補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説

2024/04/04

2021/8/12

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

小規模事業者持続化補助金に申請を検討している人の中には、申請したい経費が補助対象経費になるのかどうか気になる人もいますよね。また、どのような経費区分があるかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説します。補助対象外になる経費も解説するので、対象経費について調べている人は参考にしてみてくだい。

なお、当記事は小規模事業者持続化補助金第15回公募要領をもとに作成しています。

対象経費の区分は10種類ある

小規模事業者持続化補助金は申請できる対象経費の区分が10種類あります。公募要領で定められた10種類の経費以外は補助対象の経費として認められません。

【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】

補助対象経費科目

活用事例

①機械装置等費

補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費

※店舗のショーケースや業務用オーブンなどにも利用可

②広報費

新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置などの経費

※ポスティング用広告チラシの作成や、LED内照の看板製作・

設置費用などにも利用可

③ウェブサイト関連費

ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用に

係る経費

※集客から受注に繋がる自社サイト制作や、ターゲットを絞った

リスティング広告にも利用可

④展示会等出展費

展示会・商談会の出展料に係る経費 

⑤旅費

販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行うための旅費

⑥開発費

新商品の試作品開発に伴う経費

⑦資料購入費

補助事業に関連する資料・図書にかかる経費

⑧借料

機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)

⑨設備処分費

新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る

経費

※店舗内にイートインスペースを設置するため、一部の陳列棚や

古い機材などの撤去費用にも利用可

⑩委託・外注費

店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する経費

(契約必須)

※小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を参考に株式会社SoLaboが作成

小規模事業者持続化補助金では、申請する補助事業の内容に合わせて経費区分を複数組み合わせて申請できます。
たとえば美容室で新しい機械を導入して販路開拓を目指す場合、新しい機械を購入するための経費は「機械装置等費」、そのサービスを宣伝するチラシやパンフレット作成の経費は「広報費」に該当するため、両方の経費の申請が可能です。補助事業にかかる経費の中で、他に対象となる経費がないか10種類の経費区分を確認しておきましょう。

なお、無料診断では申請する経費が小規模事業者持続化補助金の対象となるかがわかります。経費が対象となるか知りたい、経費が対象となるかわからない人はお試しください。

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① 機械装置等費

機械装置等費は、店舗のレイアウトを変えるために必要な商品陳列棚や、飲食店の新メニュー開発に必要な厨房機器の購入などが対象になる経費です。ソフトウェアも補助対象となりますが、その際は補助事業期間中に発生する利用料だけが補助対象となります。
たとえば、業務管理ソフトを使用期間7年、35万円で購入する場合、小規模事業者持続化補助金の補助対象期間の1年分に該当する5万円分が「機械装置等費」として申請できます。

また、補助金を受けて機械装置費等を購入した際は、購入した機械装置等を譲渡・担保・処分する際に制限があります。処分する際は、管轄の商工会議所に相談し、承認される必要があります。

ポイント

  1. 機械装置等費は補助事業の実施年数分のみ補助される
  2. 購入した機械装置費等を処分する際は、商工会議所の承認を得る必要がある

    ②広報費

    広報費は、サービスや商品を宣伝するためのパンフレットやチラシ、ポスターなどの制作に使える経費です。ポイントは補助事業に必要な広告や宣伝であるという点です。

    たとえば、飲食店がテイクアウトやデリバリーサービスを開始する事業計画を立て、小規模事業者持続化補助金の採択を受けたとします。

    補助がおりる経費はあくまで、補助事業に関わる「テイクアウトやデリバリー」を周知するための広告チラシやポスターに限定されます。補助事業に関連しないお店の宣伝のための広報費は、対象外です。

    ポイント

    補助事業に関わる広報費のみが補助を受けられる対象になる

    ③ウェブサイト関連費

    ウェブサイト関連費は、商品やサービスの宣伝を目的にしたウェブサイトやECサイトの構築などが対象になる経費です。また、ウェブ上で行うDMやSNS広告などもウェブサイト関連費の対象です。

