補助金ガイド

ものづくり補助金の交付申請とは?必要書類や期限を解説

2023/09/29

2022/7/26

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金で採択された人の中には、交付申請の方法を具体的に知りたい人もいますよね。交付申請は採択された事業者が補助金を受け取るための手続きです。事業計画が採択されたとしても、交付申請が承認されなければ補助金の対象者になれません。

当記事では、ものづくり補助金の交付申請における必要書類と提出期限を解説します。ものづくり補助金の交付申請について知りたい人は、参考にしてみてください。

なお、この記事は10次ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助事業の手引きを元に作成しています。

交付申請が承認されると正式な補助対象者になる

ものづくり補助金の申請者は、採択後の交付申請が承認されると正式な補助対象者になります。交付申請の「交付」という言葉には「国や役所が手続きを経て金銭や書類を対象者に手渡す」という意味があり、申請者は交付申請の承認後に国から補助金を受け取る権利を得ます。

【ものづくり補助金の交付申請の前後の流れ】

  1. 採択結果の確認
  2. 補助事業と交付申請の事前準備
  3. 交付申請
  4. 交付申請の審査
  5. 交付決定(交付申請の承認)
  6. 補助事業の開始(補助対象経費の支払い)

交付申請は採択された事業者が採択後に行う手続きです。採択結果は、ものづくり補助金の公式サイトや電子メール、郵送で通知されます。採択結果の受領後、交付申請を行います。

交付申請で承認されると、事業者に交付決定通知が書面で届きます。交付決定通知書の右上にある交付決定日より事業者は、補助事業を開始できます。補助事業を開始すると設備機器やシステム構築など、補助対象経費の発注や支払いが可能になります。

なお、交付申請が承認される前に発注や支払いをされた補助対象経費は、補助金の対象になりません補助事業を開始するために採択された申請者は、ものづくり補助金の公式サイトの「補助事業の手引」を確認し、すみやかに交付申請しましょう。

交付申請の提出期限は設定されていない

交付申請は、いつまでにしなくてはならないという期限は特に設けられていません。しかしながら、交付申請が遅れると補助事業実施期間が短くなる可能性があるため、交付申請は採択後すみやかに行いましょう。

たとえば、一般型般の通常枠で申請した場合、通常の補助事業実施期間は交付決定後から最大で10ヶ月間です。補助事業の終了期限は採択発表日から12ヶ月後の日までと決まっているため、交付決定が2ヶ月以上遅れると、補助事業実施期間が短縮される可能性があります。

また、交付申請の審査によっては、申請した内容が「差し戻し」や「棄却」などで再提出する可能性もあります。交付申請が承認されるまでに時間がかかる場合もあるため、申請者はなるべく早く交付申請をしましょう。

交付申請前に必要な準備を整える

申請者は交付申請をする前に見積の取得や必要書類の用意など、準備を整える必要があります。準備をせずに交付申請をして不備が見つかると、審査で差し戻しになり、事業開始が遅れる場合もあります。申請者は手戻りがないよう、必要な準備を確認していきましょう。

【交付申請前に必要な準備】

  • 見積の手配
  • 賃上げ計画の全従業員への表明
  • 必要書類の用意
  • 補助事業実施のための資金調達
  • 機械装置・システム等の納入時期の確認

※ものづくり補助金の公式サイトから「公募要領 11次締切 1.0版」と「補助事業の手引き 9次締切 1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、土木建設業としてICTブルドーザーを購入する場合は、ICTブルドーザーの見積を交付申請で添付します。また、補助事業を実施するための資金が足りない場合は、補助対象経費を支払えるよう資金調達の準備をしましょう。

交付申請に必要な準備は、申請者自身が用意する書類だけでなく、事業所の従業員や取引先などの第三者に協力してもらいながら用意する書類がありますそのため、申請者は交付申請の準備を把握し、関連する協力者とスケジュールを確認しておきましょう。

交付申請で添付する必要書類を用意する

交付申請では見積書や経費明細書の必要書類があるため、事前に用意しましょう。必要書類には、JグランツからZipファイルとしてダウンロードしてから加工修正するものや、見積依頼書を使って業者から取得するものなどがあります。

【交付申請で添付する必要書類】
ファイルの種類 中に入れる書類 ファイル名(例)
事業計画書等一式(Zip)
  1. 補助事業計画書 (Excel)
  2. 会社全体の事業計画書(Excel)
  3. 実績説明 (Excel)
  4. 経費明細表 (Excel)
  5. 労働者名簿一覧 (Excel)
  6. その他事業実施場所(Excel)
  7. 補助事業計画書別紙(Word)
申請内容ファイル_株式会社SoLabo
事業計画書等一式2(Zip) 見積書(相見積を含む)(PDF) 申請内容ファイル2_株式会社SoLabo

※ものづくり補助金の公式サイトから「補助事業の手引き 9次締切 1.1版」をもとに株式会社ソラボ作成

交付申請で添付するのは、事業計画書一式および事業計画書一式2のZipファイルの2点です事業計画書一式と事業計画書一式2Zipファイルのファイルには、提出する際ファイル名にかならず事業者の名前を入れましょう。

