含まれます。

事業承継・引継ぎ補助金の補助対象経費は、経営革新や専門家活用などの申請枠ごとに異なります。原則、補助対象経費は事業を引き継ぐ人が申請できますが、要件を満たせば、事業を譲り渡す人と一緒に共同申請できる場合があるので、覚えておきましょう。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の補助対象経費は、事業者が採択されたあとに支払う経費が補助の対象です。原則的に事前着手申請はできず、事前に支払い済みの経費は補助されません。事業承継に関わる支払いは、交付決定を受けてから行うようにしましょう。

経営革新の補助対象経費

申請枠の1つ「経営革新」の補助対象経費には、人件費や店舗等借入費設備費、原材料費やマーケティング調査費などが含まれます。開業やM&Aなどで新たな事業を立ち上げる人は、事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」枠を選びましょう。

【経営革新枠の補助対象経費と例】
補助対象経費の項目  例
〈事業費〉
人件費/店舗等借入費/設備費/原材料費/産業財産権等関連経費/謝金/旅費/マーケティング調査費/広報費/会場借料費/外注費委託費
<設備費>
洋菓子店が事業承継先を探しており、飲食店の承継経験のある承継者が、電熱オーブンやミキサーを導入する費用
<マーケティング調査費>
老舗で顧客がいるジュエリーショップを、IT事業者が承継し、マーケティング調査を行い、販促する費用

※事業承継・引継ぎ補助金公式サイトより、経営革新事業の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、事業承継で店舗を取得する人の場合、経営革新枠では事業費として人件費や店舗家賃が補助されるので、新しい事業での従業員の人件費や家賃を補助対象経費として申請できます。

経営革新枠には3つの類型「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」がありますが、いずれの場合も、人件費や設備費などの事業費が補助されます。事業承継や経営者交代などで、引き継いだ経営資源を生かし新たな事業を始める人は、経営革新枠を検討してみましょう。

なお、経営革新枠に関心がある人は、「事業承継引継ぎ補助金の経営革新を解説」を参考にしてみてください。

専門家活用の補助対象経費

申請枠の1つ「専門家活用」の補助対象経費は、専門家への謝金や旅費、外注費や委託費などです。弁護士や司法書士などの士業を通してM&Aをする事業者は、専門家活用枠から申請することになります。

【専門家活用事業の補助対象経費】
補助対象経費の項目
謝金/旅費/外注費/委託費/システム利用料/保険料/廃業支援費/在庫廃棄費/解体費/原状回復費/リースの売り手支援型 解約費/移転・移設費用

※事業承継・引継ぎ補助金公式サイトより、専門家活用枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、自動車整備業を承継する場合、顧問税理士に相談し、株式譲渡の契約書作成を依頼するなら、顧問税理士に支払う謝金が補助されます。

また、解体業が今後を考えてM&A専門家に相談する場合、第三者への株式譲渡を依頼するなら、株式譲渡承認請求や株式譲渡契約の締結に関わる費用が補助されます。

専門家活用枠は、M&Aで買収の話を持ちかけられている場合や、これからM&Aをする場合に、利用しやすい申請枠です。専門家活用枠を利用すると、士業やM&A専門企業に支払う手数料や費用を軽減できるので、M&Aをする人は専門家活用枠の利用を検討してみましょう。専門活用枠に関心がある人は、「事業承継・引継ぎ補助金の専門家活用とは?概要と注意点を解説」を参考にしてみてください。

なお、補助対象経費の委託費としてファイナンス・アドバイザリー(FA)業務や仲介業務を申請する際は、「登録FA・仲介業者」以外の業者に委託しても補助の対象外です。委託費を申請する人は、「M&A支援機関登録制度」で登録済の登録FA・仲介業者へ委託しましょう。

廃業・再チャレンジ枠の補助対象経費

申請枠の1つ「廃業・再チャレンジ」の補助対象経費には、廃業支援費や在庫廃棄費、解体費や原状回復費があります。在庫の処分費用や建物・設備等の解体費費用も補助されるので、M&Aまたは廃業を予定している人は、廃業・再チャレンジ枠の利用を検討してみましょう。

