補助金ガイド

事業再構築補助金における従業員の定義を解説

2024/05/13

2021/8/20

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業再構築補助金では、従業員の数により補助金額の範囲や補助率が異なります。その際、従業員として人数に含めることができるのは常勤の従業員でなければなりません。

当記事では、事業再構築補助金において従業員とはどのような定義なのかを解説していきます。そもそも従業員を雇っていない自営業や、パート従業員しか雇っていない会社はどうすればいいのかのついても解説するので、事業再構築補助金への申請を検討している人は参考にしてみてください。

なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。

事業再構築補助金で定義する「従業員」とは?

事業再構築補助金の公募要領での「常勤」という言葉は、中小企業基本法にある「常時使用する従業員」を指します。そのため、前もって解雇通知をするべき従業員かどうかが判断基準となります。

常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第 20 条の規定に基づく
「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間
を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は
含まれません。 

参考:第12回公募要領|事業再構築補助金

なお、「最低何名以上の従業員を雇うこと」という要件は事業再構築にありません。そのため、個人事業主も事業再構築補助金の申請は可能です。

パートが従業員に入るかどうかは個別に判断する

中小企業庁のホームページのFAQによると、以下のように中小企業の「パート」についての解釈が記載されています。

‘’Q3:中小企業基本法上の「常時使用する従業員」の定義を教えてください。また、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者並びに会社役員及び個人事業主は「常時使用する従業員」に該当するか教えてください。

A:中小企業基本法上の「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員と解しています。具体的には参考をご参照ください。

よって、 パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者については、当該条文をもとに個別に判断されると解されます。

引用:中小企業の定義に関するよくある質問|中小企業庁

こちらを参照すると、一概にパート従業員が「あらかじめ解雇の予告を必要とするもの」であるかどうかは言えず、個別に判断されると説明されています。つまり、事業所として事前に解雇通知をすべきパート従業員であれば従業員としてカウントすべきであり、そうでない場合のパート従業員は従業員としてカウントしない、という解釈が可能です。

みなし大企業の条件にあてはまる場合は大企業とみなされる

従業員(役員)についての規定は、事業再構築補助金の公募要領で「みなし大企業」についての説明されている箇所でも、記載されています。みなし大企業とは、「本来は中小企業や中堅企業であるが、ある条件にあてはまる場合は大企業とみなす」という考え方です。

事業再構築補助金の対象は中小企業者または中堅企業者であり、大企業(資本金10億円以上)は対象外です。加えて、以下の(1)~(5)のいずれかに該当する場合、たとえ資本金が10億円未満の中小企業だとしても、みなし大企業と判断され事業再構築補助金の対象外となります。

  1. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小
    企業者等
  2. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
  3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
  4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者が所有して
    いる中小企業者等
  5. (1)~(3)に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを
    占めている中小企業者等

引用:第12回公募要領|事業再構築補助金

事業者自体が中小企業や中堅企業であっても、株式を親企業が所有している場合や、大企業の役員が当該中小企業等の役員も兼任している場合にはみなし大企業に該当する可能性があります。また、5のように役員(兼職員)しかいない中小企業者もみなし大企業に該当します。

従業員の数を示す書類は何を提出すればいい?

事業再構築補助金に申請する際は、事業再構築に関わる事業計画を立てた上で必要な提出書類を準備します。従業員を示す書類は「労働者名簿の写し」であり、サプライチェーン維持・強靭化枠以外の枠へ申請する事業者には提出が求められています。

【労働者名簿の提出が必須の申請枠】
  • 成長分野進出枠(通常類型)
  • 成長分野進出枠(GX進出類型)
  • コロナ回復加速化枠(通常類型)
  • コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)

コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)へ申請する場合は、申請時点のものに加え、最低賃金要件の対象となる3か月分の労働者名簿も提出が必要です。ただし、変更がない場合には申請時点のもののみでかまいません。

労働者名簿は労働基準法により職場で必ず置かなければいけない書類として定められており、全社員の名前や情報を記載し原則として入社退社等で常に更新されるべきものです。労働者名簿の書式は、厚生労働省のホームページ「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省」からダウンロードできます。

なお、その他の必要書類については「事業再構築補助金の必要書類は?共通の書類と枠別の書類を解説」で詳しく解説しています。事業再構築補助金に申請を検討している人はあわせてご確認ください。

この記事のまとめ

・事業再構築補助金の規定では、従業員とは事前に通告して解雇する対象である「常時使用する」従業員のことを言います。

・その職場での規定に従い、パート従業員も従業員としてカウントする場合があります。

・事業再構築補助金において、申請枠によっては従業員数を示す書類として「労働者名簿の写し」を提出する必要があります。

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更新履歴

9/30(木)「みなし大企業とは?役員しかいない事業は対象」の本文を訂正。役員しかいない人数の多い中小企業は大企業として扱われる可能性があるが、一人社長などの「役員しかいない」小規模事業者は補助の対象です。