補助金ガイド

ものづくり補助金のグローバル展開型の概要と採択率を解説

2022/6/3

2022/06/03

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

お客様の資金調達支援実績4,500件以上 自社でも、
小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金の採択をされている。

ものづくり補助金のグローバル展開型は、いまのビジネスを海外市場でも展開したい事業者や、インバウンド向けのサービス等を始めたい事業者などに適した補助金です。

中小企業が利用できるグローバル系の補助金はいくつかありますが、ものづくり補助金のグローバル展開型は、主に設備投資に使える補助金です。

今回の記事では、ものづくり補助金のグローバル展開型に申請したい事業者向けに、グローバル展開型の対象や補助金額などの概要と、ものづくり補助金の一般型と比べた採択率について解説します。

なお、この記事は11次ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の公募要領を元に作成しています。

ものづくり補助金のグローバル展開型は国内および海外で事業展開する人向け

ものづくり補助金のグローバル展開型は、主に国内の事業拠点をもちながらグローバルに事業展開する、中小企業者向けの補助金です。ものづくり補助金のグローバル展開型の主な目的は、国内の中小企業者の海外事業の拡大・強化です。

【ものづくり補助金のグローバル展開型】
補助金額

1,000万円~3,000万円

※従業員数に制限なし
補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費
補助事業の実行期間

補助金交付決定日から12ヶ月以内

※ものづくり補助金の公式サイトにある「公募要領」をもとに株式会社ソラボ作成

ものづくり補助金のグローバル型は一般型とよく比較されますが、グローバル展開型は一般型にくらべて「補助金額が大きい」「補助金額に従業員数の制限がない」などの特徴があります。グローバルな事業をしていて補助金額が大きい補助金を探している人は、グローバル展開型も検討してみましょう。

なお、ものづくり補助金全体の概要について興味のある人は、「ものづくり補助金とは?概要をわかりやすく解説」が参考になります。

グローバル展開型には4つの類型がある

ものづくり補助金のグローバル展開型には、①海外直接投資②海外市場開拓③インバウンド市場開拓④海外事業者との共同事業の4つの類型があります。ものづくり補助金のグローバル展開型に応募する事業者は、①~④の類型から1つの類型を選択して申請します。 

【グローバル展開型の4つの類型と活用例】

類型

特徴

①海外直接投資

国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制 を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業向け

②海外市場開拓

国内で事業を行い、製品等の販売先の1/2以上が海外の事業向け

③インバウンド市場開拓

国内で事業を行い、サービス等の販売先の1/2以上が訪日外国人の事業向け

④海外事業者との共同事業

国内で事業を行い、外国法人と共同研究などを行い、その成果物の権利(一部可)が帰属する事業者向け

※ものづくり補助金の公式サイトにある「公募要領」をもとに株式会社ソラボ作成

ものづくり補助金のグローバル展開型の「①海外直接投資」以外の類型に申請する場合、事業者が補助事業を行う場所は、国内に限られます。また、補助事業を行う事業者の本社所在地も、国内のみに限られます。

そのため、海外に本社をもち日本に本社がない企業(日本支店のみの場合)は、ものづくり補助金の対象外です。ただし、日本に本社がある企業が、海外の子会社と補助事業をすることは認められています。

また、ものづくり補助金で得た機械設備などは、海外子会社が補助事業の実施主体である場合は、海外子会社も利用できます。その場合、国内親会社と海外子会社の間で、レンタル契約書を書面で交わす必要があります。

ものづくり補助金のグローバル展開型の対象は3つの条件を満たす事業者

ものづくり補助金のグローバル展開型の対象となる事業者は、3つの条件をすべて満たす事業者です。

【グローバル展開型の対象となる3つの条件】

  • 基本要件をすべて満たす
  • 申請する類型の要件を満たす
  • 設備投資の財源を確保する

ものづくり補助金のグローバル展開型に申請したい事業者は、それぞれの条件の詳細を確認し、ものづくり補助金のグローバル展開型の対象に当てはまることを確認してみましょう。

