補助金の採択率とは?

2023/08/24

2023/1/17

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金を探している方の中には、補助金の採択率はどのくらいか気になっている人もいますよね。また自身の事業状況にあった補助金に応募したい人もいるでしょう。

当記事では、補助金の採択率を解説します。各補助金の過去の採択率や補助金を選ぶ時の視点も説明するため、補助金を探している人は参考にしてみてください。

採択率とは補助金の審査に通る割合のこと

採択率とは補助金の審査に通る事業者数の割合のことです。採択率を見ることで、補助金に応募する際の難易度が分かります。

たとえば、第7回事業再構築補助金の応募者数が15,132件、採択数が7,745件の場合、採択率は51.1%になります。

【採択率の計算】

採択数÷応募者数×100=採択率

式)7,745件÷15, 132件×100%=51.1

※小数点第二位以下は切り捨て

採択率が51.1%ということから、おおよそ二人に一人が審査に通る難易度だと分かります。各補助金の難易度を知ったうえで応募準備を進めたい人は、採択率を確認してみましょう。

補助金の採択率は補助金ごとに異なる

補助金の採択率は、補助金ごとに違います。補助金ごとに、応募者数や採択数が異なるためです。今回は「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」を例に挙げて解説します。

【最新の補助金の採択率】

補助金名 事業再構築補助金(第7回) 小規模事業者持続化補助金(第9回) ものづくり補助金(12次) IT導入補助金
採択率 51.1% 64.0% 58.5% 76.0%

※少数点第二位以下は切捨て

※ものづくり補助金は一般型とグローバル型合算の採択率

※ IT導入補助金は通常枠(A・B類型)7次、セキュリティ対策推進枠3次、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)14次合算の採択率

たとえば、IT導入補助金の採択率は70%以上を超え、応募者の3分の2以上が採択されています。対して、事業再構築補助金の場合は51.1%と応募者の半分の採択率です。

採択率は補助金によって異なります。また、採択率は各補助金の公募回によっても変わります。補助金の応募を検討している人は、最新の採択率が高くても公募回によって難易度が変わることに留意して応募準備をしましょう。

事業再構築補助金の過去の採択率

事業再構築補助金の過去の採択率は、第6回の公募回まで50%未満でした。最新である公募回の第7回で、51.1%と初めて採択率が50%を超えました。

【事業再構築補助金における各公募回の採択率】

公募回 採択率
第1回 36.0%
第2回 44.8%
第3回 44.4%
第4回 44.7%
第5回 46.1%
第6回 49.9%
第7回 51.1%

※少数点第二位以下は切捨て

※事業再構築補助金事務局の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成

事業再構築補助金の採択率は、第1回から最新の第7回まで右肩上がりになっています。

また、公募回だけでなく、各申請枠でも採択率が異なります。7回の枠ごとの採択率は、申請数が最も多い「通常枠」が47.3%で、採択率が最も高い「最低賃金枠」が80.8%でした。事業再構築補助金の採択率を確認する際は、申請する枠の採択率も確認してみましょう。

最新の第7回事業再構築補助金における、採択数と採択結果の詳細を知りたい人は「第7回事業再構築補助金における採択件数と採択率を解説」を参考にしてみてください。

小規模事業者持続化補助金の過去の採択率

小規模事業者持続化補助金の過去の採択率は、第1回が一番高く90%を超えています。2回以降は、44%から69%を推移している状況です。

公募回 採択率
第1回 90.8%
第2回 65.1%
第3回 51.6%
第4回 44.2%
第5回 53.9%
第6回 69.0%
第7回 69.8%
第8回 62.9%
第9回 64.0%

※少数点第二位以下は切捨て

※中小企業庁の公式サイトにある「新着情報」をもとに株式会社ソラボ作成

小規模事業者持続化補助金の過去の採択率は、第1回が90.8%と他の公募回と比べて高い一方で、第4回のように44.2%と50%に満たない公募回もあります。小規模事業者持続化補助金に応募する人は、最新だけでなく過去の採択率も参考にしてみましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金の採択率や採択事例についての詳細は「小規模事業者持続化補助金の採択率と採択事例を解説」で解説しています。