【廃業・再チャレンジ事業の補助対象経費】
補助対象経費の項目
廃業支援費/在庫廃棄費/解体費/原状回復費/リースの解約費/移転・移設費用(併用申請のみ計上可)

※事業承継・引継ぎ補助金公式サイトより、廃業・再チャレンジ枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、M&Aで事業を売り出す事業者の場合、成約に結びつかず、廃業して新たなチャレンジをするなら、廃業・再チャレンジ枠で廃業支援費や在庫廃棄費を申請できます。

また、廃業で不要となった在庫を専門業者に委託する事業者の場合、司法書士に登記申請書類を作成してもらう費用は廃業支援費として補助の対象です。

廃業・再チャレンジ枠は、単体で申請する場合が少なく、多くの場合、経営革新枠または専門家活用枠と共に申請されています。事業承継や引継ぎで、設備の解体や登記書類を作成する人は、廃業・再チャレンジ枠の利用を検討してみましょう。

なお、廃業・再チャレンジ枠に関心がある人は、「事業承継・引継ぎ補助金の廃業・再チャレンジとは?概要を解説」を参考にしてみてください。

事業承継・引継ぎ補助金でもらえる補助金額を確認する

事業承継・引継ぎ補助金でもらえる補助金は、経営革新と専門家活用では100万円~600万円、廃業・再チャレンジでは50万円~150万円です。また、補助率は事業規模や従業員数に関係なく、一律で補助対象経費の2/3以内となっています。

【事業承継・引継ぎ補助金の補助金額と補助率】
補助上限額 経営革新 専門家活用 廃業・再チャレンジ
100万円~600万円以内

 50万円

※経営革新枠、専門家活用枠と併用申請する場合は、150万円以内

補助率 経営革新 専門家活用 廃業・再チャレンジ
補助対象経費の2/3以内

 ※事業承継・引継ぎ補助金の各申請枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、経営革新枠から300万円の設備費を申請する場合、300万円に補助率:2/3をかけると200万円で、補助上限額は600万円以内なので、200万円が補助金額となります。

事業承継・引継ぎ補助金の補助金額は、事業者が申請する補助対象経費に補助率をかけた金額、かつ、補助上限額以内の金額です。事業者が支払う予定の経費がわかれば、大まかな補助金額は計算できるので、補助金額がいくらもらえるか気になる人は試してみて下さい。

対象事業者の条件は事業承継を受ける事業者が中小企業者であること

事業承継・引継ぎ補助金の対象事業者の条件は、事業承継や事業の引継ぎを受ける事業者が中小企業者の規定以内であることです。青色申告をしている場合、中小企業者には個人事業主も含みます。

【対象となる中小企業者等の定義】
業種 資本金 従業員数
製造業その他 3億円以下の会社  300人以下の会社または個人事業主
卸売業  1億円以下の会社  100人以下の会社または個人事業主
小売業  5千万円以下の会社 50人以下の会社または個人事業主
サービス業 100人以下の会社または個人事業主

※事業承継・引継ぎ補助金の各申請枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、事業承継で買収をする製造業の場合、資本金が3億円以下で従業員数300人以下が定義なので、資本金1億円で従業員数が200人の会社は、事業承継・引継ぎ補助金の対象です。

事業承継・引継ぎ補助金の対象は、資本金5億円以上の企業から出資や株式の保有を受けていない、中小企業者です。交付決定後に事業承継を行う場合は、被承継者との共同申請が必須なので、これから事業承継をする人は、公募要領で共同申請を確認しておきましょう。

なお、対象事業者の場合でも、自社が申請する経営革新枠や専門家活用枠などの「申請枠ごとの対象事業の要件」も満たす必要があります。事業承継・引継ぎ補助金に申請するための要件は、事業規模にくわえ、申請枠ごとに設定されている対象事業も確認しましょう。

経営革新枠で対象の事業承継

経営革新枠で対象の事業承継は、事業承継期間内に事業承継やM&Aを行うことです。経営革新枠はさらに、「創業支援型(Ⅰ型)」「経営者交代型(Ⅱ型)」「M&A型(Ⅲ型)」の3つの類型に分かれています。

