エステサロンが小規模事業者持続化補助金に申請する際の注意点や採択事例を解説
2024/08/08
2021/8/12
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や小規模事業者が新たな販路開拓に向けた施策を行う場合に利用できる補助金です。
当記事では、エステサロンが小規模事業者持続化補助金を申請する際の注意点や採択事例を解説します。小規模事業者持続化補助金の審査で実際に採択されたエステサロンの事例や注意点を紹介するので、申請を検討している人は参考にしてみてください。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領をもとに作成しています。
Contents
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは、働き改革などの制度変更等に対応するため、生産性向上や持続的発展を図る小規模事業者を支援することを目的とした補助金です。
【小規模事業者持続化補助金の概要】
項目 | 概要 |
対象者 |
小規模事業者(常時従業員の数が5人~20人以下)
・宿泊業・娯楽業以外の商業、サービス業は5人以下 ・宿泊業・娯楽業、製造業その他は20人以下 ※対象にならない事業者や対象外の事業は公募要領内に記載有り |
補助金の目的 |
小規模事業者の販路開拓、生産性向上(業務効率化)の取組みを支援
|
申請枠 |
通常枠、特別枠(賃金引上げ枠、卒業枠、創業枠、後継者支援枠)
※枠ごとに申請要件有り |
補助率 |
2/3(賃金引上げ枠の赤字事業者の場合は3/4)
|
補助上限額 |
・通常枠50万円
・特別枠200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、創業枠、後継者支援枠) ※インボイス特例が適用される場合は一律50万円の上乗せ |
対象経費 |
①機械装置等費
②広報費 ③ウェブサイト関連費 ④展示会等出 ⑤旅費、 ⑥開発費 ⑦資料購入費 ⑧借料 ⑨設備処分費 ⑩委託・外注費 |
申請方法 |
電子申請、郵送申請
※郵送申請は第12回公募回より減点対象 |
参考:<一般型>ガイドブック|小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金の対象者は、従業員が5人〜20人の個人事業主や小規模事業者です。また、小規模事業者持続化補助金に申請する際は、自社の事業状況によって要件を満たせる枠を1つ選んで申請します。補助金額や補助率は、申請する枠によって異なります。
通常枠の補助上限額は50万円で、特別枠の補助上限額は200万円です。受け取れる補助金額は「申請した経費合計×申請する枠に設定されている補助率」で計算します。また、インボイス特例が適用される対象者にはさらに一律で50万円が上乗せされます。
小規模事業者持続化補助金の概要の詳細が気になる人は「小規模事業者持続化補助金とは?対象者や活用例をわかりやすく解説」も参考にしてみてください。電子申請やインボイス特例の情報も確認できます。
なお、下記無料診断では補助金の対象となるか、欲しい機械などに使えるか、いくら受け取れそうかがわかります。エステサロンが使える補助金を探している人はお試しください。
無料診断小規模事業者持続化補助金を活用できるエステサロンとは
小規模事業者持続化補助金を活用できるのは、補助対象者の要件を満たし、補助対象経費を申請するエステサロンです。そのため、小規模事業者持続化補助金を活用したい人は、補助対象者の要件と補助対象経費を確認しておきましょう。
補助対象者
小規模事業者持続化補助金に申請する人は、対象者の要件を満たす必要があります。小規模事業者持続化補助金の対象者には、従業員数や所得に関する要件が定められており、要件を満たせない場合は補助対象外となってしまうためです。
【補助対象者の要件】
項目 | 概要 |
対象者 |
小規模事業者(常時従業員の数が5人~20人以下)
・宿泊業・娯楽業以外の商業、サービス業は5人以下 ・宿泊業・娯楽業、製造業その他は20人以下 ※対象にならない事業者や対象外の事業は公募要領内に記載有り |
補助金の目的 |
小規模事業者の販路開拓、生産性向上(業務効率化)の取組みを支援
|
申請枠 |
通常枠、特別枠(賃金引上げ枠、卒業枠、創業枠、後継者支援枠)
※枠ごとに申請要件有り |
補助率 | 2/3(賃金引上げ枠の赤字事業者の場合は3/4) |
補助上限額 |
・通常枠50万円
・特別枠200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、創業枠、後継者支援枠) ※インボイス特例が適用される場合は一律50万円の上乗せ |
対象経費 |
①機械装置等費
②広報費 ③ウェブサイト関連費 ④展示会等出 ⑤旅費、 ⑥開発費 ⑦資料購入費 ⑧借料 ⑨設備処分費 ⑩委託・外注費 |
申請方法 |
電子申請、郵送申請
※郵送申請は第12回公募回より減点対象 |
