飲食店での小規模事業者持続化補助金の活用方法や事例を紹介
2024/05/15
2021/7/14
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象とした補助金であり、飲食店の方でも利用できる可能性があります。では、どのような飲食店であれば利用できるのでしょうか?
当記事では、飲食店における小規模事業者持続化補助金の活用方法や事例を紹介します。小規模事業者持続化補助金を調べている飲食店経営者は参考にしてみてください。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領をもとに作成しています
Contents
飲食店が小規模事業者持続化補助金を受け取る方法
小規模事業者持続化補助金を受け取るためには、販路開拓につながる事業計画を策定し、計画に沿った取り組みを実施します。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上(業務効率化)のためにかかった経費の一部を支援する補助金制度であるためです。
小規模事業者持続化補助金を受け取るまでには、補助金の申請から交付までの流れに沿って進めていく工程があります。また、申請者が満たすべき要件も定められているため、順に確認しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金の対象となる飲食店
小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす小規模事業者です。
【小規模事業者持続化補助金の対象者の要件】
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特に飲食店の場合は従業員の人数に気をつける必要があります。小規模事業者としての判定は、常時使用する従業員の数で行われます。
なお、無料診断では事業内容や規模から小規模事業者持続化補助金の対象となるかを診断できます。小規模事業者持続化補助金に申請できるか、いくら受け取れるかなどを知りたい人は診断してみてください。
無料診断飲食店では常時使用する従業員数が5人以下の場合、小規模事業者持続化補助金の対象となります。
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業く) |
常時使用する従業員の数5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
常時使用する従業員の数20人以下 |
製造業その他 |
常時使用する従業員の数20人以下 |
この「常時使用する従業員数」とは、いわゆる正社員とは意味合いが異なります。公募要領内では、会社役員(ただし、従業員との兼務役員を除く)、個人事業主本人、および同居の親族従業員、育児休業中・休職中などの社員は「常時使用する従業員」に含めないものとするという記載があります。
また、社会保険に加入して長時間勤務するパート・アルバイト従業員の場合は常時使用する従業員として数える場合もあるため、確認が必要です。
自身が小規模事業者に該当するかどうかは、商工会議所や補助金の専門家に一度相談するのがよいでしょう。
飲食店が小規模事業者持続化補助金を受け取る流れ
飲食店が小規模事業者持続化補助金を受け取るまでの流れは、以下の通りです。
【申請から交付までの流れ】
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小規模事業者持続化補助金には審査があるので、給付を受けるには採択される内容の補助事業計画書の作成が必要になります。
①経営計画書・補助事業計画書を作成する
経営計画書や補助事業計画書といった提出書類を作成します。提出書類には様式1~5の5種類があります。
様式1,2,3,5は日本商工会議所ホームページにて「小規模事業者持続化補助金の申請様式集」をダウンロードすることができます。様式4に関しては少し特殊で、商工会議所に作成してもらう書類のため、自分で書く必要はありません。
なお、事業計画書の書き方については「小規模事業者持続化補助金の申請書類の書き方は?記入例を交えて解説」の記事で解説していますので、ご確認ください。
②商工会議所で事業支援計画書の作成を依頼する
上述の様式4の書類が、この「事業支援計画書」です。事業支援計画書は自分で書くのではなく、商工会議所に依頼して作成してもらいます。商工会議所は会員制の組織ではありますが、事業支援計画書の作成は会員にならなくても依頼することができます。
注意点として、商工会議所によっては書類作成に時間がかかる場合があります。早めに作成依頼を出しておかないと、小規模事業者持続化補助金の公募期間に間に合わない可能性があるので、しっかり逆算して依頼を出しましょう。
③日本商工会議所(補助金事務局)宛てに申請書類を送る
提出書類がそろったら、日本商工会議所に書類を送付します。送付時には過不足がないかしっかり確認をしておきましょう。
④日本商工会議所で審査が行われる
提出した書類をもとに日本商工会議所で審査が行われます。審査を通過すると次の段階に進むことができます。もし審査に落ちた場合は、計画を立て直して次回公募時に再び応募しましょう。
⑤実際に販路開拓の取組を行う
審査に通過したら、計画にのっとって実際に販路拡大の取組を行います。この時に計画外の取組をしてしまうと、後に補助金が下りなくなってしまうので、しっかりと事前に建てた事業計画に沿った取組を行いましょう。
