補助金ガイド

16次ものづくり補助金の採択率と採択件数を解説

2024/02/07

2022/7/26

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

2024年1月19日(金)、ものづくり補助金16次公募の採択結果が公式サイト上で発表されました。16次公募に申請した人はもちろんのこと、これから公募に申請しようとする人の中にも採択結果が気になる人もいるでしょう。

当記事ではものづくり補助金の16次公募の採択率と採択件数を解説します。ものづくり補助金の17次公募の申請は、令和5年12月27日(水) 17時~令和6年2月13日(火) 17時まで受付中です。ものづくり補助金への申請を検討中の人は、当記事の採択結果を参考に申請準備をしてみてください。

なお当記事はものづくり補助金の公式サイトの「採択結果」から、16次公募の採択者一覧を元に作成しています。

16次ものづくり補助金全体の採択率は48.8%

ものづくり補助金の16次公募の採択率は、48.8%でした。ここ2年間、採択率は50%〜62%の間を推移していたので、16次公募の採択率は近年で最も低い結果となりました。

【ものづくり補助金の1次公募~16次公募までの採択率】
公募回 採択率
1次 62.4%
2次 57.1%
3次 38.0%
4次 33.0%
5次 44.1%
6次 47.4%
7次 50.2%
8次 59.7%
9次 62.1%
10次 60.8%
11次 59.3%
12次 58.5%
13次 58.0%
14次 50.7%
15次 50.2%
16次 48.8%

ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成
※小数点第二位以下は切り捨て

ものづくり補助金の採択率はもともと30%台〜60%台と幅広く推移していましたが、感染症対策の「特別枠」が終了した9次公募からは下降傾向にあります。16次公募の採択率は9次公募から下がり続けた採択率の中で最も低く、前回の15次公募の採択率(50.2%)より1.4%下がっています。

申請枠ごとの採択率

申請枠ごとの採択率は「通常枠」以外の全ての申請枠で前回より約1%〜9%低下しました。通常枠の採択率は前回の50%よりも1.1%高い51.1%でした。

【16次公募の申請枠ごとの採択率】
申請枠 採択率
通常枠 51.1%(前回は50.0%)
回復型賃上げ・雇用拡大枠 45.1%(前回は49.5%)
デジタル枠 46.4%(前回は55.4%)
グリーン枠 39.1%(前回は40.0%)
グローバル市場開拓枠 29.3%(前回は33.6%)

ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成
※小数点第二位以下は切り捨て

申請枠ごとの採択率は、枠ごとに設けられている要件の数や、要件を満たすことの難しさが影響している可能性があります。なぜなら、5つの申請枠の中で最も要件の数が少なく難易度が低い通常枠が、最も高い採択率となっているからです。

ものづくり補助金の通常枠以外の申請枠では基本要件以外の追加要件があるため、採択率が低い可能性があります。16次公募では通常枠以外のすべての申請枠で採択率が低下していました。これから申請する人は、各申請枠の追加要件も満たせるか公募要領で確認してから申請しましょう。

申請枠ごとの採択件数

16次公募の申請者数の総数は5,608件と前回より多かったものの、採択件数の総数は前回より123件少ない結果となりました。一方、採択件数を申請枠ごとにみてみると、申請者数が減って採択件数が増えた申請枠やその逆など、さまざまな状況が見受けられました。

【16次公募の申請枠ごとの申請者数と採択件数】
申請者数 採択件数
総数 5,608件(前回より+86件) 2,738件(前回より-123件)
通常枠 3,846件(前回より+26件) 1,967件(前回より+31件)
回復型賃上げ・雇用拡大枠 177件(前回より-59件) 80件(前回より+37件)
デジタル枠 1,209件(前回より-2件) 561件(前回より-111件)
グリーン枠 199件(前回より+44件) 78件(前回より+12件)
グローバル市場開拓枠 177件(前回より+43件) 52件(前回より-22件)

ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、通常枠の場合、16次公募では15次公募より申請者数が86件増えましたが、採択件数は15次と比べ123件減りました。

一方、回復型賃上げ・雇用拡大枠の場合は、16次公募では15次公募より申請者数が59件減ったものの、採択件数は15次と比べ37件増えました。

16次は全体的な申請者数が増加したものの採択件数は減少したため、ひとつ前の15次公募よりも若干厳しい審査となったことが見受けられます。これからものづくり補助金に申請する予定の人は、過去の採択結果と比較した採択件数の傾向も考慮して申請枠を選択してみてください。

16次公募で採択された事例にはスマート農業やロボット導入がある

16次公募で採択された事例にはスマート農業やロボット導入などの事例があります。16次公募で採択された事例をいくつか紹介します。

【16次公募で採択された事例】
事業者の種類 事例
農園運営者 スマート農業導入による、生産プロセスの改善
小規模農家

肥料散布機導入によるスマート農業実現と持続可能な

営農活動の推進

米の生産者 4条刈りコンバイン導入による作業効率および品質向上
酪農業者

チョップカッターによる生産性、歩留り向上およびさぎょう

の平準化計画

菓子製造業者 ヒット商品の「シューラスク」の生産体制リニューアル事業
家具製造・販売業者 キッチン・家具製造ラインの効率化及び炭素生産性向上事業

3D作品・ホームページ

制作業者

ChatGPTを利用した経営相談プラットフォーム

「ミラロボ」の開発

小規模農家 小規模農家のロボットトラクター導入による持続的な農業の実現

たとえば、北海道の採択事例には、農家が行ったスマート農業の導入があります。スマート農業とはロボット技術や情報通信技術(ICT)を活かした農業です。ものづくり補助金のテーマには「生産プロセスの改善」があるので、農家がスマート農業を取り入れた点が評価された可能性があります。

