補助金ガイド

事業再構築補助金における認定支援機関とは?役割や選び方を解説

2024/05/08

2022/1/31

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業再構築補助金の利用を検討している人の中には、認定支援機関が何なのかわからない人もいますよね。事業再構築補助金の申請の際、どのように利用するのかわからない人もいるでしょう。

事業再構築補助金に申請するには、認定支援機関への依頼が必要です。また、申請手続きや相談の際にも認定支援機関のサポートが利用できます。

当記事では、事業再構築補助金における認定支援機関の役割や選び方を解説します。認定支援機関に提出する確認書についても解説するので、事業再構築補助金に申請するために認定支援機関を探している人は参考にしてみてください。

なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。

認定支援機関とは国が認めた中小企業支援の専門性のある組織

認定支援機関(認定経営革新等支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国から認められた組織です。事業再構築補助金における認定支援機関は、申請の際に事業計画を確認する役割を担います。

【認定支援機関の種類】
  • 金融機関
  • 商工会、商工会議所
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • コンサルティング企業 など

認定支援機関には銀行や信用金庫などの金融機関や、税理士や公認会計士などの士業だけでなく、コンサルティング企業や中小企業診断士なども含まれます。サポート内容はそれぞれ「経営」「金融」「財務」など、認定支援機関によって専門としている分野が異なります。

また、サポートの範囲も認定支援機関によって違いがあり料金体系も異なるため、認定支援機関を選ぶ際は、サポート範囲や分野などを考慮して比較検討することが望ましいです。

事業再構築補助金の申請で認定支援機関を選ぶ際は「補助金について専門としている認定支援機関であるか」「どこまでサポートをしてくれるのか」を事前に確認しましょう。

なお、当メディアを運営する株式会社SoLaboも補助金申請のサポートを行っている認定支援機関です。依頼する認定支援機関を探している人や、補助金申請に関する相談をしたい人は以下の無料診断フォームよりお問い合わせください。

無料診断

事業再構築補助金において認定支援機関を活用する場面

事業再構築補助金において認定支援機関の活用が必要な場面は、事業計画の確認と確認書の発行の2回あります。他の手続きサポートや相談は必須ではないため、各種手続きでサポートを受けたい申請者は認定支援機関の活用を検討してみてください。

【事業再構築補助金の流れと認定支援機関のサポートの具体例】
手続きの流れ 事業者側の手続き
申請 ・認定支援機関を探す
・事業計画書の作成
・GビズIDプライムアカウントの取得
・その他、必要書類の準備
・申請手続き
認定支援機関のサポート内容
・申請の相談
・事業計画の相談や作成のサポート
・事業計画の確認:必須
・確認書の発行:必須
・申請手続きのサポート
採択後 事業者側の手続き
・交付申請後に交付決定通知書を受理したら、補助事業を開始する
認定支援機関のサポート内容
・交付申請手続きのサポート
補助事業実施後 事業者側の手続き
・実績報告書を作成し決められた提出書類とともに提出する
・補助金額確定通知書を受理後、指定口座への入金を確認する
認定支援機関のサポート内容
・実績報告手続きのサポート
補助金の入金後 事業者側の手続き
・事業化状況報告を行う(5年間計6回)
認定支援機関のサポート内容
・事業化状況報告手続きのサポート

たとえば、事業者は申請の際、日々の業務と両立して事業計画の作成や他の必要書類の準備をすることが求められます。手間や事業再構築補助金の申請準備にかける時間を減らしたい場合は、申請の際に認定支援機関を活用できます。

また、事業再構築補助金は採択後や入金後にも手続きがあるため、採択後も支援を依頼したい場合は、採択後のサポートをしている認定支援機関を探す必要があります。

各認定支援機関によってサポート内容が異なるため、事業再構築補助金の申請にあたり認定支援機関へ依頼する際はあらかじめ「どこまで支援してもらうか」を決めて、認定支援機関を探しましょう。

なお、申請や採択後の詳しい手続きの流れが知りたい人は「事業再構築補助金の申請から入金までの流れを解説」を参考にしてみてください。

事業計画は認定支援機関や金融機関の確認が必須である

事業再構築補助金の申請の要件において、作成した事業計画は認定支援機関や金融機関からの確認を受けることが定められています。そのため、申請者側で事業計画を作成した際は、認定支援機関または金融機関に事業計画の確認を依頼する必要があります。

