ものづくり補助金は農業も対象になる!事例を交えて採択のポイントを解説
2024/04/23
2022/10/20
農業を営む人の中には、ものづくり補助金を使って機械設備を導入したい人もいますよね。その際、「農業はものづくり補助金の対象なのか」「どのような事業なら採択されるのか」などの様々な疑問をもつ人もいるでしょう。
当記事では、農業がものづくり補助金の対象になる根拠や採択事例を解説します。農業がものづくり補助金で採択されるポイントも紹介するので、農業を営む事業者でものづくり補助金に関心がある人は当記事を参考にしてみてください。
Contents
ものづくり補助金は農業も対象
ものづくり補助金は農業も対象です。ものづくり補助金は中小企業庁が令和2年から毎年公募している補助金で、中小企業者や個人事業主が機械設備やシステムを導入する経費を支援します。
「ものづくり補助金」というと、自動車や工芸品などのモノをつくる業者が対象とイメージする人もいますが、農業や飲食業なども対象です。ものづくり補助金を活用することで、事業者は革新的な製品・サービスの開発や生産工程の改善に必要な費用に対し、最大8,000万円までの補助を受けることができます。
【ものづくり補助金の対象業種とその他の概要】
対象業種 |
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補助金額の範囲 | 従業員数 5人以下 :100万円~750万円 6~20人 :100万円~1,500万円 21~50人 :100万円~3,000万円 51~99人 :100万円~5,000万円 100人以上:100万円~8,000万円 |
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補助率 | 補助金額が1,500万円まで | 1,500万円を超える部分 |
中小企業:1/2 小規模企業者・小規模事業者・再生事業者※1:2/3 |
1/3 | |
補助対象経費 |
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※1:中小企業再生支援協議会等から支援を受け、応募申請時において再生計画等を「策定中」または「策定済」である者
※2:グローバル枠のうち、②海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
ものづくり補助金の対象業者は、ものづくり補助金の公式サイトからダウンロードできる「公募要領」の「補助対象者」の見出し本文に記載されています。対象業者は資本金や常時雇う従業員数での制限がありますが、業種による制限は特に記載されていません。
ものづくり補助金を利用すると、農家は測量用ドローンやGPSトラクターなどの最新機器の購入にかかる費用の負担を抑えられます。ただし、ものづくり補助金には審査があり、事業計画の提出が必須なので、ものづくり補助金を検討している人は、採択された事業計画の特徴も確認しておきましょう。
農業の事例からみる採択のポイント
ものづくり補助金で農業が採択されるポイントは、事業計画に時間短縮、品質向上などの設備投資で得られる効果を盛り込むことです。ものづくり補助金の目的となる「革新的な製品・サービスの開発」や「生産プロセス等の省力化」を意識すると、採択の可能性が高まります。
【ものづくり補助金で農業が採択される事業計画のポイント】
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参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金
ものづくり補助金の公式サイトの中にある「成果事例のご紹介」で検索すると、農業の採択事例が複数あります。各採択事例で紹介された農業の事例は事業内容がそれぞれ異なるものの、いずれも時間短縮や品質向上などで「生産性を高める事業計画」であると見受けられます。
また、農業で採択されるためには、自社のこだわりや特徴を生かし、いかに生産性を上げられるかをアピールするとよいでしょう。ものづくり補助金に農業で申請してみたい人は、自社のこだわりや特徴を活かしつつ生産性を上げる事業計画を考えてみてください。
なお、ものづくり補助金の17次公募と18次公募では、一定以上の補助金額を申請する事業者は、書面審査に加え、ZOOMを使った口頭審査も実施されます。ものづくり補助金の申請ルールは公募回ごとに異なる場合があるので、申請を検討している人は最新の公募要領を確認しておきましょう。
今よりも少ない時間での生産につなげる
ものづくり補助金では、今よりも少ない時間で農作物を生産する事業計画が採択される可能性があります。なぜなら、時間効率が向上すると農作物の生産が増える、労働者の負担が減るという効果があり、生産性向上や生産プロセスの省力化として評価されるからです。
今より少ない時間での生産を事業計画でアピールするには、機械設備を導入した後の「効果」をわかりやすく伝えることです。具体的には、事業計画に「設備導入後にどれだけ負担が軽くなるか」という内容を盛り込みます。
