補助金ガイド

事業再構築補助金における人件費とは?算出が必要な場面も解説

2024/05/07

2023/9/29

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業再構築補助金に申請を予定している人の中には、人件費も補助対象経費になるのか知りたい人もいますよね。また、事業再構築補助金において「どのような場面で人件費の算出が必要になるか」を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築補助金における人件費を解説します。人件費の算出が必要な場面も解説するため、事業再構築補助金に申請予定の人は参考にしてみてください。

なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。

人件費は事業再構築補助金において補助の対象外になる

人件費は、事業再構築補助金において補助の対象外の経費です。補助対象になる経費は、補助事業のみで使うことが前提であり、他の事業で使えるような汎用性のある経費や一般管理費は補助の対象にならないためです。

たとえば、補助事業で使う新たなシステムを自社で開発する際、自社開発でかかる人件費は補助の対象外です。システムの開発を一部外注する場合は「外注費」として経費を計上できるため、補助の対象になる場合があります。

また、補助事業でポータルサイトを開設する際、コンテンツの運営に関するコンサルタントへの相談や依頼費用は「専門家費」として経費を計上できます。人件費では対象外になる費用も、他の経費項目を利用することにより経費として申請できる可能性があります。

事業再構築補助金において、人件費は補助の対象外になります。補助対象経費や補助の対象外になる経費が知りたい人は「事業再構築補助金における補助対象経費は何か?対象外になる経費も解説」を参考にしてみてください。

事業再構築補助金において人件費の算出が必要な場面

事業再構築補助金において、人件費の算出が必要な場面は限られています。

【事業再構築補助金において人件費の算出が必要な場面】
  • 事業計画書に記載する収益計画の付加価値額の計算
    (付加価値額要件を満たしていることの証明)
  • 収益事業を行っていることを説明する書類の作成
    (法人事業概況説明書)

※場合によって「売上高等減少要件を付加価値額の減少で満たす場合の書類」も該当する

事業再構築補助金の申請の際、人件費の算出が必要な場面は、おもに必要書類の準備をする際です。事業計画書の収益計画の記載や、収益事業を行っていることを説明する書類の作成時に、人件費の算出が必要です。

事業再構築補助金に申請する人は、人件費の範囲や定義を理解して、要件を満たしていることを提出書類で示しましょう。

なお、売上高等減少要件を付加価値額で満たす際は「人件費」「月別の営業利益」「減価償却費」がわかる試算表の添付が求められます。その際、書類を確認する第3者がわかるように、付加価値額の算出根拠となる数字に下線を引いておく必要があります。

事業計画書に記載する付加価値額の計算で人件費を使う

付加価値額は「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足して算出します。付加価値額の計算は、事業計画書に記載する収益計画において、付加価値額要件を満たしていることを示すために必要となります。

【事業計画書に記載する収益計画表の例】
直近
(実績)
補助事業年度 1年後 2年後 3年後
①売上高
②営業利益
③経常利益
④人件費
⑤減価償却費
付加価値額(②+④+⑤)
伸び率(%)
従業員数
従業員一人あたりの付加価値額
(計算方法)
・付加価値額
= 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
・伸び率 (%)
=(伸び率を確認したい年度の経常利益 ― 直近期末の経常利益額 )÷ 直近期末の経常利益額
・従業員一人あたりの付加価値額
= 従業員一人当たりの売上高(売上高÷従業員数)× 付加価値率(付加価値額 ÷ 売上高)

収益計画は、補助事業終了後3年~5年までの売上や利益の見込みを記載します。その際、付加価値額要件で定められた「付加価値額の年率平均」または「従業員一人あたりの付加価値額」を基準値以上に増加させる計画であることが求められます。

また、個人事業主の付加価値額を計算する場合、家族等の給料と事業主個人の収入は、人件費に含めずに計算します。所得税青色決算書の用紙では、㊳専従者給与と㊸青色申告特別控除前の所得金額の項目をさします。

人件費は、事業計画に記載する収益計画において、付加価値額の計算で用いる経費項目です。事業計画書の収益計画を作成する際は、売上高や利益とあわせて、人件費や減価償却費などの経費項目の見込みも算出しましょう。

なお、事業計画書の記載例が見たい人は「事業再構築補助金の事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。

収益事業を行っていることを説明する書類に人件費を記載する

申請時の必要書類のうち「収益事業を行っていることを説明する書類」には、人件費を記載する項目があります。収益事業を行っていることを示す書類の一つである「法人事業概況説明書」の場合は、見本である「法人事業概況説明書の書き方(P3~)」に従って記載します。

【収益事業を行っていることを説明する書類】
法人 個人事業主
  • 直近の確定申告書別表一
  • 法人事業概況説明書の控え
<青色申告の場合>
  • 直近の確定申告書第一表
  • 所得税青色申告決算書の控え
<白色申告の場合>
  • 直近の確定申告書第一表
  • 収支内訳書の控え

参考:第12回公募要領|事業再構築補助金

法人事業概況説明書の書き方によると、人件費の項目には「役員に対するものを含む、その月の俸給・給与及び賞与の支給総額を記載」する旨が記されているため、その通りに記載します。

所得税青色申告決算書や収支内訳書も、法人事業概況説明書と同様に、各書類の書き方が記載された見本を参考に記載しましょう。書き方の見本は、確定申告書等の書類とあわせて国税庁の公式サイトからダウンロードできます。

収益事業を行っていることを説明する書類を準備する際は、それぞれの書類の書き方に沿って記載しましょう。その他の必要書類を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金の必要書類は?共通の書類と枠別の書類を解説」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

事業再構築補助金において、人件費は補助対象外となります。しかし、業務を外注するときは「外注費」、コンサルタントへの相談や依頼は「専門家費」など、他の経費項目として人件費に関連する費用を申請できる場合があります。

事業再構築補助金では、事業計画書に記載する収益計画の付加価値額の計算や収益事業を行っていることを説明する書類の準備の際に、人件費の数字を使うタイミングがあります。そのため、事業再構築補助金の申請の準備をする際は、確定申告書等の書類が必要です。

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