補助金ガイド

ものづくり補助金の申請代行で受けられるサポートは?費用と選び方を解説

2024/04/05

2022/9/20

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金を検討している人の中には、自分で申請できるか不安に思う人もいますよね。その際、手続きを申請代行業者に依頼したいと考えても、サポート内容が明確でないために相談をためらう人もいるでしょう。

当記事では、ものづくり補助金の申請代行を通じて受けられるサポート内容を具体的に解説します。申請代行の費用と選び方の目安も紹介するので、申請代行に関心のある人は当記事を参考にしてみてください。

ものづくり補助金の申請代行では資料作成や助言を受けられる

ものづくり補助金の申請代行を利用すると、資料作成や助言のサポートを受けられます。ただし、ものづくり補助金の公募要領には「事業者が主体的に申請する」旨のルールが記載されています。そのため、申請自体を申請代行業者へ丸投げすることはできません。

実際には、申請代行は「代行」ではなく「申請サポート」と言えます。申請サポートのサービス内容は他のサービス業と同じで、サービスを提供する業者により支援内容が異なります。

【ものづくり補助金で事業者が申請サポートに依頼できること】
  • 事前打ち合わせ(対面・オンライン)
  • 要件および補助対象経費の確認 
  • Gビズ電子申請のサポート
  • 事業計画書作成のためのアドバイス
  • 事業計画書に添付する資料の作成(売上減少の根拠・収支計画書・損益計算書など)
  • 不採択となった事業計画書の作り直し案の作成
  • 補助金採択後に必要な書類作成のサポート※ 
※採択後にサポートする契約を結んだ場合のみ

たとえば、事前打ち合わせの場合、事業者は「自社がものづくり補助金の要件を満たすか」「いつ頃申請できるか」などを相談できます。その時、申請サポート業者は事業者の事業内容や補助対象経費を確認し、申請できるかどうかを吟味します。

また、事業計画作成のためのアドバイスの場合、事業計画を作成した事業者に対しては、Wordのコメント機能やメールで添削します。事業計画書をまだ作成していない事業者に対しては、テンプレ―トや見本を提供し、書き方を具体的にアドバイスします。

ほとんどの場合、申請代行では事前打ち合わせと事業計画作成の支援を受けられます。しかし、対応の仕方やノウハウ、採択後のサポートの有無には違いがあります。申請サポート業者への依頼を検討している人は、自社にあった申請サポートを行っている業者を選びましょう。

なお、ものづくり補助金で補助金を受け取る時期は、補助事業後に実績報告書を提出したあとです。そのため、申請サポート業者に依頼する際は、実績報告書作成の時期まで支援を継続してもらえるのかも併せて確認しておきましょう。

当サイトを運営する株式会社SoLaboは、認定支援機関としてものづくり補助金申請から入金まで総合的な申請サポートを行っています。これから申請を検討している人は、補助金が受けられるか・いくらくらい受け取れるかがわかる無料診断をお試しください

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申請代行の費用には着手金と成功報酬がある

ものづくり補助金の申請代行の費用には、着手金と成功報酬があります。「着手金」とは、ものづくり補助金の申請サポートを契約した時点で支払うべき費用です。「成功報酬」とは、ものづくり補助金に採択された時だけ支払う費用を指します。

【補助金額500万円で申請する際の申請代行費用の例】
A社  B社
着手金  なし  15万円
成功報酬 15% 10%
採択時の報酬  75万円 50万円
不採択時の報酬 0円  15万円

たとえば、着手金なし、成功報酬15%の申請サポート業者に依頼した場合、応募申請時は無料で申請サポートを受けられます。申請後に採択されると、「補助金額500万円××15%=75万円」となり、75万円の成功報酬を支払うことになります。

これに対し、着手金が15万円、成功報酬10%の申請サポート業者に依頼した場合は、応募申請時に15万円を支払うことになります。申請後に採択されると、「補助金額500万円×10%=50万円」となり、50万円の成功報酬を支払うことになります。

成功報酬がある申請サポート業者の場合は、採択後に申請サポート業者に支払う費用が発生します。成功報酬は補助金を受け取るタイミングよりも前に支払うため、申請サポート業者にサポートを依頼する際は、費用の支払いができるかも考慮に入れましょう。

なお、申請サポートをする業者には商工会のような公的機関もあります。公的機関の利用は無料なので、申請代行の料金が気になる人は公的機関の利用も視野に入れてみましょう。

申請代行の報酬は採択額の15%以内が半数を超える

ものづくり補助金の申請代行の報酬は、公式データをみると0円または採択額の15%以内が半数を超えます。ものづくり補助金で申請代行を利用した人の割合や費用は、公式サイトの「データポータル」に記載されています。