【経営革新枠の対象となる事業承継】
区分 事業承継
共通 2017年4月1日から2023年10月17日に事業承継やM&Aを行う
創業支援型(Ⅰ型)
  • 事業承継対象期間内に法人として会社設立する、または、個人事業主として開業する
  •  開業のために、事業承継やM&Aとして、設備だけでなく、従業員、経営権などを総合的に引き継ぐ

※物品や不動産など物質的な物のみを引き継ぐ場合は対象外

経営者交代型(Ⅱ型)
  • 親族内承継や従業員承継等の事業承継を行う者(事業再生を含む)

※法人による事業譲渡や株式譲渡等は対象外

  • 特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者である
M&A型(Ⅲ型)
  • 事業再編・事業統合等の M&Aをする
  • 特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者である

※物品や不動産など物質的な物のみを引き継ぐ場合は対象外

※事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、経営支援枠の創業支援型(Ⅰ型)の場合、2017年4月1日から2023年10月17日までに事業承継やM&Aをして、総合的に経営を引き継ぐ事業承継が対象なので、2022年10月に事業譲渡を受けて新たな会社設立をする人は対象となります。

経営革新枠とは事業承継やM&Aをきっかけに、新しい事業をする、経営者が交代する、などの新しい動きをする事業者のための申請枠です。事業を別の経営者に譲る人や、新たな事業を買収する人は、事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠に注目してみてください。

なお、経営者交代型の場合、申請時点で事業承継が終わっていない場合は、承継者が経営経験や実務経験をもつ証拠書類を提出することになるので、注意してください。

専門家活用枠で対象の事業承継

専門家活用枠の対象となる事業承継は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行う、事業承継や第三者割当などです。専門家活用枠の事業承継は、事業を引き渡す事業者は「売り手支援型」、事業を引き受ける事業者は「買い手支援型」とで分けられています。

【専門家活用の対象事業者(抜粋)】
区分 対象事業者
買い手支援型(Ⅰ型)
  • 以下の経営資源の引継ぎを受けることにより、経営資源引継ぎの要件を満たす者

<法人の承継者>
株式譲渡/第三者割当増資/株式交換/吸収合併/吸収分割
<個人事業主の承継者>
株式譲渡/第三者割当増資/事業譲渡

売り手支援型(Ⅱ型)
  • 以下の経営資源の引継ぎを第三者へ譲渡することにより、経営資源引継ぎの要件を満たす者

<法人の承継者>
株式譲渡渡/株式譲渡+廃業/第三者割当増資/株式交換
<個人事業主の承継者>
事業譲渡/事業再編等+廃業

 ※事業承継・引継ぎ補助金の専門家活用枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、買い手支援型に申請したい会社の場合、中小企業者間の株式譲渡や吸収合併が対象の事業承継なので、自社より大きな企業に株式を譲渡する会社は補助の対象外です。

専門家活用枠は、事業を受ける側も譲る側も補助の対象で、各類型や個人事業主と法人により、8のパターンに分かれます。専門家活用枠に関心のある人は、専門家活用枠の「公募要領」で見出し「経営資源引継ぎ形態に係る区分整理」の内容を確認してみてください。

廃業・再チャレンジ枠で対象の事業承継

廃業・再チャレンジ枠で対象となる事業承継は、主に廃業です。経営革新枠や専門家活用枠と併用できるので、廃業を伴う事業承継やM&Aをしたい人は、経営革新枠や専門家活用枠を申請する際、廃業・再チャレンジ枠と同時申請することになります。

【廃業・再チャレンジで対象の事業承継】

区分 対象事業者
共通  M&Aまたは廃業する
「経営革新」または「専門家活用」と併用申請の場合  「経営革新」または「専門家活用」で設定する補助事業期間終了日までに、M&Aまたは廃業を完了する(全部譲渡または一部譲渡含む)
再チャレンジ申請の場合  2020年以降に売り手としてM&Aへ着手し、6か月以上取り組んでいること+廃業後に再チャレンジ

