補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金の対象となる事業は?定義や範囲について解説

2021/8/10

2021/10/07

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

お客様の資金調達支援実績4,500件以上 自社でも、
小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金の採択をされている。

小規模事業者持続化補助金は、販路拡大や生産性向上を図りたいと考えている小規模事業者にとっては大きな助けとなる補助金です。小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、どのような事業なのでしょうか?今回は小規模事業者持続化補助金の対象となる事業の定義や範囲について解説します。

小規模事業者持続化補助金の対象者

小規模事業者とは

小規模事業者持続化補助金は、その名の通り小規模事業者を支援することが目的の補助金ですので、補助対象者は小規模事業者であることが必要です。

小規模事業者持続化補助金の公募要領によると、

小規模事業者とは、小規模企業支援法に定める「製造業その他の業種に属する事業を主たる事業として営む商工業者(会社<企業組合・協業組合を含む>および個人事業主)」であり、常時使用する従業員の数が20人以下(商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)に属する事業を主たる事業として営む者については5人以下)の事業者です。

とあり、業種ごとに常時使用している従業員数で小規模事業者かどうかが定義されていて、下記を満たせば個人事業主でも対象となりえます。

業種

常時使用する従業員の数

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)

5人以下

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下

製造業その他

20人以下

業種

業種は、日本標準産業分類ではなく、営む事業の内容と実態から判断されます。

小規模事業者持続化補助金の公募要項において、商業・サービス業は「他者から仕入れた商品を販売する(他者が生産したモノに付加価値をつけることなく、そのまま販売する)事業」「在庫性・代替性のない価値(個人の技能をその場で提供する等の流通性がない価値)を提供する事業」と定義されています。他者から仕入れた商品に手を加えて販売する場合は、後述の製造業その他として扱われます。

次にサービス業のうちの宿泊業・娯楽業は、「宿泊を提供する事業(また、その場所で飲食・催事等のサービスを併せて提供する事業も含まれる。)」「映画、演劇その他の興行および娯楽を提供する事業、ならびにこれに附帯するサービスを提供する事業」と定義されています。

最後に製造業は、「自者で流通性のあるモノを生産する事業、他者が生産したモノに加工を施したりするなどして、更なる価値を付与する事業(在庫性のある商品を製造する事業)」を指します。

「商業・サービス業」、「宿泊業・娯楽業」、「製造業」に当てはまることが難しい場合は、「その他」に区分され、従業員数20人以下が適用されます。具体的に、公募要領には以下2つの例が記載されています。

例:飲食店の場合

調理技能を用いて生産した料理をその場で提供するのみ

→在庫性がないので「商業・サービス業」

調理技能を用いて流通性のある弁当、惣菜、お土産を作っている

→仕入れたものに手を加えて流通性のあるものに加工して販売しているので「製造業」

例:本屋の場合

出版社・取次から仕入れた書籍をそのまま販売するのみ

→他者から仕入れた商品を販売するので「商業・サービス業扱い」

自社の知覚とノウハウをもとに、小説と小説内に登場する料理を提供する料理店を掲載した案内雑誌を「文字と舌で楽しみたいグルメセット」等と称して販売している

→他者が生産したモノに新たな価値を付与しているので「製造業」

常時使用する従業員の数

常時使用する従業員の数は、役員(従業員との兼務役員を除く)や個人事業主本人および同居の親族従業員、育児休業中の社員、短期雇用者などを除いた、従業員の数をいいます。そのため、パートタイム、アルバイトの方も状況によっては従業員数に含める場合がありますので、ご注意ください。

特定非営利活動法人(NPO法人)は補助対象者となりえる

小規模事業者持続化補助金の補助対象者は、前述の小規模事業者であり、なおかつ会社および会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合)または個人事業主(商工業者であること)です。

加えて、一定の要件を満たした特定非営利活動法人も対象者となりえます。

特定非営利活動法人の「常時使用する従業員の数」の適用業種は「その他」に当てはまり、「製造業その他」の従業員基準(20人以下)を満たす必要があります。

さらに、以下2点の要件を満たさなければなりません。

  1. 法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34事業)を行っていること
  2. 認定特定非営利活動法人でないこと

なお収益事業を行っていても、免税されていて確定申告書の提出ができない場合は補助対象外となりますので、ご注意ください。

小規模事業者持続化補助金の補助対象者にならない場合

医師・歯科医師・助産師や、系統出荷による収入のみである個人農業者等は商工業者に該当しません。

また以下の分類に当てはまる場合は、事業内容に関わらず対象外ですので、ご注意ください。

・医師、歯科医師、助産師

・系統出荷による収入のみである個人農業者

・協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)

