事業再構築補助金の必要書類は?共通の書類と枠別の書類を解説
2024/05/10
2022/7/12
事業再構築補助金へ申請する際には、さまざまな提出書類を用意する必要があります。申請者すべてに共通する書類だけでなく、申請する枠ごとに必要となる書類が異なるため、申請を検討している人は自身がどの書類を用意するべきかを事前に確認しなければなりません。
当記事では、事業再構築補助金の必要書類を解説します。すべての申請枠に共通する書類のほか、申請枠や条件に応じて必要となる書類も解説するので、事業再構築補助金の申請準備をする人は参考にしてみてください。
なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。
目次
申請時の必要書類には共通の書類と枠別の書類がある
事業再構築補助金の申請時の必要書類は、すべての申請枠に共通する書類と申請する枠別に準備が必要な書類があります。書類によっては準備に時間がかかるため、申請を決めた人は、遅くとも申請締切の1か月前には書類の準備をはじめておくことが望ましいです。
共通の書類 |
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申請枠ごとに異なる書類 |
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成長分野進出枠 (通常類型) |
※選択する要件に応じて(a)(b)いずれかを提出 |
成長分野進出枠 (GX進出類型) |
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コロナ回復加速化枠 (通常類型) |
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コロナ回復加速化枠 (最低賃金類型) |
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サプライチェーン強靭化枠 |
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卒業促進上乗せ措置 |
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中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 |
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場合によって必要になる書類 |
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<リース会社と共同申請する場合>
<複数の事業者が連携して事業に取り組む場合>
<加点関係の追加提出書類>
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参考:第12回「公募要領」|事業再構築補助金
申請で提出する書類は、補助事業の内容や申請枠の要件を満たすことを証明する書類になります。必要書類には認定経営革新等支援機関や金融機関による確認書のように、ほかの機関に依頼して準備するものもあるため、申請の準備は計画的に行いましょう。
事業再構築補助金の必要書類には、全ての申請者に共通する書類と申請枠ごとに異なる書類があります。事業再構築補助金の公式サイト「応募申請」のページには申請する際の必要書類が記載されているため、申請の際は添付書類確認に漏れがないか確認しましょう。
すべての申請枠に共通する書類は8種類ある
すべての申請枠に共通する書類は8種類あります。
【共通の書類】
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参考:第12回「公募要領」|事業再構築補助金
決算書や収益事業を行っていることを証明する書類は、法人と個人事業主で準備する書類の種類が異なります。事業計画書や金融機関による確認書は、補助金の申請額によって提出書類の条件が異なるため、必要書類を準備する際は公募要領にある「添付書類」の項目を確認してください。
事業計画書
事業計画書は「補助事業の内容が審査基準を満たしていること」を示す書類です。事業再構築補助金に申請する人は、審査基準を満たす事業計画を作成し、認定支援機関に事業計画の内容を確認してもらう必要があります。
【事業計画書への記載項目】
①補助事業の具体的取組内容 (事業計画書の1ページ目は書き方や内容が決められている) ②将来の展望 ③本事業で取得する主な資産 ④収益計画 |
事業計画書の1ページ目において、事業再構築の定義を満たしていることを示します。また、補助事業で提供する製品・サービスが事業者にとって新規性があることや、新製品・新サービスを通して既存事業と異なる市場に進出することについても説明が必要です。
2ページ目以降に「既存事業の強みや弱み」「事業再構築の必要性」など、補助事業の具体的な内容を記載します。2ページ目以降の書き方は決まっていないため「将来の展望」「本事業で取得する主な資産」「収益計画」を公募要領の内容をもとに記載してください。