ものづくり補助金における過去の採択率

ものづくり補助金の過去の採択率は、全体で33.0%以上62.4%以下と他の補助金と比べて採択率に幅があります。

【ものづくり補助金における各公募回の採択率】

公募回 採択率
1次 62.4%
2次 57.1%
3次 38.0%
4次 33.0%
5次 44.1%
6次 47.4%
7次 50.2%
8次 59.7%
9次 62.1%
10次 60.8%
11次 59.3%
12次 58.5%

※小数点第二位以下切り捨て

※ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成

ものづくり補助金の採択率は、過去で一番高い数値が1次の62.4%です。一番低い採択率が4次の33.0%で、4次は応募者の3割程度しか採択されていません。公募回によって採択率の差が大きいことがわかります。

また、ものづくり補助金は一般型とグローバル展開型があり、12次では一般型58.9%、グローバル展開型39.2%の採択率です。公募要領では「グローバル展開型が特に優れた内容」を求められているため、一般型に比べてグローバル展開型は採択率が低いと推察されます。

最新の12次ものづくり補助金における採択数と採択率についての詳細は「12次ものづくり補助金の採択件数と採択率を解説」を確認してみてください。

IT導入補助金における過去の採択率

IT導入補助金は、すべての公募回で60%と他の補助金と比べて高い数値です。過去の採択率ではデジタル化基盤枠の1次が87.0%で一番高い採択率だと分かります。

【IT導入補助金2022における各公募回の採択率】

交付決定日 申請枠と公募回 採択率
5月27日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)1次締切 87.0%
6月16日 通常枠(A・B類型)1次締切 67.0%
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)2次締切
6月30日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)3次締切 83.0%
7月14日 通常枠(A・B類型)2次締切 67.0%
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)4次締切
7月28日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)5次締切 83.0%
8月12日 通常枠(A・B類型)3次締切 62.1%
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)6次締切
8月25日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)7次締切 81.8%
9月8日 通常枠(A・B類型)4次締切 63.7%
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)8次締切
9月22日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)9次締切 78.5%
10月6日 通常枠(A・B類型)5次締切 68.8%
セキュリティ対策推進枠1次締切
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)10次締切
10月20日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)11次締切 79.7%
11月4日 通常枠(A・B類型)6次締切 72.4%
セキュリティ対策推進枠2次締切
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)12次締切
11月22日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)13次締切 78.3%
12月6日 通常枠(A・B類型)7次締切 76.0%
セキュリティ対策推進枠3次締切
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)14次締切
12月20日 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)15次締切 83.7%

※小数点第二位以下は切り捨て

※IT導入補助金の公式サイトにある「交付決定事業者一覧」をもとに株式会社ソラボ作成

IT導入補助金の3枠合算の採択率は、70%前後で公募回ごとに上昇しています。セキュリティ枠のみの採択率が、3次までの公募回すべてで95%以上のためセキュリティ枠が合算されている公募回は、採択率が高くなっています。

IT導入補助金は、各申請枠によって採択率が異なります。IT導入補助金2022の各申請枠について詳しく知りたい人は「IT導入補助金2022の採択率と採択結果を解説」を参考にしてみてください。

補助金を選択するときは採択率以外にも概要を確認する

補助金を選択するときは、採択率以外に補助金の概要も確認してみましょう。補助金によって対象者や対象経費が異なり、使用予定の経費が補助の対象外であることも考えられるためです。

【補助金を選択するときの視点】

項目 視点
対象者 補助金の対象者に当てはまるか
申請要件 応募の際に満たす必要のある条件は何か
申請枠 事業状況にあった枠かどうか
補助額 補助事業の費用に対していくら補助されるか
補助率 補助事業の費用に対して補助率はどのくらいか
対象経費 自身の購入したい設備やサービスが対象になっているか
スケジュール 年に何回申請できるか

