ものづくり補助金はECサイトの構築に使えるのか?採択事例を交えて解説
2024/05/30
2024/5/29
ものづくり補助金の申請を検討している人の中には、ものづくり補助金を活用してECサイトの構築をしたいと考えている人もいますよね。ECサイトの構築が補助対象かどうかを知りたい人もいるでしょう。
当記事では、ものづくり補助金はECサイトの構築に使えるのかどうかを解説します。ECサイトに関連のある採択事例も紹介するため、ものづくり補助金を活用してECサイトの構築をしたい人は参考にしてみてください。
Contents
ものづくり補助金はECサイトの構築に使える可能性がある
ものづくり補助金はECサイトの構築に使える可能性があります。ものづくり補助金は革新的な製品の開発や生産プロセス省力化のための設備投資の支援を目的としているため、目的に沿った事業を行う上でECサイトの構築が必要な場合は、ものづくり補助金を活用できる可能性があります。
ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業や小規模事業者が生産性向上や持続的な賃上げに向けて事業に取り組むことを支援する補助金となるため、採択事例の中にはECサイトの構築を含む事業もあります。
採択されるかどうかは申請内容によりますが、ものづくり補助金はECサイトの構築に使える可能性があります。補助金を使ってECサイトを構築したい人はものづくり補助金の申請を検討してみましょう。
ものづくり補助金を受給するには審査に通過しなければならない
ものづくり補助金を受給するためには、審査を通過しなければなりません。ものづくり補助金はECサイトの構築に使える可能性がありますが、申請後の審査を通過することにより、ものづくり補助金を受給できる候補者となります。
審査項目 |
具体例 |
補助対象事業としての適格性 |
「対象事業」「対象者」「申請要件」「申請枠」「補助率」など、ものづくり補助金の公募基準に適しているかどうか |
技術面 |
「製品やサービスの革新性」「課題解決方法の具体性」など、事業内容がものづくり補助金の目的と合致しているかどうか |
事業化面 |
「補助事業の実現可能性」「補助事業の費用対効果」など、市場に影響を与える事業が計画的に実行されるかどうか |
政策面 |
「地域経済への貢献性」「国の経済発展への貢献性」など、政策意義のある事業かどうか |
参考:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
書面審査の項目は「補助対象事業としての適格性」「技術面」「事業化面」「政策面」に分けられます。ECサイトの構築に活用したい場合は各審査項目をECサイトの構築を含む事業内容が満たしているかどうかを検討することになるため、まずはそれぞれの審査項目を確認してみましょう。
補助対象事業としての適格性
審査項目のひとつは「補助対象事業者としての適格性」です。補助対象事業者としての適格性は、ものづくり補助金を申請する要件を満たしているかどうかを評価される項目となるため、まずは補助対象事業者としての適格性の項目例を確認してみましょう。
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補助対象事業者としての適格性の項目のひとつは「対象事業」です。「基本要件を満たす事業計画を策定し、実行すること」「補助対象外となる事業に該当しないこと」など、事業内容が対象事業の要件に合致しているかどうかを検討することになります。
また、補助対象事業者としての適格性の項目のひとつは「申請枠」です。18次締切の公募要領では、「省力化(オーダーメイド)枠」「グローバル枠」など、3つの申請枠が設定されているため、想定している事業内容と合致した申請枠を検討することになります。
なお、対象者の要件にも留意が必要です。ものづくり補助金の補助対象者は「中小企業者」「小規模事業者」「特定非営利活動法人」などと定められているため、申請者は公募要領に記載されている対象者の要件を満たしているかどうかも確認しておきましょう。
技術面
審査項目のひとつは「技術面」です。「事業内容の革新性」「課題解決方法の明確性」などを評価される項目となるため、ものづくり補助金をECサイトの構築に使いたい人は採択事例と照らし合わせながら技術面の審査項目を確認してみましょう。
項目 |
事例 |
事業内容 |
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製品の革新性 |
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課題解決方法の明確性 |
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参考:公式サイト「成果事例のご紹介」|ものづくり補助金
ものづくり補助金の採択事例には、折れた木製バットを原材料とした意匠性の高い靴ベラの開発事業があります。「折損バットの再利用が可能になる」「靴ベラのデザインがバットそのもの」などの特徴が、製品の革新性として評価された可能性があります。
採択事例では、靴ベラを量産化する加工機械の開発と商品の魅力を発信するECサイトの構築にものづくり補助金を活用しています。「製作時間の短縮」「売上拡大への期待」などのポイントが、課題解決方法の明確性として評価された可能性があります。
なお、今回紹介した技術面の審査項目は一例です。「試作品における課題の明確性」「事業を実施するための技術的能力の有無」など、他にも技術面での審査項目があるため、ものづくり補助金をECサイトの構築に使いたい人は他の技術面の審査項目も押さえておきましょう。
事業化面
審査項目のひとつは「事業化面」です。「サービスの市場性の有無」「企業の収益性向上の可能性」などを評価される項目となるため、ものづくり補助金をECサイトの構築に使いたい人は採択事例と照らし合わせながら事業化面の審査項目を確認してみましょう。
項目 |
事例 |
事業内容 |
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市場ニーズの有無 |
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費用対効果の高低 |
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参考:公式サイト「成果事例のご紹介」|ものづくり補助金
ものづくり補助金の採択事例には、多品種少量の計量梱包が可能な専用機の導入とWEBサイトの多言語化事業があります。「キーホルダー」「アクセサリー」など、製造販売していた玩具が外国人からの購入需要が見込める点を、サービスの市場性として評価された可能性があります。
