補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金を活用してホームページを制作する方法を解説

2024/01/25

2021/5/25

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

法人や個人事業主の中には、自社をより多くの人々へ周知する目的や事業の幅を広げるため、ホームページの制作を検討している人もいますよね。しかし、ホームページ制作には数十万円からの予算が必要であるため、利用できる補助金を調べている人もいるのではないでしょうか。

当記事では、小規模事業者持続化補助金を活用してホームページを制作する方法を解説します。採択事例も交えて解説するので、ホームページ制作に利用できる補助金や助成金を検討している人は、参考にしてみてください。

なお、当記事は小規模事業者持続化補助金<一般型>第14公募要領を参考に作成しています。

販路開拓の目的につながるホームページの制作が補助対象になる

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の「販路開拓」や「業務効率化(生産性向上)」を目的とした事業に対して支援される補助金です。そのため、販路開拓や業務効率化を目的として作成するホームページであれば、小規模事業者持続化補助金の補助対象になります。

たとえば、自社商品販売のため「カートや決済機能」を付随させたホームページは、販路開拓の取組みに繋がります。また、自社サービスの「予約システム機能」が付随したホームページは、業務効率化の取組みに繋がります。

一方、会社情報の掲載のみを目的としたホームページでは、販路開拓や事業効率化の目的をとらえていないため、補助金の対象外です。

小規模事業者持続化補助金を活用して制作するホームページは、販路開拓や業務効率化などの目的を満たす内容で制作する必要があります。そのため、ホームページの制作によってどのような販路開拓を実施するのかを、あらかじめ計画しておきましょう。

小規模事業者持続化補助金の対象者の要件を満たす必要がある

小規模事業者持続化補助金に申請する際は「補助対象者の要件」を満たしているかを確認しておきましょう。補助対象者の要件には「従業員の人数」や「過去の補助金利用状況」などに関する要件がいくつか定められています。

【対象者の要件の一例】
① 常時使用する従業員の数が5人または20人以下の事業者(業種によって異なる)
② 直近過去3年分の隔年又は各事業年度の課税所得の年平均が15億円を超えない
③ 過去に小規模事業者持続化補助金に採択されてから11ヶ月以上経過していない

たとえば、小規模事業者持続化補助金の対象者は従業員の数が20人以下の小規模事業者です。定められている従業員の数は、宿泊業を除くサービス業や商業の場合は5人以下、製造業の場合は20人以下など、業種によって異なります。

また、小規模事業者持続化補助金に申請する人は、すでに税務署に開業届を提出し、事業を開始している必要があります。そのため、これから開業予定の人が開業資金として補助金に申請することはできません

小規模事業者持続化補助金には、事業者の使用する従業員数や所得の状況などに関する補助対象の要件が定められています。補助金に申請する際は、公募要領の「補助対象者」に関する記載事項を確認しましょう。

なお、対象者の要件に関する詳しい情報は「小規模事業者持続化補助金の対象になる事業者とは?」も参考にしてみてください。

ホームページの制作はウェブサイト関連費として申請する

小規模事業者持続化補助金には、補助事業に活用できる補助対象経費の項目が10種類用意されています。補助金に申請する事業者がホームページ制作のために活用する経費は、10種類の経費項目の中の「ウェブサイト関連費」として申請します。

【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】

補助対象経費科目

活用事例

①機械装置等費

補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費

※店舗のショーケースや業務用オーブンなどにも利用可

②広報費

新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置などの経費

※ポスティング用広告チラシの作成や、LED内照の看板製作・設置費用など

にも利用可

③ウェブサイト関連費

ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用に係る経費

※集客から受注に繋がる自社サイト制作やターゲットを絞ったリスティング

広告にも利用可

④展示会等出展費

展示会・商談会の出展料に係る経費 

⑤旅費

販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行うための旅費

⑥開発費

新商品の試作品開発に伴う経費

⑦資料購入費

補助事業に関連する資料・図書にかかる経費

⑧借料

機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)

⑨設備処分費

新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る経費

※店舗内にイートインスペースを設置するため、一部の陳列棚や古い機材

などの撤去費用にも利用可

⑩委託・外注費

店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する経費(契約必須)

※小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を参考に株式会社SoLabo作成

ウェブサイト関連費は、ホームページ制作以外にも対象になる経費があります。たとえば「リスティング広告の掲載」や「大手ECサイト内でネットショップを開く」場合にも利用可能です。また、既存のホームページにEC機能を構築する場合の改修にも利用可能です。

なお、ECサイトや予約機能などを持ったホームページを制作する場合は、IT導入補助金の補助対象になる可能性があります。IT導入補助金の通常枠は、補助上限額が450万円のため、条件に該当すれば小規模事業者持続化補助金よりも支出を抑えたホームページ制作が可能です。

小規模事業者持続化補助金でホームページを制作する際の費用は、ウェブサイト関連費として申請します。また、申請者は自社の事業計画によってウェブサイト関連費以外にも必要な経費項目を選び、合わせて申請することになるため、各経費項目を把握しておきましょう。

