小規模事業者持続化補助金はキッチンカーに使えるのか?
2024/03/08
2022/11/11
キッチンカーの開業を目指している人の中には、小規模事業者持続化補助金はキッチンカーに使えるのか気になる人もいるでしょう。また、すでにキッチンカーで料理の提供を始めている人の中にも、小規模事業者持続化補助金を利用してみたい人もいますよね。
当記事では、小規模事業者持続化補助金で使うことができるキッチンカー関連の経費について解説します。補助率や申請する際の流れについても解説するので参考にしてみてください。
なお、当記事は「令和元年度補正予算・令和 3 年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> 公募要領 第5版:2022年10月3日更新分」を参考に作成しています。
Contents
小規模事業者持続化補助金はキッチンカーの改装や集客に使える
小規模事業者持続化補助金ではキッチンカーの改装や集客、ホームページ作成などに使うことができます。
そのため、キッチンカーで「設備や器具をそろえ、より多くの料理をお客様に提供したい」「広告媒体を活用して商品の認知度を上げたい」人は小規模事業者持続化補助金の利用を検討してみましょう。
経費 | 利用用途 |
委託・外注費 |
小規模事業者持続化補助金に提出する事業計画を遂行するために必要な業務の一部を第三者に委託(委任)または外注するときに利用できる
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広報費 |
パンフレットやポスター、チラシ等を作成および広告媒体等を活用するときに利用できる
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ウェブサイト関連費 |
販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト等の「構築」「更新」「改修」「開発」「運用」をするときに利用できる
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開発費 |
新商品の試作品や包装パッケージの試作開発 に伴う「原材料」「設計」「デザイン」「製造」「改良」「加工」するときに利用できる
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雑役務費 |
補助事業計画に基づいた販路開拓を行うために必要な業務や事務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払うときに利用できる
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たとえば、より効率的に料理をつくるために車両を改装してキッチンカーにする改装工事の費用を委託、外注費として申請できます。
小規模事業者持続化補助金はキッチンカーの改装に使える改装費用や、集客に使える広報費をはじめ様々な経費を申請できます。経費を抑えたい人は、小規模事業者持続化補助金の活用を検討してみてください。
なお、キッチンカーの車両購入費は、以前は補助対象となっていましたが、第6回小規模事業者持続化補助金低感染リスク型ビジネス枠で終了しました。そのため、11月11日現在、キッチンカーの車両購入費は小規模事業者持続化補助金の補助対象経費にはならないことを留意しておきましょう。
購入したい機材や経費に小規模事業者持続化補助金を利用できるかを無料診断できます。小規模事業者持続化補助金の対象となるか、対象となる場合いくら受け取れるか知りたい人は診断してみてください。
無料診断委託・外注費
委託・外注費は、車両をキッチンカーに改装する工事を委託するといった、第三者に委託・外注する際に発生する経費が補助対象です。その際、委託・外注する内容は、基本的に自ら実行することが困難な業務に限ります。
委託・外注費の例
- 新聞や雑誌等への商品、サービスの広告
- 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
- 販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)
- 郵送によるDMの発送
なお、販売用商品と同じものを試供品としている場合や名刺は広報費の対象経費外となります。
補助事業計画に基づく商品やサービスの広報を目的としたものが補助対象であり、会社のPRや営業活動に活用される広報費は補助対象とならないことに注意しましょう。
ウェブサイト関連費
ウェブサイト関連費は、キッチンカーのウェブサイト作成やインターネット広告の運用など、販路開拓をするための経費です。
ウェブサイト関連費の例
- 商品販売のためにウェブサイト作成や更新
- インターネットを介したDMの発送
- インターネット広告
- バナー広告の実施
- 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策
