ものづくり補助金で運送業は対象になる?補助金額と申請条件を解説
2024/05/02
2022/12/27
運送業で使える補助金や助成金を探していると、ものづくり補助金を目にする人もいることでしょう。その中には「自社は運送業だけど対象なのか」「書類作成や申請は難しいのか」と、気になる人もいますよね。
当記事では、ものづくり補助金の対象になる運送業の条件を解説します。また、補助金額や補助率と申請方法も紹介するので、運送業の補助金を探している人は、参考にしてみてください。
なお、当記事は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」を元に作成しています。
Contents
対象となる運送業は小規模および中規模の運送業者
運送業でものづくり補助金の対象になる事業者は「資本金3億円以下」「常時雇用される従業員数が300人以下」の両方を満たす事業者です。そのため、ものづくり補助金を利用したいと考える人は、資本金と従業員数を確認してみましょう。
たとえば、資本金が3,000万円、従業員数が15人の下請けの運送会社の場合、資本金と従業員数が規定以内なので、ものづくり補助金の対象です。
また、個人事業主の場合、資本金はないので、常時雇用される従業員数が300人以下ならものづくり補助金の対象になります。
混載配送業者やエリア限定配送など、小規模および中規模の事業者であれば個人事業主や自営業も、ものづくり補助金の対象になります。ものづくり補助金を利用したい人は、資本金と従業員数をまずは確認してみましょう。
なお、大企業が経営権をもつ中小事業者の場合、みなし大企業と認識され、ものづくり補助金の対象外になります。ものづくり補助金を検討する運送業者は、自社がみなし大企業に該当しないかを、あらかじめ確認してみてください。
大企業が経営権を持つみなし大企業は対象外
ものづくり補助金では、大企業が経営権を持つ「みなし大企業」は対象外です。みなし大企業とは、自社の事業規模は中小企業でも、大企業から資本や役員が入っているため、大企業とみなされる企業のことです。
【みなし大企業の定義】
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参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、1000株を発行した運送業者A社の場合、大企業のB社が500株以上保有すると、A社はみなし大企業になります。このように、申請者がものづくり補助金の対象でも、大手物流企業やロジスティクス会社の子会社は、対象外になる場合もあります。
ものづくり補助金は中小事業者向けの補助金なので、大企業が経営権をもつみなし大企業は対象外です。ものづくり補助金に申請する人は、自社がみなし大企業に当たるかどうかを確認してみましょう。
ものづくり補助金の補助金額は最大8,000万円
ものづくり補助金の補助金額は、2024年の18次公募の場合、最小100万円から最大8,000万円まで幅があります。ものづくり補助金の補助金額は申請する枠と事業者の従業員数で変わるので、補助金額の範囲と補助率を確認しておきましょう。
【ものづくり補助金の従業員別の補助金額】
項目 | 従業員数 | 補助金額の範囲 | 補助率 |
省力化(オーダーメイド)枠 |
5 人以下 | 100万円~750万円 | 小規模事業者と再生事業者 2/3 中小企業 1/2 |
6人~20人以下 | 100万円~1,500万円 | ||
21人~50人以下 | 100万円~3,000万円 | ||
製品・サービス高付加価値化枠 通常類型 |
5 人以下 | 100万円~750万円 |
小規模事業者と再生事業者 2/3 中小企業 1/2 新型コロナ回復加速化特例 2/3 |
6人~20人以下 | 100万円~1,000万円 | ||
21人以上 | 100万円~1,250万円 | ||
製品・サービス高付加価値化枠 成長分野進出類型(DX・GX) |
5 人以下 | 100万円~1,000万円 | 2/3 |
6人~20人以下 | 100万円~1,500万円 | ||
21人以上 | 100万円~2,000万円 | ||
グローバル枠 | - | 100万円~3,000万円 | 小規模事業者と再生事業者 2/3 中小企業 1/2 |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、従業員数が50人の会社が通常枠で仕分け用のパレタイズロボットを1,000万円で申請する場合、補助率は1/2となります。一方、回復型賃上げ・雇用拡大枠で同じロボットを申請すると、補助率は2/3になります。