    たとえば、補助対象になる経費は、商品販売のためにウェブサイトを作成する費用や商品を宣伝するためのインターネット広告です。一方、会社の営業活動や知名度を上げる目的のインターネット広告は補助対象外です。

    なお、IT導入補助金への申請は、ウェブサイト関連費のみで行うことはできません。ウェブサイト関連費の申請を検討している人は、機械装置等費や広報費などの経費区分と組み合わせて申請しましょう。

    ポイント

    1. 補助事業に関わる広報費のみが補助を受けられる対象になる

    2. ウェブサイト関連費のみでの申請はできないため、他の経費区分と組み合わせて申請する

    ④展示会等出展費

    展示会等出展費は、新商品を展示会などに出展または商談の場に出す際に申請できる経費です。商品を出典するための出展料のみでなく、出典に関わる運送費やガソリン代、翻訳料などの経費が「展示会等出店費」として認められています。

    国や国の補助を受けた補助金から出展料の助成がある場合、小規模事業者補助金と重複して出展料の補助を受けることはできないことに留意しておきましょう。

    また、展示会に出展する目的は「販路開拓」でなければいけません。単に商品を売るためのレンタルスペースを借りる場合は対象外となります。

    ポイント

    1. 展示会の出展料だけでなく運送費や翻訳料などの必要経費も補助対象になる
    2. 単に商品販売のための展示会ではなく、販路開拓を目的とする展示会出展でなくてはならない

    ⑤旅費

    旅費は、販路開拓を目的とした補助事業のために必要な交通費や宿泊費が対象になる経費です。

    たとえば、これまで関西で主に卸していた肉加工品を、新たに関東の小売店にも卸すべく、関係者とともに小売店を回るための経費は「旅費」として申請できます。

    また、旅費は前項目の「展示会等出典費」とあわせて使うことができ、展示会の往復にかかる交通費を旅費として申請することが可能です。

    旅費には往復の交通費の他、宿泊費も含まれます。いずれも経済的および合理的な経路にかかる費用が補助対象になります。そのため、新幹線で行けるところを飛行機にする、ビジネスホテルで済むところを高級ホテルにするなどの場合は補助対象外です。

    ポイント

    1. セミナー参加などではなく、あくまで販路開拓のために必要な旅費である必要がある
    2. 交通費も宿泊費も、最も経済的な選択をしなければならない

      ⑥開発費

      開発費は、新商品や商品パッケージの試作品に必要な「原材料」「デザイン」「加工」などに使える経費です。

      たとえば、和菓子を販売している小規模事業者が、新商品を開発するためにこれまでとは違った材料を入れた商品を作ることを企画するとします。その際、ピスタチオを使った和菓子つくりに必要な材料(ピスタチオ、あんこ等)や調味料(砂糖、塩など)、パッケージの試作にかかる代金が「開発費」として申請できます。

      開発費はあくまで補助事業に関わるもののみが対象なので、すでに行っている事業は補助対象外です。また、試作品づくりや開発に必要なく余った材料費なども補助の対象外となり、本当に必要な数量のみが補助対象経費になります。

      ポイント

      新商品やパッケージ変更のための食品購入費・調味料代・新パッケージのデザイン料などが対象になる

      ⑦資料購入費

      資料購入費は、補助事業を遂行するために必要な書籍等の購入が対象になる経費です。

      たとえば、雑貨店がネットショップを開くために初心者向けのホームページ制作の本を購入した場合、購入した本は経費区分の中に含まれます。

      また、1種類の資料につき、購入できるのは1冊(1部)です。 同じ本を複数購入するのは補助対象外になります。また、1冊の価格は10万円未満までが補助対象です。

      新品で購入できない資料の場合は、中古品を購入することも可能です。中古品を購入する際は、複数の店舗(例、古本屋)から相見積もりをとることで「資料購入費」として認められます。

