研修に使える補助金の種類と特徴を解説

社内で行う研修や外部講師を招いた講習など従業員のスキルを上げるためには研修が必要だと考える人は多いのではないでしょうか。しかし、研修にかかる費用は高額になる傾向にあり、どのように研修費を抑えようか悩んでいる人もいるでしょう。

当記事では研修費に使える補助金について、種類と特徴を解説します。研修に使える補助金を知りたい人は、参考にしてみてください。

研修に使える補助金の種類

研修に使える補助金には、国が実施する制度だけでなく都道府県や市区町村の自治体が実施する制度も含めさまざまな種類があります。制度によって目的や対象、受給できる金額などが異なるため、複数の補助金を比較して自社に合う補助金を選びましょう。

【研修に使える補助金一覧】

管轄

補助金名

制度の概要

対象となる研修費

事業再構築補助金

中小企業等の思い切った事業再構築を支援する

  • 教育訓練
  • 講座受講等に係る経費

IT導入補助金

生産性向上につながるITツールの導入および導入関連費用を支援する

  • ITツールの導入研修(役務)
  • 社内向け研修ツールの導入(eラーニング等)

人材開発支援助成金

事業主等が雇用する労働者に対して実施する研修費の一部を支援する

  • 訓練経費
  • 訓練期間中の賃金

自治体

中小企業者経営力強化促進補助金

(大分県大分市)

企業が従業員へ研修を実施する場合の費用や外部研修への参加費用の一部を支援する

【自主研修事業】

  • 会場借上料
  • 講師謝礼金
  • 講師の交通費および宿泊費
  • 委託料

【外部研修事業】

  • 研修費(受講料、テキスト代等)
  • 交通費
  • 宿泊費

中小企業人材育成・

能力開発推進支援補助金

(千葉県千葉市)

業務に必要な技術・知識習得のための研修や、資格取得のための研修にかかる費用の一部を支援する

  • 研修受講料
  • テキスト代・教材費
  • 外部講師謝金及び旅費
  • 資格試験対策講座受験料
  • 資格試験受験料

とやま人材リスキリング補助金

(富山県)

従業員の再教育にかかる研修費用の一部を支援する

  • 受講料
  • 教材費
  • 材料費
  • 旅費
  • 研修期間中の賃金
  • その他知事が必要と認める経費

経済産業省が実施する事業再構築補助金は、中小企業や個人事業主等の思い切った事業再構築を支援する補助金制度です。補助事業の実施に必要な知識やスキルを習得するための研修費として「教育訓練」「講座受講」等に係る経費が補助対象となります。

とやま人材リスキリング補助金は、富山県が実施する補助金であり、従業員の再教育にかかる研修費用の一部を支援する制度です。国が実施する「人材開発支援助成金」の対象とならない短期間の教育訓練を支援対象としており、研修の受講料や研修期間中の従業員の賃金などが補助対象となります。

社内研修費や外部講習の受講料、研修教材等諸費などの対象経費は補助金ごとに異なるため、研修費として補助金を利用する際は各補助金が指定する条件の確認が必要です。また、補助金によっては企業の要望に合わせたオーダーメイド型研修の費用も補助できる可能性もあります。

補助金を活用することにより、従業員の研修にかかる費用を抑えることができます。補助金によって対象となる経費や受け取れる補助額が異なるため、申請を検討している人は各補助金に定められている要件を確認した上で自社に合った補助金を選びましょう。

事業再構築補助金は思い切った事業再構築にともなう研修に利用できる

経済産業省が実施する事業再構築補助金は、思い切った事業再構築にともなう研修を実施する場合に利用できます。新たに事業に取り組む際に、補助事業に必要となる研修や講座受講にかかる経費が補助対象です。

【事業再構築補助金の概要】

項目

内容

制度概要

ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の思い切った事業再構築を支援する

対象者

  • 中堅企業
  • 中小企業
  • 小規模事業者
  • 個人事業主

補助額

最大1.5億円

※申請枠や事業規模により異なる

補助率

1/3~3/4

※申請枠や事業規模により異なる

対象経費

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費
  • 廃業費

公式サイト

事業再構築補助金

事業再構築補助金の研修費は、補助事業に関係する知識やスキルを向上させるための研修費を補助対象経費総額である1/3まで申請できます。ただし、補助事業と関連しない研修費や研修に行くための交通費などの研修受講以外の費用は補助対象外です。

また、申請をする際に提出する事業計画書において、研修内容や受講費など研修を計上するために必要な項目が記載されていない場合は補助対象経費として申請できません。

事業再構築補助金の研修費は、通常業務に就きながら行う教育訓練や補助事業に必要ない講座受講等は補助金の対象外です。研修費が対象経費として認められるのは、新たな事業を遂行するために必要な研修を行う費用であることに留意しておきましょう。

なお、事業再構築補助金について詳しく知りたい人は「事業再構築補助金とは?対象や要件など概要をわかりやすく解説」の記事を参考にしてみてください。

IT導入補助金はITツール導入にともなう研修や研修ツールの導入に利用できる

経済産業省が実施するIT導入補助金は、事業者の生産性向上を目的に、業務効率化やDX等に向けたITツールの導入に利用できる補助金です。社内研修向けのITツールの導入費用や、ITツールの導入研修費用としての役務費用などが補助対象となります。

【IT導入補助金の概要】

項目

内容

制度概要

中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツールの導入を支援する

対象者

  • 中小企業
  • 小規模事業者
  • 個人事業主

補助額

通常枠:最大450万円

インボイス枠:最大350万円(ハードウェアは最大20万円)

セキュリティ対策推進枠:最大100万円

※事業規模や導入するITツールにより異なる

補助率

1/2~4/5

※申請枠や事業規模により異なる

対象経費

  • ソフトウェア
  • ハードウェア
  • オプション(拡張機能、セキュリティ等)
  • 役務(導入コンサル、研修等)

公式サイト

IT導入補助金

IT導入補助金では、ITツールである「ソフトウェア」「ハードウェア」などが補助対象となります。研修費用としてIT導入補助金を利用する場合、セキュリティ研修やeラーニングの作成・配信機能を持つソフトウェアなど、社内向けの研修ツールを対象経費として申請できます。

また、ITツールの導入に関連する「オプション」「役務」も対象経費となります。ITツールの導入にあたって、ツールの使用方法や運用に関する研修を実施する場合、研修にかかる費用を役務費用として申請できます。

なお、IT導入補助金は申請枠によって対象経費が異なり、社内研修向けのITツールを導入できるのは通常枠のみです。IT導入補助金について詳しく知りたい人は「IT導入補助金とは?図解を用いてわかりやすく解説」の記事を参考にしてみてください。

人材開発支援助成金は雇用する労働者に対して実施する研修に利用できる

厚生労働省が管轄する人材開発支援助成金は、人材育成や技術向上に活用できる助成金です。事業主等が雇用する労働者に対して、業務関連の専門的な知識や技術を習得するための研修を実施する際の経費の一部が対象となります。

【人材開発支援助成金の概要】

項目

内容

制度概要

職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練等により、従業員の人材育成およびスキルアップをはかる

対象者

  • 大企業
  • 中小企業
  • 小規模事業者
  • 個人事業主

補助額

コースや訓練内容により異なる

【具体例】

人材育成支援コース(人材育成訓練):最大960円(1人1時間あたり)

教育訓練休暇等付与コース(教育訓練休暇制度):最大36万円(①事業主あたり)

補助率

コースや訓練内容により異なる

【具体例】

人材育成支援コース(人材育成訓練):最大100%

教育訓練休暇等付与コース(教育訓練休暇制度):定額

事業展開等リスキリング支援コース:最大75%

対象経費

  • 訓練にあたり発生する経費
  • 訓練期間中の賃金の一部
  • 制度導入に対する補助

公式サイト

人材開発支援助成金(厚生労働省)

人材開発支援助成金には、目的に応じて7つのコースに分かれています。コースによって対象となる研修内容が異なるため、人材開発支援助成金への申請を検討する際は自身が申請したいコースの対象条件の確認が必要です。

人材育成支援コースではOFF-JT(座学)を 10時間以上行う人材育成訓練の実施やOFF-JとOJT(実務研修)を組み合わせた研修、パートやアルバイトが正規雇用を目指す研修を行った場合に費用の一部が助成されます。また、人への投資を促進することが目的のIT分野の人材を育成する研修やサブスクリプション型の研修などが対象となる「人への投資促進コース」もあります。

人材開発支援金を活用することにより、従業員の研修にかかる費用の負担を軽減することが可能です。人材開発支援助成金について詳しく知りたい人は、厚生労働省の公式サイト「人材開発支援助成金」を確認してください。

中小企業者経営力強化促進補助金は自社研修の実施費用や外部研修への参加費用に利用できる

大分県大分市が実施する中小企業者経営力強化促進補助金は、市内の中小企業者を対象に人材育成や知的財産権の取得など、経営力の強化に向けた取り組みを支援する制度です。研修費用として利用する場合、人材育成応援事業として自社研修の実施費用や外部研修への参加費用などが補助対象となります。

【中小企業者経営力強化促進補助金(人材育成応援事業)の概要】

項目

内容

制度概要

中小企業等に対して、従業員等の業務上必要な技術・知識等の習得のための研修費用の一部を支援し経営力強化をはかる

対象者

市内の中小企業者および個人事業主

補助額

研修対象者1人あたり10万円

(1企業につき最大30万円)

補助率

1/2

※DX研修は3分の2

対象経費

【自主研修事業】

  • 会場借上料
  • 講師謝礼金
  • 講師招へいに係る交通費および宿泊費
  • 委託料

【外部研修事業】

  • 研修費(受講料、テキスト代等研修の受講に要する費用)
  • 交通費(公共交通機関の利用料)
  • 宿泊費

公式サイト

中小企業者経営力強化促進補助金(大分市)

中小企業者経営力強化促進補助金の対象となる研修には、自社で講師を呼び研修を行う「自主研修」と外部で開催される研修へ参加する「外部研修」の2種類があります。自主研修の場合は会場の利用や講師への依頼にかかる費用、外部研修の場合は研修の受講料や移動に掛かる費用などが補助対象となります。

補助率は通常1/2ですが、デジタルリテラシーの習得やデジタル人材の育成を目的とするDX研修の場合は2/3に引き上げられます。研修を受ける従業員1人当たり最大10万円が補助され、補助金額の合計が10万円に達するまでであれば同一年度内に同一の従業員が複数の外部研修を受講することも可能です。

中小企業者経営力強化促進補助金(人材育成応援事業)を活用することにより、経営力強化につながる従業員の研修費用を抑えることができます。中小企業者経営力強化促進補助金について詳しく知りたい人は、大分市の公式サイト「中小企業者経営力強化促進補助金」を確認してみてください。

中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金は技術の習得や資格の取得に向けた研修に利用できる

千葉県千葉市が実施する中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金は、市内の中小企業者等を対象に従業員等の研修を通した人材育成や能力開発を支援する制度です。研修の受講料やテキスト代のほか、資格取得にかかる諸費用も補助対象となります。

【中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金の概要】

項目

内容

制度概要

市内の中小企業における従業員への研修費用の一部を補助し、安定的な人材確保や経営基盤の強化を支援する

対象者

市内の中小企業者および個人事業主

補助額

最大10万円

※研修計画を策定しない事業者は最大5万円

補助率

1/2

対象経費

  • 研修受講料
  • テキスト代・教材費
  • 外部講師謝金及び旅費
  • 資格試験対策講座受験料
  • 資格試験受験料

公式サイト

中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金

中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金では、研修計画の策定有無により補助額の上限が異なります。研修計画は実施する研修内容や研修の実施時期などを明記した計画のことであり、研修計画を策定した場合は最大10万円、研修計画を策定しなかった場合は最大5万円が補助されます。

また、中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金では研修費用に加えて資格の取得にかかる費用も補助対象となります。さまざまな資格取得費用が対象となりますが、普通自動車第一種免許をはじめとする一部の資格は補助対象外となるため、取得したい資格が補助対象となるかどうかの確認が必要です。

中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金を活用することにより、研修や資格取得の費用負担を抑え、従業員のスキルアップを促進することが可能です。中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金について詳しく知りたい人は千葉市の公式サイト「中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金」を確認してみてください。

とやま人材リスキリング補助金は従業員の再教育のための研修に利用できる

とやま人材リスキリング補助金は、県内の中小企業者等を対象に生産性の向上や成長分野へのチャレンジ等を目的として行う「リスキリング」の取組みに対し、その経費の一部を補助する制度です。研修にかかる受講料や教材費などの諸費用と、研修期間中の従業員の賃金に相当する金額が補助されます。

【中小企業者経営力強化促進補助金(人材育成応援事業)の概要】

項目

内容

制度概要

従業員の再教育にかかる経費の一部を補助することにより、県内企業の生産性向上や成長分野へのチャレンジを支援する

対象者

県内の中小企業等

補助額

最大100万円

(1社1年度あたり)

補助率

受講料等:75%

賃金:960円(1人1時間あたり)

対象経費

  • 受講料
  • 教材費
  • 材料費
  • 旅費
  • 賃金
  • その他知事が必要と認める経費

公式サイト

とやま人材リスキリング補助金

とやま人材リスキリング補助金は、従業員の再教育である「リスキリング」において必要となる経費の一部が補助されます。県内企業におけるリスキリングの取り組みの実施により、生産性向上や成長分野へのチャレンジを促進することを目的としています。

また、とやま人材リスキリング補助金の対象となるのは、教育訓練機関が提供する教育訓練のうち10時間未満の教育訓練です。夜間や休日など、所定労働時間外に受講させた教育訓練にかかった費用も補助対象となります。

とやま人材リスキリング補助金を活用することにより、リスキリングの研修にかかる費用の一部が補助され、事業の発展や新たなチャレンジにつなげることが可能です。とやま人材リスキリング補助金について詳しく知りたい人は、富山県の公式サイト「とやま人材リスキリング補助金」を確認してみてください。

まとめ

社内で行う研修や外部講師を招いた講習など従業員のスキルを上げるための研修にかかる費用を抑えることは可能です。研修費用に対する支援制度として、国や地域の自治体が実施する補助金や助成金を活用できるからです。

国が実施する支援制度には、経済産業省が実施する「事業再構築補助金」「IT導入補助金」や、厚生労働省が実施する「人材開発支援助成金」が挙げられます。全国の中小企業や個人事業主等に対して研修費用が補助されますが、制度の目的に合った取り組みに必要だと認められる研修のみが補助される傾向にあります。

自治体が実施する支援制度には「中小企業者経営力強化促進補助金」「中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金」「とやま人材リスキリング補助金」などが挙げられます。自治体が管轄する地域の中小企業や個人事業主等に対して研修費用が補助されますが、対象となる経費の詳細は制度によって異なります。

補助金制度ごとに対象者や対象経費、満たすべき要件などが異なります。研修に使える補助金への申請を検討する人は「どのような補助金が自社の研修に使えるのか」「どのような研修費用を賄うことができるのか」を確認した上で申請する制度を選びましょう。

ECサイトの構築に利用できる補助金は?対象者や自己負担額を解説

ECサイトを構築したい事業者の中には、費用削減のためにECサイト向けの補助金を探している人もいますよね。その際、「自社はEC向けの補助金の対象者なのか」「補助金を使うとどれぐらい得なのか」などを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、ECサイト構築に利用できる補助金を解説します。対象者の条件や自己負担額についても解説するので、補助金を使ってECサイト構築をしたいと考えている人は人は参考にしてみてください。

なお、当記事は各補助金の公式サイトおよび公募要領をもとに作成しています。

ECサイトの構築に利用できる補助金には国や自治体の補助金がある

ECサイトの構築に利用できる補助金には、国や自治体の補助金があります。補助金を利用することで、事業者はECサイト構築にかかる費用の一部を補助してもらえます。

【ECサイト構築に使える補助金の種類】

管轄

ECサイト構築に使える補助金の具体例

  • 事業者持続化補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

自治体

  • ECサイト活用補助金(東京都中央区)
  • ECサイト販路開拓応援補助金(新潟県燕市)
  • ホームページ作成等支援事業(鹿児島県)
  • ECサイト活用等支援補助金(大阪府茨木市)