- 商品販売のために動画作成
- システム開発にかかる経費(インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務システムなど)
- SNSにかかる経費
ただし、ウェブサイト関連費は、ほかの経費とともに申請する必要があり、ウェブサイト関連費のみの申請ができません。また、ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の1/4が上限となっていることに注意しましょう。
なお、「商品、サービスの宣伝広告を目的としない広告」「ウェブサイトに関連するコンサルティング、アドバイス費用」「補助事業期間内に公開に至らなかった動画」などはウェブサイト関連費の対象経費外になります。ウェブサイト関連費を申請する際は対象外の経費を申請しないようにしましょう。
開発費
開発費とは、キッチンカーで販売する新商品の試作にかかった原材料費など、新商品の試作品やパッケージの試作開発に伴う「原材料」「設計」「デザイン」「製造」「改良」「加工」するために支払われる経費です。
開発費の例
- 新製品や商品の試作開発費用の原材料の購入
- 新たな包装パッケージにかかるデザイン費用
なお、文房具等や開発、試作した商品をそのまま販売する場合、試作開発用目的の購入で使い切らなかった材料分は開発費の対象経費外となります。
購入する原材料等の数量はサンプルとして使用する必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ることが必要なことに注意しましょう。
雑役務費
雑役務費とは、補助事業計画に基づいた販路開拓を行うのに必要な業務や事務を補助するために、補助事業期間に臨時的に人を雇い入れる際の経費のことです。
テキスト
- アルバイト代
- 派遣労働者の派遣料
- 交通費
たとえば、あるアルバイト従業員への支払い給料を雑役務費として計上した後、そのアルバイト従業員に社会保険を適用させ、正規の従業員として雇い入れる場合などです。
臨時の雇い入れとみなされない場合や、通常業務に従事させるための雇い入れは補助対象とはなりません。
キッチンカーの販路開拓等を行うのに必要な業務を補助するために臨時的にアルバイトを雇い入れる予定がある人は、小規模事業者持続化補助金を活用してみてください。
最大200万円の補助金を申請できる
小規模事業者持続化補助金でキッチンカーの関連費を申請すると、枠によっては最大200万円の補助金を補助してもらえます。小規模事業者持続化補助金の一般枠では補助上限額は50万円となっていますが、賃金引上げ枠や創業枠などの特別枠では、補助上限額が200万円に引き上げられるためです。
類型 | 通常枠 | 賃金引上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 | インボイス枠 |
補助率 | 2/3 | 2/3 (赤字事業者については3/4) |
2/3 | 2/3 | 2/3 | 2/3 |
補助上限額 | 50万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 100万円 |
たとえば、一般枠でキッチンカーの改装費を申請した場合、最大50万円を補助してもらえます。
一方、認定市町村等による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、過去3か年の間に開業した人が利用できる創業枠で、キッチンカーの改装費を申請した場合、最大200万円補助してもらえます。
申請する枠によって要件や補助率、補助上限額が変化する場合があるので、より詳しく知りたい人は、「いくら受け取れる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説」も参考にしてみてください。
また、審査後に減額される可能性もあるため、申請した補助金額が必ずしも受け取れるわけではないことにも留意しておきましょう。
補助金申請する際は入金までに時間がかかる
キッチンカーで補助金申請する際は入金までに時間がかかります。小規模事業者持続化補助金は「申請→採択→事業実施→入金」という流れで進み、申請から入金まで約9ヶ月かかるからです。
そのため、小規模事業者持続化補助金で補助してもらう予定の製品やサービスの費用は、事業者自身が先払いする必要があります。
キッチンカーの改装費で補助金申請をする場合には、入金までに時間がかかることを念頭に置き、資金繰りの計画しておきましょう。
事前に申請の流れを確認しておく
小規模事業者補助金の申請の流れを紹介します。申請の流れを確認しておくことで、次にやるべきことが明確になり、小規模事業者持続化補助金に申請するための準備をスムーズに進めることができます。