※事業承継・引継ぎ補助金の廃業・再チャレンジ枠の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、4次公募で経営革新枠と廃業・再チャレンジを同時申請する場合、2023年10月17日までに既存の事業を廃業と事業承継を完了すれば、補助の対象となります。

廃業・再チャレンジ枠に申請すると、廃業に関わる在庫処分費用や解体費などが補助されます。廃業のみの申請は受付けておらず、廃業のあとに「新たに会社を設立する」「新たな事業を始める」といった取組みをする人が申請できるので、留意してください。

対象事業者が申請したい場合はまず申請要件を確認する

対象事業者である中小企業者が事業承継・引継ぎ補助金に申請したい場合は、まず申請要件を確認してみましょう。申請要件は大きく分けて2種類あり、「11の申請要件」と「事業承継の要件」があります。

【事業承継・引継ぎ補助金の申請要件】

11の申請要件(抜粋)  事業承継の要件
  • 日本国内で事業をする者(個人事業主は青色申告をしていること)
  • 仕入れや雇用などで、地域経済に貢献している者
  • 事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応する者
  • 事務局から依頼があった場合は申請書類を修正して再提出する者
  • 経済産業省から補助金指定停止措置又は指名停止措置が講じられていない者
  • 2017年4月1日から補助事業完了日までに事業承継を行う者
  • 中小企業者等間における事業を被承継者と承継者)の間で、株式譲渡やM&Aを含む事業の引き継ぎを行った又は行う予定の者

※事業承継・引継ぎ補助金公式サイトより、経営革新事業の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、11の要件の場合、「仕入れや雇用などで地域経済に貢献する者」の要件があるので、単に保持している不動産を後継者に引き継ぐ事業では申請できません。

事業承継・引継ぎ補助金の主な申請要件は、「国内で事業をしている」「法令を遵守し事務局に協力する」「事業承継やM&Aなどを行う」といった、基本的な内容です。個人事業主の場合は、青色申告をしていることが条件となりますので、忘れないように注意しましょう。

なお、申請要件には追加の「生産性向上要件」があります。事業者が行う事業承継や新規事業の計画が、「付加価値額」又は「1人当たりの付加価値額」の伸び率が3%/年を満たさない場合は、補助上限額が400万円以内となるので、留意してください。

専門家活用事業以外の申請は認定支援機関との連携が必要

事業承継・引継ぎ補助金で「経営革新」枠と「廃業・再チャレンジ」枠に申請する場合、「認定支援機関」との連携が必要です。認定支援機関とは、経済産業省に登録された金融機関や税理士などのことで、事業者は申請する際にアドバイスや書類作成をしてくれます。

【事業承継・引継ぎ補助金で認定支援機関がやること】
申請時期 やることリスト
相談
  •  相談者と経営相談を行う
申請準備
  • 補助対象事業の確認を行う

-相談者の事業者要件を確認する
-補助事業の内容を確認する
-補助事業計画書を確認する
-補助対象経費の内訳を確認する

申請 確認書を発行する
補助事業開始 補助事業のアフターフォローをする

たとえば、認定支援機関と申請準備をする場合、認定支援機関は事業者が行おうとする補助事業の要件や内容を確認するため、事業者がひとりで申請するときと比べ、公募要領のルールに沿った申請ができる可能性があります。

事業承継・引継ぎ補助金で計画革新枠または廃業・再チャレンジ枠に申請する人は、認定支援機関へ相談しましょう。認定支援機関は全国に約3万4千機関以上あるので、認定支援機関を探す際は、「事業承継 認定支援機関」にようにキーワードと共に検索してみましょう。

申請方法はj Grantsを使った電子申請となる

承継・引継ぎ補助金の申請方法は、経済産業省が運営する電子申請「j Grants」からの申請です。J Grantsから事業承継・引継ぎ補助金に申請するには、GビズIDプライムアカウントが必要です。事業承継・引継ぎ補助金へ申請したい人は、早めに取得しておきましょう。