【牛肉・生乳の製造時間を短縮した採択事例】
採択前の状況 | 採択後の状況 |
畜産業の場合 | |
公営施設で処理された肉用牛の保管場所が足りず、肉用牛を調理して提供するまでの生産工程のペースが落ちていた |
肉用の冷凍庫を2台購入し、肉用牛の保管場所が拡大された |
食肉製造業の場合 |
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手作業で肉を切っていたため、調理に時間がかかっていた |
肉のスライサーを購入したため、加工 の幅が広がった |
酪農業の場合 |
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人員が足りず、乳処理場で生乳を絞るのに時間がかかっていた |
処理能力の高いパスチャライザー(加湿殺菌器)を購入し、高品質な生乳を全量当日に生産できるようになった |
参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金
たとえば、牛肉・生乳の製造業者の場合、牛肉・生乳を使うレストランも経営していたため、複数の作業を自社でまかなっていました。ただし、肉用の冷凍庫が不足していたり、肉を手作業で切っていたため、採択前は生産性が低いという悩みがありました。
そこで、ものづくり補助金の事業計画では「肉用の冷凍庫2台」「肉のスライサー」「パスチャライザー(加湿殺菌機)」の導入を計画し、導入後の効果を事業計画でアピールしました。その結果、「牛肉・生乳の製造能力の増大化計画」として採択されました。
農作物の生産にかかる時間を短縮できる事業計画は、ものづくり補助金での評価につながります。事業計画を立てる際は、根拠となる数値で作成するグラフや表も挿入すると、より説得力のある事業計画になります。時間短縮をアピールする際は、根拠も合わせて述べるように工夫してみましょう。
なお、ものづくり補助金で提出する事業計画書は、書面審査で最も重要視される書類です。ものづくり補助金の事業計画の書き方について知りたい人は「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」を参考にしてみてください。
今よりも品質の高い生産を実現する
ものづくり補助金では、今よりも品質の高い農作物を生産する事業計画が採択される可能性があります。なぜなら、農作物の品質を高めると、これまでにない農作物の誕生につながる場合があるからです。これまでにない農作物は、ものづくり補助金で「革新的な製品・サービスの開発」として評価されます。
今より品質の高い生産を事業計画でアピールするには、機械設備導入後になぜ品質の高い生産ができるかという「根拠」をわかりやすく伝えることです。具体的には、事業計画に「設備導入後に現在の製品・サービスの品質がどれだけ上がるか」という内容を盛り込みます。
【天候に左右されずに糖度の高い干し芋を生産した採択事例】
採択前の状況 | 採択後の状況 |
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参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金
たとえば、干し芋の生産者の場合、すべて手作業と天日干しでねっとりとした甘いサツマイモを栽培していました。サツマイモの評判は高いものの、すべて手作業の生産は時間が非常にかかるため、時間という生産コストが高いのが悩みでした。
そこで、ものづくり補助金の事業計画では低温除湿乾燥機と製袋充てん機の導入を計画しました。手作業と低温除湿乾燥機、製袋充てん機を組み合わせると糖度や品質が安定的になるとアピールし、「糖度の高い干し芋の安定かつニーズに応じた供給体制の確立」として採択されました。
ものづくり補助金では、手作業から機械化することで生産品の品質を安定させられる農業の事業計画が採択されました。ものづくり補助金に農業で申請する際は、これまで手作業で行っている生産工程や品質にバラつきのある製品がないかをヒントに事業計画を立ててみましょう。
今よりも販路拡大を狙う
ものづくり補助金では、今の販売先を拡大する事業計画が採択される可能性があります。なぜなら、農作物や乳製品の販路が拡大されると、購入する取引先が増え、売上が増加する可能性があるためです。その結果、事業計画は投入した人材や原材料に対する生産性が高くなると評価されます。
具体的な販路拡大の方法には、製品の種類を増やすことや安全性を高めて販路を増やすことなど、複数の方法があります。
採択前の状況 | 採択後の状況 |
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参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金
たとえば、鶏卵の販売会社の場合、元々は看板商品の鶏卵一本で経営していました。しかし近年、県内に競合他社が参入してきたことをきっかけに、売上が伸び悩んでいました。そのため、看板商品の「卵」の風味を活かした焼き菓子の生産を検討し、新たな販路を開拓することにしました。