事業計画書は、1ページ目で事業再構築の定義を満たしているかの審査が行われ、満たしていないと判断された場合は不採択となります。事業計画書の書き方や記載例が知りたい人は「事業再構築補助金の事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。
認定経営革新等支援機関や金融機関による確認書
事業再構築補助金の申請には、認定経営革新等支援機関や金融機関による確認書が必要です。認定支援機関とは、中小企業支援が一定レベルにあると国に認められた機関のことであり、中小企業診断士や税理士、行政書士などが挙げられます。
事業再構築補助金の事業計画は、公募要領に「事業計画は金融機関または認定支援機関の確認を受ける」旨が記載されています。そのため、認定支援機関の確認を受けたことを示す書類の提出が必要です。
また、補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受ける必要があります。
事業再構築補助金に申請する際は「認定経営革新等支援機関による確認書」または「金融機関による確認書」を発行してもらう必要があります。事業計画の確認をしてもらう際に、確認書の発行も忘れずに依頼しましょう。
なお、申請で不明点がある人は、認定支援機関等に申請の相談をすることも可能です。認定支援機関の選び方を知りたい人は「事業再構築補助金における認定支援機関とは?選び方や役割を解説」を参考にしてみてください。
決算書
決算書は、事業の状況を示すための書類です。申請の際は、直近2年間の貸借対照表や損益計算書などの決算書の提出が求められます。
法人 |
※直近2年間(2年分の提出ができない場合は1期分) |
個人事業主や決算書の添付ができない中小企業等 |
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2年間の決算書が提出できない場合は、1期分の決算書を提出します。その際、特定非営利活動法人であれば活動計算書、決算書の提出ができない個人事業主や中小企業等は、法人等の全体の事業計画書および収支予算書を代わりに提出できます。
なお、添付書類のデータにパスワードがある場合や、決算報告書の事業者名と申請者名が一致していない場合は書類の不備とみなされます。決算書を準備する人は、添付する前に不備がないかどうかを確認しましょう。
ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報
事業再構築補助金に申請する際は、ミラサポplus「ローカルベンチマーク」を利用し、事業財務情報を示す必要があります。ミラサポplus「公式サイト」にログインし「ローカルベンチマーク」の事業財務情報に自社の財務情報を入力後、PDF保存して申請時に添付します。
【ローカルベンチマークの事業財務情報取得方法】
①gBizIDを取得する ②ミラサポplusの会員登録とgBizIDを紐づける ③ミラサポplusにgBizIDでログインする ④「(必須)電子申請サポート(事業財務情報)」を入力する ⑤電子申請サポート(事業財務情報)を印刷(PDF保存)する |
参考:「事業債務情報入力マニュアル」|ミラサポplus
ID申請や画面操作などの詳細が知りたい人は、ミラサポplusの公式サイトの「事業債務情報入力マニュアル」から確認できます。
なお、gBizIDの取得には2週間~3週間程度かかる可能性があります。「電子申請サポート」の事業財務情報を準備する人は、余裕を持ってgBizIDを取得しておきましょう。
労働者名簿の写し
労働者名簿は、従業員数を示すための書類です。労働基準法に基づく、労働者名簿の写しを準備します。
①表題を「労働者名簿」にする ②全従業員の分かる資料にする ③必ず通し番号を入れる ④従業員の人数を申請画面と一致させる |
労働者名簿には、氏名、生年月日、年齢、性別などが記載されています。従業員数を示す書類を作成する際は、労働者名簿を基としてWordかExcelで従業員情報をまとめていきます。
従業員に役員は含まれませんが、定期雇用しているパートやアルバイトは含まれます。雇用形態によって従業員としてカウントするか決まるため、従業員数を示す書類を準備する人は、あらかじめ雇用形態を確認した上で労働者名簿を作成する必要があります。
また、労働者名簿に該当する人がいない場合は、従業員がいない旨を記載した書類を添付する必要があります。従業員がいない事業者は、従業員がいない旨をWordやExcelなどで作成して書類を添付しましょう。
収益事業を行っていることを説明する書類
収益事業を行っていることを説明する書類は確定申告書類を提出します。法人と個人事業主で提出する書類が異なるため、申請前に一度、書類の種類に間違いがないか確認しましょう。
【法人と個人事業主による書類の違い】
法人 |
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個人事業主 |
<青色申告の場合>
<白色申告の場合>
