補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金は整骨院も利用できる?事例も交えて解説

2024/04/08

2023/10/6

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

整骨院を経営している事業者の中には、新規事業として「今まで未開拓であった新たな診療方法の導入」を検討している人もいますよね。その際、必要な機器の導入費用や新規顧客を獲得するための広告費用に利用できる補助金を調べている人もいるのではないでしょうか。

当記事では、小規模事業者持続化補助金が整骨院の経費として利用できるかどうかを解説します。補助金の対象となるための条件や採択事例も解説するので、小規模事業者持続化補助金を調べている整骨院の事業者は参考にしてみてください。

なお、当記事は、小規模事業者持続化補助金<一般型>15公募要領を参考に作成しています。

整骨院の自費治療に関する販路開拓に利用できる

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務効率化(生産性向上)の目的で行う事業を支援する補助金です。小規模事業者持続化補助金を整骨院が利用する場合は、自費治療に関わる販路開拓にのみ利用することができます。

小規模事業者持続化補助金は、国の補助で成り立つ補助金です。保険診療を行う整骨院では「保険診療報酬」において、すでに国の補助を受けています。そのため、国の補助金を重複して受け取ることがないよう、保険診療に関する経費は補助対象外となります。

【補助対象となる事業の要件(一部抜粋)】

3)以下に該当する事業を行うものではないこと

同一内容の事業について、国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を 含む)する他の制度(補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と同一又は類似内容の事業

≪例≫

  • デイサービス・介護タクシー等の居宅介護サービス事業者で介護報酬が適用されるサービス
  • 薬局・整骨院等の保険診療報酬が適用されるサービス

引用元:小規模事業者持続化補助金第15公募要領

たとえば、新規で立ち上げる美容部門の自費治療で施術のために必要な機器を導入し、新規やリピート顧客の獲得を目指す「販路開拓」は補助対象です。しかし、同じ「販路開拓」の目的であっても、保険治療の施術に使うための機器を導入する経費は対象外になります。

特に、施術に使用するベッドのような、保険適用と適用外の施術で区分けの難しいものに関しては、補助が受けられないと認識しておきましょう。補助金に申請する経費は、あくまでも自費治療のみで行う事業の経費を検討しなければなりません。

なお、一度採択された場合でも、申請された経費が保険診療に関わっていることが判明した場合は補助対象外となり、補助金の返還を求められます。保険診療を行っている整骨院は、申請する経費の中に保険治療と混同する部分が無いかを必ず確認しましょう。

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整骨院の販路開拓に活用できる補助対象経費は10種類

小規模事業者持続化補助金には、事業の販路開拓や生産性向上に活用できる補助対象経費が10種類用意されています。経費項目をそれぞれ確認しながら、自社の事業計画に活用できる経費を考えてみましょう。

【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】

補助対象経費科目

活用事例

①機械装置等費

補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費

※新たに導入する自費治療に必要となる機器やベッドなどにも利用可

②広報費

新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置などの経費

※ポスティング用広告チラシの作成や、看板製作・設置費用などにも利用可

③ウェブサイト関連費

ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用に係る経費

※予約システムも兼ねた自社サイト制作や、ターゲットを絞ったリスティング広告にも利用可

④展示会等出展費

展示会・商談会の出展料に係る経費 

⑤旅費

販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行うための旅費

⑥開発費

新商品の試作品開発に伴う経費

⑦資料購入費

補助事業に関連する資料・図書にかかる経費

⑧借料

機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)

⑨設備処分費

新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る経費

※院内にキッズスペースを設置するため、一部の棚や古いベンチなどの撤去費用にも利用可

⑩委託・外注費

店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する経費(契約必須)

※自費治療と保険治療の施術スペースを仕切るための改装費にも利用可

※小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、新たに始める施術や治療のために超音波やラジオ波の機器を導入するための経費には「機械装置等費」として申請できます。また、予約システムも兼ねたホームページ制作のための経費には「ウェブサイト関連費」として申請できます。

小規模事業者持続化補助金に申請する際は「経営計画書」や「補助事業計画書」を提出します。その際、申請者は「どのような販路開拓」を行うために「どの補助対象経費」を「いくら申請する」という内容の事業計画を考えなければなりません。

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費は全部で10種類設けられており、申請する際には対象経費を活用した補助事業計画が必要です。また、補助事業計画の内容や方向性、利用する対象経費に悩む場合は、実際に採択を受けた事業者の事例を参考にしてみましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金に申請する際は、ウェブサイト関連費のみで申請することができません。ウェブサイト関連費を申請する場合は、必ず他の経費と組み合わせた内容で申請しなければならないことを留意しておきましょう。

整骨院や同業種の採択事例を参考にする

小規模事業者持続化補助金の公式サイト「採択者一覧」では、採択された(補助金審査に通過した)事業者の事業者名や補助事業名を確認することができます。

たとえば「最新機器導入とHP改修による壮年層客の獲得」や「外観更新とSNS活用で地域内の販路開拓」など、採択された整骨院の情報が多数見つかります。

また、経済産業省のミラサポplusでは、小規模事業者持続化補助金の採択事例が「採択者の感想」や「関連画像」なども添えて紹介されています。整骨院や鍼灸治療院などの業種に絞った検索も可能です。