同社はものづくり補助金の事業計画で、大型ミキサー、大型オーブン、シール機」の導入を計画しました。その結果、「焼き菓子の種類を増やし製造能力、安全安心の向上」として採択され、ご当地フェアに出店しやすくなり、販路も拡大しました。
ものづくり補助金では、これまでの会社の経験や設備を活かした新たな挑戦が「販路開拓」として評価されます。売上が伸び悩んでいる場合や新たな看板商品を開発したい場合は、現在の悩みを解決する農業の事業計画を立ててみましょう。
今よりも農業の課題を改善できる
ものづくり補助金では、今よりも農業の課題を改善できる事業計画は、採択される可能性があります。農業の主な課題には「高齢化による農業人口の減少」や「農地集約にともなう経営規模の拡大」などが挙げられます。
農業の課題を改善する方法のひとつに、デジタル化があります。たとえば、農業の重要な作業「温度・湿度管理」はセンサーを取り付けモニタリングを自動化すれば、限られた人数で一定の温度と湿度を保てるようになります。
この他、農業での重労働を改善するのも、課題解決のひとつの方法です。若い世代や女性の間の「農業は重労働」というイメージが、農業における人材不足の一因となっています。重い荷物を運ぶ作業に運搬台車やフォークリフトを導入すれば、新規採用の際にアピールできるようになります。
【ブナシメジの生産が省力化できるオーダーメイド機械の導入で採択された事例】
採択前の状況 | 採択後の状況 |
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参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金
たとえば、ブナシメジの生産者の場合、栽培コンテナの持ち上げやシメジをビンに補充するなどの肉体労働がネックで、高齢者や女性の採用が困難でした。人材確保が難しい時代なので、新規採用だけでなく、現在働いている従業員の働きやすさも課題となりました。
そこで同社がものづくり補助金で段ボール積上機、袋詰包装機、自動出荷生産ラインの導入をしたところ、重くて敬遠される段ボールの積上がなくなり、新規の採用がしやすい事業計画として採択されました。
課題をデジタルで解決する事業計画は複数回採択されており、16次公募では「スマート農業」と題した事業計画が10件採択されています。AIやIoTによるスマート農業の初期費用は高額ですが、ものづくり補助金を使えば負担を軽減できます。関心のある人は、スマート農業の事業計画を検討してみましょう。
今よりも環境にやさしい生産を目指す
ものづくり補助金では、今よりも環境にやさしい農業の事業計画が採択される可能性があります。なぜなら、環境にやさしい農業への取り組みは、地球環境の改善につながるからです。自然災害が増加する現在、環境にやさしい農業は「革新的な製品・サービスの開発」として評価されます。
具体的な販路拡大の方法は、製品の種類を増やすことや安全性を高めて販路を増やすことなど、複数の方法があります。
【黒毛牛の排泄物汚物(ボロ)をバイオマス燃料にした採択事例】
採択前の状況 | 採択後の状況 |
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参考:成果事例のご紹介|ものづくり補助金
たとえば、黒毛牛の生産者の場合、畜産において一日20kg発生する糞尿の処理が事業での課題のひとつでした。糞尿は堆肥化できますが、水分が多いため時間がかかり、堆肥化しても安定して有効活用できる目途が立ちませんでした。
そこで同社が牛舎の戻し資源(敷きワラや木くず)を燃料として糞尿を乾燥させる「定量供給機」を導入したところ、糞尿の堆肥化促進できる取り組みとして、「ボロをバイオマス燃料に」と題した事業計画が採択されました。
ものづくり補助金では、環境にやさしく生産性を高める取り組みも採択されます。環境にやさしい生産性向上の方法は、再生エネルギーの使用や省エネ性能が高い機械の導入など、様々です。環境に関心のある人は、エネルギーやCO2排出を工夫する事業計画を検討してみましょう。
加点を取れば採択率は上がる
ものづくり補助金では、加点を取れば採択率は上がります。加点とは、申請要件とは別に設定されている要件です。加点の要件を満たせる申請者は、審査の評価が高まるという仕組みになっています。
加点の取得は任意で、様々な種類があります。
【ものづくり補助金の加点の例】
加点 | 概要 |
成長性加点 | 有効な期間の「経営革新計画」の承認を取得した事業者 |
政策加点 |
会社成立や開業日、または代表取締役の就任日が、ものづくり補助金の公募開始日から5年以内であること |
災害等加点 | 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者 |