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確定申告書の控えは、e-Taxを使用したデータの控えの場合、メール詳細画面の受信通知データと申告データが必要です。紙媒体の確定申告書の控えを紛失してしまった場合は、税務署に再発行の申請をすることが可能です。
e-Taxを使用した確定申告書の控えの確認方法や、紙媒体の控えを紛失した際の再発行の方法は、資金調達ノート「確定申告書の控えを受け取るには?」を参考にしてみてください。
新築の必要性に関する説明書
申請の際、新築の建物を経費として計上している場合「新築の必要性に関する説明書」の提出が必要です。新築の必要性に関する説明書には、建物費として計上する経費の詳細と、建物を新築することが補助事業において必要不可欠かつ代替手段がないことを説明します。
【新築の必要性が認められる場合の例】
<山間部の農家が、畑から採れたての野菜を用いて新たにレストラン運営を行う計画>
⇒新たにレストラン用の建物を新築することが必要不可欠である。 |
【新築の必要性が認められない場合の例】
<温泉旅館を営む事業者がワーケーション需要に応える新事業を行う計画>
⇒ワーケーション向けの宿泊施設を新築する必要はない。 |
参考:「新築の建物が必要不可欠であるかの判断事例」|事業再構築補助金
建物の新築に係る経費は、事業内容や事業者の状況によって認められる場合と認められない場合があります。「新築の必要性に関する説明書」の内容から新築の必要性が認められた場合に限り、補助対象経費とすることが可能です。
なお、補助対象経費が確定するのは、交付決定の段階です。事業計画が採択されたとしても、交付決定時の補助対象経費を精査する段階で、新築の建物が補助の対象外になる可能性もあることに留意して経費の申請をしましょう。
申請枠に応じた必要書類を準備する
事業再構築補助金の必要書類には、すべての申請者に共通する書類のほかに、申請する枠ごとに準備する書類があります。
申請枠ごとに異なる書類 |
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成長分野進出枠 (通常類型) |
※選択する要件に応じて(a)(b)いずれかを提出 |
成長分野進出枠 (GX進出類型) |
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コロナ回復加速化枠 (通常類型) |
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コロナ回復加速化枠 (最低賃金類型) |
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サプライチェーン強靭化枠 |
(地域サプライチェーン維持・強靭化のみ)
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卒業促進上乗せ措置 |
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中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 |
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申請枠ごとに異なる書類は「申請する枠の要件を満たしていること」を示す根拠となるため、申請する枠を確認するときにあわせて枠ごとの必要書類も確認しておきましょう。
市場拡大要件を満たすことの説明書
市場拡大要件を満たすことの説明書は、補助対象事業の要件のひとつである「市場拡大要件」を満たすことを証明するための書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(通常類型)
- サプライチェーン強靭化枠
市場拡大要件を満たすことの説明書には、取り組む事業が事務局から指定されている業種や業態であることを記載します。事務局が指定する業種や業態の一覧は「事務局が指定した業種・業態」から確認できます。
また、取り組む事業が指定されていない業種や業態の場合は、過去~今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する事業や業態であることを示すデータや統計を添付する必要があります。市場拡大要件を満たすと認められなかった場合は不採択となります。
賃金引上げ計画の誓約書
賃金引上げ計画の誓約書は、補助事業要件のひとつである「給与総額増加要件」を満たすことを証明するための書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(通常類型)
- 成長分野進出枠(GX進出類型)
- サプライチェーン強靭化枠
成長分野進出枠(通常類型)に申請する事業者のうち「市場拡大要件」を満たすことを選択する事業者は、同時に「給与総額増加要件」も満たす必要があるため賃金引上げ計画の誓約書の提出を求められます。
また、成長分野進出枠(GX進出類型)とサプライチェーン強靭化枠に申請するすべての事業者は、賃金引上げ計画の誓約書の提出が必須です。
