事業承継・引継ぎ補助金の採択率は?不採択になる理由や採択事例も解説

2024/04/01

2023/3/10

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業承継をしたい人の中には、事業承継・引継ぎ補助金に関心がある人もいますよね。その中には、事業承継・引継ぎ補助金の申請前に採択率を知りたい人や、申請後に採択率が気になる人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の採択率を解説します。不採択となる理由や採択事例も解説するので、事業承継・引継ぎ補助金の採択率が気になる人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の、公式サイトと4次公募要領をもとに作成しています。

事業承継・引継ぎ補助金のこれまでの採択率は全体で52.2%

これまでの事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、全体で52.2%です。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトでは、申請者数と採択者数は公開されているので、計算すると各公募回での採択率がわかります。

【2022年度事業承継・引継ぎ補助金の採択率】

公募回 採択率 申請者数 採択者数
1次

52.5%

1,033  531
2次  51.3%  631 348
3次 55.8%  626  354

 ※事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト「採択結果」を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、1次の採択率場合、申請者数:1,033人を採択者数:531人で割ると52.5%なので、採択率は52.5%となります。また、1次52.5%、2次51.3%、3次55.8%なので、3次が最も高い採択率であったことがわかります。

事業承継・引継ぎ補助金のこれまでの採択率は、52%~55%で推移していています。今後の採択率に関しては、申請者数の増減も影響するので、あくまで目安として知っておきましょう。

なお、他の補助金の採択率も調べたい人は、「補助金の採択率とは?」と参考にしてみてください。

公募回や申請する枠で採択率は変わる

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、申請する枠によっても変わります。そのため、申請する枠が決まっているなら、申請する枠の採択率もあわせて確認しておきましょう。

【1次から3次公募までの申請枠別の採択率】

公募回 経営革新 専門家活用 廃業・再チャレンジ
1次 採択率 50.2% 51.5% 55.8%
申請者数 209  790  34
採択者数 105  234 19
2次 採択率  50.2% 55.4% 42.8%
申請者数 188 422 21
採択者数 105 234 9
3次 採択率 56.6% 57.3% 44.8%
申請者数 189 408 単独 併用
2 27
採択者数 107 234 13

※事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト「採択結果」を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、経営革新の採択率の場合、1次公募と2次公募では50.2%ですが、3次では56.6%なので、3次で採択率が上がったことがわかります。

事業承継・引継ぎ補助金の申請枠ごとに採択率を見ると、申請枠ごとの傾向があると分かります。各申請枠の採択率は、公募要領の改訂で上下する可能性もあるので、事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は、公式サイトを定期的に確認してみてください。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の廃業・再チャレンジ枠は、他の申請枠と併用できます。廃業・再チャレンジ枠の申請者数は、単独申請が少なく、ほとんど併用申請です。廃業・再チャレンジ枠に申請する人は、併用申請ができるかを検討してみましょう。

申請前には不採択となる理由を確認してみる

事業承継・引継ぎ補助金に申請するなら、あらかじめ不採択となる理由を確認しておきましょう。不採択となる理由を避けることで、事業承継・引継ぎ補助金で不採択となるリスクを軽減できます。

【事業承継・引継ぎ補助金で不採択となる理由と例】

不採択となる理由  例
対象事業者に該当しない <廃業・再チャレンジ枠の場合>
対象事業者ではない特定非営利活動法人(NPO)として申請した
事業承継の要件を満たしていない <経営革新枠の場合>
グループ企業の間で、不動産のみを保有する事業を承継する
対象事業の要件を満たしていない <経営革新枠でデジタル化の事業計画を提出する場合>
IPA が実施する「SECURITY ACTION」の宣言を行っていなかった
<経営革新事業で経営者交代型に申請する場合>
特定創業支援事業を受ける者等、経営の実績や知識があることを証明できなかった
必要書類に不備があった <経営革新枠または廃業・再チャレンジ枠の場合>
認定支援機関が発行する「確認書」を提出しなかった
〈共通:採択され交付申請をする場合〉
補助対象経費に必要な相見積を提出しなかった

 ※事業承継・引継ぎ補助金の「4次公募要領」をもとに、株式会社ソラボが作成

たとえば、経営革新枠の場合、経営革新枠では事業承継のあとに新たな事業を始めることが要件なので、不動産の承継のみをする事業者は対象外です。

また、経営革新枠および廃業・再チャレンジ枠の場合、提出書類に認定支援機関の「確認書」が含まれるので、電子申請時に添付するZipファイルにExcelファイル「確認書」を入れないと、不採択になります。

事業承継・引継ぎ補助金では、公募要領に記載された要件やルールを遵守していない場合、不採択になります。申請する際は、公募要領や公式サイトの内容を熟読しておきましょう。

当メディアを運営する株式会社SoLaboは認定支援機関として事業承継引継ぎ補助金の申請サポートを行っています。サポートさせていただいた案件では採択された実績もありますので、不採択となった理由を特定し、再申請に活かしたい人は下記よりお問い合わせください。

