補助金ガイド

ものづくり補助金の経費明細表の書き方を解説

2024/04/30

2022/8/19

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金に申請をする人の中には、経費明細表について調べている人もいますよねものづくり補助金の経費明細表は、応募や交付申請など手続きに必要な書類のひとつです。

当記事では、経費明細表の書き方を交付申請や実績報告などの手続きごとに解説します。書式の取得方法も紹介するので、ものづくり補助金で経費明細表の作成方法を知りたい人は参考にしてみてください。

なお、当記事はものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版を元に作成しています。

経費明細表は経費の支払い状況を伝えるための書類

ものづくり補助金の経費明細表は、事業者が経費の支払い状況を事務局に伝えるための書類です。事業者はものづくり補助金の申請や実績報告などで、経費の利用に関する計画と進捗を伝えるために、経費明細表を作成し事務局へ提出します。

【事業者が経費明細表を提出する手続き】

手続き  概要
申請 ものづくり補助金に応募するための手続き
交付申請 採択された事業者が正式にものづくり補助金の補助対象になるための手続き
遂行状況報告 採択された事業者が補助事業を行って約3か月経過後に行う中間報告としての手続き
実績報告 採択された事業者が補助事業の終了後に事務局に補助事業の結果報告をするための手続き

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金

ものづくり補助金で経費明細表を提出する回数は、申請する時に1回、採択後に2回の合計3回です。すべての手続きで経費明細表には、経費の利用に関する計画と進捗を反映した内容を記載します。

なお、それぞれの段階で使用する経費明細表の書式は異なるため、経費明細表を作成する人は、作成する段階ごとに書式を準備しましょう。

申請するときの経費明細表はJグランツに入力する

ものづくり補助金への申請時の経費明細表は、電子申請システムのJグランツで直接入力して提出します。経費明細表では経費区分ごとにJグランツへ内容を入力するので、あらかじめ経費区分ごとに入力する情報を整理しておくと、事業者はスムーズに登録ができます。

【経費明細表に入力する5つの情報】

項目  記載例
(A)事業に要する経費の税込み金額 440,000
(B)補助対象経費の税抜き金額  400,000
(C)補助金交付申請金額 200,000
(D)補助率 1/2
※プルダウンで選択
※1つの経費で選択した補助率がすべての経費に適用される
(E)積算基礎 キャビネット架台 単価税抜き
100,000×4

参考:ものづくり補助金の公式サイト「公募要領」ページよりダウンロードできる「参考様式1 事業計画書 記載項目」の5.経費明細表

たとえば、(E)積算基礎を記載する場合は、業務用オーブン一式といった「一式」という書き方は認められないため、内訳がある経費はかならず内訳を記載してください。内訳が複数ある場合も、Jグランツの積算基礎の欄を横にスクロールし、漏れなく記入しましょう。

なお、事前に経費明細表の項目に入力する内容を準備しておきたい人は、ものづくり補助金の公式サイトの「公募要領」タブから「参考様式1 事業計画書 記載項目」のファイルをダウンロードし、Word5枚目の経費明細表に記入しておきましょう。

交付申請時の経費明細表は提出済みの内容を修正する

交付申請時の経費明細表は、申請時に提出した経費明細表の内容を修正して再提出するものです。そのため、交付申請時の経費明細表は新しく作成するのではなく、Jグランツで申請時に入力したデータをJグランツからダウンロードし、確認後に再度アップロードします。

【交付申請時のJグランツ経費明細表入力イメージ】(単位:円)
経費区分 (A)事業に要する経費
(税込みの額)
(B)補助対象経費
(税抜きの額)
(C)補助金交付申請額
(B)補助対象経費×補助率以内(税抜きの額))
(E)積算基礎
(A)事業に要する経費
の内訳(機械装置名、
単価×数量等))
(D)補助率 1 / 2
機械装置・システム構築費
(単価50万円以上)
600,000 505,000 252,500 業務用オーブン
単価税抜き505,000×1
機械装置・システム構築費
(単価50万円未満)
440,000 400,000 200,000 キャビネット架台
単価税抜き
100,000×4
技術導入費※2

専門家経費※3

参考:ものづくり補助金の公式サイト「公募要領」ページよりダウンロードできる「参考様式1 事業計画書 記載項目」の5.経費明細表

たとえば、申請時に(A)事業に要する経費を600,000と入力し、その後取得した見積金額は505,000で申請時より低い金額だった場合は、(A)に505,000と入力して修正します。申請時に入力した数値から変更しない場合は、そのまま経費明細表のExcelファイルをアップロードします。

ただし、申請時より交付申請時に高い金額を入力したい場合は、一度事務局へ相談する必要があります。申請で申告した金額より高く申告する場合は、事務局へ相談しなければならないと覚えておきましょう。

なお、交付申請の際の経費明細表をダウンロードは、Jグランツにログインしてマイページから可能です。マイページ内の「申請済み」ステータスの左横「ものづくり補助金」と書かれているリンクをクリックして、申請時の応募内容をZipファイルでダウンロードしてください。

遂行状況報告の経費明細表は経費使用状況を記載する

遂行状況報告の経費明細表は、補助金の交付決定額と、交付申請時から遂行状況報告の基準日までに支払った経費状況を記載します。遂行状況報告の基準日は、交付決定日が属する月の翌月から3か月後の末日です。

