事業再構築補助金の必要書類は?共通の書類と枠別の書類を解説
2023/09/27
2022/7/12
事業再構築補助金の申請を検討している人の中には、必要書類が知りたい人もいますよね。その際、申請枠ごとの必要書類が知りたい人もいるでしょう。
当記事では、事業再構築補助金の必要書類を解説します。すべての申請枠で共通する書類と枠別の書類を解説するので、事業再構築補助金の必要書類を準備する人は参考にしてみてください。
なお、この記事は第11回事業再構築補助金の「公募要領」をもとに作成しています。
目次
申請時の必要書類には共通の書類と枠別の書類がある
事業再構築補助金の申請時の必要書類は、すべての申請枠に共通する書類と申請する枠別に準備が必要な書類があります。書類によっては準備に時間がかかるため、申請を決めた人は、遅くとも申請締切の1か月前には書類の準備をはじめておくことが望ましいです。
すべての申請枠に共通する書類 | 事業計画書 認定経営革新等支援機関による確認書 (金融機関による確認書) 決算書 ミラサポplus「ローカルベンチマーク」 労働者名簿 収益事業を行っていることを説明する書類 新築の必要性に関する説明書 |
|
申請枠ごとに異なる書類
|
成長枠 | 賃金引上げ計画の誓約書 市場拡大要件を満たすことの説明書 |
グリーン成長枠 | 賃金引上げ計画の誓約書 研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書 |
|
産業構造転換枠 | 市場縮小要件を満たすことの説明書 | |
最低賃金枠 | 最低賃金確認書 売上高の減少を証明する書類 |
|
物価高騰対策 ・回復再生応援枠 |
中小企業活性化協議会等による確認書 売上高の減少を証明する書類 ※上記のどちらかを提出 |
|
卒業促進枠 | 卒業計画書 | |
大規模賃金引上促進枠 | 賃上げ表明書 大規模賃上げおよび従業員増加計画書 |
|
<場合によって必要になる書類> ①大規模な賃上げに取り組むための計画書 成長枠またはグリーン成長枠で補助率引上げを受ける場合 ②別事業要件および能力評価要件の説明書 過去の採択者がグリーン成長枠または産業構造転換枠に申請する場合 ③廃業計画書 産業構造転換枠に申請して廃業費を計上する場合 ※申請書類のフォーマットは事業再構築補助金公式サイト「電子申請用資料」を参考にしてください。 |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
申請で提出する書類は、補助事業の内容や申請枠の要件を満たすことを証明する書類になります。必要書類には、認定経営革新等支援機関や金融機関による確認書のように、ほかの機関に依頼して準備するものもあるため、申請の準備は計画的に行いましょう。
事業再構築補助金の必要書類には、申請枠で共通する書類と異なる書類があります。事業再構築補助金の公式サイトに「添付書類確認シート」があるため、申請の際は添付書類確認シートをもとに、書類の添付漏れチェックをしましょう。
すべての申請枠に共通する書類は7種類ある
すべての申請枠に共通する書類は7種類あります。
|
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
決算書や収益事業を行っていることを証明する書類は、法人と個人事業主で準備する書類の種類が異なります。事業計画書や金融機関による確認書は、補助金の申請額によって提出書類の条件が異なるため、必要書類を準備する際は、公募要領(P55)を確認してください。
事業計画書
事業計画書は「補助事業の内容が審査基準を満たしていること」を示す書類です。事業再構築補助金に申請する人は、審査基準を満たす事業計画を作成し、認定支援機関に事業計画の内容を確認してもらう必要があります。
①補助事業の具体的取組内容 (事業計画書の1ページ目は書き方や内容が決められている) ②将来の展望 ③本事業で取得する主な資産 ④収益計画 |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
事業計画書の1ページ目には、事業再構築の定義を満たしていることを示す必要があります。事業計画書の1ページ目のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」事業計画書表紙(Word)からダウンロードできます。
2ページ目以降に「既存事業の強みや弱み」「事業再構築の必要性」など、補助事業の具体的な内容を記載します。2ページ目以降の書き方は決まっていないため「将来の展望」「本事業で取得する主な資産」「収益計画」を公募要領の内容をもとに記載してください。
事業計画書は、1ページ目で事業再構築の定義を満たしているかの審査が行われ、満たしていないと判断された場合、不採択となります。事業計画書の書き方や記載例が知りたい人は「事業再構築補助金の事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。
認定経営革新等支援機関や金融機関による確認書
事業再構築補助金の申請には、認定経営革新等支援機関による確認書が必要です。認定支援機関とは、中小企業支援が一定レベルにあると国に認められた機関のことです。おもに、中小企業診断士や税理士、行政書士などが挙げられます。