⑥実際に行った取り組みに関して実績報告書などを提出する
実際に取組を行った後、実際に行った内容に関して実績報告書を作成、提出します。実際に行った取り組み内容と、その結果を間違いの内容に報告しましょう。
⑦日本商工会議所に報告内容が確認される
報告を上げると、日本商工会議所に確認されて、その内容に応じて補助金の交付が決定されます。
⑧補助金の請求を行う
補助金の交付が決定したら、補助金の請求申請を行います。
⑨補助金の清算
補助金の請求申請が受け付けられると、実際に補助金が支払われます。
飲食店での小規模事業者持続化補助金の活用方法
飲食店で小規模事業者持続化補助金を活用する際は、販路開拓につながる販促費やウェブサイト制作費、設備導入費などに利用できます。
小規模事業者持続化補助金の一般型で使える経費は以下の通りです。
【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】
①機械装置等費 ②広報費 ③ウェブサイト関連費 ④展示会等出展費 ⑤旅費 ⑥新商品開発費 ⑦資料購入費 ⑧借料 ⑨設備処分費 ⑩委託・外注費 |
自身の補助事業を実施するためにはどの経費項目を利用すれば良いかを確認しておきましょう。
なお、無料診断では事業内容や形態からどのような経費に使えるかを無料で診断できます。どのような経費に使えるか、どのような事業に使えるかといった事例を知りたい人は診断をお試しください。
無料診断①機械装置等費
補助事業を実施するための機械装置購入費用が該当します。物理的に存在する機械装置だけでなく、パソコンで使用するソフトウェアも対象です。
ただし、通常の飲食店業務で扱う機械装置は対象になりません。あくまでも補助事業のために必要となる機械装置でなければなりません。例えば、常に米製品を扱っている和食店で新たに炊飯器を購入しても対象にはなりませんが、今まで米製品を扱っていなかったピザ専門店が客層拡大のための新メニュー開発で炊飯器を購入するなら対象になる可能性があります。
また商品開発や販路拡大のためであっても、パソコンや車両などの汎用性が高く、補助対象事業以外での使用が可能であるものは対象外です。
②広告費
パンフレットやチラシ広告、看板などの作成費が該当する経費です。補助対象事業に関する広報目的の物が補助対象で単純な会社やお店のPRでは補助対象になりません。
③ウェブサイト関連費
ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用にかかる経費です。
予約システムも兼ねた自社サイトの制作やターゲットを絞ったリスティング広告にも活用できます。
④展示会等出展費
補助事業上の新商品などを展示会や商談会に出展するための費用です。飲食店ではあまりなじみがないかもしれませんが、新商品の試食会のようなものであれば経費として認められる可能性があります。
⑤旅費
情報収集や各種調査を行うための旅費です。公共交通機関の移動費と宿泊費が対象となっています。宿泊時に温泉や食事がついている場合はその分を旅費から引いて計算したものが補助対象となります。また、公共機関以外の移動費に関しても補助対象外です。
⑥開発費
開発費は、新商品試作用の包装や原材料費用などの経費です。あくまで試作品のための開発費であり、販売用の商品の包装や材料費は対象外となります。
⑦資料購入費
補助事業のための情報を得る書物の購入費です。単価10万円未満、1種類につき1部のみ対象となります。
⑧借料
補助事業のための機器や設備のリース、レンタル料金です。機材のレンタル費用が当てはまりますが、サブスクリプション購入等の場合は①機械装置等費に該当します。新商品PRのためのイベント会場等の借料も含まれますが、店舗のための家賃などは該当しません。借用のための見積書や契約書が必要なので、必ず保管しておきましょう。
⑨設備処分費
販路拡大のための作業スペース確保等の目的で設備機器等の廃棄処分を行う費用です。また、リース、レンタルしていた機械設備の返却を行うための修理、原状回復費用も含まれます。この項目のみ、上限が補助対象経費総額の1/2となっている点にも留意しておきましょう。。
⑩委託・外注費
上記①〜⑨すべてに該当せず、第三者に業務を委託・外注する場合にかかる報酬です。店舗改装など自社では実施困難な業務を専門業者に依頼する際に活用できます。
飲食店の受け取れる補助金額は最大で250万円
小規模事業者持続化補助金の補助金額は通常枠で50万円、特別枠で200万円が上限です。また、補助率の割合は取り組みに使用した額の2/3です。(賃金引上げ枠の赤字事業者のみ3/4)
さらに、免税事業者からインボイス発行事業者に転換した事業者の場合は「インボイス特例」が適用され、各補助金額に一律50万円が上乗せされます。そのため、通常枠では最大100万円、特別枠では最大250万円までの補助を受けられます。
【小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額】
一般型 |
通常枠 |
特別枠 |
|
申請枠 |
通常枠 |
賃金引上げ枠 |
卒業枠 |
補助率 |
2/3 |
2/3 |
2/3 |
補助上限額 |
50万円 |
200万円 |
|
インボイス特例が適用 |
100万円 |
250万円 |
参考:第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金