【採択者における報酬額ごとの申請者の割合と採択率】
報酬額 全体に占める割合  採択率
支援なし  27.3% 36.6%
報酬なし  18.9% 49.0%
採択額の~5% 10.5% 49.3%
採択額の~10%  23.6% 58.5%
採択額の~15%  14.9% 59.7%
15%を超える報酬 4.1% 51.5%

※ものづくり補助金12次から15次の場合
参考:ものづくり補助金の公式サイト「データポータル」をもとに、株式会社ソラボが作成

2022年10月から2023年7月までの公募において、「申請代行なし」で採択されている人は全体の3割弱でした。そして、申請代行を受けたけれど「報酬なし」で採択された人は全体の2割弱でした。

一方、申請代行を利用した採択者の6割弱は、報酬額が10%または15%以内でした。申請代行を利用しない人の採択率は4割弱なのに対し、申請代行を利用した人の採択率は5割弱から6割弱と高くなっています。

ものづくり補助金に採択された人のおよそ7割は、報酬あるなしに関わらず、申請代行の支援を受けています。ものづくり補助金での採択率を上げたい人は、採択率と申請サポート業者の報酬の関係も考慮しながら、申請サポート業者の利用を検討してみましょう。

申請サポート業者に頼むメリットとデメリット

申請サポート業者に頼む場合、事業者にはメリットとデメリットの両方があります。代表的なメリットには「時間の節約」や「採択率が上がる可能性がある」が、デメリットには「報酬が高額」「資金繰りが大変」などがあります。

【申請代行業者に頼むメリットとデメリット】
頼むメリット  頼むデメリット
  • 申請作業を手伝ってもらえるため、時間の

節約になる

  • 信頼できる申請代行業者なので、採択率が

上がる可能性がある

  • 業者によっては、他の補助金も同時に

申請できる

  • 業者によっては高額な報酬を支払わなければ

ならない

  • 補助金を受け取る前に報酬を支払うため、

資金がない人は資金繰りが大変

  • 業者によってはサポート内容にバラつきがある

ものづくり補助金で申請代行業者に依頼するかどうかは任意なので、メリットとデメリットの双方を考慮することが大切です。メリットとデメリットを天秤にかけ、メリットの方が上回ると判断できる場合は申請代行業者の利用を検討してみましょう。

ものづくり補助金は自力でも申請可能

ものづくり補助金は自力でも申請可能です。ものづくり補助金は事業再構築補助金と違い、認定支援機関による確認書の提出が必要ないためです。そのため、ものづくり補助金の公募要領を読んで資料作成ができれば、申請代行に依頼する必要はありません。

ものづくり補助金の申請時にはさまざまな書類を提出するため、自力で申請する場合は、必要書類を自分で準備することになります。パソコン操作や資料作成の得意、不得意は人によって異なるため、資料作成にかかる時間も人により個人差があります。

【ものづくり補助金の必要書類と書類作成にかかる時間の例】
必要書類 書類作成にかかる時間の例
事業計画書(10ページ以内) 40時間から120時間以内
補助経費に関する誓約書 10分以内
賃金引上げ計画の誓約書 30分以内
※ただし、賃金に関して従業員と合意を取る必要あり
決算書
  • 毎年自分で作成している→1週間
  • 作成した経験が全くない→1~2か月
  • 決算書作成ソフトを使用する→1週間~2週間
従業員数の確認資料 ※作成はせずに取得する
労働者名簿

1日~2日

※従業員数21人以下の場合は不要

大幅な賃上げ計画書  20時間以内

 ※大幅な賃上げを行う加点に申請する者のみ
※参考:ものづくり補助金の公式サイト「公募要領」をもとに、株式会社ソラボが作成

申請代行を検討している人は、制度の理解や書類作成に時間をかけられるかを検討してみましょう。

申請代行業者は採択実績と対応と費用で選ぶ

申請代行業者は採択実績と対応と費用で選びましょうホームページの印象が良くても、採択実績がないと「ものづくり補助金の専門家」と言えない可能性があります。また、事業者が質問した内容への返信が遅く的を得ないなら、申請サポートを受けても満足できません。

費用も申請サポート業者を決定する際の重要な要素です。どんなに良いサポートをしてくれても、成功報酬が補助金額の20%や25%なら補助事業に使える資金が目減りします。そのため、申請サポート業者を選ぶ際はできるだけ幅広い選択肢から選ぶことが大切です。

