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ものづくり補助金の補助率と採択率は?申請前の判断基準として解説

2023/10/30

2023/10/30

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金への申請を検討している人の中には、補助率がどれぐらいなのか気になる人もいますよね。特に、個人事業主や中小企業などの補助率は、事業規模により変わることもあるので、自社の補助率を確認したい人もいるでしょう。

当記事では、ものづくり補助金の補助率とその関連する注意点を解説します。採択率についても紹介するので、補助率と採択率でものづくり補助金に申請するかを判断したい人は、当記事を参考にしてみてください。

申請に迷う人は補助率と採択率を判断基準の1つにできる

ものづくり補助金の申請に迷う人は、補助率と採択率を判断基準の1つにできます。自社に適用される補助率が高ければ、ものづくり補助金で受け取れる補助金額が多いと判断できます。また、採択率を知れば、ものづくり補助金の難易度を予測できます。

【ものづくり補助金の補助率と採択率】
16次の補助率 15次の採択率

2/3
※通常枠とグローバル市場開拓枠での小規模事業者、

再生事業者以外は1/2

50.20%

※ものづくり補助金「公募要領16次締め切り分2.0版」と「採択結果」をもとに、株式会社ソラボが作成

たとえば、小規模事業者がものづくり補助金で300万円の機械設備を導入する場合、補助金額は「300万円×2/3=200万円」と計算できます。一方、事業者が小規模事業者ではない場合、補助率は1/2なので補助金額は150万円となり、50万円少なくなります。

また、ものづくり補助金の採択率は、15次公募の場合、50.2%でした。50.2%という採択率は、他の補助金の2023年8月から過去5回の平均採択率と比べると、事業再構築補助金より高く、小規模事業者持続化補助金より低くなっています。

ものづくり補助金の補助率は概ね2/3なので、申請者が小規模事業者や個人事業主なら、国が補助する割合は高いと判断できます。ただし、補助金額の最低金額は100万円なので、事業者は補助金を受け取る前に最低150万円の経費支払いが必要です。

ものづくり補助金の補助率をもとに計算することで、補助対象になる金額と自己負担になる金額がわかります。また、採択率により補助金の難易度の傾向がわかります。ものづくり補助金を検討する人は、「補助金額の自己負担額を支払えるか」「不採択になるリスクも受け入れられるか」という視点も含め、申請すべきかを検討してみてください。

なお、各補助金の採択率について興味のある人は「補助金の採択率とは?」を参考にしてみてください。

小規模事業者はすべての申請枠で補助率2/3

小規模事業者は、ものづくり補助金のすべての申請枠で補助率2/3です。小規模事業者とは、従業員数が製造業その他の業種で20人以下、商業・サービス業で5人以下の事業者を指します。小規模事業者には、法人格のない個人事業主も含まれます。

【ものづくり補助金の申請枠の種類と補助金額】
申請枠 補助金額
通常枠
従業員数 5 人以下 :100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上 :100万円~1,250万円
回復型賃上げ・雇用拡大枠
デジタル枠
グリーン枠 (エントリー類型)
従業員数 5 人以下 :100万円~ 750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
(スタンダード類型)
従業員数 5 人以下 :750万円~1,000万円
6人~20人:1,000万円~1,500万円
21人以上:1,250万円~2,000万円
(アドバンス類型)
従業員数 5 人以下 :1,000万円~2,000万円
6人~20人:1,500万円~3,000万円
21人以上:2,000万円~4,000万円
グローバル市場開拓枠 100万円~3,000万円

※ものづくり補助金「公募要領16次締め切り分2.0版」をもとに、株式会社ソラボが作成

なお、ものづくり補助金では、小規模事業者でもグリーン枠で最大4,000万円の補助を受けることが可能です。ただし、グリーン枠には、基本要件に加えて追加要件があることに留意しておきましょう。

