事業再構築補助金における宿泊業の採択事例や対象となる条件を解説
2024/05/08
2021/8/18
宿泊業を営んでいる人の中には、事業再構築補助金の利用を検討している人もいますよね。また、実際に審査に通った事業者の採択事例を知りたい人もいるでしょう。
当記事では、宿泊業による事業再構築補助金の採択事例と対象となる条件を解説します。採択事例とあわせて、申請の対象となる条件を知りたい人は参考にしてみてください。
なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。
事業再構築補助金における宿泊業の採択事例
事業再構築補助金は、宿泊業から新たな分野への挑戦や異業種から宿泊施設の開業などの取り組みに活用できます。過去の採択事例の中には、宿泊業に関する採択事例も複数見受けられます。
宿泊業から事業再構築を行った事例 | |
既存の事業内容 | 事業再構築の概要 |
ホテルおよび スーパー銭湯の経営事業 |
【事業再構築の理由】
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旅館および 海の家の経営事業 |
【事業再構築の理由】
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旅館経営事業 | 【事業再構築の理由】
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民泊事業 | 【事業再構築の理由】
省エネルギー効率、断熱性能、太陽光発電などの活用で、 生活で消費するエネルギーをゼロにする住宅のこと。 |
ホテル経営事業 | 【事業再構築の理由】
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異業種から宿泊業への事業再構築の事例 | |
既存の事業内容 | 事業再構築の概要 |
アルミドロス処理装置の製造 (製造業) |
【事業再構築の理由】
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和雑貨卸売および 着物レンタル事業 (卸売業、小売業) |
【事業再構築の理由】
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伝統建築や社寺建築など (建設業) |
【事業再構築の理由】
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カフェ経営事業 (飲食サービス業) |
【事業再構築の理由】
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観光農園や直売所および カフェ事業 (飲食サービス業) |
【事業再構築の理由】
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参考:採択結果|事業再構築補助金
宿泊業の採択事例には、既存事業である旅館経営のノウハウや人脈を活かし、寿司割烹の飲食店を開業した取り組みがあります。インバウンドの獲得を見込んで観光地に出店し、事業構造の変革を目指す計画です。
また、異業種から宿泊業を始める取り組みには、最低賃金を引き上げる原資を確保するため、直売所やカフェの経営をしている事業者が民泊事業に挑戦した事例があります。これから需要が見込まれるインバウンドや国内の観光客をターゲットにした取り組みです。
事業再構築補助金に申請するには、申請の対象や要件を満たす必要があります。当メディアを運営する株式会社SoLaboは認定支援機関として補助金の申請サポートを行っているため、自社が申請の対象になるのか知りたい人は無料診断からお問い合わせください。
民泊から旅館業への事業転換
事業再構築補助金の具体的な事例には、民泊から旅館業を開業した取り組みがあります。制限がある中での民泊の営業や集客、感染対策の限界などの問題を解決するため、新たな顧客層をターゲットにした旅館業への事業再構築を実施しました。
事業計画は、個室を増やして感染リスクを減らし、大手の予約サイトで集客を図る内容となっています。また、旅行客以外のファミリー層やビジネス層を呼び込むため、1~2週間の中長期滞在プランをサービスに取り入れる計画です。
補助事業では旅館業の営業許可を取得するため、建築基準法に基づいた建物の改修と消防法に基づいた消防設備の導入を行います。また、新規プランのプロモーションのため、既存のSNSや自社ホームページでの広報に加え、パンプレットを制作し広報活動の幅を広げます。
ホテル経営によるワーケーション関連事業の展開
事業再構築補助金の具体的な事例には、ホテル経営をしている企業がワーケーションの関連事業を展開した取り組みもあります。新型コロナウイルスによる移動制限や周辺地域の衰退、新規事業者の参入などの課題を解決するため、ワーケーション市場へ進出しました。
事業計画は、ワーケーション施設を開業し、既存の観光と個人向けの宿泊だけでなく、ワーケーション施設とホテル宿泊が一体となる、サブスクリプション型法人向けサービスを提供する内容となっています。企業従業員の継続滞在を対象にツアー事業や滞在コンシェルジュ事業も行う計画です。
補助事業では新たに、保有しているビルの全面改修や、管理システムおよび業務用家具などの設備導入を実施します。また、新事業の広報のため、WEBサイトの構築やコンテンツ制作にも取り組みます。
物品賃貸業によるグランピング施設の開業
事業再構築補助金の具体的な事例には、物品賃貸業をしている企業がグランピング施設を開業した取り組みもあります。新型コロナウイルスの影響による市場縮小や大手レンタル企業の参入で営業赤字が続いたことから、事業再構築に挑戦しました。
事業計画は、全天候型のドッグランコートを備えたグランピング施設を開業する内容となっています。愛犬を安心して走らせることができるプライベート空間や、冷暖房完備の宿泊施設を設置することで、今後需要が見込まれるペットやアウトドアのニーズを取り入れます。