【金融機関要件】

  • 事業計画は金融機関または認定支援機関の確認を受けること

(「金融機関による確認書」又は「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出する)

  • 金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等による事業計画の確認を受けること

事業再構築補助金に申請するすべての事業者は、作成した事業計画を認定支援機関または金融機関に確認してもらう必要があります。事業再構築補助金への申請を決めた人は、事業計画書の作成準備とあわせて支援を依頼する機関を探しましょう。

なお、金融機関要件は全ての枠に共通する要件ですが、その他にも申請枠ごとの要件が設けられています。申請要件や申請枠の詳細が知りたい人は「事業再構築補助金の申請要件とは?」を参考にしてみてください。

申請時には支援機関による確認書が必要

事業再構築補助金の申請時に、認定経営革新等支援機関または金融機関による確認書が必要です。認定支援機関や金融機関と事業計画をたてた証明書である「認定経営革新等支援機関による確認書」や「金融機関による確認書」が、申請時の必要書類のひとつになっているためです。

【認定経営革新等支援機関による確認書記入例】

認定支援機関 確認書
【提出前の確認事項】
  • 右上の「住所」「名称」「代表者役職」「代表者名」が認定支援機関のものになっているか
  • 中央枠内の「事業者名」「事業計画名」が申請者の申請内容と揃っているか
  • 右下の認定経営革新等支援機関ID番号が間違っていないか

確認書を提出する前には、事前に不備がないか確認しましょう。

たとえば、会社名を変更した場合は、事業者名が変更前の事業者名になっていないか確認します。事業者名が変更前のまま書類を提出すると、書類不備で不採択になる可能性があるためです。

申請時、認定経営革新等支援機関による確認書を提出する際は、事業計画書の事業者名や事業計画名と同じであるか確認しましょう。認定経営革新等支援機関による確認書のフォーマットは、事業再構築補助金の公式サイト内の応募申請ページ「必要書類」からダウンロードできます。

なお、商工会や商工会議所によっては、認定経営革新等支援機関による確認書の発行の対象が「発行日時点で会員かつ会費に未納がない人」である場合があります。商工会や商会議所を利用する際は、認定経営革新等支援機関による確認書が発行できる条件を確認してみてください。

事業再構築補助金における認定支援機関の一覧と検索方法

中小企業庁の「経営革新等支援機関認定一覧について」では、全国の認定支援機関の一覧のデータが公表されています。全国の認定支援機関を確認したい人は、中小企業庁の「経営革新等支援機関認定一覧」を確認しましょう。

また、会社の近くの認定支援機関を検索したい人は、中小企業庁の「認定経営革新支援機関検索システム」を活用できます。支援内容や支援実績で条件を絞った検索もできるため、会社のある都道府県で認定支援機関を探したい人は「認定経営革新支援機関検索システム」を活用してみてください。

認定支援機関の選び方

認定支援機関を選ぶときは、まず選ぶ軸を決めましょう。約4万件存在する認定支援機関の中から事業者に適した支援機関を選ぶには、事業者の事業状況にあわせた判断軸が必要であるからです。

【認定支援機関を選ぶ軸の例】
内容
採択実績
認定支援機関が支援した事業者の採択件数を比較する
詳細
例)A社:5件、B銀行:10件 など
採択率
内容
認定支援機関が支援した事業者の採択割合を計算する
詳細
認定支援機関の採択率=支援して採択された事業者÷支援したすべての事業者数
例)A社
支援した事業者全体10件
採択された事業者5件
5 ÷ 10 = 0.5 → 採択率50%
サポート内容
内容
複数社のサポート内容を比較する
詳細

例)
<A社のサポート内容>

①事業計画書の作成サポート

②申請のサポート


<B社のサポート内容>

①事業計画書の作成サポート

②申請のサポート

③交付申請のサポート

④補助事業実績報告書の作成支援

報酬
内容
複数社のサポート料金を比較する
詳細
・報酬体系(2段階で構成されている傾向がある)
①着手金
補助金の申請サポートを依頼した時点で発生する報酬。
補助金を受け取れなくても報酬を支払う必要がある。
②成功報酬
補助金の採択または交付決定時に発生する報酬。
補助金に採択または交付決定されると報酬を支払う必要がある。
融資の支援実績
内容
補助金とともに融資のサポートも依頼できるか確認する
詳細
場所
内容
対面の相談が可能かどうかを確認する
詳細

