補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金は開業したばかりでも採択される?

2024/04/01

2021/7/1

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

開業したばかりの個人事業主や創業間もない法人の中には、小規模事業者持続化補助金を検討している人もいますよね。しかし、開業したばかりで小規模事業者持続化補助金に申請しても、採択されるのかと気になる人もいるのではないでしょうか。

当記事では、小規模事業者持続化補助金は開業したばかりや創業初期でも採択されるのかどうかを解説します。開業したばかりの人が申請する際の必要書類も解説しているので、小規模事業者持続化補助金の情報を調べている人は参考にしてみてください。

なお、当記事は2024年度「小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領」を元に作成しています。

開業したばかりの事業者でも採択される

小規模事業者持続化補助金は「開業したばかりの個人事業主」や創業初期の法人」でも採択されます。採択審査に開業時期の項目はなく、提出書類や加点項目で小規模事業者持続化補助金の採否が決定されるためです。

ただし、開業直後の人は市場の動向やどのように利益を上げるかを実績で示せる期間が短いため、補助事業計画を作りこみ実現可能性を示す必要があります。

たとえば、飲食業を営む場合は、来店した人へアンケートを実施し、アンケートの結果を補助事業の計画に活かすことで、客観的な事実を示すことに繋がります。

小規模事業者持続化補助金の申請では、販路開拓や生産性向上を通じて業績を改善することが求められます。開業したばかりの事業者は、補助事業計画を立てる際、今後の経営目標を達成するための「具体的な計画」を作成しましょう。

当サイトでは、小規模事業者持続化補助金に採択されるか無料診断ができます。事業の現状から採択の可否を診断するので、開業直後で補助金に採択されるか気になる人は試してみてください。

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開業していない場合は申請できない

小規模事業者持続化補助金の申請時点でまだ開業していない創業予定者は、小規模事業者持続化補助金へ申請することができません。小規模事業者持続化補助金の公募要領には、申請時点で開業していない創業予定者が補助対象外と記載されているためです。

【開業・創業から補助金申請までの流れ】
① 税務署で開業届出す(法務局へ登録申請)
② 事業を開始する
③ 販路開拓の事業計画を作成する
④ 補助金申請を行う

たとえば、個人事業主の場合は、税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は補助対象外になります。同様に、法人の場合は、法務局へ登記申請を行った日が申請日よりも後の場合は補助対象外です。

また、小規模事業者持続化補助金は、開業日以降の申請であれば、店舗やサービスを始める前でも申請が可能です。そのため、店舗の開店準備を行っている場合でも、開業日が申請日より前であればできます。

小規模事業者持続化補助金で出来ることは、創業準備ではなく事業の販路開拓や生産性向上に繋がる取組みです。創業予定者が創業・開業の資金として活用できる補助金ではないことを留意しておきましょう。

なお、創業資金として利用できる補助金を探している人は、中小企業基盤整備機構の「創業者向け補助金・給付金(都道府県別)」にて支援情報を確認できます。

補助金が交付されるのは申請から約1年後になる

小規模事業者持続化補助金は、申請から補助金の交付までに約1年掛かります。小規模事業者持続化補助金の交付は、補助事業実施後に事業実施報告を行い補助金の交付申請を行う必要があるからです。

【補助金交付までの流れ】

実施項目

期間

申請

採択結果発表

受付締切日から約23ヶ月の傾向

補助事業実施期間

定められた補助事業実施期間内で補助事業を実施
6ヶ月間

補助事業実績報告

補助事業終了日から30日以内

交付請求

補助金の交付(入金)

受付締切日から約1

小規模事業者持続化補助金では、実績報告時の書類不備や経費の支払い期間を誤った場合などに、補助金の減額や交付取消になる場合があります。

また、補助金を受け取った後も、事業効果等状況報告を行う必要があります。特別枠へ申請している人は、この際に賃金の引上げや従業員の雇用などの要件を確認され、未達の場合は補助金の返還を求められます。

そのため、小規模事業者持続化補助金に申請する人は、事業の運転資金に影響が出ない範囲で申請する経費を計画しましょう。

小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金に申請する際は、補助金の「概要」を理解し、販路開拓に繋がる「事業計画」を作成することが必要です。小規模事業者持続化補助金は、開業したばかりの事業においてさらに販路拡大や業務効率化を目指したい取組みに活用しましょう。

【小規模事業者持続化補助金の概要】

項目

概要

対象者

小規模事業者(常時従業員の数が5人~20人以下)