      ポイント

      1. 販路開拓に必要な資料(本や雑誌)の購入費用で、1種につき1冊(1部)、10万円以下のものが対象になる
      2. 購入する資料が中古の場合は、相見積もりが必要になる

      ⑧借料

      借料は、補助事業に必要な機器・設備等をレンタル・リースする際の費用に使える経費です。

      たとえば、これまで店で販売していたラーメンを、週末やイベント時にワゴンカーを使って販売する事業計画を立てるとします。その際、ラーメン調理のできるワゴンカーをレンタルした場合、ワゴンカーのレンタル料は「借料」として申請することが可能です。

      なお、借料は口頭契約で借りているものは対象外となり、見積書や契約書などの書面で確認できるもののみが対象です。また、商品・サービスPRのためのレンタルスペース賃料もこの借料に含まれます。

      ポイント

      補助事業に必要な機器・設備等をレンタル・リースするための費用で、補助事業以外に使う場面がある場合はそれをカットして(按分)計算される

      ⑨設備処分費

      設備処分費とは、販路開拓のためのスペースを拡大する際に、処分する粗大ごみの処分費用や事業用大型ごみ集荷業者への料金支払いなどが対象になる経費です。

      たとえば、雑貨店が売り上げに伸び悩み、店内の一部をカフェに改装するとします。その際に不要となるショーケースや大型の家具などを撤去するための経費は、「設備処分費」として申請できます。

      なお、設備処分費は、採択後に追加することや金額を変更することが認められません。そのため、設備処分費に関しては、補助金の申請時に確実な計画を立てておくことが必要です。

      ポイント

      1. 販路開拓のために必要な設備処分にかかる経費が補助対象となる
      2. 全体の補助対象経費の中で、設備処分費が1/2を超えてはならない

      ⑩委託・外注費

      委託・外注費は、これまで説明した①~⑩に該当しない経費で、第三者に委託または外注する際に発生する費用に使える経費です。

      委託、外注する内容は、基本的に補助事業を行う小規模事業者では困難な内容となります。

      たとえば、販路開拓のために海外(シンガポール)の有名飲食店経営者を専門家として招いたとします。シンガポールの有名飲食店経営者を日本に呼びよせるためのマネジメント(航空券の手配や通訳など)は、外部の専門会社に頼んだ方が効率的なので、依頼するとなると委託費に該当します。

      ポイント

      ①~⑩の補助対象経費に該当しない経費であり、補助事業者(補助事業を行う小規模事業者)が行うことが困難な場合に外部業者に委託する際の経費

      補助対象外となる経費を確認しておく

      小規模事業者持続化補助金の補助対象経費の区分に含まれているものでも、補助対象外と判断される場合があります。補助対象外になる経費の特徴は、「汎用性が高い」「証拠書類が確認できない」「事業開始前に購入している」などです。

      【補助対象外となる経費の一例】

      補助対象外となる項目

      補助対象外となる項目の例

      汎用性が高いもの

      ・パソコン、コピー機、カメラ、車両など

      証拠書類が確認できないもの

      ・証拠書類の紛失

      ・ネットでの購入や発注画面の保存ができていなかった

      事業開始前に発注や購入したもの

      ・交付決定通知が届く前にクラウドサービスを契約、機材を購入した

      事業に関係が無いもの

      ・補助事業につながらない家具やサービスの導入

      オークションや個人から購入したもの

      ・ネットオークションでデザインが気に入り購入した商品陳列棚

      たとえば、パソコンやタブレットは、たとえ補助事業で使用する目的がある場合でも、汎用性が高いものとして補助対象外になります。また、事業開始前に導入したものや補助事業期間内に支払いが終わらないなどの場合は、補助対象外です。

