ものづくり補助金で申請時に必要な書類の揃え方と記載例
2024/04/09
2022/5/19
ものづくり補助金に応募する事業者は、決算書や確定申告書などの税務状況がわかる書類にくわえ、どのような事業計画で補助を受けたいのかを伝える事業計画書も提出します。
今回の記事では、ものづくり補助金に応募する事業者が提出する必要書類を、わかりやすく解説します。
Contents
ものづくり補助金の申請時に必要な基本書類と揃え方
ものづくり補助金の申請時に必要な応募書類をご紹介します。ものづくり補助金に応募する事業者は、以下の書類を揃える必要があります。
【ものづくり補助金の申請時に必要な基本書類】
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これらの書類は、もともと事業者が持っている公的資料も含まれますが、ものづくり補助金のために新たにWordなどで作成する書類も含みます。上記いずれの書類も、申請の際にはPDF形式で保存されたファイルを添付します。
当サイトを運営する株式会社SoLaboは、ものづくり補助金の申請サポートを実施しています。申請時に書類をどのように準備するか、また事業計画書をどのように記載すればいいかアドバイスをしていますので、書類の準備に不安がある人は以下の無料診断よりお問い合わせください。
無料診断事業計画書
ものづくり補助金における事業計画書は、事業者がこれから行う補助事業はどのような内容のものなのか、文章と図・グラフなどで第三者に説明する資料です。事業計画書は、ものづくり補助金で採択に関わる必要書類であり、応募するすべての事業者が提出する書類です。
ものづくり補助金の事業計画書は、特に決まった公式のテンプレート(書式)が指定されていません。ただし、公募要領ではPDF形式で10ページ以内にまとめるよう、記載があります。
令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (18次締切分)
また、ものづくり補助金では、事業計画書で以下のポイントを網羅しなければいけません。
【事業計画書に書くべき項目】
項目 | 内容 |
①補助事業の具体的取組内容 |
例)省力化(オーダーメイド)枠の場合 <申請の理由> 人手不足の状況、課題、取組内容及び設備・システム導入によりどの程度生産プロセス等の効率化が図られるのかを記載 <追加記載事項> 3~5 年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が 2 倍以上となる具体的な内容 と根拠を記載 |
②将来の展望 |
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③会社全体の事業計画 |
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そのため、ものづくり補助金の事業計画書を揃えるには、事業者の住所や代表者の情報、これまでの事業内容をコンパクトに要約していく準備に加え、公募要領をよく読み、WordやPowerPointで事業者が事業計画書を作成する必要があります。
ぜひ、当サイトの以下関連記事も併せてご参照ください。
申請時には相見積が必要
申請時にはメーカーやベンダー(システム販売業者)から取得した相見積書も添付します。ものづくり補助金では原則、単価50万円以上の機械装置費・システム構築費などが補助の対象経費なので、金額の妥当性を示すために複数社の見積書の添付が必要です。
中古品も補助対象となりますが、中古品を購入する場合は3社以上の相見積を提出することになります。
ものづくり補助金の公募要領にある必要書類の一覧には記載されていませんが、申請時にはメーカー等から取り寄せた見積書が必要です。採択されたあとには受注書・契約書等も必要になるので、機械設備の契約に関わる書類は紛失しないように留意しましょう。
なお、見積書の取得が間に合わない場合はものづくり補助金の申請時ではなく、採択されたあとの交付申請時に提出することも可能です。
(参照)ものづくり補助金の申請の流れ
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賃金引上げ計画の誓約書
ものづくり補助金では、賃上げに関わる2点の要件を満たさなければなりません。事業者は要件を満たすことを証明するため、賃金引上げ計画の誓約書を提出します。
【賃上げに関わる要件】
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賃金引上げ計画の誓約書は、電子申請システムに入力する形式となっています。ものづくり補助金の申請で電子申請システムにログインすると、入力の最後に「賃金引上げの誓約」という欄が表示されるので、目標とする賃金を入力します。
ものづくり補助金の基本要件には賃上げに関する要件が含まれるため、事業者が申請する際に賃上げを誓約する必要があります。ものづくり補助金の必要書類を揃える際は、合わせて賃上げをどれぐらい実施できるのかも検討してみてください。
決算書等
決算書は、事業者が提出する事業計画が資金繰りや財務状況・税金の支払いなどで可能なのか判断する書類です。法人と個人事業主では、提出する決算書の種類は異なります。
【決算書等の種類】
法人 | 個人事業主 |
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確定申告書等 |
もし法人設立から2期以内の法人であれば、1期分の決算書を添付します。また、開業まもない事業者は決算書のかわりに事業計画書と収支報告書を提出します
なお、製造原価報告書はものづくり補助金に申請する前から作成している場合のみ添付します。
従業員数の確認資料
