設備投資に活用できる補助金や助成金の種類と概要を解説

2024/07/01

2024/7/1

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

新たに機械や備品などを導入できる設備投資は事業主とって事業の発展のために重要です。しかし、設備投資に必要な資金を用意するには負担がかかります。

設備投資にかかる費用をどう抑えるか悩んでいる人もいるでしょう。

当記事では設備投資に活用できる補助金や助成金の種類と概要を解説します。設備投資の資金について補助金を検討している人は、参考にしてみてください。

設備投資に活用できる補助金

設備投資に活用できる補助金には、国が運用する事業再構築補助金やものづくり補助金などがあります。設備投資とは、さまざまな理由により事業に必要となった機械や備品、ソフトウェアなどの固定資産を購入することです。

【設備投資に活用できる補助金の例】

  • 事業再構築補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、事業再構築補助金は事業再構築を遂行するために製品の増産が行える設備などに投資が行えます。また、小規模事業者が対象者である小規模事業者持続化補助金は、補助事業に沿った機械装置などの設備投資が可能です。

ほかにも、小規模事業者や中小企業がITツールの導入を実施する際に活用できるIT導入補助金もあります。

新しい設備にすることで、商品の増産、試作開発といった経営の発展や生産性の向上などが見込めるため設備投資は重要です。設備投資の費用について悩みがある人は、補助金の申請を検討してみてください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金では事業に関する設備投資に取り組めます。事業再構築補助金は、事業、業種転換や新市場開拓といった事業再構築を行う中小企業者などを対象者とした補助金です。

【事業再構築補助金の概要】

項目

概要

対象者

  • 中小企業者
  • 中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人
  • 中堅企業等
  • 個人事業主

全枠共通必須要件

  • 事業再構築の定義に該当する事業を実施すること
  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額を一定以上に向上させること

補助率

  • 中小企業者等 1/2~3/4
  • 中堅企業等 1/3~2/3

※申請枠により異なる

※大規模な賃上げを行う場合の補助率引き上げ措置あり

補助対象経費

  • 建物費
  • 機械装置
  • システム構築費(リース料を含む)
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費

参考:第12回公募要領|事業再構築補助金

たとえば、事業再構築補助金を利用することで、新分野に展開するために商品の加工設備やシステム構築などに投資を行えます。

ただし、指針に沿った事業計画を事業主で作成し、指定の支援機関の確認を受け、補助事業が終了した後の3~5年で付加価値額を向上させる計画であることが必須要件です。

製造業や小売業などのさまざまな業種が補助事業に関連する設備投資に活用することができます。なお、事業再構築補助金について詳しく知りたい人は、「事業再構築補助金とは?対象や要件など概要をわかりやすく解説」を見てみてください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金を利用する場合は、設備投資が必須です。ものづくり補助金の目的が、商材開発または生産プロセスやサービスの提供方法の改善に必要な設備投資などを支援することだからです。

【ものづくり補助金の概要】

項目

概要

対象者

  • 中小企業者
  • 特定事業者の一部
  • 特定非営利活動法人
  • 社会福祉法人
  • 個人事業主

基本要件

  • 事業計画期間において給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
  • 事業計画期間において事業所内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とする
  • 事業計画期間において事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる
  • 申請時点において申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していること
  • 補助事業の実施場所を持っていること

補助率

1/3~2/3

※申請枠や補助額の範囲によって異なる

補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

参考:公募要領(18次締切分)|ものづくり補助金

たとえば、デジタル複合機といった補助事業に使われる機械装置や器具の購入、製作にかかる費用などが補助対象経費です。専用ソフトウェアや情報システムに要する経費、導入した機械装置の改良、修繕または据付けにかかる費用も対象となります。

また、ものづくり補助金では申請時に満たすべき要件が複数あります。基本要件のほかに、設備投資を行い、申請時に事業所内の最低賃金を一定額引上げる計画を立てていることも必須要件のひとつです。

ものづくり補助金を利用する際の設備投資には、設備ひとつにつき50万円(税抜)以上行うことが必要です。ものづくり補助金について詳しく知りたい人は、「ものづくり補助金とは?概要をわかりやすく解説」をご覧ください。

なお無料診断ではものづくり補助金の対象事業者に当てはまるかを診断できます。この補助金に申請できるか、いくら受け取れそうか、設備投資を含めどのような経費に使えそうかなどがわかりますので、申請を検討している人は診断してみてください。

