小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説
2024/04/10
2023/5/25
インボイス制度に対応するため、免税事業者から適格請求書(インボイス)発行事業者へ転換する人はいますよね。その際、政府が用意した支援措置の1つである小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を知りたい人もいるでしょう。
当記事では、小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説します。インボイス特例が適用される要件や小規模事業者持続化補助金の概要も紹介するので、インボイス対応に補助金を役立てたい個人事業主や小規模事業者の人は参考にしてみてください。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領をもとに作成しています。
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠はインボイス特例へ改定された
小規模事業者持続化補助金の申請枠の1つであった「インボイス枠」は、第11回公募を最後に終了しました。第12回公募要領からは「インボイス特例」が設定され、要件を満たす申請者は、補助金額に50万円が上乗せされる支援措置を受けられるようになりました。
【前回までの申請枠と補助上限額と今回からの申請枠と補助上限額】
たとえば、通常枠でインボイス特例を利用して申請する場合、通常枠の50万円にインボイス特例の50万円が上乗せされて、上限額が100万円になります。
小規模事業者持続化補助金では、第12回公募要領からインボイス特例が設定されました。要件を満たしている場合は、通常枠で100万円、特別枠で250万円の補助金額が受けられます。インボイス特例の申請を検討している人は、適用要件を確認してみましょう。
インボイス特例の適用要件は適格請求書発行事業者であること
インボイス特例の適用要件の1つは、「免税事業者」であった事業者が「適格請求書(インボイス)発行事業者」への登録を行うことです。そのため、インボイス特例を受けるには、申請前に税務署で適格請求書発行事業者の登録をしてもらう必要があります。
① 2021 年 9 月 30 日から 2023 年 9 月 30 日の属する課税期間で一度でも免税事業者であったまたは免税事業者であることが見込まれる事業者 及び 2023 年 10 月 1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者であること ② 小規模事業者持続化補助金<一般型>の「インボイス枠」で採択を受けて補助事業を実施していないこと ③ 通常枠や特別枠の既定している要件を満たしていること |
参考:小規模事業者持続化補助金第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
たとえば、期間内で一度でも「年間売上高が1000万円以下で消費税の納税を免除されていた事業者」は、免税事業者に相当します。免税事業者が適格請求書発行事業者として税務署に登録申請し、登録番号を取得した場合はインボイス特例の適用要件を満たしています。
インボイス特例の適用要件は、「免税事業者から適格請求書発行事業者へ登録したことの確認ができた事業者であること」です。補助金の申請枠ごとの要件を満たすことや、過去にインボイス枠で採択を受けていないことも必須であるため、留意しておきましょう。
インボイス制度の詳細を確認したい人は、国税庁特設サイトを参考にしてみてください。
事業内容や事業形態から小規模事業者持続化補助金のインボイス特例の要件を満たすかを無料で診断できます。申請する補助上限額を引き上げて申請したい人はお試しください。
無料診断5種類の申請枠の中から1つの枠を選び申請する
小規模事業者持続化補助金の申請枠には、通常枠と4種類の特別枠を合わせて5種類の申請枠があります。申請者は、要件を満たせる枠から1つ選んで申請することになります。
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申請枠 |
申請要件 |
通常枠 |
通常枠 |
小規模事業者自らが作成した経営計画に基づき、商工会や商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓などの取り組みを支援 |
特別枠 |
賃金引上げ枠 |
販路開拓の取り組みに加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者 ※赤字事業者は補助率3/4に引き上げ加点を実施 |
卒業枠 |
販路開拓の取り組みに加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する小規模事業者 |
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後継者支援枠 |
販路開拓の取り組みに加え、アトツギ甲子園においてファイナリストに選ばれた小規模事業者 |
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創業枠 |
