小規模事業者持続化補助金とは?はじめて申請する人向けにわかりやすく解説
2024/10/21
2024/5/29
事業を営む人のなかには、自社の製品やサービスを売るための新しい販売方法や顧客層を増やしたいと考える人もいるのではないでしょうか。小規模事業者持続化補助金は小規模事業者や個人事業主が対象の補助金であり、販路開拓のために利用できます。
当記事では、小規模事業者持続化補助金をはじめて申請する人向けにわかりやすく概要を解説していきます。申請枠や注意点も解説するため、小規模事業者持続化補助金について調べている人は参考にしてみてください。
Contents
小規模事業者持続化補助金とは小規模事業者の販路開拓を支援する補助制度
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等の販路開拓や業務効率化の取り組みに必要な経費の一部を支援する制度のことです。事業者自身が自社の経営の見直しを行い、事業計画を立てた上で販路開拓等に取り組む場合に利用できる補助金であることを前提として覚えておきましょう。
たとえば、新たな顧客層を獲得するために飲食店がテイクアウト商品を開発して販売を行うことは販路開拓につながる事業です。また、工場が新たな機械を導入して作業時間の短縮、新製品の製造販売する取り組みは販路開拓とあわせて行う業務効率化につながります。
小規模事業者持続化補助金は、新たな市場や顧客層を増やすことや業務の改善するときに活用できる制度です。販路開拓や業務効率化につながる取り組みを行う際には、小規模事業者持続化補助金への申請を検討してみてください。
ただし、小規模事業者持続化補助金には書類審査があります。小規模事業者持続化補助金の目的に沿った事業計画を策定し、審査において採択されなければ補助金を受給することはできない点に留意しましょう。
小規模事業者持続化補助金の活用事例
小規模事業者持続化補助金の申請を検討する際には、過去に採択を受けた事例を確認してみましょう。事例を参考にすることにより、申請の際に必要となる事業計画の立て方等をイメージしやすくなるからです。
業種 |
活用事例 |
商業・サービス業 |
|
宿泊業・娯楽業 |
|
製造業その他 |
|
たとえば、新サービスの告知のためにチラシ配布や看板設置を行うことは、販路開拓につながる取り組みとして小規模事業者持続化補助金に申請できる可能性があります。販路開拓が目的であり、販売用の商品と試供品が明確に違うものと判断された場合のみ、顧客に配布される試供品が補助対象になります。
小規模事業者持続化補助金は販路開拓等のための事業が補助対象です。そのため、会社案内のパンフレット作成や単なる古くなった機械の買い替えなど、補助事業に関係がない取り組みは不採択となります。
小規模事業者持続化補助金の採択事例は、補助金制度の公式サイト内にある採択者一覧や参考資料から閲覧が可能です。小規模事業者持続化補助金の活用例を知りたい人は、経済産業省公式サイト「ミラサポplus」から確認してみてください。
補助対象の事業
小規模事業者持続化補助金に申請するには、補助対象となる事業の要件をすべて満たす必要があります。小規模事業者持続化補助金に申請予定の人は、まずは自社が補助対象となる事業の要件を満たすことができるかどうかを確認しておきましょう。
【小規模事業者持続化補助金の対象事業の要件】
- 販路開拓のための取組または販路開拓の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組
- 商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
- 補助事業実施期間内に補助事業が終了すること
1つめの要件は、販路開拓の取り組みまたは販路開拓の取り組みとあわせて行う業務効率化につながる取り組みであることです。販路開拓の取り組み等は事業者自らが作成した「経営計画」に基づいて遂行しなければなりません。
2つめの要件は、商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることです。商工会議所に、事業支援計画書の発行・アドバイス等の支援を直接受けながら補助事業を実施する必要があります。
3つめの要件は、交付決定予定日から補助事業実施期限までに補助事業を完了させなければならないことです。また、交付決定予定日から補助事業実施期限までに発注、支払いを終えたもののみが補助対象となります。
