補助金ガイド

ものづくり補助金の採択後に行う手続きと流れを解説

2024/04/17

2022/8/31

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金に採択された後、どんな手続きをするのか知りたい人もいますよね。その際、手続きごとの期限や必要書類が気になる人もいるでしょう。

当記事では、ものづくり補助金の採択後に行う手続きや流れについて解説します。これからものづくり補助金に申請する人や採択された人は、参考にしてみてください。

なお、当記事はものづくり補助金の公式サイトに掲載されている「令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の18次締切分の公募要領」および「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (16次締切) 1.0 版」を元に作成しています。

採択後は補助金を受け取るまでに4つの手続きがある

ものづくり補助金で採択されたら、事業者は「交付申請」「遂行状況報告」「実績報告」「精算払い請求」の4つの手続きをします。事業者が4つの手続きをすべて完了すると、事業者の銀行口座に補助金額が振り込まれます。

【採択後に必要な4つの手続きと提出期限】
手続き名  提出期限
①交付申請

期限なし
※ただし、補助事業実施期間は17次公募と18次公募は2024年12月10日まで

のため、採択発表日から1か月程度までに申請することを推奨

②遂行状況報告

事務局から指定された日

③実績報告

本事業を完了した日から起算して30日を経過した日

又は事業完了期限日のいずれか早い日まで

④精算払請求

期限なし

※補助事業実施期間中に概算払を受けることも可能

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (16次締切)|ものづくり補助金

たとえば、事業者が2024年5月に採択された場合は、6月頃に交付申請を行い、その後約6ヶ月間の補助事業実施期間に入ります。交付決定後3か月後の9月翌年2月頃に遂行状況報告があり、補助事業完了後に実績報告があります。

ものづくり補助金に採択されても、事業者はすぐに補助金(交付決定額)を受け取れるわけではありません。事業者は採択されたあと、4つの手続きをしてから補助金を受け取れると認識しておきましょう。

①交付申請

交付申請は、ものづくり補助金の事務局が申請者を正式に補助事業者にするかを審査するための手続きです。交付申請で事業者が新たに送る主な書類は、見積書です。見積書以外の書類は、事業者が応募申請時に送った応募データをJグランツからダウンロードし、確認・修正して送付します。

【交付申請で添付する必要書類】
ファイルの種類 中に入れる書類 ファイル名

事業計画書等一式

(Zipファイル)

①補助事業計画書 (Excel)

②補助事業計画書別紙(技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費の詳細)

③会社全体の事業計画書(Excel)
④実績説明 (Excel)
⑤経費明細表 (Excel)
⑥労働者名簿一覧 (Excel)
⑦その他事業実施場所(Excel)
⑧補助事業計画書別紙(Word) 

申請内容ファイル_(会社名)

事業計画書等一式2

(Zipファイル)

①見積書(相見積書りを含む)(PDF)

②履歴事項全部証明書の写し(法人)または

確定申告書(第1表)の写し(個人)

申請内容ファイル2_(会社名)

参考:jグランツ入力ガイド|ものづくり補助金ガイド

たとえば、事業者が補助対象経費で設備機器・システム構築費と運搬費を支払う場合は、設備機器・システム構築費と運搬費の2品目分の見積書を添付します。

また、事業者が補助対象経費の金額を変更したい場合は、経費明細表の金額を修正し、他の書類とともに「事業計画書等一式」のZipファイルに入れてアップロードします。

ものづくり補助金の交付申請は、補助金候補者となった申請者が最終的な補助金額や計画を申請するための手続きです。交付申請が受理されると、事業者が申請した補助事業を開始できるので、応募申請が審査に通過した人は忘れずに交付申請をしてください。

なお、交付申請の詳細を知りたい人は、「ものづくり補助金の交付申請とは?必要書類や期限を解説」の記事で確認してみてください。

補助事業実施期間中に発注から効果検証まで全て終わらせる

事業者は補助事業実施期間中に、事業計画に記載した設備投資の「発注」「納品」「支払い」「効果検証」を全て終わらせましょう。事業者が発注から効果検証まで終わらせることが、ものづくり補助金で補助金を受け取るための要件だからです。