IT導入補助金の対象経費や申請の要件を知りたい人は「IT導入補助金とは?概要をわかりやすく解説」も参考にしてみてください。

ウェブサイト関連費のみの申請はできない

小規模事業者持続化補助金は、2022年の第8回公募よりウェブサイト関連費のみでの申請ができなくなりました。そのため、ホームページの制作でウェブサイト関連費を申請する際は、機械装置等費や広報費などの対象経費と組み合わせて申請する必要があります。

【ウェブサイト関連費を組み合わせた申請の例】

経費項目

具体例

ウェブサイト関連費+広報費

ホームページアドレスやQRコード付きのチラシ

+QRにリンクするホームページの制作費

ウェブサイト関連費+委託外注費

商品紹介動画制作に係る費用

+動画に出演する撮影モデル依頼

ウェブサイト関連費+開発費

試作品の開発費用

+新商品宣伝のためのランディングページ製作費

採択事例を見ると、集客施策のためのホームページ以外に、チラシの作成や店舗の改装費用など、他の補助対象経費と合わせた申請が確認できます。また、販路開拓のために商品の開発を行い、それに合わせて既存のホームページをリニューアルした事例もありました。

小規模事業者持続化補助金は、ウェブサイト関連費のみでの経費申請ができません。そのため、ホームページの制作費用を申請する場合は、必ず他の補助対象経費と組み合わせた事業計画を申請するようにしましょう。

ホームページ制作以外の補助対象経費の詳細は「小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説」の記事を参考にしてみてください。

ホームページ制作費として申請できるのは最大で62.5万円

小規模事業者持続化補助金の補助上限額は250万円であり、250万円のうちホームページ制作費として申請できる金額は、最高で62.5万円です。小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費の上限額は、補助金申請額の総額の1/4までの金額と決まっているためです。

【小規模事業者持続化補助金の補助率・補助上限額とウェブサイト関連費の補助上限額】

一般型

通常枠

特別枠

申請枠

通常枠

賃金引上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3

2/3

赤字事業者は3/4

2/3

補助上限額

50万円

200万円

インボイス特例が適用された場合

100万円

250万円

ウェブサイト関連費の補助上限額

25万円

インボイス特例対象外の場合は

12.5万円

62.5万円

インボイス特例対象外の場合は

50万円

※免税事業者が「適格請求書発行事業者」へ転換することでインボイス特例が適用される

※小規模事業者持続化補助金<一般型>14回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、インボイス特例対象外の申請者が賃金引上げ枠でホームページ制作費を申請する場合、申請できる金額は50万円です。インボイス特例対象外の賃金引上げ枠の補助上限額が200万円であり、その1/4にあたる50万円までが補助されるという計算です。

小規模事業者持続化補助金でホームページ制作の費用として申請できるウェブサイト関連費の上限額は、申請する補助金額の総額の1/4までの金額です。

また、ホームページ制作の経費を上限額まで受けたい場合は、申請する枠の補助上限額まで経費を申請する必要があります。小規模事業者持続化補助金を活用してホームページ制作を検討している人は、申請する経費の総額に対して受けられるウェブサイト関連費の金額を確認しておきましょう。

ホームページ制作費を申請する場合の計算例

小規模事業者持続化補助金でホームページ制作の経費を申請する場合の補助金額の計算例を紹介します。計算例では、小規模事業者持続化補助金の通常枠(インボイス特例対象外)へ申請する場合を想定し、補助率(2/3)補助上限額(50万円)で計算しています。

【ホームページ制作の経費を申請する場合の計算例】

申請する経費

【広報費】

60万円(チラシ費用)

【ウェブサイト関連費】

20万円(ホームページ制作費用)

計算式

【①経費の補助額を計算】
・広報費の計算
60
万円(支払う額) × 2/3(補助率) = 40万円(補助額)

・ウェブサイト関連費の計算
20
万円 (支払う額)× 2/3 (補助率)= 13万円(補助額)

・各経費の補助額の合計
40万 + 13万円 = 53万円(補助額の合計)

【②補助上限額との比較】
53万円(補助額の合計)> 50万円(補助上限額)」 のため
補助申請する金額の合計は50万円

補助申請する

金額

補助申請する金額:50万円

内訳:

広報費 40万円

ウェブサイト関連費 10万円

計算例では、広報費40万円とウェブサイト関連費10万円を補助申請する金額としていますが、申請する経費の内訳は補助申請する金額の範囲内で変更が可能です。そのため、広報費37.5万円とウェブサイト関連費12.5万円でも申請できます。

なお、ウェブサイト関連費の計算方法に関する詳細は「いくら受け取れる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説」も参考にしてみてください。

ホームページ制作を取り入れた事業計画の採択事例

ホームページ制作を申請した小規模事業者持続化補助金の採択事例は、中小企業庁の公式サイト「ミラサポplus」で確認できます。ホームページ制作のみでの補助金申請はできないため、あわせて申請されている経費や事業内容を確認してみましょう。