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準備するべきものは、個人事業主や法人などの事業形態によって異なります。また、申請にかかる時間は、申請を行う時期が込み合っている場合などは通常より伸びる可能性があるため、余裕を持って準備に取り掛かりましょう。
申請の流れをより詳しく知りたいという人は「小規模事業者持続化補助金申請から補助金交付までの流れを解説」も参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金の対象者の要件は4つある
小規模事業者持続化補助金の対象者は、4つの要件を満たす日本国内に所在する小規模事業者です。
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4つの要件の中のひとつでも満たしていない場合は、補助対象者の条件から外れてしまいます。
小規模事業者持続化補助金の対象者の要件についてより詳しく知りたいという人は、小規模事業者持続化補助金の公式サイトの「公募要領」を参考にしてみてください。
小規模事業者の定義
小規模事業者持続化補助金の補助対象者の要件の1つである小規模事業者では、「商工会および商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか判断されます。
業種 | 従業員の数 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) |
常時使用する従業員の数 5人以下
|
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
常時使用する従業員の数 20人以下
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製造業その他 |
常時使用する従業員の数 20人以下
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たとえば、キッチンカーが含まれている商業・サービス業では、常時使用する従業員の数が5人以下の場合は小規模事業者と判断されます。
業種の判定や常時使用する従業員の詳細については、小規模事業者持続化補助金の公式サイトの「別紙 参考資料」を参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金に申請する際の必要書類
小規模事業者持続化補助金では、個人事業主と法人で申請するための必要書類が異なります。そのため、事業形態にあわせて必要書類を確認しましょう。
必要書類 | 個人 | 法人 |
小規模事業者持続化補助金事業にかかる申請書(様式1-1) (電子書類の場合は不要) |
○ | ○ |
経営計画書兼補助事業計画書①(様式2-1) | ○ | ○ |
補助事業計画書②(様式3-1) | ○ | ○ |
事業支援計画書(様式4) | ○ | ○ |
補助金交付申請書(様式5) | ○ | ○ |
宣誓・同意書(様式6) | ○ | ○ |
電子媒体(様式1、様式2、様式3、様式5、様式6) | ○ | ○ |
賃借対照表および損益計画書 | – | ○ |
株式名簿(該当者のみ) | – | ○ |
直近の確定申告書【第一表および第二表および終始内訳書(1、2面)】 または【所得税青色申告決算書(1~4面)】(税務署受付印のあるもの) または開業届(税務署受付印のあるもの)にいずれか対象のもの |
○ | – |
たとえば、法人の場合は「様式1~6」「対照表および損益計画書」「株式名簿」の提出が必要です。また、個人事業主の場合は「様式1~6」「直近の確定申告書または開業届」の提出が必要です。
必要書類のうち様式1~6までは、個人事業主も法人も同じフォーマットを使用します。
必要書類の様式1~6までは、様式4を除き小規模事業者持続化補助金の「公式サイト」からダウンロードできるので活用してみてください。
なお、事業支援計画書(様式4)は地域の商工会、商工会議所が発行する書類なので、フォーマットを用意する必要はありません。事業支援計画書の作成依頼は、商工会に経営計画書兼補助事業計画書と補助事業計画書の2つの書類の写しを提出する必要があります。
この他にも、特別枠で申請する場合や、加点を希望する場合には、追加の書類が必要となります。小規模事業者持続化補助金の必要書類の準備や特別枠、加点を希望するひとは「小規模事業者持続化補助金の必要書類を解説」も参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金のキッチンカー関連の活用事例
小規模事業者持続化補助金のキッチンカー関連の活用事例を紹介します。小規模事業者補助金の申請を検討している人は、活用事例を確認してイメージを膨らませてみましょう。
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※中小企業庁「ミラサポplus」( https://mirasapo-plus.go.jp/)をもとに株式会社SoLabo作成