事業再構築補助金の事業計画は、公募要領に「事業計画は認定支援機関の確認を受ける」旨が記載されています。そのため、認定支援機関の確認を受けたことを示す書類の提出が必要です。
補助金額が3,000万円を超える事業計画を申請する場合は「金融機関による確認書」も必要になります。その際、事業計画の確認を依頼する金融機関が認定支援機関に登録されている場合は「認定経営革新等支援機関による確認書」だけで申請可能です。
事業再構築補助金に申請する際は「認定経営革新等支援機関による確認書」を発行してもらう必要があります。場合によっては「金融機関による確認書」の提出も求められます。事業計画の確認をしてもらうときは、確認書の発行もしてもらいましょう。
なお、申請で不明点がある人は、申請相談を受け付けている認定支援機関を探しましょう。認定支援機関の選び方を知りたい人は「事業再構築補助金における認定支援機関とは?選び方や役割を解説」を参考にしてみてください。
決算書
決算書は、事業の状況を示すための書類です。申請の際は、直近2年間の貸借対照表や損益計算書などの決算書の提出が求められます。
法人 |
※直近2年間(2年分の提出ができない場合は1期分) |
個人事業主や決算書の添付ができない中小企業等 |
|
2年間の決算書が提出できない場合は、1期分の決算書を提出します。その際、特定非営利活動法人であれば活動計算書、決算書の提出ができない個人事業主や中小企業等は、法人等の全体の事業計画書および収支予算書を代わりに提出できます。
なお、添付書類のデータにパスワードがある場合や、決算報告書の事業者名と申請者名が一致していない場合は、書類の不備とみなされます。決算書を準備する人は、添付する前に一度確認しましょう。
ミラサポplus「ローカルベンチマーク」
事業再構築補助金に申請する際は、ミラサポplus「ローカルベンチマーク」を利用し、事業財務情報を示す必要があります。ミラサポplus「公式サイト」にログインし「ローカルベンチマーク」の事業財務情報に自社の財務情報を入力後、PDF保存して申請時に添付します。
①gBizIDを取得する ②ミラサポplusの会員登録とgBizIDを紐づける ③ミラサポplusにgBizIDでログインする ④「(必須)電子申請サポート(事業財務情報)」を入力する ⑤電子申請サポート(事業財務情報)を印刷(PDF保存)する |
参考:ミラサポplus「事業債務情報入力マニュアル」をもとに株式会社SoLaboが作成
ID申請や、画面操作などの詳細が知りたい人は、ミラサポplusの公式サイトの「事業債務情報入力マニュアル」から確認できます。
なお、gBizIDの取得には2週間~3週間程度かかる可能性があります。「電子申請サポート」の事業財務情報を準備する人は、早めにgBizIDを取得しておきましょう。
労働者名簿
労働者名簿は、従業員数を示すための書類です。労働基準法に基づく、労働者名簿の写しを準備します。
①表題を「労働者名簿」にする ②全従業員の分かる資料にする ③必ず通し番号を入れる ④従業員の人数を申請画面と一致させる |
たとえば、労働者名簿には、氏名、生年月日、年齢、性別などが記載されています。従業員数を示す書類を作成する人は、労働者名簿を基としてWordかExcelで従業員情報をまとめていきます。
従業員に役員は含まれませんが、定期雇用しているパートやアルバイトは含まれます。雇用形態によって従業員としてカウントするか決まるため、従業員数を示す書類を準備する人は、あらかじめ雇用形態を確認した上で労働者名簿を作成する必要があります。
また、労働者名簿に該当する人がいない場合は、従業員がいない旨を記載した書類を添付する必要があります。従業員がいない事業者は、従業員がいない旨をWordやExcelなどで作成して書類を添付しましょう。
収益事業を行っていることを説明する書類
収益事業を行っていることを説明する書類は確定申告書類を提出します。法人と個人事業主で提出する書類が異なるため、申請前に一度、書類の種類に間違いがないか確認しましょう。
法人 | 個人事業主 |
|
<青色申告の場合>
|
確定申告書の控えは、e-Taxを使用したデータの控えの場合、メール詳細画面の受信通知データと申告データが必要です。紙媒体の確定申告書の控えを紛失してしまった場合は、税務署に再発行の申請をすることが可能です。
e-Taxを使用した確定申告書の控えの確認方法や、紙媒体の控えを紛失した際の再発行の方法は、資金調達ノート「確定申告書の控えを受け取るには?」を参考にしてみてください。
新築の必要性に関する説明書
申請の際、新築の建物を経費として計上している場合「新築の必要性に関する説明書」の提出が必要です。新築の必要性に関する説明書には、建物費として計上する経費の詳細と、建物を新築することが補助事業において必要不可欠、かつ代替手段がないことを説明します。
山間部の農家が、畑から採れたての野菜を用いて新たにレストラン運営を行うため、新たに店舗が必要となる。 |
引用:事業再構築補助金公式サイト「事務局からのご案内:一覧>新築の建物が必要不可欠であるかの判断事例」
新築の必要性に関する説明書は、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からフォーマットがダウンロードできます。また「新築の建物が必要不可欠であるかの判断事例」が紹介されているので、新築の建物を経費として申請したい人は参考にしてみてください。