賃上げ加点 | <給与支給総額> 年平均成長率平均3%以上 <事業場内最低賃金> 毎年3月、地域別最低賃金より+50円以上の水準を満たしたうえで毎年+50円以上ずつ増加 |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
加点には、該当者ならすぐに取得できる項目もあれば、公的機関に書類を持っていき審査を通過しないと取得できない項目もあります。
たとえば、2023年3月に会社設立した人の場合、2028年までにものづくり補助金に申請するなら、申請時に開業届を提出すれば政策加点を1つ取得できます。なぜなら、ものづくり補助金の政策加点の1つには開業から5年以内という要件があるためです。
一方、同じ人の場合でも、災害加点を取得するには、政策加点の開業要件よりも時間がかかります。災害加点に申請するためには、事業者が事業継続力強化計画を作成し、別途、事業継続力強化計画の電子申請システムから申請して認定される必要があるためです。
ものづくり補助金の公式サイトにある「データポータル」によると、加点の多い事業者は加点の少ない事業者より採択率が高いとされています。加点は1回の公募で最大6つまで取得できるので、農業でものづくり補助金での採択を目指している人は加点の取得も検討してみましょう。
なお、加点の種類は公募締め切りによって異なります。18次公募の場合、公募要領に記載されている加点の数は全部で19点あります。加点について詳しく知りたい人は、公募要領や関連記事「ものづくり補助金の加点の取得方法を解説」を参考にしてみてください。
ものづくり補助金を使って導入できる機械設備とシステムの例
ものづくり補助金を使って購入できる機械設備の例には、「防除作業用農業ロボット」「人事評価システム」「土壌診断サービス」などがあります。ものづくり補助金では、農家や生産者が生産性を上げられる機械設備やシステムの導入が支援されます。
【農業で対象のものづくり補助金の経費の例】
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参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、2024年1月19日に発表された16次公募では、水田センサー、5Gスマートトラクター、ドローン画像認識技術などの導入経費が補助されました。16次公募ではスマート農業と題した事業計画が複数採択され、デジタル技術を取り入れた機械設備の補助が見受けられました。
過去に採択された農業の事例では、最新の技術を駆使した機械装置や生産者の省力化に寄与する機械装置の補助が見受けられました。農業の生産性を高める機械装置やシステム導入の予定がある人は、ものづくり補助金の利用を検討してみましょう。
なお、ものづくり補助金の補助対象経費は運搬費、技術導入費など8種類あります。障碍者等の農業分野での活躍を促す「農福連携」のための専門家経費や、「水耕栽培」のための外注費なども補助の対象です。ものづくり補助金を申請する際は、補助対象経費をもれなく申請するよう留意しましょう。
トラクターやビニールハウスは対象外
ものづくり補助金では、トラクターやビニールハウスは対象外です。なぜなら、ものづくり補助金では汎用性がある経費は対象外だからです。トラクターやビニールハウスは「補助事業」以外にも使えそうな経費とみなされるため、申請しても補助はされません。
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この他、ものづくり補助金の採択前に購入した機械設備やシステム導入費用も、補助の対象外です。ものづくり補助金に申請する際は、申請する機械設備やシステムなどの補助対象経費が補助対象外に該当しないか公募要領を見て確認するようにしましょう。
ものづくり補助金への申請の流れ
ものづくり補助金の申請の流れは、「スケジュールの確認」から「電子申請」まで4つのステップがあります。すべてのステップで使うマニュアル「公募要領」は、ものづくり補助金の公式サイトからダウンロードできます。
【ものづくり補助金への申請の流れ】
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スケジュールの確認は、ものづくり補助金の公式サイトから行えますが、時期によっては公式サイトにスケジュールの記載がありません。たとえば、毎年12月頃は補正予算の決議前でスケジュールが確定しないので、その際はタイミングをずらして再度公式サイトをチェックする必要があります。
また、対象業者の要件は、資本金(出資金)や従業員数が規定以下であるかが基準となります。農業は小規模な経営である傾向にありますが、農協や規模の大きい農業法人は対象外になります。
申請の流れを確認することで「いつ迄に何をしなければならないのか」という目安を把握できます。ものづくり補助金で農業の機械設備やシステム等を導入したい人は、申請の流れを確認して、できる準備から進めていくようにしましょう。
スケジュールを確認する
ものづくり補助金に申請する人は、いつの公募に申請するのかを決めるためにスケジュールを確認しましょう。ものづくり補助金は毎年公募している補助金ですが、いつでも申請できる補助金ではないためです。
