補助金ガイド

事業再構築補助金における申請要件を解説

2023/12/05

2022/10/6

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業再構築補助金へ申請を検討している人の中には、申請の要件が知りたい人もいますよね。また、申請枠ごとに定められている要件を確認したい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築補助金における申請要件を解説します。すべての申請者に共通する要件や申請枠別の要件を解説するので、事業再構築補助金の申請にかかわる要件が知りたい人は参考にしてみてください。

なお、当記事は、第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとにして解説しています。

すべての申請者に共通する申請要件が3つある

事業再構築補助金において、すべての申請者に共通する要件は3つあります。申請者は、事業再構築の目的によってわけられた「申請枠」をひとつ選択し、申請枠に定められている要件を満たす必要があります。

【申請枠と申請枠に共通する申請要件】
申請枠 申請枠に共通する申請要件
  • 成長枠
  • グリーン成長枠
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 産業構造転換枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • 事業再構築要件
  • 認定支援機関要件
  • 付加価値額要件

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

申請枠には要件が定められており、すべての申請枠で満たす必要のある要件が「事業再構築要件」「認定支援機関要件」「付加価値額要件」の3つです。事業計画を作成する際は、すべての申請枠に共通する要件と、申請枠ごとに異なる要件の両方を満たす計画をたてます。

すべての申請枠に共通する要件は、事業再構築補助金に申請する際の必須の要件であるため、申請予定の人は必ず確認しておきましょう。

事業再構築要件

事業再構築要件を満たすには、事業再構築の4つの定義の中からひとつの定義を選択し、事業の方向性を決める必要があります。また、事業再構築の定義ごとに要件が定められており、定義ごとの要件を満たした事業計画を作成することで、事業再構築要件を満たしたことになります。

【事業再構築の定義と要件】
事業再構築の定義 概要 要件
新市場進出
  • 既存の業種のまま新分野への参入や業態の
    変更を行う
【例】
喫茶店経営⇒新たに食品の販売、焼き肉店開業
① 製品等の新規性要件
② 市場の新規性要件
③ 新事業売上高10%等要件
事業転換※
  • おもな業種を変更する
【例】
製造業⇒建設業
① 製品等の新規性要件
② 市場の新規性要件
③ 売上高構成比要件
業種転換※
  • おもな事業を変更する
【例】
美容室経営⇒ネイルサロン経営
① 製品等の新規性要件
② 市場の新規性要件
③ 売上高構成比要件
事業再編
  • 会社法上の組織再編行為を実施後、
    「新市場進出」「事業転換」「業種転換」の
    いずれかの事業再構築に取り組む
【例】
吸収合併後、新たな分野へ参入する
① 組織再編要件
② その他の事業再構築要件
※転換する事業や業種は総務省「日本標準産業分類」を参考
(例:事業=中分類以下、業種=大分類)

参考:事業再構築補助金公式サイト「電子申請用資料>事業構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

事業再構築要件を満たすには、4つの定義のうちひとつにあてはまる事業計画を作成する必要があります。事業再構築の定義ごとに定められた要件を知りたい人は「事業再構築補助金の事業再構築要件とは?類型ごとの要件も解説」を参考にしてみてください。

認定支援機関要件

認定支援機関要件を満たすには、認定支援機関に事業計画の確認をしてもらう必要があります。認定支援機関は、国が認めた中小企業支援の専門家であり、事業再構築補助金において事業計画の確認や確認書を発行する役割を担っています。

【認定支援機関要件】
ア.事業計画は、認定経営革新等支援機関とご相談の上、確認を受けてください。
「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出してください。
イ.補助金額が3,000万円を超える事業計画は、金融機関及び認定経営革新等支援機関
(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)による確認を
受けている必要があります。
補助金額が3,000万円を超える事業計画は、「金融機関による確認書」を提出してください。
※ 卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠に申請する場合や、補助率引上げを受ける場合は、
すべての補助金額を合算して 3,000 万円を超える案件において、金融機関による事業計画の
確認が必要になります。

引用:第11回事業再構築補助金「公募要領

認定支援機関に登録されている専門家は、金融機関や商工会および商工会議所、税理士や中小企業診断士など多様です。

また、認定支援機関によっては、事業計画の確認や確認書の発行以外にも申請の相談や申請手続きのサポートなど、事業再構築補助金の手続きにかかわるサポートを実施している機関もあります。

事業再構築補助金の申請にかかわる相談や手続きのサポートを依頼したい人は、認定支援機関の活用を検討してみてください。認定支援機関のサポート内容や選び方は「事業再構築補助金における認定支援機関とは?役割や選び方を解説」で確認できます。