また、茨城県で採択された事例には、製造機器メーカーの和菓子製造ロボット開発があります。同社が和菓子製造向けのロボットを開発することで、匠にしかできなかった難易度の高い技で和菓子を効率的に生産できるようになったので、付加価値を生む取り組みとして評価された可能性があります。

16次公募ではものづくり補助金のテーマである「革新的な製品・サービス開発」「試作品開発」「生産プロセスの改善」に該当する取り組みが採択されました。ものづくり補助金の17次公募で採択された事例は公式サイトの「採択結果」で公表されているので、参考にしてみてください。

16次公募で採択されたのに辞退した事例

16次公募で採択されたにもかかわらず、補助事業の実施場所が不確定だったため、辞退することとなった事例があります。ものづくり補助金で補助金を受け取るには、補助事業を行う工場や店舗などを保有していることが必須です。

たとえば、建設中の建物を実施場所として申請した場合、採択後に建物がまだ建設中であれば、補助事業を開始できません。ものづくり補助金で補助金を受け取るには、補助事業を終える必要があるため、採択後に実施場所が確定できない場合はやむをえず辞退することになります。

また、事業者がすぐに補助対象経費を支払えない場合も、同様です。ものづくり補助金の補助事業を始める際は、先に事業者が補助対象経費を支払います。採択後すぐに補助対象経費を支払えない事業者は補助事業を開始できないため、やむをえず辞退することになります。

ものづくり補助金に採択されても、辞退する事業者は一定数存在します。せっかく採択されたのに補助事業を実行できないことのないよう、事前に補助事業の実施場所の確認と補助対象経費を支払う資金調達をしておきましょう。

なお、当記事では「採択」という言葉を使用していますが、ものづくり補助金の公募要領では「補助金交付候補」という言葉が使用されています。申請後に採択されても、そのあとの交付申請の審査を経てから正式に「採択」という扱いとなるため、採択のあとにも手続きがあると覚えておきましょう。

17次ものづくり補助金の採択結果はいつ発表されるのか

17次ものづくり補助金の採択結果は、2024年5月初旬〜中旬に発表される予定です。過去の採択結果の発表日をみると木曜日または金曜日に公開する傾向があるため、例年のペースでいくと、ゴールデンウィークあたりに発表になる見込みです。

ただし、ゴールデンウィークは祝日にあたるため翌週にずれこんだ場合は、2024年5月9日(木)〜10日(金)または5月16日(木)〜17日(金)頃になる可能性があります。

採択結果はものづくり補助金の公式サイトで確認できます。17次ものづくり補助金の採択結果を知りたい人は、5月中旬頃に確認してみましょう。

17次公募へ申請した人は18次公募に申請できない

17次公募へ申請した人は、18次公募に申請できません。これまでは不採択の場合は次の公募回に申請が可能でした。しかし、17次公募の場合は公募要領に「17次締切の公募に応募する事業者は18次締切の公募には応募できません」と記載があります。

【ものづくり補助金の17次と18次のスケジュール】
17次公募
公募開始日 申請開始日 申請締切日
令和5年12月27日(水) 17時 令和6年2月13日(火) 17時 令和6年3月1日(金) 17時
18次公募
令和6年1月31日(水) 17時 令和6年3月11日(月) 17時 令和6年3月27日(水) 17時

たとえば、2024年1月15日に17次公募に申請した場合、結果が不採択でも採択でも、3月11日から始まる18次公募には申請する資格がありません。

2024年以降に申請開始するものづくり補助金と17次公募と18次公募は、2023年までの申請ルールとは一部異なっています。17次公募と18次公募では審査のひとつに「口頭審査」もあります。これからものづくり補助金に申請する予定の人は最新の公募要領を確認してみてください。

なお、17次公募と18次公募では申請できる枠が異なります。17次では「省力化(オーダーメイド)」枠のみ、18次では「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」を加えた全3つの申請枠が公募されます。

この記事のまとめ

ものづくり補助金の16次公募の採択率は、48.8%でした。ここ2年間、採択率は50%〜62%の間を推移していたので、16次公募の採択率はここ2年間で最も低い結果となりました。

また、申請枠ごとの採択率は「通常枠」以外の全ての申請枠で前回より約1%〜9%低下しました。通常枠の採択率は前回の50%よりも1.1%高い51.1%でした。

17次ものづくり補助金の採択結果は、2024年5月初旬〜中旬に発表される予定です。17次公募へ申請した人は、18次公募に申請できません。17次公募と18次公募ではこれまでのルールと異なる点が多く、審査のひとつに「口頭審査」もあるため、気になる人は公募要領で確認してみましょう。

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