事業再構築要件を5つの定義ごとに解説

事業再構築補助金に申請したいと考えている人の中には、要件を確認している人もいますよね。その際、事業再構築要件の内容を具体的に知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築要件の5つの定義を解説します。定義ごとの要件も解説するので、事業再構築要件を詳しく知りたい人は参考にしてみてください。

なお、当記事は事業再構築補助金公式サイトにある「事業再構築指針の手引き」をもとに作成しています。

事業再構築の定義を選択して事業の方向性を定める

事業再構築要件を満たした事業計画をたてるには、事業再構築の定義を選択して事業の方向性を定める必要があります。事業再構築の定義は「新市場進出」「業種転換」「事業転換」「事業再編」「国内回帰」の5つから選択します。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

新市場進出は、新分野への挑戦や営業形態の変更ができる定義です。たとえば、建設工事を営んでいる事業者が、新たに核シェルターの設計および設置事業に挑戦する場合や、飲食店経営している事業者が、業態をECサイトによる販売に変更する場合などがあてはまります。

業種転換は、主力としている業種を変更できる定義です。たとえば、現在のおもな業種を製造業から建設業に変更する場合があてはまります。

事業転換は、主力としている事業を変更できる定義です。たとえば、美容室経営をしている事業者が、おもな事業をリラクゼーションサロンに変更する場合にあてはまります。

事業再編は、事業再編をしたのち事業再構築に挑戦できる定義です。たとえば、吸収合併や事業譲渡などの会社法上の組織再編行為を実施したあとに「新市場進出」「業種転換」「事業転換」のいずれかに取り組みます。

国内回帰は、海外で製造および調達している製品を、最新設備を導入した国内拠点で製造する取り組みに挑戦できる定義です。たとえば、取引先から部品製造の増産依頼を受けて東京に最新設備の工場を建設し、海外で取引先が製造をしている部品を、国内で新たな手法により製造する取り組みがあてはまります。

事業再構築要件を満たす場合は、事業再構築の定義に基づいた事業計画を作成しましょう。

新市場進出の要件

新市場進出の要件は「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「新事業売上高10％等要件」の3つです。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

「製品等の新規性要件」を満たすには、過去に製造したことのない製品をつくる取り組みを行う必要があります。

たとえば、航空機用部品を製造していた製造業者が、新たに医療機器部品の製造する取り組みがあてはまります。その際、既存の製品と比較して製品の強度や耐久性の割合など、性能や効能の違いを示せる場合は数値も記載します。

「市場の新規性要件」を満たすには、対象となる顧客層の違いを事業計画書に記載する必要があります。たとえば、航空機用部品の製造と医療機器部品の製造では、顧客層が医療機器業界と航空機業界で異なることを説明します。

「新事業売上高10％等要件」を満たすには、3年～5年の事業計画の終了時点において、医療機器部品の売上高が総売上高の10%以上、または総付加価値額の15％以上になる計画をたてます。

新市場進出の要件を満たす事業計画書を作成する際には「製品や顧客層が異なること」と「3年～5年の事業計画終了時点で、売上高が基準値以上になっていること」を表やグラフなどを用いて示しましょう。新市場進出の要件を満たす例は「事業再構築指針の手引き（P4）」で確認できます。

業種転換の要件

業種転換の要件は「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「売上高構成比要件」の3つです。「製品等の新規性要件」と「市場の新規性要件」の達成条件は、新市場進出と同様です。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

「売上高構成比要件」を満たすには、3年～5年の事業計画の終了時点において、取り組んだ事業の属する業種の売上高が、企業全体でもっとも高くなる事業計画の作成が必要です。

たとえば、レンタカー事業を営んでいる物品賃貸業者が新たに宿泊業を開業する場合、3～5年の事業計画終了時点で「宿泊業の売上高が企業全体でもっとも高くなる計画表」を作成します。宿泊業の売上高が、物品賃貸業より低い計画では要件を満たせません。

業種転換の要件を満たす事業計画書を作成する際には「製品や顧客層が異なること」と「3年～5年の事業計画終了時点で、新たに取り組む業種の売上構成比がもっとも高くなっていること」を表やグラフなどを用いて示しましょう。

なお、業種転換の要件を満たす例は「事業再構築指針の手引き（P14）」で確認できます。

事業転換の要件

事業転換の要件は「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「売上高構成比要件」の3つです。「製品等の新規性要件」と「市場の新規性要件」の達成条件は、新市場進出や業種転換と同様です。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

「売上高構成比要件」を満たすには、3年～5年の事業計画の終了時点において、取り組んだ事業の売上高が、企業全体でもっとも高くなる事業計画を作成することが必要です。

たとえば、日本料理店を営んでいる事業者が新たに焼き肉店を開業する場合、3～5年の事業計画終了時点で「焼き肉店の売上高が企業全体でもっとも高くなる計画表」を作成します。焼き肉店の売上高が、日本料理店より低い計画では要件を満たせません。

