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事業再構築補助金における法人成り特例を解説

2021/9/13

2022/04/12

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

お客様の資金調達支援実績4,500件以上 自社でも、
小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金の採択をされている。

事業再構築補助金は、中小企業や条件を満たしたNPO法人など、さまざまな法人が対象の補助金です。個人事業主も要件を満たせば対象ですが、大企業により経営権を握られている企業(みなし大企業)については補助の対象外です。では、事業再構築補助金の申請の前後で個人事業主から法人設立するケース(法人成り)では、申請は可能なのでしょうか?

今回の記事では、事業再構築補助金の法人成り特例について、関連用語の解説を含めてわかりやすくお伝えします。

事業再構築補助金の法人成り特例とは

事業再構築補助金は事業者が対象の補助金ですが、原則は「大企業」以外の法人が対象です。申請には事業再構築のための計画を提出しますが、併せて、コロナ禍で売上が減少したと証明できる書類(売上減少証明書類)も提出します。

売上減少証明書類については、「2020年10月からの半年間で任意の3か月」などの決まりがあるため、この期間に法人成りをした事業者については、公募要領で特例が定められています。

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金の対象事業者が申請しようとするのであれ、最低限満たさなければいけない条件(要件という)があります。大まかにいうと、事業再構築補助金の主な要件、以下の2点です。

  1. コロナ禍で売上減少している
  2. 事業再構築の計画を立て、それを認定支援機関がチェックする

この他にも、応募する補助枠(グループ)によって複数の要件が定められています。詳細は、当サイトの以下記事をご参照ください。

事業再構築補助金で最低限クリアすべき4つの要件をわかりやすく解説|要件チェック付き

事業再構築補助金に申請しようとする事業者で、法人成りをした(する)方は特例が適用されます。(法人成り特例)法人成り特例とは何かというと、「通常の売上減少証明書類が提出できない代わりに、別の書類を提出することで、要件を満たしていることにする」という内容です。

【背景】法人成りなど、一部の事業者は「売上減少」書類が提出できない

申請にはさまざまな提出書類が必要ですが、その中の1つ「売り上げ減少書類」は以下の2つの期間の売上減少を証明する書類です。

①2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している

➁2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること等

引用:令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 公募要領 (第3回)1.2

そのため、例えば2020年~2021年の間に合併、法人成りなどをして法人が別法人になった場合や個人が法人になった場合は、この売上減少書類は別名義となるため、どのように提出すればいいのかという問題が浮上します。

売上減少書類の【特例】および【追加提出書類】について

結論から言うと、事業再構築補助金の売上減少の対象となる期間内に合併や法人成りをしている事業者でも、「法人成り特例」として別の書類を提出するか、追加書類を提出すれば、事業再構築補助金の要件を満たすことが可能です。法人成り特例については、事業再構築補助金の公募要領の最終ページに貼られている「売上減少の確認に関わる特例について」という青文字のリンクをクリックしてください。「売上高減少の確認に係る特例について(1.4版)」という資料の中で、以下の内容をご確認いただけます。

(法人成り特例とは)

売上減少証明書書類の提出について、特定の条件にあてはまる事業者は通常の売上減少証明書類ではなく、それに付随する追加書類を提出することで、売上減少証明書類の代わりとして満たすものとする。
参照URL売上高減少の確認に係る特例について(1.4版)

事業再構築補助金で関連会社や親会社と合併・法人成りをするなら

では、実際に合併や法人成りなどで事業形態が変化する事業者は、売上減少証明書類の代わりにどのような追加書類を提出すればいいのでしょうか。こちらの見出しでは、個人事業主の法人成りに加え、親会社・子会社・関連会社などのさまざまな会社形態のパターン別に必要となる「売上減少書類の追加書類」をまとめてお伝えします。

親・子会社と関連・同族会社・持株会社・みなし法人の定義

事業再構築補助金には大企業以外のさまざまな形態の法人が申請できます。そして、要件を満たせば中小企業だとしても「みなし大企業」と判断され、補助金に申請はできません。

ここでは、まず事業再構築補助金で扱われている①親会社②子会社③関連会社④同族会社などが、どのような意味を持つ会社形態なのかを確認しておきましょう。そのうえで、各会社形態で必要となる売上減少証明書類をお伝えします。

親会社・子会社とは

親会社・子会社の関係図
画像素材:補助金ガイド

親会社・子会社はその名の通り、親会社が子会社を支配している形態をもつ会社のことです。単に親会社が経営権をもつだけでなく、親会社が子会社の50%以上の株式を保有しているケースも多くみられます。

また、その割合が50%未満でも親会社の影響力が大きい場合は親子関係の会社とみなされますなお、事業再構築補助金の特設サイトの「よくある質問」では、親会社が50%以上の議決権を有する子会社は同一会社としてみなされるため、親会社が採択されると子会社は申請が不可になるという記載があります。