たとえば、創業枠で330万円を申請した場合、補助率2/3を掛けると補助金額は220万円と算出されます。しかし、インボイス特例の適用外であれば定められた補助上限が200万円のため、受けられる補助金額は200万円です。
一方で、インボイス特例に適用された事業者の場合は、同じように330万円を申請した場合でも、補助上限が250万円のため、220万円の補助金額をそのまま受け取ることができます。
なお、補助対象経費の中の「ウェブサイト関連費」を活用する場合は、補助金額の計算方法が変わります。ウェブサイト関連費の上限額は、算出された補助金額の全体の1/4までの金額と定められているため、計算の工程が増えることになります。
ウェブサイト関連費を含めた補助金の計算方法が気になる人は、「いくらもらえる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説」も参考にしてみてください。
飲食店で小規模事業者持続化補助金が採択された事例
小規模事業者持続化補助金を利用した飲食店の事例では、テイクアウト商品の開発とWEB注文による販売効率化を目指したものや、料理教室を行うことで新たな顧客獲得を目指したものがあります。
他にも小規模事業者持続化補助金のホームページでは、採択者一覧ページがあり、どういった事業者がどのような事業(補助事業の名称)で採択されたのかを見ることができます。その中から一部を紹介しますので、参考にしてみましょう。
事例①コーヒー店の場合
新型コロナウイルスの感染が拡大した時期にテイクアウト専門コーヒー店へと改装することで感染リスクを減らしつつ集客を行いました。飲食店では同様にデリバリーサービスを開始し、来店客以外にも着目した販路開拓の事例が増えています。
事例➁和食店の場合
店舗改装と、月額制のサブスクリプション導入による弁当販売を行うことで、店舗内での感染リスク低減と、安定的に弁当販売の収入を得ることを狙いました。サブスクリプション式の事業は、月額の安定した収入が見込めるので収益が確保しやすいので少しずつ増えています。
事例③中華料理店の場合
主力商品であるチャーハンの品質向上による売り上げ向上を狙いました。また、回転率上昇も並行して狙うため、洗浄機を導入することで食器洗浄効率をアップさせました。
既存の商品アップグレードと業務効率化にそれぞれ補助金を利用した事例です。小規模事業者持続化補助金は上限までなら複数の補助事業を行うこともできます。
事例④ハンバーグ店の場合
オフィシャルサイトを立ち上げホームページ上でクーポン券の発行をすることで、地元産豚100%ハンバーグ店としての認知度をアップさせ、広範囲からの集客を狙いました。飲食店のみに関わらず多いのが、広告としてホームページを制作する事例です。今回はクーポン券も発行することで訴求力やリピーターの確保を目指しています。
事例⑤ラーメン店の場合
店頭販売や通信販売ができる冷凍ラーメンを開発し、ECサイトを通じて全国に販売することで販路開拓を実施しました。コロナ禍で店舗集客が落ちた時期に、通信販売で広範囲の顧客への販路開拓を狙った補助事業です。新商品開発費用とECサイト制作、通信販売体制の確保等、この事例も複数の補助事業を行っています。
事例⑥カフェの場合
大人女子向けコラボ企画実施により、コンセプトカフェとしてターゲットとなる女性客への知名度、集客力アップを狙い新たな客層を開拓しました。特定の顧客層をターゲットとした施策です。広く広げるよりもピンポイントで固定客を狙っていきます。
小規模事業者持続化補助金に申請する際の注意点
小規模事業者持続化補助金に申請する際の注意点を確認しておきましょう。
(1)他の補助金と同時申請ができない
小規模事業者持続化補助金に限ったことではありませんが、補助金は他の補助金との併用はできません。複数の事業を並行して行っている場合でも、事業者が同じ場合は全ての事業合わせて1度しか申請を行うことができません。
また複数の事業を行っている場合、全ての事業の常時使用する従業員を合わせて5人以下でないと小規模事業者とみなされない点にも注意が必要です。
(2)補助金着金は補助事業を行った後
補助金の着金は、補助事業を実施して補助金事業の実績報告を行ったあとになります。つまり、事業を実際に行う段階では補助金が下りていないので、運転資金は別途用意する必要があります。
(3)公募要領を常にチェックする
公募要領は小規模事業者持続化補助金の公募を行う上での指針で、不定期に新しい情報にアップデートされます。
場合によっては経費区分が見直されるなど、大きな変化がある場合もありますので、補助事業計画を立てる際や申請を行う前に必ず最新の公募要領をチェックし、以前と変わった点はないかを確認しましょう。
この記事のまとめ
飲食店も利用できる小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や小規模事業者の販路開拓に向けた取り組みにかかった経費の一部を支援するための補助金です。また、販路開拓にともなう生産性の向上や業務効率化のための経費にも活用できます。
小規模事業者持続化補助金には10種類の補助対象経費が用意されており、飲食店の補助事業計画に必要な経費項目を組み合わせて申請します。その際、パソコンや車両など汎用性の高いものの経費は対象外です。
小規模事業者持続化補助金の補助金額は、通常枠で申請した場合は50万円、特別枠で申請した場合は200万円です。また、インボイス特例の対象となる場合は補助上限額に一律50万円上乗せした金額までの補助を受けられます。