      対象経費が補助対象外と判断された場合、補助金の申請が出来ません。申請する経費は補助事業に関係があるか確認し、購入したときの証拠書類は保管しておきましょう。

      なお、汎用性が高い機材の中でも、一部の専門性の高い機材は汎用性の高い物と認定されずに補助対象になるケースもあり得ます。

      パソコンやコピー機などは汎用性が高いものが補助対象外になるのは業務外でも利用できてしまうから補助金の対象にならないのであり、水中専用カメラやキッチンカーなど業務外での利用が不可能と判断される機能を持つ機材ならば小規模事業者時速化補助金の対象経費になる可能性があるのです。

      申請する経費が小規模事業者持続化補助金の対象となるか無料で診断できます。申請する経費が対象となるか、汎用性とみなされそうか知りたい人はお試しください。

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      対象経費の区分は経費明細表へ記入する

      小規模事業者持続化補助金で申請する対象経費の区分は、申請に必要な「経費明細表」へ記入します。

      記入が必要な経費明細表は、小規模事業者持続化補助金の必要書類の1つで、補助事業計画書②に含まれています。
      記入する内容は、「経費区分」「必要理由」「経費内訳」「補助対象経費」です。また、経費内訳は、見積もりの額や概算での記入が認められています。

      【経費明細表の記入例】

      経費区分

      内容・必要理由

      経費内訳
      (
      単価×回数

      補助対象経費
      (
      税抜)

      広報費

      チラシ印刷費 ・新商品宣伝のため

      500枚・55,000
      (概算)

       50,000

      外注費

      新たにデリバリーを行うための店舗駐輪場の拡幅工事

       220,000

       200,000

      なお、補助対象経費は、免税事業者が「税抜」課税事業者は「税込」で記入する必要がありますそのため、補助事業計画書②を記入する際は、補助対象経費の消費税に注意しましょう。

      経営計画書や補助事業計画書②などの申請書類の書き方を知りたい人は「小規模事業者持続化補助金における申請書類の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。

      経営計画書や補助事業計画書②などの申請に必要な書類は、小規模事業者持続化補助金の公式サイト「各種様式ダウンロード」からダウンロードできます。

      採択後に経費区分を変更する場合は事前に申請が必要

      小規模事業者持続化補助金の採択後に経費区分を変更する場合は、補助事業を実行する前に補助金事務局へ変更の申請が必要です。変更の申請には、変更の内容や理由、経費区分の変更前と変更後の金額などを記入します。

      【変更届の記載例】

      変更の理由:
      当社ではオンラインスクールを開設するためのホームページ制作業者を複数検討していたが、より経験が深く金額的にも安く制作してくれる業者と契約できたため、補助希望金額を変更したい。

      経費区分

       変更前

      変更後

      機械装置費等

       500,000

       300,000

      変更届には、変更する経費の内容や金額を入力します。また、小規模事業者持続化補助金の交付決定通知書に記載される「交付決定日」や「第何回で採択されたか」などの記入も必要です。

      なお、変更できる経費の額は、採択時に通知された補助金額が上限です。補助金額の変更を申請する場合は、採択時に通知された補助金額を超える変更が認められないことに留意しておきましょう。

      変更申請に関する詳しい情報は、「小規模事業者持続化補助金を変更する方法は?」も参考にしてみてください。

      この記事のまとめ

      小規模事業者持続化補助金の補助対象経費の区分は10種類あります。公募要領に記載されている10種類の経費区分以外は、小規模事業者持続化補助金の補助対象外です。

      執筆時点では、低感染リスク型ビジネス枠やコロナ特別対応型の応募は終了しています。そのため、感染拡大防止を目的とした感染防止対策費は補助対象外の経費です。

      補助対象経費の区分に含まれているものでも条件によっては補助対象外と判断される場合があります。補助対象外になる経費の特徴として「汎用性が高い」「事業開始前に購入している」などがあるため、申請前に該当する経費がないか確認しておきましょう。

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