給与総額増加要件が必須となる事業者は、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中に給与支給総額を年平均成長率で2%以上増加させる計画を立てることが求められるため、賃金引上げ計画の誓約書において要件を満たすことを証明しましょう。
市場縮小要件を満たすことの説明書
市場縮小要件を満たすことの説明書は、補助事業要件のひとつである「市場縮小要件」を満たすことを証明するための書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(通常類型)
市場縮小要件を満たすことの説明書には、取り組む事業が事務局から指定されている業種や業態であることを記載します。事務局が指定する業種や業態の一覧は「事務局が指定した業種・業態」から確認できます。
また、取り組む事業が指定されていない業種や業態の場合は、過去~今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する事業や業態であることを示すデータや統計を添付する必要があります。市場拡大要件を満たすと認められなかった場合は不採択となります。
廃業計画書
廃業計画書は、市場縮小要件を満たして成長分野進出枠(通常類型)に申請する事業者が廃業費を計上する場合にのみ提出が必要な書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(通常類型)
廃業計画書では、廃業費を計上することの妥当性を説明します。廃業費の計上が認められた場合には、通常の補助金額に最大2,000万円が上乗せされます。
ただし、対象経費として廃業費を申請できるのは成長分野進出枠(通常類型)において補助対象事業の要件の「市場縮小要件」を満たして申請する事業者のみです。他にも、上乗せ措置の対象とすることはできないなどの条件があるため、申請を検討する人は注意しましょう。
GX進出計画書
市場縮小要件を満たすことの説明書は、補助事業要件のひとつである「GX進出要件」を満たすことを証明するための書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(GX進出類型)
GX進出計画書には、グリーン成長戦略「実行計画」14分野のうちどの分野の課題解決に資する取組であるかを明記します。
経済産業省の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を参考に、要件を満たす計画を策定しましょう。
大規模な賃上げに取り組むための計画書
大規模な賃上げに取り組むための計画書は、補助事業要件のひとつである「補助率等引上げ要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(通常類型)
- 成長分野進出枠(GX進出類型)
成長分野進出枠の申請者のうち、補助率等引き上げを受ける事業者のみが「大規模な賃上げに取り組むための計画書」を提出します。補助事業実施期間内に給与支給総額を年平均6%以上引き上げるとともに事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画をたてる必要があります。
「大規模な賃上げに取り組むための計画書」は応募時に提出しますが、記載内容の妥当性を審査されたうえで引き上げの対象となるかが決まります。書類を提出すれば必ず補助率や補助金額の引き上げの対象となる訳ではない点に留意しておきましょう。
別事業要件及び能力評価要件の説明書
別事業要件及び能力評価要件の説明書は、補助事業要件のうち「別事業要件要件」と「能力評価要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- 成長分野進出枠(GX進出類型)
- サプライチェーン強靭化枠
過去の公募回において補助金交付候補者として採択されている事業者が、成長分野進出枠(GX進出類型)やサプライチェーン強靭化枠に申請する際には別事業要件及び能力評価要件の説明書の提出が必要です。
すでに採択または交付決定を受けている事業とは異なる事業内容であることや、既存の事業再構築を行いながら新たに事業再構築を行うだけの体制や資金力があることを証明します。
なお、過去の公募回で採択または交付決定を受けている場合は減点の対象となります。また、事業再構築補助金において支援を受けることができるのは2回が上限である点にも留意しておきましょう。
コロナ借換要件・加点確認書
コロナ借換要件・加点確認書は、補助事業要件のひとつである「コロナ借換要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- コロナ回復加速化枠(通常類型)
- コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
コロナ回復加速化枠(通常類型)に申請する事業者は、コロナ借換要件または再生要件のいずれかを満たす必要があります。コロナ借換要件を選択する場合は、借換先の金融機関へ依頼しコロナ借換要件・加点確認書においてコロナ借換保証等で既往債務を借り換えていることを証明します。