付加価値額要件

付加価値額要件を満たすには、補助金を活用する事業である「補助事業」後に、付加価値額が増加する事業計画を作成する必要があります。補助事業後3~5年で付加価値額が年平均3~5%以上増加する事業計画をたてることで、要件を満たしていることを示します。

【申請枠ごとの付加価値額要件】
申請枠 付加価値額要件(①または②を満たす事業計画の策定)
成長枠
グリーン成長枠
(エントリー)
① 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4%以上増加見込み
② 従業員一人あたり付加価値額の年率平均4%以上増加見込み
グリーン成長枠
(スタンダード)
① 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5%以上増加見込み
② 従業員一人あたり付加価値額の年率平均5%以上増加見込み
産業構造転換枠
最低賃金枠
物価高騰対策
・回復再生応援枠
① 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3%以上増加見込み
② 従業員一人あたり付加価値額の年率平均3%以上増加見込み
ア.付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
イ.成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する
(申請者における)決算年度の付加価値額とします。

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

付加価値額要件の達成条件は、申請枠ごとに達成基準となる数値が異なります。そのため、事業計画書に収益計画を記載した後は、自社が選択した申請枠の達成基準の数値を満たしているか、確認が必要です。

付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」を用いて計算します。また、達成条件の計算には付加価値額の伸び率を用いるため、付加価値額伸び率の計算方法も確認しましょう。

付加価値額の計算方法や、事業計画書における付加価値額の記載例が知りたい人は「事業再構築補助金における付加価値額の計算方法と記載例を解説」を参考にしてみてください。

なお、グリーン成長枠のエントリーとスタンダードでも達成基準となる数値が異なります。グリーン成長枠のエントリーやスタンダードに申請する事業者は、収益計画を記載する際、達成基準となる数値を間違えないように気を付けましょう。

成長枠における申請要件

成長枠は、補助事業において成長分野に挑戦する取り組みができる申請枠です。

【成長枠の申請要件】
項目 要件
補助金額 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
補助率
  • 中小企業者等1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3 )※1
  • 中堅企業等1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2)※1
補助事業実施期間
  • 交付決定日~12か月以内 ※2
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 ①建物費②機械装置・システム構築費(リース料を含む)
③技術導入費④専門家経費⑤運搬費⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費⑧知的財産権等関連経費⑨広告宣伝・販売促進費⑩研修費
補助事業の要件 ①事業再構築要件②認定支援機関要件③付加価値額要件
④市場拡大要件⑤給与総額増加要件(⑥補助率引上要件 ※3)
※1 大規模な賃上げ:事業終了時点で「事業場内最低賃金+45円」「給与支給総額+6%
を達成すること」
※2 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある
※3 補助率引上げを受ける場合の追加要件

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

補助事業の実施期間は、交付決定日から12か月以内であり、補助対象となる経費は、補助事業の実施期間中に契約および支払いが完了されているものだけです。そのため、補助事業実施期間を超えて支払いを完了した経費は、補助の対象外となります。

また、交付決定日から12か月以内の日付が、採択発表日から14か月を超えている場合は14か月を超えた分の経費は補助されません。交付決定日が決まった際は、いつまでに事業を完了させる必要があるか、スケジュールを確認しておきましょう。

成長枠における補助事業の要件

成長枠における補助事業の要件は、共通する要件に加えて「市場拡大要件」「給与総額増加要件」の2つの要件があり、場合によっては「補助率引上要件」も満たす必要があります。「補助率引上要件」は、成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者で、補助率引上げをする場合に発生する追加要件です。

【成長枠における補助事業の要件】
要件 内容
市場拡大要件
  • 取り組む事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大
    する業種・業態に属していること
<例>
  • 2009年と比べ2019年の市場規模が10%以上拡大し、2009年~2019年まで
    一貫して市場規模が上昇傾向にある
  • 2009年と比べ2019年の市場規模が10%以上拡大し、前年比で縮小している
    年もあるが、全体的に市場が上昇傾向にある
  • 過去10年間で市場規模が10%以上縮小し、今後10年間で市場規模が10%以上
    拡大する場合
要件を満たすためにやること
①成長枠対象業種・業態リスト(※1)に補助事業で取り組む業種や業態の記載が
ある場合
  • 市場拡大要件を満たすことの説明書を提出
②成長枠対象業種・業態リストに補助事業で取り組む業種や業態の記載がない場合
  • 市場拡大要件を満たすことの説明書に、要件を満たす根拠となるデータを
    添付し、提出
給与総額増加
要件
内容
  • 補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
要件を満たすためにやること
  • 要件を満たす事業計画書を作成
  • 賃金引上げ計画の誓約書の提出
(別途、法人事業概況説明書や所得税青色申告決算書などの書類を添付)
補助率引上
要件※2
内容
  • 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること
  • 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
要件を満たすためにやること
  • 大規模な賃上げに取り組むための計画書を提出
※1 対象となる業種・業態の指定は次回公募以降見直される可能性がある
※2 実績報告後の初回の事業化状況報告において要件の達成状況が確認できた場合、
補助率引上げ分である補助率1/6分の金額が追加で支給される
(補助事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年率平均2%以上増加できなかった
場合、追加支給分の1/6の金額は変換が必要)