事業計画書等一式はすべての申請者が提出する

事業計画書等一式は「補助事業計画書」「会社全体の事業計画書」などの7ファイルに分かれています必要書類の作成は、申請のときのように事業者が新規で作成するものではなく、Jグランツのマイページにある「申請ステータス」からダウンロードしたファイルを確認し、応募申請時から補助事業計画に変更や修正がある場合は、該当箇所を変更しましょう。

【交付申請時の変更・修正の例】

  • 誤字脱字で気づいたものがあれば修正する
  • 補助対象金額が応募申請時から下がった場合は経費明細表を修正する
  • 補助対象金額が上がった場合は経費明細表の(A)※だけを修正する
  • 計画自体に大きな変更があれば、補助事業計画(Excel)の中にあるプルダウンで「「応募時に変更あり」を選んで記載する

※(B)は修正できない仕様
※ものづくり補助金事務局の電話問合せの回答をもとに株式会社ソラボ作成

ファイルの確認と修正を終えたら、事業計画書一式のZipファイルに各Excelファイルをアップロードします。その際、データ容量は16Mを超えないよう調整しましょう。

なお、補助事業の内容や、補助事業実施場所などを変更する場合は、事前にものづくり補助金の事務局へ相談する必要があります。変更内容が交付申請で完結できる内容か迷う場合は、一度ものづくり補助金の事務局へ問い合わせてみましょう。

事業計画書等一式2では見積書を提出する

事業計画書等一式2で見積書を提出します。その際、見積書は補助対象経費の種類ごとにすべての申請者が用意する必要があります。

また、事業計画書等一式2では、事業者の状況に合わせて履歴事項証明書や賃金引上げ計画の表明書などの書類を提出する場合もあります。

【交付申請で該当する事業者のみが提出する必要書類】
必要書類 概要
見積書(相見積を含む) 見積書は補助対象経費の種類ごとに1通税抜き単価50万円以上の機械設備やシステム構築などの場合は2者以上、中古品を購入する場合は3者以上の相見積が必要
履歴事項証明書(法人)または確定申告書第1表(個人事業主)の写し 交付申請書提出日より過去3か月以内に発行された書類を提出できていない事業者が提出する
賃金引上げ計画の誓約書 事務局より修正を依頼された事業者が提出する
経費の補助事業計画書別紙 補助対象経費で技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費のいずれかを申請した事業者が提出する
申請時の「補助事業の具体的取組内容」および「将来の展望」の変更後のファイル 申請時の「補助事業の具体的取組内容」および「将来の展望」を変更する事業者が提出する

 

※ものづくり補助金の公式サイトから「補助事業の手引き 9次締切 1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、履歴事項証明書を提出する場合、申請時に履歴事項証明書を送付した事業者でも、送付した履歴事項証明書の発行日が交付申請日から起算して3か月より前であれば、再送付が必要になります。

また、見積書は、税抜き単価50万円以上の機械設備やシステム構築などの場合は2者以上、中古品を購入する場合は3者以上の相見積を提出する必要があります。

なお、交付申請の時点でまだ手元に業者から取得した見積がない場合は、早急に見積依頼書を作成し、業者に送付しましょう。見積依頼書の作り方を知りたい人は、「ものづくり補助金の見積依頼書の記入例を解説」も参考にしてみてください。

交付申請手続きはJグランツで行う

ものづくり補助金の交付申請手続きは、Jグランツという補助金の電子申請システムで行います。採択された事業者は申請で使用したGビズIDプライムを使い、Jグランツにログインしましょう。ものづくり補助金に採択された場合、事業者がJグランツにログインすると交付申請の申請フォームが表示されます。

JグランツはGビズIDと連携しているため、交付申請フォームにはあらかじめGビズIDから登録された事業者情報が登録されています。法人名や担当者メールアドレスなどの事業者情報は、Jグランツでは修正できません。変更がある場合は、GビズIDから修正すると、Jグランツのデータに反映されます。

また、事業計画書の内容や購入する機械設備、補助事業の実施場所などを変更したい場合は、ものづくり補助金事務局への連絡が必要です。Jグランツからは変更できないため、事務局へ書式「様式第31 補助事業計画変更承認申請書」を提出し、計画変更の承認を受けましょう。

交付決定後に公募要領の要件に相違があると、原則、採択や交付決定が取り消される可能性があります。交付申請時のデータは一度送信すると変更ができないため、情報に誤りがないかを確認してから提出してください。

交付申請で入力する項目

Jグランツで交付申請をする際は、既に入力されている事業者データを除き、事業の名称や事業終了日など、いくつかの入力項目があります。あらかじめ入力する項目を把握すると交付申請をスムーズに完了できるでしょう。

項目名 注意点
事業の名称


 
30字以内で記入する
事業開始日の決定方法  「交付決定日から開始」を選択する
事業開始日・事業終了日
  • 事業開始日は入力不要
  • 事業終了日は一般型の場合は採択発表日の12か月後、グローバル展開型の場合は採択発表日の14か月後を入力する
補助事業に要する経費・補助対象経費・補助金交付申請額 経費明細書に記載の、(A)事業に要する経費、(B)本事業の補助対象経費、(C)補助金交付申請額の合計欄の金額を入力する。

