補助金ガイド

事業再構築補助金におけるコインランドリー事業の事例と注意点を解説

2024/05/08

2023/10/30

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業再構築補助金への申請を検討している人の中には、コインランドリー事業を始めたいと考えている人もいますよね。その際、事業再構築補助金はコインランドリー事業でどのように活用できるのか知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築補助金におけるコインランドリー事業の事例と注意点を解説します。コインランドリーの開業を考えている人は参考にしてみてください。

なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。

事業再構築補助金に採択されたコインランドリーの事業計画一覧

事業再構築補助金は、コインランドリー事業に活用できます。事業再構築補助金は、異業種からのコインランドリー事業への転換や、新たにコインランドリー事業に参入するなどの思い切った取り組みに活用可能な補助金であるためです。

【コインランドリー事業の採択事例】
現在の業種 内容
清掃業 【取り組み概要】
・コインランドリー参入による地域課題の解決と経営基盤強化
【詳細】
・清掃業のノウハウを活かしてコインランドリーを開業
・従業員の雇用や賃上げにつなげて経営を安定させることを目指す
燃料販売業 【取り組み概要】
・災害時対応型コインドランドリーに挑戦
【詳細】
・既存事業を生かしたLPガスによる発電機を常設する
・災害時に一時避難場所や給電所の役割を担うコインランドリーを開業
クリーニング業 【取り組み概要】
・布団に特化したIoTコインランドリー事業とWEB集荷・宅配事業を展開
【詳細】
・IoT技術、キャッシュレス決済を搭載した布団洗い機を導入
・24時間のWEB集荷宅配システムをあわせて導入し非対面販売を行う
金属加工業 【取り組み概要】
・金属製品製造技術を活かしたコインランドリービジネスを展開
【詳細】
・独自の設備管理・店舗デザイン・製品ショウルーム機能で差別化を図る
・地域社会へ貢献しつつ、金属製品製造業の認知度向上にも寄与する
リフォーム工事業 【取り組み概要】
・カフェ併設のコインランドリー事業に進出
【詳細】
・人口増加が続く地域でカフェ併設コインランドリー事業に進出
・経営のV字回復とともに地域貢献も目指す

参考:補助金交付候補者の採択結果|事業再構築補助金

たとえば、燃料販売業からコインランドリーを開業した事例があります。既存事業の経営が厳しい中、ガスの販売および供給事業を活かし、LPガスの発電機を常設して災害時に一時避難場所と給電所の役割を担うコインランドリーを開業する計画です。

過去の公募回において、コインランドリー事業にかかわるさまざまな事業計画が採択されています。事業再構築補助金がどのような補助金なのか詳しく知りたい人は「事業再構築補助金とは?対象や要件など概要をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。

コインランドリー事業は成長分野進出枠(通常類型)で取り組む事業の対象になっている

コインランドリー事業は、成長分野進出枠(通常類型)で取り組む事業の対象になっています。成長枠は取り組む事業の業種や業態が決められており、コインランドリー事業は「事務局が指定した業種・業態の一覧」に記載があるため成長分野進出枠(通常類型)に申請可能です。

申請枠とは事業計画の目的ごとにわけられた選択項目のことであり、申請者は5つの事業類型からひとつの枠を選択して枠ごとに設けられた申請の要件を満たすことが求められます。申請枠のひとつである成長分野進出枠(通常類型)は、ポストコロナに対応した成長分野への事業再構築に取り組む事業者や、国内市場縮小等の課題に直面している業種・業態の事業者を支援する枠です。

コインランドリー事業は成長枠の指定業種になっています。コインランドリーを開業して事業の再構築をしたいと考えている人は、申請枠を選ぶ際に、成長枠も選択肢のひとつとして検討してみてください。

なお、第12回事業再構築補助金における申請枠は、事業類型として5つ、上乗せ措置として2つの枠が設けられています。他の申請枠や申請枠ごとの要件が知りたい人は「事業再構築補助金の申請要件とは?」を参考にしてみてください。

事業再構築補助金でコインランドリー事業を始める際の注意点

事業再構築補助金を活用してコインランドリー事業を始める際は、注意点を確認しておきましょう。

【コインランドリー事業を始める際の注意点】

  • フランチャイズ加盟料は補助されない
  • 交付決定後から補助事業実施期間内までに発注した経費が補助される
  • 補助金額の範囲は申請枠によって異なる
  • 補助金を受け取るタイミングは事業や手続きが終わった後
  • 経営課題を解決できる事業計画をたてる必要がある

事業再構築補助金には、補助される経費や補助金を受け取るタイミングなど、事業再構築補助金ならではのルールがあるため、申請の前に「使いたい経費が補助されるか」「補助金はいつ受け取れるのか」などの確認が必要です。

フランチャイズ加盟料は補助されない

事業再構築補助金において、フランチャイズ加盟料は補助されません。そのため、コインランドリー事業をフランチャイズで始める場合は、洗濯機や乾燥機などの機械装置費や施設の内装工事費を申請しましょう。