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

市場拡大要件を満たしたい場合、補助事業で取り組む業種や業態が事務局の指定する「成長枠対象業種・業態リスト」に該当していれば「市場拡大要件を満たすことの説明書」を記載のうえ、申請の際に事業者が提出することで要件を満たしたことになります。

成長枠対象業種・業態リストに記載がない場合でも、公的機関の統計データや業界レポートをあわせて提出することで、要件を満たしていると示すことができます。

給与総額増加要件を満たしたい場合、補助事業終了後の3~5年間で給与支給総額を、年率平均2%以上増加させる事業計画を作成し「賃金引上げ計画の誓約書」を提出する必要があります。給与支給総額の確認には、法人事業概況説明書や所得税青色申告決算書などの書類も別途必要です。

補助率引上要件を満たしたい場合、補助事業実施期間内に給与支給総額を年平均6%以上引上げ、かつ事業場内最低賃金を年額45円以上引上げる計画をたてる必要があります。申請の際は「大規模な賃上げに取り組むための計画書」を記載し、提出をします。

成長枠の各要件における申請書類の様式は、事業再構築補助金公式サイト「応募申請>必要書類」から確認してみてください。

グリーン成長枠における申請要件

グリーン成長枠は、補助事業において研究開発・技術開発または人材育成を実施し、グリーン成長戦略「実行計画」14分野のいずれかに該当する課題解決に取り組める申請枠です。グリーン成長枠は、エントリーとスタンダードに分類され、補助金額や要件が異なります。

【グリーン成長枠の申請要件】
項目 要件
補助金額 <エントリー>
  • 中小企業者等
【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】100万円~8,000万円
  • 中堅企業:100万円~1億円
<スタンダード>
  • 中小企業者:100万円~1億円
  • 中堅企業者:100万円~1.5億円
補助率
  • 中小企業者等1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)※1
  • 中堅企業等1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2)※1
補助事業実施期間
  • 交付決定日~14か月以内 ※2
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで)
補助対象経費 ①建物費②機械装置・システム構築費(リース料を含む)
③技術導入費④専門家経費⑤運搬費⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費⑧知的財産権等関連経費⑨広告宣伝・販売促進費⑩研修費
補助事業の要件 ①事業再構築要件②認定支援機関要件③付加価値額要件
④グリーン成長要件⑤給与総額増加要件
(⑥補助率引上要件 ※3)(⑦別事業要件と能力評価要件 ※4)
※1 大規模な賃上げ:事業終了時点で「事業場内最低賃金+45円」「給与支給総額+6%
を達成すること」
※2 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある
※3 補助率引上げを受ける場合の追加要件
※4 過去公募回で採択または交付決定を受けている場合の要件

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

エントリーの場合、中小企業者等であれば従業員数によって最大8,000万円までが補助されます。対して、中堅企業等の補助金額の範囲は100万円~1億円となっています。

スタンダードの場合、エントリーと比べて付加価値額要件やグリーン成長要件の達成基準が高いことから、補助金額もエントリーより高く設定されています。中小企業者等の場合、補助金額は最大1億円ですが、中堅企業等の場合は1.5億円と、補助金額の上限に5,000万円の差があります。

補助事業の実施期間は他の申請枠と異なり、交付決定日から14か月以内に設定されています。グリーン成長枠は、他の申請枠より2か月長い期間となっているため、申請者は補助事業実施期間が他の申請枠と異なることに留意して、事業計画をたてましょう。

グリーン成長枠における補助対象事業の要件

グリーン成長枠の補助事業の要件は、共通する要件に加えて「グリーン成長要件」「給与総額増加要件」の2つの要件があります。場合によっては「補助率引上要件」と、第1~9回公募で採択された人の場合に該当する「別事業要件」と「能力評価要件」を満たすことも求められます。