なお、補助対象経費が確定するのは、交付決定の段階です。事業計画が採択されたとしても、交付決定時の補助対象経費を精査する段階で、新築の建物が補助の対象外になる可能性もあることを留意して経費の申請をしましょう。
申請枠に応じた必要書類を準備する
事業再構築補助金の必要書類には、すべての申請者に共通する書類のほかに、申請する枠ごとに準備する書類があります。
申請枠 | 必要書類 |
成長枠 | 賃金引上げ計画の誓約書 市場拡大要件を満たすことの説明書 |
グリーン成長枠 | 賃金引上げ計画の誓約書 研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書 |
卒業促進枠 | 卒業計画書 |
大規模賃金引上促進枠 | 賃上げ表明書 大規模賃上げおよび従業員増加計画書 |
産業構造転換枠 | 市場縮小要件を満たすことの説明書 |
最低賃金枠 | 最低賃金確認書 売上高の減少を証明する書類 |
物価高騰対策 ・回復再生応援枠 |
中小企業活性化協議会等による確認書 売上高の減少を証明する書類 ※上記のどちらかを提出 |
<場合によって必要になる書類> ①大規模な賃上げに取り組むための計画書 成長枠またはグリーン成長枠で補助率引上げを受ける場合 ②別事業要件および能力評価要件の説明書 過去の採択者がグリーン成長枠または産業構造転換枠に申請する場合 ③廃業計画書 産業構造転換枠に申請して廃業費を計上する場合 |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
「申請する枠の要件を満たしていること」を示す書類になるため、申請する枠を確認するときにあわせて必要書類も確認しておきましょう。
成長枠の申請に必要な書類
成長枠の申請に必要な書類は、2種類あります。
成長枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①賃金引上げ計画の誓約書 ②市場拡大要件を満たすことの説明書 |
①給与総額増加要件 ②市場拡大要件 |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
賃金引上げ計画の誓約書には、増加させる給与支給額の目標数値を記載し、社名や代表者名などの署名をして、提出します。
市場拡大要件を満たすことの説明書には、補助事業で取り組む市場が拡大する根拠を示します。政府が公表している統計や、業界団体が作成した推計などを用いて、補助事業で取り組む市場が「10年前~10年後のいずれか10年間」で10%拡大する旨を説明することが必要です。
成長枠の必要書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
成長枠またはグリーン成長枠の申請者が補助率引上げを受ける場合の書類
成長枠またはグリーン成長枠の申請者が補助率引上げを受ける場合は、補助率引上要件を満たすため、大規模な賃上げに取り組むための計画書が必要です。
①補助事業期間内に給与支給総額を年平均 6%以上増加させること ②補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げること |
引用:第11回事業再構築補助金「
大規模な賃上げに取り組むための計画書には、補助事業終了までに具体的に何をして賃上げを達成するかを記載し、補助事業終了後から3~5年後に想定される賃上げの見込みを、図表や写真などを用いて示すことが求められます。
その際、賃上げに必要な経費や資金などを具体的に記載し、継続的な賃上げ計画が実現可能であることを示します。また、賃上げと事業の成長や継続が可能であるように、将来の利益を人件費や設備投資などに、適切に分配する計画をたてることが必要です。
補助率引上げを受ける場合の書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
グリーン成長枠の申請に必要な書類
グリーン成長枠の申請に必要な書類は、2種類あります。必要書類のうち一つは、成長枠と同じ書類の賃金引上げ計画の誓約書です。
グリーン成長枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①賃金引上げ計画の誓約書 ②研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書 |
①給与総額増加要件 ②グリーン成長要件 |
もう一つの必要書類は、研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書のどちらか一方を選びます。補助事業で取り組む内容によって、提出する書類が異なるためです。
研究開発・技術開発計画書の場合、研究開発・技術開発の具体的な取組内容や期待される効果などを記載します。また、取り組む分野の課題や技術的な目標、スケジュールまで詳細に記載する必要があります。
人材育成計画書の場合、人材育成の具体的な内容や身につくスキルなどを記載します。また、人材育成において研修の受講は必須であるため、スケジュールをたてる際は、研修のスケジュールも含めることが求められます。