なお、小規模事業者持続化補助金の補助事業の実施期限を延長することは認められていません。そのため、実施期間内にかならず終了できる補助事業で申請する必要があります。
補助対象外となる事業
小規模事業者持続化補助金の補助対象外の事業に該当する場合、ほかの要件を満たしていても申請できません。小規模事業者持続化補助金に申請予定の人は、自社が補助対象外の事業に該当していないかどうかも確認しておきましょう。
補助対象外の事業 | 例 |
国や国以外の機関が支援する制度と同じまたは類似内容の事業 |
|
事業の終了後、1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業 |
|
公の秩序を害する等の公的な支援を行うことが適切でないと判断される事業内容 |
|
たとえば、介護保険から診療報酬を受けている従事者は小規模事業者持続化補助金を申請できません。小規模事業者持続化補助金は補助金や委託費など他の支援制度と重複して受給することは認められていないためです。
小規模事業者持続化補助金は販路開拓の取り組みを補助する制度のため、早期に売上の増加や市場取引の達成が見込まれない事業等は補助対象外です。また、ギャンブル性をそそるおそれがあるパチンコ店やゲームセンター店等は支援を行うことが適切でないと判断されるため補助対象外となります。
なお、補助対象にならない事業の詳細は公募要領に記載されています。自社が補助対象外の事業に該当するかどうかを確認したい人は、小規模事業者持続化補助金の公式サイトにある公募要領を確認してみてください。
補助対象の事業者
小規模事業者持続化補助金の対象者は要件をすべて満たす小規模事業者や個人事業主等です。対象者の要件のうち1つでも該当しない項目がある場合は小規模事業者持続化補助金に申請できないため、自社が対象者の要件を満たしているかどうかを事前に確認しておきましょう。
【小規模事業者持続化補助金の対象者の要件】
- 小規模事業者であること
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接的に100%の株式を保有されていないこと
- 確定している直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること
- 「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」を補助金の申請までに受領された者(過去に採択されて補助事業を実施した場合)
小規模事業者持続化補助金の申請には、小規模事業者の定義にあてはまる必要があります。小規模事業者の定義は常時使用する従業員数によって業種ごとに定められており、個人事業主本人や会社役員、通常の従業員に比べて所定労働時間が短いパートタイム労働者等は常時使用する従業員に含まれません。
また、小規模事業者持続化補助金の申請には、確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことの証明が必要です。要件を満たすことを確認するために、事務局から納税証明書等の提出を求められる可能性があります。
そして、小規模事業者持続化補助金の申請には、商工会議所が管轄している地域内で事業を営んでいることを条件としています。事業を営む地域が商工会議所の管轄している地域内であれば、商工会議所の非会員でも小規模事業者持続化補助金への応募は可能です。
なお、採択を受けて補助事業を実施した事業者は、補助事業の実施期間終了後から1年間の事業効果の状況を補助金事務局等が指定する期限までに報告しなければなりません。小規模事業者持続化補助金の対象者の要件を詳しく知りたい人は「小規模事業者持続化補助金の対象者と対象事業を解説」を参考にしてみてください。
補助対象外となる事業者
小規模事業者持続化補助金では、要件に記載されている補助対象外となる事業者に該当する場合、補助金の申請ができません。公募要領には補助対象者の範囲が明記されているので、小規模事業者持続化補助金に申請予定の人は補助対象外となる事業者の要件も確認しましょう。
|
系統出荷は共同組合を通じて作物を出荷することであり、農業はJA(農業協同組合)、林業はJForest(全国森林組合連合会)、漁業ではJF(漁業協同組合)が共同組合に該当します。系統出荷を行っていても、申請時点で系統出荷以外の収入がある、または個人事業主自身で生産や販売を行う場合は申請が可能です。
