『友達のような身近な存在に』弁護士/税理士/中小企業診断士の西口先生をインタビューしました

2022/8/30


弊社株式会社SoLabo(ソラボ)のサービスを利用してくださった神戸マリン綜合法律事務所の西口竜司先生にインタビューをさせていただきました。

神戸マリン綜合法律事務所

神戸マリン綜合法律事務所は神戸・垂水のまちの法律事務所です。

「友達みたいに気軽に相談できる」ような、やわらかな弁護士事務所として、会社経営から暮らしのお悩みまで、あらゆる法律にまつわるご相談に対応しています。

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独立開業の経緯

―弁護士事務所の独立開業の経緯をお聞かせください。

弁護士4年目(取材時点)にありますが、自分のやりたいことをもって世の中にもっとコミットしていきたいなと考えました。

弁護士を目指したきっかけ

弁護士を目指したのには、いくつかきっかけがあります。

大学2年の秋、司法試験を受けるという話を法学部の友人としていてですね、自分は無理だよと尻込みしていたんですが、先輩にいろいろ話を伺っていると、法律を武器に世の中を渡っていくというのはよいなと思いまして。

他にも、自営業の父が弁護士に相談しているのを見てきたのもありまして。中には「弁護士に相談したらすぐ解説した」ようなケースもあって、弁護士として仕事をする具体的なイメージも自分の中にありました。

また、自分の人生を考えた時に「20年30年先もどこかの企業人として生きていくのか?」と疑問に思い、弁護士の方が面白そうだなと考えたのが、きっかけです。

―お父上が自営業ということで、独立開業するにしても「家業を継ぐ」と「弁護士になる」という選択肢があったかと思います。それでも「弁護士をやる」と決めた理由や動機はありますが?

自営業の父と将来について話したとき「家業を継ぐのは向いていないし、法律家として頑張っていこうと決めたなら、しっかり結果を出せ」と激励されました。

―法学部なら、弁護士を目指す方もいれば、一般企業に就職する方もいると思いますが、弁護士は資格取得までかなり大変なので、絶対に弁護士になりたい!と思わないとなかなか弁護士に目指せないと思います。難しい道である「弁護士をやる」と決めた理由や動機はありますが?

まず、司法試験に臨んだとき、試験結果の成績は悪くなかったので、なんというか弁護士の適性可否のような「ズレ」のようなものがない、と思ったのはあります。箸にも棒にもかからないわけではなく「惜しかった」という感覚があったため、ちょっと弁護士になるまでに長引きましたが、弁護士と決めて前に進みました。

もう一つは周りの人に恵まれた点です。「やるなら、やれ。中途半端にやめるな」という後押しがあり、弁護士になるまで支えてもらったのが大きいと思います。

法学部を志望したきっかけ

―中学や高校から弁護士の独立開業を目指し、法学部に進むことを考えていたのでしょうか?

お恥ずかしい話、法学部を選んだのは、内部進学グループ内にあった「高校の成績のよい者は法学部に行くものだ」という雰囲気に押されてでして。「弁護士になる!」という強い志が、学部を選ぶ際にあった訳ではないです。

子どもの頃は「将来は自営業の父の跡を継ぐのかも」くらいに思っていました。

弁護士は数年の経験を積んで独立開業するのが当たり前?

―人によって独立開業までの経験は3年や10年もあると思いますが、西口先生の場合、4年目でした。その時に独立開業を決めたきっかけはありますか?

ちょうど、子どもが生まれたタイミングですね。

兵庫に住んでいるんですが、独立開業前に勤めていた事務所は大阪にあり、遠かったので、子育てに参画しにくいなと思ったのがきっかけです。友人に「子どもの小さいうちは、近くにいるべき。貴重な時期だから」と言われ、子育ての関係と、実務経験が十分に積んだタイミングが重なって、独立開業に至りました。

人にもよりますが、弁護士は「一国一城の主になりたい」と考え、4〜5年の経験を積んで独立開業をするのが多い印象があります。

独立開業してから今に至るまでの失敗や苦労

―独立開業して、今に至るまでに失敗や苦労されたことはありますか?