中小企業基盤整備機構が管轄するものづくり補助金は、生産性向上につながる設備投資などを目的とする補助金です。ECサイト構築のためのソフトウェア導入費や、ECサイト構築を他社へ委託する場合の外注費などが補助される可能性があります。

また、商工会や商工会議所が管轄する小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や個人事業主の販路開拓および業務効率化を目的とする補助金です。販路開拓や業務効率化の取り組みに必要な取り組みであれば、ECサイトの構築、更新、改修、運用などにかかる費用が補助対象となります。

国や自治体が管轄の補助金を使えば、事業者が支払うECサイト構築費の一部が還元されます。ただし、どのようなECサイトが補助されるのかは制度ごとに異なるため、ECサイト構築を補助金で行う場合は各補助金の申請要件を確認しましょう。

ものづくり補助金は革新的な製品の開発や省力化のための設備投資に利用できる

ものづくり補助金は、革新的な製品の開発や省力化のための設備投資に利用できる補助金です。ECサイトの構築を目的とする制度ではありませんが、目的に沿った事業を行う上でECサイトの構築が必要な場合は補助対象として認められる可能性があります。

【ものづくり補助金の概要】

項目

概要

公式サイトURL

ものづくり補助金

補助対象経費

①機械装置・システム構築費

②技術導入費

③専門家経費

④運搬費

⑤クラウドサービス利用費

⑥原材料費

⑦外注費

⑧知的財産権等関連経費

⑨海外旅費

⑩通訳・翻訳費

⑪広告宣伝・販売促進費

※⑨~⑪はグローバル枠のみ

申請枠

  • 省力化(オーダーメイド)枠
  • 製品・サービス高付加価値化枠
  • グローバル枠

補助金額

最大1億円

※申請枠と補助対象経費によって異なる

補助率

中小企業:1/2

小規模・再生事業者:2/3

※申請枠や補助額の範囲によって異なる

参考:「公募要領(18次)締切分」|ものづくり補助金

ものづくり補助金における補助金額は、申請する枠や従業員数により上限が異なります。自社の取り組み内容に合わせて申請枠を選択し、該当する申請枠ではいくらの補助金を受給できる可能性があるのかを確認しましょう。

また、大規模な賃上げに取り組む場合、補助上限額の上乗せ措置が設けられています。従業員が100人以上の企業が省力化(オーダーメイド)枠に申請する場合の補助上限額は8,000万円ですが、大幅な賃上げをする場合は補助上限額が1億円となります。

ものづくり補助金においてECサイトが補助対象となるかどうかは、補助事業として取り組む内容によります。どのようなECサイト構築が対象となり得るのか詳しく知りたい人は「ものづくり補助金はECサイトの構築に使えるのか?採択事例を交えて解説」の記事を参考にしてみてください。

小規模事業者持続化補助金は販路開拓や業務効率化の取組に利用できる

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化の取り組みに利用できる補助金です。ECサイトの導入費は「ウェブサイト関連費」の扱いとなり、ウェブサイト関連費は補助対象経費全体の1/4までが補助されます。

【小規模事業者持続化補助金の概要】

項目

概要

公式サイトURL

小規模事業者持続化補助金

補助対象経費

①機械装置等費

②広報費

③ウェブサイト関連費

④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)

⑤旅費

⑥開発費

⑦資料購入費

⑧借料

⑨設備処分費

⑩委託・外注費

申請枠

  • 通常枠
  • 賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • 後継者支援枠
  • 創業枠

補助金額

最大250万円

※選択する補助枠と補助対象経費による

※インボイス特例が適用された場合

補助率

2/3 (賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4)

※ウェブサイト費は全体の補助対象経費の1/4まで申請可能

参考:「第16回公募要領」|小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金における補助金額は、申請する枠により上限が異なります。補助上限額は通常枠の場合は50万円、通常枠以外の申請枠(特別枠)の場合は200万円ですが、インボイス特例が適用されるとそれぞれ上限額が50万円上乗せされます。

小規模事業者持続化補助金の対象者である「小規模事業者」の定義は業種ごとに異なり、常時雇用する従業員数によって判断されます。小規模事業者持続化補助金に申請したい人は、自社が小規模事業者に該当するかを確認してみましょう。

小規模事業者持続化補助金におけるECサイト関連費の詳細は「ECサイト制作は小規模事業者持続化補助金の対象?補助金額の計算例も解説」の記事で詳しく解説しています。過去の採択事例や受給できる金額の計算方法などを知りたい人は参考にしてみてください。

自治体が実施するECサイト向けの補助金もある

ECサイト構築に利用できる補助金には、国だけでなく、自治体や独立行政法人が行っている補助金もあります。国が行う補助金と違い、自治体が行う補助金の場合は、該当の地域で事業を営む事業者のみが申請できます。

【自治体が管轄するECサイト構築に利用できる補助金の種類】

自治体

制度の名称

補助額/補助率

東京都中央区

ECサイト活用補助金

補助額:最大5万円 

補助率: 1/2

新潟県燕市

農産物のECサイト販路開拓応援補助金

補助額:最大50万円

補助率:1/2または1/3

※取組内容によって異なる

鹿児島県

ホームページ作成等支援事業

補助額:最10万円

補助率:1/2

大阪府茨木市

ECサイト活用等支援補助金

補助額:最大20万円

補助率:2/3

東京都中央区が実施する「ECサイト活用補助金」は、区内で事業を営む中小企業者を対象とするECサイト向けの制度です。新たに独自のECサイトを構築するための費用や、モール型ECサイトを利用するための初期登録費用などが最大5万円まで補助されます。

また、新潟県燕市が実施する「ECサイト販路開拓応援補助金」は、市内で農業を営む事業者等を対象にECサイト構築やECモールへの出店費用を補助する制度です。新たにECサイト構築やECモールへの出展を行う場合は最大50万円が補助されるほか、既存のECサイトを改修する場合も最大20万円が補助されます。

国が実施する補助金だけでなく、都道府県や市区町村の自治体が独自に実施する補助金の中にもECサイト構築に使える補助金があります。自治体の補助金を探す際は、事業を行う地域名で検索してECサイト向けの補助金があるか調べてみましょう。

越境ECで販売したいならJETROのジャパンモール事業も利用できる

ECサイト構築に使える補助金ではありませんが、海外で自社製品を販売したい人は、JETRO(日本貿易振興機構)のジャパンモール事業も利用できます。ジャパンモール事業とは、JETROが世界各国で連携するECバイヤーに事業者の商品を紹介する事業です。

【JETROの海外におけるEC販売プロジェクト(JAPAN MALL事業)】

項目

概要

公式サイトURL

JAPAN MALL事業

対象商品の要件(抜粋)

  • 海外へ輸出できる商品であること
  • JANコードが記載されている商品であることが望ましい
  • 最低発注数量(MOQ)が少量(数箱程度)から対応可能な商品であることが望ましい

たとえば、JAPAN MALL事業において採択された食品メーカーの事例があります。ジャパンモール事業で食品サンプルを出品したところ、フランス企業と商談をすることができ、JETROから商談のアドバイスも得られました。

また、JAPAN MALL事業において採択された製造業者の事例もあります。ジャパンモール事業で除菌剤を出品したところ、ジャパンモール内のアバターを通して24時間発信ができ、タイとの初の取引が実現しました。

越境ECの構築経験や資金がない事業者は、JETOROの制度を活用することもできます。越境ECサイトに自社製品を掲載できるだけでなく、海外との取引の際のアドバイスもしてもらえるので、海外展開したい人はジャパンモール事業の利用も視野に入れてみましょう。

補助金を利用したECサイト構築は手続きが増えるが事業者の自己負担額は減る

補助金を利用してECサイトを構築すると、補助金を利用しない時よりも手続きの量は増えますが、事業者が支払わなければいけない経費は減ります。補助金でECサイトを構築したい人は、経費を節約できる代わりに手続きが必要になることに留意しておきましょう。

【小規模事業者持続化補助金の利用ありと利用なしの場合の比較】

項目

補助金利用あり

補助金利用なし

支払うECサイト構築費用

300万円

300万円

補助される金額

50万円

0円

実質負担額

250万円

300万円

申請手続き

必要

不要

実績報告

必要

不要

たとえば、小規模事業者持続化補助金の創業枠を利用した場合、補助金額の上限が200万円です。ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4で最大50万円補助されるため、実質250万円のコストでECサイトを導入できますが、申請手続きや実績報告の手間は増えます。

一方、補助金を利用しなかった場合、補助金の申請と実績報告の手間はかかりません。しかし、ECサイトの費用に対する補助がないため、事業者は300万円全額を負担することになります。

補助金を受給するための手続きが複雑だと感じる人は、商工会や民間のコンサル会社などのサポートを受けることもできます。補助金の申請に不安がある人は「補助金の相談は誰にする?相談できる内容に合った相談先を解説」も参考にしてみてください。

この記事のまとめ

ECサイトの構築に利用できる補助金には「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」「ECサイト活用補助金」など、国や自治体が実施するさまざまな補助金があります。補助金を使えば、事業者がECサイト構築をする際の自己負担額を抑えることが可能です。

ECサイト構築に利用できる補助金には、決められたルールがあります。たとえば、小規模事業者持続化補助金でECサイトの構築費用を補助してもらうには、ウェブサイト関連費で申請し、商工会や商工会議所の支援を受ける必要があります。また、自治体の補助金では、該当地域の事業者のみが対象です。

補助金を利用してECサイトを構築すると、補助金を利用しない時よりも手続きの量は増えますが、事業者が支払わなければいけない経費は減ります。補助金を使ってECサイトを構築したい人は、経費を節約できる代わりに各種手続きが必要になることにも留意しましょう。

補助金は会計ソフトに使える?対象になるソフトウェアと補助金額を解説

会計ソフトの導入や買い替えをする人の中には、会計ソフトの購入費用が補助される「補助金」を探している人もいますよね。その際、対象となる会計ソフトの商品名や補助金額などの、具体的な情報を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、会計ソフトを対象とする補助金の種類と補助金額を解説します。補助金が使える会計ソフトの商品名も紹介するので、会計ソフトを導入したい人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトおよび小規模事業者持続化補助金の公式サイト(第14回~16回受付締切回)を元に作成しています。

国や自治体が運営する補助金には会計ソフトを対象にしたものがある

国や自治体が運営する補助金には、会計ソフトを対象にしたものがあります。や自治体の補助金を使うと、補助金を使わずに会計ソフトを導入する時より、金銭的負担を抑えて導入することが可能です。

【会計ソフトに使える国や自治体の補助金の種類と概要】

-国が運営する補助金-
名称 補助金額 補助率
IT導入補助金

通常枠:150万円未満

(4機能以上のソフトウェアを導入する場合は450万円以下)

インボイス枠:350万円以内

通常枠:1/2

デジタル枠:2/3

小規模事業者持続化補助金

通常枠:50万円以内

特別枠:200万円以内

通常枠:2/3

特別枠:2/3

※賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4

-地方自治体が運営する補助金(抜粋)-
名称 補助金額 補助率

中小企業デジタルツール導入促進支援事業

(東京都)

5万円~100万円以内

1/2

※小規模事業者は2/3

港区中小企業デジタル技術導入促進補助金

(東京都港区)

100万円以内

※国の「ものづくり補助金」または「IT導入補助金に交付決定を受けた金額への上乗せ措置

1/2

デジタル技術活用導入支援事業補助金

(佐賀県佐賀市)

50万円以内 1/2

たとえば、補助率が2/3の「IT導入補助金 デジタル型基盤導入枠」で30万円の会計ソフトを申請する場合、「経費30万円×補助率2/3=補助金額20万円」と計算できます。このように、経費の金額に補助率を掛けると、補助金額を計算できます。

また、補助率が1/2の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」で同じ会計ソフトを申請する場合は、「経費30万円×補助率1/2=補助金額15万円」となります。補助金額15万円は、事業者が実績報告をした後に、事業者が指定する口座に入金されることになります。

会計ソフトが対象の補助金には、「IT導入補助金」や東京都の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」など複数あります。各補助金により補助される金額、補助率などが異なるので、会計ソフトを導入したい人は、補助率を使って補助金額を計算してみてください。

国の補助金にはIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金がある

会計ソフトが対象経費になっている国の補助金には、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金があります。IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金で対象となる経費は異なるので、それぞれの対象経費を確認してみましょう。

【会計ソフトを申請できる国の補助金の概要】

-IT導入補助金-
申請枠  補助対象経費 補助上限額 補助率
①通常枠

ソフトウェア

オプション

役務

<1プロセス以上>
5万円~150万円未満 
1/2以内
<4プロセス以上>
150万円~450万円以下

②インボイス枠

(インボイス対応類型)

ソフトウェア(会計・受発注・決済)

オプション

役務

ハードウェア(別途補助額と補助率の指定あり)

下限なし~350万円 2/3~4/5以内
※補助額の範囲や企業規模により異なる
-小規模事業者持続化補助金-
申請枠 補助対象経費 補助上限額 補助率
通常枠

機械装置等費

広報費

ウェブサイト関連費

展示会等出展費

旅費

新商品開発費

資料購入費

借料

設備処分費

委託・外注費

50万円  2/3以内

特別枠

  • 賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • 後継者支援枠
  • 創業枠
200万円

2/3以内

※賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4

たとえば、IT導入補助金の場合、「freee会計」「弥生会計」「やよいの青色申告」などの会計ソフトが対象です。インボイス制度に対応する会計ソフトもあるので、これからインボイス対応をしたい個人事業主や中小企業等はIT導入補助金を使って対策ができます。

一方、小規模事業者持続化補助金の場合、生産性向上のための機械装置費として、ソフトウェアを申請できます。対象のソフトウェアは公式サイトで発表されていないものの「生産性向上」または「持続的発展」を目的とする会計ソフトの導入であれば対象となる可能性があります。

事業者が国の補助金を使うと、会計ソフトの導入にかかる自己負担を抑えられます。ただし、補助金を利用するためには申請や実績報告などの手続きが発生する点にも留意しておきましょう。

IT導入補助金ではインボイス対応の会計ソフトも補助される

インボイス対応の会計ソフトも補助の対象です。補助金で対象の会計ソフトの中には、インボイス対応の会計ソフトも複数あります。ここでは、対象の会計ソフト名が公式サイトに記載されている、IT導入補助金で対象となる会計ソフトを紹介します。

【IT導入補助金で導入できる会計ソフト】

会計ソフト名称 概要
freee会計 請求書の作成、帳簿・レポート作成などが自動化できる
弥生会計 会計に必要な機能を網羅。インボイス制度の仕訳に対応する
やよいの青色申告 はじめて確定申告する人でも、税務署に行かずにオンラインで青色申告ができる
マネーフォワードクラウド会計 銀行口座、クレジットカードなどを登録するだけで、取引を自動取得し仕訳を提案する
勘定奉行クラウドiJシステム 個別業務の自動化だけでなく、経理業務全体を制度化する
OZO3経費 勘定奉行クラウドと自動連係が可能。精算・支払い業務の入力をペーパーレスで実現する
ジョブカン経費精算  ICカード読み取りや承認経路分岐など、独自の機能で交通費精算や仕訳時間を効率化する
バクラク申請 稟議関連の作業を効率化する、経理向けの会計ソフト。領収書AI自動読取機能や申請と支払う漏れをチェックする
PCAクラウド会計 日常の取引入力をすることで、試算表から決算書までを自動作成する
農業簿記11 農業の事例を選ぶだけで伝票入力が可能。質問に答えるだけで、農業に特化した仕訳ができる
建設大臣NX Super スタンドアロン版 仕訳データの入力時に現場や業者を選択すると、適切な工事台帳や原価管理資料を出力する