【整骨院の採択事例】

補助事業の内容

1040代のスポーツ競技者や産後の体型を気にする客層を対象とした予防トレーニングサービス強化のため、器具を7種類導入

・周知のため近隣18,000世帯に配布される情報誌への掲載

補助事業の効果

・補助事業開始後6ケ月で新規客40名増、のべ189名の利用増

・部活動に励む子供連れの来院など40代以下の客層の売上が全体の25%を占めるようになる

・顧客の高齢化による将来的な売り上げ減少の回避や競合他社との差別化、認知度アップに繋がった

※経済産業省「ミラサポplus」を参考に株式会社SoLabo作成

小規模事業者持続化補助金に申請する際は、実際に採択された事業者の事業内容や採択事例などに目を通してみましょう。どんな事業が採択されているのかを知ることで、ヒントやひらめきを得ることもあるため、自分の目指す販路開拓の参考にしてみましょう。

整骨院の販路開拓に申請できる補助金額は最高で250万円

小規模事業者持続化補助金で販路開拓や業務効率化のために利用できる補助上限額は、通常枠の場合は100万円、特別枠の場合は250万円です。申請枠ごとに、補助金額を計算する際の「補助率」や「補助上限額」が定められています

【小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額】

一般型

通常枠

特別枠

申請枠

通常枠

賃金引上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3

2/3

赤字事業者は3/4

2/3

補助上限額

50万円

200万円

 

インボイス特例が適用された場合

100万円

250万円

※小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、インボイス特例対象外の事業者が、卒業枠で機材装置等費と広報費を合わせて330万円の申請をした場合、補助率2/3を掛けて計算すると約218万円です。しかし、補助上限額は200万円のため、実際に受けられる補助金額は200万円となります。

小規模事業者持続化補助金の補助上限額は申請枠によって異なり、通常枠は50万円、特別枠は200万円です。また、「免税事業者」が「適格請求書発行事業者」へ転換することでインボイス特例が適用された場合には、さらに50万円を上乗せした金額が上限額となります。

なお、補助対象経費の中の「ウェブサイト関連費」を活用する場合は、補助金額の計算方法が一部異なります。ウェブサイト関連費の上限額は算出された補助金額の全体の1/4までの金額と定められているため、計算の工程が増えることになります。

ウェブサイト関連費を含めた補助金額の計算方法は「いくら受け取れる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説」を参考にしてみてください。

常時使用する従業員数が5人以下の整骨院が対象

整骨院が小規模事業者持続化補助金に申請する場合の条件として、常時使用する従業員の数が5人以下である必要があります。その際、個人事業主本人や親族従業員、社会保険に加入していないパートタイム労働者などは常時使用する従業員に含みません。

たとえば、事業を営む柔道整復師1名と正職員の整体師3名、受付事務のパートタイム労働者3名の場合、常時使用する従業員の数は3名なので補助金の対象です。

また、小規模事業者持続化補助金に申請する人は、すでに税務署に開業届を提出し、事業を開始している必要があります。そのため、これから開業予定の人が開業資金として補助金に申請することはできません

小規模事業者持続化補助金の対象となるための条件には、従業員数のほかにも所得や過去の補助金利用状況などに関する内容も定められています。補助金に申請する際には、公募要領の「補助対象者」に関する記載事項を確認しましょう。

申請者の要件に関する情報は「小規模事業者持続化補助金の対象になる事業者とは?」も参考にしてみてください。

申請は商工会または商工会議所の支援を受けながら進める

小規模事業者持続化補助金に申請する際は、地域の商工会や商工会議所の支援を受けながら手続きを進めましょう。小規模事業者持続化補助金の申請書類は、商工会または商工会議所に確認や発行を依頼する必要があるためです。

【小規模事業者持続化補助金の申請手順の一例】

①     電子申請の際に必要なGビズIDプライムアカウントの申請・取得

②     「経営計画書兼補助事業計画書」と「補助事業計画書」を作成

③     作成した書類の写しを商工会または商工会議所に提出し「事業支援計画書」の発行を依頼する

④     その他の書類(持続化補助金事業に係る申請書、補助金交付申請書、宣誓・同意書、その他申請枠や申請条件によって必要な書類)を記入

⑤     後日、作成の終わった事業支援計画書を受け取り、②④の書類と共に提出する

たとえば、小規模事業者持続化補助金の必要書類の1つに「事業支援計画書」があります。事業支援計画書は、申請者が作成した「経営計画書」や「補助事業計画書」の写しを商工会か商工会議所に提出した際に作成を依頼するという流れです。

経営計画書や補助事業計画書は、補助金採択審査の観点となる書類であり、明確で説得力のある内容を作成する必要があります。申請者が書類の作成に慣れていない場合は、地域の商工会や商工会議所の担当者に相談することも可能です。

また、GビズIDプライムアカウントは申請してから発行までに約2週間かかり、事業支援計画書は依頼から受け取りまでに約1週間かかります。申請から受け取りまでに時間がかかるものから順に手配しておき、申請締切りまでに余裕を持って準備を進めましょう。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務効率化(生産性向上)の目的に支援される補助金です。整骨院が小規模事業者持続化補助金を利用する場合、自費治療に関わる補助事業にのみ利用することができます。

小規模事業者持続化補助金は、国の補助で成り立つ補助金です。保険診療を行う整骨院では「保険診療報酬」においてすでに国からの補助を受けています。そのため、重複して補助を受け取ることがないよう、保険診療に関する経費は補助対象外となります。

小規模事業者持続化補助金には、事業者のさまざまな販路開拓の取組みに対応するため、10種類の補助対象経費が用意されています。補助上限額は通常枠で100万円、特別枠では250万円です。申請する際は、地域の商工会や商工会議所の支援を受けながら必要書類を揃えましょう。

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