・一般社団法人、公益社団法人

・一般財団法人、公益財団法人

・医療法人

・宗教法人

・学校法人

・農事組合法人

・社会福祉法人

・申請時点で開業していない創業予定者

・任意団体 等

小規模事業者持続化補助金の補助対象事業

対象事業となる要件

補助対象となる事業は以下の要件を満たさなければなりません。

販路開拓(生産性向上)のための取組であること

小規模事業者持続化補助金の対象となる事業は、販路開拓(生産性向上)のための取組であることです。

例えば、新たに販売する商品を開発したり、新たな顧客獲得のためにホームページを制作してインターネットに広告を出す、など以前やっていた事業とは異なることを行って新たな顧客を得る施策を指します。販路としては日本国内に限らず、海外市場も含むことができ、消費者向けでも企業向け取引のいずれも対象となりえます。

小規模事業者持続化補助金の公募要領に事例として下記が記載されていますので、参考にしましょう。

販路拡大の取り組み事例

・新商品を陳列するための棚の購入

・新たな販促用チラシの作成、送付

・新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)

・新たな販促品の調達、配布

・ネット販売システムの構築

・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加

・新商品の開発

・新商品の開発にあたって必要な図書の購入

・新たな販促用チラシのポスティング

・国内外での商品PRイベントの実施

・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言

・新商品開発にともなう成分分析の依頼

・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

業務効率化(生産性向上)のための取組であること

業務効率化の取組には、「サービス提供等プロセスの改善」および「IT利活用」があります。例えば、インターネット予約システムを構築してスムーズかつ高速で予約を受けられるようにしたり、食洗器を導入し、皿洗いにかかる時間を短縮して回転効率を上げるといった施策が該当します。

ただし、補助事業を記載する書類で販路拡大の取組は必須でありながら、業務効率化の取組は任意となっているように、業務効率化はあくまで補助的な要素です。販路開拓の取組を併用して行うことが必須となっていて、業務効率化の取組のみでは申請することができませんので、注意が必要です。

業務効率化の取り組み事例

「サービス提供等プロセスの改善」の取組事例イメージ

・業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減

・従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装

「IT利活用」の取組事例イメージ

・新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する

・新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する

・新たに POS レジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する

・新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する

商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること

小規模事業者持続化補助金の申請にあたって、商工会議所の確認が必要です。商工会議所に加入する必要はありませんが、様式4の書類作成を依頼するなど、商工会議所と連携をすることが必須となっています。

商工会議所に未加入でも小規模事業者持続化補助金は受けられる?

補助対象事業とならない事業

補助対象とならない事業は以下の通りです。

概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業

補助事業が完了してから1年間で成果が出る予測が立たなければ、補助対象事業とはなりません。

公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがある事業・公的な支援を行うことが適当でないと認められる事業

射幸心をそそる恐れがあったり、公序良俗に反する恐れがあるもの、公的支援を行うべきでないと認められる事業も補助対象事業とはなりません。公募要領には、例としてマージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等が挙げられています。

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費

補助対象経費の要件

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる経費は、以下の3つの要件を満たさなければなりません。

  1. 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  2. 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
  3. 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費

補助対象経費区分<一般型>

一般型の補助対象は下記の経費であり、下記以外の経費は補助対象外です。

①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費

機械装置等費

補助事業の実施に当たって必要な機械装置などの購入にあたる経費です。中古品については、一定の条件(複数見積りが必要など)のもと、経費として認められる場合があります。

また、サブスクライブ(継続購入)形式のソフトウェアを購入することもできますが、その場合は補助事業期間に利用した分のみを計算して補助対象とします。購入した機械装置には通常取得日から5年間の処分制限期間が設定され、その期間中は日本商工会議所に承認を申請して、処分を承認してもらわなければ処分できません。

この承認の際は補助金の一部を返還する必要がある場合があり、また、承認を得ずに処分を行ってしまうと交付規約違反として補助金交付の取り消しや返還命令の対象になってしまう可能性があります。

広報費

パンフレット・ポスター・チラシなどの作成費、ホームページなどの広報媒体のための経費です。商品、サービスの広報目的のために使用するパンフレット・ポスター・チラシや自社紹介やコンテンツマーケティングのためのホームページといった広報媒体活用のための費用が対象となります。

また、宣伝広告を掲載した試供品などの販促品も広報費として計算できます。

展示会等出展費

商品を展示会などに出店したり、商談会に参加して商品を紹介したりするために必要な経費です。商品の運搬費用や海外向けに通訳、翻訳を行う費用も対象となります。

出典費用は、請求書の発行日が補助対象を決めるボーダーとなっていて、出展申し込みは交付決定前でも問題ありませんが、交付決定日より前に請求書が発行された場合は対象外になってしまいます。あくまで販促を目的にしている必要があるので、商品紹介などを行わない、出店して販売するだけのイベントは対象外です。

旅費

事業のために必要な情報収集や各種調査に赴くための旅費です。公共交通機関を利用する場合のみ対象経費となり、タクシー代やガソリン代、高速道路通行料金は対象経費となりません。