【ホームページ制作を申請した採択事例の一例】

・ホームページの新規開設と看板の設置により認知度向上

・ホームページと自販機設置による認知度向上と売上アップ対策事業

・自社ホームページ等の構築と施設のバリアフリー化による集客増加

・自社ホームページ開設・パンフレット作成による新規顧客の獲得

・商品紹介のホームページ作成と業務効率化を図るシステムの導入

たとえば、レストランの事例では、営業内容が目立つ看板の製作や、近隣会社の従業員をターゲットとしたプレミアム弁当の販売を開始しました。看板設置とホームページ制作による情報発信の効果により、前年同時期と比較で来客数24%、売上29%増に繋がりました。

また、旅館業の事例では、客室の4室をペット同伴客の受け入れが可能な仕様に改装し、ホームページの改修とトラベル関連サイトへの掲載を実施しました。ペットの存在が旅行を躊躇していた新規顧客が増加し、売上高は20%増となりました。

小規模事業者持続化補助金をホームページ制作に活用する場合、ウェブサイト関連費以外の経費を利用した取組みとあわせて申請する必要があります。ホームページ制作以外にどのような取組みをあわせた事業が採択されているのか、採択事例を参考にしてみましょう。

ホームページ制作で補助金を受け取るまでの流れ

小規模事業者持続化補助金を活用してホームページ制作費用を申請する場合、補助金の交付を受けるまでに実施する項目があります。必要事項や流れを把握し、不備の無いように進めていきましょう。

【ホームページ制作で補助金を受け取るまでの流れ】

実施項目

期間

ホームページ制作費用の見積もりをとる

事業計画書の作成

事業者によるが1週間程度

事業計画書の申請

採択結果の発表

8回公募の場合は申請締切日から約3か月

補助事業実施期間
ホームページの制作依頼

補助事業実施期間は6か月程度

ホームページ制作会社によるが、依頼から2~3か月

程度で納品される

補助対象期間終了後に実績報告書の提出

補助事業実施期間の終了日から30日以内に提出

実績報告書の審査

補助金交付請求

補助金の交付(入金)

申請受付の締切日から約1

小規模事業者持続化補助金の交付が実施される前に、ホームページの制作費用を自己資金で支払う必要があります。そのため、ホームページの制作会社に依頼する費用を補助金で支払うことはできません。

また、事業計画書の作成から補助金交付までには1年ほど期間がかかります。ホームページ制作で小規模事業者持続化補助金を利用したいときは、事前に資金を準備するか、補助金を受けるまでのつなぎ融資を検討してみましょう。

ホームページ制作会社へ依頼する際は納期を確認する

小規模事業者持続化補助金を活用してホームページ制作をする場合は、依頼先へホームページの納期を確認しておきましょう。小規模事業者持続化補助金は、採択後の補助事業期間の間に支払いが終わる経費のみが補助対象になるからです。

たとえば、ホームページの制作と納品が補助事業期間内で終わった場合、ホームページ制作費用は補助対象経費として認められます。一方で、ホームページ制作の納品が補助事業期間を超えて行われた場合のホームページ制作費用は補助対象外になります。

また、補助事業を開始できるのは、採択審査に通過し「交付決定通知」を受けてからです。そのため、採択前に制作会社と契約をした場合の経費は対象外です。ただし、見積りの依頼は可能です。採択後にスムーズに作業を始められるよう、事前にできることは進めておきましょう。

【第14回公募の申請スケジュール】

・補助金申請締切:20231212()

・事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2023125()

※引用:※小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回公募要領

申請スケジュールを見ると、補助金申請の締切りは2023年12月12日(火)となっています。しかし、申請者は、提出書類の1つである「事業支援計画書」の発行を、申請締切の約1週間前までに地域の商工会や商工会議所に依頼する必要があります。

そのため、小規模事業者持続化補助金の事実上の締切は、事業支援計画書発行の受付締切である12月5日(火)と考えて準備を進めましょう。また、事業支援計画書は、申請してから受け取るまでに約1週間かかるため、締切前に慌てることのないよう、早めに依頼しましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金の最新スケジュールは、小規模事業者持続化補助金の公式サイトにて確認できます。日程などは変更になる場合もあるため、申請を検討している人は、常に最新のスケジュールを確認しておきましょう。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金でホームページ制作する場合、補助金の目的である「販路開拓」や「業務効率化」につながるホームページを制作しましょう。その際、ホームページ制作の費用は「ウェブサイト関連費」として申請できます。

 ウェブサイト関連費は、ホームページ制作やウェブ広告などの費用が対象になる経費です。ウェブサイト関連費単独で申請することができないため、機械装置等費や広報費などと組み合わせて申請する必要があります。

 なお、小規模事業者持続化補助金に採択されホームページを制作する場合、採択後の補助事業実施期間内にホームページが納品されないと補助金を受け取れません。そのため、依頼するホームページ制作会社と事前に打ち合わせを行い、納期を確認しておきましょう。

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