事業承継引継ぎ補助金は利用できる?無料診断

申請前に採択事例を確認すると成功例がわかる

事業承継・引継ぎ補助金に申請するなら、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトで、採択結果を確認してみましょう。採択結果を確認すると、成功例がわかるので、申請準備をする際に参考になります。

【事業承継・引継ぎ補助金の採択事例】

申請枠と類型の種類  採択された事業内容
経営革新(創業支援型)
  • 有害物質を使用しない発色法による陶器用釉(うわ)薬の開発をする
  • レンタルしている物件の一部を改装し、地域にはない、女性のための心理カウンセリングと整体を開業する
  • 地元農家と競合し、地元野菜と自社栽培フルーツを生かしたドライフルーツを開発する
経営革新(経営者交代型)
  • 特殊計測用治具の需要増を背景に、CNC精密旋盤を導⼊。熟練技術と最新機械を融合し顧客要求に応える
  • コロナ禍でも集客に影響しない、歯のホワイトニング専用セルフサロンを展開する
  • IT化の遅れる運送業において、自社独⾃の業務システムを導⼊し、B to BからB to Cへの市場転換を行う
経営者革新(M&A型)
  • 営繕⼯事事業をしている中で、空調設備の有限会社を買収し、空調設備の経験者を代表に据え、地域ゼネコンの設立を目指す
  • これまでの桐箱オーダーメイド事業の販路を開拓するため、バイヤー、木工・藍染業者等と事業統合し、国内外の見本市へ出展する
  • 特定のレストランのみに卸していた食品を、スーパーに卸すため、真空・急速凍結機メーカーと提携し、大量生産できる体制を整える

※事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト「採択結果」を元に、株式会社ソラボが作成

たとえば、経営者支援(創業支援型)の場合、事業承継期間内に創業する承継者が対象なので、採択結果の事業計画には、新しい技法や地域にないサービス業としての開業が見受けられました。

また、経営支援(M&A型)の場合、経営や実績のある被承継者に対しM&Aをする承継者が対象なので、採択結果の事業計画には、地域内での異業種の合併による総合企業や地域ゼネコンの事業が見受けられました。

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、申請者が応募する事業計画の内容にも左右されます。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト「採択結果」を見ると、実際に採択された事業計画が一部閲覧できるので、申請する人は事前に確認してみてください。

申請する際は3つの申請枠の中から選ぶことになる

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、3つの申請枠から自社に合った事業を選び、申請することになります。3つの申請枠はそれぞれ、補助対象経費や補助金額などに違いがあります。

【事業承継・引継ぎ補助金の3つの事業の概要】

事業名 類型 補助対象経費 補助金額と補助率
経営支援 創業支援型(Ⅰ型) 〈事業費〉
人件費/店舗等借入費設備費/原材料費/など
〈廃業費〉
廃業支援費/在庫廃棄費/解体費/原状回復費など
<補助金額>
100万円~600万円以内
※廃棄費として+150万円以内の上乗せが可能
<補助率>
補助対象経費の2/3
経営者交代型(Ⅱ型)
M&A 型(Ⅲ型)
 専門家活用 買い手支援型(Ⅰ型) 謝金/旅費/外注費/委託費/システム利用料/保険料/廃業費/廃業支援費/在庫廃棄費など 経営支援と同じ
売り手支援型(Ⅱ型)
廃業・再チャレンジ  廃業支援費/在庫廃棄費/解体費/原状回復費/リースの解約費/移転・移設費用(併用申請のみ計上可)  <補助対象経費>
50万円
<補助率>
補助対象経費の2/3

たとえば、経営支援枠の場合、補助対象経費には事業承継後に新事業をするための事業費と廃業費が補助されるので、事業承継をきっかけに新事業を始める人は、経営支援枠を選ぶことになります。

また、専門家活用枠の場合、補助対象経費に事業承継の専門家(登録FA・仲介業者)に支払う費用が補助されるので、事業再編や統合で株式・経営資源の売買をする人は、専門家活用枠を選ぶことになります。

事業承継・引継ぎ補助金に事業者が申請する際は、3つの申請枠から1つまたは2つ以上の申請枠を選択し、申請します。各申請枠で設定している対象事業者には違いがあるので、実際に申請する際は、各申請枠の公募要領にある「対象事業者」を確認してみてください。

なお、廃業・再チャレンジと合わせて併用申請する場合は、「廃業・再チャレンジ」として申請するのではなく、「経営革新」または「専門家活用」として申請するので、覚えておきましょう。

まとめ

これまでの事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、全体で52.2%です。直近の3次公募の採択率は、「経営革新」が56.6%、「専門家活用」が57.3%、「廃業・再チャレンジ」が44.8%でした。

事業承継・引継ぎ補助金の3つの申請枠の中では、「経営革新」「専門家活用」はともに50%台ですが、「廃業・再チャレンジ」は40%台であることが多く、異なる採択率となっています。

事業承継・引継ぎ補助金で採択されるには、不採択となる要素をできる限り取り除くことです。事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトからダウンロードできる公募要領や、採択結果を見ると、事業承継・引継ぎ補助金での不採択事例や成功事例を確認できます。

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