グリーン成長枠では、エントリーとスタンダードで要件達成の目標値が異なるため、記載する際は再度申請する枠の種類を確認しましょう。グリーン成長枠の必要書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
過去の採択者がグリーン成長枠または産業構造転換枠に申請する場合の書類
過去の公募回の採択者が、グリーン成長枠または産業構造転換枠に申請する場合は、別事業要件および能力評価要件の説明書が必要です。
<別事業要件> 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること <能力評価要件> 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること |
引用:第11回事業再構築補助金「
別事業要件の欄には、過去に採択または交付決定を受けている補助事業と、今回の公募で取り組む補助事業が異なるものであることを記載します。
能力評価要件の欄には、過去に採択または交付決定を受けている事業を行いながら、今回の公募で取り組む補助事業を問題なく実施できる体制と、資金力があることを記載します。
過去の採択者が、グリーン成長枠または産業構造転換枠に申請する場合の書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
産業構造転換枠の申請に必要な書類
産業構造転換枠の申請に必要な書類は、1種類あります。
産業構造転換枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①市場縮小要件を満たすことの説明書 | ①市場縮小要件 |
市場縮小要件を満たすことの説明書には、既存事業の市場が縮小する根拠を示します。政府が公表している統計や、業界団体が作成した推計などを用いて、既存事業の市場が「10年前~10年後のいずれか10年間」で10%縮小することの説明が求められます。
仮に、過去10年間のデータを使用する場合は、基本はコロナ前の2019年までの期間が対象となります。ただし、コロナ後の期間を含んでいたとしても、コロナによる特異的な影響を受けていない場合は、コロナ期間中のデータでも市場縮小の根拠として認められます。
産業構造転換枠の必要書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
産業構造転換枠に申請し、廃業費を計上する場合に必要な書類
産業構造転換枠に申請して廃業費を計上する場合は、廃業計画書の提出が求められます。廃業費は、産業構造転換枠に申請した人のみが利用できる、特殊な経費項目であるためです。
廃業計画書には、廃業になる既存事業の概要や廃業が必要な理由を記載します。また、廃業のスケジュールや具体的な費用も示す必要があります。
廃業手続き費の対象にならない経費もあるため、廃業計画書を見て経費の詳細を確認しましょう。廃業計画書のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
最低賃金枠の申請に必要な書類
最低賃金枠の申請に必要な書類は、2種類あります。
最低賃金枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①最低賃金確認書 ②売上高の減少を証明する書類 |
①最低賃金要件 ②売上高等減少要件 |
最低賃金確認書には、2022年10月~2023年8月までの任意の3か月間の全従業員数や、最低賃金+50円以内で働いている従業員数などを記載して、要件を満たしていることを示します。また、最低賃金の対象となる賃金や手当の名称も記載が必要です。
売上高の減少を証明する書類には、確定申告書の準備が必要です。基準となる期間内の任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していることを示すことが求められます。
売上高の減少で売上高等減少要件を満たせない場合は、付加価値額の減少で売上高等減少要件を満たすことが可能です。最低賃金確認書のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
売上高等減少要件を満たすには売上高または付加価値額の減少を示す書類が必要
売上高等減少要件を満たすには、売上高または付加価値額の減少を示す書類が必要です。売上高の減少を示す書類は5種類あり、法人と個人事業主で準備する書類が異なります。
企業形態 | 売上高の減少にかかる証明書類 |
法人 | ①確定申告書別表一の控え1枚 ※2022年1月以降の半年間のうち、任意の3か月の比較対象となる、 2019~2021年の間の同3か月の売上がわかること ②法人事業概況説明書の控え(両面) ※①の確定申告書と同年度であること ③受信通知1枚(e-Taxで申告している場合のみ) ④確定申告書別表一の控え1枚 ※申請に用いる任意の3か月の売上がわかること ⑤法人事業概況説明書の控え(両面) ※④の確定申告書と同年度であること |
個人事業主 | ①確定申告書別表一の控え1枚 ※2022年1月以降の半年間のうち、任意の3か月の比較対象となる、 2019~2021年の間の同3か月の売上がわかること ②所得税青色申告決算書の控えがあれば提出(両面) ※①の確定申告書と同年度の月別売上の記入があること ③受信通知1枚(e-Taxで申告している場合のみ) ④確定申告書第一表の控え1枚 ※申請に用いる任意の3か月の売上がわかること ⑤所得税青色申告決算書の控えがあれば提出(両面) ※④の確定申告書と同年度の月別売上の記入があること |
