ものづくり補助金で不採択になる理由と改善策を解説
2024/05/01
2022/9/20
ものづくり補助金の申請を準備する人の中には、不採択になるケースを事前に知りたい人もいるでしょう。また、ものづくり補助金で不採択になった人は、どんな理由で不採択になったのか気になりますよね。
当記事では、ものづくり補助金で不採択になる理由とその改善策を解説します。ものづくり補助金で不採択になった人や不採択の理由を事前に知りたい人は、参考にしてみてください。
なお、当記事はものづくり補助金公式サイトの「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」と「データポータル」を元に作成しています。
Contents
不採択の理由にあわせて申請内容を改善する
ものづくり補助金で不採択になった場合、不採択の理由にあわせて申請内容を改善しましょう。不採択の理由が改善されれば、再申請の時に採択される可能性が高まります。
【主な不採択の理由】
|
たとえば、公募要領に記載の審査項目が反映されていない事業計画書の場合、不採択になる可能性があります。そのため、事業計画を立てる前に、審査項目の内容を確認する必要があります。
また、ものづくり補助金の審査は複数の要素から総合的に判断されるため、不採択の理由は1つだけではない場合もあります。ものづくり補助金で不採択となった人は、不採択となった理由をあらゆる角度から分析してみましょう。
事業計画書の内容が不十分な例と改善方法
ものづくり補助金の事業計画書の内容が不十分な場合、不採択になる可能性があります。融資と違い補助金の審査では対面で説明する機会がないため、提出する事業計画書で補助事業のすべてを伝えきる必要があるからです。
【事業計画書の内容が不十分な例と改善方法の例】
事業計画の内容が不十分な例 | 改善方法の例 |
自社の収益力に対して設備投資の額が多すぎる |
設備投資の金額はどれくらいが妥当か、金融機関や認定支援機関などに相談する |
設備機器の導入による付加価値額の算出根拠の数字に確証性がない |
ものづくり補助金の支援をしている専門家に相談し、付加価値額の算出根拠を修正する |
事業計画の内容が現在の事業の強みを活かせる事業ではない |
自社の強みを洗い出し、自社の強みを生かした事業計画のテーマにする |
人員的に実行できる実現性が低い | 採用計画も含めて事業計画を再検討する |
市場調査が十分になされていない 競合対策ができていない |
補助金支援の専門家に市場調査を協力してもらい、事業計画に反映する |
たとえば、付加価値額を年3%上げる事業計画の場合、付加価値額が上がる根拠として「営業利益」「人件費」「減価償却費」を上げるための計画を記載すると、算出根拠を明らかにできます。
事業内容を第三者にも分かるように記載したり、事業計画の根拠を具体的に記載したりと、内容に不足がないように事業計画書を作成しましょう。
なお、事業計画について悩みがある場合は、中小企業支援に関する専門性が一定レベル以上と、国の認定を受けた「認定支援機関」に相談することもできます。認定支援機関については、「ものづくり補助金における認定支援機関とは?」を参考にしてみましょう。
事業画書を作成する前に公式サイトにある資料を確認する
事業計画書を作成する際は、あらかじめ公募要領や参考様式を確認しましょう。公式サイトの資料を確認することで、事業計画に必ず記載すべき項目や注意点がわかるため、事業計画に足りない要素を把握できます。
事業計画書の関連資料 | 参考になる項目 |
公募要領 |
■審査項目 その実現性等は費用対効果が高いと言えるか |
参考様式1 事業計画書 記載項目 |
■事業計画書の具体的な記載事項 その2:将来の展望 その3:会社全体の事業計画 |
中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン |
■付加価値の向上に関する具体的⼿法 |
中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針 |
■各業種での達成すべき高度化目標と将来の展望 |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、審査項目の「(1)補助対象事業の適格性」の場合、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する必要があります。その際、給与支給総額を年率平均1.5%以上増やす証明として、売上や営業利益の目標を実現する計画を記載しなければなりません。
また、既存の設備の老朽化で買い替えたい場合、既存事業の継続を目的とした設備投資は不採択になる可能性があります。審査項目に「(2)技術面:新製品・新サービスの革新的開発であるか」とあるため、過去に実施していない新しい製品やサービスを目的とした設備投資にする必要があるからです。
事業計画は公式サイトにある資料に記載項目を、損益計算書や市場調査などのデータとともに網羅することが大切です。事業計画書の書き方を知りたい人は「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」も参考にしてみてください。
書類不備がある場合
ものづくり補助金の申請で添付書類に不備がある場合、不採択になる場合があります。申請についてのルールは公募要領に記載されているため、申請前に要件や審査項目、必要書類などを1つ1つ確認することが大切です。