親会社・子会社 会社同士で親と子のような主従関係をもつ

関連会社・同族会社とは

関連会社・同族会社の関係図
画像素材:補助金ガイド

親会社・子会社の関係と同じように、一定の割合で議決権を持つ会社は関連会社と言います。ただし、親会社・子会社との違いは関連会社が経営権をもつ支配や株式の保有だけでなく、出資、人事、資金、技術、取引等の幅広い影響を含みます。
これに対し、同族会社とは、特定の親族・ファミリーで経営される会社のことを指します。

まとめると、株式だけでなく、出資や技術提携などで関係のある会社が関連会社です。これに対し、血縁関係で経営を行う会社を同族会社と言います。

関連会社 株式だけでなく、出資や技術提携などで関係のある会社。同族会社を含むこともある。
同族会社 血縁関係で経営を行う会社。発展して関連会社になることもある。

持株会社・みなし法人とは

持株会社の関係図
画像素材:補助金ガイド

持株会社とは、他の株式会社を傘下に入れることを目的とし、目をつけた会社の株式を保有する会社のことで、ホールディングカンパニーと呼ばれることもあります。

みなし法人とは、法人設立していない個人事業主が青色申告など特定の条件下で「法人」としてみなされることを指します。(例、サークル、学会)

持株会社 他の株式会社を傘下に入れる株式会社のこと。親会社と異なり、本業を持たずに他の会社を保有するためだけに存在する会社もある。
みなし法人 法人登記はしていないが、条件付きで「法人」としてみなされる個人事業主やサークル、学会など。

会社・子会社や関連会社と合併した場合

親会社と子会社がコロナ禍で合併する場合、また、関連会社間の会社同士が合併するなどの場合、事業再構築補助金の申請時に「法人成り特例」として売上減少証明書類に追加書類が必要になる可能性があります。

売上減少証明書類の要件をもう一度見てみましょう。

①2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
②2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること等

引用:令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 公募要領 (第3回)1.2版

上記の要件では、いずれも2019年または2020年1月~3月と2020年4月以降または10月以降の売上を比較して減少していることを証明します。そのため、2019年の時点と2020年の時点で合併や法人成りで事業所名が変わっているという状況は十分あり得ます。

合併により通常の売上減少証明書類が提出できないときは、代わりに以下①~③の特例が適用されます。

  1. 合併することでコロナ前・後の任意の3か月分の売上比較ができない場合、1カ月分でもよしとする。
  2. 合併後の3か月分の売上が申請できる場合は、申請する
  3. 以下3点の追加申請書類を提出する。
  • 申請に用いる任意の3か月又は比較対象となるコロナ以前の同3か月の売上が分かる年度における合併前の各法人の確定申告書類の控え
  • 法人事業概況説明書の控え
  • 履歴事項全部証明書

親会社・子会社/同族会社で連結納税をした場合

連結納税とは、親会社・子会社などがあたかも一つの会社のようにみたてて法人税を計算し、納税することです。グループ会社で損益通算できるなどのメリットがある一方、グループ内に中小企業がある場合は特例が中小企業の特例が受けられなくなるといったデメリットも存在します。

親会社・子会社や関連会社などで連結納税をした場合は、以下の追加申請書類を提出することで特例(正規の書類でなくても申請可)が認められます。

【追加申請書類3点】
1.連結法人税の個別帰属額等の届出書
2.申請主体となる法人の申請に用いる任意の3か月又は比較対象となるコロナ以前の同3か月の売上が分かる年度の売上台帳

3.帳面その他の確定申告の基礎となる書類

個人事業主が法人成りした場合

2019年には個人事業主で、2020年4月以降に法人を立てる「法人成り」のケースでは、合併と同じように、以下①~③の特例が認められます。

①法人成りすることでコロナ前・後の任意の3か月分の売上比較ができない場合、1カ月分でもよしとする
②法人成り後の3か月分の売上が申請できる場合は、申請する
③以下3点(または4点)の追加申請書類を提出する。
・個人事業者として提出した申請に用いる任意の3か月又は比較対象となるコロナ以前の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書類の控えと月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控え
・(白色申告の方は)対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類
・法人設立届出書又は、個人事業の開業・廃業届出書
・履歴事項全部証明書

【結論】法人成りや合併をしても、追加書類で申請できる

事業再構築補助金に申請したい事業者のうち、合併や法人なりで登記情報が異なっている事業者でも、上記のように追加書類の提出や特例が適用されることで、補助の対象となることが可能です。

ただし、通常でも事業再構築補助金の申請には提出書類が複数ありますので、法人成り等を行っている事業者は、書類の準備は早めに行いましょう。事業再構築補助金の公募は、現時点(2021年9月末)では残り2回の予定となっています。よろしければ、以下の関連記事もあわせてご覧ください。

この記事のまとめ

・事業再構築補助金では法人成りや合併などで登記が変わっている事業者でも、公募要領に記載の特例に書かれている要件を満たせば、申請が可能です。

・合併や法人成りでは売上減少証明書類の提出が難しい場合がありますが、その際は特例の規定が適用され、追加書類を提出することで要件を満たせます。

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