【グリーン成長枠における補助事業の要件】
要件 内容
グリーン成長
要件
<エントリー>
  • グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題解決に貢献する
    取り組みであること
  • 取り組みに関連する1年以上の研究開発・技術開発、または従業員の
    一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
<スタンダード>
  • グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題解決に貢献する
    取り組みであること
  • 取り組みに関連する2年以上の研究開発・技術開発、または従業員の
    一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
要件を満たすためにやること
給与総額増加
要件
内容
  • 補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
要件を満たすためにやること
  • 要件を満たす事業計画書を作成
  • 賃金引上げ計画の誓約書の提出
(別途、法人事業概況説明書や所得税青色申告決算書などの書類を添付)
別事業要件
内容
  • 既に事業再構築補助金で取り組んでいる、または取り組む予定の
    補助事業とは異なる事業内容であること
  • 第1~10回公募のグリーン成長枠で採択された人は対象外 ※1
  • 事業再構築補助金の支援は2回が上限 ※1
要件を満たすためにやること
  • 要件を満たす事業計画を作成
能力評価要件
内容
  • 既存の事業再構築を行いながら、新たに取り組む事業再構築を行う
    だけの体制や資金力があること
  • 第1~10回公募のグリーン成長枠で採択された人は対象外 ※1
  • 事業再構築補助金の支援は2回が上限 ※1
要件を満たすためにやること
  • 要件を満たす事業計画を作成
※1 第11回公募の申請時点で、過去の公募回の交付決定を受けずに辞退した場合を除く

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

グリーン成長要件を満たしたい場合は「①補助事業においてグリーン成長戦略「実行計画」の14分野のうち、いずれかの分野の課題解決につながる取り組みを実施すること」「②取り組みに関連する研究開発・技術開発または従業員の人材育成をあわせて行うこと」が必要です。

別事業要件と能力評価要件は、申請時点で過去の公募回を辞退した場合を除き、申請者が「過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている」または「交付決定を受けている」場合に確認される要件です。

過去の公募でグリーン成長枠に採択された場合や、事業再構築補助金ですでに2回採択されている場合は要件を満たせないため、申請できません。また、過去の公募回で採択や交付決定を受けたことは、審査の際に減点項目のひとつとなるため、減点項目を考慮して事業計画を作成しましょう。

申請の際は、事業計画書とは別に「研究開発・技術開発計画書」または「人材育成計画書」の提出が求められます。グリーン成長枠の各要件における申請書類の様式は、事業再構築補助金公式サイト「応募申請>必要書類」から確認してみてください。

卒業促進枠における申請要件

卒業促進枠は、成長枠やグリーン成長枠の事業を通して企業規模を拡大させる取り組みができる申請枠です。上乗せ支援枠であるため、成長枠またはグリーン成長枠と同時に申請する場合にしか利用できません。

【卒業促進枠の申請要件】
項目 要件
補助金額
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助金額上限に準じる
補助率
  • 中小企業者等1/2
  • 中堅企業等1/3
補助事業実施期間
  • 交付決定日~成長枠またはグリーン成長枠の事業計画期間終了まで ※1
補助対象経費
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費に準じる ※2
補助事業の要件 ①卒業要件(成長枠またはグリーン成長枠の要件も満たすこと)
※1 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある
※2 卒業促進枠の補助対象経費は、成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費と明確にわける
必要がある(同一の建物や設備を両方の申請枠で経費にできない)

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

卒業枠の申請要件は、成長枠またはグリーン成長枠の申請要件に準じます。補助事業の要件は、成長枠またはグリーン成長枠の要件に加え、卒業要件を満たす必要があります。

なお、卒業促進枠は、大規模賃金引上促進枠との同時申請はできません。促進枠に申請したい人は、どちらか一方を選択しましょう。

卒業促進枠における補助対象事業の要件

卒業促進枠における補助対象事業の要件には「卒業要件」があり、成長枠またはグリーン成長枠の要件に加えて満たすことが求められます。

【卒業促進枠における補助事業の要件】
要件 内容
卒業要件
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年で「中小企業」
    「特定事業者」「中堅企業」の規模から卒業すること
要件を満たすためにやること
  • 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること
  • 申請時点の法人規模に応じ、以下の規模に成長する必要あり※
① 申請時点で中小企業 ⇒ 特定事業者、中堅企業または大企業に成長
② 申請時点で特定事業者 ⇒ 中堅企業または大企業に成長
③ 申請時点で中堅企業 ⇒ 大企業に成長
(資本金と従業員数の両方が成長する企業規模の基準以上になる必要がある)
  • 卒業計画書を提出
※ 補助事業後3~5年後までに企業規模が成長できなかった場合、卒業促進枠の分の
補助金は支給されない(成長枠またはグリーン成長枠の分の補助金は支給される)
※ 企業規模が成長していても、申請時点より資本金または従業員数が減少している場合、
要件未達となる
※ みなし中堅企業やみなし大企業への成長は、要件未達となる

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

卒業要件を満たしたい場合、成長枠またはグリーン成長枠の補助事業後3~5年で企業規模を成長させる計画を「卒業計画書」に記載する必要があります。具体的には、申請時点~補助事業終了後3~5年の従業員数や資本金額の想定を数値にして示します。