たとえば、IT導入補助金を利用してWebサイトを作成したい場合、IT導入補助金の対象経費にWebサイトが入るかどうかを確認します。IT導入補助金ではECサイトは対象ですがコーポレートサイトは対象外のため、コーポレートサイトをつくる場合は、別の補助金を探すことになります。

採択率だけを認しても、事業状況に合った補助金を探すことは困難です。

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金は、経済社会の変化に対応するための事業再構築を支援する補助金です。

事業再構築補助金では、ウィズコロナ・ポストコロナの時代に対応するため、新分野展開や業態転換など、思い切った事業再構築をする中小企業等の挑戦の支援を目的としています。

【第8回事業再構築補助金の概要】

項目 概要
対象者 中小企業・中堅企業
申請要件
  • 認定支援機関と事業計画を策定する
  • 補助事業終了後に付加価値額の目標を達成する事業計画を策定する
  • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義該当する事業であること

公募要領から申請要件一部抜粋

申請枠 ①通常枠/②大規模賃金引上枠/③回復・再生応援枠/④最低賃金枠/⑤グリーン成長枠/⑥緊急対策枠
補助金額

中小企業 100万円~1億円/中堅企業等 100万円~1.5億円(※申請枠や従業員数によって補助)

補助率

中小企業者等 1/2、中堅企業等 1/3(※申請枠や従業員数によって補助金額が異なるため、補助金額の条件に合わせて記載)

対象経費

①建物費/②機械装置・システム構築費/③技術導入費/④専門家経費/⑤運搬費/⑥クラウドサービス利用費/⑦外注費/⑧知的財産権等関連経費/⑨広告宣伝費・販売促進費/⑩研修費

スケジュール 応募可能日:通年4

参考:第8回事業再構築補助金「公募要領」

スケジュールを確認すると、事業再構築補助金は年4回応募できることが分かります。スケジュールを確認するときは

なお、事業再構築補助金では、応募する枠によって申請要件が異なります。申請要件を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金の申請要件とは?枠ごとの要件も解説」を確認してください。

小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務効率改善を支援する補助金です。

小規模事業者持続化補助金では、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と、持続的な発展を図ることが目的です。

【第10回小規模事業者持続化補助金の概要】

項目 概要
対象者 小規模事業者・一定要件を満たす特定非営利活動法人
申請要件
  • 商工会・商工会議所の支援を受けながら事業支援計画書や補助事業に取り組む
  • 申請する枠ごとの条件を満たす 他

公募要領から申請要件一部抜粋

申請枠

一般型【①通常枠/②大規模賃金引上枠/③卒業枠/④後継者支援枠/⑤創業枠/⑥インボイス枠】

補助金額

小規模事業者 200万円(※申請枠や従業員数によって補助金額が異なるため、最大値の申請枠の額を記載)

補助率

小規模事業者 2/3(※申請枠や従業員数によって補助金額が異なるため、補助金額の条件に合わせて記載

対象経費

①機械装置等費/②広報費/③ウェブサイト関連費/④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)/⑤旅費/⑥開発費/⑦資料購入費/⑧雑役務費/⑨借料/⑩設備処分費/⑪委託・外注費

スケジュール 応募可能日:通年4

参考:第10回小規模事業者持続化補助金「公募要領」

たとえば、現在の事業の売上向上を目的とした、販路開拓のための宣伝用のチラシの作成やWebサイトの新規作成などに、小規模事業者持続化補助金を利用できます。

なお、小規模事業者持続化補助金では、商工会や商工会議所の支援が必須です。小規模事業者持続化補助金に応募する人は、商工会商工会議所を探しましょう。

小規模事業者持続化補助金の概要を知りたい人は「小規模事業者持続化補助金とは?対象者や活用例をわかりやすく解説」を確認してみてください。

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金は、経営革新や生産プロセス改善を行う際の、設備投資等に使える補助金です。

