補助金ガイド

ものづくり補助金で過去に実施された特別枠の概要と代替案を解説

2022/07/07

2022/6/23

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

経費を浮かせようと補助金を調べている人の中には、ものづくり補助金の特別枠が気になった人もいるでしょう。特別枠や特別枠の1つである低感染リスク型ビジネス枠は、既に公募が終了しています。しかし、ネット上では情報が閲覧できる状態になっています。

当記事では、ものづくり補助金の特別枠に関心のある人に向けて、過去に実施された特別枠の概要と、特別枠の代替案となる補助金について紹介します。

なお、この記事は2次・5次・11次のものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の公募要領を元に作成しています。

ものづくり補助金の特別枠はすでに終了している

ものづくり補助金の特別枠は、ものづくり補助金の一般型のひとつとして2020(令和2)年32次から公募されていましたが、2020(令和2)年11月の4次で公募は終了しています。そのため、現在はものづくり補助金の特別枠に申請することはできません。

特別枠には、低感染リスク型ビジネス枠とされる「新」特別枠もありました。低感染リスク型ビジネス枠は、感染症対策の一貫として2021(令和3)年2月の5次から実施されて、202112月(令和3)の9次公募で募集は終了しました。

そのため、ものづくり補助金の特別枠を検討していた人は、現在のものづくり補助金で申請できる他の枠を選ぶ必要があります

【一般型の4つの申請枠】

補助枠名

補助金額と補助率

1.通常枠

(補助金額)

  • 従業員数 5 人以下:100万円~750万円
  • 6人~20人:100万円~1,000万円
  • 21人以上:100万円~1,250万円

(補助率)

1/2

※小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

2.回復型賃上げ・雇用拡大枠

 

(補助金額)

  • 従業員数 5 人以下:100万円~750万円
  • 6人~20人:100万円~1,000万円
  •  21人以上:100万円~1,250万円

(補助率)

2/3

3. デジタル枠

(補助金額)

  • 従業員数 5 人以下:100万円~750万円
  • 6人~20人:100万円~1,000万円
  • 21人以上:100万円~1,250万円

(補助率)

2/3

4.グリーン枠

(補助金額)

  • 従業員数 5 人以下:100万円~1,000万円
  • 6人~20人:100万円~1,500万円
  • 21人以上:100万円~2,000万円

(補助率)

2/3

【グローバル展開型】
補助型名 補助金額と補助率
グローバル展開型

(補助金額)

3,000万円

(補助率)

1/2

小規模事業者等 2/3

※ものづくり補助金の公式サイトにある「第11次公募要領1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

これからものづくり補助金の申請を検討する人は、ものづくり補助金の公式サイトを確認し、最新の公募要領に記載されている枠から選びましょう。

特別枠は、過去の一般型と補助率や補助対象経費が異なるため補助率を高くしたい人や、高校宣伝費・販売促進費を利用したい人が特別枠で申請していました。

過去の一般型と特別枠の主な違い

ものづくり補助金の特別枠と過去の一般型では、補助率や補助対象経費などの違いがありました。

【過去の一般型と特別枠の主な違い】
①補助率の引き上げと事業者規模の撤廃:1/2から一律2/3へ
②中古設備や専門家活用にかかる補助対象経費を明確化された
③補助対象経費に広告宣伝費・販売促進費が追加された
※ものづくり補助金の公式サイトにある「第2次公募要領2.5版」と「第5次公募要領2.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

特別枠は、過去の一般型と補助率や補助対象経費が異なるため補助率を高くしたい人や、高校宣伝費・販売促進費を利用したい人が特別枠で申請していました。

補助率は2/3だった

ものづくり補助金の特別枠の補助率は企業規模にかかわらず、一律で2/3でした。そのため、通常枠で1/2の補助率になる中小企業者等にとって、特別枠は補助率が高い枠でした。補助率は事業者が受け取れる交付金額に大きく影響します。

【受け取れる交付金額の補助率による計算】

900万円の補助対象経費を使う場合

補助率1/2の場合

補助率2/3の場合

①補助対象経費×補助率=受け取れる交付金額を求めるための金額

900万円×1/2=450万円

②補助上限額の1,000万円以内であるか確認する

450万円〈1,000万円 

450万円は補助上限額1,000万円以内なので、450万円が交付金額となる

①補助対象経費×補助率=受け取れる交付金額を求めるための金額

900万円×2/3=600万円

②補助上限額の1,000万円以内であるか確認する

600万円〈1,000万円

600万円は補助上限額1,000万円以内なので、600万円が交付金額となる 

たとえば、900万円の補助対象経費を使う予定の事業者に適用される補助率が1/2から2/3に変わると、受け取れる金額が150万円も変わります

ものづくり補助金での自己負担額がいくらか計算したい人は、関連記事「自己負担額はいくら?ものづくり補助金の補助率と補助金額を解説」を参考にしてみてください。

対象経費に中古機器が追加されていた

ものづくり補助金の特別枠では、新たに補助対象経費の項目として中古機器が追加されていました。そのため、事業者はより幅広い補助対象経費が利用できるようになりました。

また、特別枠では、広告宣伝費や販売促進費などの経費にも利用できました。ものづくり補助金の補助対象経費は、基本的に設備投資のみなので、広告宣伝費や販売促進費の補助を受けたい事業者にとって優遇措置となりました。

