補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金の対象者と対象事業を解説

2024/04/04

2022/2/16

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

小規模事業者持続化補助金の申請を検討している事業者や個人事業主の中には、自分が補助対象であるかどうかを確認したい人もいますよね。また、補助金を利用して取り組みたい計画の内容が補助対象になるかどうかを知りたい人もいるのではないでしょうか。

当記事では、小規模事業者持続化補助金の「対象者」と「対象事業」の要件を解説します。また、対象となる経費についても紹介するので、小規模事業者持続化補助金の対象を調べている人は参考にしてみてください。

なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第15公募要領をもとに作成しています。

小規模事業者持続化補助金の申請には対象者の要件を満たす必要がある

小規模事業者持続化補助金に申請する人は、対象者の要件を満たす必要があります。小規模事業者持続化補助金の対象者には、従業員数や所得に関する要件が定められており、要件を満たせない場合は補助対象外となってしまうためです。

【補助対象者の要件】

全申請者

・個人事業主を含めた小規模事業者であること

・商工会議所(商工会)の管轄内で事業を営んでいること

・開業済みかつ事業を開始している事業者であること

・確定申告をした過去3年分の課税所得平均が15億円を超えていないこと

法人のみ

・自社の株式を資本金や出資金が5億円以上の法人に保有されていないこと

過去に小規模事業者持続化補助金の交付を受けた事業者のみ

・第10回公募以前の採択者であること(第15回公募に申請の場合)

・過去に「卒業枠」で採択を受け補助金を受け取った事業者ではないこと

※小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

対象者の要件には「すべての申請者に向けた要件」と「該当者のみに向けた要件」があります。申請者が法人の場合や過去の公募回でも補助金を受け取ったことのある事業者の場合は、基本要件に加え自分に該当する要件も満たす必要があります。

対象者の要件を1つでも満たせない場合は、小規模事業者持続化補助金に申請できません申請を希望する人は、要件の詳細を1つずつ確認してみましょう。

なお無料診断で、小規模事業者持続化補助金の対象となるかを診断可能です。業種や従業員から小規模事業者持続化補助金の対象となるか、いくらくらい受け取れそうか知りたい人は診断してみてください。

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個人事業主を含めた小規模事業者であること

小規模事業者持続化補助金の対象者は「小規模事業者の定義」によって定められた従業員数で事業を営む小規模事業者や個人事業主です。

【小規模事業者の定義】

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外)

常時使用する従業員の数が5人以下

サービス業のうち宿泊業と娯楽業

常時使用する従業員の数が20人以下

製造業その他

常時使用する従業員の数が20人以下

※小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、飲食店や美容室を営む事業者は「商業・サービス業」に該当するため、代表者を除く従業員数が5人以下であれば小規模事業者とみなされます。また、運送業や建設業の場合は「製造業その他」に該当し、従業員数が20人以下であれば小規模事業者です。

なお、事業者本人や同居の親族従業員は常時使用する従業員に含まれません。アルバイトやパートタイム労働者の場合は、労働時間や雇用期間によって常時使用する従業員に含まれるかどうかが異なります。

小規模事業者持続化補助金に申請できる事業者は、従業員数が5人~20人の小規模事業者や個人事業主です。該当する業種や常時使用する従業員の判断が難しい場合は、公式サイトの別紙「参考資料」も参考にしてみましょう。

一部の法人や業種は対象外と指定されている

小規模事業者や個人事業主であっても、一部の法人や業種に該当する事業者の場合は小規模事業者持続化補助金の対象外となります。小規模事業者持続化補助金の公募要領には「補助対象にならない者」として、対象外の業種や事業者の一覧が明記されています。

【小規模事業者持続化補助金の対象にならない業種】

・医師、歯科医師、助産師

・一部指定された条件の農業、林業、水産業者

・一般社団法人、公益社団法人/一般財団法人、公益財団法人

・医療法人、学校法人、宗教法人、農事組合法人、社会福祉法人

・申請時点で開業していない創業予定者

※小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、整骨院や調剤薬局などの「保険診療報酬を受けている従事者」が補助金を受け取ることは、国からの補助を二重に受けることになるため、対象外となります。同様に、学校法人や宗教法人などの「税金面で優遇を受けている法人」の場合も補助対象外です。

