ネイルサロンの経営者が小規模事業者持続化補助金に申請する条件と採択事例を解説
2024/04/25
2022/2/25
ネイルサロンを経営している人や、これからネイルサロンの開業を検討している人の中には、補助金を利用したい人もいるでしょう。
小規模事業者持続化補助金は、ネイルサロンの経営者でも申請可能な補助金です。ただし、申請するにはいくつか条件があるほか、審査に通らないと補助金の利用はできません。そのため、申請する前に申請条件と採択事例を確認し、審査に向けて準備していきましょう。
当記事では、ネイルサロンの経営者が小規模事業者持続化補助金に申請する条件と、実際にネイルサロン事業で採択された事例を解説します。サロン事業の資金に小規模事業者持続化補助金の申請を検討している人は参考にしてみてください。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の<一般型>第15回公募要領をもとに作成しています。
Contents
ネイルサロンで小規模事業者持続化補助金を利用する条件
ネイルサロンが小規模事業者持続化補助金を利用する条件は、次の3つに当てはまる必要があります。
- すでに開業済みであること
- 常時使用する従業員の数が5人以下である個人事業主か小規模事業者であること
- 商工会議所、または商工会の管轄地域内で事業を営んでいること
条件を満たしていないと小規模事業者持続化補助金に申請できません。申請を検討している人は、条件に当てはまっているか確認してみてください。
開業後でなければ小規模事業者持続化補助金を利用できない
小規模事業者持続化補助金を利用するには、開業済みである必要があります。小規模事業者持続化補助金を利用するには、一期目なら開業届、二期目以降は前年度の確定申告書の提出が必要になるためです。
そのため、開業資金として小規模事業者持続化補助金を利用することはできません。開業資金が必要な場合は、金融機関からの融資や自己資金で開業資金を準備をしましょう。開業さえすれば直後から小規模事業者持続化補助金に申請できるようになります。
ただし、小規模事業者持続化補助金は申請から入金されるまでに1年近くかかるので、開業から1年は融資と自己資金でサロンの運営をしていく必要があります。
常時使用する従業員数が5名以下であること
ネイルサロンで小規模事業者持続化補助金を利用するには、常時使用する従業員数が5名以下である必要があります。小規模事業者持続化補助金では、サービス業で利用できる事業者は従業員数が5名以下と定めているためです。
なお、5名の中には個人事業主本人および同居の親族従業員は含まれません。たとえば、事業主とその配偶者、従業員3人いるネイルサロンの場合、常時使用する従業員数は事業主と親族を除くので3人になります。
ネイルサロンの場合は個人事業主か従業員数名規模の店舗もありますが、従業員数が6名を超える場合は小規模事業者持続化補助金を利用できないので注意してください。
小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額
小規模事業者持続化補助金には、補助できる金額の範囲と、補助される率が定められています。
【小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額】
一般型 | 通常枠 | 特別枠 | |
申請枠 | 通常枠 | 賃金引上げ枠 | 卒業枠 後継者支援枠 創業枠 |
補助率 | 2/3 | 2/3 赤字事業者は3/4 |
2/3 |
補助上限額 | 50万円 | 200万円 | |
インボイス特例が適用された場合 | 100万円 | 250万円 |
参考:<一般型>第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
たとえば、通常枠でネイルサロンの新規事業を開始するための設備導入費を申請した場合、50万円までの補助金を受け取れます。また、賃金引上げ枠や創業枠などの特別枠で同じ経費を申請した場合は200万円までの補助金を受け取れます。
さらに、免税事業者から適格請求書(インボイス)発行事業者へと転換した事業者は、インボイス特例の対象になります。インボイス特例が適用される場合は、それぞれの補助金額に一律で50万円が上乗せされるため、通常枠の場合は最大で100万円、特別枠の場合は最大で250万円までの金額が補助されます。
申請する枠によって要件や補助率、補助上限額が変化する場合があるので、より詳しく知りたい人は、「いくらもらえる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説」も参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金に採択されるには審査がある