また、宿泊費も対象経費ではありますが、朝食や温泉入浴といったサービスは含まないので、そういったサービスがある場合は、サービス分を除いた部分のみを対象経費として扱います。

開発費

新商品やパッケージの試作開発を行う費用です。新商品の原材料費や設計、デザイン費用、製造、加工のための経費がこれにあたります。 

あくまで試作に必要なもので、販売を前提にした商品の原材料費や設計、デザイン費用、製造、加工のための経費上記費用は含まれません。

資料購入費

資料購入費は、新商品開発や販路拡大のための知識を得ることができる資料を購入するための経費です。単価が消費税込み10万円未満のものに限るので、消費税抜きで10万円のものだと上限をオーバーしてしまうため、申請対象にできません。

また、同じものを申請することはできず、1種類の本につき1分しか申請することができません。中古書籍の場合、実績報告時に2社以上の中古書店から相見積をとる必要があります。この見積がないと補助対象とならないので、こちらも注意が必要です。

雑役務費

新事業のために臨時に雇ったアルバイトや派遣労働者の雇い入れや交通費支給にかかる経費です。正規に新たな従業員を雇った場合や、通常業務を行うアルバイト、派遣労働者の場合も補助対象になりません。実績報告時に作業日報や労働契約書を提出する必要があるので、忘れずに記録を取っておきましょう。

借料

事業拡大のための機器や設備等のリース、レンタルにかかる経費です。借用のための見積書や契約書の確認が必須なので、これらの書類が用意できない場合は対象になりません。

存外に範囲は広く、機械設備や危機はもちろん、新たな販路開拓のための事務所などを貸借する場合の賃料や、商品やサービスのPRのためにイベントを開く場合のイベント会場の借料もこの項目に含まれます。

専門家謝金

専門家に指導や助言を乞う場合にかかる謝礼です。あくまで直接助言を受ける場合に限り、セミナー研修などの場合は対象外となっています。

謝礼というと金額の決まっていなさそうなイメージを受けますが、単価の根拠が明確で、社会通念上妥当な金額である必要があります。指導・助言にかかる謝礼のみが対象で、専門家への業務委託などは「委託費」に該当するので、専門家謝金には当てはまらない点には注意しましょう。 

また、マーケティングや広告宣伝などについて専門家に助言を受ける場合、これらの助言を受けることも販路開拓の取組の1つとみなされるので、販路開拓事業の内容として補助事業計画書に書き記す必要があります。

専門家旅費

指導や助言を依頼した専門家の旅費です。専門家が対象である以外は「②旅費」と同じなので、注意点もそちらを確認しましょう。

設備処分費

作業スペースを確保するなどの理由で死蔵している設備機器を廃棄処分する場合に必要な経費です。廃棄処分の他、レンタルやリースしていた機器を返却する場合の原状回復、修理費用も含まれます。交付決定後の計画変更による追加が不可能、申請額が補助対象経費全体の1/2までしか申請できないなど、制約が多い経費区分です。

 特に追加申請できない点には注意して、申請を計画しておきましょう。

委託費

第三者への業務委託を行う場合の経費です。上記①~⑪に該当する経費がある場合は、そちらの区分が優先されます。

例えば、事業への指導、助言は指導業務を委託しているといえますが、指導・助言を行う専門家への謝礼は「専門家謝金」に該当します。また、専門家に対しその他の業務委託を行う場合は「委託費」に該当します。

外注費

第三者に外注を行う場合の経費です。上記①~⑫の経費区分すべての範囲外であることも条件です。店舗の改装やバリアフリー化工事、ガスや水道など製造能力強化のための工事、移動販売用の販売車の改造などが対象となります。

補助対象経費区分<低感染リスク型ビジネス枠>

低感染リスク型ビジネス枠の補助対象は下記の経費です。

①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④開発費、⑤資料購入費、⑥雑役務費、⑦借料、⑧専門家謝金、⑨設備処分費、⑩委託費、⑪外注費、⑫感染防止対策費

一般型との違いとして、④旅費と⑩専門家旅費がなくなりナンバリングが変わり、⑫感染防止対策費が追加されています。

また③展示会等出展費がオンラインによる展示会等に限るなど、接触機会を減らす方向で努力が必要な内容となっています。

注意点として、⑫感染防止対策費は単体で申し込むことはできず、あくまで補助的な経費項目となっています。

経費区分については下記記事で解説していますので、ご確認ください。

小規模事業者持続化補助金の経費区分の考え方について解説

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金の補助対象者や対象経費は、公募要領で細かく要件が設定されています。要件等の内容は変更される場合がありますので、申請する際は自身が対象であるかを含めてしっかり確認しましょう。

小規模事業者持続化補助金に関する疑問や相談

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