ものづくり補助金の申請方法を工程ごとに解説
2024/05/17
2022/7/4
ものづくり補助金を申請するときは、いくつかの工程に沿った準備が必要です。「基本要件の確認」「申請枠の決定」など、工程ごとに準備を進めていかなければ、ものづくり補助金の申請が間に合わないおそれもあります。
当記事では、ものづくり補助金の申請方法を工程ごとに解説しました。工程ごとの準備内容を把握することにより、計画的にものづくり補助金の申請手続きを進められる可能性があるため、ものづくり補助金の申請方法を知りたい人は各工程を確認してみましょう。
Contents
まずは申請するまでの流れを確認する
ものづくり補助金の申請方法を確認したい人は、まずは申請するまでの流れを確認してみてください。流れを確認することにより、申請方法の全体像を把握しやすくなるため、ものづくり補助金の申請方法を知りたい人は全体の流れから押さえていきましょう。
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ものづくり補助金を申請するときの流れは「基本要件の確認」「申請枠の決定」「申請書類の準備」「電子申請を行う」の工程に分けられます。状況により、各工程が前後することも想定されますが、まずはそれぞれの工程内容を確認してみましょう。
①基本要件を確認する
ものづくり補助金を申請するときの最初の工程は「基本要件を確認する」ことです。ものづくり補助金の申請には「基本要件」を満たしている必要があるため、まずは基本要件の内容を確認しておきましょう。
以下の条件をすべて満たす3年から5年の事業計画書を策定し、実行すること。
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ものづくり補助金の基本要件は3年から5年の事業計画書を策定することです。事業計画書には「付加価値額」「給与支給総額」「事業場内最低賃金」における条件を達成できる内容を記載することが定められています。
ものづくり補助金の基本要件は3~5年の事業計画書を実行することです。「3%以上増加」「1.5%以上増加」「30円以上増加」などの条件を盛り込んだ事業計画を実行することが定められています。
なお、基本要件が達成できない場合は補助金の返還義務があります。補助金が採択されたあとは、1年に1度事業報告を提出し、事業の成果を確認されるため、事業計画を策定するときは計画の実現可能性も考慮するようにしましょう。
基本要件の数値目標を確認する
ものづくり補助金の基本要件は、数値目標が設定されています。「付加価値額」「給与支給総額」「事業場内最低賃金」など、項目ごとに数値目標が設定されているため、それぞれの概要を確認しておきましょう。
項目 |
概要 |
付加価値額 |
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給与支給総額 |
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事業場内最低賃金 |
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参考:公募要領(18次締切分)|ものづくり補助金
たとえば、付加価値額の数値目標は「年平均成長率3%以上増加」と設定されています。事業計画書を作成するときは、基準年度から計画終了までの間に、付加価値額の伸び率を年平均して3%以上増加させる計画を策定しなければなりません。
また、給与支給総額の数値目標は「年平均成長率1.5%以上増加」と設定されています。事業計画書を策定するときは、申請時の給与支給総額から計画終了までの間に、給与支給総額の伸び率を年平均して1.5%以上増加させる計画を策定しなければなりません。
なお、事業場内最低賃金は毎年水準から30円以上高くする要件が設定されています。地域別最低賃金と比較して30円以上高い水準を毎年維持することが求められるため、計画を策定するときは留意しておきましょう。
②申請枠を決める
ものづくり補助金を申請するときの二つ目の工程は「申請枠を決める」ことです。ものづくり補助金は申請枠によって補助金の対象や目的が異なるため、それぞれの申請枠を確認しておきましょう。
申請枠 |
概要 |
省力化枠(オーダーメイド枠) |
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製品・サービス高付加価値化枠 |
【通常類型】
【成長分野進出類型】
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グローバル枠 |
※海外事業とは「①海外への直接投資に関する事業」「②海外市場開拓に関する事業」「③インバウンド対応に関する事業」「④海外企業との共同で行う事業」のいずれかを指す。 |
参考:公募要領(18次締切分)|ものづくり補助金
ものづくり補助金の申請枠のひとつは「省力化枠(オーダーメイド枠)」です。「AI」「IoT」など、デジタル技術を活用したオーダーメイド設備を導入することにより、自動化や効率化など、人手不足の解消を期待できる取り組みが申請対象となります。