・宿泊業・娯楽業以外の商業、サービス業は5人以下

・宿泊業・娯楽業、製造業その他は20人以下 

※対象にならない事業者や対象外の事業は公募要領内に記載有り

補助金の目的

小規模事業者の販路開拓、生産性向上(業務効率化)の取組みを支援

申請枠

通常枠、特別枠(賃金引上げ枠、卒業枠、創業枠、後継者支援枠)

※枠ごとに申請要件有り

補助率

2/3(賃金引上げ枠の赤字事業者の場合は3/4

補助上限額

・通常枠50万円

・特別枠200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、創業枠、後継者支援枠)

 ※インボイス特例が適用される場合は一律50万円上乗せされる

対象経費

①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出

⑤旅費、⑥開発費、⑦資料購入費、⑧借料、⑨設備処分費、⑩委託・外注費

※小規模事業者持続化補助金「<一般型>ガイドブック」を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、開業したばかりの飲食店が業務用オーブンを導入し、焼き菓子やパンのウェブ販売を始め、ウェブ広告を掲載することは販路開拓に繋がります。その際のオーブンの経費は機械装置等費、ウェブ広告を掲載する経費はウェブサイト関連費を活用できます。

また、小規模事業者持続化補助金に申請する際は、自社の事業状況によって要件を満たせる枠を1つ選んで申請することになります。

なお、申請した経費に対して受け取れる補助金額は、申請する枠に設定されている補助率や補助上限額で算出されます。(補助金額=申請した経費合計×設定されている補助率)算出された金額が補助上限額を上回る場合は、上限額までの金額が補助されることになります。

小規模事業者持続化補助金に申請するためには、開業していることの他にいくつかの要件があります。無料診断を利用していただくと、事業内容や規模といったご状況から、小規模事業者持続化補助金の対象となるか、いくら受け取れるかがわかります。

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インボイス発行事業者は補助金額が一律50万円上乗せされる

インボイス発行事業者の登録を受けた事業者は、小規模事業者持続化補助金の補助上限が一律で50万円上乗せされます。インボイス制度が導入された2023年10月1日以降の創業者であっても、要件を満たす場合はインボイス特例を受けることが可能です。

【インボイス特例の条件】

① 2021年9月30日から2023年9月30日までの期間に免税事業者であったであった
または2023年10月1日以降の創業者で適格請求書(インボイス)発行事業者の登録を
受けていること
② 以前に小規模事業者持続化補助金<一般型>の「インボイス枠」にて採択を受け、
補助事業を実施しているまたは実施予定の事業者ではないこと
③ 通常枠や特別枠の要件を満たしていること

※「小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領」を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、2022年の時点では免税事業者であった個人事業主が、2023年に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合はインボイス特例が適用されます。その際、各枠の補助金額に50万円が上乗せされるため、通常枠では100万円、特別枠では250万円の補助金額が受けられます。

補助金額の差を想定してみると、通常枠で150万円の経費を申請する際の補助金額は、申請額150万円×2/3(通常枠の補助率)=100万円と算出されます。しかし、インボイス特例を受けない場合は通常枠の補助上限額が50万円のため、受けられる補助金額は50万円となります。

一方で、インボイス特例に適用された場合は上限額にさらに50万円が上乗せされるため、100万円までの補助金を受けられることになります。

免税事業者から適格請求書発行事業者に転換した人は、インボイス特例を受けられる可能性があります。インボイス特例の適用要件や注意事項に関する詳細は「小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説」も参考にしてみてください。

開業したばかりの事業者は創業枠の要件を半分満たしている

開業したばかり(開業から3年以内)の事業者は、「創業枠」に定められている2つの申請要件のうちの1つをすでに満たしています。創業枠の要件の1つが「創業3年以内の創業者であること」だからです。

【申請枠ごとの要件】

類型

申請要件

通常枠

・小規模事業者であること

・開業して事業を開始していること

・商工会または商工会議所の管轄内で事業を営んでいること

特別枠

賃金引上げ枠、

賃金引上げ枠

(赤字事業者)

・補助事業の終了時点において事業場内最低賃金が申請時の地域別

最低賃金より+30円以上であること

赤字事業者の場合(赤字事業者は補助率や加点の優遇あり)

・直近1期又は1年間の課税所得金額がゼロ以下の事業者で

あること

卒業枠

補助事業終了時において常時使用する従業員数が小規模事業者の

従業員数を超えていること

後継者支援枠

申請時において「アトツギ甲子園」のファイナリストである

こと

創業枠

1.     産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または

「認定連携創業支援等事業者」が実施する「特定創業支援等事業」

の支援を公募締切から起算して3か年の間に受けていること

2.     過去3か年の間に開業した事業者であること

※特別枠に申請する場合は通常枠の要件を満たしていること

創業枠に申請するためには「特定創業支援等事業」の支援を受けた証明書が必要です。「特定創業支援等事業」とは、国の認定を受けた市区町村が実施している「創業者を支援するための制度」であり、創業に関するセミナーや相談などを受けることができます。