参考:第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
たとえば、エステサロンの場合は宿泊業・娯楽業を除く「商業・サービス業」に該当するため、代表者を除く従業員数が5人以下であれば小規模事業者とみなされます。
また、事業者本人や同居の親族従業員は常時使用する従業員に含まれません。アルバイトやパートタイム労働者の場合は、労働時間や雇用期間によって常時使用する従業員に含まれるかどうかが異なります。
対象者の要件には従業員数のほかにも所得に関する要件や開業済であること、商工会議所の管轄内で事業を行うことなどの要件も定められています。申請する場合は必ず公募要領にて要件の詳細を確認しましょう。
なお、対象者の要件に関する情報は「小規模事業者持続化補助金の対象者と対象事業を解説」の記事も参考にしてみてください。
補助対象経費
エステサロンの販路開拓に活用できる補助対象経費は、全部で10種類用意されています。自身の策定した補助事業計画を実施するために必要な経費項目を組み合わせて申請しましょう。
【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】
補助対象経費科目 | 活用事例 |
①機械装置等費 |
補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費
例:新サービスを実施するための機器や設備導入、システム構築費 |
②広報費 |
新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置などの経費
例:ポスティング用広告チラシの作成や、LED内照の看板製作・設置費 ※ウェブ広告の場合は広報費ではなくウェブサイト関連費で申請する |
③ウェブサイト関連費 |
ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用に係る経費
例:集客から受注に繋がる自社ECサイト制作や、ターゲットを絞ったリスティング広告、予約サイトへの掲載費用 |
④展示会等出展費 | 展示会・商談会の出展料に係る経費 |
⑤旅費 |
販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行うための旅費
|
⑥開発費 |
新商品の試作品開発に伴う経費
例:マッサージオイルやサプリなどの商品開発費 |
⑦資料購入費 |
補助事業に関連する資料・図書にかかる経費
|
⑧借料 |
機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
|
⑨設備処分費 |
新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る経費
例:施術スペース拡張のため不要な棚や什器の処分費 |
⑩委託・外注費 |
店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する経費(契約必須)
|
参考:<一般型>第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
たとえば、新サービス開始を周知するため、クーポン付きチラシの作成とポスティングの費用を広報費として申請できます。また、ホームページ制作費やターゲットを絞ったリスティング広告の掲載費などはウェブサイト関連費として申請できます。
小規模事業者持続化補助金に申請する際は、販路開拓や生産性向上の取り組みを実施するための「補助事業計画の策定」が必須です。補助対象経費は、事業計画の実施に必要な項目を組み合わせて申請しましょう。
なお、小規模事業者補助金の経費について詳細を知りたい人は「小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説」を参考にしてみてください。
エステサロンで認められる経費と認められない経費の例
エステサロンの場合、販路開拓につながる販促費や施術とあわせて販売するための商品開発費などは経費として認められる可能性があります。小規模事業者持続化補助金の対象経費はさまざまな使い方ができる中、経費として認められないものもあるため、対象にならない経費も確認しておきましょう。
認められる経費 |
認められない経費 |
・新たな販促用チラシのポスティング費用 ・新たな販促用チラシの作成、送付費用 ・シャンプーやトリートメントなどの新商品の開発費用 |
・ホームページ制作のためのパソコン購入費用 ・古くなった設備を再購入するための費用 |
認められない経費としては、新たなサービスや施策に関係のない単なる古くなった設備の買替えや、車両、パソコンなどがあげられます。補助事業以外にも使用できる汎用性の高いものの経費は対象外となることを留意しておきましょう。
使いたい経費が対象となるか知りたい人は無料診断をお試しください。小規模事業者持続化補助金で対象となる経費やいくら受け取れそうかなどがわかります。
無料診断エステサロンで小規模事業者持続化補助金が採択された事例
事例①