【事業再構築補助金で補助される経費と補助されない経費例】
補助される経費例 補助されない経費例
  • 洗濯機や乾燥機、洗濯乾燥機
(機械装置費)
  • 中古物件の改修費および内装工事費
  • チラシやポスター、建物に接着している看板
(広告宣伝費) など
  • フランチャイズ加盟料
  • 事業にかかる人件費
  • 賃貸物件の家賃や保証金
  • 不動産の購入費
  • 構築物
(青空駐車場や屋上の看板、野立看板)など

参考:第12回「公募要領」|事業再構築補助金

事業再構築補助金では、賃貸物件の家賃や、構築物である青空駐車場も補助の対象外になります。また、事業再構築補助金では、再構築のために取り組む事業(補助事業)以外で使う経費は補助されません。

事業再構築補助金において、フランチャイズ加盟料は補助の対象外です。フランチャイズとしてコインランドリーの開業を考えている人は、フランチャイズ加盟料は補助の対象外であることを踏まえて申請を検討しましょう。

なお、事業再構築補助金において対象になる経費を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金における補助対象経費は何か?対象外になる経費も解説」を参考にしてみてください。

交付決定後から補助事業実施期間内までに発注した経費が補助される

事業再構築補助金においては、交付決定通知書の受領後から補助事業実施期間内までに発注(契約)および支払いを完了した経費が補助されます。交付決定前に発注した経費は補助の対象となりません。

【事業再構築補助金の流れとコインランドリー開業の流れの例】
事業再構築補助金の流れ
(補助金を受け取るまで)
コインランドリー開業の流れ
申請準備
・事業計画書の作成
・認定支援機関の選定
・その他必要書類の準備
・申請手続き
出店計画や相談
・フランチャイズ契約の相談
・資金計画や相談
・立地や物件調査
・業務用機器の選定
審査
交付申請(採択後※)
・必要書類の準備
交付決定通知受領
&補助事業開始
事業で使う経費の購入や業者への発注(契約)
&コインランドリー事業始動
実績報告やその他手続き
・実績報告書の作成
・必要書類の準備
・実績報告報告手続き
・その他手続き
補助金受け取り

事業再構築補助金では、申請で事業計画が採択された後に交付申請を行います。交付申請では事業計画に挙げた経費の経費明細書や見積書などを提出するため、採択結果の発表までに業者に見積りを取っておく必要があります。

経費は「事務局側に事業で必要である」と判断されたものだけが交付申請で認められます。また、申請者が交付決定通知書を受領した日から補助事業を始めることができて、経費の購入が可能となります。

事業再構築補助金では、交付決定前に発注した経費は補助の対象外です。また、経費の支払いは補助事業の実施期間内である必要があるため、資金計画をたてる際は、事業再構築補助金のスケジュールとあわせて資金調達や経費の購入を行いましょう。

補助金額の範囲は申請枠によって異なる

事業再構築補助金において、補助金額の範囲は申請枠によって異なります。補助金額の範囲や補助率は、従業員数や企業規模で異なるためです。

【申請枠ごとの補助金額と補助率】
申請枠(事業類型) 補助金額 補助率

成長分野進出枠

(通常類型)

【従業員数 20 人以下】

100 万円~1,500 万円(2,000 万円)
【従業員数 21~50 人】

100 万円~3,000 万円(4,000 万円)
【従業員数 51~100 人】

100 万円~4,000 万円(5,000 万円)
【従業員数 101 人以上】

100 万円~6,000 万円(7,000 万円)

※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ

中小企業者等1/2 (2/3)
中堅企業等1/3 (1/2)

※()は大規模な賃上げを行う場合

成長分野進出枠

(GX 進出類型)

≪中小企業者等≫
【従業員数 20 人以下】

100 万円~3,000 万円(4,000 万円)
【従業員数 21~50 人】

100 万円~5,000 万円(6,000 万円)
【従業員数 51~100 人】

100 万円~7,000 万円(8,000 万円)
【従業員数 101 人以上】

100 万円~8,000 万円(1億円)


≪中堅企業等≫

100万円~1億円

中小企業者等1/2 (2/3)
中堅企業等1/3 (1/2)
※()は大規模な賃上げを行う場合

コロナ回復加速化枠

(通常類型)

【従業員数 5 人以下】100 万円~1,000 万円
【従業員数6~20 人】100 万円~1,500 万円
【従業員数 21~50 人】100 万円~2,000 万円
【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円

中小企業者等2/3(※1)

中堅企業等1/2(※2)

コロナ回復加速化枠

(最低賃金類型)

【従業員数 5 人以下】100 万円~500 万円
【従業員数6~20 人】100 万円~1,000 万円
【従業員数 21 人以上】100 万円~1,500 万円

中小企業者等 3/4(2/3)
中堅企業等 2/3(1/2)