たとえば「2022年10月~12月」の3か月の売上高を対象とした場合、確定申告書別表一の控えを準備する際は、比較対象となるコロナ禍の「2020年10月~12月」の売上高がわかる確定申告書が必要です。
個人事業主で白色申告の人は、月別の売上が分かるページが確定申告書にありません。そのため、白色申告の場合は収支内訳書を添付し、あわせて対象月の月間売上がわかる売上台帳や、帳面などの確定申告の基礎となる書類を提出しましょう。
また、付加価値額の減少で売上高等減少要件を満たす場合は「月別の営業利益」「人件費」「減価償却費」が確認できる資料が必要であるため、確定申告書の基礎となる試算表などの資料を提出します。
売上高等減少要件の証明に必要な書類や、付加価値額の減少で要件を満たす場合の書類を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金における売上高減少要件と売上高10%要件を解説」を参考にしてみてください。
物価高騰対策・回復再生応援枠の申請に必要な書類
物価高騰対策・回復再生応援枠の申請には、2種類あるうちどちらか一つの書類を提出します。
産業構造転換枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①中小企業活性化協議会等による確認書 ②売上高の減少を証明する書類 |
①再生要件 ②売上高等減少要件 |
再生計画等にかかわる書類は「中小企業活性化協議会等において事業の再生計画等を策定中であること」、または「事業の再生計画等は策定済で、再生計画成立後3 年以内であること」を示すものになります。
中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)は、全国の商工会議所などが運営している「中小企業の活性化を支援する公的機関」です。金融機関や民間専門家などと連携して事業再生や経営改善を支援する取り組みを行っています。
再生計画等にかかわる書類(中小企業活性化協議会等による確認書)のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
卒業促進枠の申請に必要な書類
卒業促進枠の申請に必要な書類は、1種類です。
卒業促進枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①卒業計画書 | ①卒業要件 |
卒業計画書には、現状の資本金や従業員数と、事業計画期間の資本金や従業員数の推移を記載します。また、補助事業を基礎として「法人規模の成長や拡大を目指すため具体的に何を行い、何にどのくらい支出するのか」などを細かく記載します。
卒業計画書のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
大規模賃金引上促進枠の申請に必要な書類
大規模賃金引上促進枠の申請に必要な書類は、2種類あります。
大規模賃金引上促進枠の必要書類 | 必要書類にかかわる申請枠の要件 |
①賃上げ表明書 ②大規模賃上げおよび従業員増加計画書 |
①賃金引上要件 ②賃金引上要件、従業員増員要件 |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
賃上げ表明書には、事業場内最低賃金を増加させることを表明する代表者の氏名や、経理担当者および事業場内最低賃金で働く従業員名の署名が必要です。
大規模賃上げおよび従業員増加計画書には、現状の事業場内最低賃金や従業員数と、事業計画期間の事業場内最低賃金や従業員数の推移を記載します。また、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画であることが求められます。
さらに、事業場内最低賃金や従業員数の向上の補助事業との関連性や、事業計画期間における売上高や各利益などの財務状況の想定を表で記載します。
大規模賃金引上促進枠の申請に必要な書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
共通の書類や申請枠ごとの書類以外で追加の提出書類が必要な場合
事業再構築補助金の申請時の必要書類には、共通の書類や申請枠ごとの書類以外で追加の提出書類が必要な場合があります。
提出書類 | 提出が必要な場合 |
①リース料軽減計算書 ※(公社)リース事業協会に確認をもらうこと ②リース取引に係る宣誓書 |
リース会社と共同申請する場合 |
①連携の必要性を示す書類 ②連携体各者の事業再構築要件についての説明書類 |
複数の事業者が連携して 事業に取り組む場合 |
①組合特例に関する確認書 | 組合特例を用いる場合 |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
リース料軽減計算書はリース会社が作成し、(公社)リース事業協会が確認します。また、リース取引に係る宣誓書はリース会社に記入を依頼します。リース料軽減計算書はフォーマットがないため、リース会社と共同申請する事業者はリース会社に書類の準備を依頼しましょう。