申請時の不備の例 | 改善方法の例 |
【補助対象外】 |
公募要領にある「補助対象外」に関する記述を確認し、補助対象外の条件に該当しなくなってから申請する |
【補助率】 |
公募要領にある「3.補助対象事業の類型及び補助率等」を確認し、事業規模に合った補助率で申請する |
【記載の不備】 |
送信前にJグランツの入力内容と添付書類の内容が一致しているか確認する |
【必要書類の不足】 添付書類に空欄が目立つ |
不明点はものづくり補助金の事務局や認定支援機関へ相談してから添付書類を作成する |
たとえば、中小企業者として申請する場合、誤って小規模事業者の補助率(2/3)で申請すると不採択になるので、申請前に補助率の確認が必要です。添付書類については公募要領の「表1:添付書類」にまとめられているので、提出前に添付書類の表を見て確認するようにしましょう。
事業者が申請時の不備を防ぐには、公募要領や事業計画の確認が効果的です。ものづくり補助金の公募要領は理解できるまで何度も読み返しておきましょう。
加点が不足している場合
ものづくり補助金では、加点が不足している場合も不採択になることがあります。加点が1つある人と加点がない人を比べると、申請内容が同条件だった場合は、加点が多いほうが採択される場合があるからです。
【13次公募から16次公募における加点と採択率】
加点の個数 | 採択率 |
0 | 33.4% |
1 | 43.3% |
2 | 53% |
3 | 57.2% |
4 | 60.4% |
5 | 55.3% |
6 | 100% |
参考:データポータル|ものづくり補助金
たとえば、加点の数が0の場合、加点が1個以上あるときよりも採択率が低くなっています。そのため、加点を取ることはものづくり補助金の要件ではありませんが、できるだけ取得する方が採択率は上がります。
なお、ものづくり補助金の加点の種類や個数は、公募回により異なる場合があります。以前の公募回で加点が申請できなかった場合も、公募回が変わり違う加点になれば申請できることもあるため、加点の取得は積極的に検討しましょう。
加点について興味のある人は、「ものづくり補助金の加点の取得方法を解説」も確認してみてください。
当サイトを運営している株式会社SoLaboは認定支援機関としてものづくり補助金の支援を行っています。幅広い事業の申請を支援している経験から、不採択理由の改善方法や採択されるためのノウハウがあります。不採択となった理由を知り、再申請を検討している人は下記よりお問い合わせください。
無料診断不採択でも再申請して採択される可能性がある
ものづくり補助金で不採択となっても、再度申請すれば、採択される可能性があります。なぜなら、ものづくり補助金で採択された人は1回目ではなく2回目、3回目の挑戦で採択された人もいるからです。
たとえば、ものづくり補助金の18次に申請した事業者が2024年夏の採択発表で不採択だった場合、次の公募回である19次の公募要領で不可と禁止されていなければ、19次以降へ申請が可能です。
ものづくり補助金で不採択となっても、まだ補助事業を行う予定なのであれば、公募要領で許可されていれば再申請できます。再申請する際は、不採択の理由をできるかぎり改善して加点を取得するように留意してください。
不採択の理由を事務局に確認する
ものづくり補助金に不採択になった場合は、不採択の理由をものづくり補助金の事務局へ電話で確認してみましょう。ものづくり補助金の事務局では不採択理由を公表していませんが、審査員による所感を確認できるからです。
たとえば、不採択になった際にものづくり補助金の事務局から「購入する設備機器が事業規模に対して高額すぎる」と指摘されたとします。この場合、指摘を受けた「購入する設備機器」を選びなおすことで事業規模に適した価格に見直すことができるため、再申請の際に事業計画を修正する方針の目安になります。
ものづくり補助金の事務局に電話をすると、申請内容の中から修正すべき点が見つかる場合があります。問合せをする際、事務局が電話口で審査員によるコメントを読み上げるので、メモをとる準備をして問合せてみましょう。
申請する公募回の公募要領を確認する
ものづくり補助金の不採択理由が確認できたら、次に申請する公募回で使用する公募要領を必ず確認しましょう。 なぜなら、ものづくり補助金の公募要領は公募回ごとに新しいものに切り替わっているからです。
たとえば、ものづくり補助金の16次公募と17次公募の公募要領の場合、16次では補助事業実施期限が「交付決定日から10ヶ月以内」と記載されていましたが、17次公募では「交付決定日から2024年12月10日まで」と記載されています。
ものづくり補助金の公募要領は公募回ごとに新しいものに切り替わります。ものづくり補助金の公募に再申請する際は、ものづくり補助金の公式サイトの「公募要領」ページで最新の公募要領を確認しましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金で不採択になる理由は、申請の不備や事業計画の内容など、さまざまです。ものづくり補助金で不採択になったら、不採択の理由を分析してみましょう。また、ものづくり補助金の事務局へ電話をして、審査員の所見を確認することも大切です。
ものづくり補助金の申請内容を改善すれば、次のものづくり補助金で採択される可能性があります。ものづくり補助金に再申請する場合は、公募要領が新しいものになっているため、前回との違いを確認してから申請しましょう。