補助事業では、グランピング施設にかかわる設備投資を行います。施設で使用する機器やメンテナンスなどは、既存の資産やノウハウの活用で費用を抑え、顧客に低価格のサービスを提供する計画です。
グランピング事業やインバウンドが対象の事業は成長枠に申請できる
グランピングおよびキャンプ事業、インバウンドが対象の事業に取り組む場合は、成長枠に申請できます。
成長枠とは、成長分野への事業再構築に取り組む企業が申請できる枠であり、補助事業で取り組む事業内容が、基本的に「成長枠対象業種・業態リスト」に記載がある業種および業態に限られます。
宿泊業は成長枠の対象ではありませんが「キャンプ場・グランピング施設宿泊業」および「インバウンド顧客をターゲットとした宿泊業」に限り、成長枠対象業種・業態リストに記載があるため、成長枠を活用した事業再構築に取り組めます。
補助事業として「キャンプ場・グランピング施設宿泊業」または「インバウンド顧客をターゲットとした宿泊業」に取り組む予定の事業者は、成長枠への申請を検討してみてください。
中堅企業以下が申請の対象となる
事業再構築補助金は、資本金10億円未満かつ従業員2,000人以下の中堅企業以下が申請の対象となります。そのため、中小企業者も申請の対象となりますが、中小企業者の定義は、業種ごとに資本金額や従業員数が異なります。
業種 | 資本金 | 従業員(常勤) |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
~5,000万円 | ~100人 |
旅館業 | ~5,000万円 | ~200人 |
参考:第12回「公募要領」|事業再構築補助金
宿泊業の場合、対象者の条件では「サービス業」に該当します。資本金額5,000万円または従業員数300人以下の企業であれば、中小企業者にあてはまります。仮に、民泊を経営している、資本金額か従業員数が基準の数値以下の中小企業者であれば「サービス業」に該当し、申請の対象となります。
旅館業の場合は、宿泊業とは異なり資本金額5,000万円または従業員数200人以下であれば中小企業者となります。宿泊業に該当する中小企業者は、申請を検討する際、中小企業者の条件が宿泊業と旅館業で異なることに留意して、公募要領を確認しましょう。
事業再構築補助金において申請の対象となる事業者は、中堅企業以下です。事業再構築補助金の申請におけるその他の条件が知りたい人は「事業再構築補助金における申請要件を解説」を参考にしてみてください。
既存の建物の改修費やWEBサイトの構築費などが補助の対象になる
事業再構築補助金では、既存の建物の改修費やWEBサイトの構築費などが補助の対象になります。補助対象となる経費は全部で11項目あり、申請枠によって使える経費が決まっている項目もあります。
経費項目 | 宿泊業における経費の例 |
①建物費 | 新事業で活用する宿泊施設の建築・改修、建物の撤去など |
②機械装置・システム構築費 (リース料を含む)※1 |
新事業に必要な設備や業務用機器などの機械装置、システム構築費用や専用のソフトウェアの購入など |
③技術導入費 | ライセンス契約や特許、商標登録のある技術およびサービスを導入するときのライセンス料など |
④専門家経費 | マーケティングやWEBサイト運用などのコンサルティングを依頼した場合のコンサル料や専門家への謝金など |
⑤運搬費 | 運搬料、宅配や郵送料など |
⑥クラウドサービス利用費 | 新事業のデジタル改革で活用するWEBツールなどのクラウドサービス利用費 |
⑦外注費 | WEBサイトのグラフィックデザインの委託(請負)費用など |
⑧知的財産権等関連経費 | 商品や技術の特許権に関する士業の手続代行費用など |
⑨広告宣伝・販売促進費 | 新商品やサービスのパンフレットなどの広告作成、媒体掲載、展示会出展など |
⑩研修費 | 新事業に必要な教育訓練費、講座受講 などの費用 |
⑪廃業費 | 事業の廃止手続費、解体費、リースの解約などの費用 |
申請の際は、公募要領に定められた「補助対象となる経費項目」にあてはまる経費を計上する必要があります。
たとえば、補助事業でワーケーション事業を始める場合、ワーケーションの設備に必要な内装工事は「建物費」にあてはまります。補助事業にかかわる広告を作成において、SNSや動画作成をする経費は「広告宣伝・販売促進費」として経費を申請します。
ただし、補助対象となる経費は補助事業のみで使う経費に限られます。他の事業でも使用できる汎用性のある経費は、補助事業のみで使うことが明らかと認められなければ補助の対象外となります。
事業再構築補助金では、宿泊施設の建設費や新事業のWEBサイト構築費用などが補助対象となります。補助対象になる経費の確定時期や準備する書類などが知りたい人は「事業再構築補助金における補助対象経費は何か?対象外になる経費も解説」を参考にしてみてください。
土地や建物の購入費は補助の対象外になる
事業再構築補助金において、土地や建物の購入費は補助の対象外です。不動産の購入費だけでなく、塀や青空駐車場などの構築物や自社の人件費は対象外となります。
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申請の際に計上した経費の大半が補助の対象外である場合、不採択または採択取消になります。経費を申請する際は、補助対象外の経費が含まれていないかを確認しましょう。
この記事のまとめ
事業再構築補助金は、宿泊業から新分野への挑戦や異業種から宿泊業を開業するなどの取り組みに活用できます。補助事業の内容が「キャンプ場・グランピング施設宿泊業」や「インバウンド顧客をターゲットとした宿泊業」にあてはまる場合は、成長枠の活用を検討できます。
申請の対象は、資本金10億円未満かつ従業員2,000人以下の中堅企業以下の事業者です。補助対象の経費は、既存の建物の改修費やWEBサイトの構築費など公募要領に定められた11項目にあてはまる経費であり、不動産の購入費は補助の対象外となります。
申請の際に計上した経費の大半が補助の対象外である場合、不採択または採択取消になります。経費を申請する際は、補助対象外の経費が含まれていないかを確認しましょう。