【ものづくり補助金の申請サポート業者の種類】
名称 具体例
金融機関 銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、商工中金
商工会議所 商工会議所、商工会
士業 税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、行政書士
その他(民間企業) 民間コンサルティング会社、コンサルタント、その他
その他(公的機関) 一般社団法人、公益財団法人

ものづくり補助金で申請サポートを頼める業者は、金融機関や仕業など複数あります。たとえば、東京の金融機関の場合、「城南信用金庫」や「東京東信用金庫」などが申請サポートをしていて、15次公募では複数の事業者が金融機関の申請サポートで採択されました。

実際に採択実績のある申請サポート業者であれば、ものづくり補助金で申請代行を決める基準の1つ「採択実績」を満たします。納得できる申請サポート業者を探したい人は、公式サイトの「採択結果」を参考にして、対応や費用を含めて検討していきましょう。

なお、ものづくり補助金の採択率は16次公募の場合、50%程度でした。公募回により変わることもありますが、約二人に一人が採択される計算です。ものづくり補助金の過去の採択率が気になる人は、「15次ものづくり補助金の採択件数と採択率を解説」を参考にしてみてください。

ものづくり補助金の採択事例

ものづくり補助金に実際に採択された事例を2つ紹介します。採択事例をみると、どのような事業計画がものづくり補助金では評価されるのか、審査のポイントを把握しやすくなります。

2022年の場合、廃棄物を生かした新商品の開発や、大型設備導入による商品製造の内製化などが採択されました。

たとえば、大阪の立て看板を扱う企業の場合、社長の人名救助に貢献したいという思いから生まれた「サポートサイン」で採択されました。普段は看板として使用でき、緊急時に人を乗せられるストレッチャーに変身するという新たな視点が評価されました。

また、佐賀県の洋菓子店の場合は、賞味期限の短い洋菓子の廃棄問題を克服すべく開発した「焼き菓子」で採択されました。同店の看板メニューの焼き菓子が量産できない商品であったことから、賞味期限が長く量産もできる新たなメニューを試作して評価されました。

ものづくり補助金活用グッドプラクティス」には、過去にものづくり補助金で採択されたさまざまな事例が詳しく紹介されています。ものづくり補助金に採択されるのはどんな事業計画なのか知りたい人は、この資料を参考にしてみてください。

今後のものづくり補助金のスケジュール

ものづくり補助金の2024年以降のスケジュールは、まだ正式に発表されていません。しかし、2023年12月には令和5年度補正予算として、2024年(令和6年)のものづくり補助金の概要が発表されたので、引き続きものづくり補助金の公募は続く見込みがあります。

【2024年以降のものづくり補助金の概要】※令和5年12月時点
対象要件

① 付加価値額 年平均成長率3%増加

② 給与支給総額 年平均成長率1.5%増加

③ 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
の基本要件等を目指す3~5年の事業計画に取り組むこと。

申請手続き

①公募要領で補助対象者、申請要件、対象経費、スケジュール

等を確認

②GビズIDを取得のうえ、電子申請システムにより申請

事業実施、フォローアップ

①交付候補者決定、交付申請・決定を経て事業を実施

②補助事業実施期間内に設備投資等を行い、実績報告書を提出

③ 3~5年の事業計画に基づき事業を実施し、事業化状況報告を

提出

引用元:中小企業庁の公式サイト「生産性向上を目指す皆様へ

2024年以降のものづくり補助金の内容は、概要を見る限り、現状と大きな変化は見受けられません。対象要件の付加価値額、給与支給総額は「年率」が「年平均成長率」となっているため、引き続き事業者が成長できる事業が採択の基準と言えます。

2023年の最後の公募は16次だったので、2024年からの公募は17次から開始されます。過去の公募要領を参考にすると、例年、年初めの公募締め切りは2月末~3月でした。ものづくり補助金に関心がある人は、定期的に公式サイトでスケジュールを確認してみましょう。

この記事のまとめ

ものづくり補助金で申請代行に依頼すると、ほとんどの場合、事前打ち合わせと事業計画作成の支援を受けられます。しかし、対応のきめ細やかさやノウハウの有無、採択後の資料作成のサポートがあるかは異なりますので、そのあたりに留意しましょう。

ものづくり補助金の申請代行の費用には、着手金と成功報酬があります。「着手金」とは、ものづくり補助金の申請サポートを契約した時点で支払うべき費用です。着手金がない申請代行業者でも、採択された場合に高額な請求をされる場合があります。

ものづくり補助金の資料を熟読して制度を理解できれば、自力で要件の確認ができます。また、ものづくり補助金申請で最も重要な書類作成も、作成時間を確保できれば、申請代行を使わずに完結できます。

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