たとえば、交付決定日が8月10日であれば、遂行状況報告の基準日は11月30日です。そのため、11月30日時点の支払い状況を経費明細表に記載します。

遂行状況報告として提出する経費明細表のイメージは、以下の通りです。

【遂行状況報告時の経費明細表入力イメージ】(単位:円)

経費区分 補助金交付決定額 (A)事業に要する経費
(税込みの額)
(B)補助対象経費
(税抜きの額)
(C)補助金交付申請額
((B)補助対象経費×補助率
以内(税抜きの額))
(E)積算基礎
((A)事業に要する経費
の内訳(機械装置名、
単価×数量等))
(D)補助率  1 / 2
機械装置・システム構築費
(単価50万円以上)
1,200,000  1,100,000 1,000,000 500,000 業務用オーブン
単価税抜き1,000,000×1
機械装置・システム構築費
(単価50万円未満)
440,000 440,000  400,000 200,000 キャビネット架台
単価税抜き
100,000×4
技術導入費  100,000  100,000 90,000 45,000 ◯◯の商標登録事務所依頼費用×1、◯◯の特許権存続の延長登録出願料×1
専門家経費 250,000  250,000 225,000 112,500 ◯◯大学教授の顧問料(1日5万円×5日分(◯月□日~◯月□日)

参考:ものづくり補助金の公式サイト「公募要領」ページよりダウンロードできる「参考様式1 事業計画書 記載項目」の5.経費明細表

遂行状況を報告する際は、事業者は既に補助事業を開始しているため、補助事業を開始したあとで発生する最新の経費支払い状況を報告します。経費明細表に記載する数値は、補助事業自体に必要になる経費や税抜きの補助対象経費で分けて記載します。

遂行状況報告時の経費明細表を書く際は、応募申請時や交付申請時の書類と異なり、補助金の交付決定額や経費の最新情報を入力します遂行状況報告書を提出する場合はものづくり補助金の事務局より連絡があるので、忘れずに経費明細表を添付しましょう。

なお、遂行状況報告時の経費明細表の様式は、ものづくり補助金の公式サイトから「遂行状況関連資料」をダウンロードして使用します。「遂行状況関連資料」の中にある「様式第5」「様式第5別紙」「【ものづくり補助金】遂行状況報告書の作成方法」のうち、「様式第5別紙」ある経費明細表を選んでください。

実績報告の経費明細表は経費使用状況の実績を記載する

実績報告での経費明細表は、事業者は予算額と実績額に分けて記載します。実績報告の経費明細表では、左側に予算額を、右側に実際に支払った実施額を記載します。

【実績報告での経費明細表の書き方】

予算額(交付決定額または変更申請額) 実施額
経費区分 A B   B×1/2以内  A B B×1/2以内
補助事業に要する経費(税込み) 補助対象経費(税抜き)  補助金交付決定額(税抜き)  補助事業に要した経費(税込み) 補助対象経費(税抜き) 補助金の額(税抜き)
機械装置・システム構築費
(単価 50 万円以上)
1,100,000  1,000,000  500,000 1,090,000 981,000 490,500
機械装置・システム構築費 (単価 50 万円未満)  440,000 400,000  200,000 440,000 400,000 200,000

参考:ものづくり補助金の公式サイト「公募要領」ページよりダウンロードできる「参考様式1 事業計画書 記載項目」の5.経費明細表

たとえば、単価50万円以上の機械装置・システム構築費の経費明細表を書く場合は、左側の「予算額」には交付申請の際に記載した金額、または遂行状況報告の際に記載した金額を記入します。そして、右側には実際に支払った金額を記入します。

実績報告時の経費明細表には積算基礎の欄はありません。実績報告時の経費明細表は、Jグランツに直接入力することになるので留意しましょう。

なお、実績報告の経費明細表で何を入力するのかは、事前項目を確認できます。ものづくり補助金の公式サイトの「補助事業の手引」からダウンロードできる「実績報告関連資料」Zipファイル内の「実績報告書【様式第6】」を参考にしてください。

実績報告には経費明細表の他に費目別支出明細書がある

実績報告をする際には、補助対象経費の内訳報告として経費明細書の他に費目別支出明細書も提出します。

費目別支出明細書は、日々の経費支払いを機械装置・システム構築費や技術導入費などの費目別に日付ごとに支払先、金額、内容等を入力する書類です。これに対し、経費明細表は費目別支出明細書に記載した内容を転記しまとめる書類です。

【費目別支出明細書の見本】
管理No. 支払年月日 支払先 内容および仕様等詳細 数量 単位 単価

補助事業に
要した経費

<支払額>

(税込み)

補助対象経費
 (税抜き)
1  
2
3  

実績報告は事業者にとって補助事業における最後の報告書類です。経費に関わる書類は「経費明細書」「費目別支出明細書」の2点を提出すると覚えておきましょう。

この記事のまとめ

ものづくり補助金の経費明細表は、「申請」「交付申請」「遂行状況報告」「実績報告」のときに提出する書類です。事業者が補助事業で支払う予定または支払った経費を、品目ごとに経費明細表の項目に沿って金額と内訳を記載します。

手続きにより、経費明細表は直接Jグランツに入力する場合と、ものづくり補助金から様式をダウンロードして入力する場合があります。経費明細表の様式については、ものづくり補助金の公式サイトから「Jグランツ入力ガイド」を確認してみましょう。

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