【補助事業実施期間に補助事業者が実施すべきこと】

実施すべきこと 内容
発注 交付決定された機械設備やシステム構築等の発注を行う。

補助対象物件受払簿の整備/

検収作業

機械設備やシステムの納品前後に、事業者は「補助事業の手引」を見ながら補助対象物件受払簿の整備、購入物件ごと及び送付伝票の写真を撮るなどのを行う。

機械設備やシステム代金の支払い

銀行振込で行う。銀行振込受取書はかならず保管しておく。

※概算払いが必要であれば概算払い請求を行う

補助事業の実施/

効果検証

交付決定時の事業計画どおりに補助事業を行い、導入した設備投資の効果検証を行う。

事務局への対応 事務局から中間監査の依頼があった際は対応する

設備の保管

購入した機械設備やシステム構築等は、交付決定時に申請した保管場所で保管する

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (16次締切)|ものづくり補助金

たとえば、購入前後の機械設備の写真を撮っていない場合や、所定の方法で貼っていない場合は、事務局より添付書類等の追加・修正を依頼されることがあります。

申請者は、補助事業完了日と、補助事業実施期間中に実施する内容を確認しておきましょう。補助事業実施期間中に実施する内容は、ものづくり補助金の公式サイトにある説明動画「【ものづくり補助金】採択事業者向け説明動画-補助事業実施編」で確認できます。

交付決定後の計画変更は事務局の承認を得なければならない

交付決定後の計画変更は、事務局の承認を得なければなりません。事業計画変更の事後承認はできないため、事業計画を変更したい場合は必ず事務局まで連絡しましょう。

【計画変更の理由の例】


  • ①見積もり取得後の価格変更

補助対象経費を総額で100万円にしていたが、見積依頼をしたあとで、120万円に変更することになった

  • ②メールアドレス変更

 Jグランツに登録しているメールアドレスを、担当者変更により変更しなければならなくなった

  • ③原材料の入手不可

承認された事業計画のうち、一つのプロジェクトについて原材料が入手できなくなったので、廃止しなければならなくなった

たとえば、交付決定時にはない補助対象経費を連絡なしに追加した場合は、追加した補助対象経費が承認されない可能性があります。また、事業者が補助事業者としての義務を怠ったとみなされ、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に違反しているとして罰則を受ける可能性もあります。

ものづくり補助金の採択後は、補助事業期間が6か月~10か月間あります。補助事業期間の途中で補助対象経費や補助事業実施場所などの変更があるときは、必ずものづくり補助金の事務局へ相談しましょう。

ものづくり補助金の採択後の変更手続きについて知りたい人は、「ものづくり補助金で採択後に変更したい場合の手続きを解説」で詳細を確認してください。

②遂行状況報告

遂行状況報告は、交付決定から約3か月後に事業者が途中経過を事務局へ伝える中間報告です。遂行状況報告書には交付申請以降に変更した項目や経費、予定より遅れている補助事業の内容などを記載します。

たとえば、交付申請では9月より補助事業を開始すると連絡したのに、10月からの開始に変更となった場合は、遂行状況報告で報告します。また、遂行状況報告書では補助事業に変更がない場合は、「事業計画どおりに進んでいる」と報告します。

遂行状況報告書の提出タイミングについては、地域事務局からメールで連絡が来ます。地域事務局から連絡が来たら、事業者は提出期限までに遂行状況報告書を提出しましょう。

なお、遂行状況報告書の書き方や提出期限について詳しく知りたい人は、「ものづくり補助金の遂行状況報告書の作成方法と記入例を解説」の記事も確認してみてください。

遂行状況報告とは別に中間監査で現地調査されることがある

遂行状況報告とは別に、事務局担当者が中間監査で補助事業実施場所を現地調査することがあります。そのため、事業者はいつ中間監査を受けてもよいように、補助事業実施場所を常に整理・整頓しておきましょう。

たとえば、中間監査では事務局の担当者が補助事業場所に来て、実際に購入した製品や発注書を見せるように依頼する可能性があります。また、補助事業の進捗状況を説明するよう依頼されることもあります。

交付申請と遂行状況実施報告をした後も、事業者には中間監査を受ける可能性があります。補助事業の状況をいつでも報告できるよう、事業者は補助事業実施場所と関連書類を常に整理しておきましょう。

③実績報告

実績報告は、事業者が補助事業を完了する際、事務局へ補助事業の報告をする手続きです。実績報告はこれまでの手続きよりも必要書類が多く、2つのフォルダを作成し、申請時にJグランツから添付します。

【A_費目共通フォルダと中に入れる書類一覧】
フォルダ名 フォルダに入れる書類名 使用する書式名 ファイル形式
①A-1_実績報告書  ①実績報告書 様式第6の別紙1 PDF
②経費明細表 様式第6の別紙2  Excel
③取得財産等管理台帳 様式第7 Excel
④試作品等(成果) 受領書 様式第12  PDF
②A-2_出納帳 ⑤預金出納帳、現金出納帳

※事業者が用意する書式

PDF
⑥通帳コピー(表紙含む)