※ものづくり補助金の公式サイトから「Jグランツ入力ガイド 2.6版」をもとに株式会社ソラボ作成

Jグランツは入力途中で一次保存ができます。交付申請を途中で中断したい場合は、申請画面にある「一時保存」ボタンをクリックします。一次保存をするとJグランツのステータスが「一時保存中」に変わります。

また、ステータスをクリックすれば、交付申請を再開できます。申請者は、状況に合わせて登録をしましょう。

交付申請に不備があると差し戻しになる

交付申請の内容に誤りや確認事項があると、差し戻しとなることがあります。差し戻しになると、補助事業の開始が遅れたり、補助事業実施期間が短縮されたりする可能性があるため、差し戻されないよう不備になる場合を確認していきましょう。

【差し戻しの例】

  • 相見積の条件と品目名が申請書類と違う場合
  • 見積が正しく添付できていない場合
  • 消費税と地方消費税額等仕入れ控除税額は減額していない場合

差し戻しの連絡はメールで届くため、ものづくり補助金の事務局から来るメールは早めに確認して対応しましょう。

なお、ものづくり補助金の事務局から来るメールの本文には、「交付申請に不備があった」旨は記載されず「Jグランツ上のステータスを更新した」旨が記載されています。そのため、連絡を受けた申請者はJグランツヘログインをして、差し戻し箇所を確認しなければなりません。

差し戻し箇所を修正したら、再度「申請する」ボタンを押しましょう。差し戻しが修正された旨を承認されるまでは、まだ交付申請が完了していない状態となります。

相見積の条件と品目名が申請書類と違う場合

ものづくり補助金では、相見積の条件と品目名が申請書類と完全に一致しないとき、差し戻しになることがあります。そのため、相見積を提出する際は書類の条件と品目名が同一であるか確認し、申請時の情報と文字列がすべて同じであるかも確認しましょう。

たとえば、歯科医院が申請時には補助対象経費に「歯列矯正システム」と記載していて、交付申請時には「歯列矯正システム一式」と記載している場合、文字列に相違があるため差し戻しになる可能性があります。

同じ製品やシステムでも、扱う業者が違う場合は名称や条件が異なることがあります。申請者は、書を業者に依頼する段階から、ものづくり補助金で提出するための書類であることを伝え、ものづくり補助金の条件や品目名について共通認識をとっておきましょう。

見積書が正しく添付できていない場合

ものづくり補助金の交付申請では、見積書が正しく添付できていない場合に差し戻しとなることがあります。公募要領には見積書についての条件が書かれているので、公募要領をよく見て、正しい方法で見積書を添付しましょう。

【ものづくり補助金の見積書のルール】

  1. 交付申請では、補助対象経費すべてに対し見積書を提出する必要がある。
  2. 単価50万円(税抜き)以上の物件等については、原則として2社以上から同一条件による見積をとる必要がある。
  3. 中古品の機械設備等を購入する場合は、3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積を取得する。

※ものづくり補助金の公式サイトから「公募要領 11次締切 1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、ものづくり補助金で設備機器と専門家経費を補助対象経費にする場合、設備機器の見積だけでなく専門家経費についても見積が必要です。機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費など、補助対象経費の種類を多く申請する事業者は、添付する見積のファイル数も多くなります。

交付申請の際に添付する見積の数を照らし合わせると、見積の抜け漏れを防げます。交付申請をする際は、事前に何種類で何枚の見積が必要なのかを数を確認しておきましょう。

消費税と地方消費税額等仕入れ控除税額は減額していない場合

交付申請書提出の際、消費税及び地方消費税額等仕入控除税額を減額して記載しなければなりません。交付申請をする際は、消費税または地方消費税額等仕入控除税額を差し引いた金額で申請しましょう。

たとえば、ある技術導入費が税込み500万円で消費税がかかる場合、交付申請で記載する金額は500万円にかかる10万円の消費税を差し引いた450万円です。

補助対象経費に消費税と地方消費税額等を含めた金額を記載すると、差し戻しとなり交付決定が遅れる可能性があります。交付申請の際は、補助対象経費の各項目が税抜きになっているかを確認してから送信しましょう。

この記事のまとめ

ものづくり補助金の交付申請とは、採択された事業者が補助対象経費の申請や事業計画書の確認等を行う手続きです。交付申請が承認されることで、事業者ははじめて補助金を受け取る権利を得られます。

交付申請の手続きは申請と同様、Jグランツを使った電子申請です。交付申請時の必要書類は、Jグランツからダウンロードできます。申請時に入力した情報を確認し、見積や経費明細書などの経費関連の書類を添付しましょう。

交付申請が承認されると、事業者に交付決定通知書が郵送され、交付決定日より事業者は補助事業を開始できます。交付申請の承認が遅れると補助事業のスケジュールが遅れる可能性があるので、不備のない事前準備をしていきましょう。

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