たとえば、補助金の支援実績がある認定支援機関かどうかを知りたいときは「採択実績」を確認します。他にも、自社に合ったサポ―トをしてほしい場合は「サポート内容」、融資もあわせて検討しているときは「融資の支援実績」などで選ぶことができます。

また「サポート内容」や「報酬」は認定支援機関によって異なります。事業計画書のサポートを依頼する場合、認定支援機関によって「1回の添削」や「複数回の添削」など内容が異なることがあるため、サポート内容で選ぶ際は具体的な内容まで確認が必要です。

認定支援機関を選ぶときは、申請者の事業状況や相談内容にあわせて判断軸を考えてみましょう。その際「申請からどの段階までのサポートか」「どのような料金体系か」など、依頼する予定の内容を具体的に確認することが望ましいです。

一般企業における認定支援機関の料金例

認定支援機関の事業内容は、コンサルティング事業や資金調達、経営支援事業などさまざまです。補助金申請サポートの料金体系も、認定支援機関によって異なるため、認定支援機関を探す際は比較検討が必要です。

【認定支援機関(一般企業)ごとの料金体系例】

認定支援機関
(一般企業)

料金体系 サポート内容
A社
  • 着手金:22万円(税込)
  • 成功報酬:採択金額の5~15%(税込)
    (最低金額あり)
  • 事業計画書作成サポート
  • 交付手続きサポート
  • 完了報告サポート
  • 事業化状況報告サポート 等
B社
  • 着手金:10万円
  • 成功報酬:採択金額の10%
    (最低金額あり)
  • 事業計画書作成サポート
  • 申請手続きサポート
  • 交付申請書類作成サポート 等
C社
  • 着手金:11万円(税込み)
  • 成功報酬:採択金額の10%
    (最低金額あり)
  • 事業計画書作成サポート 等

一般企業の認定支援機関では、着手金や成功報酬などの料金体系が異なります。「サポートの広さ」「費用の安さ」など、何を重視するかを決めて自社に合った認定支援機関を選択しましょう。

認定支援機関の中には無料でサポートを行っている機関もあります。無料の場合、費用を安く抑えられますが、事業計画書の確認や確認書の発行のみの最低限の範囲しかサポートしていない場合もあるため、無料サポートを受ける場合はサポート範囲を確認しましょう。

第3回~第10回公募の認定支援機関別採択実績一覧

事業再構築補助金では、過去の認定支援機関別の採択実績が公開されています。実績の多い認定支援機関を選びたい人は、過去の採択実績を確認しておきましょう。

【第3回~第10回公募における全国版の認定支援機関の採択実績一覧】

※第1回~第2回の公開データは第3回以降と異なるため割愛
参考:事業再構築補助金公式サイト「補助金交付候補者の採択結果」をもとに株式会社SoLaboが作成

当記事を運営する株式会社SoLaboは、第10回公募では、2番目に多い結果となりました。サポートを依頼する認定支援機関を選ぶ際は、支援数や採択率などの採択実績を参考にしましょう。

なお、採択された事業計画書を見たい人は「事業再構築補助金の採択事例として当社SoLabo(ソラボ)の事業計画書を公開」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

認定支援機関(認定経営革新等支援機関)は、中小企業支援の専門性が一定レベル以上にある者として、国から認められた組織です。事業再構築補助金において、事業計画は認定支援機関または金融機関へ確認を依頼する必要があります。

事業再構築補助金において認定支援機関の活用が必須となる場面は、申請前の事業計画の確認と、申請時の必要書類である「認定経営革新等支援機関による確認書」の発行の2回です。

認定支援機関は、中小企業庁の「認定経営革新支援機関検索システム」で検索できます。サポート内容や報酬は認定支援機関によって異なるため、申請者の事業状況や相談内容にあわせて依頼先を検討しましょう。

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