また、系統出荷のみを行う農業や水産業は対象外ですが、系統出荷以外の事業に関する申請の場合は補助対象になります。同様に、整骨院や薬局などでも、保険診療以外の事業に関する申請は補助対象です。

自身が対象外の事業者に該当するかどうか悩む場合は、管轄の商工会議所や補助金事務局に確認しましょう。

商工会議所(商工会)の管轄内で事業を営んでいること

小規模事業者持続化補助金に申請する事業者は、商工会議所の管轄内で事業を営んでいる必要があります。商工会議所は小規模事業者持続化補助金の申請窓口であり、補助金に申請する事業者は、商工会議所の支援を受けながら手続きを進めることになるためです。

【申請手順の一例】

① 申請者は補助事業計画を策定のうえ「経営計画書兼補助事業計画書」と「補助事業計画書」を作成

② ①で作成した書類の写しを商工会議所に提出し「事業支援計画書」の作成・発行を依頼する

③ 後日作成の終わった事業支援計画書を受け取り、②とその他の必要書類を共に補助金事務局へ提出する

たとえば、小規模事業者持続化補助金の必要書類の1つに「事業支援計画書」があります。事業支援計画書は、申請者が作成した「経営計画書」や「補助事業計画書」の写しを商工会議所(または商工会)に提出した際に発行を依頼します。

事業者は商工会議所の会員、非会員を問わず小規模事業者持続化補助金の申請が可能です。また、管轄が「商工会地区」の場合は商工会にて同様の支援を受けられるため、申請を検討している人は、管轄の商工会議所や商工会を確認しておきましょう。

開業済みで事業を開始している事業者であること

小規模事業者持続化補助金の対象になる事業者は、税務署に開業届を提出済み(法人の場合は法務局へ登記申請済)かつ、事業を開始している事業者です。

【開業から補助金申請までの流れ】

①    税務署に開業届を提出(法務局へ登録申請)

②    事業を開始する

③    販路開拓の事業計画を作成する

④    補助金申請を行う

たとえば、個人事業主が税務署に開業届を提出済みでも、開業届上の開業日が補助金の申請日よりも後の日付になっている場合は補助対象外となります。同様に、法人の場合は、法務局へ登記申請を行った日が申請日よりも後の日付の場合は補助対象外です。

小規模事業者持続化補助金は、開業済みで事業を開始している事業者が対象です。そのため、創業予定者の開業資金として活用できる補助金ではないことを留意しておきましょう。

過去3年分の所得平均が15億円を超えていないこと

確定申告を済ませた直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えている事業者は、小規模事業者持続化補助金の対象外です。過去3年分の課税所得が15億円近い金額に該当する事業者は、平均額を確認しておきましょう。

たとえば、課税所得額が直近3年でそれぞれ10億円、12億円、16億円の場合、課税所得平均は12.6億円です。算出された課税所得の平均額が15億円以下であるため、補助の対象となります。

また、創業3年未満の事業者の場合は、確定している課税所得額の平均で算出します。創業2年目の事業者であれば、1年目の課税所得額を申請します。

なお、事業者によっては課税所得平均の確認のため、補助金事務局から「納税証明書」の提出を求められる場合があります。提出を求められた場合は、税務署にて取り寄せて提出しましょう。

該当者のみが満たすべき要件

小規模事業者持続化補助金の対象者の要件のうち、該当者のみが満たすべき要件があります。1つは事業者満たすべき要件であり、もう1つは過去にも小規模事業者持続化補助金の交付を受けたことのある事業者が満たすべき件です。

【該当者に求められる要件】

対象の事業者

要件

法人

(株式会社)