スリングヨガやTRXトレーニングといった運動の他、エステや整体といったメンテナンスも行うことで、体を健康かつ美しく保つ総合サロンを目指すため、最新の美容機器を導入する事業計画が採択されています。
事例➁
化粧品の売り上げが上がるだけでなく、通信販売によって安定して多くのリピーターを確保するために、ホームページでのオンライン予約システムの導入と、エステサロンで実際に使っているクオリティ化粧品をECサイトで販売する事業計画が採択されています。
事例③
セルフで利用できるダイエット機械を導入することで、感染症流行時の接触リスクを減らしつつ、安価で通いやすいエステ空間を作る事業計画が採択されています。
事例④
自社ホームページに足トラブルを予防することの大切さを周知する内容を更新し、機能性の高いインソールを使用した販促を行う事業計画が採択されています。
エステサロンで小規模事業者持続化補助金を受けるための注意点
小規模事業者持続化補助金を受けるために注意したい点として、以下の3つがあります。
- 公募要領をよく理解する
- 補助金は後払い
- 分かりやすい補助事業計画を作成する
注意点を知らずに申請を進めると、審査の対象にならない場合や補助事業を開始できない可能性があります。そのため、小規模事業者持続化補助金に申請する際は、注意点もあわせて確認しておきましょう。
公募要領をよく理解する
公募要領を読んで理解することは、重要なポイントといえます。公募要領の内容に沿って申請しなければ、不採択になる可能性もあるからです。
補助金を受けるための要件や審査項目、加点項目などの重要な情報はすべて公募要領に書かれているので、採択されるためには公募要領をしっかり確認しましょう。
また、公募要領の内容は不定期に更新されます。特に申請する経費区分など、重要なポイントが変わる可能性もあるので、必ず申請前には公募要領の内容が変わっていないか確認を行ってから申請するようにしましょう。
最新の公募要領は、小規模事業者補助金の「公式サイト」より確認することができます。
審査項目・加点項目
主な審査項目は以下の4つです。
これらすべてを満たすことが審査の最重要ポイントです。
①必要な提出資料がすべて提出されていること ②「補助対象者」「補助対象事業」の要件に合致すること ③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること ④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること |
補助事業計画書について、以下の項目に基づいて加点審査が行われ、採択されるかどうかが決まります。
①自社の経営状況分析の妥当性
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
③補助事業計画の有効性
④積算の透明・適切性
|
また、賃上げ計画を補助事業計画に盛り込み、従業員に表明している場合は、これも加点項目になります。
賃上げ計画に関して計画に盛り込む場合は、賃金引き上げに係る表明書の提出が必要になるので、必ず追加して作成を行いましょう。
補助金は後払い
補助金は原則後払いなので、補助事業にかかる費用については自身で先に支払う必要があります。そのため、自己資金または金融機関からの借入などにより、資金を準備しなければならなりません。もし自己資金に不安があるようであれば、金融機関からの融資を受けることを検討しましょう。融資を検討されている方は、ぜひこちらのサイトを参考にしてみてください。
分かりやすい補助事業計画を作成する
専門用語をなるべく使わず、誰もが読んでも事業内容などを理解できるように、分かりやすい表現を心掛けましょう。また文字だけでなく、写真や表も用いることで、審査担当者もより事業計画をイメージでき、結果として採択される可能性が高まります。
加えて、いくら事業計画が魅力的であったとしても、事業に対してニーズがなければ採択されるのは難しいです。そのため、市場規模・市場ニーズについては政府が発表しているデータなどを用いて、客観的に説明するようにしましょう。
申請書類の作成方法について詳細を確認したい人は「小規模事業者持続化補助金の申請書類の書き方は?記入例を交えて解説」を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
エステサロンが小規模事業者持続化補助金に申請する場合、販路開拓につながる取り組みの「事業計画の策定」から始めましょう。事業計画の内容が認められ、審査で採択された場合は最大で250万円の補助金額を補助事業に活用できます。
補助事業を実施するための補助対象経費は全部で10種類用意されています。新サービスを開始するための機械導入費や看板、チラシ、ホームページなどの制作にかかる経費を申請できます。ただし、車やパソコンなどの汎用性の高いものの経費は対象外です。
小規模事業者持続化補助金を受け取るためには、採択審査に通過する必要があります。申請する場合は対象者の要件を満たし、審査のポイントを踏まえた経営計画書や補助事業計画書を作成しましょう。