中小企業や小規模事業者等が、働き方改革やインボイス導入等への制度対応で生産性を向上させる際の、設備投資等を支援することが目的です。

【13次締切分ものづくり補助金】

項目 概要
対象者 中小企業・小規模事業者等
申請要件
  • 3つの基本要件を満たしていること
  1. 給与支給総額を年率平均5 %以上増加
  2. 地域別最低賃金+ 30 円以上
  3. 付加価値額を年率平均3 %以上増加
  • 申請する枠ごとの条件を満たす  他

公募要領から申請要件一部抜粋

申請枠

【一般型】①通常枠/②回復型賃上げ・雇用拡大枠/③デジタル枠/④グリーン枠

【グローバル型】

補助金額

3,000万円(※申請枠や事業類型・従業員数によって補助金額が異なるため、最大値の申請枠の額を記載)

補助率

1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3(※申請枠や事業類型・従業員数によって補助金額が異なるため、補助金額の条件に合わせて記載

対象経費

①機械装置・システム構築費/②技術導入費/③専門家経費/④運搬費/⑤クラウドサービス利用費/⑥原材料費/⑦外注費/⑧知的財産権等関連経費

スケジュール 応募可能日:通年4

参考:13次締切分ものづくり補助金「公募要領」

たとえば、ものづくり補助金は、新商品や新サービスの開発、生産管理システムの導入、海外への市場開拓などの事業で利用できます。ただし、ものづくり補助金を利用するには、どの型や枠でも税抜きで単価50万以上の設備投資が必要です。

なお、ものづくり補助金への応募は何度でも可能ですが、過去3年以内に1回交付決定している事業者は減点対象です。また、過去3年以内に2回以上交付決定している事業者は、応募対象外です。スケジュールや応募回数の詳細は、公募要領で確認しましょう。

申請要件を詳しく知りたい人は「ものづくり補助金の要件とは?基本要件の詳細も解説」を確認してみてください。

IT導入補助金の概要

IT導入補助金は、日々の業務の効率化や自動化などの、ITツールの導入に使える補助金です。また、インボイス制度への対応やサイバー攻撃への対策、地域のDXなども支援します。

【IT導入補助金2022

項目 概要
対象者 中小企業・小規模事業者等
申請要件
  • セキュリティアクション 他

※交付申請の手引きから一部抜粋

申請枠
  • 通常枠(A・B類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)
補助金額

150万円~450万円(※申請枠や従業員数によって補助金額が異なるため、最大値の申請枠の額を記載)

補助率

1/2~3/4

対象経費

①ソフトウェア/②機能拡張/③データ連携ツール/④セキュリティ/⑤導入工コンサルティング/⑥導入設定・マニュアル作成・導入研修/⑦保守サポート/⑧PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器/⑨POSレジ/⑩モバイルPOSレジ/⑪券売機/⑫サイバーセキュリティお助け隊サービス

スケジュール 応募可能日:通年1

参考:IT導入補助金2022「交付申請の手引き」

IT導入補助金の対象経費は全体で12項目ありますが、申請枠によって申請要件や対象経費が異なります。たとえば、対象経費の場合⑧から⑪のハードウェアは、デジタル基盤導入枠でソフトウェアと合わせて導入する場合に限り、ハードウェアのみが補助対象になります。

なお、IT導入補助金の公募は通年1回ですが、他の枠との複数応募はできます。ただし、デジタル化基盤導入枠の「複数社連携IT導入類型」への応募はできないため、複数枠へ応募したい人は、前に各公募要領を確認しましょう。

まとめ

採択率とは補助金の審査に通る確率のことで、補助金ごとに異なります。また、同じ補助金でも公募回や申請枠によって採択率が異なります。補助金への応募を検討している人は、採択率の変遷や申請枠ごとの採択率も併せて参考にしてみてください。

補助金を選択する際は、補助金ごとに対象者や申請要件などが異なるため、採択率以外に応募に必要な要件を確認しましょう。補助金ごとの詳細は公募要領で確認できます。応募したい補助金がある人は、各補助金の公式サイトから公募要領を確認してみましょう。

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