事業転換の要件を満たす事業計画書を作成する際には「製品や顧客層が異なること」と「3年～5年の事業計画終了時点で、新たに取り組む事業の売上構成比がもっとも高くなっていること」を表やグラフなどを用いて示しましょう。

なお、事業転換の要件を満たす例は「事業再構築指針の手引き（P11）」で確認できます。

事業再編の要件

事業再編の要件は「組織再編要件」「その他の事業再構築要件」の2つです。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

組織再編要件を満たすには、吸収合併や事業譲渡など会社法上の組織再編行為を行う必要があります。たとえば、家電の卸売りや飲食の製造をしていた会社が、吸収合併を経て新たに飲食店を開業する取り組みがあてはまります。

その他の事業再構築要件を満たすには、組織再編をしたあとに「新市場進出」「業種転換」「事業転換」のいずれかに取り組むことが求められます。そのため、事業計画書には事業再編の要件と、3つの定義いずれかの要件を満たす計画を記載します。

事業再編の要件を満たす事業計画書を作成する際には「会社法上の組織再編行為を行うこと」と「新市場進出、業種転換、事業転換のいずれかの要件を満たすこと」を表やグラフなどを用いて示しましょう。

なお、事業再編の要件を満たす例は「事業再構築指針の手引き（P17）」で確認できます。

会社法上の組織再編には5種類ある

会社法上の組織再編には「合併」「会社分割」「株式交換」「株式移転」「事業譲渡」の5つの種類があります。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

吸収分割した場合、事業を引き継ぐ会社も事業を引き渡す会社も、どちらも事業再構築補助金に申請できます。その際、事業を引き継ぐ会社は、従業員数や既存の設備など、組織再編前でも「引き渡される会社の事業と自社の事業の合計」で申請します。

事業譲渡した場合は、事業譲渡先の会社と事業譲渡元の会社の、どちらも事業再構築補助金に申請できます。その際、事業譲渡元の会社は、組織再編前でも引き渡す予定の事業を除いて申請しなければなりません。

組織再編をする申請者は、事業再構築補助金に申請する時点で組織再編をしていない場合でも、組織再編後の事業規模で申請をすることになります。事業再編を選択する人は、組織再編後の事業の範囲で申請時の要件を確認しましょう。

国内回帰の要件

国内回帰の要件は「海外製造等要件」「導入設備の先進性要件」「新事業売上高10％等要件」の3つあります。新事業売上高10％等要件の達成条件は、新市場進出と同様です。

参考：事業再構築補助金公式サイト「事業再構築指針の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

海外製造等要件の①海外で製造や調達をしている製品であることを示すには「2020年1月以降に海外から調達した実績」と「2020年1月以降に海外へ発注および海外から納品している事実」がわかる説明や添付書類が必要です。

②の国内の生産拠点を整備する計画を示すには、国内拠点の整備場所や面積、国内で生産する製品の生産計画などを事業計画書に記載します。

海外製造等要件の①先進的な設備を導入することを満たすには、導入する設備が特注品または製造機器メーカーの最新カタログに掲載されていることを示します。また、最新の機器に相当する設備や、場合によっては中古設備でも要件を満たせます。

②の導入した設備の効果を証明するには「強度や耐久性、軽さや加工性」など、性能や効能を定量的に説明します。たとえば、導入以前の製品と比較して、生産効率や付加価値額が何％上昇したかなどの割合を説明します。

事業再編の要件を満たす事業計画書を作成する際には「海外で製造調達して先進的な国内拠点をつくること」と「3年～5年の事業計画終了時点で、売上高が基準値以上になっていること」を表やグラフなどを用いて示しましょう。

なお、国内回帰の要件を満たす例を知りたい人は、事業再構築補助金の公式サイトにある「事業再構築指針の手引き（P22）」を確認してください。

事業計画書の表紙に事業再構築要件を満たしていることを示す

事業計画書を記載する際は、表紙に事業再構築要件を満たしていることを示します。事業計画書の1ページ目となる表紙は、事業計画書の中で唯一フォーマットが決まっているため、事業再構築の公式サイトにある「必要書類」からダウンロードしておきましょう。

【事業計画書の表紙例】

参考：第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

事業計画書の表紙には、自社で新たに取り入れる製品やサービスの内容や、既存の事業と異なる市場へ進出することなどを記載します。その際、第3者が事業のイメージがしやすいように、事業に関連する写真を入れることが望ましいです。

事業計画書の書き方や記載例を確認したい人は「事業再構築補助金の事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。

なお、当メディアを運営する株式会社SoLaboは、申請サポートを行っている認定支援機関です。申請前の相談や事業計画書の作成サポートを依頼したいと考えている人は、無料診断からお問い合わせください。

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