また、卒業計画書の記述欄には「成長枠またはグリーン成長枠に加え、卒業促進枠を申請するにあたり追加で行う取り組み」「追加の取り組みにかかる経費」「追加の取り組みによる売上や利益の増加」などを記載します。

ただし、補助事業後3~5年後の事業計画終了までに企業規模が目標の規模に到達できなかった場合は、要件未達として卒業促進枠の補助金は支給されません。卒業促進枠に申請する事業者は、要件未達である場合、成長枠もしくはグリーン成長枠の補助金しか支給されないことに留意して事業計画をたてましょう。

卒業計画書の様式は、事業再構築補助金公式サイト「応募申請>必要書類」から確認してみてください。

大規模賃金引上促進枠における申請要件

大規模賃金引上促進枠は、成長枠やグリーン成長枠の事業を通して大規模な賃上げに取り組むことができる申請枠です。卒業促進枠同様、上乗せ支援枠であるため、成長枠またはグリーン成長枠と同時に申請する場合にしか利用できません。

【大規模賃金引上促進枠の申請要件】
項目 要件
補助金額
  • 100万円~3,000万円
補助率
  • 中小企業者等1/2
  • 中堅企業等1/3
補助事業実施期間
  • 交付決定日~成長枠またはグリーン成長枠の事業計画期間終了まで ※1
補助対象経費
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費に準じる ※2
補助事業の要件 ①賃金引上要件②従業員増員要件
(成長枠またはグリーン成長枠の要件も満たすこと)
※1 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある
※2 大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費と
明確にわける必要がある(同一の建物や設備を両方で経費にできない)

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

大規模賃金引上促進枠は、卒業枠と異なり補助金額が100万円~3,000万円と設定されています。補助事業の要件においては、成長枠またはグリーン成長枠の要件に加え「賃金引上要件」と「従業員増員要件」を満たすことが必要です。

なお、大規模賃金引上促進枠は、卒業促進枠との同時申請はできません。促進枠に申請したい人は、どちらか一方を選択しましょう。

大規模賃金引上促進枠における補助対象事業の要件

大規模賃金引上促進枠における補助対象事業の要件には「賃金引上要件」と「従業員増員要件」の2つの要件があり、成長枠またはグリーン成長枠の要件に加えて満たすことが求められます。

【大規模賃金引上促進枠における補助事業の要件】
要件 内容
賃金引上
要件
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、
    事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること ※
要件を満たすためにやること
  • 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること
  • 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員等に表明する
  • 「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出
従業員
増員要件
内容
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を
    年率平均1.5%以上増員させること ※
要件を満たすためにやること
  • 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること
  • 最低でも事業計画期間×1人以上増員すること(小数点以下を繰り上げて算出)
  • 「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出
<増員が必要な従業員数の計算例>
【前提条件】基準:従業員数が20人、補助事業後の事業計画期間:3年
【計算式】
① 20(従業員数)×4.5%(事業計画期間年率平均1.5%×3年)=0.9
② 0.9<3年(事業計画期間の3年と比較)
→ 事業計画期間3年の場合、最低3人の増員が必要
※ 補助事業後3~5年の事業計画終了時点で「常勤従業員数を年率平均1.5%増員」
「事業場内最低賃金を年額45円以上の引上げ」ができなかった場合、卒業促進枠の分の
補助金は支給されない(成長枠またはグリーン成長枠の分の補助金は支給される)
※ 補助事業終了時点を含む「事業年度の終了時点の常勤従業員数」
「事業年度の終了月の事業場内最低賃金」を基準とする
(補助事業終了時点の常勤従業員数および事業場内最低賃金が、申請時点を下回る場合には、
申請時点の常勤従業員数および事業場内最低賃金を基準とする)

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

賃金引上要件を満たしたい場合「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」の提出が求められます。大規模賃上げ及び従業員増加計画書には、補助事業後3~5年の事業計画終了までに事業場内の最低賃金を年額45円以上増加させる計画を記載します。

また「賃上げ表明書」は、申請時点で要件を満たしている賃金引上げ計画を従業員に表明した後、経理担当者や従業員の署名など、必要事項の記載が必要です。

従業員増員要件を満たしたい場合は「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」に、従業員を補助事業後3~5年の事業計画終了までに年率平均1.5%以上増員する計画を記載して提出します。

ただし「賃金引上要件」と「従業員増員要件」を達成できなかった場合、大規模賃金引上促進枠の補助金は支給されません。申請の際は、要件を達成できる実現可能な計画をたてましょう。