ものづくり補助金は2023年までは1年に4回のペースで毎年公募されていましたが、2024年3月27日に締め切られた18次公募の後はスケジュールが公開されていません。ただし、令和6年2月に中小企業庁が公開した資料によると、中小企業生産性革命推進事業の一つとして補正予算が組まれています。
19次以降の公募スケジュールは当記事の作成時点ではまだ発表されていませんが、今後も公募が継続される可能性があります。ものづくり補助金のスケジュールが気になる人は、公式サイトや「ものづくり補助金のスケジュールと締め切りに合わせた段取りを解説」などで情報収集をしてみてください。
対象事業者を確認する
ものづくり補助金に申請する人は、自社が対象業者に含まれるか従業員数や出資金などの数値を確認しましょう。ものづくり補助金で農業は対象業種ですが、申請する場合は対象事業者の要件を満たす必要があるからです。
中小企業者 | |
資本金 | 常勤する従業員 |
3億円以下 |
300人以下 |
小規模事業者 | |
ー | 20人以下 ※従業員なしも対象 |
ものづくり補助金の対象は小規模および中規模の事業者なので、農業を営む事業者の場合、ほとんど対象です。ただし、小規模事業者なのか中小企業者なのかにより補助率が変わるので、申請する際は自社がどちらに該当するのかあらかじめ把握しておきます。
ものづくり補助金の対象事業者は、主に資本金(出資金)と常勤する従業員数で決められています。常勤する従業員は雇用の定めのない従業員となり、正職員やアルバイトの区別はありません。従業員数により受け取れる補助金額が変わるので、申請の際は正しく従業員数を数えるようにしましょう。
なお、17次公募と18次公募や過去の公募要領をみると、農事組合法人が対象外という記載がありません。農事組合法人も対象である可能性があるので、ものづくり補助金に申請したい農事組合法人の人は、念のためものづくり補助金の事務局へ対象となるか問い合わせてみましょう。
事業計画書を作成する
ものづくり補助金に申請する人は、「給与支給総額」「最低賃金の引上げ」など3つの申請要件を満たす事業計画を作成します。事業計画書の内容は、公募要領に記載される4つのカテゴリから成る「審査項目」を満たすように記入する事が求められています。
(1)補助対象事業として の適格性 |
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(2)技術面 |
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(3)事業化面 |
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(4)政策面 |
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ものづくり補助金の事業計画書は、WordやPowerPointなどの文書作成ソフトを使って自社が作成しやすいようなレイアウトで作成できます。ただし、提出する際はPDF形式で10枚以内という取り決めがあります。
ものづくり補助金の事業計画書の書き方は、経済産業省が運営する「ミラサポplus」にある「ものづくり補助金の書き方」で解説されています。また、当サイトでも「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」で解説しているので、申請準備をする際は参考にしてみてください。
電子申請のためのGビズIDプライムを作成する
ものづくり補助金の申請方法は電子申請なので、申請する人は電子申請のための「GビズIDプライム」を使ってログインします。GビズIDプライムは「GビズID」というサイトから無料で作成できます。
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GビズIDプライムは「Gビズ」という行政の補助金申請ができるWebサイトにログインできるアカウントです。作成には2週間〜3週間かかることもあるので、申請を予定している人は早めに準備しましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金では、農場や農業関連の工事会社などが大型機械装置やシステムの導入で採択された事例があります。具体的には、防除作業用農業ロボット、人事評価システム、土壌診断サービスなどの経費が、過去のものづくり補助金では補助されました。
農業で採択された事業計画は、主にドローンやICT機器を導入するスマート農業が多く見受けられました。農業の全国的な課題の耕作放棄地や余剰作物に取り組む事業計画も採択されたことがあります。
ものづくり補助金に申請する際は、賃上げの基本要件を満たす3年~5年の事業計画を立てる必要があります。事業計画を立てる際は、ものづくり補助金の公募要領にある「審査項目」に留意して、審査項目を満たす事業計画になるよう作成してください。