小規模事業者持続化補助金の申請ポイント8選を個人事業主に向けて解説
2024/03/29
2023/12/1
個人事業主やフリーランスとして活動する人の中には、新たな取組みに向けた資金として小規模事業者持続化補助金を検討する人もいますよね。しかし、補助金の申請には「要件」や「提出書類」などのルールがわかりにくいと悩む人もいるのではないでしょうか。
当記事では、個人事業主が小規模事業者持続化補助金に申請する際におさえておきたいポイントを8つ選んで解説していきます。ポイントにあわせて注意点も解説するので、小規模事業者持続化補助金の個人事業主に関する情報を調べている人は参考にしてみてください。
なお、当記事は2024年度の小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を元に作成しています。
Contents
1. 小規模事業者持続化補助金は個人事業主の販路開拓に利用できる
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主の「新たに始めてみたい事業」や「改善したい業務への対策」などに利用できる補助金です。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上(業務効率化)を目指す取組みに対し支援される制度であるためです。
たとえば、店舗営業のみを行う飲食店が、ネット販売に向けた商品を製作するための機械を導入することは「販路開拓」や「生産性向上」に繋がります。また、会計ソフトやPOSレジを導入し、人手や手間のかかる作業を効率化させることは「業務効率化」に繋がります。
小規模事業者持続化補助金は、事業者の販路開拓や生産性向上に繋がる取組みへの資金として利用できます。その際、小規模事業者持続化補助金は、事業者が目指す取組みに向けて「どのような経費に利用できるのか」を具体的に確認してみましょう。
2. 補助事業には10種類の対象経費を活用できる
小規模事業者持続化補助金には、個人事業主の販路開拓に向けた取組み(補助事業)に使える経費(=補助対象経費)が全部で10種類設定されています。補助金に申請する人は、用意されている経費項目の中から必要な経費を選び「補助事業計画」を立てることになります。
補助対象経費科目 |
活用事例 |
①機械装置等費 |
補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費 ※店舗のショーケースや業務用オーブンなどにも利用可 |
②広報費 |
新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置 などの経費 ※ポスティング用広告チラシの作成や、LED内照の 看板製作・設置費用などにも利用可 |
③ウェブサイト関連費 |
ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、 運用に係る経費 ※集客から受注に繋がる自社サイト制作や、ターゲットを 絞ったリスティング広告にも利用可 |
④展示会等出展費 |
展示会・商談会の出展料に係る経費 |
⑤旅費 |
販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行う ための旅費 |
⑥開発費 |
新商品の試作品開発に伴う経費 |
⑦資料購入費 |
補助事業に関連する資料・図書にかかる経費 |
⑧借料 |
機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わない もの) |
⑨設備処分費 |
新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る経費 ※店舗内にイートインスペースを設置するため、一部の 陳列棚や古い機材などの撤去費用にも利用可 |
⑩委託・外注費 |
店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する 経費(契約必須) |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば「機械装置等費」は、店舗で使用するショーケースや業務用機器に利用できるほか、販路開拓のための業務用ソフトウェアにも利用できる経費です。販促活動の実施に役立てる顧客管理ソフトや設計用のCADソフトなども対象です。
また、広報費はチラシや看板作製以外にも、商品やサービスを宣伝するための試供品や販促品の制作にも利用できます。新商品を紹介する広告チラシに自店のURLやQRコードを掲載し、オンラインでの商品購入や予約システムに繋げるような活用方法も考えられます。