大規模賃金引上促進枠の各要件における申請書類の様式は、事業再構築補助金公式サイト「応募申請>必要書類」から確認してみてください。

産業構造転換枠における申請要件

産業構造転換枠は、市場縮小の産業構造の変化から課題に直面している業種や業態の事業者が事業再構築に活用できる申請枠です。

【産業構造転換枠の申請要件】
項目 要件
補助金額 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
(廃業をともなう場合には、廃業費を最大 2,000 万円上乗せ)
補助率 ・中小企業者等2/3
・中堅企業等1/2
補助事業実施期間 ・交付決定日~12か月以内※1
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 ①建物費②機械装置・システム構築費(リース料を含む)
③技術導入費④専門家経費⑤運搬費⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費⑧知的財産権等関連経費⑨広告宣伝・販売促進費⑩研修費⑪廃業費
補助事業の要件 ①事業再構築要件②認定支援機関要件③付加価値額要件
④市場縮小要件(⑤事業要件と能力評価要件 ※2)
※1 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある
※2 過去公募回で採択または交付決定を受けている場合の要件

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

補助率は「中小企業者等が2/3」「中堅企業等が1/2」となっており、成長枠と比べると補助される割合が大きくなっています。また、産業構造転換枠は補助対象となる経費に廃業費が設定されており、廃業をともなう事業再構築の場合、廃業費として最大2,000万円上乗せできます。

産業構造転換枠は他の申請枠と異なり、既存事業の廃止を行う場合のみ「廃業費」を経費として申請できます。廃業費の上限額は、補助対象経費の総額の1/2または2,000万円のどちらか低い方となるため、廃業費を申請予定の人は、補助対象経費の総額を算出してから廃業費の補助金額を算出しましょう。

産業構造転換枠における補助対象事業の要件

産業構造転換枠の要件は、共通する要件に加えて「市場縮小要件」を満たす必要があります。場合によっては、第1~9回公募で採択された人の場合に該当する「別事業要件」と「能力評価要件」も満たすことが求められます。

【産業構造転換枠における補助事業の要件】
要件 内容
市場縮小
要件
①または②を満たすこと

  • 既存のおもな事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上
    縮小する業種・業態に属していること
  • 既存のおもな事業が別の業種・業態の新規事業を実施すること

  • 地域における基幹大企業の撤退により、市町村内総生産の10%以上が
    失われると見込まれる地域で事業を実施していること
  • 地域における基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること
<例>
  • 2019年の市場規模が2009年に比べて10%以上縮小しており、一貫して下降
    傾向にある
  • 2019年の市場規模が2009年に比べて10%以上縮小し、前年比で拡大している
    年もあるが、全体的に市場が下降傾向にある
  • 過去10年間で市場規模が10%以上拡大し、今後10年間で市場規模が10%以上
    縮小する場合
要件を満たすためにやること
①産業構造転換枠対象業種・業態リスト(※1)に既存事業の業種や業態の記載が
ある場合
  • 市場縮小要件を満たすことの説明書(市場規模縮小または基幹大企業撤退)
    を提出
②産業構造転換枠対象業種・業態リストに補助事業で取り組む業種や業態の記載が
ない場合
  • 市場縮小要件を満たすことの説明書(市場規模縮小または基幹大企業撤退)
    に、要件を満たす根拠となるデータを添付し、提出
別事業
要件 ※2
内容
  • 既に事業再構築補助金で取り組んでいる、または取り組む予定の補助事業
    とは異なる事業内容であること
  • 第1~10回公募でグリーン成長枠および第10回公募で産業構造転換枠の採択者
    ではない ※2
  • 3回目の申請ではない(事業再構築補助金の支援は上限2回)※3
要件を満たすためにやること
  • 要件を満たす事業計画を作成
能力評価
要件※2
内容
  • 既存の事業再構築を行いながら、新たに取り組む事業再構築を行うだけの
    体制や資金力があること
  • 第1~10回公募でグリーン成長枠および第10回公募で産業構造転換枠の採択者
    ではない ※2
  • 3回目の申請ではない(事業再構築補助金の支援は上限2回)※3
要件を満たすためにやること
  • 要件を満たす事業計画を作成
※1 対象となる業種・業態の指定は次回公募以降見直される可能性がある
※2 補助金額は、第11回公募の申請時点における過去公募回の「①採択額・交付決定額・
確定額のいずれか最も低い金額」と「②第11回公募の産業構造転換枠の補助上限額」との
差額分を上限とする
(例「①=採択額:1,150万円、交付決定額:1,100万円、確定額:1,000万円」
「②2,000万円」の場合、①との差額分である1,000万円が第11回公募の産業構造転換枠の
補助上限金額となる)
※3第11回公募の申請時点で、過去の公募回の交付決定を受けずに辞退した場合を除く