資本金または出資金が5億円以上の法人に自社の株式の100%を直接

または間接に保有されていないこと

過去の採択者

過去に以下の採択を受けた事業者は、補助事業実施後に提出する最後の報告書類(※)

を事務局に受領されていること

①小規模事業者持続化補助金「一般型」

②小規模事業者持続化補助金「コロナ特別対応型」

③小規模事業者持続化補助金「低感染リスク型ビジネス枠」

④小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(能登半島地震)」

※各補助金の交付規定で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金にかかる事業効果および賃金引上げ等状況報告書」を指す

申請者が株式会社の場合は「自社株式の直接または間接的保有者」を確認する必要があります。たとえば、申請者の株式を直接保有するA社の資本金が5億円以下でも、A社の株を100%保有するB社の資本金が5億円以上の場合、B社は間接的な保有者となるため、申請の対象外となります。

また、申請者が過去の小規模事業者持続化補助金の採択者で2度目以降の申請の場合、前回の補助事業や書類の提出までをすべて終えている必要があります。報告書(様式第14)の中の不備は解消し、補助金事務局に受領されていることを確認しましょう。

なお、2度目以降の小規模事業者持続化補助金の申請で、第15回公募に申請する人は、第10回公募以前の採択者のみ対象です。また、能登半島地震の災害支援枠を検討する人は、一般型との併用ができないことを留意しておきましょう。

対象事業の要件は販路開拓のための取り組みであること

小規模事業者持続化補助金の対象事業の要件は「販路開拓のための取り組み」に繋がる事業であることです。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の「販路開拓」や「生産性向上」を目的とした取り組みに対し、国が経費の一部を支援する制度であるためです。

1. 策定した「経営計画」に基づいて実施する販路開拓のための取り組みであること、あるいは

販路開拓の取り組みとあわせて行う業務効率化や生産性向上のための

取り組みであること

2. 商工会議所の支援を受けながら取り組む業務であること

3. 対象外と指定された事業を行うものではないこと

※小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

小規模事業者持続化補助金の申請を決めた場合にまず行うことは、販路開拓に向けた事業計画を練ること(計画の策定)です。つぎに、策定した計画をもとに「経営計画書」や「補助事業計画書」などの申請書類を作成します。

また、小規模事業者持続化補助金の申請や採択後の取り組みは、商工会議所の支援を受けながら進める必要があり、補助事業の要件としてもあげられています。

なお、小規模事業者持続化補助金の「公募要領」(p.7)には、対象外と指定されている事業の記載があります。国からの助成を他にも受けている事業や、公的な支援を行うことが適切でないと判断される事業は対象外となるため、あわせて確認しておきましょう。

補助事業として認められない事業例

小規模事業者持続化補助金の公募要領には、補助事業として認められない事業の例が明記されています。

対象外の事業

具体例

①国や国以外の期間が助成するほかの制度と同一

または類似内容の事業

・デイサービス・介護タクシー

(介護報酬が適用されるサービス)

・薬局・整骨院

(保険診療報酬が適用される事業)

②補助事業の終了後1年以内で売上げに繋がらない

とみなされる事業

・機械を導入して試作品開発を行うのみで事業の

取り組みが直接販売の見込みに繋がらない、または

想定されていない事業

③事業内容が射幸心をそそるおそれがある、公の

秩序・善良の風俗を害する・公的な支援が適切

でないと認められるもの

・麻雀・パチンコ・ゲームセンター・性風俗関連

特殊営業など

※小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

補助事業内容において、小規模事業者持続化補助金以外にも国や自治体などから他の支援を受けている場合はすべて対象外になります。例としては診療報酬・介護報酬、固定価格買取り制度などが該当します。

また、単に古くなった看板を作り直すことや店舗情報のみがプリントされた広告物などは、直接販売の見込みに繋がらないため対象外です。ほかには、フランチャイズ店における事業者本人が計画した事業ではない「本部と直結の事業」も対象外となります。