共通の書類や申請枠ごとの書類以外の提出書類のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」からダウンロードしてください。
審査で加点を希望する場合は加点の条件にあわせて書類を準備する
申請の際、審査で加点を希望する場合は、加点の条件にあわせて書類の準備をしましょう。
加点 | 書類の種類 | 条件 |
加点① | 売上高の減少に かかる証明書類 |
2022年1月以降のいずれかの月の売上高が30%以上、 または付加価値額が45%以上減少していること (2019~2021年の同月と比較したとき) |
加点② | 再生計画等に かかわる書類 |
・中小企業活性化協議会等から支援を受けていること ・再生計画等を「策定中」であること、 または「策定済」で再生計画成立後3 年以内であること |
参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成
加点①の書類は、売上高等減少要件を満たす書類と同じ種類ですが、達成条件となる数値が異なります。加点のために売上高の減少を証明する書類を準備する人は、達成条件の数値にあてはまるかを確認しましょう。
加点②の書類や条件は、再生要件と同じです。そのため、物価高騰対策・回復再生応援枠の申請者が加点②を希望する場合、追加提出は不要となります。
加点を希望する人は、加点の条件や書類をよく確認しておきましょう。
申請手続きの流れ
事業再構築補助金の申請手続きは、専用URLから行います。申請内容に不備がないように、余裕をもったスケジュールで申請しましょう。
申請手続きの流れ | 詳細 |
①gBizID でログイン | 電子申請システムのURL:https://jigyou-saikouchiku-shinsei.jp/ (gBizIDを未取得の人は取得する:https://gbiz-id.go.jp/top/) |
②各申請項目入力 | 申請する経費の金額や事業概要を入力する (事業計画書の内容と一致していること) |
③提出書類を添付する | 1ファイルずつ、各項目にファイルを登録する |
④申請内容を確認する | チェックリスト画面で申請内容に間違いがないか確認する |
⑤申請送信完了 | 画面に表示される受付番号をメモして保存する |
参考:事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料>電子申請システム操作マニュアル(単独申請)」をもとに株式会社SoLaboが作成
事業概要で補助事業の収益計画や申請する経費の金額など、事業計画書に書いてあるものと同じ内容を入力します。入力項目が多いため、こまめに一時保存をして、データが消えないようにしておきましょう。
第11回事業再構築補助金の申請締切は2023年10月6日18時までです。申請の入力や流れは、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」にある電子申請システム操作マニュアルを参考にしてみてください。
なお、交付決定前に補助事業をはじめたい人は、事前着手申請を利用できます。提出する必要書類はなく、専用のURL(https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W2x000006EpDgEAK)から電子申請を行いましょう。
採択後も各種申請の必要書類を準備する
事業再構築補助金では、採択後の各種申請でも、必要書類の準備が求められます。とくに、交付申請や実績報告では、経費に関する資料の準備が必要です。
交付申請の必要書類例 |
|
実績報告の必要書類例 |
|
※<参考様式 21>は事業再構築補助金公式サイト「補助金交付候補者の採択後の流れ・資料>参考様式集第6回~第9回公募用(ZIP)」からダウンロード可
交付申請は「事業計画書に記載した経費が、補助事業において必要不可欠であるか」を事務局側が精査し、補助される経費が確定される段階になります。そのため、経費の詳細がわかる資料の提出が必要です。
実績報告は「どんな事業を行い、補助事業で何にいくら使ったのか」を報告する段階です。そのため、決められた様式の書類と、建物費や研修費などの補助事業で使用した経費ごとに必要な書類を提出します。
交付申請や実績報告では、計上した経費や事業内容によって提出する書類が異なる場合があります。各種申請手続きは、必ず参考資料を読んで余裕をもったスケジュールで申請を行いましょう。
なお、交付申請の必要書類を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金における交付申請の方法と注意点を解説」を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
事業再構築補助金の申請時の必要書類は、7種類のすべての申請枠に共通する書類と、申請する枠別に準備が必要な書類があります。申請枠ごとに必要な書類は、要件を満たしていることを証明する書類になります。
採択後の交付申請や実績報告でも、必要書類の準備が求められます。計上した経費や事業内容によって提出する書類が異なる場合があるため、事前に参考資料を読み、余裕をもったスケジュールで申請の準備をしましょう。