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する事業者は、コロナ借換要件は任意の要件となります。ただし、満たさない場合には補助率が引き下げとなる点に留意しましょう。
再生要件を満たすことの証明書類
再生要件を満たすことの証明書類は、補助事業要件のひとつである「再生要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- コロナ回復加速化枠(通常類型)
コロナ回復加速化枠(通常類型)に申請する事業者は、コロナ借換要件または再生要件のいずれかを満たす必要があります。再生要件を満たして申請する場合は、再生要件を満たすことを証明できる書類を用意します。
再生要件を満たす「再生事業者」は、公募要領において「中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者または中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者」と定義されています。
指定の再生計画については公募要領に記載されているため、再生要件を満たして申請することを検討している事業者は自身が再生事業者の対象となるかを確認しておきましょう。
最低賃金確認書
最低賃金確認書は、補助事業要件のひとつである「最低賃金要件」を満たすことを証明する書類です。最低賃金要件を満たすには、2022年10月から2023年9月までの間で3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いることが条件です。
【対象となる申請枠】
- コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する事業者は、最低賃金確認書と併せて賃金台帳の提出も求められます。賃金台帳が提出できない場合は、最低賃金要件の対象となる 3 か月における、最低賃金+50 円以内の従業員全てがわかる書類を提出します。
また、最低賃金額は対象月とした期間の最低賃金を基準とします。自社の地域の最低賃金を確認したい人は、厚生労働省HPの地域別最低賃金額を参照してください
なお、事業場内最低賃金の引上げを実施することによる加点を希望する場合は、その旨を最低賃金確認書に記載してください。
納品があった事実を示す書類
納品があった事実を示す書類は、サプライチェーン強靭化枠に申請する事業者が事業再構築の類型として「国内回帰」を選択した場合に必要となる書類です。
【対象となる申請枠】
- サプライチェーン強靭化枠(国内回帰選択者のみ)
国内回帰における要件のひとつに「海外製造等要件」があります。海外で製造や調達をしている製品の国内生産拠点を整備することが条件となるため、海外からの納品があった事実を示すことができる書類が必要です。
なお、海外製造等要件を満たすためには、納品があった事実に加えて国内に生産拠点を整備する計画であることも示す必要があります。国内生産拠点の概要や製造する製品の生産計画を明示しましょう。
地域不可欠性要件を説明する書類
地域不可欠性要件を説明する書類は、サプライチェーン強靭化枠に申請する事業者が事業再構築の類型として「地域サプライチェーン維持・強靱化」を選択した場合に必要となる書類です。
【対象となる申請枠】
- サプライチェーン強靭化枠(地域サプライチェーン維持・強靭類型選択者のみ)
事業再構築の類型として地域サプライチェーン維持・強靱化を選択する事業者は「地域未来投資促進法に基づく基本計画」「地方公共団体が独自に策定する任意計画」のいずれか、または双方を提出する必要があります。
また、添付書類だけでなく事業計画書においても、事業により製造する商品が地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠であることや供給に不足が生じ得ることを示す必要があります。
生産(増産)要請に関する証明書
生産(増産)要請に関する証明書は、補助事業要件のひとつである「国内増産要請要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- サプライチェーン強靭化枠
サプライチェーン強靭化枠に申請する事業者は、事業再構築の定義にかかわらず生産(増産)要請に関する証明書を提出しなければなりません。複数の事業者が連携して事業を行う場合は、代表申請者が提出をしてください。
なお、生産(増産)要請に関しては事業完了後に具体的な商談が進む予定があるもののみが認められます。補助事業で製造した製品の生産(増産)要請者への納品を確認できる証憑の提出や、事業化状況報告時の記載を求められる可能性がある点に留意しましょう。
場内最低賃金要件に係る雇用計画の誓約書
事業場内最低賃金要件に係る雇用計画の誓約書は、補助事業要件のひとつである「場内最低賃金要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- サプライチェーン強靭化枠
場内最低賃金要件を満たすためには、交付決定時点の場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くする必要があります。応募申請時に事業場内最低賃金要件に係る雇用計画の誓約書を提出し、要件を満たすことを示します。