また、申請時点で開業していない創業予定者の場合も補助対象外です。開業届上の開業日が申請日よりも後である場合などは申請できないため、開業資金として小規模事業者持続化補助金を利用することはできません。
そして、小規模事業者持続化補助金第15回の公募に申請中の事業者は第16回公募において補助対象外となります。小規模事業者持続化補助金では重複申請ができないほか、過去に採択されている人は事業実施期間終了月の翌月から1年間を経過するまでは再申請ができません。
補助対象者の要件を満たす事業者でも、対象外となる条件に該当する場合は小規模事業者持続化補助金に申請できません。自身が補助対象外の事業者に該当しているか分からない場合は、管轄の商工会議所に相談してみましょう。
小規模事業者持続化補助金の5つの申請枠
小規模事業者持続化補助金には「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の5つの申請枠があります。申請する場合は補助金を活用する目的に合った枠を1つ選び、各枠に設けられている要件を満たす必要があります。
申請枠 |
対象者 |
通常枠 |
共通要件を満たす事業者が対象 |
賃金引上げ枠 |
事業所内の最低賃金を引き上げる事業者が対象 |
卒業枠 |
雇用を増やして事業規模を拡大する事業者が対象 |
後継者支援枠 |
アトツギ甲子園でファイナリスト・準ファイナリストに選ばれた事業者が対象 |
創業枠 |
特定創業支援等事業の支援を受けた事業者が対象 |
通常枠は、販路開拓の取り組みなどの5つの申請枠の共通要件のすべてを満たした小規模事業者が対象です。通常枠以外の申請枠である「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」は特別枠として、共通要件に加えて各枠の追加要件を満たす必要があります。
また、インボイス特例の適用要件を満たした場合、すべての枠において補助上限額が一律50万円上乗せされます。免税事業者から適格請求書(インボイス)発行事業者に転換することで、申請した枠の上限額を増やすことが可能です。
なお、5つの申請枠は共通して販路開拓等に取り組む必要があります。販路開拓に加えて各枠に設けられた要件を満たす必要があるため、自分が申請できる枠があるのか各枠の要件を確認してみましょう。
通常枠
小規模事業者持続化補助金の申請要件を満たし、特別枠の要件に当てはまらない場合は通常枠に申請します。通常枠は特別枠と補助率は同じですが、補助上限額は特別枠より少額です。
補助率 |
2/3 |
補助上限額 |
50万円 |
補助上限額(インボイス特例適用時) |
100万円 |
たとえば、通常枠にて75万円の経費を使用した場合、補助金額は「75×2/3=50」となり50万円補助されます。新製品を開発して販売をするなどの取り組みの際に必要になる経費の一部を、最大で50万円まで補助してもらうことが可能です。
また、インボイス特例の適用要件を満たす場合、各枠の補助上限額が一律50万円上乗せされます。そのため、インボイス特例が適用された場合、通常枠の補助上限額は100万円です。
ただし、経費に補助率を掛けた金額が補助上限額を超える場合は、上限額までの支給となります。通常枠は他の申請枠と比較して補助上限額が低く設定されているため、採択された場合に希望の金額を受給できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
賃金引上げ枠
小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ枠は、従業員の賃金引上げに取り組む意欲的な小規模事業者が対象の申請枠です。申請するには、事業場内の最低賃金の引上げや提出する書類の追加が求められます。
補助率 |
2/3(赤字事業者は3/4) |
補助上限額 |
200万円 |
補助上限額(インボイス特例適用時) |
250万円 |
「事業場内最低賃金」とは、パート・アルバイト等の非正規雇用者を含む事業場内で最も低い賃金のことです。賃金引上げ枠を申請するには、補助事業の終了までに、事業場内最低賃金を事業場がある地域の最低賃金より+50円以上引き上げることが必須です。