※()は「コロナ借換要件」を満たさない場合

サプライチェーン強靱化枠

1,000 万円 ~ 5億円以内

※建物費がない場合は3億円以内

中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
卒業促進上乗せ措置 各事業類型補助金額上限に準じて上乗せ 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 100 万円~3,000 万円 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3

(※1)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4
(※2)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3

参考:第12回事業再構築補助金「公募要領(サプライチェーン強靭化枠は別「公募要領」)」|事業再構築補助金

補助される予定の金額は、コインランドリー事業における対象経費に補助率をかけて算出します。ただし、算出した金額が上限を超える場合は上限金額までが補助されることになります。

また、事業再構築補助金は補助金額が100万円以下の場合は利用できません。そのため、申請の際はコインランドリー事業における対象経費に補助率をかけた後の金額が100万円以上であることを確認しておく必要があります。

事業再構築補助金では、補助金額や補助率が申請枠ごとに異なります。事業再構築補助金に申請する際は、実際にいくら補助されるのかを計算して、受け取れる予定の補助金額を把握しておきましょう。

なお、補助される金額は、実績報告後に補助金額確定通知書を受け取ったタイミングで確定します。実績報告の際、事務局に不適切であると判断された経費は補助されない可能性があるため、申請時に算出された金額が確実に受け取れるわけではないことに留意して申請を検討しましょう。

補助金を受け取るタイミングは事業や手続きが終わった後

補助金を受け取るタイミングは補助事業や手続きが終わった後です。事業再構築補助金は後払いの制度であり、申請後に補助事業の実施や実際に補助事業で使った経費の報告や手続きが終わってから、申請者が指定した口座に補助金が振り込まれます。

【事業再構築補助金の全体の流れ】

「事業再構築補助金の全体の流れ」の図

参考:第12回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社ソラボが作成

補助事業の実施期間は申請枠ごとに定められており、交付決定後から12ヶ月または28ヶ月以内です。実施期間内であれば、期間の途中で終了させることや期限間際まで行うことも可能です。

また、実績報告にともなう手続きは、書類の不備で差し戻しがある場合、1度で実績報告の申請が通った場合よりもスケジュールに遅れが生じます。そのため、補助金を受け取るタイミングは申請者によって異なります。

補助金を受け取るタイミングは、補助事業の実施や実績報告手続きが終わった後です。補助金が振り込まれるタイミングも申請者ごとに異なるため、申請者は事業再構築補助金の全体のスケジュールを理解した上で補助金を受け取るタイミングを想定しておきましょう。

経営課題を解決できる事業計画をたてる必要がある

事業再構築補助金を活用してコインランドリー事業を行う場合は、現在の経営課題を解決できる事業計画をたてる必要があります。事業再構築補助金には審査があり、提出された事業計画書を見て事業再構築の必要性や課題の解決方法が明確であるかを確認されるためです。

【事業再構築補助金における審査の観点】※全ての事業類型に共通する項目のみ

審査の観点 内容
補助対象事業としての適格性 事業再構築補助金の要件や目的に沿った取り組みか
新規事業の有望度

補助事業として取り組む事業に成長性はあるか

参入可能かつ他社との差別化は可能か

事業の実現可能性

遂行方法やスケジュールが明確かつ妥当か

 

公的補助の必要性

費用対効果は高いか

地域のサプライチェーンに貢献し得るか

補助なしで取り組める事業ではないか

政策点

日本経済の構造転換に資するか

技術の活用によって日本の経済成長を牽引し得るか

地域における雇用の創出や経済成長を牽引し得るか

※その他、申請枠ごとの審査の観点が設けられている場合がある

参考:第12回「公募要領」|事業再構築補助金

事業計画には、現在の事業状況や経営課題、課題解決のための事業内容など「なぜ事業再構築が必要で、現在の課題を解決するために、どのような事業再構築を実施するか」を第3者に伝わるように明記する必要があります。

事業計画でコインランドリー事業を実施する場合は「経営課題を解決するためにコインランドリー事業に取り組む必要性」を根拠とともに示すことが求められます。事業を実施した場合の収益計画も記載する必要があるため、コインランドリー事業で見込める売上や利益も明記する必要があります。

さらに、審査の観点に加えて加点項目も設けられています。加点を取ることにより審査において有利となる可能性があるため、審査項目とあわせて加点項目も確認しておきましょう。

なお、事業計画書の書き方や記載例を参考にしたい人は「事業再構築補助金の事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

事業再構築補助金は、コインランドリー事業に活用できます。コインランドリー事業は成長分野進出枠(通常類型)における指定業種になっているため、成長分野進出枠(通常類型)で申請することが可能です

事業再構築補助金を活用してコインランドリー事業を始める際は、補助される経費や補助金を受け取るタイミングなどの注意点を確認しておきましょう。

なお、事業再構築補助金の需給には審査があります。公募要領では審査項目が公表されているため、審査の観点に沿った事業計画を意識しましょう。

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