また、新たな事業場で補助事業を実施する場合は、事業完了時点での場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くする雇用計画を立てる必要があります。応募申請時に事業場内最低賃金要件に係る雇用計画の誓約書を提出し、要件を満たすことを示します。
なお、事業場内最低賃金要件に係る雇用計画の誓約書は、既存の事業場で補助事業を実施する場合と新たな事業場で補助事業を実施する場合で様式が異なります。自社の状況に合わせて規定のフォーマットで提出してください。
導入設備のカタログ・先進性誓約書
導入設備のカタログと導入設備の先進性誓約書は、補助事業要件のひとつである「導入設備の先進性要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- サプライチェーン強靭化枠
導入設備の先進性要件を満たすためには、補助事業で導入する全ての設備が特注品または製造機器メーカーの最新カタログに掲載されているものである必要があります。導入設備のカタログと導入設備の先進性誓約書を提出することにより、要件を満たすことを示します。
なお、既存設備と同程度の設備で製造することは、先進的な製造方法であると認められないため審査において不採択となる点に留意しましょう。
地域経済波及効果を示す説明書
地域経済波及効果を示す説明書では、補助事業を実施することによる地域経済への波及効果を記載します。
【対象となる申請枠】
- サプライチェーン強靭化枠
サプライチェーン強靭化枠における審査項目のひとつである政策点には、「地域の事業者への経済的波及効果によりサプライチェーン間の取引増加や地域の経済成長を牽引することが期待できるか」といった内容があります。
公募要領には、地域経済波及効果を示す説明書に記載する波及効果の内容は審査において考慮されるとの記載があります。補助事業を行うことによって、地域経済にどのような波及効果をもたらすのかをアピールしましょう。
卒業計画書
卒業計画書は、補助事業要件のひとつである「卒業要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- 卒業促進上乗せ措置
卒業促進上乗せ措置に申請する事業者は「成長分野進出枠」もしくは「コロナ回復加速化枠」の事業を通じて、補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業することが求められます。
卒業計画書には、応募申請時点での従業員数と資本金のほか、補助事業実施期間終了後3~5年までにどのように従業員数と資本金を伸ばしていく予定かを記載します。卒業計画書の内容をもとに卒業促進上乗せ卒の審査が行われ、採択が決まります。
賃金引上げ計画の表明書
賃金引上げ計画の表明書は、補助事業要件のひとつである「賃金引上要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- 中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
賃金引上要件を満たすためには、申請時点において申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員等に表明していることが求められます。
申請時点の事業場内最低賃金が明記され、補助事業終了後3~5年の間で事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画を従業員等に表明していることがわかる表明書を提出してください。表明書には、事業場内最低賃金で働く従業員の署名と押印が必要となります。
なお、応募申請時において従業員数が0名の場合、賃金引上げの対象となる従業員が存在しないため、中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置へ申請することはできません。
大規模賃上げ及び従業員増加計画書
大規模賃上げ及び従業員増加計画書は、補助事業要件のひとつである「賃金引上要件」を満たすことを証明する書類です。
【対象となる申請枠】
- 中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
事業再構築補助金における審査項目のひとつとして「大規模賃上げ及び従業員増加計画の妥当性」が挙げられています。賃金引上げ計画の表明書および賃金台帳とともに大規模賃上げ及び従業員増加計画書を提出し、内容の妥当性が審査されます。
審査は「大規模賃上げや従業員増員に向けた取組内容は具体的なものか」「将来にわたり継続的に利益の増加等を人件費に充当する計画か」などの観点で行われます。賃上げや従業員の増加が必要な事業であることを書面で示しましょう。
共通の書類や申請枠ごとの書類以外で追加の提出書類が必要な場合
事業再構築補助金の申請時の必要書類には、共通の書類や申請枠ごとの書類以外で追加の提出書類が必要な場合があります。
書類 |
提出が必要な場合 |