参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024

たとえば、インボイス制度対応の会計ソフトには、弥生会計があります。弥生会計はIT導入補助金の対象ソフトで、インボイス制度に対応する仕訳ができる機能がついています。弥生会計には法人向けと個人向けの製品があるので、事業規模に合った機能が使えます。

また、クラウドの会計ソフトには、freee会計があります。無料版はIT導入補助金の補助対象外ですが、有償版の場合は最大2年分のプラン利用料が補助されます。freee会計には、適格請求書の発行や保存、電子帳保存法に対応した会計システムが備わっています。

インボイス制度の開始にともない、個人事業主を含む事業者は正確な適用税率と消費税額が記載された「適格請求書」の発行が必要となりました。補助金を使ってインボイス対応をしたい人は、IT導入補助金や自治体の補助金を使うことを検討してみましょう。

なお、IT導入補助金で対象の会計ソフトは、紹介した以外にもさまざまな種類があります。より多くの選択肢から会計ソフトを探したい人は、IT導入補助金の公式サイト「ITツール・IT導入支援事業者検索」から条件を入力して希望に合った会計ソフトを探してみましょう。

IT導入補助金のインボイス対応類型ではパソコンも対象となる

IT導入補助金の「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、パソコンやタブレットなどのハードウェアも対象となります。会計ソフトや他のソフトウェアを利用するために用いる場合は、パソコンやPOSレジも補助対象経費として申請ができます。

【インボイス枠(インボイス対応類型)の対象となるハードウェア】

補助対象経費 補助上限額 補助率
  • パソコン
  • タブレット
  • POSレジ
  • 券売機
<パソコンとタブレット>
~10万円 
<POSレジと券売機>
~20万円
1/2以内

 参考:インボイス枠(インボイス対応類型)|IT導入補助金2024

たとえば、IT導入補助金でクラウド会計の1万円の年額プランを申請する場合、インボイス対応類型ならパソコンやタブレットの導入費用が最大10万円まで補助されます。ハードウェアの中でも、POSレジや券売機は補助上限額が異なり、最大で20万円までが補助されます。

また、通常枠とは異なり、インボイス対応類型では補助額の下限が設定されていません。ハードウェアを導入したい人だけでなく、5万円未満の会計ソフトを導入したい人は、インボイス枠(インボイス対応類型)の利用を検討してみましょう。

なお、IT導入補助金ではどのようなツールが補助対象となるのか詳しく知りたい人、「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」の記事を参考にしてみてください。

地方自治体の補助金にはデジタル技術活用導入支援事業補助金がある

地方自治体の補助金には、デジタル技術活用導入支援事業補助金を始めとする、複数の補助金があります。「東京都」や「佐賀県」などのデジタル技術に関する補助金を使うと、会計ソフトの導入で最大100万円ほどの補助が受けられます。

【会計ソフトを申請できる地方自治体の補助金の概要】

-中小企業デジタルツール導入促進支援事業(東京都)-
補助対象経費 補助上限額 補助率
新たに導入するデジタルツールに係る購入費等  5万円~100万円 2/1以内
※小規模企業者は2/3以内
-港区中小企業デジタル技術導入促進補助金(港区)-
補助対象経費 補助上限額  補助率

「ものづくり補助金」および「IT導入補助金」の補助対象経費の一部

※「ものづくり補助金」および「IT導入補助金」で交付決定を受けた場合、その補助対象経費の一部を別途港区から支給する

 100万円  2/1以内
-デジタル技術活用導入支援事業補助金(佐賀県)-
補助対象経費  補助上限額  補助率
  • 導入に係る備品購入
  • 使用料及び賃借料
  • 委託料
 50万円  2/1以内

たとえば、補助率が1/2の東京都の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」の場合、中小企業者は会計ソフトを200万円まで申請できます。この補助金は補助上限額が100万円なので、補助上限額が満額になる経費の金額は200万円だからです。

地方自治体の補助金では、最大100万円程度の補助金額が補助率1/2以内で補助されます。自治体の補助金で会計ソフトを購入したい人や、IT導入補助金で2回目に申請できない人は、地方自治体の補助金を使って会計ソフトを購入することも検討してみましょう。

なお、IT導入補助金の交付決定者が地方自治体の補助金に申請する場合、同じ経費は申請できないことがあります。過去にIT導入補助金に採択された人は、各補助金の公募要領や「IT導入補助金の2回目に申請できる条件と懸念点を解説」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

国や自治体が運営する補助金には、会計ソフトを対象にしたものがあります。IT導入補助金はソフトウェアやハードウェアなどのITツールの導入を支援する補助金であり、会計ソフトも対象です。小規模事業者持続化補助金は、機械装置費として会計ソフトが補助されます。

また、IT導入補助金の「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、パソコンやタブレットなどのハードウェアも補助対象となります。会計ソフトや他のソフトウェアと一緒に導入する場合は、ハードウェアも補助対象経費として申請できます。

会計ソフトの中には、インボイス対応の会計ソフトも複数あります。インボイス制度対応の会計ソフトの場合、弥生会計やfreee会計があります。インボイスの対応を補助金で行いたい人は、国や自治体の補助金などを検討してみましょう。

起業 補助金

起業するときに補助金を利用する際のポイントを解説

起業や開業をするときにはさまざまな資金が必要となります。補助金や助成金の中にはこれから事業を始めたいと考えている人や起業したばかりの事業者、スタートアップ企業などを対象としている制度があり、創業の際にかかるさまざまな費用負担を軽減させることが可能です。

当記事では、起業するときの補助金を利用する際のポイントを解説します。創業するための資金や、開業直後の運転資金として補助金を活用したいと考えている人は参考にしてみてください。

ポイントは起業の目的や条件に合った補助金を選ぶこと

起業するときに補助金を利用する際のポイントは、起業の目的や条件に合った補助金を選ぶことです。起業するときに利用できる補助金にはさまざまな種類がありますが、制度によって対象者や対象経費が異なるため、自身の状況や起業の目的に合った補助金を選ぶ必要があります。

【創業者向けの補助金一覧】

項目

利用できる補助金の具体例

起業にかかる経費が幅広く対象となる補助金

  • 【北海道】旭川市スタートアップ支援補助金
  • 【東京都】創業助成金
  • 【大阪府】大阪起業家グローイングアップ補助金
  • 【山梨県】南アルプス市創業支援補助金
  • 【長野県】信濃町起業等人材育成支援補助金
  • 【愛知県】名古屋市スタートアップ企業支援補助金

女性起業家向けの補助金

  • 【茨城県】笠間市女性創業支援事業
  • 【東京都】若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
  • 【兵庫県】商店街若者・女性新規出店チャレンジ応援事業補助金
  • 【和歌山県】シニア・女性起業家支援資金利子補給

学生起業家向けの補助金

  • 【新潟県】長岡市学生起業家育成補助金
  • 【福井県】学生起業応援事業
  • 【福岡県】大学生起業家育成事業費補助金

地方に移住して起業したい人向けの補助金

  • 【千葉県】勝浦市移住支援事業支援金制度
  • 【長野県】UIJターン就業・創業移住支援事業
  • 【京都府】移住者起業支援事業
  • 【長崎県】雇用機会拡充事業
  • 【鹿児島県】鹿屋市移住・定住者就農支援事業
  • 【沖縄県】移住支援金制度

空き店舗を活用して起業したい人向けの補助金

  • 【青森県】弘前市空き店舗対策事業費補助金
  • 【山形県】空き店舗等対策支援事業
  • 【埼玉県】空き店舗等開業支援補助金
  • 【愛知県】空き店舗利活用支援補助金

起業したばかりの事業者向けの補助金

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり補助金
  • 【秋田県】若者・女性創業資金利子補給費補助金
  • 【大阪府】創業支援利子補給制度

参考:創業者向け補助金・給付金(都道府県別)|J-Net21

起業するときに利用できる補助金は、地方自治体が主体となって実施し、地域の発展に貢献し得る事業を対象としている傾向にあります。当記事で紹介している制度は一部となりますが、全国の地方自治体において起業や開業、スタートアップを対象としたさまざまな支援制度が実施されています。

また、起業するときに利用できる補助金は、飲食店、美容室、エステサロンなど業種を問わずに利用できる傾向にあります。しかし、農業に特化した「鹿屋市移住・定住者就農支援事業」など、業種が指定されている場合もあるため、自身の事業が対象となるかどうかを確認する必要があります。

なお、起業したばかりの事業者が利用できる補助金は、申請時点において開業届の提出や事業所の取得が済んでいることが申請の条件として定められている場合があります。開業前の人は申請できない制度もあるため、公募要領や公式サイトなどから起業予定者も対象となるかどうかを確認しましょう。

起業する際の経費が幅広く対象となる補助金

起業するときに利用できる補助金には、起業する際にかかる経費が幅広く対象となる制度があります。店舗や設備の取得にかかる費用だけでなく、事業の宣伝・広告費や従業員の人件費、依頼した専門家への謝金などさまざまな経費が補助対象となる制度があります。

【起業する際の経費が幅広く対象となる補助金一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

対象経費

【北海道】

旭川市スタートアップ支援補助金

市内で起業する事業者の新たな商品・サービスの開発、販路開拓に関する取組を支援する

【補助額】

成長枠:最大100万円

小規模枠:最大20万円

【補助率】

1/2

  • 機械装置等購入費
  • 原材料・副資材費
  • 外注費
  • 工業所有権導入費
  • Web関連費
  • 広報費
  • 展示会等出展費
  • 報償費
  • 委託費
  • 旅費
  • 土地・建物取得費、改修費 
  • 不動産仲介料
  • その他市長が特に認める経費

【東京都】

創業助成金

都内の産業活力向上等に寄与する「創業者等の事業計画」に対して、創業初期に必要な経費の一部を補助する

【補助額】

100万円~400万円

【補助率】

2/3

  • 賃借料
  • 広告費
  • 器具備品購入費
  • 産業財産権出願・導入費
  • 専門家指導費
  • 従業員人件費
  • 委託費(市場調査・分析費)

【大阪府】

大阪起業家グローイングアップ補助金

ビジネスプランコンテストの優秀提案者に対し、創業等に要する経費の一部を補助する

【補助上限額】

最大100万円

【補助率】

1/2

  • 創立費
  • 開業費
  • 事務所賃借料・共益費・仲介手数料
  • 機械装置・工具備品調達費
  • 実験費・研究開発費
  • 知的財産権等関連経費
  • 外注費・委託費・技術コンサルタント料
  • 謝金
  • 旅費
  • 補助員人件費
  • 調査研究費
  • 研修費
  • 広告宣伝費
  • 諸経費
  • その他(知事が特に必要と認める経費)

【山梨県】

南アルプス市創業支援補助金

市内の創業を支援するため、創業に要する経費の一部を補助する

【補助上限額】

最大50万円

【補助率】

2/3

  • 機械装置等購入費
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費
  • 旅費
  • 開発費
  • 資料購入費
  • 雑役務費
  • 賃借料
  • 専門家謝金
  • 専門家旅費
  • 設備処分費
  • 委託費
  • 外注費

【長野県】

信濃町起業等人材育成支援補助金

町内において起業する者に対し、事業に要する経費の一部を補助する

【補助上限額】

最大100万円

【補助率】

1/2

  • 店舗等新築工事費
  • 設備費
  • 開業に伴う広告宣伝費
  • 事務所や設備備品等の賃借料
  • 備品購入費
  • その他、起業に必要と認められる経費

【愛知県】

名古屋市スタートアップ企業支援補助金

成長が見込まれる企業の創業を促進するため、創業時等の経費の一部を助成する

【補助上限額】

最大100万円

【補助率】

1/3

  • 人件費
  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • マーケティング調査費
  • 広報費
  • 外注費・委託費
  • その他、起業に必要と認められる経費

東京都が実施する「創業助成金」は、都内で創業予定の人や創業から5年未満の個人事業主および中小企業者等が対象の制度です。過去の採択事例には、SNS広告の運用に補助金を活用した化粧品会社や、店舗の賃借料とスタッフの人件費として補助金を活用した助産院などがあります。

また、大阪府が実施する「大阪起業家グローイングアップ補助金」は、府内の創業予定者のうちビジネスプランコンテストの優秀提案者に選ばれた個人事業主や法人が対象となる制度です。申請するにはコンテストにおいて優勝または準優勝する必要がありますが、法人登記の費用や宣伝のためのホームページ制作費など、幅広い経費が補助される可能性があります。

ただし、補助金においてはパソコンや車両など汎用性のある経費は補助対象外となる傾向にあります。補助対象となる経費は原則として取り組む事業のみに利用するもの、かつ必要性が認められるものに限られる点に留意しておきましょう。

女性起業家向けの補助金

起業するときに利用できる補助金には、女性の起業を支援する制度があります。日本政策金融公庫の「2023年新規開業実態調査」(p.3)によると、開業者に占める女性の割合は1991年の調査開始以降増加傾向にあり、全国の自治体において女性の社会進出や起業を後押しする取り組みが実施されています。

【女性起業家向けの補助金一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

対象経費

【茨城県】

笠間市女性創業支援事業

市内で創業する女性を対象に、店舗や設備の取得にかかる費用の一部を補助する

【補助額】

最大50万円

【補助率】

1/2

  • 新築、改装等の工事費
  • 店舗等の購入費
  • 設備費
  • その他市長が特に必要と認めた経費

【東京都】

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

女性または若手男性が都内商店街で実店舗を新規開業する際に、必要な経費の一部を助成する

【補助額】

<事業所整備費>

最大400万円

<店舗賃借料>

1年目:15 万円/月

2年目:12 万円/月

3年目:10 万円/月

【補助率】

3/4

  • 店舗新装・改装工事費
  • 設備・備品購入費
  • 宣伝・広告費
  • 店舗賃借料

【兵庫県】

商店街若者・女性新規出店チャレンジ応援事業補助金

若者や女性による、空き店舗を活用した個性ある店舗の新規開業を支援する

【補助額】

最大75万円

【補助率】

1/6

  • 店舗賃借料
  • 内装工事費
  • ファサード(正面外装)整備費

【和歌山県】

シニア・女性起業家支援資金利子補給

創業にあたり日本政策金融公庫の融資を受けた女性やシニアを対象に、利子の一部を補給する

【補助額】

年利率1.0%(上限)

【補助率】

支払利子額の1/2

  • 融資の利子相当額

東京都が実施する「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、都内商店街で実店舗を持っていない女性の創業予定者や個人事業主が利用できる制度です。 新たに店舗を開業する際の店舗改装費や賃借料のほか、設備導入費や宣伝・広告費などに利用できます。

また、和歌山県和歌山市が実施する「シニア・女性起業家支援資金利子補給」は、起業にあたって日本政策金融公庫からの融資を受けた法人や個人事業主が利用できる補助金です。融資の利子相当額のうち、最大半額を補助金として受給できる可能性があります。

なお、女性起業家向けの補助金は、女性だけでなく若手やシニアなど一定の条件を満たす男性も対象となる場合があります。「若手」や「シニア」の定義は補助金によって異なるため、男性が申請する場合は自身が対象者に該当するかどうかを事前に確認しましょう。

学生起業家向けの補助金

起業するときに利用できる補助金には、学生の起業を支援する制度があります。学生起業家向けの補助金は、学生のアイディアや研究成果などを活かした事業を対象としており、ほかの補助金制度と比較して補助率が高い傾向にあります。

【学生起業家向けの補助金一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

対象経費

【新潟県】

長岡市学生起業家育成補助金

起業を考えている学生や卒業後5年未満の人等に対し、起業に必要な経費を補助する

【補助額】

法人:最大30万円

個人事業主:最大20万円

【補助率】

4/5

  • 設備費
  • 賃借料
  • 外注・委託費
  • 広報費
  • 原材料費
  • インターネット・ソフトウェア関係費
  • 旅費
  • 書籍購入費
  • 専門家謝金
  • 会社の設立登記費