基本要件をすべて満たす

ものづくり補助金のグローバル型に応募する事業者は、ものづくり補助金の基本要件をすべて満たす必要があります。ものづくり補助金の基本要件は大きくわけて3つあります。

【ものづくり補助金の基本要件】

①付加価値額 +3%以上/年

②給与支給総額 +1.5%以上/年

③事業場内最低賃金地域別最低賃金+30円」

引用元:引用元:令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (11次締切分)|ものづくり補助金の公式サイト

付加価値額とは、営業利益と人件費と原価償却費を足したものです。ものづくり補助金に応募する事業者は、自らが作成する35年の事業計画の中で、3つの基本要件をクリアする必要があります。

なお、事業計画に書いた数値を実際に達成できない場合、「補助金の一部の変換を求める」と公募要領に記載されています。ものづくり補助金に応募する人は、目標達成の実現可能性を考えて計画を立てましょう。

申請する類型の要件を満たす

ものづくり補助金のグローバル型に応募する事業者は、事業者が申請する類型の要件も満たす必要があります。そのため、ものづくり補助金のグローバル型に応募する事業者は、類型ごとに設定された個別の要件を確認する必要があります。

【グローバル展開型の類型の個別要件】

①類型:海外直接投資

  •  国内拠点と海外拠点の双方をもつこと
  • 補助対象経費の1/2以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社の事業活動に対する外注費または貸与する機械装置・システム構築費に充てられること
  • 国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得 (設備投資)できること

②類型:海外市場開拓

  • 製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客であること
  • 計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること

③類型:インバウンド市場開拓

  • サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人であること
  • 計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること

④類型:海外事業者との共同事業

  • 外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であること

※ものづくり補助金の公式サイトにある「公募要領」をもとに株式会社ソラボ作成

各類型の要件を満たしていることを確認できたら、各類型にあった事業計画書を作成します。また、類型ごとに求められる書類もあるため、公募要領の添付書類について書かれたページで「グローバル展開型のみ」と書かれた書類の準備をはじめましょうものづくり補助金の必要書類については、「ものづくり補助金で申請時に必要な書類の揃え方と記載例」から確認できます。

設備投資の財源を確保する

ものづくり補助金のグローバル展開型に応募する事業者は、設備投資の財源を確保する必要があります。事業者が設備費用を支払うタイミングは、ものづくり補助金が手に入るよりも前だからです。

事業者が設備投資のために用意する金額は、事業者が設備投資にいくらかけるのかによって変わります。グローバル展開型でキャッシュバックされるのは、事業者が設備投資で実際に支払う金額に補助率(中小企業者:1/2、小規模事業者等:2/3)をかけた金額で、1,000万円~3,000万円の範囲です。

たとえば、中小企業の事業者が一般型の通常枠で3000万円の設備投資をする場合、はじめに3,000万円用意し設備を購入します。そして、採択後に1,500万円が戻ってきます。

また、小規模事業者が一般型の通常枠で3000万円の設備投資をする場合、はじめに3,000万円を用意して、採択後に2,000万円戻ってくる仕組みです。

とくに、グローバル展開型は一般型と比較して補助金額が高いため、予め用意しなければならない金額も高くなります。ものづくり補助金のグローバル展開型に応募する事業者は、設備投資の財源を確保できるよう準備しておきましょう。

グローバル展開型の採択率は一般型と比較して低い

ものづくり補助金のグローバル展開型の採択率は、一般型と比べて低くなっています。この理由として、グローバル展開型の事業計画が、一般型よりもさらに高い事業提案が求められるからです。ものづくり補助金の公募要領には、グローバル展開型の事業計画について、以下のように記載されています。

「本事業では、応募時に提出いただいた事業計画書を外部有識者からなる審査委員会が評価し、 より優れた事業提案を採択します。グローバル展開型は特に優れた内容を求めます。

引用元:令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (11次締切分)|ものづくり補助金の公式サイト