①リース料軽減計算書 ※(公社)リース事業協会に確認をもらうこと ②リース取引に係る宣誓書 |
リース会社と共同申請する場合 |
①連携の必要性を示す書類 ②連携体各者の事業再構築要件についての説明書類 |
複数の事業者が連携して事業に取り組む場合 |
①組合特例に関する確認書 |
組合特例を用いる場合 |
参考:第12 回「公募要領」|事業再構築補助金
リース料軽減計算書はリース会社が作成し、(公社)リース事業協会が確認します。また、リース取引に係る宣誓書はリース会社に記入を依頼します。リース料軽減計算書はフォーマットがないため、リース会社と共同申請する事業者はリース会社に書類の準備を依頼しましょう。
審査で加点を希望する場合は加点の条件にあわせて書類を準備する
申請の際、審査で加点を希望する場合は、加点の条件にあわせて書類の準備をしましょう。
加点 |
書類の種類 |
条件 |
加点① |
既往債務を借り換えている事業者であるこ とを証明する書類 |
対象となる制度 (1)伴走支援型特別保証(コロナ借換保証) (2)コロナ経営改善サポート保証 (3)新型コロナウイルス感染症特別貸付 (4)生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付 (5)新型コロナ対策資本性劣後ローン (6)生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン (7)[新型コロナ関連]マル経融資 (8)[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付 (9)[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金 |
加点② |
再生計画等にかかわる書類 |
|
加点①の書類は、コロナ回復加速化枠における「コロナ借換要件」において提出が求められる書類と同じです。コロナ借換要件・加点確認書をもってコロナ回復加速化枠に申請する場合、追加提出は不要です。
加点②の書類や条件は、コロナ回復加速化枠(通常類型)における「再生要件」と同じです。コロナ回復加速化枠(通常類型)の申請者が加点②を希望する場合、追加提出は不要です。
加点を希望する人は、加点の条件や書類をよく確認しておきましょう。
申請手続きの流れ
事業再構築補助金の申請手続きは、専用URLから行います。申請内容に不備がないように、余裕をもったスケジュールで申請しましょう。
申請手続きの流れ |
詳細 |
①gBizID でログイン |
電子申請システムのURL:https://jigyou-saikouchiku-shinsei.jp/ (gBizIDを未取得の人は取得する:https://gbiz-id.go.jp/top/) |
②各申請項目入力 |
申請する経費の金額や事業概要を入力する (事業計画書の内容と一致していること) |
③提出書類を添付する |
1ファイルずつ、各項目にファイルを登録する |
④申請内容を確認する |
チェックリスト画面で申請内容に間違いがないか確認する |
⑤申請送信完了 |
画面に表示される受付番号をメモして保存する |
事業概要で補助事業の収益計画や申請する経費の金額など、事業計画書に書いてあるものと同じ内容を入力します。入力項目が多いため、こまめに一時保存をしてデータが消えないようにしておきましょう。
採択後も各種申請の必要書類を準備する
事業再構築補助金では、採択後の各種申請でも、必要書類の準備が求められます。とくに、交付申請や実績報告では経費に関する資料の準備が必要です。
交付申請の必要書類例 |
※その他、最新の「補助事業の手引き」を参考にしてください。 |
実績報告の必要書類例 |
|
交付申請は「事業計画書に記載した経費が、補助事業において必要不可欠であるか」を事務局側が精査し、補助される経費が確定される段階になります。そのため、経費の詳細がわかる資料の提出が必要です。
実績報告は「どんな事業を行い、補助事業で何にいくら使ったのか」を報告する段階です。そのため、決められた様式の書類と、建物費や研修費などの補助事業で使用した経費ごとに必要な書類を提出します。
交付申請や実績報告では、計上した経費や事業内容によって提出する書類が異なる場合があります。各種申請手続きは、必ず参考資料を読んで余裕をもったスケジュールで申請を行いましょう。
なお、交付申請の必要書類を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金における交付申請の方法と注意点を解説」を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
事業再構築補助金における申請時の必要書類には、申請枠に共通する書類と申請する枠別に準備が必要な書類があります。申請枠ごとに必要な書類は、要件を満たしていることを証明する書類になります。
採択後の交付申請や実績報告でも、必要書類の準備が求められます。計上した経費や事業内容によって提出する書類が異なる場合があるため、事前に参考資料を読み余裕をもったスケジュールで申請の準備をしましょう。