この際、1,000万円の補助対象経費でも、補助率が1/2だと補助金額は500万円、補助率が2/3だと約660万円と、補助金額が約160万円も変わります。ものづくり補助金の補助金額は、申請枠と事業者の従業員数で変わるため、申請枠を選ぶ際は補助率も確認しておきましょう。
なお、ものづくり補助金では、従業員の確認書類を採択される前だけでなく、採択された後にも提出します。補助金額を増やすために一時的な従業員の増員を行うと、補助金額の減額対象となる可能性もあります。
補助対象経費は機械装置・システム構築費など8種類
ものづくり補助金で補助される経費は「補助対象経費」と言い、18次公募の場合、全8種類(グローバル枠のみ11種類)あります。補助対象経費以外の経費は補助されないので、ものづくり補助金を検討している人は、補助対象経費の内容を確認してみましょう。
【ものづくり補助金の補助対象経費の例】
ものづくり補助金の補助対象経費 | 運送業向けの補助対象経費の例 |
機械装置・システム構築費 | DPF洗浄クリーナーの導入費 |
技術導入費 | パレット不要の物流管理サービスのライセンス使用料 |
専門家経費 | トラック運送業の専門家への相談料 |
運搬費 |
機械装置・システム導入時に必要となる配送費 ※機械装置の配送以外 |
クラウドサービス利用費 | 自動配車クラウド使用料 |
原材料費 | 紛失を防ぐQRコード付き伝票の試作品開発費 |
外注費 | QRコード付き伝票のデザイン発注費 |
知的財産権等関連経費 | ピッキングミス防止サービスの特許取得費 |
海外旅費 ※グローバル枠のみ |
海外拠点と国内拠点の連携を強化するための渡航費 |
ものづくり補助金で補助される経費は、税抜き単価50万円以上の機械設備・システム構築費とその関連費用です。ただし、申請できる補助対象経費は、これから事業者が申請する新たな事業に必要な経費に限られます。
ものづくり補助金に申請するときは、機械装置・システムの導入計画を立てることになります。ものづくり補助金に申請する経費を考える際は、現場の作業の見直しをしながら、どのような補助対象経費で申請するかを多角的に検討してみてください。
なお、倉庫やコンテナは汎用性があるため、補助対象経費の対象外です。導入したい経費が補助対象かどうかを知りたい人は、無料診断から確認してみましょう。
運送業の採択事例
運送業でものづくり補助金を検討している人は、過去の採択事例を調べてみると、運送業で申請できる補助対象経費をより理解できます。ものづくり補助金の公式サイトには、運送業の採択事例も掲載されているので、確認してみましょう。
【運送業でものづくり補助金に採択された事例】
DPFマフラー洗浄・尿素水の出張サービス |
小ロット・短納期・小口配送に応える、オンデマンド生産システムの改善計画 |
IOT配送システム利用の生コンクリート配送の改善計画 |
AIを活用した配送ルート最適化による、ドライバー業務の効率向上 |
ドローンによる山小屋への物資輸送サービス |
参考:採択結果|ものづくり補助金
たとえば、DPFマフラー洗浄・尿素水の出張サービスの場合、配送車両の維持費を削減する事業計画を立て、DPF洗浄クリーナーの導入費が補助されました。
また、オンデマンド生産システムの改善計画の場合、これまでタイムロスが発生していた作業工程を短縮する計画を立て、WEB物流システムの導入費が補助されました。
運送業としてものづくり補助金に採択されるのは、配送システムの生産性を上げる取り組みや、あらたなサービスのための設備です。自社の事業計画を立てる際は、日頃の業務で不便な点や人員不足と感じる作業を思い出し、ヒントを得てみましょう。
申請するには書類作成をすることになる
ものづくり補助金を利用する運送業者は、数種類の書類作成や複数回の報告などの手続きがあります。計画的に進めなければ補助金の返還につながるケースもあるため、時間に余裕をもって申請準備や事業計画を進めていきましょう。
【ものづくり補助金の作業や手続き】
作業または手続き | 具体的な内容 |
必要書類の作成と申請準備 |
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申請 |
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採択 |