小規模事業者持続化補助金には個人事業主が補助事業を行う際に使用できる経費が全部で10種類あります。対象経費は、事業計画によってさまざまな組み合わせ方や活用方法が考えられるため、計画している取組みに合った経費の活用を検討しましょう。
対象にならない経費を把握しておく
小規模事業者持続化補助金には「対象外の経費」がいくつか設定されています。対象外の経費を他の経費とあわせて申請した場合、認められない経費分の金額は支払われないため、補助対象とならない経費を把握しておきましょう。
機械装置等費 |
自動車、自転車、パソコン、事務用プリンター、複合機、テレビ、すでに 導入しているソフトウェアの更新料など |
広報費 |
商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告(単なる会社の営業活動に 活用されるものとして対象外) |
WEBサイト関連費 |
ウェブサイトに関連するコンサル費用、補助事業期間内に公開に至らなかった 動画・ホームページなど |
旅費 |
パスポート取得料、宿泊プランにおける温泉や朝食などの宿泊以外の 経費相当分 |
委託・外注費 |
補助事業に結びつかない工事(単なる店舗移転や住居兼店舗の改装における 住宅部分の経費相当分)、有償レンタル・有償貸与を目的としたスペースの改装に係る経費など |
※小規模事業者持続化補助金第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば、PC・タブレットなどの端末や車両など、補助事業と関係のないところでも利用できる「汎用性の高い」ものの経費は対象外です。また、補助金申請に関するアドバイスを受ける際のコンサル費も対象外です。(インボイス対応に関するコンサル費は対象)
小規模事業者持続化補助金の公募要領(p.20~)には、補助対象外となる経費が記載されています。なお、公募要領を読んでみても申請したい経費が対象になるかどうかの判断が難しい場合は、地域の商工会や商工会議所または補助金事務局に確認しましょう。
当サイトを運営する株式会社SoLaboは小規模事業者持続化補助金の申請サポートを行っています。小規模事業者持続化補助金に採択されるかの診断もできますので、申請したい経費が補助対象になるのか気になる人は無料診断からお問い合わせください。
無料診断 電話で相談0120-188-1173.副業や開業したばかりの個人事業主も対象
小規模事業者持続化補助金は、副業フリーランスとして事業を行う個人事業主も対象です。また、開業したばかりの個人事業主でも、税務署に「開業届」を提出し、事業を開始している人であれば申請可能です。
ただし、小規模事業者持続化補助金に申請する際には「対象者の要件」を満たしている必要があります。開業している個人事業主であることに加え、従業員数や所得に関する要件が定められているため、満たす必要のある要件を確認しましょう。
対象者の要件 |
概要 |
① 従業員数に関する要件 |
下記に該当する法人、個人事業主、特定非営利活動法人 であること ・商業、サービス業(宿泊業・娯楽業除く)の場合 常時使用する従業員数5人以下 ・宿泊業、娯楽業、製造業その他の場合 常時使用する従業員数20人以下 |
② 所得に関する要件 |
直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が 15億円を超えていないこと |
③ 商工会に関する要件 |
商工会または商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること ※商工会議所の会員、非会員を問わず応募可能 |
④ 2回目以降の申請に関する要件 |
以前に小規模事業者持続化補助金の採択を受けてから11ヶ月 以上経過していること |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブックを参考に株式会社SoLaboが作成
※個人事業主が対象になる用件を抜粋
従業員数に関する要件では、業種ごとに定められている「常時使用する従業員数」で事業を営んでいる必要があります。
たとえば、調理した料理を提供する飲食店を営む場合は「商業・サービス業」に該当し、常時使用する従業員数は5人以下であれば対象です。また、調理した総菜や弁当の販売が主な事業の場合は「製造業」に該当し、従業員が20人以下であれば対象です。