【福井県】

学生起業応援事業

研究成果や斬新なアイデアを活かして起業する学生等に対し、起業に必要な経費を助成する

【補助額】

最大100万円

【補助率】

10/10

  • 事務所賃借料
  • 事業運営費

【具体例】 

  • 書類作成費
  • パソコンのリース料
  • 電気代
  • 口座振込手数料
  • 委託・外注費
  • ホームページ制作費

【福岡県】

大学生起業家育成事業費補助金

学生の感性や創造力を活かしたアイデアの事業化および起業を目指す学生等の取組みを支援する

【補助額】

10万円

※事業期間内に市内で起業する場合は開業費として10万円上乗せ

【補助率】

10/10

  • 旅費
  • 通信運搬費
  • 備品購入費
  • 消耗品費
  • 広報宣伝費
  • 賃借料
  • 謝礼金
  • 図書購入費
  • 開業費
  • その他の経費

新潟県長岡市が実施する「長岡市学生起業家育成補助金」は、大学等における学習や研究成果を生かした事業により市内の経済発展を目的とする制度です。これから起業予定の人や市内での起業後1年未満の法人や個人事業主も対象となります。

また、福井県市が実施する「学生起業応援事業」は、研究成果や斬新なアイデアを活かして起業する学生等を支援する制度です。県内で起業予定または起業後1年未満の学生等が対象となり、100万円を上限として経費のうち最大全額が補助される可能性があります。

なお、「大学生起業家育成事業費補助金」は、学生であっても申請時点において開業届の提出や法人の設立が済んでいる場合は補助対象外となります。すでに起業している学生が運転資金として補助金を利用したい場合は、申請する制度が起業後も対象となるかどうかを確認しておきましょう。

地方に移住して起業したい人向けの補助金

起業するときに利用できる補助金には、都市部から地方への移住をともなう起業者を対象とする制度があります。移住者を積極的に受け入れている地域や国境離島地域において移住をともなう起業を考えている人は、自治体が実施する補助金を利用できる可能性があります。

【移住をともなう起業に利用できる補助金一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

対象経費

【千葉県】

勝浦市移住支援事業支援金制度

東京23区へ在住または通勤していた人を対象に、市内への移住をともなう就職や起業を支援する

【補助額】

1世帯につき100万円

※18歳未満の世帯員を含む場合は+100万円

※単身の場合は60万円

指定なし

【京都府南丹市

移住者起業支援事業

移住者が「移住促進特別区域」の空き家等を活用し起業するために必要な改修費や整備費を補助する

【補助額】

最大300万円

【補助率】

2/3

  • 改修費
  • 敷地整備費
  • 設備機器整備費
  • 設計費

【長崎県】

雇用機会拡充事業

「特定有人国境離島地域」において、新たな雇用を生む創業等に対して運転資金の一部を支援する

【補助額】

創業:最大450万円

事業拡大:最大1200万円

【補助率】

3/4

  • 設備費
  • 改修費
  • 広告宣伝費(求人等含む)
  • 店舗等借入費
  • 人件費
  • 研究開発費
  • 島外からの事業所移転費
  • 従業員の教育訓練費
  • 感染防止対策費

【鹿児島県】

鹿屋市移住・定住者就農支援事業

市外から移住した新たに就農する人を対象に、農業機械や施設の導入に要する経費の一部を助成する

【補助額】

最大100万円

【補助率】

1/2

  • 農業用機械
  • 施設の導入費

【沖縄県】

移住支援金制度

東京23区へ在住または通勤していた人を対象に、県内への移住をともなう就職や起業を支援する

【補助額】

1世帯につき100万円

※18歳未満の世帯員を含む場合は+100万円

※単身の場合は60万円

指定なし

千葉県勝浦市が実施する「勝浦市移住支援事業支援金制度」は、東京23区から勝浦市に移住し就職や起業など一定の条件を満たす人を対象とする制度です。補助対象経費に指定はなく、原則として2人以上の世帯には100万円、単身者には60万円が定額で支給されます。

また、鹿児島県鹿屋市が実施する「鹿屋市移住・定住者就農支援事業」は、市内への移住をともなう新規就農者を対象とする制度です。新たに収納する際に必要となる農業機械や施設の取得費等の経費が補助対象ですが、農業に要する機械であっても運搬用トラックなどの汎用性の高いものは対象外となります。

地域の活性化や雇用機会の拡充を目的とし、移住促進特別区域や国境離島地域を中心に移住者に対する補助金制度が設けられています。東京都や神奈川県などの都市部から移住して起業したいと考えている人は、移住先の地域において支援制度が実施されているかどうか確認してみましょう。

空き店舗を活用して起業したい人向けの補助金

起業するときに利用できる補助金には、空き家や空き店舗を活用して起業する人が対象となる制度があります。空き家や商店街の空き店舗の活用により、集客や賑わいの創出から地域の活性化につなげることを目的としています。

【空き店舗を活用した起業に利用できる補助金一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

対象経費

【青森県弘前市】

弘前市空き店舗対策事業費補助金

中心市街地の空き店舗解消と活性化を目的に、新規出店又は店舗の移転にかかる費用を補助する

【補助額】

最大175万円

※店舗の条件や用途により異なる

【補助率】

1/2または2/3

<改修事業の場合>

新規出店又は移転に必要な空き店舗の内外装工事費用

<賃貸事業の場合>

道路に面した1階の空き店舗の賃借料

【山形県寒河江市】

空き店舗等対策支援事業

市内で空き店舗や空き家を活用して新たに営活動を行う企業や個人事業主を支援する

【補助額】

最大50万円

【補助率】

1/2

※特定創業支援を受けた事業者は2/3

  • 家賃
  • 内装工事
  • 外装工事
  • 給排水・ガス設備工事
  • サイン工事
  • 電気工事
  • 美装工事

【埼玉県熊谷市】

空き店舗等開業支援補助金

市内の指定地域において、空き店舗等を利用して事業を始める企業や個人事業主を支援する

【補助額】

最大50万円

  • 内装工事
  • 外装工事
  • 設備工事費
  • 開業費(不動産契約費、開業に伴う仕入れ等)

【愛知県一宮市】

空き店舗利活用支援補助金

市内の商店街の空き店舗を活用して新たに事業を行う人を対象に、開業費や初期費用を補助する

【補助額】

最大80万円

【補助率】

1/2

※特定創業支援を受けた事業者は2/3

  • 店舗改装費
  • 広告宣伝費
  • 印刷製本費
  • 開店イベント費
  • 賃借料

青森県弘前市が実施する「弘前市空き店舗対策事業費補助金」は、小売・サービス業の新規出店や移転など中心市街地の空き店舗等を賃借して事業を行う人を対象とする制度です。申請する事業が健康または子育てに関連する店舗の場合には優遇措置が設けられており、補助上限額が通常よりも上乗せされます。

また、愛知県一宮市が実施する「空き店舗利活用支援補助金」は、市内の商店街における空き家や空き店舗を利用した、集客や賑わいの創出につながる事業を対象とする制度です。内外装工事や設備工事に加え、ウェブサイト構築費や開店イベントの委託料など経営の初期費用にあたるさまざまな経費が補助対象となります。

空き家や空き店舗を活用した起業は地域の活性化につながることが期待されることから、補助金や助成金などの支援制度を積極的に実施している地域もあります。空き家や商店街の空き店舗を利用して自分のお店を出店したいと考えている人は、地域の空き店舗活用に利用できる支援制度を探してみましょう。

開業したばかりの事業者向けの補助金

起業するときに利用できる補助金には、開業したばかりの事業者向けの制度があります。開業資金として利用することはできませんが、開業したばかりの事業者に優遇措置が設けられている制度や開業時に受けた融資の利息を補助してもらえる制度などがあり、開業直後の負担を軽減できる可能性があります。

【開業したばかりの事業者が利用できる補助金一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

対象経費

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者や個人事業主の販路開拓および業務効率化の取り組みを支援する。

海外への販路開拓にも利用できる

【補助額】

通常枠:最大50万円

特別枠:最大200万円

※インボイス特例適用時は各枠上限+50万円

【補助率】

2/3

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費(オンライン含む)
  • 旅費(海外旅費含む)
  • 新商品開発費
  • 資料購入費
  • 借料
  • 設備処分費
  • 委託・外注費

ものづくり補助金

中小企業や小規模事業者、個人事業主等が国の制度変更に対応するための設備投資を支援する制度。

海外への販路開拓にも利用できる

【補助額】

省力化枠:最大8,000万円

製品・サービス高付加価値化枠:最大2,500万円

グローバル枠:最大3,000万円

※従業員数等により上限額が異なる

※大幅な賃上げによる上限の上乗せ措置あり

【補助率】

1/3~2/3

※申請枠や事業規模により異なる

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用料
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費
  • 通訳・翻訳費
  • 広告宣伝・販売促進費

【秋田県鹿角市】

若者・女性創業資金利子補給費補助金

起業を図る若者や女性が、金融機関から融資を受けた資金の償還に係る利子相当分を3年間補助する

【補助額】

以下いずれか低い方を年ごとに支給

  • 融資実行時の償還計画における支払予定利子額
  • 当該算定期間内に支払った利子額
  • 融資の利子相当額

【大阪府茨木市】

創業支援利子補給制度

市内の創業者が、金融機関から融資を受けた資金の償還に係る利子相当分を3年間補助する

【補助額】

10万円/年

(最大3年間)

【補助率】

支払った利子のうち1%相当分

  • 融資の利子相当額

経済産業省が実施する「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者や個人事業主の販路開拓の取り組みを支援する制度です。特別枠のひとつとして、公募締切日から起算して3年の間に開業をした事業者が対象となる「創業枠」が設けられており、通常枠よりも補助上限額が高く設定されています。

また、経済産業省が実施する「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者等が直面する賃上げやインボイス制度など国の制度変更に対応するための設備投資を支援する制度です。審査において有利となる加点項目のうち「政策加点」のひとつとして、会社設立や開業から5年以内の事業者が挙げられています。

そして、秋田県鹿角市の「若者・女性創業資金利子補給費補助金」と大阪府「創業支援利子補給制度」は特定の融資を利用して起業した人が利用できる制度です。支払うべき償還金のうち利子相当額を支援してもらえることから、起業したばかりの事業者が直面する融資の返済における負担を軽減できます。

なお、ものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金では、販路開拓のために海外の展示会へ出展する際の出展費や海外旅費なども補助対象となります。起業後に海外展開も見据えて販路開拓を行いたいと考えている人は、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金の利用を検討してみましょう。

起業するときに補助金を利用する場合の注意点

起業するときに補助金を利用する場合、いくつかの注意点があります。

【起業するときに補助金を利用する場合の注意点】

  • 補助金の用途が決められている
  • 補助金を受給するための審査がある
  • 補助事業完了後の後払いとなる

注意点を知らずに申請をおこなった場合、希望の用途で補助金を利用できないことや、補助金を受給できなくなることがあります。補助金にはさまざまなルールが定められているため、申請前に注意すべき点を確認しておきましょう。

なお、補助金は制度によって仕組みやルールが異なります。注意点として挙げた項目はあくまでも傾向であり、かならずしもすべての補助金にあてはまるとは限らないため、申請する際は各補助金の公式サイトや公募要領を確認してください。

補助金の用途が決められている

1つめの注意点は、補助金の用途が決められていることです。受給した補助金は自由に使えるわけではなく、事前に申請する事業計画にもとづく必要経費に対して使用しなければならないため、補助金を申請予定の人は覚えておきましょう。

補助金は、制度の目的に応じて対象となる経費が定められている傾向にあります。補助金を申請する際には、どのような用途で補助金を利用するのかを事業計画書などの申請書類に記載しなければなりません。

また、補助金受給後の実績報告において、経費に関する証拠書類の提出を求められる場合があります。証拠書類の提出ができない場合や補助金の用途として適切であると認められなかった場合は、採択の取り消しや補助金の返還を求められる可能性もあります。

補助金は、制度ごとに定められている目的に沿った取り組みに対して支援をする制度です。起業や開業の際に利用するものであっても補助対象とならない経費もあるので、自身が申請したい経費が補助対象となっているかを事前に確認しておきましょう。

審査に通過しなければ受給できない

2つめの注意点は、審査に通過しなければ補助金を受給できないことです。補助金は申請内容をもとに審査がおこなわれる傾向にあり、審査に通過できなかった場合には補助金を受け取ることができないため、補助金を申請予定の人は申請したい補助金における審査の有無や審査内容を確認しておきましょう。

補助金の審査はおもに申請の際に申告する事業者の情報や、提出する事業計画書などをもとに実施されます。「起業前でも利用できるのか」「個人事業主として開業する場合も対象となるか」など、補助金の申請条件に該当しているかどうかを確認する必要があります。

また、補助金によっては審査において有利となる条件として「加点項目」が設けられていることもあります。かならず満たさなければいけない条件ではありませんが、加点を取得することにより審査に通過できる可能性を高めることができます。

補助金は、審査申請すれば誰でももらえるものではありません。起業するときに補助金を利用したいと考えている人は、自身の起業内容が補助金の目的に合っているかを踏まえたうえで実現可能な事業計画をたてましょう。

なお、審査に通過できなかった場合でも、補助金によっては再申請をすることや複数の補助金を併用申請できる可能性があります。万が一希望の補助金に採択されなかったときは、不採択となった原因を改善して再申請することや他の補助金に申請することを検討してみてください。

事業実施後の後払いとなる

3つめの注意点は、補助金が事業実施後の後払いとなる傾向にあることです。補助金は申請後すぐにもらえるものではないため、開業資金として補助金を申請予定の人は補助金を受け取れるタイミングを確認しておきましょう。

【補助金を受給するまでの基本的な流れ】

①補助金の申請をする

②申請内容の審査が行われる

③採択通知を受け取る

③申請した経費を用いて補助事業を実施する

④補助事業の実績報告をする

⑤実績報告の審査が行われる

⑥補助金が入金される

⑦効果報告を行う

補助金を受け取れるのは、原則として申請した経費を用いて補助事業を実施したあとです。経費の支払いにおいては一度全額を立て替えることになるため、申請者は補助金を受給するまでの自己資金を用意しなければなりません。

補助金は、申請から受給までに1年程度を要する場合もあります。起業するときに補助金を利用したいと考えている場合、補助金を受け取るまでの運転資金をどのようにまかなうかもあわせて検討する必要があります。

なお、補助金を受給するまでに不足する資金を補うため、一時的な資金調達方法として「つなぎ融資」を利用できる可能性があります。補助金を受給するまでの自己資金に不安がある人は、メインバンクとなる金融機関や日本政策金融公庫へ相談してみてください。

まとめ

起業するときに補助金を利用する際のポイントは、起業の目的や条件に合った補助金を選ぶことです。起業には店舗や設備の導入費のほか、開業に係る書類作成費、広告宣伝費などさまざまな経費が必要となりますが、制度によって対象者や対象経費が異なるため自身の状況や起業の目的に合った補助金を選ぶ必要があります。

また、起業するときに補助金を利用する際にはいくつかの注意点があります。制度によって異なる可能性がありますが「補助金の用途が決められていること」「補助金を受給するための審査があること」「補助事業完了後の後払いとなること」に注意して申請を検討しましょう。

なお、補助金を受給するまでの自己資金が不足している場合は、一時的に資金の借り入れをおこなう「つなぎ融資」を利用できる可能性があります。起業する際に元手となる資金がなく補助金の利用ができないと考えていた人は、金融機関や日本政策金融公庫へ相談してみてください。

農業 補助金 助成金

農業が対象の補助金を利用するときのポイントを解説

農業を営んでいる人や新たに農業を始めたいと考えている人の中には、設備導入や人材確保など資金調達に課題を抱えている人もいるでしょう。国や地方自治体では、農業の経営を支援するためにさまざまな補助金や助成金などの支援制度が実施されています。

当記事では、農業で補助金を利用するときのポイントと、2024年に実施されている農業を対象とした補助金や助成金を紹介します。農業において新たな設備や技術を導入したいと考えている人や、これから農業を始めるための資金を確保したいと考えている人は当記事を参考にしてみてください。