ものづくり補助金の申請枠のひとつは「製品・サービス高付加価値化枠」です。事業分野により「通常類型」「成長分野進出類型」に分かれているものの、どちらの類型も顧客に新しい価値を提供する商品やサービスを開発するための設備投資が申請対象となります。
なお、海外事業を実施する事業者向けの「グローバル枠」も申請枠のひとつです。海外事業を実施する事業者のうち、設備やシステム投資を検討している事業者は、グローバル枠を確認してみましょう。
申請枠を決めるときは追加要件も確認する
ものづくり補助金の申請枠を決めるときは「基本要件に加えた追加要件」を確認しましょう。各申請枠にそれぞれ追加要件が定められているため、申請枠を決めるときは基本要件に加え、追加要件も満たせるかどうかを確認しましょう。
申請枠 |
追加要件より抜粋 |
省力化枠(オーダーメイド枠) |
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製品・サービス高付加価値化枠 |
【通常類型と成長分野進出類型共通】
【成長分野進出類型(DX・GX)のみ】
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グローバル枠 |
【共通要件】
【事業ごとの要件】 ①海外への直接投資に関する事業 申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること。 ② 海外市場開拓に関する事業 申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出すること。 ③インバウンド対応に関する事業 申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること。 ④海外企業との共同で行う事業 申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること。 |
参考:公募要領(18次締切分)|ものづくり補助金
省力化枠(オーダーメイド枠)は「労働生産性」「投資回収年数」などの追加要件が定められています。人手不足の解消が目的の申請枠である性質上、生産プロセスの効率化や高度化を図れる事業計画であることが求められます。
また、グローバル枠は「海外事業の実現可能性」「海外事業の専門人材との連携」などの追加要件が定められています。海外事業の実施により、国内の生産性を高める目的の申請枠である性質上、海外事業の実現性や具体性を報告することが求められます。
なお、今回紹介した追加要件は公募要領から一部抜粋したものです。「金融機関の確認書」「協力会社との契約書」など、申請枠によって追加要件は異なるため、申請枠の詳細を知りたい場合は、申請枠ごとの追加要件を公募要領から確認してみてください。
③申請書類を準備する
ものづくり補助金を申請するときの三つ目の工程は「申請書類を準備する」ことです。ものづくり補助金の申請書類は多岐にわたり、申請者の状況によって書類が異なる場合もありますが、まずはすべての事業者が提出する申請書類を確認してみましょう。
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参考:公募要領(18次締切分)|ものづくり補助金
申請書類のひとつは「事業計画書」です。事業計画書は「補助事業の具体的な取組み内容」「将来の展望」「事業計画における付加価値額等の算出根拠」など、記載すべき項目が定められているため、記載事項を盛り込みながら事業計画書を作成します。
申請書類のひとつは「従業員数の確認書類」です。法人の場合は「法人事業概況説明書の写し」を準備し、個人事業主の場合は「所得税青色申告決算書または所得税白色申告収支内訳書の写し」を準備することになります。
なお、申請書類は申請者の状況によって異なります。「再生事業者」「金融機関から資金調達する事業者」など、申請者の状況によっては追加書類が必要となる場合があるため、申請書類を準備するときは追加書類が必要になる可能性も考慮しておきましょう。
ものづくり補助金の申請書類に関する情報が知りたい人は「ものづくり補助金で申請時に必要な書類の揃え方と記載例」を参考にしてみてください。
ものづくり補助金の申請サポートを依頼する方法もある
ものづくり補助金を申請するときは、申請サポートを依頼する方法もあります。13次から16次の公募データによると、申請した案件のうち74.5%が申請サポートを受けていたため、申請書類を準備するときは申請サポートを活用する方法も検討してみましょう。
項目 |
具体例 |
サポート業者 |
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費用 |
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サポート内容 |
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契約期間 |
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申請サポートを依頼するときのポイントは「費用」を確認することです。「着手金が必要」「成功報酬として10%を支払う」など、申請サポート業者によって費用が異なるため、申請サポートを依頼するときは費用を比較検討する余地があります。