また、直近1期または直近1年間の課税所得金額が0以下の赤字状態の事業者は、補助率が2/3から3/4へ引き上がります。たとえば、赤字事業者が260万円の経費を申請した場合、「260×3/4=195」となり、上限額200万円以内まで補助されます。
なお、すでに地域の最低賃金より事業場内の最低賃金が+50円以上の場合は、補助金申請の1か月前に支給している賃金より+50円以上にすることが要件です。申請時点および補助事業終了において、支給している事業所内の最低賃金が地域の最低賃金を超えなければなりません。
卒業枠
卒業枠は、従業員を雇用して事業規模を拡大する取り組みを支援する申請枠です。卒業枠に申請する人は、補助事業実施期間中に小規模事業者として定義されている従業員数を超える事業計画を策定することが要件となっています。
補助率 |
2/3 |
補助上限額 |
200万円 |
補助上限額(インボイス特例適用時) |
250万円 |
業種別に定めている常時使用する従業員数が、補助事業の終了時点において商業・サービス業が6人以上、他の業種は21人以上であれば要件を満たしています。補助事業を遂行して交付が決定した後でも卒業枠の要件を満たしていなければ、補助金の交付は行われません。
卒業枠では、申請時に常時使用する従業員分の最新の労働者名簿を提出する必要があります。実績報告書の提出の際にも、補助事業終了時点の常時使用する従業員分の労働者名簿の提出が必須です。
なお、卒業枠で採択されて事業計画に基づく補助事業を実施した事業者は、小規模事業者の定義から外れることとなります。卒業枠への申請を検討している事業者は、採択された場合に今後の小規模事業者持続化補助金には応募できなくなる点に留意しておきましょう。
後継者支援枠
後継者支援枠は、将来的に事業承継を行う予定の後継ぎ候補者が実施する新たな取り組みを支援する申請枠です。申請時点においてアトツギ甲子園のファイナリストまたは準ファイナリストになった事業者が対象者となります。
補助率 |
2/3 |
補助上限額 |
200万円 |
補助上限額(インボイス特例適用時) |
250万円 |
「アトツギ甲子園」とは、中小企業の後継者限定の新規事業アイデアを競い合うピッチイベントのことです。ファイナリストまたは準ファイナリストは小規模事業者持続化補助金の後継者支援枠への申請が可能となるほか、地方予選大会出場者には他の補助金の優遇措置が受けられるなどの特典があります。
ただし、過去にアトツギ甲子園でファイナリストまたは準ファイナリストに選ばれていても、すでに後継者支援枠で採択され事業を実施した事業者は対象外です。再度後継者支援枠へ申請したい場合は、別の年度のアトツギ甲子園においてファイナリストまたは準ファイナリストとなる必要があります。
後継者支援枠では、各枠の共通要件と後継者支援枠の申請要件を満たすことで最大200万円までの補助を受けることができます。後継者支援枠は、後継ぎ候補者であり、新たな販路開拓につながる事業を考えている事業者向けの特別枠です。
創業枠
小規模事業者持続化補助金の創業枠では、特定創業支援等事業による支援を受けた創業3年以内の小規模事業者が対象となる申請枠です。「特定創業支援等事業」とは、産業競争力強化法により認定された市区町村が創業者に対して行う継続的なサポート事業のことです。
補助率 |
2/3 |
補助上限額 |
200万円 |
補助上限額(インボイス特例適用時) |
250万円 |
「認定市区町村」または認定市区町村と連携した「認定連携創業支援等事業者」の支援を受けた小規模事業者に対し、最大200万円までが補助されます。小規模事業者持続化補助金の第16回公募では、2021年5月27日〜2024年5月27日内に支援を受けかつ開業した事業者が対象です。
過去に創業枠で採択され補助金を支給された事業者は、個人事業主や法人に関わらず再度創業枠へ申請することはできません。また、代表が複数いる法人が申請者を変えても、過去に創業枠で採択を受けた同一の法人である場合は創業枠に応募することはできません。
なお、創業枠を申請する際に、特定創業支援等事業による支援を受けた証明書の写しが必要です。証明書は、特定創業支援等事業を受けた際に発行されます。
補助対象になる経費は10種類
小規模事業者持続化補助金の対象経費の項目は10種類あります。補助事業のために使用する経費でも定められた対象経費に該当しないものは補助されないため、補助事業を遂行するために必要な経費が対象経費の項目に該当しているかを確認しましょう。