なお、補助金や助成金は通年で募集を行っているものだけでなく、年に数回の締切が設けられている制度もあります。応募を検討する場合は、公式サイトから最新のスケジュールを確認してください。

ポイントは目的に合った補助金を選ぶこと

農業が対象となる補助金や助成金を利用するときのポイントは、農業者の目的に合った制度を選ぶことです。農業が対象となる補助金や助成金にはさまざまな種類があるため、農業者の状況や補助金を受給する目的別にどのような制度を利用できるのかを確認してみましょう。

【農業が対象となる補助金や助成金一覧】

補助金の目的

利用できる制度の具体例

新たに農業を始めたい

  • 新規就農者育成総合対策(就農準備資金)
  • 新規就農者育成総合対策(経営開始資金)
  • 新規就農者育成総合対策(経営発展支援事業)
  • 【熊本県】新規就農スタートアップ支援力強化事業
  • 【沖縄県】新規畑人資金支援事業 

機材や設備を導入したい

  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 産地生産基盤パワーアップ事業(収益性向上対策)

スマート農業を導入したい

  • IT導入補助金
  • 農山漁村振興交付金(情報通信環境整備対策)
  • 農地利用効率化等支援交付金
  • 【鹿児島県南さつま市】みらい農業サポート事業

農業の労働環境を整備したい

  • 働きやすい環境づくり緊急対策
  • 【千葉県】農業雇用労働力対策就業環境整備事業補助金
  • 【兵庫県丹波篠山市】雇用就農促進事業(労働環境整備事業)

人材確保や教育に取り組みたい

  • 新規就農者育成総合対策(雇用就農資金・雇用就農者育成/独立支援タイプ)
  • 新規就農者育成総合対策(雇用就農資金・次世代経営者育成タイプ)
  • 【千葉県】農業雇用条件改善推進事業

環境に配慮した農業に取り組みたい

  • 環境保全型農業直接支払交付金
  • みどりの食料システム戦略推進総合対策
  • 【山梨県】省エネ・再エネ設備導入加速化事業費補助金(農漁業者用)

農作物の安定した生産を目指したい

  • 経営所得安定対策
  • 水田活用の直接支払交付金
  • コメ新市場開拓等促進事業

災害に備えたい/

災害からの復興を目指したい

  • 園芸産地における事業継続強化対策
  • 産地生産基盤パワーアップ事業
  • 農地利用効率化等支援交付金(被災農業者支援タイプ)
  • 【石川県】除塩事業補助金

参考:農業経営支援策活用カタログ2024|農林水産省

農業者が対象となる補助金や助成金には、新規就農者を対象とした制度やスマート農業の導入を推進する制度、農業の雇用や教育を支援する制度などさまざまな目的をもつ制度があります。農業者が申請する場合であっても、制度の目的に合った取り組みでなければ補助金を受給できない可能性があります。

また、農林水産省が実施する「新規就農者育成総合対策」や、経済産業省が実施する「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」は全国の事業者が対象です。一方、自治体が実施する支援制度は原則として管轄の地域で農業を営む事業者や団体が対象となります。

農業が対象となる補助金や助成金は、農業法人や組合に限らず個人事業主として農業を営む事業者も申請できる制度があります。申請の対象者や対象経費は制度によって異なるため、補助金を探す際には対象の地域や補助金の用途などを絞り込んで自社に合った支援制度を探しましょう。

なお、都道府県や市区町村の自治体が実施する補助金や助成金は数多く存在しているため、当記事ではその具体例として一部の支援制度を紹介しています。地域によってはほかにもさまざまな支援制度を実施している可能性があるため、利用できる制度を探したい人は地域のホームページや自治体の窓口などで確認してみてください。

新規就農に利用できる補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、新規就農の際に利用できる制度があります。補助金や助成金の用途によって対象となる制度が異なるため、研修費用や設備の導入など自社の目的に合った支援制度を探しましょう。

【新規就農に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

新規就農者育成総合対策

(就農準備資金)

就農に向けて必要な技術等を習得するために、都道府県が認める機関での研修費用を支援する

【補助額】

12.5万円/月 を最長2年間

新規就農者育成総合対策

(経営開始資金)

新たに農業に取り組む事業者を対象に、就農直後の経営確立のための資金を支援する

【補助額】

12.5万円/月 を最長3年間

新規就農者育成総合対策

(経営発展支援事業)

国と都道府県が連携し、就農後の経営発展のために必要な機械・施設の導入等の取組を支援する

【補助額】

補助対象事業費上限:1,000万円

【補助率】

国:1/2以内

県:1/4以内

※都道府県支援分の2倍を国が支援

【熊本県】

新規就農スタートアップ支援力強化事業

(貸出ハウス整備支援事業)

新規就農者を対象に中古ハウスの補修費、移設費、ハウス付帯設備の導入費等を支援する

【補助額】

250万円以内

【補助率】

1/2以内

【沖縄県】

新規畑人資金支援事業 

就農前の研修を後押しするため、県知事が認めた研修機関等で研修を受ける費用を支援する

【補助額】

12.5万円/月 を最長2年間

新規就農の際に利用できる支援制度には、農林水産省が実施する「新規就農者育成総合対策」が挙げられます。補助金の用途に応じて複数の制度に分かれており、研修や設備導入など、新たに農業を始める際に必要となるさまざまな費用が補助対象となります。

また、自治体が実施する支援制度には、熊本県の「新規就農スタートアップ支援力強化事業(貸出ハウス整備支援事業)」が挙げられます。新規就農者を対象とした補助金であり、中古のビニールハウスの補修費用に加え、補修とともに実施する暖房設備の導入などハウス付帯設備にも利用できます。

新たに農業を始める場合、農業の知識や技術を習得するための研修のほか、農業に必要となる機械や設備の導入などさまざまな費用がかかります。新規就農における費用負担を軽減させたいと考えている人は、新規就農者を対象とした国や自治体の支援制度の活用を検討してみましょう。

機材や設備の導入に利用できる補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、農業に使用する機材や設備の導入に利用できる制度があります。農業では「トラクター」「コンバイン」「ビニールハウス」「防除機」などさまざまな機械や設備が必要ですが、制度によって対象となる経費が異なるため、補助金の用途に合った支援制度を探しましょう。

【機材や設備の導入に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

ものづくり補助金

中小企業等の革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する

【補助額】

最大1億円

※申請枠や従業員数によって異なる

【補助率】

1/3~2/3

※企業規模や補助額の範囲によって異なる

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者等の販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する

【補助額】

通常枠:最大50万円

特別枠:最大200万円

※インボイス特例による上乗せ措置あり

【補助率】

2/3

※賃金引上げ枠へ申請する赤字事業者は3/4

産地生産基盤パワーアップ事業

(収益性向上対策)

都道府県知事が承認した「産地パワーアップ計画」に取り組む農業者等を対象に、高性能な機械・施設の導入等を支援する

【補助率】

1/2等

機材や設備の導入に利用できる支援制度には、経済産業省が実施する「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」が挙げられます。農業者向けの補助金ではないものの、販路開拓や生産性向上につながる取り組みの一環として農業機械等を導入する場合には補助対象となる可能性があります。

また、機材や設備の導入に利用できる支援制度には、農林水産省が実施する「産地生産基盤パワーアップ事業」も挙げられます。強い農業づくりに向けた幅広い取組を支援する制度であり、収益性向上対策として農業機械や生産資材の導入に必要な経費が補助対象となります。

なお、機材や設備の導入においては、農業に使用するものであっても運搬用のトラックなど事業以外でも利用できる汎用性の高い経費は対象外となる場合があります。補助対象となる経費は制度によって異なるため、農業の機材や設備の導入に補助金や助成金を利用したいと考えている人は各制度の公募要領に定められているルールを確認しましょう。

スマート農業の導入に利用できる補助金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、スマート農業の導入に利用できる制度があります。スマート農業にはさまざまな取り組みがあるため、スマート農業の導入に補助金や助成金を利用したいと考えている人は、導入したい機材や設備が対象となる支援制度を探しましょう。

【スマート農業の導入に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

IT導入補助金

労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツールの導入を支援する

【補助額】

通常枠:最大450万円

インボイス枠(インボイス対応類型):最大350万円

※ハードウェアは最大20万円

インボイス枠(電子取引類型):最大350万円

セキュリティ対策推進枠:最大100万円

【補助率】

1/2~4/5

※申請枠、事業規模、補助額の範囲等によって異なる

農山漁村振興交付金

(施設整備事業)

人口減少や高齢化が進行する農村地域において、農業農村インフラ管理の省力化、スマート農業の実装、情報通信環境の整備等を支援する

【補助率】

1/2

農地利用効率化等支援交付金

(スマート農業優先枠)

新たな技術を活用した農業用機械等の導入による、労働力不足の解消等のための取組を支援する

【補助額】

最大300万円

※引き上げ措置あり

【補助率】

3/10

【鹿児島県南さつま市】

みらい農業サポート事業

ロボット、AI、IoT等先端技術を有する農業機械、農業用施設の整備を行う認定農業者等の取組を支援する

【補助額】

最大100万円

【補助率】

1/3

スマート農業の導入に利用できる支援制度には、経済産業省が実施する「IT導入補助金」が挙げられます。農業者向けの補助金ではないものの、生産性向上につながるソフトウェアやハードウェア、サービスなどのITツールが補助対象となることから、スマート農業に必要なシステムの導入に利用できる可能性があります。

また、自治体が実施する支援制度には、鹿児島県南さつま市の「みらい農業サポート事業」が挙げられます。対象経費は原則として農林水産省が公表する「スマート農業技術カタログ」 および「農業用ドローンカタログ機体編」に掲載されているものであり、農業用ドローンの本体やアシストスーツ、ロボットコンバインなどが補助対象となります。

農業人口が減少傾向にある中で、業務効率化につながるスマート農業が注目されています。スマート農業の導入を支援するさまざまな制度が実施されているため、スマート農業の導入にかかる負担を軽減したい人は国や自治体が実施する支援制度を利用してみましょう。

農業における労働環境の整備に利用できる補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、労働環境の整備に利用できる制度があります。労働者の定着や新規の雇用に向けてトイレの改修や更衣室の設置をしたいと考えている人は、農業における労働環境の整備に利用できる支援制度を探しましょう。

【農業における労働環境の整備に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

働きやすい環境づくり緊急対策

(女性の労働環境整備・活躍強化に対する支援)

農業者や地方公共団体が組織する「地域協議会」における、女性農業者が働きやすい環境整備の取り組みを支援する

【補助額】

1協議会あたり最大2,000万円

【補助率】

定額

【千葉県】

農業雇用労働力対策就業環境整備事業補助金

(就業環境改善施設整備費)

農業の労働力確保の取組として、就業環境を改善するための更衣室・トイレ・居住施設の設置などを支援する

【補助額】

最大50万円

【補助率】

1/3

※個人事業主の場合は1/4以内

【兵庫県丹波篠山市】

雇用就農促進事業(労働環境整備事業)

農業法人等が雇用就農者が働きやすい環境を整備するため、トイレや休憩室等の整備費用を支援する

【補助額】

簡易トイレ:最大12万円

男女別水洗トイレ:最大60万円

休憩室:最大60万円

【補助率】

1/3

農業における労働環境の整備に利用できる支援制度には、農林水産省が実施する「働きやすい環境づくり緊急対策」が挙げられます。事業内容のひとつとして「女性の労働環境整備・活躍強化に対する支援」があり、男女別トイレや更衣室の確保など女性農業者が働きやすい環境づくりの取り組みに利用できます。

また、自治体が実施する支援制度には、千葉県の「農業労働力確保対策就業環境整備事業」が挙げられます。新たな人材の雇用を前提に、すべての人が働きやすい環境づくりのため休憩施設、更衣室、トイレ、シャワー施設、バリアフリー施設などを整備する際の費用が補助されます。

農業人口が減少傾向にある中で、高齢者や女性、障害者を含む多様な労働力の確保が求められています。新たな人材の雇用や労働者の定着を目的にトイレや更衣室などの環境整備をしたいと考えている人は、農業現場における労働環境の整備に利用できる補助金の利用を検討してみましょう。

人材雇用や研修に利用できる補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、人材雇用や研修に利用できる制度があります。新規就農者を雇用する際には教育のための人件費や出張のための交通費などさまざまな費用が発生するため、人材雇用や研修に利用できる支援制度の利用を検討しましょう。

【農業の研修や人材雇用に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

新規就農者育成総合対策

(雇用就農資金・雇用就農者育成/独立支援タイプ)

49歳以下の就農希望者を新たに雇用し、農業に必要な技術・ノウハウ等の研修を行う農業者を支援する

【補助額】

年間最大60万円(最⾧4年間)

新規就農者育成総合対策

(雇用就農資金・次世代経営者育成タイプ)

国内外の先進的な農業法人や食品企業等の異業種の法人に職員を派遣して研修を行う農業者を支援する

【補助額】

月最大10万円(最短3ヶ月~最⾧2年間)

【千葉県】

農業雇用条件改善推進事業

農業者が雇用条件等の整備・改善に取り組み、新たな雇用をした場合に補助金を交付する

【補助額】

定額20万円

人材雇用や研修に利用できる支援制度には、農林水産省が実施する「新規就農者育成総合対策(雇用就農資金)」が挙げられます。新規就農希望者を対象に研修を行う農業者を対象とした「雇用就農者育成/独立支援タイプ」と、次世代の経営者育成のために先進的な農業法人や異業種の法人に職員を派遣する農業者を対象とした「次世代経営者育成タイプ」があります。

また、自治体が実施する支援制度には、千葉県の「農業雇用条件改善推進事業」が挙げられます。「就業規則」「労働保険」「社会保険(法人の場合)」の整備に取り組んだうえで、新たな人材の雇用をした場合に定額の20万円が補助されます。

新規就農者を雇用する場合や次世代の経営者を育成する場合、研修のための交通費や研修を実施する従業員の人件費などさまざまな費用がかかります。農業における人材雇用や研修の費用負担を軽減させたいと考えている人は、国や自治体の支援制度の活用を検討してみましょう。

環境に配慮した農業に取り組む際に利用できる補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、環境に配慮した農業に取り組む際に利用できる制度があります。地球温暖化をはじめとする環境問題が注目される中で、農業における環境保全の取り組みを実施したいと考えている人は、補助金や助成金などの支援制度の利用を検討しましょう。

【環境に配慮した農業に取り組む際に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

環境保全型農業直接支払交付金

化学肥料や化学合成農薬の使用低減とともに実施する、環境保全に効果の高い営農活動に対して支援する

【補助額】

作物の種類や取組面積により異なる

<例>

有機農業:12,000円/10a

有機農業(そば等雑穀、飼料作物):3,000円/10a

リビングマルチ:5,400円/10a

みどりの食料システム戦略推進総合対策

(SDGs対応型施設園芸確立)

SDGsに対応し、環境負荷軽減と収益性向上を両立したモデル産地を育成する取組を支援する

【補助額】

みどりの食料システム戦略推進総合対策

(持続可能なエネルギー導入・

環境負荷低減活動のための基盤強化対策)

バイオマスプラント等の施設整備、バイオ液肥散布車の導入、バイオ液肥の利用促進のための取組、バイオ燃料等製造に係る栽培実証等を支援する

【補助額】

取組内容に応じて1/2または定額

【山梨県】

省エネ・再エネ設備導入加速化事業費補助金

(農漁業者用)

エネルギーコスト削減による経営体質強化を図る農業者に対して、省エネ設備等の導入を支援する

【補助額】

省エネ設備の更新:最大300万円

再エネ設備の新設・更新:最大600万円

【補助率】

2/3以内

環境に配慮した農業に取り組む際に利用できる支援制度には、農林水産省の「環境保全型農業直接支払交付金」が挙げられます。化学肥料・化学合成農薬の使用を都道府県の慣行レベルから原則5割以上低減させることを前提とし、併せて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等につながる営農活動を支援する制度です。