また、小規模事業者持続化補助金は一度採択された事業者であっても、新たな事業計画の準備があれば2回目以降の申請も可能です。その際の要件として、前回の採択を受けてから11ヶ月以上経過している必要があります。
個人事業主が満たす必要のある求められる要件に目を通し、自身が対象者であるかどうかを確認しましょう。
なお、業種の判定や常時使用する従業員の考え方に迷う場合は、小規模事業者持続化補助金の「参考資料」p.2を確認するか、地域の商工会や商工会議所に問い合わせてみましょう。
対象にならない事業を営む個人事業主は申請できない
対象者の要件を満たす個人事業主であっても「対象外の事業」を営んでいる場合は小規模事業者持続化補助金に申請できません。小規模事業者持続化補助金には「対象にならない事業」が定められているためです。
○医師、歯科医師、助産師 ○薬局・整骨院等(保険診療報酬が適用される) ○デイサービス・介護タクシー等(居宅介護報酬が適用される) ○麻雀店、パチンコ店、ゲームセンター、性風俗関連特殊営業など ○補助事業終了後1年以内に売上に繋がることが見込まれない事業 ○申請時点で開業していない創業予定者 ○系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様) ○協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く) ○一般社団法人、公益社団法人○一般財団法人、公益財団法人 ○医療法人○宗教法人○学校法人○農事組合法人○社会福祉法人 |
※小規模事業者持続化補助金を参考に株式会第15回公募要領社SoLaboが作成
たとえば、整骨院や薬局を経営する事業者は、国が助成する公的医療保険からの診療報酬を受けています。そのため、国の補助金制度を重複して受けることはできません。ただし、自費治療や保険対象外の事業に関しては対象になるため、補助金の申請が可能です。
また、農協を通じて農産物を出荷する「系統出荷」による収入のみである個人農業(林業、水産業)者も補助金の対象外です。しかし、系統出荷以外でも道の駅や小売店などに農作物を卸している場合は、補助金に申請可能です。
なお、申請時点で開業していない創業予定者が、開業資金として小規模事業者持続化補助金を利用することは不可能です。そのため、創業予定の場合は必ず開業して事業を開始してから補助金申請の手続きをしましょう。
4.個人事業主が要件を満たす枠を1つ選ぶ
小規模事業者持続化補助金を申請する際は、5つある申請枠の中から個人事業主が要件を満たす枠を1つ選んで申請しましょう。申請枠にはそれぞれに要件が設けられており、個人事業主でも申請しやすい要件や申請者の環境や状況よっては満たせない要件が含まれる枠もあるためです。
類型 |
申請要件 |
|
通常枠 |
全対象者に求められる要件(従業員数、所得、商工会に関する要件) を満たす事業者であること |
|
特別枠 |
賃金引上げ枠、 賃金引上げ枠(赤字) |
・補助事業の終了時点において事業場内最低賃金が申請時の地域別 最低賃金より+30円以上であること 赤字事業者の場合(赤字事業者は補助率や加点の優遇あり) ・直近1期又は1年間の課税所得金額がゼロ以下の事業者であること |
卒業枠 |
補助事業終了時において常時使用する従業員数が小規模事業者の 従業員数を超えていること |
|
後継者支援枠 |
申請時において「アトツギ甲子園」のファイナリストであること |
|
創業枠 |
1. 産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または 「認定連携創業支援等事業者」が実施する「特定創業支援等事業」 の支援を公募締切から起算して3か年の間に受けていること 2. 過去3か年の間に開業した事業者であること |
※小規模事業者持続化補助金第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成
※特別枠に申請する人は通常枠の要件も満たしていること
たとえば、創業枠へ申請する場合は、認定市区町村が実施する「特定創業支援等事業」の創業者に向けた講習やセミナーを受講した証明書が必要です。また、創業3年以内の事業者が対象のため、創業して間もない事業者には適した申請しやすい枠です。
一方で、後継者支援枠の要件であるアトツギ甲子園のファイナリストになることは容易ではありません。また、従業員を雇っていない事業者が賃金引上げ枠や卒業枠を申請することはできません。
小規模事業者持続化補助金に申請する個人事業主が通常枠以外の特別枠に申請する場合は、自身が申請しやすく要件を満たせる枠を1つ選びましょう。なお、特別枠には通常枠よりも高い補助金額が設定されているため、要件を満たす事業者は特別枠の申請を検討しましょう。