補助対象経費 |
活用例 |
①機械装置等費 |
補助事業の実施に必要な店舗のショーケースや製造機械の購入等 |
②広報費 |
新サービスを紹介するチラシやパンフレット、ポスター作成・配布、看板の設置等 |
③ウェブサイト関連費 |
ウェブサイトやECサイト等の開発、構築、改修、運用にかかる経費等 |
④展示会等出展費 |
オンラインを含む展示会・商談会の出展や参加にかかる経費等 |
⑤旅費 |
補助事業に必要な原材料調達の調査等にかかる宿泊代、展示会等の会場の交通費等 |
⑥新商品開発費 |
新商品の試作品開発等に伴う原材料やデザイン費用等 |
⑦資料購入費 |
補助事業に関連する資料や書籍の購入費用等 |
⑧借料 |
機器・設備等のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)等 |
⑨設備処分費 |
新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備機器等を廃棄・処分等 |
⑩委託・外注費 |
店舗改装や製造強化のためのガス工事など自社が実施困難な業務の一部を第三者に依頼費用(契約必須) |
たとえば、新商品の試作開発用の原材料費や新たな包装パッケージにかかるデザイン費用は「新商品開発費」になります。また、利用客向けトイレの改装工事などの事業者が実施困難であり補助事業に必要な業務の一部を外注する時に支払われる費用は「委託・外注費」に該当します。
小規模事業者持続化補助金では10項目のいずれかにあてはまる経費が対象となりますが、ウェブサイト関連費と設備処分費は単独で申請することはできません。ウェブサイト関連費や設備処分費を申請したい人は、必ず他の対象経費とあわせて申請する必要があります。
なお、ウェブサイト関連費は申請した補助対象経費の総額の1/4まで(最大50万円)、設備処分費は1/2までが上限と定められています。小規模事業者持続化補助金の補助対象経費について詳しく知りたい人は「小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説」の記事を確認してみてください。
小規模事業者持続化補助金の対象外になる経費
小規模事業者持続化補助金の対象経費に記載されていても、補助対象外と判断される場合があります。申請している経費の半分以上が補助対象外の経費に該当する場合は不採択や採択取消となるため、申請したい経費が対象外の項目に該当していないことを事前に確認しておきましょう。
対象外になる経費 |
例 |
①国が支援する制度を利用している事業と重複する経費 |
|
②通常の事業にかかる経費 |
|
➂販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達にかかる経費 |
|
④他社のために実施する経費 |
|
⑤自動車等車両 |
|
⑥その他補助対象外の経費 |
|
たとえば、補助事業以外でもさまざまな用途で利用できる車・オートバイ、パソコン等は補助対象外です。補助事業の遂行が使用目的であると明確に特定でき、証拠資料等によって支払金額が確認できる経費でなければ補助対象外に該当します。
また、補助金の交付決定前に前払い含む支払いや発注・契約等を実施した経費は補助対象として認められません。ただし、展示会等の出展の申込みについては、請求書の発行が交付決定日以後であれば交付決定前に申し込んだ場合でも補助対象となります。
なお、対象経費の支払いは原則「銀行振込」であり、相殺や小切手、商品券等で支払った場合は補助対象外です。公募要項には補助対象外の経費すべてが記載されている訳ではないため、購入を検討しているもので対象になるかわからない場合は補助金事務局に問い合わせてみましょう。
小規模事業者持続化補助金の申請から交付までの流れ
小規模事業者持続化補助金の申請を検討している場合、かならず申請から交付までの流れを確認しておきましょう。補助金が受給されるには、申請要件を満たす以外に審査を通過することや補助事業の実施、必要書類を提出する必要があります。
【小規模事業者持続化補助金の申請から交付までの流れ】
- 申請書類の準備
- 申請手続き
- 採択審査
- 採択・交付決定
- 補助事業の実施
- 実績報告書の提出
- 確定検査・補助金額の確定
- 補助金の請求
- 補助金の入金