申請サポートを依頼する時のポイントは「契約期間」を確認することです。「採択までのサポート」「入金までのサポート」など、申請サポート業者によって契約期間が異なるため、申請サポートを依頼するときは契約期間を比較検討する余地があります。
なお、ものづくり補助金の公募要領では、申請の代行を他者に依頼することは認められていません。あくまで依頼できることは申請サポートであり、申請書類の代行作成は依頼できない点を留意しておきましょう。
④電子申請を行う
ものづくり補助金を申請するときの四つ目の工程は「電子申請を行う」ことです。ものづくり補助金は郵送や窓口による申請ができず、電子申請による申請となるため、電子申請の流れを確認してみましょう。
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電子申請を行うときは「GビズIDプライムの取得」を行います。GビズIDプライムはものづくり補助金の申請を始め、さまざまな行政サービスを利用できるシステムとなるため、ものづくり補助金を申請するときはまずGビズIDプライムの取得から始めます。
電子申請を行うときは「申請内容の入力」を行います。「事業者情報」「経費明細」など、ものづくり補助金の申請における必要事項をシステム上から入力するため、電子申請システムにログイン後は申請内容の入力を行います。
なお、申請書類の添付はすべてPDFデータと定められています。「事業計画書」「決算書」などの準備した申請書類はPDFデータに変換し、電子申請システムに添付することを留意しておきましょう。
GビズIDプライムの取得方法も確認しておく
ものづくり補助金の電子申請に必要となるGビズIDプライムの取得方法も確認しておきましょう。GビズIDプライムの取得には申請が必要ですが、申請方法は2種類あるため、それぞれの方法を確認してみてください。
申請方法 |
必要書類 |
取得までの期間 |
郵送申請 |
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1週間程度 |
オンライン申請 |
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最短即日 |
申請方法のひとつは「郵送申請」です。公式サイトからgbizIDプライム申請書を印刷し、必要書類を揃えて郵送することにより、Gビズ運用センターでの審査が完了後、GビズIDプライムが取得できます。
申請方法のひとつは「電子申請」です。登記情報とマイナンバーの情報が一致しているマイナンバーカード本体を用意し、「GビズID」アプリから申請を行うことにより、Gビズ運用センターでの審査が完了後、GビズIDプライムが取得できます。
なお、GビズIDプライムを取得すると、さまざまな行政サービスを利用できます。「補助金の申請」「社会保険の手続き」など、さまざまな行政手続きをオンライン上で行えるようになるため、気になる人は公式サイトから確認してみてください。
ものづくり補助金の申請後の流れも押さえておく
ものづくり補助金の申請までの流れを押さえた人は、申請後の流れも確認してみてください。ものづくり補助金は申請から入金まで時間がかかるため、申請から入金されるまでの流れを確認することにより、ものづくり補助金の全体像を把握しておきましょう。
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申請後の流れの中には「交付申請を行う」工程があります。ものづくり補助金の申請後、補助金交付候補者の採択を受けた事業者は、「機械装置等の価格の妥当性を証明する有効な見積書」「履歴事項証明書・確定申告書」などの交付申請に必要な書類を提出することになります。
申請後の流れの中には「補助事業の実績報告書を提出する」工程があります。補助事業を実施したあと、定められた期限内に実績報告書を提出することにより、補助事業が適正に実行されたかどうかを確定検査する工程に移ります。
補助事業の実施期間によっては、申請から入金まで1年程度かかる場合もあります。採択後も定められている工程を期限内に実施しなければ、補助金が入金されないおそれもあるため、ものづくり補助金を申請するときは申請後の工程も考慮したうえでの申請を行いましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の申請方法を確認したい人は、まずは申請するまでの流れを確認してみてください。流れを確認することにより、申請方法の全体像を把握しやすくなるため、ものづくり補助金の申請方法を知りたい人は申請するまでの流れを押さえておきましょう。
ものづくり補助金を申請するときの流れは「基本要件の確認」「申請枠の決定」「申請書類の準備」「電子申請を行う」の工程に分けられます。状況により、各工程が前後することも想定されますが、それぞれの工程内容を確認してみてください。
ものづくり補助金の申請までの流れを押さえた人は、申請後の流れも確認してみてください。ものづくり補助金は申請から入金まで時間がかかるため、申請から入金されるまでの流れを確認することにより、ものづくり補助金の全体スケジュールを把握しておきましょう。