小規模事業者持続化補助金の補助事業には、対象外と指定されている事業があります。補助対象外の事業に該当するかどうかの判断が難しい人は、商工会議所や補助金事務局に確認しましょう。

要件を満たす人は補助対象になる経費も確認しておく

対象者の要件と対象事業の要件を満たす人は、対象になる経費(補助対象経費)も確認しておきましょう。小規模事業者持続化補助金の補助対象経費には、10種類の経費項目が設定されています。

【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】

経費項目

活用例

①機械装置等費

補助事業の実施に必要な製造装置の購入

②広報費

新サービスを宣伝するチラシの作成・配布、看板作製

③ウェブサイト関連費

ウェブサイトやECサイト開発、ウェブ広告にかかる経費

④展示会等出展費

展示会や商談会の出展費用

⑤旅費

商品買い付けや展示会の会場への交通費や宿泊費

⑥新商品開発費

新商品の試作品開発にともなう経費

⑦資料購入費

補助事業に関連する書籍や資料の購入費

⑧借料

機器や設備のリース、レンタル料

⑨設備処分費

新サービスを実施するスペース確保を目的とした設備処分費

⑩委託・外注費

店舗改装など自社では実施困難な業務の依頼費用

※小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブックを参考に株式会社SoLaboが作成

小規模事業者持続化補助金の申請書類の1つである「補助事業計画書」には、事業者が作成した事業計画を遂行するために必要な経費を記載します。たとえば、事業計画に必要な機械の導入は「機械装置等費」EC制作は「ウェブサイト関連費」として申請します。

10種類の経費項目の中に記載のないものは、対象経費として申請することができません。特に、パソコンや車両などの汎用性が高く補助事業以外の用途でも利用できるものは補助対象外となるため、留意しておきましょう。

小規模事業者持続化補助金の公募要領には、補助対象外となる経費が「経費項目ごと」に記載されています。小規模事業者持続化補助金の対象経費を詳しく知りたい人は「小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説」も参考にしてみてください。

申請する際の注意点

小規模事業者持続化補助金に申請する人は、注意点も確認しておきましょう。注意点を知らずに手続きを進めると、対象者や対象経費の要件を満たしている場合でも補助対象外となってしまう可能性があるためです。

【申請における注意点】

補助事業の開始時期に関する

注意点

・補助事業は開業後に実施する必要がある

・交付決定通知を受ける前の取り組みは対象外

経費の決済方法に関する

注意点

・補助事業に関する支払いは原則銀行振り込み

・小切手や手形、相殺による支払いは不可

1取引10万円超(税抜き)の現金支払いは対象外

※小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、補助金事務局から送付される「交付決定通知書」を受け取る前に事業者が購入したものや契約したサービスなどは補助対象外です。審査に通った採択者には交付決定通知書が届くため、補助事業は交付決定通知書に記載された交付決定日以降に開始する必要があります。

また、経費の支払いは銀行振り込みが大原則とされています。クレジットカードや電子マネーで経費を支払う人は、金融機関の引落日が補助事業期間を過ぎていた場合、対象外となります。

小規模事業者持続化補助金に申請する際は「補助事業を開始する時期」や「申請する経費の決済方法」に関するいくつかの注意点があります。開業前に契約した改装工事の費用やオークションで購入した機材の経費などは対象外となるため注意しましょう。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金の補助対象になるのは、「補助対象者」「補助対象事業」「補助対象経費」の要件をすべて満たしている事業者です。いずれか1つの要件でも満たせない場合は、補助対象外になります。

小規模事業者持続化補助金の補助対象の要件は、小規模事業者持続化補助金の公式サイト「公募要領」から確認できます。また、補助対象経費や補助対象について「申請時のよくある質問」が公開されているので、公募要領でわからないことがあれば確認してみましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金の申請についてわからないことがある場合は、商工会や商工会議所へ質問ができます。小規模事業者持続化補助金の補助対象に該当するか判断できない場合は、地域の商工会または商工会議所へ問い合わせてみましょう。

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