インボイス発行事業者の個人事業主は補助金額が上乗せされる
インボイス(適格請求書)発行事業者の登録を受けた事業者は、小規模事業者持続化補助金の補助上限額が一律で50万円上乗せされます。対象は、2021年9月30日から2023年9月30日までの期間に免税事業者であった事業者または2023年10月1日以降の創業者です。
一般型 |
通常枠 |
特別枠 |
|
申請枠 |
通常枠 |
賃金引上げ枠 |
卒業枠 後継者支援枠 創業枠 |
補助率 |
2/3 |
2/3 赤字事業者は3/4 |
2/3 |
補助上限額 |
50万円 |
200万円 |
|
インボイス特例が 適用された場合 |
100万円 |
250万円 |
※小規模事業者持続化補助金第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば、2022年の時点では免税事業者であった個人事業主が、2023年に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合はインボイス特例が適用されます。その際、各枠の補助金額に50万円が上乗せされるため、通常枠では100万円、特別枠では250万円の補助金額が受けられます。
補助金額の差を想定してみると、通常枠で150万円の経費を申請する際の補助金額は、申請額150万円×2/3(通常枠の補助率)=100万円と算出されます。しかし、インボイス特例を受けない場合は通常枠の補助上限額が50万円のため、受けられる補助金額は50万円となります。
一方で、インボイス特例に適用された場合は上限額にさらに50万円が上乗せされるため、100万円までの補助金を受けられることになります。
2023年10月より導入されたインボイス制度に対応するため、インボイス発行事業者に転換した個人事業主は、インボイス特例の支援措置を受けましょう。
インボイス特例の適用要件や注意事項に関する詳細は「小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説」も参考にしてみてください。
5.個人事業主が提出する申請書類を確認する
小規模事業者持続化補助金の提出書類には、すべての申請者が提出する書類に加え、申請枠ごとの提出書類や加点を申請する際に必要な書類などがあります。1つでも書類が揃わなければ不採択になることもあるため、提出書類は必ず確認しておきましょう。
全ての申請者が提出する書類 |
1. 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)原本 (電子申請の場合は不要) 2. 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)原本 3. 補助事業計画書②(様式3)原本 4. 事業支援計画書(様式4)原本 5. 補助金交付申請書(様式5)原本 (電子申請の場合は不要) 6. 宣誓・同意書(様式6)原本 7. 電子媒体 (電子申請の場合は不要) 8. 直近の確定申告書または開業届(税務署受付印のあるもの)写し |
希望する枠・特例により追加で必要となる書類 |
賃金引上げ枠 1. 賃金引上げ枠申請に係る誓約書(様式7)原本 2. 直近1か月間における労働基準法に基づく賃金台帳 写し 3. 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件が記載された書類の写し 卒業枠 1. 卒業枠申請に係る誓約書(様式8)原本 2. 労働基準法に基づく最新の労働者名簿 創業枠 1. 「認定市区町村」または「認定連携創業支援等事業者」が実施した 「特定創業支援等事業」による支援を受けたことの証明書 写し 2. 開業届(税務署印のあるもの)写し インボイス特例 1. インボイス特例申請に係る申請・同意書(様式9)原本 2. 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し、または登録申請データの「受信通知」を印刷したもの |
希望する「加点」により追加で必要となる書類(一例) |
東日本大震災加点 ・食品衛生法に基づく営業許可証または届出書(業種が「水産・魚・海藻」のもの)写し くるみん・えるぼし加点 ・基準適合一般事業主認定通知書 写し |
※小規模事業者持続化補助金第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成