グローバル展開型の難易度が採択率にどう影響するのか、グローバル展開型の採択率を一般型とともに以下の表で並べました。

【グローバル展開型と一般型の採択率の違い】
※(カッコ)は一般型の数値

公募回

応募数

採択数

採択率

4

271(10,041

46(3,132

16・97%(31.19%)

5

160(5,139

46(2,291

28・75%(44.58%)

6

105(4,875

36(2,326

34.28%(47.71%)

7

93(5,414

39(2,729

41.93%(51.32%)

8

69(4,584

27(2,753

39.13%(60.05%)

9

61(3,552

24(2,223

39.34%(62.58%)

※ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成
※グローバル展開型は令和元年度補正・令和三年度補正予算の第四回からスタートしたため、第四回から採択結果の出ている回までの計六回をカウント

グローバル展開型の採択率は、全6回平均:33.4%でした。これに対し、一般型の採択率は49.5%とグローバル展開型よりも高い数値です。グローバル展開型の採択率は一般型の採択率より低いため、グローバル展開型に申請する事業者は、「事業計画書の完成度をあげる」「申請時にケアレスミスをしない」などの対策を行うのもひとつの方法です。

加点が多いほど採択されやすい

ものづくり補助金では加点が多い事業者ほど、採択されやすいです。そのため、ものづくり補助金のグローバル展開型に採択されたい事業者は、要件のあう加点申請を探すことが審査を有利に進めるための対策のひとつになります。

加点が採択率に関係する根拠は、ものづくり補助金の「データポータル」にあるグラフです。データポータルには応募・採択に関わるグラフが公開されています。加点数が0個よりも1個、1個よりも2個の事業者のほうが、採択率が高いことがわかります。

【加点と採択率の関係】

加点の個数

採択率

0

29.4%

1

49.9%

2

63.9%

3

73.0%

※ものづくり補助金の公式サイトにある「データポータル」をもとに株式会社ソラボ作成

なお、加点申請はあくまでも任意です。加点には成長性加点や政策加点など4種類あり、それぞれ異なる要件と必要書類があります。加点についてのくわしい内容は、関連記事「ものづくり補助金の加点とは?採択率との関係性も解説」で確認できます。

グローバル展開型の採択例は公式サイトから確認できる

グローバル展開型の採択例は、ものづくり補助金の公式サイトの「採択結果」から確認できます。過去の採択事例には、グローバル展開型に採択された企業名や都道府県名、事業計画のタイトルが掲載されています。

たとえば、企業名等をネット検索すれば、ものづくり補助金に採択された事業計画がどのような内容なのかを詳しく知る糸口となります。公式サイトを確認すると、第四回~第九回までのグローバル展開型の採択例には、以下のような例があります。

【グローバル展開型の採択件数と採択例】
公募回 採択例
第四回
  •  最新型自動茹上機の導入によるアメリカへの焼きそばの輸出 
  • 日本食ミールキットのアメリカへの販売
  • 国内と海外顧客をつなぐグローバルECプラットフォームの開発
第八回
  • ベトナム事業開始による輸送用冷凍空調機メンテナンスサービスの国内外事業の一体的強化
  • 搾りたてのフレッシュな生酒の量産体制確立と中国・台湾への輸出の展開
  • ベビーフードの中国市場開拓と中国向け新商品開発事業
第九回
  • 台湾市場向けワイヤーレス建方工法専用治具の製造及び販路開拓
  • 日本発・世界初の大豆ミートを輸出するために、生産性を向上させる 計画
  • 機能性フィルム事業の海外市場開拓

※ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成

ものづくり補助金のグローバル展開型に応募する予定の人は、公式サイトの採択事例も参照してみましょう。

グローバル展開型に申請するときの流れ

ものづくり補助金のグローバル申請型に申請する際の流れを解説します。申請の流れは大きくわけて、「公募要領の確認」「書類の用意」「電子申請」の3つです。 

ものづくり補助金のグローバル申請型に申請する人は、それぞれの工程を確認し不備のない申請ができるように準備していきましょう。 

公募要領の確認

ものづくり補助金に申請する方が最初にすべきことは、公募要領の確認です。ものづくり補助金の「公募要領」とは、申請する事業者が守るべきルールや、申請時の書類の種類などについて書かれた、ルールブックです。ものづくり補助金の公募要領は公募回ごとに新しいものが公式サイトで配布されます。