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交付申請 |
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補助事業の実施 |
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補助事業終了後の手続き |
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参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、グローバル枠の場合、決算書や補助経費に関する誓約書などの必要書類に加え、海外事業の準備状況を示す書類の提出が必要です。
また、ものづくり補助金の必要書類のひとつ「事業計画書」の場合、要件として目標数値が設定されているため、目標数値を達成できない事業者は補助金を返還しなければなりません。
申請のための書類作成や採択後の報告には時間がかかります。ものづくり補助金の手続きに時間をとることが難しい場合は、書類作成や申請の専門家に相談することも検討してみましょう。
なお、ものづくり補助金で必要な書類作成に興味がある人は「ものづくり補助金で申請時に必要な書類の揃え方と記載例」を参考にしてみてください。
事業計画書は3つの基本要件を満たす説明が必要
ものづくり補助金の必要書類のひとつ「事業計画書」では、事業者は3つの基本要件を満たす記載が必要です。そのため、ものづくり補助金に申請を考えている運送業の人は、ものづくり補助金の3つの要件の内容を確認しておきましょう。
【ものづくり補助金の基本要件】
〈付加価値額要件〉付加価値額を年平均成長率3%以上あげる 〈給与支給総額要件〉給与支給総額を年平均成長率1.5%以上あげる 〈事業場内最低賃金要件〉事業場内最低賃金を地域別最低賃金から30円以上あげる |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、付加価値額要件の場合の場合、事業所の経費削減や配送の受注率を上げる取組みをすれば、付加価値額を3%以上あげられる可能性があります。
また、給与支給総額要件の場合、アルバイトの時給や社員の賞与を見直せば、前年度より1.5%以上あげられる可能性があります。
事業計画書で基本要件を満たすことが、ものづくり補助金の申請のスタートラインになります。ものづくり補助金は申請する枠により申請枠ごとの要件が追加されるので、一般型の通常枠以外に申請するときは、各申請枠の要件も確認してみましょう。
なお、ものづくり補助金の賃上げに不安がある人は、「ものづくり補助金の賃上げとは?賃上げ特例も含め解説」を参考にしてみてください。
要件の未達で補助金返還になるケースもある
ものづくり補助金で交付決定を受けたにも関わらず、要件を満たせない場合は、補助金の返還をしなくてはならないケースもあります。ものづくり補助金では原則、交付決定を受けた事業者は要件を満たすことが前提なので、留意してください。
たとえば、申請時に賃上げ計画の策定をせず、交付決定後に賃上げ計画を策定していないことが発覚すると、交付決定が取り消しになることがあります。
また、給与支給額要件の目標「1.5%増加」が達成できない場合も、発覚時点での導入設備の時価や残存価値を計算し、補助金額の相当額の返還が求められます。
ものづくり補助金では、要件の数値目標を達成する必要があります。ものづくり補助金の要件が難しいと感じる場合は、ものづくり補助金に精通している専門家に相談してみることも検討してみましょう。
無料相談この記事のまとめ
ものづくり補助金は運送業も対象です。資本金3億円以下、従業員数300人以下の運送業者が対象で、この数値を超える事業者は対象外です。ものづくり補助金は設備投資に特化した補助金なので、ガソリンやドライバーの安全などが目的の他の補助金と、併用できます。
これまでものづくり補助金では、物流管理や配送ルート最適化サービスなどの導入が採択され、補助されました。ものづくり補助金で補助される経費は全8種類(グローバル枠のみ11種類)あり、機械設備とシステム費のみでなく、専門家へのコンサル費やクラウド利用費も補助されます。
一方で、ものづくり補助金では、基本要件を満たす事業計画の作成と実施が必須です。基本要件には賃上げが含まれるので、運送業でものづくり補助金を利用する場合、どのように賃上げをするかも考えていきましょう。