※提出書類のフォーマットはすべて公式サイトからダウンロードが可能
たとえば「経営計画書兼補助事業計画書①」は、すべての申請者が提出する書類です。また、インボイス特例を受けたい場合は追加で「インボイス特例申請に係る申請・同意書」や「適格請求書発行事業者の登録通知書の写し」を用意する必要があります。
また、小規模事業者持続化補助金の採択審査では「政策加点審査」の項目が設けられており、事業者の置かれた環境や取組みが加点項目の要件を満たす場合に申請できます。得られる加点が多いほど採択される可能性も高まるため、積極的に申請しましょう。
小規模事業者持続化補助金のすべての申請者が提出する書類は全部で8種類あります。しかし、電子申請する場合は「様式1」「様式5」の申請書類や電子媒体の提出が不要です。小規模事業者持続化補助金の申請は「郵送」か「電子申請」による提出方法のどちらかを選んで申請します。
なお、「加点」に関する詳細は「小規模事業者持続化補助金における加点について解説」も参考にしてみてください。
書類の提出は電子申請を選ぶ
小規模事業者持続化補助金の書類提出には、郵送での提出か電子申請の2つの方法を選べます。しかし、郵送による提出は減点の対象となるため、小規模事業者持続化補助金の申請はできる限り電子申請で行いましょう。
なお、電子申請を行う場合は「補助金申請システム(名称Jグランツ)」を利用します。その際、Jグランツを利用するための「GビズIDプライムアカウント」を取得しておく必要があります。
GビズIDプライムアカウントの取得には申請してから約2~3週間かかるため、電子申請する場合は最初にGビズIDの申請手続きを済ませておきましょう。
Jグランツに関する詳細はデジタル庁の公式サイト「ネットで簡単!補助金申請jGrants」にて確認できます。
6.経営計画書兼補助事業計画書①の概要や作成のポイントを理解する
自身の申請に必要な提出書類を確認した後は「経営計画書兼補助事業計画書①」の概要や書類作成のポイントを理解しておきましょう。小規模事業者持続化補助金の採択審査では、経営計画書兼補助事業計画書①に書かれている内容が審査され、採択者の決定に繋がるためです。
応募者の概要 |
代表者の情報、資本金の情報などを記入する |
経営計画 |
経営目標や自社の分析、市場調査の内容を踏まえた計画を記入する |
補助事業計画 |
計画した補助事業はどのような販路開拓に繋がるのかを記入する |
審査のポイントの一例 |
・自社の経営状況や製品・サービスなどの強みを把握しているか ・補助事業計画は具体的で実現可能性が高いものとなっているか ・補助事業計画にはITを有効に活用する取組みがみられるか |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブックを参考に株式会社SoLaboソラボが作成
※審査のポイントは<一般型>ガイドブック(p.11)にすべて記載されています。
経営計画書兼補助事業計画書①のフォーマットには「応募者の概要」「経営計画」「補助事業計画」の記入項目が設けられています。「応募者の概要」は決まった項目の記入のみで特に難しい内容ではないため、「経営計画」と「補助事業計画」の書き方や作成のポイントを理解しておきましょう。
また、経営計画書兼補助事業計画書①に文字数制限はないため、経営計画と補助事業計画は「審査のポイント」をおさえ、できる限り詳細に書きましょう。まずは箇条書きで良いので、たくさんの内容を書き出してみることから始めます。
つぎに、箇条書きした内容をさらにブラッシュアップしていきます。たとえば、文章に合わせて他社との比較を調査した際のデータや自社商品の強みを表や画像などを用いて、具体的かつ説得力のある内容に仕上げていきます。
なお、提出書類は経営計画と補助事業計画をあわせてWord8枚分以内で作成します。初めて補助金に申請する人や、1人で書類を作成するのが難しい場合は、地域の商工会や商工会議所に相談してみましょう。また、専門家に申請サポートを依頼することも可能です。
小規模事業者持続化補助金の申請サポートに関する詳細は「小規模事業者持続化補助金の申請代行は依頼できるのか?」も参考にしてみてください。
経営計画の書き方
経営計画書兼補助事業計画書①で記入するのは「応募者の概要」「経営計画」「補助事業計画」の3項目です。その中でも「経営計画」と「補助事業計画」に記入する内容が、採択審査において重要視されます。
経営計画には、さらに4つの項目を記入していきます。4つの項目を順に説明していき、どのような経営計画を目指すのかが1つのストーリーのように違和感なく繋がっている内容を作成しましょう。