これらの事例のほかにも、地域の雇用や産業を支える小規模事業者であれば、販路開拓や業務効率化を目指した取り組みが採択されるケースもあります。過去の事例は中小企業庁「ミラサポplus」も参考にしてみてください。
キッチンカーの車両取得に使うことができる補助金や助成金
キッチンカーの車両取得で使うことができる補助金や助成金があります。そのため、キッチンカーの車両が対象になる補助金を探している人や、小規模事業者持続化補助金の対象者にならない人は利用を検討してみてください。
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事業者自身にあった補助金をみつけ、キッチンカーに関する費用をできるだけ抑えられるようにしましょう。
東京都 飲食事業者の業態転換支援事業
東京都が実施している飲食事業者の業態転換支援事業とは、都内中小飲食事業者が新たにテイクアウト、宅配、移動販売を始め、売り上げを確保する取り組みにかかる初期経費等の一部を助成してくれる制度です。
内容 | 詳細 |
補助対象経費 |
新たに移動販売等を開始する際の初期経費等
販売促進費:印刷物製作費、PR映像制作費、広告掲載費等 車両費:移動販売を実施する際に必要な車両のレンタル、リース料(最長3カ月間) 器具備品費:WiFi導入費、タブレット端末、梱包、包装資材等 その他:新たに移動販売等を行う際に必要となる、「営業」「販売」「製造」等の許可取得手数料 |
補助対象者 |
都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業者含む)
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補助上限額 | 100万円 |
補助率 |
助成対象と認められる経費の4/5以内(千円未満切り捨て)
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車両の購入費や車両にかかる維持、管理費などは飲食事業者の業態転換支援事業の補助対象外となりますが、移動販売に必要な車両のレンタル、リース代は対象となっています。
要件に当てはまる人で、東京都でキッチンカーのレンタルやリース、改装で事業を始めたいという人はぜひ活用してみてください。
東京都の飲食事業者の業態転換支援事業についてより詳しく知りたいという人は、飲食事業者の業態転換支援事業の「公式サイト」も参考にしてみましょう。
大阪府狭山市 移動販売等導入事業補助金
大阪府狭山市の移動販売等導入事業補助金とは、地域産業の発展および地域経済の活性化を図るため、市内で新たにキッチンカーまたは移動販売車を実施するものに対し、導入にかかる経費の一部を補助してもらえる制度です。
内容 | 詳細 |
補助対象経費 |
・車両購入費、改造費(キッチンカー等の購入、制作に要する経費)
・設備導入経費(機械装置、工具、器具備品、その他附帯する費用) |
補助対象者 |
大阪府狭山市内で新たにキッチンカー等による移動販売を開始する者で、下記の要件をすべて満たしている人
① 大阪狭山市内に主たる事業所等を有する中小企業または個人事業主であること ② 保健所に対してキッチンカー等による移動販売にかかる営業に必要な申請、届出をしているまたはする予定があること ③ 取扱商品は原則食品とすること(ただし、移動販売車については食品以外の日用品等も取り扱い可能とする) ④ 市税の滞納がないこと ⑤ 公序良俗に反しないものであること |
補助上限額 | 30万円 |
補助率 | 1/2以内 |
補助金の交付決定前に発注、購入、契約等を実施したものについては移動販売等導入事業補助金の対象外になります。要件に当てはまる人で、大阪府狭山市でキッチンカーの事業を始めたいという人はぜひ活用してみてください。
大阪府狭山市の移動販売等導入事業補助金についてより詳しく知りたいという人は、移動販売等導入事業補助金の「公式サイト」も参考にしてみましょう。
この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金ではキッチンカーの改装や集客、ホームページ作成などに使うことができます。そのため、キッチンカーで「設備や器具をそろえ、より多くの料理をお客様に提供したい」「広告媒体を活用して商品の認知度を上げたい」人は小規模事業者持続化補助金の利用を検討してみましょう。
小規模事業者持続化補助金でキッチンカーの関連費を申請すると、枠によっては最大200万円の補助金を補助してもらえます。ただし、申請した補助金額が必ずしも受け取れるわけではないことに留意しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金以外にもキッチンカーの車両取得で使うことができる補助金や助成金があります。そのため、キッチンカーの車両が対象になる補助金を探している人や、小規模事業者持続化補助金の対象者にならない人は利用を検討してみてください。