また、自治体が実施する支援制度には、山梨県の「省エネ・再エネ設備導入加速化事業費補助金」が挙げられます。エネルギーコストの削減に資する取り組みを推進する補助金であり、LED照明や高効率空調などの省エネ設備のほか、太陽光発電や蓄電池などの再エネ設備の導入に利用できます。

環境に配慮した農業に取り組むことは、地球環境の保全だけでなく農業現場におけるコスト削減にもつながる可能性があります。環境に配慮した農業への転換を検討しているものの初期費用がかかることに不安がある人は、国や自治体の支援制度を利用してみてください。

農作物の安定した生産を支援する補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、農作物の安定した生産を支援する制度があります。米、麦、大豆、トウモロコシ、野菜などの安定した生産をはかり、国産化を目指す取り組みを支援するためのさまざまな制度が実施されています。

【農作物の安定した生産を後押しする支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

経営所得安定対策

【ゲタ対策】

諸外国との生産条件の格差による不利がある畑作物を生産する農業者を支援する

【ナラシ対策】

販売収入の合計が標準的収入額を下回った場合に、差額の9割を補填する

【補助額】

生産量、品質、収入額等によって異なる

水田活用の直接支払交付金

水田を活用した戦略作物(麦、大豆、米粉用米等)の生産に対して交付金を支給する

【補助額】

取組内容や作物の種類によって異なる

<例>戦略作物助成の場合

麦・大豆・飼料作物:3.5万円/10a

加工用米:2.0万円/10a

コメ新市場開拓等促進事業

新市場開拓用米、加工用米、米粉用米の低コスト生産等に取り組む生産者を支援する

【補助額】

新市場開拓用米:4万円/10a

加工用米:3万円/10a

米粉用米:9万円/10a

産地生産基盤パワーアップ事業

(生産基盤強化対策・全国的な土づくりの展開)

全国的な土づくりの展開を図るため、堆肥等を実証的に活用する取組を支援する

【補助額】

定額(上限3万円/10a)

※散布機械等のリース導入は1/2以内

農作物の安定した生産への取り組みに利用できる支援制度には、農林水産省の「経営所得安定対策」が挙げられます。農業者の経営を安定させるため、諸外国との生産条件の格差による不利や天候の影響による不作などが生じた場合に差額分を補填する制度です。

また、農作物の安定した生産への取り組みに利用できる支援制度には、農林水産省の「コメ新市場開拓等促進事業」も挙げられます。ニーズに応じた価格・品質等に対応するため、「直播栽培」「多収品種の導⼊」「スマート農業機器の活⽤」など、低コスト生産に向けた取り組みを⾏う農業者を支援する制度です。

農業においては、天候や災害、諸外国との関係による影響を受けることにより、生産や収入が不安定となる恐れがあります。農業経営の安定を目指す取り組みを行いたいと考えている人は、補助金や助成金など支援制度の利用を検討してみてください。

災害への対策や災害からの復興に利用できる補助金や助成金

農業が対象となる補助金や助成金の中には、災害への対策や災害からの復興に利用できる制度があります。自然災害への万一の備えとして、既存設備の強化や災害対応設備の導入、被害を受けた場合の修繕費用として利用できる支援制度を確認しておきましょう。

【災害への対策や災害からの復興に利用できる支援制度一覧】

制度名

概要

補助額/補助率

園芸産地における事業継続強化対策

自然災害に備えるため、複数農業者による事業継続計画(BCP)の策定と実行に必要な体制整備の取組を支援する

【補助額】

定額

※既存ハウスの補強等の被害防止対策は1/2

産地生産基盤パワーアップ事業

(園芸作物等の先導的取組支援(うち茶))

国内茶産地における生産基盤の強化や国際競争力の向上を図るため、防霜ファン等の災害対応設備の導入を支援する

【補助率】

1/2

農地利用効率化等支援交付金(被災農業者支援タイプ)

能登半島地震により被害を受けた農産物の⽣産・加⼯に必要な施設や機械の修繕等を⽀援する

【補助率】

取組内容や園芸施設共済加⼊の有無によって異なる

<例>

農業⽤ハウスの再建:1/2

複数の被災農業者が共同で利⽤する農業⽤機械等の取得:1/2

被災した農業⽤ハウスの修繕を契機とする補強:3/10

【石川県】

除塩事業補助金

津波又は高潮による海水の侵入により、農用地が受けた塩害の除去にかかる費用を補助する

【補助率】

5/10

※激甚災害に起因する場合は9/10

災害への対策に利用できる支援制度には、農林水産省の「園芸産地における事業継続強化対策」が挙げられます。自然災害に強い産地を形成するため地域の協力体制の構築や農業設備の補強等を支援する補助金であり、都道府県や市区町村、農業団体などが主体となって実施しています。

また、被災した農業者を対象とする制度には「農地利用効率化等支援交付金(被災農業者支援タイプ)」が挙げられます。令和6年能登半島地震による被害を受けた農業者を対象に、農産物の生産・加工に必要な施設・機械の再建・修繕等を支援しています。

屋外で生産を行う農業においては、自然災害の発生に備えた対策が必要です。また、万一被災した場合には施設や機材の修繕に利用できる支援制度が設けられている場合もあるので、自治体や省庁のホームページを確認してみましょう。

農業者が補助金を利用するときの注意点

農業者が補助金や助成金などの支援制度を利用する場合、いくつかの注意点があります。制度によって申請のルールや受給した補助金の扱いが異なるため、申請をする前にかならず公式サイトや公募要領を確認しておきましょう。

【農業者が補助金や助成金を利用する際の注意点】

  • 対象者に年齢制限が設けられている場合がある
  • 審査に通過しなければ補助金を受給できない場合がある
  • 受給した補助金が課税の対象となる場合がある

農業者が補助金や助成金を利用する際の注意点のひとつは、対象者に年齢制限が設けられている場合があることです。将来の農業を担う若い世代を対象としている傾向にあり、新規就農者育成総合対策の就農準備資金や経営開始資金では「就農予定時の年齢が、原則49歳以下であること」と定められています。

また、農業者が補助金や助成金を利用する際の注意点のひとつは、審査に通過しなければ補助金を受給できない場合があることです。受給するための条件は制度によって異なりますが、すべての申請者が受給できるのではなく、申請内容をもとに実施される審査に応じて受給の可否が決まる傾向にあります。

そして、農業者が補助金や助成金を利用する際の注意点のひとつは、受給した補助金が課税の対象となる場合があることです。受給した補助金は原則として課税所得(雑収入)として扱われるため、非課税と指定されている制度でない限りは確定申告が必要となります。

なお、補助金を受給した場合の税金の扱いは「補助金に税金はかかるのか?課税の仕組みを交えながら解説」の記事で解説しています。税負担を軽減するための措置である圧縮記帳についても解説しているので、補助金を受給した場合の税負担について知りたい人は参考にしてみてください。

補助金の利用に不安がある人は支援機関に相談する

補助金の利用に不安がある人は、補助金のサポートに対応している支援機関に相談することも検討しましょう。補助金申請のサポートはさまざまな機関が実施しており、申請可否や受給額など申請前の相談のほか、補助金に採択された後のサポートにも対応している機関があります。

【補助金の相談ができる支援機関】

支援機関

特徴

士業

(税理士・公認会計士・社会保険労務士等)

  • 各分野の専門知識を持つ有資格者に相談できる
  • 国が実施する助成金のサポートは原則として社労士の独占業務となる

金融機関

  • 融資の相談にも対応してもらえる
  • 申請時に金融機関からの確認書が必要となる補助金もある

商工会/商工会議所

  • 中小企業の経営に関する相談を無料で受け付けている
  • 税理士や金融機関等と連携した無料相談を開催している場合がある

民間コンサルタント

  • 状況にあった補助金の提案や採択後のサポートなど幅広く対応している
  • 料金やサポート内容を比較して自社に合う事業者を見極める必要がある

補助金の相談ができる支援機関には「士業」「金融機関」「商工会/商工会議所」「民間コンサルタント」が挙げられます。それぞれ得意とする分野やサポートの対応範囲が異なるため、相談したい内容に合わせて支援機関を選ぶことができます。

また、これらの支援機関のうち、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた事業者は「認定支援機関」と呼ばれます。中小企業庁が運営する「認定経営革新等支援機関検索システム」では、全国の認定支援機関を探すことが可能です。

なお、補助金の相談ができる支援機関については「補助金の相談は誰にする?相談できる内容に合った相談先を解説」の記事で詳しく解説しています。補助金の相談ができる支援機関の種類や選び方を知りたい人は参考にしてみてください。

まとめ

農業が対象となる補助金や助成金にはさまざまな制度があります。「新規就農に利用できる支援制度」「人材雇用や研修に利用できる支援制度」「農業現場のトイレや更衣室の整備に利用できる支援制度」など用途に応じて申請できる補助金が異なるため、自社の目的に合った制度を選ぶ必要があります。

農業者が補助金や助成金などの支援制度を利用する場合には、いくつかの注意点があります。年齢制限や審査の有無、会計処理の方法など補助金や助成金の制度ごとに定められたルールがあるため、申請前に公募要領を確認しておきましょう。

補助金の利用に不安がある人は、専門家に相談することも可能です。補助金申請の支援を行っている機関は数多く存在するため、相談先に迷う場合は中小企業支援の知識や経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けている「認定支援機関」への相談を検討してみてください。

補助金 税金

補助金に税金はかかるのか?課税の仕組みを交えながら解説

補助金を受給した場合、原則として補助金に直接税金が課されることはありませんが、所得が増えて納税額に影響することがあります。補助金により税金の負担が増える可能性があるため、補助金の申請を検討している人は納税額への影響も押さえておきましょう。

当記事では、課税の仕組みを交えながら補助金に税金がかかるのかを解説します。補助金の受給を検討している人や、受け取った補助金に掛かる税金に不安がある人は参考にしてみてください。

一部の税金は課税対象となる

補助金として受け取ったお金は一部の税金の課税対象となります。補助金は事業所得として扱われることにより、税金によっては課税対象となる場合があるため、補助金を受給予定の人はその前提を踏まえておきましょう。

【補助金の所得が課税対象となる税金】

税金

詳細

法人税

法人の所得に対して課される国税

所得税

個人の所得に対して課される国税

住民税

地域に住む個人や事業所を置く法人に課される地方税

事業税

事業所得に対して課される地方税

課税対象となる税金として挙げられるのは「法人税」「所得税」「住民税」「事業税」です。いずれも事業所得をもとに納税額が算出される税金であり、補助金として受け取った金額も課税対象として所得の一部に含まれます。

ただし、事業が赤字の場合は原則として法人税や所得税の納付が不要です。課税対象がないものとみなされ、補助金を受給した場合でも会計処理における所得として加算されることはないため、補助金を受給予定の人は予備知識として覚えておきましょう。

消費税は不課税となる

補助金を受給した場合、消費税は不課税となります。消費税の区分には「課税」「非課税」「免税」「不課税」の4種類がありますが、補助金の場合は消費税の対象外である不課税取引に該当するため、補助金を受給予定の人はその前提を踏まえておきましょう。

消費税は商品やサービスの取引に対して課される税金であり、商品やサービスの対価ではない補助金の場合は消費税の課税対象外として「不課税取引」に該当します。そのため、補助金として受け取ったお金は経費の消費税に充てることができません。

なお、消費税を含む金額の経費を申請した場合は、受給した補助金に返還の義務が発生することがあります。補助金における返還の義務を知りたい人は「補助金における消費税の税区分と返還の義務をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。

法人税や所得税の納税額は変動する場合がある

法人税や所得税は補助金を受給することにより、納税額が変動する場合があります。補助金は事業の収益として扱われ、所得額に応じて納税額が変動する法人税や所得税では、補助金を受給して所得が増加することにともない納税額も増加するためです。

法人の場合、補助金として受け取ったお金は法人税の課税対象です。法人税は企業の年間の所得額と法人税率を用いて納税額が算出されるため、補助金を受給して企業の所得が増加することにより法人税の納税額も増加します。

個人事業主の場合、補助金として受け取ったお金は所得税の課税対象です。所得税は個人の年間の所得額と所得税率を用いて納税額が算出されるため、補助金を受給して個人の所得が増加することにより所得税の納税額も増加します。

補助金を受け取ることにより経費の負担を抑えることができますが、企業の所得が増えるため、法人税や所得税の納税額が増える場合があります。補助金を受給予定の人は、翌年以降の税負担が増える可能性がある点に留意しておきましょう。

補助金を受給した場合の法人税の計算方法

納付が必要となる法人税のおおよその金額を知ることにより、予算計画や事業計画を立てるときの目安にすることができます。補助金の受給した場合にどれくらいの法人税がかかるのかを知りたい人は、法人税の計算方法を押さえておきましょう。

【法人税の計算方法】

法人税=課税所得(年間の所得-経費・各種控除)×法人税率

課税所得は法人税の課税対象となる所得であり、「企業の年間の所得」から「事業にかかった経費や各種控除の金額」を差し引いて求めることができます。補助金を受給した場合、受け取った補助金を企業の年間の所得として加算することになります。

法人税率は企業の資本金や所得金額によって異なります。「資本金が1億円以上の企業は一律23.2%の法人税率」が課されますが、「資本金が1億円以下の企業は年間所得のうち800万円以下の部分に15% / 800万円を超える部分に23.2%の法人税率」が課されます。

法人税は企業の所得から各種控除を差し引いた「課税所得」に法人税率を乗じて計算します。補助金を受給した場合、課税所得には補助金として受け取った金額も含まれるため、補助金を受給しなかった場合と比較して法人税の納税額が高くなる点に留意しましょう。

圧縮記帳を利用できる場合がある

法人の場合、圧縮記帳を利用して法人税の納税を翌年度以降に繰り延べできる可能性があります。補助金を受給した際の税金に不安がある人は、税金の負担を軽減できる制度があることを予備知識として覚えておきましょう。

圧縮記帳は固定資産の取得に対して補助金を受給した場合に適用可能な制度であり、高額な税負担を一時的に軽減させる仕組みです。補助金を受給した事業年度の税負担が重くなり、資金不足になることを防ぐ目的があります。

圧縮記帳が認められると、本来は受給した年度の所得として扱われる補助金を一時的に所得から除外し、翌年度以降に繰り延べることが可能です。初年度における会計上の課税所得が減額されるため、一度に多額の法人税を納付する必要がなくなります。

ただし、圧縮記帳は全ての補助金や経費に適用できるものではありません。対象となる経費は固定資産に限られるほか、法人の事業状況や提出書類などの様々な要件を満たす必要がある点に留意しておきましょう。

補助金を受給した場合の所得税の計算方法

納付が必要となる所得税のおおよその金額を知ることにより、予算計画や事業計画を立てるときの目安にすることができます。補助金の受給した場合にどれくらいの所得税がかかるのかを知りたい人は、所得税の計算方法を押さえておきましょう。

【法人税の計算方法】

所得税=課税所得(年間の所得-経費・各種控除)×所得税率

課税所得は法人税の課税対象となる所得であり「企業の年間の所得」から「事業にかかった経費や各種控除の金額」を差し引いて求めることができます。補助金を受給した場合、受け取った補助金を企業の年間の所得として加算することになります。

所得税率は7段階に区分されており、事業者の課税所得の金額に応じて5%~45%の税率が適用されます。補助金を受給して課税所得が増えることにより税率の区分が変わる場合があり、納税額にも影響を及ぼす可能性があります。

所得税は企業の所得から各種控除を差し引いた「課税所得」に所得税率を乗じて計算します。課税所得には補助金として受け取った金額も含まれるため、補助金を受給しなかった場合と比較して所得税の納税額が高くなる点に留意しましょう。

総収入金額不算入の特例を利用できる場合がある

個人事業主の場合、総収入金額不算入の特例を利用して所得税の納税を翌年度以降に繰り延べできる可能性があります。補助金を受給した際の税金に不安がある人は、税金の負担を軽減できる制度があることも予備知識として覚えておきましょう。