小規模事業者持続化補助金に採択されるには審査があります。そのため、申請すれば必ず受給できるわけでなく、審査に通る申請をしなければ採択されません。
小規模事業者持続化補助金の申請では、次のようなポイントを意識する必要があります。
- 販路開拓や業務効率化に関する取り組みであること
- 取り組みの内容が事業計画書で数字を元に明確に伝わること
小規模事業者持続化補助金は、事業者の申請した内容が実施されれば販路拡大や生産性向上が実現されると判断されたときに給付される補助金です。そのため、新しい取り組みを実施することで売上が上がるということを、事業計画書で根拠をもって説明しなければなりません。
新しい取り組みに対して支払われる補助金であるため、単なる既存機器の買い替えや業績改善に繋がらないと判断される内容では採択されません。そのため、申請するには売上が上がる新しい取り組みであることを事業計画書で明確に伝えるように意識してください。
補助対象となる経費
ネイルサロンの販路開拓に利用できる小規模事業者持続化補助金の補助対象経費は全部で10項目用意されています。
【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】
補助対象経費科目 | 活用事例 |
①機械装置等費 |
補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費
例:新サービスを実施するための機器や設備導入、システム構築費 |
②広報費 | 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置などの経費 例:ポスティング用広告チラシの作成や、LED内照の看板製作・設置費 ※ウェブ広告の場合は広報費ではなくウェブサイト関連費で申請する |
③ウェブサイト関連費 |
ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用に係る経費
例:集客から受注に繋がる自社ECサイト制作や、ターゲットを絞ったリスティング広告、予約サイトへの掲載費用 |
④展示会等出展費 |
展示会・商談会の出展料に係る経費
|
⑤旅費 |
販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行うための旅費
|
⑥開発費 |
新商品の試作品開発に伴う経費
|
⑦資料購入費 |
補助事業に関連する資料・図書にかかる経費
|
⑧借料 |
機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
|
⑨設備処分費 |
新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る経費
例:施術スペース拡張のため不要な棚や什器の処分費 |
⑩委託・外注費 |
店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する経費(契約必須)
例:店舗入り口の階段横にスロープと手すりを設置する委託工事費
|
参考:<一般型>第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
ネイルサロンの場合、機材や機器などの購入に利用できる購入費、集客を強化する広報費、内装工事に利用する外注費などを申請することができます。
補助事業における経費は、上記以外の経費では申請できません。また、小規模事業者持続化補助金は給付を受ける前に対象経費が実際に使われた証拠書類を確認してから給付されるため、資金使途を偽ることもできません。
小規模事業者持続化補助金にネイルサロンが採択された事例
小規模事業者持続化補助金にネイルサロンが申請して、実際に採択された事例には次のような取り組みがあります。
【ネイルサロンの採択例】
|
参考:採択者一覧|商工会議所地区小規模事業者持続化補助金
ネイルサロンが小規模事業者持続化補助金に申請する場合、新サービス開始に向けた設備導入やネットを利用した販路開拓などで採択される傾向にあります。上記のような取り組みは、実際に審査に通った内容なので、申請する際の参考にしてみてください。
この記事のまとめ
ネイルサロンの経営者が小規模事業者持続化補助金に申請するための条件は、開業済で従業員数が5人以下の小規模事業者であることです。そのため、創業予定の人が開業資金として小規模事業者持続化補助金を利用することはできません。
小規模事業者持続化補助金の補助上限額は、通常枠で50万円、特別枠で200万円です。また、インボイス特例が適用されると一律で50万円が上乗せされるため、最大で250万円までの補助金額を申請できます。
ネイルサロンの販路開拓に利用できる補助対象経費の項目は全部で10種類設定されています。新サービスの開始にともなう機器や設備の導入、ウェブ広告や予約サイトへの掲載などさまざまな採択事例が見られます。