はい。まず、経営というものがまったくわかってなかったため、見通が甘いところがあり、独立開業のスタートから2年は苦労しました。

大阪出身で大阪を中心に顧客につながる人脈などの地盤があったのだが、開業したのは神戸で、web集客に頼らざるを得ない状況でした。

依頼される案件の質が思ったものではなく、いうなれば「薄利多売」になってしまいました。企業法務などを中心に受けられるようになりたかったのですが、依頼内容はそれとは遠いジャンルで、理不尽なクレームに近いものもありました。

―もし仮に、失敗を活かして西口先生が当時と同じような状況で、もう一度、独立開業できるとしたら、どうしますか?

そうですね、ソラボさんに支援をお願いするとか、武装していきますね(笑)。当時マーケティングを知らずに、ターゲットもあやふやに適当にweb広告を打つみたいにいい加減なことをしてたので、専門機関に相談して、いろいろ考えて取り組みたいです。

―ありがとうございます(笑)。地盤がない中で、本当に大変だったと思いますが、好転したきっかけはあるんでしょうか?

順当なところでは地元の有力な方との人脈を少しずつ築けていけたのもありますが、web広告で言えば地元に広告に詳しい方と偶然出会えて、よい出会いからまた別の紹介が生まれ、3年目くらいから、よいスパイラルに入るようになってきました。

―よい出会いが好転のキーとのことですが、どういう方法で「出会い」が生まれていったのでしょうか?一般的には、同業や異業種の交流会などがありますね。

交流会は失敗した1〜2年目で行って、試してみてダメでした。

好転のきっかけになった「よい出会い」は、たまたま地元の名士にあたる方がふらっと相談に来られたことです。その方の紹介で、また別の紹介を受けるということが重なり、だんだんと思っていたジャンルの依頼を受けられるようになりました。

―「続けていれば、いずれチャンスは来る」ということでしょうか。

そうですね。例えば、たまたまFacebookで交流した方の中にお坊さんがいて「寺院経営をどうにかしたい」という相談を受け、その時は時間があったので、すぐ会いにいったんです。

その時に「すぐに足を運ぶ方は珍しい」といろいろとご教授いただき、今は「寺院経営」というジャンルでも幅広く相談を受けられるようになっていますが、やはり続けることも大事ですが、フットワークの軽さは大切ではないかと思っています。

独立開業時の自己資金

「弁護士の独立開業に手持ちの現金で1000万円は必要」という話を聞いていましたので、その分は用意しました。

「独立開業で、どうなるかわからない」と言われるので、そのリスクヘッジですね。

―なるほど。ちなみに、資金調達手段は融資や、補助金、助成金なども多岐に渡りますが、西口先生のところで使われて、よかった資金調達手段をうかがってもよいですか?

IT導入補助金とか小規模持続化補助金とかは自社でも活用させてもらっていますし、兵庫県や神戸市の地方自治体が実施する地域性のある補助金で申請できるものはしています。ただ、独立開業時については実は補助金などを全然使わず、手持ちの現金でやりくりしてしまっていまして。正直、失敗したなと思っているところです。

今は、金融機関とお付き合いするために、特に必要ないものの、わざわざ借りていますが、創業してすぐに資金調達する発想がなかったので、今となっては独立開業のタイミングで借りておけばよかったなと思います。

―そうなんですね。確かに「金融機関とつながりを作るために、借りたお金を使う予定がなくてもお金を借りる」という方もいます。西口先生がお金を借りて金融機関とつながりを持とうと思ったきっかけを教えてください!

中小企業診断士をするようになってから、ですね。金融機関が相手をしてくれる人は「お金を預けている人」ではなく「お金を借りて利息を払ってくれる人」なんだとわかったタイミングですね。

弁護士だけでなく税理士や中小企業診断士を取得した経緯

―弁護士の資格を取得された後、税理士や中小企業診断士を取得しようと思われたきっかけはありますか?

あまりにも自分が経営のことを知らなすぎるのはまずい、と思ったからですね。

マーケティングひとつについても、無意味な広告やセミナーを打つといったことをしていましたし、お客さまが増えてくるに従って、法律論を知りたいのではなく、資金繰りなどの相談相手が欲しいんだなと思ったとき、弁護士だけではちゃんと応えられないな、と思ったのがきっかけです。

―確かに「弁護士」の先生に相談するには、何か起こってからでないといけないイメージがありますね。経営の相談している中で、法律リスクについて注意喚起してもらう事前対応の方が、経営者にとっては有難いですね。

ただ、資金繰りなどの経営知識の取得だけなら税理士だけでもまかなえる印象がありますが、中小企業診断士まで取得されようと思われたのには、何か動機がありますか?