※事業者が用意する書式 

PDF

※専門家経費を個人払いで支払った場合のみ、「A-2_預り金」フォルダを作成し、預り金元帳と納付書コピーを提出します。

【B_費目別フォルダと中に入れる書類一覧】
フォルダ名 中に入れる書類名
B-1_機械装置・システム構築費 ①見積書依頼書
②見積書書
③相見積書書
④注文書
⑤受注書
⑥納品書
⑦請求書
⑧振込依頼書
B-2_技術導入費 同上
B-3_専門家経費
B-4_運搬費
B-5_クラウドサービス利用費
B-6_原材料費
B-7_外注費

参考:令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【実績報告資料等作成マニュアル】令和2年10月 第1.0版|ものづくり補助金

1つ目の「A_費目共通」のフォルダの中には、「A-1_実績報告書」「A-2_出納帳」の2つのフォルダを作成します。また、2つのフォルダの中に実績報告書や経費明細表など、合計6点のファイルをアップロードします。

2つ目の「B_費目別」のフォルダの中には、運搬費や外注費など、支払った経費の費目の分のフォルダを作成します。また、経費の費目のフォルダの中に見積書依頼書や見積書書など、計8点のファイルをアップロードします。

実績報告では、提出する書類が複数あります。提出物の抜け漏れを防ぐため、実績報告をする前にものづくり補助金の公式サイト「補助事業の手引」ページにある「実績報告資料等作成マニュアル」を確認しておきましょう。

確定検査で承認されると補助金の振込手続きへ進める

事業者は確定検査で承認されると、補助金の振込手続きへ進むことができます。補助金の振込手続きは「精算払請求」という名称で、事業者は確定検査で承認されるとJグランツで精算払請求へ進めます。

【実績報告~補助金振込までのイメージ】

画像素材:補助金ガイド

たとえば、事業者が10月に実績報告をして11月に確定検査に承認されると、12月頃に事業者はJグランツから「精算払請求」の手続きができるようになります。補助金の振込は、事業者がJグランツで精算払請求の申請後になります。

ものづくり補助金で事業者が補助金を受け取るには、実績報告後の確定検査で承認される必要があります。これから補助事業を行う人は、事業者は確定検査のあとに補助金の振込手続きができると認識しておきましょう。

④精算払請求

精算払い請求とは、事業者が補助金振込を事務局へ依頼するための手続きです。確定検査が承認されると、事業者はJグランツから精算払請求の手続きができるようになります。

【精算払請求で入力する項目】

  1. 補助金精算払請求額
  2. 補助金交付決定額
  3. 補助金確定額
  4. 概算払受領済額
  5. 精算払請求額

    参考:交付規程に基づき全国中央会が定める様式|ものづくり補助金

    たとえば、概算払請求をしていない場合は、4.概算払受領済額を0円で記入します。

    精算払請求は、補助事業と3つの手続を終えた事業者が行う補助金の振込手続きです。精算払請求で事業者は、交付決定額や補助金確定額を入力します。事業者は経費関連の資料を紛失しないよう、大切に保管しておきましょう。

    補助金の入金後も計6回の報告義務がある

    補助金を受け取ったあとも、事業者はものづくり補助金の「補助事業の手引」に記載の報告義務があります。そのため、事業者は事務局へ計6回、「事業化状況・知的財産権等報告書」を提出します。

    たとえば、事業者が2024年に10月に補助金を受け取った場合は、2025年4月1日から60日以内に初回の「事業化状況・知的財産権等報告書」を提出し、以降毎年4月1日から60日以内に「事業化状況・知的財産権等報告書」を5年間、2030年4月~6月の6回目まで提出します。

    また、ものづくり補助金事務局から依頼された場合は、補助金受取後も随時調査に応じなければなりません。

    ものづくり補助金では補助金を受け取ったあとも、事業者には事務局への報告手続きがあります。報告を忘れてしまうと、事務局から連絡が来ることや、他の補助金に申請できなくなる場合もあるため、忘れずに報告するようにしましょう。

    この記事のまとめ

    ものづくり補助金の採択後の流れは、事業者が交付申請、遂行状況報告、実績報告という3つの手続きを経て、事務局が確定検査をして承認されたら、補助金の振込手続きができる仕組みになっています。

    採択後の手続きを忘れると、補助事業の開始が遅れることや、最終的に補助金が受け取れなくなる可能性があります。

    また、補助金が振り込まれたあとも事業者は「事業化状況・知的財産権等報告書」という報告書を計6回提出することが義務付けられています。補助金を受け取ったあとも、事業者はものづくり補助金の事務局へ報告手続きがあることを忘れないようにしましょう。

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