ものづくり補助金は利用できる?無料診断

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、経営計画に基づいた販路開拓や生産性の向上の取り組みにかかる費用の一部を補助する制度です。

【小規模事業者持続化補助金の概要】

項目

概要

対象者

  • 小規模事業者
  • 個人事業主
  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
  • 申告済みの直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと

補助対象事業

  • 策定した経営計画に基づいて実施する販路開拓等とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること
  • 商工会や商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること

補助率

2/3

※賃金引上げ枠へ申請する赤字事業者は3/4

補助上限額

通常枠:50万円

特別枠:200万円

補助対象経費

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
  • 旅費
  • 開発費
  • 資料購入費
  • 雑役務費
  • 借料
  • 設備処分費
  • 委託・外注費

参考:第 16 回公募要領|小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金の通常枠へ申請をする場合、補助上限額50万円までで、販路開拓や生産性の向上につながるソフトウェアの購入、新サービス提供にむけての試作機の導入などができます。また、通常枠以外の「特別枠」と呼ばれる4つの申請枠の補助上限額は200万円までです。

ただし、汎用性が高いPC関連や補助事業以外の通常で使う場合、修理費用などは補助対象として認められていません。購入品が、故障や不具合などにより補助事業に使用ができなかった場合は補助対象外となってしまうため、注意しましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金を詳しく知りたい人は、「小規模事業者持続化補助金とは?対象者や活用例をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。

IT導入補助金

IT導入補助金はコンピュータに関連する設備投資に使えます。中小企業や小規模事業者が対象のIT導入補助金には、通常枠のほかセキュリティ対策推進枠やデジタル化基盤導入枠の申請枠があります。

IT導入補助金の概要】

項目

概要

対象者

  • 中小企業
  • 小規模事業者
  • 個人事業主

補助率

【通常枠】

1/2以内

【インボイス枠(インボイス対応類型)】

ソフトウェア:2/3以内~4/5以内(事業規模や補助額の範囲により異なる)

ハードウェア:1/2以内

【インボイス枠(電子取引類型)】

中小企業・小規模事業者等:2/3以内

その他の事業者:1/2以内

【セキュリティ対策推進枠】

1/2以内

補助上限額

【通常枠】

150万円未満

(導入するツールの機能数が4機能以上の場合は450万円以下)

【インボイス枠(インボイス対応類型)】

ソフトウェア:50万円以下

(2機能以上を有する場合は350万円以下)

ハードウェア:10万円以下

(レジ・券売機等は20万円以下)

【インボイス枠(電子取引類型)】

350万円以下

【セキュリティ対策推進枠】

100万円以下

補助対象経費

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料
  • 導入関連費
  • ハードウェア ※インボイス枠(インボイス対応類型)のみ

参考:IT導入補助金2024公式サイト

通常枠の場合、ソフトウェア購入費や導入に関連する費用が補助対象です。通常枠は事業者の課題に特化した幅広いソフトウェアを導入できる申請枠です。

インボイス枠(インボイス対応類型)の場合、ソフトウェアに加えパソコンやプリンターなどのハードウェア購入費も対象です。インボイス制度への対応を推進するため、通常枠と比較して高い補助率が設定されています。

しかし、既存のソフトウェアの追加購入分など補助対象外になるものがあるため、IT導入補助金の公式サイトにて詳細の把握を行う必要があります。

IT導入補助金は、ITに関する設備投資を行い生産性の向上や業務効率化を図りたい中小企業や小規模事業者が活用できる補助金です。なお、IT導入補助金について興味がある人は、「IT導入補助金とは?申請枠と申請の流れをわかりやすく解説」を見てみてください。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は事業承継の際にかかる設備投資に利用が可能です。事業承継・引継ぎ補助金は中小企業や小規模事業者の事業承継などによって新たに取り組む事業の経費の一部を支援する制度です。

【事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)の概要】

項目

概要

対象者

  • 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること
  • 中小企業や小規模事業者の定義に該当する事業であること
  • 経営資源引継ぎの要件に該当する事業をおこなうこと

補助率

2/3以内または1/2以内

※申請類型により異なる

補助上限額

600万円以内

※条件を満たす場合は上限を150万円として廃業費の上乗せが可能

補助対象経費

  • 謝金
  • 旅費
  • 外注費
  • 委託費
  • システム利用料
  • 保険料
  • 廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用等)