確かに、中小企業診断士試験に合格するためには、勉強しなければいけない科目が増える訳で、その分取得は大変ではありましたが、中小企業診断士のガイダンスや科目を知り、経営者の相談相手として必要な知識だなと思ったので、中小企業診断士も取得するに至りました。

実際、何らかの会に参加しているだけで、中小企業診断士や税理士の先生方から仕事を紹介していただけるため、それだけで集客の大きな導線のひとつになっています。

―ちなみに、予備校や大学の講師などもされていますが、こちらはどういうところから声がかかったんでしょうか?

予備校講師は司法試験合格時から声がかかっていました。大学の講師は弁護士会からの推薦でしたね。

予備校講師は自分自身が「受験生」から遠くなってきているので、タイミングを見て引かせていただくことを考えていますが、大学講師の方は実務をしっかり伝えられるので、やれる範囲で今後も続けていこうと考えています。

―「みんなのお抱え弁護士」を目指せる素晴らしい集客戦略ですね。

集客について「以前は取りたくない依頼案件などが多かった」とうかがいましたが、質の良い依頼が増えるに従って、次第に対応に困るものというのは減っていったということでしょうか?

対応に困る相談かどうかの「見極め」がうまくなったことで、理不尽なクレームになるような変な依頼は受けないで済むようになったのだと思います。

例えば、依頼者が変に威圧的、困っていることの内容よりも依頼のお金のことばかり口にするなどの傾向があれば要注意で、無理に案件をとろうとせず、電話口でお断りするようにしています。

今後と経営者を目指す方へのアドバイス

―今後の展望があれば教えてください。また、もし過去の自分に起業家としてアドバイスするなら、どういうことを伝えますか?

法律の勉強はしていましたが、早い段階から経営の基礎は学ぶべきだったなと正直、反省があります。

まず、早い段階でもっと経営について学ぶべきです。あと、IT関連の勉強もしておくべきで、web3.0などを活用して、何か仕掛けられるようにした方がよいです。

―web3.0などはまだ市場が固まりきっていないので、まだまだチャンスはあるかと思います!ちなみに、もしお子さんに将来について相談された場合、一人の起業家としてアドバイスされるなら、どういうことを伝えますか?

自分自身を生かせる仕事に就けるなら、何でもよいです。

ただ、起業家は自営業で「自分の裁量が全て」なので、勤めるよりも、どうにもならない理不尽というのは少ない、ということは伝えたいです。もし独立開業するなら応援しますし、どこかに勤めるならそれも応援します。

余談:司法試験と弁護士に関する業界事情

―ちなみに、司法試験を受けた同期の方は皆、弁護士になっているのでしょうか?

大学の同期などを見ての個人の所感ですが、弁護士になっている人は少ない印象です。

昔は20代前半で司法試験が受かった人が弁護士になる傾向があったようですが、今は弁護士を諦めた方が人生を振り返って青春を思い出し、30代、40代、50代で再度司法試験に挑戦する人が多い印象です。

―昔は「仕事を辞めて司法試験一本で臨む」みたいな覚悟が必要だったと聞きますが、今の司法試験は働きながら勉強をして受かる難易度の試験になっている、ということでしょうか?

いえ、難易度は変わっていないので、まず働きながらでは受かるのは難しいかと思います。実際、そういう相談はよく受けますが、回答が非常に難しいです。

―例えば30代後半〜40代前半、一般企業に勤めている方で「今から司法試験に臨む」という相談を受けたら、どんな回答をされますか?

ケースバイケースではありますが、まず、相談を受けたら、家族の状況を確認します。

配偶者や子どもがいる場合、独立開業を目指して今の職を辞めて弁護士になるのはおすすめしないので、家族のいる方であれば、仕事を辞めずに趣味みたいな感覚で司法試験に臨むようにアドバイスします。

家族のいない方であれば、人生の勝負をかけるみたいな感じで、仕事をやめて司法試験にかけるのをすすめるケースもあります。

―西口先生、素敵なお話をありがとうございました!

 

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