項目 |
記入内容 |
1.企業概要 |
概要・沿革、基本情報、商品構成・利益構成 |
2.顧客ニーズと市場の動向 |
・顧客が求めている商品・サービスは何か ・競合他社や顧客の増減、これからの市場環境の見通し |
3.自社や自社の提供する 商品・サービスの強み |
・商品・サービスが他社に比べて優れている点 ・顧客に評価を受けている点(お客様の声やアンケート 結果など) |
4.経営方針・目標と今後のプラン |
・1~3を踏まえたこれからの方針 ・具体的な数字の目標(○年までに来店客数△%増、客単価○○円など) |
※経済産業省「ミラサポplus」を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば「顧客のニーズと市場の動向」では、売り上げを左右する環境について説明します。具体的には、競合他社に関する調査内容、見込み客の増減などを記入します。その際、グラフや図を用いて審査員が理解しやすくなるように工夫しながら説明することも大切です。
また「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」には、自社の「他社に比べて優れている点」を記入します。その際、口コミやアンケートで顧客から高評価だった内容やSWOT分析なども取り入れ、客観的な意見をアピールすることも有効的です。
最後に「経営方針・目標と今後のプラン」を書く際は、「自社の強み」や「対象とする市場の特性」に対して矛盾や違和感があってはいけません。具体的な数字の目標なども交えながら説得力のある目標とプランを記入しましょう。
なお、経済産業省のミラサポplus「補助金虎の巻」では「マンガでわかるシリーズ」と題された「市場調査」や「SWOT分析」などのテーマ別になった参考資料が複数紹介されています。書類作成のヒントが知りたい人は利用してみましょう。
補助事業計画の書き方
経営計画の項目を記入したら、次は補助事業計画の具体的な内容や取り組み方を説明していきます。また、計画や取組みを行うことでどのような効果が見込めるのかを理由も加えて書いていきましょう。補助事業計画には4つの項目を記入します。
項目 |
記入内容 |
1.補助事業で行う事業名 |
事業名を30文字以内で記入 (例:○○○事業における▲▲開発と販路開拓) |
2.販路開拓等 (生産性向上)の取組内容 |
「事業概要」「これまでの取組との違い」「創意工夫した 点・特長」「事業の具体的な進め方」を記入 |
3.業務効率化 (生産性向上)の取組内容 |
業務効率化によって従業員の労働環境を改善するなどの 取組があれば記入 |
4.補助事業の効果 |
「売上等への効果」「取引先への波及効果」「地域社会への波及効果」を記入 |
※経済産業省「ミラサポplus」を参考に株式会社SoLaboが作成
「販路開拓の取組み内容」には、計画している事業の概要や創意工夫した点、事業の進め方を具体的に記入します。ここでは、文章での説明に合わせて開発商品や制作する広告チラシの画像、導入するシステムの概要なども紹介しましょう。説明した内容がより理解されやすく、説得力も増すためです。
「業務効率化の取り組み内容」は任意の記入欄ですが「労務管理」「会計ソフト」などの導入による業務効率化を説明することも可能です。
「補助事業の効果」には、自身の補助事業計画が今後の方針・目標を達成するために必要な内容であるかどうかを説明します。「売上や利益率、顧客数などがどのように増加するか」の見込みや「取引先への波及効果」などを表やグラフも活用し、具体的な数字を示しましょう。
なお、小規模事業者持続化補助金の経営計画書や補助事業計画書の書き方の詳細は、「小規模事業者持続化補助金の申請書類の書き方は?記入例を交えて解説」も参考にしてみてください。
7.採択事例で経費の使い方や書類の書き方を参考にする
小規模事業者持続化補助金の申請を検討する人は、過去の補助金審査で採択された事業者の「採択事例」に目を通し、経費の使い方や書類の書き方の参考にしましょう。
経済産業省のミラサポplusでは「事例を探す」というページが設けられています。たとえば、このページの検索ワードに「小売り 持続化補助金」などのキーワードを入力して事例を検索することが可能です。
スノー用品小売り 及びチューンナップメンテナンス事業 |