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

市場縮小要件を満たしたい場合、事務局が指定した「産業構造転換枠対象業種・業態リスト」に、補助事業で取り組む業種や業態の記載があり、該当する「市場縮小要件を満たすことの説明書」を事業者が提出することで要件を満たしたことになります。

産業構造転換枠対象業種・業態リストに記載がない場合でも、公的機関の統計データや業界レポートを「市場縮小要件を満たすことの説明書」とあわせて提出し、要件を満たしていることを示すことで申請できます。

別事業要件と能力評価要件はグリーン成長枠と同様、辞退した場合を除いて申請者が「過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている」または「交付決定を受けている」場合に確認される要件です。過去に採択された事業者が産業構造転換枠に申請する場合は、両要件を満たす事業計画の作成が必要です。

なお、廃業費を経費として申請する場合は「廃業計画書」の提出が必要です。市場縮小要件や廃業費の申請書類の様式は、事業再構築補助金公式サイト「応募申請>必要書類」から確認してみてください。

最低賃金枠における申請要件

最低賃金枠は、最低賃金引上げの影響を受け、原資の確保が難しい企業の事業再構築に活用できる申請枠です。

【最低賃金枠における補助事業の要件】
項目 要件
補助金額 【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数5~20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
補助率
  • 中小企業者等 3/4
  • 中堅企業等 2/3
補助事業実施期間
  • 交付決定日~12か月以内 ※1
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 ①建物費②機械装置・システム構築費(リース料を含む)
③技術導入費④専門家経費⑤運搬費⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費⑧知的財産権等関連経費⑨広告宣伝・販売促進費⑩研修費
補助事業の要件 ①事業再構築要件②認定支援機関要件③付加価値額要件
④売上高等減少要件⑤最低賃金要件
※1 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

最低賃金枠は、補助金額の上限が1,500万円と他の申請枠と比べて低く設定されていますが、補助率は「中小企業者等が3/4」「中堅企業等が2/3」と、他の申請枠と比べて補助される割合が大きくなっています。

補助事業の要件は、共通の要件に加え「売上高等減少要件」があり、2019~2021年と2022年以降の売上高と比べ、2022年以降の売上高が減少していることが求められます。

最低賃金枠における補助対象事業の要件

最低賃金枠の要件は、共通する要件に加えて「売上高等減少要件」「最低賃金要件」の2つの要件があります。要件を満たしているかを確認するには、売上高や最低賃金の確認ができる資料が必要です。

【最低賃金枠における補助事業の要件】
要件 内容
売上高等
減少要件
  • 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が
    対2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること
(売上高で要件を満たさない場合、同じ期間の付加価値額と比較して15%以上
減少していることでも可※1)
<例>
①2022年以降の半年間のうち、3つの月(例えば2022年1月、5月、6月)の合計
売上高または合計付加価値額
②2019~2021年の同3つの月(たとえば2019年1月、2020年5月、6月)の合計
売上高または合計付加価値額
→  ①の合計売上高が②より10%(合計付加価値額なら15%)減少していること
要件を満たすためにやること
  • 確定申告書やの法人事業概況説明書の控えなど、売上高の減少が確認
    できる資料を提出
最低賃金
要件
内容
  •  2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で
    雇用している従業員が全従業員数(※2)の10%以上いること
    (小数点以下を繰り上げて算出)
<従業員数の計算例>
【前提条件】全従業員数が25人の場合
【計算式】25人(全従業員数)×10%=2.5人
→  要件を満たす従業員が3人以上
要件を満たすためにやること
  • 最低賃金確認書を提出(別途、賃金台帳を提出)
※1 付加価値額の算出方法は付加価値額要件における算出方法に準じる
※2 全従業員数は、2022年10月から2023年8月までの対象月とする3か月それぞれの
常勤従業員数(申請時点)を基準とする

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

売上高等減少要件を満たすには、2019~2021年と2022年以降の3つの月の売上高、または付加価値額を比較し、2022年以降の売上高が10%以上もしくは付加価値額が15%以上減少していることを示す必要があります。

売上高等減少要件の提出書類の様式はなく、売上高または付加価値額が確認できる書類を準備する必要があります。売上高等減少要件の詳しい条件や必要書類が知りたい人は「事業再構築補助金における売上高等減少要件と新事業売上高10%等要件を解説」を参考にしてみてください。

最低賃金要件を満たすには「最低賃金確認書」の提出が求められます。最低賃金確認書には、要件に従って算出した従業員数を記載し、計算の際は、2022年10月~2023年8月までの月の、申請時点の従業員数を基準とします。

また、最低賃金要件を満たすためには、事業場内最低賃金が確認できる「賃金台帳」の提出も必要です。最低賃金枠に申請する人は、事業再構築補助金の公式サイトにある様式だけでなく、事業者側で準備する書類もあることを留意しましょう。