【事業承継・引継ぎ補助金の申請方法】
jGrants のURL jGrants
GビズIDプライムアカウントの取得URL GビズID

たとえば、事業者が事業承継・引継ぎに申請する場合は、j GrantsのURLにアクセスし、GビズIDプライムアカウントでログインしてから、事業承継・引継ぎ補助金の申請ページを探します。

経済産業省の行う補助金は電子申請による申請方法が増えています。事業承継・引継ぎ補助金もj Grantsによる電子申請のみ受付けられます。GビズITプライムアカウントを取得するには2週間~3週間かかり、印鑑証明書と登録印が必要なことを留意しておきましょう。

令和5年度のスケジュールは3月中旬以降に発表される

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールは、2023年3月中旬以降に発表されます。今後の募集は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトに掲載されるので、事業承継・引継ぎ補助金に関心のある人は、定期的に事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトを確認してみてください。

【既に実施された2022年度事業承継・引継ぎ補助金のスケジュール】
国会予算 令和3年度補正予算
1次公募 〈申請受付期間〉
2022年5月31日(火)~2022年6月20日(月)17:00まで
〈交付決定日〉
2022年7月20日(水)
2次公募 〈申請受付期間〉
2022年7月27日(水)〜2022年9月2日(金)17:00まで
〈交付決定日〉
2022年10月6日(木)
3次公募 〈申請受付期間〉
2022年10月6日(木)~2022年11月24日(木)17:00まで
〈交付決定日〉
2022年12月26日(月)
4次公募 〈申請受付期間〉
2022年12月26日(月)~2023年2月9日(木)17:00まで
〈交付決定日〉
2023年3月中旬(予定)

※事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトの「経営革新」ページを元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、令和3年度補正予算の事業承継・引継ぎ補助金の場合、これまで1次公募から4次公募までの4回が実施されたので、事業承継・引継ぎ補助金は1年間に4回の公募があったとわかります。

これまでのところ、事業承継・引継ぎ補助金は前回の申請受付期間から約5週間後に公募されています。令和4年度第2次補正予算の成立により、事業承継・引攣次補助金は2023年度以降も引き続き公募されるので、関心がある人は公式サイトで確認してみてください。

なお、事業承継・引継ぎ補助金は、1つの事業承継で何度も申請すると不採択となるので、注意してください。事業承継・引継ぎ補助金の不採択理由が知りたい人は、「事業承継・引継ぎ補助金の採択率は?不採択になる理由や採択事例も解説」を参考にしてみてください。

事業承継・引継ぎ補助金の1次から3次公募の採択率は52.9%

事業承継・引継ぎ補助金の1次から3次公募の総合的な採択率は、52.9%でした。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトでは、「採択結果」ページに申請者数と採択者数が掲載されているので、参考にしましょう。

【事業承継・引継ぎ補助金の3次公募の採択結果】
事業 申請者数 採択者数 採択率
経営革新  189 107 56.6
専門家活用 408 234 57.3
廃業・再チャレンジ 単独 併用  13 44.8
2 27

※事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト「採択結果」を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、3次公募の場合、経営革新枠の採択率は56.6%で、廃業・再チャレンジ枠の採択率は44.8%なので、同じ補助金なのに採択率が10%以上も異なります。

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、公式サイトの「採択結果」から導き出せます。採択率は申請者数の増減や時期にもよるので、事業承継・引継ぎ補助金の採択率に関しても、あくまで審査の難易度をはかる目安のひとつとして考えてみて下さい。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業者等が事業承継やM&Aをする際、事業者が支払う経費の一部を補助する制度です。これから後継者に事業を任せたい人や、事業統合や株式譲渡をしたい人は、本補助金を利用すると、支払う総額を抑えられる可能性があります。

事業承継・引継ぎ補助金の補助対象事業は、大きく分けると、3種類に分かれます。事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、「経営革新」「専門家活用」または「廃業・再チャレンジ」のいずれかの申請枠を選ぶことになります。

事業承継・引き継ぎ補助金で補助される対象経費は、申請枠によって少し違いがあります。そのため、事業承継・引継ぎ補助金で申請枠を選ぶときは、自社がどのような経費を支払う予定なのかを確認してから、申請枠を選びましょう。

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