申請後に労働者数が増える場合は補助率1/2

事業者が申請後に労働者数を増やす場合、ものづくり補助金の補助率は2/3から1/2になることがあります。ものづくり補助金で労働者の数が確認される手続きは4回ありますが、労働者数が確定するのは、事業者が補助事業を実施したあとの「確定検査」時です。

【サービス業の店舗での労働者数の変化の例】
状況 労働者数と適用される補助率
応募申請時 5人
2/3
交付申請時 7人
1/2
実績報告時 5人
2/3
確定検査時 5人
2/3

たとえば、応募申請時に労働者数が5人の小規模事業者の場合、適用される補助率は2/3です。その後、労働者数を増やしたとしても、確定審査での報告時に5人であれば、補助率は2/3のままとなります。

一方、同じ条件でも、確定検査での報告時に労働者数が10人となっている場合は、補助率は1/2が適用されます。その結果、補助率は2/3から1/2へと変わるため、交付決定で確定となった補助金額は減額されます。

飲食店や小売店などの労働者の雇用が流動的な事業者は、ものづくり補助金で申告する労働者数に注意が必要です。労働者数が増えると補助率が下がることも考慮して、採用を計画しましょう。

ものづくり補助金の採択率は約50%

15次公募において、ものづくり補助金の全体の採択率は約50%でした。ものづくり補助金の採択率は申請枠により違いがあり、15次で最も採択率が低い申請枠は「グローバル市場開拓枠」で、最も採択率の高い申請枠は「デジタル枠」でした。

【15次の申請枠ごとの採択率】
申請枠 採択率
通常枠 50.0%
回復型賃上げ・雇用拡大枠 49.5%
デジタル枠 55.4%
グリーン枠 40.0%
グローバル市場開拓枠 33.6%

※ものづくり補助金の公式サイトにある「採択結果」をもとに株式会社ソラボ作成
※小数点第二位以下は切り捨て

ものづくり補助金の採択率は、申請要件にも関連します。グリーン枠とグローバル市場開拓枠との申請要件には、「炭素排出量を毎月整理する」や「国内事業と海外事業を実施する」などがあり、満たせない場合は不採択となります。

ものづくり補助金で低い採択率の申請枠は、申請要件が厳しい場合があります。ものづくり補助金には5つの申請枠があるので、申請を検討している人は、どの申請枠なら自社が申請しやすいかという視点で調べてみましょう。

採択後の賃上げが負担になりすぎないかを検討する

ものづくり補助金への申請を迷う場合は、採択後の賃上げが負担になりすぎないかも検討しましょう。ものづくり補助金の賃金引上げの要件が未達になる場合、補助金の返還義務が発生するためです。

ものづくり補助金の基本要件は3つあり、それらはすべて事業者が支払う労働者の給与や賃金の増加に関連しています。

【ものづくり補助金の基本要件】
  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均5%以上増加

(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち

任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)

  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)

を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。

  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

引用:ものづくり補助金 16次公募要領 2.0版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局

たとえば、基本要件の1つ目「給与支給総額」とは、従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与のほか、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当等)を指します。

また、基本要件の3つ目「付加価値額」とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指します。

補助率が有利な小規模事業者だとしても、従業員数が多い場合や補助金額が少ない場合は賃上げが負担になる可能性もあります。ものづくり補助金への申請を検討している人は、賃上げでいくら増額する事になるのか、あらかじめ計算してみてみましょう。

受け取れる補助金額と賃上げ額を比較する際の計算例

ものづくり補助金の基本要件による賃金引上げの計算例を紹介します。ものづくり補助金の申請を検討している人は、計算例を参考に自社への影響を確認してみてください。

【受け取れる補助金額と賃上げ要件で申請を検討する際の計算例】
条件 計算例
  • 申請枠:通常枠
  • 従業員数:3人

(1人につき年収500万円)

  • 申請する補助対象経費の金額:

100万円

〈補助金額〉
  • 事業者が最初に支払う補助対象経費の金額

150万円

  • 補助事業を終えたあとに受け取れる補助金額

100万円

  • 事業者の自己負担金額

50万円

〈賃上げ〉※給与支給総額の場合

事業計画期間中に給与支給総額を年率平均1.5%以上増加:

年収500万円×1.5%=7万5千円

→7万5千円×3人=1年間につき22万5千円を賃上げ

  • 申請枠:デジタル枠
  • 従業員数:20人

(1人につき年収400万円)

  • 申請する補助対象経費の金額:

1,000万円

〈補助金額〉
  • 事業者が最初に支払う補助対象経費の金額

1,500万円

  • 補助事業を終えたあとに受け取れる補助金額

1,000万円

  • 事業者の自己負担金額:500万円
〈賃上げ〉※給与支給総額の場合
事業計画期間中に給与支給総額を年率平均1.5%以上増加:
年収400万円×1.5%=6万円
→6万円×20人=1年間につき120万円を賃上げ

たとえば、年収500万円の従業員を3人雇っている事業所の場合、ものづくり補助金に100万円で採択されると、1年間につき合計で22万5千円の賃上げが必要になります。

一方、年収400万円の従業員を20人雇っている事業所の場合は、ものづくり補助金に1,000万円で採択されると、1年間につき合計で120万円の賃上げが必要になります。

ものづくり補助金の要件である賃上げは、従業員数と受け取る補助金額により負担の規模が変わります。これからものづくり補助金を検討する人は、採択された場合に行う賃上げも考慮して、申請枠や補助対象経費の金額を決めていきましょう。

採択率を高めるには審査項目に合わせた事業計画を意識する

採択率を高めるには、審査項目に合わせた事業計画を意識しましょう。ものづくり補助金で採択されるのは、公募要領の「審査項目に沿った」事業計画です。

【ものづくり補助金の審査項目】
審査項目 内容(公募要領より抜粋)
補助対象事業としての適格性
  • ものづくり補助金の以下要件をすべて満たしているか
①付加価値額 +3%以上/年
②給与支給総額 +1.5%以上/年
③事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
技術面
  • 新製品や新サービスの革新的な開発であるか
  • 課題意識をもち試作品開発に取り組み、

課題達成度の指標を設けているか

事業化面
  • 人員や体制、スケジュールなど事業化にあたり、

現実的に事業化できる事業計画か

  • 事業計画を遂行できるだけの資金の準備

(金融機関からの調達など)ができているか

政策面
  • 地域の特性を生かし、雇用を含む付加価値を

生む事業計画であるか

  • ニッチ分野で他社より優位性があり、

グローバル市場も狙える事業計画であるか

※ものづくり補助金「公募要領16次締め切り分2.0版」をもとに、株式会社ソラボが作成

ものづくり補助金は書類審査のみであるため、提出する事業計画の出来や添付書類に不備がないことが審査では大切です。ものづくり補助金の事業計画の書き方を知りたい人は、「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

ものづくり補助金の補助率は、16次公募の場合、概ね「2/3」です。補助率が2/3ということは、事業者が支払う補助事業の経費のうち、国が2/3を支払い、残りの1/3は事業者が支払うということになります。

ものづくり補助金の最低補助金額は100万円なので、最低金額で申請する場合は、最初に事業者が150万円を支払い、補助事業のあとに100万円を受け取ることになります。そのため、事業者によっては、ものづくり補助金の申請前に資金調達が必要です。

ものづくり補助金への申請を迷う人は、申請枠ごとの採択率も確認してみましょう。ものづくり補助金には全部で5つの申請枠がありますが、15次の場合、回復型賃上げ・雇用拡大枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠は採択率50%以下なのに対し、他の2つは50%を超えるという特徴がみてとれました。

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ものづくり補助金(17次)

公募締切:2024年3月1日(金)

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