補助金の申請をする場合、最初に共通の申請書類である「経営計画書」や「事業支援計画書」等、各申請者によって必要となる資料を作成して提出します。審査によって採択された事業者は、事業の実施を正式に認める「補助金交付決定通知書」を受領後、事業計画に沿って自己資金を使い補助事業を実施期限までに遂行しましょう。
補助事業の実施が終わり実績報告書の提出後、見積書や発注書等の証拠書類により補助金額が確定され、補助金事務局に補助金の請求を行い補助金が入金される流れとなります。また、補助事業の終了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を提出しなければなりません。
なお、小規模事業者持続化補助金は補助事業実施後の後払いとなるため、購入には自己資金が必要です。経費の支払いには一度全額を立て替える必要があるため、補助事業にかかる費用を事前に用意しておかなければいけない点に留意しましょう。
小規模事業者持続化補助金の応募は電子申請のみ
小規模事業者持続化補助金の第16回の応募は郵送での申請は認められておらず、電子申請システムのみ受け付けています。電子申請システムはパソコンまたはスマートフォンどちらでも操作可能です。
電子申請システムを利用するには、「GビズIDプライム」もしくは「GビズIDメンバー」のアカウント登録が必須です。アカウント取得には1週間〜3週間程度かかるため、未取得の場合は事前に利用登録を行う必要があります。
電子申請システムへログインした後、申請システム操作手引を確認しながら手順に従い申請情報の入力と書類の添付をします。申請の締切日近くになるとシステムが混雑して申請ができない恐れがあるため、余裕をもって申し込みをしましょう。
なお、電子申請システムの詳細や操作方法は小規模事業者持続化補助金の公式サイトにある「小規模事業者持続化補助金<一般型> はじめてガイド」や「申請システム操作手引」を確認してください。
小規模事業者持続化補助金を申請する注意点
小規模事業者持続化補助金を申請する際には、注意点を確認しておきましょう。注意事項を確認せずに申請すると、補助事業や対象経費の要件を満たしていても審査で不採択となる可能性があるからです。
【小規模事業者持続化補助金の注意点】
- 補助事業の内容等を変更する際は事前の承認が必要となる
- 申請代行を利用することはできない
- 同一の公募回への申請は1事業者につき1件のみ
- 支払いは事業実施期限を過ぎてはいけない
1つめの注意点は、交付決定を受けた後に補助事業の内容や経費の配分の変更、補助事業の一時中断を希望する場合は事前に承認を得なければならないことです。原則として、補助事業計画に記載のない新しい対象経費の項目の追加はできません。
2つめの注意点は、申請において外部への代行は依頼できないことです。代理申請した場合は不正アクセスとみなされ不採択となるほか、次の公募で申請ができなくなる可能性があるため、電子申請システムにて申請する際は必ず申請者自身で入力する必要があります。
3つめの注意点は、同一の公募回において同じ事業者による複数の申請は認められていないことです。小規模事業者持続化補助金への申請は、複数の会社名(屋号)を使用している事業主であっても1件のみと定められています。
4つめの注意点は、クレジットカード払い等で口座から引き落とされた日が補助事業実施期限を過ぎている場合は補助対象外となることです。採択された場合でも、補助金の予算の都合等によって申請した金額より減額される場合があることに留意しましょう。
この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓につながる事業に取り組みたい小規模事業者等を国がサポートする補助金制度です。対象者は、従業員数が5人〜20人以下の小規模事業者や個人事業主であり、申請要件を満たすことで申請できます。
小規模事業者持続化補助金には、通常枠と4つの特別枠のあわせて5つの申請枠があり、それぞれ要件が異なります。そのため、小規模事業者持続化補助金に応募する際は補助金を使用する目的や自社の状況に合った申請枠を選びましょう。
小規模事業者持続化補助金をさらに詳しく知りたい人は、小規模事業者持続化補助金の公式サイトにある公募要項から詳細な内容を確認することができます。小規模事業者持続化補助金の申請についてわからないことがある場合は、地域の商工会または商工会議所へ問い合わせてみましょう。