また「特定創業支援等事業」を受けて証明書をもらった事業者は、補助金の要件を満たす以外にも、さまざまな優遇を受けられます。具体的には、融資を受ける際の金利優遇や、個人事業主が法人化する際の税金が半額になるなど、今後事業を継続・拡大していく際の支援が受けられます。

なお「特定創業支援等事業」は基本的に創業地の自治体で受ける流れですが、地域によっては実施していない自治体もあります。その場合は、他の市区町村で受けることも可能です。

小規模事業者持続化補助金の創業枠に申請できる人は、通常枠で申請するよりも高い補助金額が受けられます。そのため、開業3年以内の事業者で「特定創業支援等事業」に関する要件を満たせる人は、創業枠の申請を検討してみましょう。

小規模事業者持続化補助金を申請する際の必要書類

開業したばかりで確定申告を迎えていない事業者の場合、2期目以降の事業者と提出する書類が異なります。本来、提出が必要な確定申告書が開業したばかりで税務申告を終えていない時期は用意できないからです。

【開業したばかりの事業者が提出する必要書類】

必要書類

対象者

小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1

すべての事業者

経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)

すべての事業者

補助事業計画書②(様式3)

すべての事業者

事業支援計画書(様式4
地域の商工会・商工会議所が発行

すべての事業者

補助金交付申請書
電子申請の場合は不要

すべての事業者

宣誓・同意書(様式6)

すべての事業者

電子媒体
電子申請の場合不要

すべての事業者

税務署印の入った開業届

個人事業主のみ

収益事業開始届出書

NPOのみ

現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書

NPOのみ

株主名簿

法人の該当者のみ

※小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募「応募時提出資料・様式集」を参考に株式会社SoLaboが作成

たとえば、個人事業主の場合は、確定申告書類の代わりに税務署印の入った開業届を提出します。また、NPO法人の場合は、貸借対照表と法人税確定申告書の代わりに収益事業開始届出書を提出します。

なお、紹介した必要書類は、開業したばかりで確定申告をしていない事業者の必要書類です。開業したばかりでも、税務申告をして確定申告書類を提出できる場合は、確定申告書類を提出しなければなりません。

2期目以降の決算期を迎えている事業者の必要書類は、「小規模事業者持続化補助金に個人事業主が申請するための条件を解説」の記事を参考にしてみましょう。

小規模事業者持続化補助金に申請する際のポイント

小規模事業者持続化補助金に申請する際は、次のポイントを意識して補助事業計画書を作成してみましょう。

  • 販路拡大に関する対象経費として申請する
  • 補助金を利用することの成果を分かりやすく記入する

事業拡大に関する施策を第三者にもわかるように補助事業計画書や事業計画書の作成をしていきましょう。

補助事業の成果が分かりやすい書類作成をする

開業したばかりの事業者が小規模事業者持続化補助金に申請するには、補助事業を実施することで得られる成果がわかりやすい書類を作成する必要があります。

小規模事業者持続化補助金の書類審査では、「経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効な内容になっているか」が審査のポイントに挙げられています。そのため、自社の経営目標を策定して、目標の実現に繋がる補助事業を計画してみてください。

また、小規模事業者持続化補助金の書類を審査するのは、特定事業の専門家ではありません。たとえば、IT系の事業者がWEB系の専門用語を利用して書類を作成しても、審査担当者は内容を精査できないため、補助事業の内容がうまく伝わらない可能性があります。

経営計画書や補助事業計画書などを作成する際は、専門用語をなるべく使わない、難しい用語には注釈を入れるなどして、専門家でなくとも理解できるように記載するようにしましょう。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金は、開業したばかりの事業者でも採択されます。小規模事業者持続化補助金の採択審査は、補助事業計画書や経営計画書など提出書類の内容で行われるためです。

ただし、申請できる内容は事業の販路開拓や生産性向上に繋がる取組みのための経費であり、創業予定者が店舗の開業資金として利用することはできません。

開業したばかりの事業者は、小規模事業者持続化補助金の「創業枠」に申請することができます。創業枠の要件を満たすには、開業から3年以内であることに加え「特定創業支援等事業」を受けた証明書が必要です。

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