【事業内容】 ・サービス向上による新規顧客獲得のため、チューンナップルームの 改修とスキーエッジシャープナーマシンの導入 ・デリバリーサービス等含め、店を周知するパンフレットを作成 【事業の効果】 ・利益率の高いチューンナップルームの改修により、作業効率が上がり 売上の柱を太くできた。 ・スキーエッジシャープナーマシン導入により仕上がり時間の大幅な 短縮に成功し、お客様から好評を得ている。 ・周知のため作成したパンフレットの配布により、パンフレットを持参 して来店するお客様が増え、新規顧客獲得に繋がった。 |
豆腐製造・販売事業 |
【事業内容】 ・台風10号豪雨により被災し、半年間製造が不能になった豆腐の製造設備を 復旧させた。 ・大容量冷蔵庫を導入し、これまで焼き豆腐やもめん豆腐の増産要望のあった 町外の産直施設やスーパー等への安定供給と品質管理向上を目指した。 ・真空包装機を導入し、焼き豆腐のパッキング作業を効率化、生産性を向上させた。 【事業の効果】 ・冷蔵庫の導入により、保管量が従来1,500個であったものが3,000個(2倍)となった。 ・焼き豆腐は600個程度の生産であったものが2,400個(4倍)を生産する体制が整った。 ・製造・販売とも多忙になり、作業スタッフ1名の地域雇用を創出することができた。 |
ガラス工芸事業 |
【事業内容】 ・観光地でもある湯河原において、地域産品として「湯河原産ガラス工芸品 」を開発し販路開拓を行うため、サンドブラスト機、露光機等を導入した。 【事業の効果】 ・新製品開発をしたことで技術力及びブランドが向上し、新規顧客の獲得に繋がった。 ・アンケート等結果を踏まえ、よりニーズに合った製品が完成し、平均売上高が 5%増加。 |
※経済産業省「ミラサポplus」を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば、スキー客をターゲットにした事業者の事例では、チューンナップルームの改修費やマシーン導入費、チラシ作成費などの経費を活用しています。また、ガラス工芸製作の事業者は、新製品の開発費や機械導入費を活用した補助事業を実施しました。
ミラサポplusの「事例を探す」のページでは、検索したいキーワードを入力することで、さまざまな採択事例を探すことができ、事業計画を立てる際の参考になります。
また「経営計画や補助事業計画の書き方」のページでは、実際に採択された事業者の経営計画書の内容が画像とともに紹介されているため、書類作成の際の参考になります。
補助事業計画の策定や提出書類の作成が難しいときは、過去に採択された事業者の採択事例を確認しながらヒントを探してみましょう。なお、書類の書き方と採択事例を合わせて紹介されたページは、ミラサポplusの「補助金申請事例」から確認できます。
8.申請の窓口は地域の商工会または商工会議所
小規模事業者持続化補助金に申請する際は、商工会や商工会議所の支援を受けながら手続きを進めましょう。小規模事業者持続化補助金の窓口は、申請者が所在する地域の商工会や商工会議所であり、申請書類の中には商工会に作成を依頼する書類もあるためです。
① 申請方法を電子申請にする場合は、GビズIDプライムアカウントの申請・取得 その他申請枠や申請条件によって必要な書類)を記入 |
たとえば、小規模事業者持続化補助金の提出書類の1つに「事業支援計画書」があります。事業支援計画書は、申請者が作成した「経営計画書」や「補助事業計画書」を商工会または商工会議所に提出してから作成を依頼する書類です。
また、「経営計画書」や「補助事業計画書」は、補助金の採択審査において観点となる書類であり、根拠と説得力のある内容を作成する必要があります。申請者が書類の作成に慣れていない場合は、地域の商工会に相談もできるため、支援を受けてみましょう。
なお「事業支援計画書」は依頼してから発行までに約1週間かかるため、早めに準備しておきましょう。
この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金に個人事業主が申請する際に知っておきたいポイント8選を紹介しました。
1. 小規模事業者持続化補助金は個人事業主の販路開拓に利用できる
2. 補助事業には10種類の対象経費を活用できる
3. 副業や開業したばかりの個人事業主も対象
4. 個人事業主が要件を満たす枠を1つ選ぶ
5. 個人事業主が提出する申請書類を確認する
6. 経営計画書兼補助事業計画書①の概要や作成のポイントを理解する
7. 採択事例で経費の使い方や書類の書き方を参考にする
8. 申請の窓口は地域の商工会または商工会議所
また、対象にならない経費・事業の決まりがあることや、郵送での申請は審査において減点対象になることなどの注意点も留意しておきましょう。提出書類は不備の無いように揃え、インボイス特例や加点項目の対象になる場合は積極的に申請しましょう。