公募要領をしっかり確認しないと、せっかく時間をかけて書類を申請しても、不受理になることがあります公募要領にはグローバル展開型独自の細かいルールもすべて書かれています。

たとえば、グローバル展開型の補助対象計の1つ:海外旅費の適用は、「専門家あわせて1度に2名までの渡航である」といった内容が、公募要領に書かれています。

事業計画書などの必要書類の用意

次に事業者がすべきことは、事業計画書などの必要書類の用意です。ものづくり補助の必要書類は、以下のとおりです。

この中の事業計画書は、公募要領に書かれている審査項目という名の4つのポイントすべてを満たす必要があります。また、書類を提出する際にはファイル名やページ数について規定があるので、公募要領を見ながらルールを守った形に整えます。ものづくり補助金の事業計画書の書き方については、こちらの記事「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」で確認できます。

なお、回復型賃上げ・雇用拡大枠などの通常枠以外に応募する場合は、「確定申告書類」などの別の書類も必要になります。加点申請する場合も、加点の内容に関わる書類の用意が必要です。ものづくり補助金の必要書類については、こちらの記事「ものづくり補助金で申請時に必要な書類の揃え方と記載例」を参考にしてみてください。 

海外展開をサポートしてくれるハンズオン支援

ものづくり補助金の公式ページトップ画面の「日本貿易振興機構(ジェトロ)からのお知らせ」では、海外展開をサポートしてくれるハンズオン支援の紹介ページが掲載されています。ハンズオン支援とは、JETRO(日本貿易振興機構)が実施する海外展開を目指す事業者へのさまざまなサポート制度です。正式名称は、新輸出大国コンソーシアム:ハンズオン支援と言います。

具体的なサポート内容は、以下のとおりです。事業者をひとりにせず、海外ビジネスに精通した専門家(パートナー)が個別対応で伴走してくれるという特徴があります。

【ハンズオン支援の支援内容の例】

  • 海外事業計画の作成
  • 現地のF/S調査(企業化調査)
  • 現地での販路開拓
  • 海外出張への同行

なお、ものづくり補助金とハンズオン支援は、直接の関係はありませんただし、ものづくり補助金を使って海外展開をしたいけれど、事業計画書の作り方がわからないなどの悩みをもつ人には、JETROのハンズオン支援の利用も検討してみましょう。

電子申請システムから申請

ものづくり補助金の申請は、電子申請システムから行います。電子申請システムには、ものづくり補助金の公式サイト「電子申請」をパソコンのブラウザで表示させ、「電子申請システムへ」というボタンからアクセスできます。

ものづくり補助金の電子申請システムは、GビズIDという行政システムを使用しています。ものづくり補助金の電子申請をするためには、GビズプライムIDという無料アカウントを作成する必要があります。アカウントの申請には23週間かかりますので、ものづくり補助金の申請準備をする際に、忘れずに申請しましょう。

この記事のまとめ

ものづくり補助金のグローバル展開型は、ものづくり補助金のグローバル展開型は、いまのビジネスを海外市場でも展開したい事業者や、インバウンド向けのサービス等を始めたい事業者などに適した補助金です。 グローバル展開型には4つの類型があり、それぞれ異なる要件と提出書類が設定されています。グローバル展開型は一般型よりも採択率が低いものの、加点の個数が多ければ多いほど採択率は高まります。 グローバル展開型に応募する事業者は、応募する回の公募要領をよく読み、加点の申請も検討してみましょう。

専門家と一緒に補助金を申請しませんか?

補助金の申請はどうしたらいいの?

私も申請できる?

準備は必要?

何から調べればいい?

SoLaboの専門家が補助金調達をサポートします。
申請サポートは以下からお問い合わせください。

share!!