最低賃金要件における申請書類の様式は、事業再構築補助金公式サイト「応募申請>必要書類」から確認してみてください。

物価高騰対策・回復再生応援枠における申請要件

物価高騰対策・回復再生応援枠は、事業再生や原油および物価高騰の影響を受けている企業が事業再構築に活用できる申請枠です。

【物価高騰対策・回復再生応援枠の申請要件】
項目 要件
補助金額 【従業員数5人以下】100万円~1,000万円
【従業員数6~20人】100万円~1,500万円
【従業員数21~50人】100万円~2,000万円
【従業員51人~】100万円~3,000万円
補助率
  • 中小企業者等2/3 ※1
  • 中堅企業等1/2 ※2
補助事業実施期間
  • 交付決定日~12か月以内 ※3
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 ①建物費②機械装置・システム構築費(リース料を含む)
③技術導入費④専門家経費⑤運搬費⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費⑧知的財産権等関連経費⑨広告宣伝・販売促進費⑩研修費
補助事業の要件 ①事業再構築要件②認定支援機関要件③付加価値額要件
④「売上高等減少要件」または「再生要件」いずれかひとつ
※1 従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、
従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4
※2 従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、
従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3
※3 補助事業実施期間に事業を完了できない理由が事業者の責任ではないとき、
事故等報告の提出により補助事業実施期間の延長が認められる場合がある

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

物価高騰対策・回復再生応援枠は、補助率が「中小企業者等が2/3」「中堅企業等が1/2」となっていますが、従業員数ごとの補助事業における経費総額の大きさによっても補助率が異なります。

たとえば、従業員数25人の中小企業が、補助事業における経費総額800万円を申請したとします。この場合、本来の補助率なら2/3で補助金額は533万円となりますが「従業員数21~50人の場合800万円までは3/4」と定められているため、補助金額は600万円となります。

また、従業員数25人の中小企業が、補助事業における経費総額を1,000万円申請した場合は、800万円までを3/4、残り200万円を2/3の補助率で算出します。算出した金額は足して「600万円+133万円=733万円」となるため、最終的に申請する補助金額は733万円となります。

なお、物価高騰対策・回復再生応援枠における補助事業の要件は、共通の要件に加え「売上高等減少要件」と「再生要件」があり、どちらか一方を選択して満たす必要があります。

物価高騰対策・回復再生応援枠における補助対象事業の要件

物価高騰対策・回復再生応援枠では、共通する要件に加えて「売上高等減少要件」または「再生要件」のいずれか1つの要件を満たします。再生要件を選択する場合は、申請時点で中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)から支援を受けている必要があります。

【物価高騰対策・回復再生応援枠】
要件 内容
売上高等
減少要件
  • 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~
    2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること
    (売上高で要件を満たさない場合、同じ期間の付加価値額と比較して15%以上減少
    していることでも可※1)
<例>
①2022年以降の半年間のうち、3つの月(例えば2022年1月、5月、6月)の合計売上高
または合計付加価値額
②2019~2021年の同3つの月(たとえば2019年1月、2020年5月、6月)の合計売上高
または合計付加価値額
→  ①の合計売上高が②より10%(合計付加価値額なら15%)減少していること
要件を満たすためにやること
  • 確定申告書や法人事業概況説明書の控えなど、売上高の減少が確認できる資料を
    提出
再生要件
内容
  • 再生事業者であること
<再生事業者の例>
①または②を満たすもの
① 中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者
② 中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者
要件を満たすためにやること
  • 中小企業活性化協議会と作成した計画書を提出
※1 付加価値額の算出方法は付加価値額要件における算出方法に準じる

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

再生要件を満たすには「再生計画を作成中」もしくは「再生計画等を作成済みかつ申請締切日から遡って3年以内に再生計画が成立」の事業者であることが必要です。

再生計画書は、事業再構築補助金に公式サイト決められた様式はないため、中小企業活性化協議会と作成した計画書を提出しましょう。

中小企業活性化協議会の概要や役割を知りたい人は、中小企業庁の公式サイト「経営サポート>中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

事業再構築補助金における申請要件には、すべての申請者に共通する要件と、申請枠ごとに異なる要件があります。すべての申請者に共通する要件は「事業再構築要件」「認定支援機関要件」「付加価値額要件」の3つです。

申請枠ごとに異なる要件は、それぞれ補助金額や補助率、補助事業の実施期間や要件が設定されており、計算方法や提出書類が異なります。事業再構築補助金に申請する前には、最新の公募要領で申請要件の確認が必要です。

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更新履歴

10/6 ②売上高減少要件の%と引用文の内容と引用リンクを最新のものに修正。