採択事例では、商品の計量や梱包をする専用機の導入とAIを活用した多言語対応のWEBサイトの開設にものづくり補助金を活用しています。「顧客満足度と作業効率の向上」「越境EC体制の構築による売上向上」が期待できる点を、収益性向上の見込みとして評価された可能性があります。
なお、今回紹介した事業化面の審査項目は一例です。「金融機関からの資金調達の可否」「事業化スケジュールの妥当性」など、他にも事業化面での審査項目があるため、ものづくり補助金をECサイトの構築に使いたい人は他の事業化面の審査項目も押さえておきましょう。
政策面
審査項目のひとつは「政策面」です。国の経済政策として支援すべき取り組みかどうかを評価される項目となるため、ものづくり補助金をECサイトの構築に使いたい人は採択事例と照らし合わせながら政策面の審査項目を確認してみましょう。
項目 |
事例 |
事業内容 |
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地域の経済成長への貢献性 |
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国の経済成長への貢献性 |
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※参考:公式サイト「成果事例のご紹介」|ものづくり補助金
ものづくり補助金の採択事例には、地域特性を活かしたECサイトの開発事業があります。静岡の小規模事業者や個人事業主が気軽に出品できるECサイトを構築することにより、地域産業の交流や活性化が見込める点を、地域の経済成長への貢献性として評価された可能性があります。
採択事例では、ECサイトとFacebookの連携も可能にしています。静岡のニッチ商品を国内や海外に向けて発信できる点を、国の経済成長への貢献性として評価された可能性があります。
なお、今回紹介した政策面の審査項目は一例です。「グローバル市場で地位を築く潜在性」「経営資源の有効活用の可否」など、他にも政策面での審査項目があるため、ものづくり補助金をECサイトの構築に使いたい人は他の政策面の審査項目も押さえておきましょう。
公募要領は変更の可能性があることに留意する
ものづくり補助金の公募要領は変更の可能性があることに留意しましょう。過去の採択事例を参考にする方法もありますが、事例採択時の公募要領と今後公開される公募要領は内容が異なることも考えられるため、申請予定の人は念頭に置いておきましょう。
項目 |
16次 |
17次・18次 |
申請枠の変更 |
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最大補助額の変更 |
5,000万円 |
1億円 |
審査方法の変更 |
書面審査のみ |
一部の事業者は口頭審査を追加 |
※参考:公式サイト「公募要領(16次締切分)」「公募要領(17次締切分)」「公募要領(18次締切分)」|ものづくり補助金
たとえば、16次公募と17次公募以降の公募要領の変更点のひとつは「申請枠」です。16次公募は5つの申請枠が設けられていましたが、17次公募以降は3つの申請枠に変更されているため、申請枠ごとの追加要件も変更されています。
また、16次公募と17次公募以降の公募要領の変更点のひとつは「審査方法」です。16次公募は書面審査のみでしたが、17次公募以降は一部の事業者を対象として口頭審査が追加されているため、該当する事業者はオンラインでの口頭審査を受けることになります。
なお、今回紹介した変更例は一部です。「補助率」「提出書類」など、他にもいくつかの変更点があったため、ものづくり補助金を申請予定の人は今後も公募要領は変更される可能性があることに留意しておきましょう。
公募要領の変更点の情報を知りたい人は「ものづくり補助金の2024年の変更点と18次公募の特徴を解説」を参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金も選択肢に入れる
ECサイトの構築に補助金を使いたい人は、小規模事業者持続化補助金も選択肢に入れてみてください。小規模事業者持続化補助金は補助対象経費としてウェブサイト関連費が含まれているため、小規模事業者持続化補助金をECサイトの構築に使える可能性があります。
項目 |
概要 |
補助対象経費 |
販路開拓などを行うための「ウェブサイト」「ECサイト」「システム」などの開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費 |
申請額上限 |
補助金交付申請額の4分の1(最大50万円) |
参考:<一般型>第16回公募要領 |商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局
小規模事業者持続化補助金は小規模事業者の販路開拓や業務効率化につながる取り組みに必要となる経費の一部を支援する補助金です。小規模事業者が販路開拓を目的としてECサイトの構築を行う場合、それらの経費が補助対象となります。
ウェブサイト関連費における申請額の上限は補助金交付申請額の4分の1です。ウェブサイト関連費のみでの申請はできず、他の経費と一緒に申請する必要があるため、小規模事業者持続化補助金を申請する人はその点に留意することになります。
ただし、小規模事業者持続化補助金は審査を通過しなければ受給できません。「補助対象者」「補助対象事業」といった要件を満たした上で、提出書類による審査を通過しなければ受給できないため、申請を検討したい人は公募要領を確認してみましょう。
小規模事業者持続化補助金とECサイト構築に関する情報が知りたい人は「ECサイト制作は小規模事業者持続化補助金の対象?補助金額の計算例も解説」を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
ものづくり補助金はECサイトの構築に使える可能性があります。ものづくり補助金は革新的な製品の開発や生産プロセス省力化のための設備投資の支援を目的としているため、目的に沿った事業を行う上でECサイトの構築が必要な場合は、ものづくり補助金を活用できる可能性があります。
ものづくり補助金を受給するには、審査を通過しなければなりません。審査項目は「補助対象事業としての適格性」「技術面」「事業化面」「政策面」に分けられるため、ECサイトの構築を含む採択事例を参考にしながら、それぞれの審査項目を確認してみましょう。
なお、ものづくり補助金の公募要領は変更の可能性があることに留意しましょう。過去の採択事例を参考にする方法もありますが、事例の採択時の公募要領と今後公開される公募要領は内容が異なることも考えられるため、申請予定の人は念頭に置いておきましょう。