総収入金額不算入の特例は固定資産の取得に対して補助金を受給した場合に適用可能な制度であり、高額な税負担を一時的に軽減させる仕組みです。補助金を受給した事業年度の税負担が重くなり、資金不足になることを防ぐ目的があります。

総収入金額不算入の特例が認められると、本来は受給した年度の所得として扱われる補助金を一時的に所得から除外し、翌年度以降に繰り延べることが可能です。初年度における会計上の課税所得が減額されるため、一度に多額の法人税を納付する必要がなくなります。

ただし、総収入金額不算入の特例は全ての補助金や経費に適用できるものではありません。対象となる経費は固定資産に限られるほか、法人の事業状況や提出書類などの様々な要件を満たす必要がある点に留意しておきましょう

税金に関する不安がある人は専門家に相談してみる 

補助金の申請を検討する際、税金に関する不安がある人は専門家に相談してみましょう。専門家に相談することにより、補助金を受給した場合にかかる税金の種類や計算の方法など、税金の扱いをわかりやすく教えてもらえる可能性があります 。

【相談先の具体例】

相談先

概要

金融機関

資金を貸す人と借りる人の仲介をする銀行や信用金庫などの機関。税金以外にも資金調達や融資に関する相談が可能

士業

行政書士・公認会計士・税理士などの資格が必要な専門家。税務や経営など、それぞれの得意分野に関連した相談が可能

商工会・商工会議所

企業のサポートを目的とした公共経済団体。補助金に限らず中小企業向けのさまざまな支援サービスを提供している

民間コンサルタント

企業の課題解決に向けた提案を行う民間の会社。会社によってサポートの範囲が異なり、幅広い相談に対応している場合がある

 税金に関する相談先の具体例として挙げられるのは「金融機関」「士業」「商工会・商工会議所」「民間のコンサルタント」です。相談先の機関によってサポート内容や得意とする分野が異なりますが、補助金の中には相談先の機関が指定されている場合もあります。

 補助金を受給した場合と受給しなかった場合を比較すると、受給した場合に納税額が高くなることがあります。制度によって税金の扱いが異なる可能性もあるため、補助金を受け取ったあとの税負担に不安がある人は専門家へ相談することも検討しましょう。

まとめ

補助金を受給した場合、受け取った金額は一部の税金の課税対象です。補助金は企業の所得として扱われるため、所得によって納税額が変動する所得税や法人税は補助金を受け取ることにより納税額が高額となる可能性があります。

補助金を受給した年度の税負担が重くなることを防ぐため、圧縮記帳の制度や総収入金額不算入の特例が設けられています。対象者や対象経費は限られますが、これらの制度が適用されることにより納税を翌年度以降に繰り延べできます。

税金の扱いに不安がある人は、士業や民間のコンサルタントなどの専門家に相談することも可能です。補助金を受給することにより納税額が増えることが考えられるため、税金の負担に不安がある人は専門家に相談を依頼することを検討してみてください。

補助金の申請代行に依頼することは違法?

補助金の申請を検討している人のなかには、申請のやり方が分からない人や事業に忙しく申請作業に時間がかけられない人もいますよね。その中には、補助金の申請は代行業者に依頼できるのか知りたい人もいるでしょう。

この記事では補助金の申請代行に依頼することは違法なのかを解説します。補助金の申請代行の依頼先も紹介するので、申請代行の依頼を検討している人は、参考にしてみてください。

補助金の申請代行に依頼することは違法ではない

補助金を申請する際に、代行業者に依頼することは違法ではありません。補助金申請のアドバイスやサポートには資格を必要としないためです。

【補助金の申請代行に依頼できる範囲例】

  • 提出書類の作成アドバイス

  • 採択後の手続きのアドバイス

  • 補助金の申請についての相談・質問

  • 事業計画書作成に必要な市場調査

  • 提出書類の案内

  • 提出書類の確認

補助金申請の書類作成を行うことは国家資格である行政書士のみが認められる業務であるため、民間のコンサル会社などに代行を依頼することはできません。しかし、補助金を申請する際に申請書類の作成について相談やサポートを依頼することは、行政書士のみができる独占業務の対象にならないため、行政書士以外の外部の事業者にも依頼が可能です。

また、厚生労働省が運用している助成金の申請代行は、社労士(社会保険労務士)の独占業務であると定められています。社労士以外に助成金の申請代行を依頼することは違法になることから、助成金申請についてアドバイスを代行業者に頼みたい場合は社労士に依頼する必要があります。

なお、補助金によっては公募要領において、電子申請システム「GビズID」のアカウント登録や書類作成を事業者自らが行わなければならないと定めている場合もあります。事業者以外が書類作成を行うことを禁止されている場合、行政書士であっても書類作成や申請代行を依頼することは不正とみなされるため注意しましょう。

書類作成を丸投げする代行が認められていない補助金もある

補助金申請の際に提出する書類作成の依頼先が行政書士であってもすべてを任せる丸投げの代行は認められていない補助金もあります。違反になる業務は、補助金の公募要領の注意事項に記載されているので、申請代行業者に依頼する場合は事前に確認しましょう。

【補助金の種類によっては違法になる業務例】

補助金

違法になる業務

事業再構築補助金

  • GビズIDの申請マイページの開設、補助金の申請手続きを事業主以外が行う
  • 事業者以外が事業計画書などの提出書類を作成すること

小規模事業者持続化補助金

  • GビズIDの申請マイページの開設、補助金の申請手続きを事業主以外が行う
  • 事業者以外が事業計画書などの提出書類を作成すること

IT導入補助金

  • GビズIDの申請マイページの開設、補助金の申請手続きを事業主以外が行う
  • IT導入支援事業者以外に申請代行を依頼する など

事業承継・引継ぎ補助金

  • 事業主以外が補助金申請の手続きを行う
  • 経営革新枠の申請に必要な確認書を認定支援機関以外に発行依頼をする など

たとえば、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金などの場合、事業者以外が事業計画書といった提出書類を作成することは補助金の利用規約違反となります。また、事業主以外によるGビズIDのアカウント登録や申請作業を依頼することはGビズIDの規約違反です。

そして、補助金申請の代行業者に補助金の書類作成の相談を依頼した場合、事業計画書などに代行業者名と報酬内容について記載することが必須となります。

もし、違反となる業務を申請代行業者に依頼してしまい不正が発覚した場合、補助金申請は不採択になります。補助金が交付された後に発覚した際には全額返還と加算金が課される可能性があるため、公募要領の注意事項は必ず守りましょう。

補助金申請の代行業者に依頼できるのは、基本的に申請に関する相談といったサポートのみであると認識しましょう。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の申請代行には認定支援機関に依頼する必要がある場合もあります。事業承継・引継ぎ補助金の申請代行については、「事業承継引継ぎ補助金の申請代行は頼むべき?費用と支援機関を説明」を参考にしてみてください。

当メディアを運営する株式会社SoLaboも補助金の申請支援を行っています。これまで1300件の申請支援実績があり、申請に必要な書類の準備や手続きのサポートなどスムーズに申請を行うための支援を行っています。小規模事業者持続化補助金などの補助金のサポートを検討している人は無料で診断できますのでお試しください。

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補助金の申請代行を依頼するなら専門家を選ぶ

補助金の申請代行を依頼するなら、資格を保有する専門家を選びましょう。補助金申請の代行業者のサポートによって採択される可能性を高められるからです。

【補助金申請の代行の依頼先例】

依頼先

特徴

民間コンサルタント

  • 専門的な資格を必要とせず企業の課題解決に向けた提案を行う会社
  • ものづくり補助金などが対応可能

士業

  • 行政書士・中小企業診断士・社会保険労務士・公認会計士・税理士などの資格が必要な職業
  • 税務や経営、社会保険といった各分野の得意分野に関連した相談が可能
  • ものづくり補助金などが対応可能

認定支援機関(経営革新等支援機関)

  • 中小企業のサポートに関する専門知識や経験が一定レベル以上であると国の認定を受けた支援機関
  • 事業再構築補助金や事業承継・引継ぎ補助金の申請の際に依頼を要する場合がある

金融機関

  • 資金を貸す人と資金が不足している人の間に立ち資金の融通を仲介する銀行などの機関
  • 補助金申請のサポート以外に資金や融資面で相談可能
  • ものづくり補助金などが対応可能

IT導入支援事業者

  • 事前にIT導入補助金事務局に登録しているIT導入補助金の補助事業に関するサポートが可能な支援事業者
  • IT導入補助金の申請の際に依頼する必要がある

商工会・商工会議所

  • 企業のサポートを目的とした公共経済団体
  • 小規模事業者持続化補助金の申請時に事業者は支援を受ける必要がある

たとえば、補助金の申請代行を依頼する場合、行政書士や認定支援機関、金融機関などの業者に頼むことができます。それぞれの補助金について詳しい専門家に依頼することで、専門家による知識を取り入れた採択につながる書類を作成できるほか、事業に必要になる経理などの質問も可能です。

また、補助金によっては申請代行の依頼先が限られ、指定されている業者の支援を受けることが必須要件である補助金もあります。たとえば、認定支援機関の確認を受ける必要がある事業再構築補助金やIT導入支援事業者のみに代行が依頼できるIT導入補助金などです。

認定支援機関とは、中小企業に対する支援の専門知識が高いと国に認定された支援機関のことです。なお、認定支援機関や商工会に依頼できる内容について知りたい人は、「補助金申請代行は何を依頼できる?相談先も解説」を見てみましょう。

まとめ

補助金申請に関わるアドバイスなどのサポートであれば、行政書士以外の代行業者に依頼をしても違法にはなりません。補助金申請を行う際に代行業者に依頼することで、申請などの質問ができるためスムーズに申請作業が行える可能性があります。

しかし、行政書士以外に補助金申請の書類作成を依頼することは違法となります。また、補助金によっては申請の際に提出する書類作成を依頼することが違反となる場合があり、行政書士であっても認められていないため注意しましょう。

なお、専門知識や経験豊富な専門家に補助金申請の代行を依頼することで、書類作成などのアドバイスを受け改善することができます。それにより採択される可能性を高められるため、補助金の申請代行を依頼することも検討してみましょう。

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際の流れを解説

事業承継・引継ぎ補助金への申請を検討している人の中には、申請の準備にはどのような項目があるのかを知りたい人もいますよね。また、どのような手順で申請をおこなうのか、全体の流れを把握しておきたい人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の申請する際の流れを解説します。事業承継・引継ぎ補助金の申請でするべきことを1つずつ紹介するので、事業承継・引継ぎ補助金に申請したい人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトをもとに作成しています。

事業承継・引継ぎ補助金の申請の流れ

事業承継・引継ぎ補助金へ申請したい人は、申請前の流れを確認しておきましょう。事業承継・引継ぎ補助金に申請するにはやらなくてはならない作業が複数あるため、事前に大まかな流れを確認しておくことにより必要な作業を漏れなく計画的に進められます。

【事業承継・引継ぎ補助金への申請の流れ】

  1. 公募要領を読み理解する
  2. 申請する枠の概要を確認する
  3. 事業承継やM&Aの状況にあわせて申請する枠を決める
  4. 申請枠ごとの要件を満たせるかを確認する
  5. 対象事業者と対象事業の要件を満たすかを確認する
  6. スケジュールを把握し、どの公募回に申請するかを決める
  7. 認定支援機関やM&Aアドバイザリーなどを探して連絡をとる
  8. GビズIDプライムアカウントに申請する
  9. 認定支援機関確認書や住民票などの必要書類を準備する
  10. 公募期間中にj Grantsにログインして申請する

たとえば、「1.公募要領を読み理解する」の場合、公式サイトにある「公募要領等ダウンロード」から各申請枠の公募要領をダウンロードします。公募要領には申請の要件や守るべきルールなどが記載されているため、申請を検討している場合は内容を確認する必要があります。

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、公募要領の理解や書類作成など複数の作業が必要です。その際、公式サイトに掲載された各種資料がルールとなるため、事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は公式サイトの動画や「交付申請の手引き」も参考にして不備のない申請を心掛けましょう。

申請する枠の概要を確認する

事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は、まず各申請枠の概要を確認することになります。事業承継・引継ぎ補助金には3つの申請枠があり、それぞれの申請枠は補助対象経費や補助金額が違うからです。

【3つの申請枠と同時申請の可否】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

経営革新

同時申請の可否

補助金額と補助率

補助対象経費

廃業・再チャレンジ枠との併用が可

<補助金額>

100万円~600万円または800万円

※廃業費を併用申請する場合は最大150万円の上乗せ措置あり

<補助率>

2/3または1/2以内

※公募要領の「補助率に関する補助対象者の要件」を満たす場合は2/3 事業費

  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費
  • 産業財産権等関連経費 
  • 謝金
  • 旅費
  • マーケティング調査費 など

専門家活用

同時申請の可否

補助金額と補助率

補助対象経費

廃業・再チャレンジ枠との併用が可

【買い手支援型(Ⅰ型)】
<補助金額>
50万円~600万円
<補助率>
2/3以内

【売り手支援型(Ⅱ型)】
<補助金額>
50万円~600万円
<補助率>
1/2または2/3以内

専門家へ支払う費用

  • 謝金
  • 旅費
  • 外注費
  • 委託費
  • システム利用料 
  • 保険料
  • 廃業費

廃業・再チャレンジ

同時申請の可否

補助金額と補助率

補助対象経費

経営革新枠または専門家活用枠との併用が可

<補助金額>

50万円~150万円

<補助率>

2/3以内

※廃業・再チャレンジ枠へ単独で申請する際の補助金額と補助率

廃業費

  • 廃業支援費
  • 在庫廃棄費
  • 解体費
  • リースの解約費
  • 移転・移設費用(併用申請のみ対象)

参考:公募要領等ダウンロード内の各申請枠の公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

経営革新枠の場合、事業承継やM&Aをきっかけに新たな事業に取り組む事業者向けの申請枠です。そのため、経営革新枠へ申請すると、店舗等借入費や設備費などの事業費が最大で800万円、補助率1/2または2/3で補助されます。

専門家活用枠の場合、専門家を通してM&Aを行う事業者向けの申請枠です。そのため、専門家活用枠へ申請すると、M&A仲介会社へ支払う仲介手数料や弁護士への謝金などが最大で600万円、補助率1/2または2/3で補助されます。

廃業・再チャレンジの場合、事業を継続する努力をする廃業をする事業者向けの申請枠です。そのため、廃業・再チャレンジ枠へ申請すると、廃業後のM&Aマッチングへの取り組みや廃業後の新事業などが最大150万円まで、補助率2/3で補助されます。

事業承継・引継ぎ補助金の3つの申請枠は、それぞれ対象とする事業者、補助対象経費、補助金額、補助率などが異なります。申請枠を決める際は、各申請枠の補助金額や補助率だけでなく、補助対象経費や補助事業の内容も確認しましょう。

事業承継やM&Aの状況にあわせて申請する枠を決める

申請枠ごとの概要を確認したら、申請する枠を決めます。事業承継・引継ぎ補助金で申請枠を決める際は、事業者がこれから行う事業承継やM&Aなどの事業が「各申請枠の内容」と「補助対象経費」に合うかを判断して、選びます。

【事業承継やM&Aなどの状況にあわせた申請枠の例】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

事業承継やM&Aの例

適する申請枠と類型

補助対象経費

親が高齢となったため、息子が事業を承継する

経営革新枠の「経営者交代型(Ⅱ型)」

事業費

  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費
  • 産業財産権等関連経費 など

空き家となった宿を買収し、新たなワーケーション施設を開業する

経営革新枠の「創業支援型(Ⅰ型)」

M&Aで伝統工芸事業の譲渡を受け、新たな事業として開業する

経営革新枠の「M&A型」

M&Aで地域の老舗和菓子屋を承継し、登記を変更する

専門家活用枠の「買い手支援型(Ⅰ型)」

専門家経費

  • 謝金
  • 旅費
  • 外注費
  • 委託費 など

長年やってきた薬局をM&Aで事業譲渡するため、M&Aマッチングサイトに登録する

専門家活用枠の「売り手支援型(Ⅱ型)」

廃業を決め、M&Aマッチングサイトに登録し、売り先を6か月以上探している

廃業・再チャレンジ枠(単独申請)