産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受け、販路開拓に取り組む創業3年以内の小規模事業者 |
参考:小規模事業者持続化補助金第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
たとえば、賃金引上げ枠の場合は、通常枠の要件に加えて事業場内最低賃金が地域の最低賃金より+30円以上である事業者が申請できます。また、創業枠へ申請する場合は「特定創業支援等事業」の受講を終了し、証明書を取得した創業3年以内の事業者が対象です。
小規模事業者持続化補助金を申請する際、申請者は5つの申請枠の中から要件を満たす1つの枠を選び申請します。各申請枠の詳しい要件は、公募要領で確認し、追加の提出書類や注意点などがある場合は事前に把握しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金の概要を把握してから申請する
小規模事業者持続化補助金を申請する前に、補助金の概要を把握しておきましょう。補助金の目的や要件を十分に理解せずに申請すると、補助金の対象外となることや、不採択に繋がる可能性があるためです。
項目 |
概要 |
目的 |
販路開拓・生産性向上 |
申請方法 |
管轄の商工会または商工会議所を通して申請を進める 電子申請で必要書類を提出(郵送での書類提出は減点対象) |
対象者 |
小規模事業者(常時使用する従業員の数が5人~20人以下) |
申請枠 |
通常枠・賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠 |
補助率 |
2/3(賃金引き上げ枠の赤字事業者は3/4) |
補助金額 |
50万円~200万円※インボイス特例適用の場合は50万円の上乗せ |
対象経費 |
①機材装置費 ②広報費 ③ウェブサイト関連費 ④展示会等出店費 ⑤旅費 ⑥開発費 ⑦資料購入費 ⑧借料 ⑨設備処分費 ⑩委託・外注費 |
参考:小規模事業者持続化補助金第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、事業者の販路開拓や生産性向上を目的とする補助金です。申請の際は、10種類の補助対象経費を活用し、販路開拓の目的に沿った補助事業計画を立て、根拠と説得力のある「経営計画書」や「補助事業計画書」などの必要書類を作成します。
また、作成した「経営計画書」や「補助事業計画書」を管轄の商工会や商工会議所に提出し、「事業支援計画書」の発行を依頼します。「事業支援計画書」も補助金の申請書類の1つであるため、申請者は商工会の支援を受けながら手続きを進めることになります。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓につながる事業を支援する目的の補助金です。申請する際は、補助金の概要を把握し、自社の補助事業に合った申請枠や対象経費を利用した補助事業計画をたて、電子申請しましょう。
小規模事業者持続化補助金の詳しい概要については、「小規模事業者持続化補助金とは?対象者や活用例をわかりやすく解説」も参考にしてみてください。
申請する際は小規模事業者持続化補助金の公募スケジュールを確認しておく
小規模事業者持続化補助金を申請する際は、各公募回のスケジュールを確認しておきましょう。公募回の締切日までにすべての提出書類を準備しておく必要があるためです。あわせて、取得に時間がかかるものは先に手配しておけるよう、あらかじめ確認しておきましょう。
提出書類の1つである「事業支援計画書」(様式4)は、商工会や商工会議所に作成を依頼する書類です。事業支援計画書は、申請から発行までに約1週間かかります。そのため、事業支援計画書の発行受付締切は、公募締切日の1週間前の日にちが設定されています。
また、補助金の電子申請を行う際に必要なGビズIDプライムアカウントを取得する際も、申請から取得までに約2週間かかります。そのため、GビズIDプライムアカウントの申請は早めに組み込んでおくと良いでしょう。
小規模事業者事業者補助金を申請する際は、公募回の締切日までに申請書類を提出する必要があります。特に、商工会議所に発行を依頼する「事業支援計画書」や、電子申請に必要な「GビズIDプライムアカウント」は早めに取り寄せておきましょう。
なお、執筆時点の2024年4月2日では第15回公募が終了しており、次回は第16回公募が予定されています。最新の公募スケジュールは、公式サイトで確認できます。
この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金のインボイス特例は、2023年10月から施行されるインボイス制度における政府が用意した支援措置の1つです。インボイス特例では、適用要件が満たされている事業者の補助金額に50万円が上乗せされます。
インボイス特例の適用要件は、2021年9月30日から2023年9月30日の期間中に「免税事業者から適格請求書発行事業者へ登録したことの確認ができた事業者であること」です。小規模事業者持続化補助金の申請枠ごとの要件を満たしていない場合は適用されません。
2024年4月現在の執筆時点では、第15回の公募が終了しています。第16回以降のスケジュールに関しては、小規模事業者持続化補助金の公式サイトにて情報が更新されるため、申請する際は最新の情報を確認しておきましょう。