ものづくり補助金は従業員数によってで補助上限額が異なる補助金のため、ものづくり補助金に申請する際は従業員数を証明するための書類を提出します。
具体的に提出する書類は、法人と個人事業主で以下のように異なります。
【従業員の確認資料】
法人 | 法人事業概況説明書の写し |
個人事業主 | 所得税 青色申告決算書または所得税白色申告収支内訳書の写し |
労働者名簿
労働者名簿は、応募する事業者の従業員数を確認するための書類です。労働者数20名以上の事業者は労働者名簿を添付する必要はありません。労働者名簿のフォーマットは特に決まりがないので、エクセルやワードで以下の項目が書かれていれば添付できます。
【労働者名簿に記載すべき内容】
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ものづくり補助金の加点で必要になる書類
ものづくり補助金の申請時には、審査で加点評価してもらうための書類の提出もできます。ものづくり補助金で加点申請する際は、加点に応じた書類が必要です。
【提出すると加点となる書類】
加点の種類 |
必要書類 |
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成長性加点 |
経営革新計画承認書等 |
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政策加点 ※18次公募では計13種類の加点がある |
例1)創業・第二創業後 間もない事業者 (5年以内) |
例2)サイバーセキュリ ティお助け隊 サービス |
開業届または履歴事項全部証明書 ※ |
サイバーセキュリティお助け隊の契約書・利用申込書の写し等の写し | |
災害等加点 |
事業継続力強化計画認定書または連携事業継続力強化計画認定書 |
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賃上げ加点等 |
特定適用事業所該当通知書 |
※ 開業届と履歴事項全部証明書は、所轄税務署の収受印もしくは電子申請の受付刻印のあるもののみが有効。
たとえば、成長性加点の必要書類は、経営革新計画承認書です。この書類は、事業者が立てた経営革新計画を商工会や認定支援機関が承認すると、承認した証として経営革新計画承認書を発行してくれます。
また、政策加点の必要書類には、開業届や履歴事項全部証明書があります。ものづくり補助金の政策加点には「創業・第二創業から5年以内」という要件があるため、補助金の申請から5年以内となる書類を添付すると政策加点の対象となります。
応募者によって提出する追加書類
ものづくり補助金では、応募する補助枠により、追加で提出しなければならない必要書類があります。具体的には、該当する申請者のみが添付する書類には「被災証明書・罹災証明書」や「大幅な賃上げ計画」があります。
【事業計画書に必要な添付書類一覧】
書類 | 該当する申請者 |
応募申請時において再生事業者であること を証明する書類 |
再生事業者 |
被災証明書・罹災証明書 |
令和 6 年能登半島地震で被害を受けた事業者 |
大幅な賃上げ計画 |
大幅な賃上げ計画を実施する事業者 |
金融機関による確認書 |
金融機関より資金調達を行う事業者 |
海外事業の準備状況を示す書類 |
グローバル枠に応募する事業者 |
たとえば、 ものづくり補助金における再生事業者とは、中小企業再生支援協議会等から支援を受けており、応募申請時において再生計画等を策定している、または、策定済から過去3年以内のものを指します。
ものづくり補助金に申請する際は、基本の必要書類に加え、添付書類も忘れずに送付するようにしましょう。
ものづくり補助金に採択されたら必要になる書類
ものづくり補助金に採択されたら、すぐに提出する書類があります。また、補助金交付決定日から約4カ月以内に提出する書類、交付決定通知書記載の補助事業完了期限日までに提出する書類と、全3種類あります。
【ものづくり補助金に採択されたら必要になる書類】
追加書類提出のタイミング | 追加書類の内容 |
交付決定後すぐに提出 | 交付申請書 |
補助金交付決定日から約4カ月以内に提出 | 交付申請書 |
交付決定通知書記載の補助事業完了期限日までに提出 | 実績報告書 |
交付申請書では必ず見積や受注書などの添付書類が必要です。
【機械装置・システム構築費を支払う事業者が添付する書類】
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採択される前に支払った経費は、事前着手申請をして許可された場合を除いて補助されません。そのため、申請時はメーカーや専門家には見積だけの依頼をして、採択されて交付決定通知書を受け取るタイミングではじめて注文・契約しましょう。
遂行状況報告書
遂行状況報告書は、補助金の交付決定日から4カ月以内にJグランツという行政システムから入力しなければいけない手続きです。遂行状況報告書では、事業計画の遂行状況が当初予定していた通りに進んでいるのかを記入します。
また、報告基準日時点における経費明細表を入力して提出します。報告基準日とは、交付決定月の翌月から記載した3か月末日です。
例)交付決定日が6月15日の場合、報告基準日は10月末日
実績報告書
実績報告書とは、事業計画書に記載した補助事業がすべて終了した際に提出する書類です。実績報告書と遂行状況報告書の違いですが、遂行状況報告書では経費の支払い明細を提出していたのに対し、実績報告書では経費の支払いを行った証拠である銀行通帳コピーなどの証拠書類一式をまとめて提出します。
この記事のまとめ
・ものづくり補助金に申請する際は、申請書、事業計画書の他に、賃金引上げ計画の誓約書・決算書等・従業員数の確認資料・労働者名簿を提出します。
・ものづくり補助金では、申請時または採択されたあとの交付申請で、メーカーなどから取得した見積書の提出が必須です。