参考:第10次公募要領|事業承継引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継、事業再編、事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。支援の内容に応じて「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3つの枠がありますが、2024 年7月に実施される第10次公募においては「専門家活用」のみ募集が行われます。

事業承継やM&Aにより新しい事業活動を考えている中小企業や小規模事業者は事業承継・引継ぎ補助金の活用を検討してみてください。事業承継・引継ぎ補助金を詳しく知りたい人は、「事業承継・引継ぎ補助金とは?概要と申請要件を解説」を参考にしてみてください。

設備投資に活用できる自治体独自の補助金

設備投資に活用できる自治体独自の補助金があります。国が実施している補助金のほかに、東京都や神奈川県、大阪府など以下の例のように地方が行っている制度もあるため検索してみましょう。

【設備投資に活用できる自治体の補助金の例】

自治体

補助金の名前

概要

神奈川県平塚市

脱炭素設備投資促進補助金

【対象】

  • 市内に事業所がある中小事業者
  • 既存の設備と比較して、二酸化炭素の排出量が年間2%以上削減されること
  • 事前に二酸化炭素排出量の削減効果の内容が確認されていること

【補助率】

1/5

【対象経費】

設備導入に要する本体価格及び設置工事費(税抜)

愛知県名古屋市

小規模企業経営基盤強化設備投資補助金

【対象】

  • 市内で事業を営む小規模事業者
  • 市内に所在する事業所に新たに機械設備等を設置する事業であること

【補助上限額】

300万円

【補助率】

1/10以内

【対象経費】

固定資産課税台帳(償却資産)に登載された機械設備等の取得価額

福井県

企業における省エネ設備等導入支援事業補助金

【対象】

  • 県内で事業を営む小規模事業者および個人事業主
  • 製造業または商業・サービス業を営む事業者
  • 「ふくい女性活躍推進企業」に登録していること ※個人事業主は不要

【補助上限額】

600万円

【補助率】

1/2以内

【対象経費】

  • 設備の購入費のみ

※設置工事費、撤去費、廃棄費、運搬費等は対象外

神奈川県平塚市が実施している「脱炭素設備投資促進補助金」では、市内の中小事業者を対象に二酸化炭素排出量の削減のための設備投資に必要な本体価格や設置工事費の一部が補助されます。太陽光発電などの再生可能エネルギーまたは省エネルギー設備などが対象です。

上記以外にもさまざまな自治体で設備投資に利用できる補助金を実施しています。事業所のある地域の自治体の公式サイトや補助金の検索サイトにて、設備投資に活用できる補助金がないか検索してみてください。

業務改善助成金は生産性向上のための設備投資に使える

業務改善助成金は生産性向上のための設備投資に使えます。業務改善助成金は、事業所内の最低賃金を一定の金額まで引き上げるとともに、設備投資などとあわせて計画を実施することで支給される制度です。

【業務改善助成金の概要】

項目

概要

対象者

  • 中小企業、小規模事業者であること
  • 業所内の最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

助成率

申請前の事業所内最低賃金によって変わる

900円未満:9/10

900円以上950円未満:4/5(9/10)

950円以上:3/4(4/5)

※()は規定の要件を満たし補助率引上げを受ける場合

助成対象経費

生産性向上に資する設備投資等

参考:業務改善助成金|厚生労働省

たとえば、レジシステムを導入することにより、清算の時間短縮になることや製造の機械を導入することで、商品が増産され作業効率が上がるなどの生産性の向上が見込める設備投資などが補助対象です。

経費削減のために文具を交換することや事業所の環境改善、通常の事業に使用する消耗品など対象外の経費には使うことはできません。

ただし、事業所内の最低賃金が950円未満であるなどの要件が当てはまった特例事業者は、助成対象にならないパソコンや一部の車両、関連する経費などを助成対象経費として申請することができます。

業務改善助成金は、設備投資に加え、従業員の事業所内の最低賃金の引上げを行う必要があり、従業員がいない場合は助成金の申請をすることはできないため注意しましょう。

なお、業務改善助成金の詳細が知りたい人は厚生労働省の公式サイト「業務改善助成金」を確認してください。

まとめ

設備投資は、事業に必要である備品などの固定資産を購入することです。設備投資を実施することは、企業において事業の発展や生産性の向上につながります。

設備投資に活用できる補助金には事業再構築補助金やものづくり補助金などの国が実施する制度のほか、地方自治体が独自に実施している助成金などの制度もあります。設備投資の資金について悩みがある人は、補助金や助成金の活用の検討をしてみましょう。

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