廃業費

  • 廃業支援費
  • 在庫廃棄費
  • 解体費
  • 原状回復費
  • リースの解約費
  • 移転・移設費用(併用申請のみ計上可)

事業譲渡を受け、一部の経営資源のみを使い新たな事業を立ち上げ、一部の毛家資源は処分する

廃業・再チャレンジ枠と「経営革新枠」(併用申請)

高齢のため事業の一部を廃業し、一部は専門家を経由してM&Aで譲り渡す

廃業・再チャレンジ枠と「専門家活用枠」(併用申請)

たとえば、息子が父親から事業を承継する場合、「経営革新枠」の「経営者交代型(Ⅱ型)」が適しています。親族内承継を対象とする申請枠は「経営者交代型(Ⅱ型)」のみなので、「廃業・再チャレンジ枠」と併用することはできますが、専門家活用枠は選べません。

また、法人が個人事業主からM&Aで事業承継をする場合は、事業をそのまま引き継ぐなら「専門家活用枠」の「買い手支援型(Ⅰ型)」が適しています。もしも承継した事業を新事業として引き継ぐなら、「経営革新枠」の「創業支援型(Ⅰ型)」も選べます。

事業承継・引継ぎ補助金で申請する枠を決める際は、自社が行う事業承継やM&Aが申請枠の補助事業に合うかを確認しましょう。その際、申請する枠が補助対象とする経費を事業者が支払う予定があるのかも忘れずに確認しましょう。

申請枠ごとの要件を満たせるか確認する

事業承継・引継ぎ補助金の申請枠を決めたら、次は申請枠ごとの要件を満たせるかを確認します。申請枠ごとの要件には、「対象事業者」「対象事業」「事業承継」の要件が設定されているため、要件を確認する際は、すべての要件を満たせるかを確認する必要があります。

【事業承継・引継ぎ補助金の申請枠ごとの要件】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

経営革新

要件の種類

補助対象者の要件

  • すべての類型において、国内に拠点または居住地を置き、国内で事業をする者であること
  • 地域経済に貢献している中小企業等であること

対象事業の要件

事業承継対象期間(補助事業完了期限日から遡ること 5 年の間)において、中小企業者等の被承継者と承継者間で M&A 等を含む事業の引き継ぎを行った又は行うこと

※9次公募の場合、2019年11月23日から補助事業完了期限日である 2024年11月22日まで

事業承継の要件

経営者交代型(Ⅱ型)未来の承継において、同一法人内の事業承継であること

専門家活用

要件の種類

補助対象者の要件

<共通の場合>
「M&A 支援機関登録制度」に登録された FA・仲介業者又は FA・仲介業者(法人)の代表者が、補助対象者又は補助対象者(法人)の代表者と同一でないこと

<買い手支援型の場合>
経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うこと

 <経営資源引継ぎの要件>
事業承継期間中に事業者が事業再編・事業統合を通じて経営資源の引継ぎを行うこと

廃業・再チャレンジ

要件の種類 

補助対象者の要件

<共通の場合>

  • M&Aに着手したものの、成約に至らなかった者であること
  • 廃業後に再チャレンジする事業に関する計画を作成し、認定支援機関の確認を受け提出すること
    +経営革新枠と同等の要件

<単独申請の場合>
会社自体を廃業するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分するなどを行うこと

事業承継の要件

<廃業・再チャレンジの要件>

併用申請の場合は、補助事業期間中に事業承継やM&Aを完了させること

参考:公募要領等ダウンロード内の各申請枠の公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠の補助対象者の要件の場合、「国内で事業をする者」や「地域経済に貢献している事業者である」などの要件が11個あります。経営革新枠から申請する人は11個の要件をすべて満たさないと、申請しても「不受理」や「不採択」となります。

また、専門家活用枠の「買い手支援型」の要件の場合は、「経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うこと」の要件があります。シナジーとは相乗効果の意味なので、事業者が買い手支援型で事業を買収する際は、相手先との相乗効果が求められます。

事業承継・引継ぎ補助金には3つの申請枠があり、それぞれ異なる「補助対象者」「補助事業」「事業承継」の要件が設定されています。3つの申請枠の概要と申請要件を知りたい人は、「事業承継・引継ぎ補助金とは?概要と申請要件を解説」を参考にしてみてください。

なお、要件を満たせば、申請者は「経営革新枠」または「専門家活用枠」のいずれかと、「廃業・再チャレンジ枠の両方に同時に申請ができます。ただし、併用申請する場合は、併用する両方の申請枠の要件を満たす必要があることに留意しておきましょう。

スケジュールを把握して申請する公募回を決める

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、スケジュールを把握してから申請する公募回を決めます。事業承継・引継ぎ補助金はいつでも申請できる補助金ではないからです。

【10次公募のスケジュール】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

項目

スケジュール

申請受付期間

2024年7月1日(月)~2024年7月31日(水)17:00まで

交付決定日

2024年8月末~9月初頭(予定)

事業実施期間

交付決定日~2024年11月22日(金)

実績報告期間

2024年8月29日(木)~2024年11月25日(月)

補助金交付手続き

2024年12月下旬以降(予定)

参考:専門家活用枠「事業スケジュール」|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、事業承継・引継ぎ補助金の10次公募の場合、申請受付期間は2024年7月1日(月)〜7月31日(水)17:00です。10次公募に申請したい事業者は、7月31日(水)17:00までに、公募要領の確認や必要書類の準備など準備を済ませたうえで、申請を完了させる必要があります。

なお、10次公募における募集枠は「専門家活用枠」のみですが、複数の申請枠を募集している公募回では申請枠ごとに各締切が異なる場合があります。申請を検討している人は、かならず申請する枠のスケジュールを確認しましょう。

認定支援機関やM&Aアドバイザリーなどを探して連絡をとる

事業承継・引継ぎ補助金の一部の申請枠では、認定支援機関やM&Aアドバイザリーなどを探して連絡をとる必要があります。なぜなら、必要書類に認定支援機関による「確認書」がある申請枠や、専門家から取得する相見積が必要な申請枠があるからです。

【事業者が申請時に連絡を取るべき専門家の種類】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

申請枠

専門家

経営革新枠

認定支援機関

(金融機関、商工会、民間コンサル企業等)

専門家活用枠

M&Aアドバイザリー企業、司法書士、弁護士

<補助対象経費に委託費を申請する場合>

「M&A 支援機関登録制度」に登録された登録 FA・仲介業者

廃業・再チャレンジ

認定支援機関

<補助対象経費で廃業支援費を申請する場合>

廃業に関する登記手続きができる専門家

司法書士、弁護士

たとえば、経営革新枠の場合、遅くとも事業者が申請をする日までに認定支援機関に「確認書」を発行してもらわなければなりません。認定支援機関は事業計画に関する専門家なので、事業者が行おうとする事業計画を確認し、問題点があれば指摘することができます。

また、専門家活用の場合は、事業者が申請する日までに2社以上の専門家を探し、M&Aにかかる費用の見積を取得する必要があります。なぜなら、事業者は交付決定を受けたあとに相見積を提出する必要があるからです。

事業承継・引継ぎ補助金は、事業者が専門家や廃棄業者と連携して補助事業に取り組む場合に支援を受けることができる補助金です。事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は、申請前に専門家や業者と連絡をとる必要があることを留意しておきましょう。

GビズIDプライムアカウントに申請する

事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は、早めにGビズIDプライムアカウントに申請しましょう。事業承継・引継ぎ補助金の申請は、補助金申請サイト「j Grants」から行います。その際、GビズIDプライムアカウントでログインしてから、申請することになります。

【GビズIDプライムのアカウント登録に必要なもの】

項目

備考

メールアドレス

  • ログインする際のアカウントIDとなる
  • ワンタイムパスワードを取得するためにも使用する

パソコン

〈対応OS〉

  • Windows10、11
  • MacOS 14以上

〈対応ブラウザ〉

  • Microsoft Edge
  • Google Chrome
  • Safari

※ブラウザはいずれも最新版

※スマートフォンでも可能

スマートフォンもしくは携帯電話

  • SMS(ショートメッセージサービス)を受信できる端末を用意

プリンター

(※書類郵送申請のみ)

  • 作成した申請書を印刷するために必要
  • 印刷した申請書に押印する

印鑑証明書または印鑑登録申請書

(※書類郵送申請のみ)

  • 個人事業主の場合は印鑑登録証明書となる
  • 発行日より3ヶ月以内の原本が必要

マイナンバーカード

(※オンライン申請のみ)

以下の入力が必要

  • 署名用電子証明書暗証番号(英数字6-16桁)
  • 券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)

GビズIDアプリ

(※オンライン申請のみ)

  • マイナンバーカードの読み取りに必要

参考:「ご利用ガイド」(GビズIDクイックマニュアルgBizIDプライム編)|GビズID

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際、GビズIDプライムアカウントがないと申請はできません。GビズIDプライムアカウントは即日発行されるわけではないので、申請したい日から1週間〜2週間前にはGビズプライムアカウントを申請しておきましょう。

認定支援機関確認書や住民票などの必要書類を準備する

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、認定支援機関確認書や住民票などの必要書類を準備します。必要書類はj Grantsから申請する際に添付するため、原則、PDFデータで保存しましょう。

【申請の際に必要な書類の例】※10次公募では専門家活用枠のみの募集

申請枠の種類

書類

入手先

共通

交付申請書

事業承継・引継ぎ補助金公式サイトの事業別ページ>交付申請手続き

経営革新

認定経営革新等支援機関による確認書

事業承継・引継ぎ補助金公式サイトの事業別ページ>交付申請手続き

<交付申請類型番号が1、9で個人事業主の場合>

  • 発行から3か月以内の住民票
  • 税務署の受付印のある直近 3期分の確定申告書 B

など

<住民票>

  • 区役所や市役所など
  • コンビニ交付サービス

<確定申告書B>
税務署

専門家活用

<交付申請類型番号 1で法人の場合>

  • 履歴事項全部証明書
  • 直近の確定申告の基となる直近3期分の決算書
  • 常時使用する従業員1名の労働条件通知書

<履歴事項全部証明書>
法務局

<決算書>
提出済みなら控えを用意する。提出済みでないなら税務署に提出する

<労働条件通知書>
自社で作成したものの控えを用意する

廃業・再チャレンジ

併用申請する際は、併用する事業で指定された書類を提出する

<廃業・再チャレンジ枠に単独申請で交付申請類型番号1の場合>

  • 履歴事項全部証明書
  • 直近の確定申告の基となる直近
  • 3期分の決算書
  • 株主名簿
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 廃業・再チャレンジの内容を記載した計画書

<株式名簿>
会社の本店の保管している株式名簿を用意する
<認定支援機関確認書>
公式サイトの事業別ページ>交付申請手続きからダウンロードし、認定支援機関に記載してもらう
<廃業・再チャレンジの内容を記載した計画書>
公式サイトの事業別ページ>交付申請手続きからダウンロードして記載する

参考:公募要領等ダウンロード内の各申請枠の公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金に申請するすべての事業者は、必ず交付申請書を提出することになります。その際、交付申請書は申請フォームへ入力するため紙の書式の用意は必要なく、補助金電子申請サイト「j Grants」から入力します。

また、経営革新枠で法人から事業を譲渡される個人事業主の場合は、認定支援機関の確認書も提出することになります。個人事業主として提出しなければならない書類は「3か月以内に発行された住民票」「直近3期分の確定申告書B」「所得税青色申告決算書」の3点です。

事業承継・引継ぎ補助金の必要書類には、役所や法務局に行く必要がある書類も含まれます。必要書類の詳細を知りたい人は、「事業承継・引継ぎ補助金の必要書類を事業承継の類型別に解説」を参考にしてみてください。

申請は公募期間中にj Grantsにログインして行う

申請は公募期間中に電子申請「j Grants」にログインして行います。電子申請で入力する項目は複数あるので、あらかじめ入力項目を把握しておくとスムーズに申請できます。

【j Grantsで申請する際の入力項目(j-Grants申請フォーム項目定義書より抜粋)】

項目

概要

引継ぎ形態(申請類型:Ⅰ型の場合)

以下から1つ選択

1.株式譲渡

2.第三者割当増資

3.株式交換

4.吸収合併

5.吸収分割

6.事業譲渡

引継ぎ形態(申請類型:Ⅱ型の場合)

以下から1つ選択

1.株式譲渡

2.第三者割当増資

3.株式交換

4.吸収合併

5.吸収分割

6.事業譲渡

7.株式移転

8.新設合併

9.株式譲渡+廃業

10.事業再編等+廃業

「経営資源引継ぎ補助金」での採択実績有無

以下から選択

採択実績あり

採択実績なし

※「経営資源引継ぎ補助金」において補助金の交付を受けた事業者は申請不可

事業者基本情報

  • 法人名(個人事業主名)
  • 屋号
  • 所在地
  • 連絡先
  • ホームページURL
  • 事業所数

事業者の概要

  • 業種
  • 従業員数
  • 資本金
  • 事業内容

株主一覧

所有比率1~5位の株主情報を記載

  • 企業名(個人事業主名)
  • 株式所有比率
  • 議決権比率
  • 資本金

取締役一覧

取締役に関する以下の情報を記載

  • 氏名
  • 役職名
  • 生年月日

(5名以上の場合は上位5名を記載)

共同申請者情報

共同申請者に関する以下の情報を記載

  • 基本情報
  • 代表者情報
  • 株主一覧
  • 取締役一覧

経営資源引継ぎの内容・計画

  • 計画期間
  • 計画内容
  • 引継ぎの目的・必要性
  • 各種宣誓

補助対象経費

  • 金額
  • 内容
  • 経費区分

交渉相手情報

  • 経営資源引き継ぎの進捗
  • FA・M&A仲介契約を締結した専門家名
  • 交渉相手との関係
  • 本社所在地
  • 直近期売上高
  • 業種
  • 従業員数
  • 開業年月日

経営状況

  • 開業年月日
  • 前事業年度経営状況
  • 2期前事業年度経営状況
  • 3期前事業年度経営状況

加点事由に該当することの申告

「該当する」の選択と証拠書類の添付

課税所得額に関する確認

  • 申請者の課税所得額(3年前まで)
  • 共同申請者の課税所得額(3年前まで)

申請に係る誓約

同意する場合は「はい」を選択

参考:専門家活用枠 jGrants申請フォーム項目定義書(10次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

J Grantsで入力する項目は、申請枠ごとの「j Grants申請フォーム項目定義書」にすべて記載されています。「j Grants申請フォーム項目定義書」は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイト「公募要領等ダウンロード」からダウンロードできるので、参考にしてみてください。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトにはj Grantsの操作用マニュアルも用意されています。j Grantsの操作がはじめての人は、事業承継・引継ぎ補助金事務局が制作した「電子申請マニュアル」も参考にしてみましょう。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金に申請するためには、事業承継・引継ぎ補助金の申請枠ごとの概要を理解することが大切です。10次公募の募集は「専門家活用枠」のみの募集ですが、通常は事業承継・引継ぎ補助金には3つの申請枠があるため、申請枠を決めて申請枠ごとの必要書類を提出するからです。

事業承継・引継ぎ補助金に申請する際は、対象事業者と対象事業の要件を満たすかを確認しましょう。事業承継・引継ぎ補助金の対象者となるには、申請枠ごとに10〜12個の要件を満たす必要があります。また、対象者は同時に対象事業の要件も満たす必要があります。

申請は公募期間中に電子申請「j Grants」にログインして行います。電子申請での入力は、Gビズプライムアカウントを使用します。申請時の入力項目は「j Grants申請フォーム項目定義書」に記載されているので、参考にしたい場合は公式サイトからダウンロードしましょう。