補助対象経費で広告宣伝費や販売促進費が利用できた

ものづくり補助金の特別枠は、広告宣伝費や販売促進費など、設備投資以外での補助対象経費が利用できました。このため、特別枠は設備投資だけでなく広告宣伝費や販売促進費の経費を補助してほしい事業者に利用されていました。

しかし、現在のものづくり補助金の補助対象経費は、設備投資を行うための経費のみが対象となっています。

【ものづくり補助金の補助対象経費】

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサー ビス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

※グローバル展開型は上記に海外旅費が追加

引用元:令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (11次締切分)|ものづくり補助金の公式サイト

ものづくり補助金の本来の趣旨は、中小企業者や小規模事業者が取り組む「革新的サービス開発・試作 品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等」を支援することです。そのため、経費対策としての補助金を探しているなら、ものづくり補助金は設備投資に利用できる補助金であると覚えておくとよいでしょう。

枠によっては特別枠と同等の条件で申請できるものもある

特別枠の募集は終了しましたが、現行の枠によっては補助率や補助対象経費など、特別枠と同じ条件で申請できる枠もあります

【特別枠の代替案として考えられるものづくり補助金の活用例】

特別枠の特徴

代替案として考えられる活用例

補助率2/3

回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠は補助率が2/3となる

中古機器の購入費

全ての枠で補助対象経費となる

広告宣伝費・販売促進費

現在該当する枠はない

※ものづくり補助金の公式サイトにある「第11次公募要領1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、補助率を2/3にしたい場合は、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠から選択して申請することで実現できます。一方で、広告宣伝費や販売促進費は現在のものづくり補助金では補助対象経費にならないため、利用したい場合は他の補助金を探す必要があります

補助率2/3で受けたい人向けの申請枠

ものづくり補助金で補助率2/3で補助金を受けたい人向けの申請枠は、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠の3です。令和43月の10次公募から新たに始まったこれら3つの枠は、中小企業者であっても補助率2/3で申請できるので、補助率は特別枠と同じになります。

ただし、補助率2/3で受けられるこれらの枠に申請するためには、基本要件とは別に枠ごとの要件を満たす必要があります

【回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠の要件】

要件

回復型賃上げ・雇用拡大枠

①前年度の事業年度の課税所得がゼロであること

②常時使用する従業員がいること

③補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること

デジタル枠

1)次の又はに該当する事業であること。

①DXに資する革新的な製品・サービスの開発

②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善

2)DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施して、結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に提出していること。

グリーン枠

1)次の又はに該当する事業であること。

①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発

②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善

235年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1% 以上増加する事業であること。 (3)これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具体的な取組内容)を示すこと。

※ものづくり補助金の公式サイトにある「第11次公募要領1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

特別枠と同じ補助率で申請したい事業者は、各枠の要件を満たせるか確認して申請しましょう。なお、各枠の詳細は「公募要領」で確認できます。

引き続き中古機器は購入できる

ものづくり補助金では、特別枠の終了後も中古機器は購入できるように継続されています。そのため、所定の相見積が用意できれば、ものづくり補助金では現在(202211次)でも中古機器の購入は可能です。

【ものづくり補助金で中古設備を購入する際の見積もりルール】
  • 3者以上の中古品流通事業者から見積を取得すること
  • 見積には型式や年式が記載されていること
  • 3者以上の見積は同条件で記載されていること

※ものづくり補助金の公式サイトにある「第11次公募要領1.0版」をもとに株式会社ソラボ作成

なお、中古で設備機器を購入する場合でも、単価は税込み50万円以上である必要があります。中古機器をものづくり補助金で購入する予定の人は、単価が50万円以上であるかを確認してから申請しましょう。

この記事のまとめ

ものづくり補助金の特別枠の募集はすでに終了しています。しかし、現在のものづくり補助金でも補助率2/3での申請や中古機器の購入はできます。

ものづくり補助金には通常枠以外に回復型賃上げ・雇用拡大枠やデジタル枠などの申請枠があり、それぞれ概要や要件が異なります。

通常枠以外に申請する場合は、基本要件に加えて、それぞれの枠で設定されている要件を満たすことも求められるので、状況にあわせて申請する枠を選びましょう。

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ものづくり補助金(18次)

公募締切:2024年3月27日(水)

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