補助金ガイド

いくらもらえる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説

2024/04/08

2022/6/6

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

小規模事業者持続化補助金の活用を検討している人のなかには、補助金額をいくらもらえるのか知りたい人もいますよね。また、補助率は何に使用するのか気になる人もいるでしょう。

 当記事では、補助率と補助金額の関係性を解説します。補助金額の計算方法も解説するので、補助金額をいくら受け取れるのか気になる人は参考にしてみてください。

 なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の「第15回公募要領」を元に作成しています。

 補助率とは補助対象になる金額の割合

小規模事業者持続化補助金の補助率は、補助申請する経費のうち補助を受けられる割合を示しています。小規模事業者持続化補助金を申請するときは、自身の申請枠に適用される補助率に基づき、補助申請する補助金額を計算します。

<通常枠の補助率一覧>
項目 通常枠
補助率 2/3
補助上限額 50万円
<特別枠の補助率一覧>
項目 賃金引上げ枠 卒業枠
後継者支援枠
創業枠
補助率 2/3
※赤字事業者の場合3/4
2/3
補助上限額 200万円 200万円
※インボイス特例が適用される場合は補助上限額に一律50万円上乗せ

原則として通常枠、特別枠どちらで申請する場合も補助率は2/3です。補助率を3/4に引き上げる場合は、賃金引上げ枠と赤字事業者の要件を満たす必要があります。

また、免税事業者から適格請求書(インボイス)発行事業者へ転換した事業者は、インボイス特例の対象となる可能性があります。インボイス特例が適用される場合、各枠の補助上限額に一律で50万円が上乗せされるため、該当する人はインボイス特例に申請してみましょう。

 受け取れる補助金額は3つの要素をもとに計算する

補助金総額は、3つの要素「補助率」「補助上限額」「補助対象経費」を明確にしてから計算する必要があります。3つの要素は、事業者が申請する申請枠や補助事業内容によって数値が異なるためです。

 <計算に必要な3つの要素>
要素名 概要
補助率 補助対象経費のうち補助を受けられる割合のこと
補助上限額 申請枠ごとに補助金を受け取れる最大の金額を示すもので、この金額を超えての申請は出来ない
通常枠:50万円 特別枠:最大200万円
補助対象経費 公募要領に記載がある10区分に分けられる経費目のこと
ここに含まれない経費は補助対象外になる

補助金額の計算に使用する補助対象経費の金額は概算で問題ありません。ただし、補助対象経費の見積もりを取っている場合は見積もり金額を計算に使用することで、審査のポイント「事業費の計上・積算の正確性」の評価を受けられる可能性があります。

 受け取れる補助金額を知りたい人は、3つの要素「補助率」「補助上限額」「補助対象経費」を明確にするため、申請枠や補助事業内容を決めておきましょう。

なお、補助事業内容を考えている人で補助対象経費の活用事例などが知りたい人は 「小規模事業者持続化補助金の対象経費の区分を解説」を参考にしてみてください。

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ウェブサイト関連費がない場合の計算方法

補助金額の計算は、ウェブサイト関連費を含まない申請かウェブサイト関連費を含む申請かによって計算方法が異なります。ウェブサイト関連費を含まない申請をする場合は、すべての補助対象経費をまとめて計算できます。

 <ウェブサイト関連費を含まない補助金額の計算方法>
ウェブサイト関連費を除いた経費の計算
①「申請する補助対象経費」を合計して「補助対象経費合計(a)」を計算する
②「補助対象経費合計(a)」に「補助率」を掛けて「補助金交付申請額(b)」を算出する
③ 「補助金交付申請額(b)」と「補助上限額」を比較して、金額が低い方を「補助金交付申請額合計」にする

計算した補助金交付申請額が、補助金事務局に認められた場合に受け取れる補助金になります。ただし、補助金交付額は補助金事務局の審査によって減額される場合もあるため、申請した補助金額が必ずしも受け取れる訳ではないことに留意しておきましょう。

 ウェブサイト関連費がある場合の計算方法

申請する経費にウェブサイト関連費がある場合は、ウェブサイト関連費とその他の経費を分けて計算します。ウェブサイト関連費には、「補助金申請額の1/4」という補助上限額の条件があるからです。

<補助金額の計算方法>

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<ウェブサイト関連費を含む補助金額の計算方法>
ⅰ ウェブサイト関連費を除いた経費の計算
①「ウェブサイト関連費以外の経費」を合計して「補助対象経費小計(a)」を計算する
②「補助対象経費小計(a)」に「補助率」を掛けて「補助金交付申請額(b)」を算出する
ⅱ ウェブサイト関連費を使用する場合に必要な計算
③「ウェブサイト関連費」に「補助率」を掛けて「ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(c)」を算出する
④「補助金交付申請額(b)」を「3」で割り、「ウェブサイト関連費の交付申請上限(d)」を計算する
※ウェブサイト関連費は最大50万円までが補助経費として認められる
⑤     次の3項目を比較して金額の低い方を「ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(f)」にする
・「ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(c)」
・「ウェブサイト関連費の交付申請上限(d)」
・「補助上限額 × 1/4 の金額」
ⅲ 合計額を計算
⑥「補助金交付申請額(b)」と「ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(f)」を合計して「補助金交付申請額合計(g)」を算出する
⑦「補助金交付申請額合計(g)」と「補助上限額」を比較して、金額が低い方を「補助金交付申請額合計」にする

 申請書類をもとに補助金額を計算したい場合、補助金額の計算を行う書類は、小規模事業者持続化補助金公式サイトの「様式3-1 補助事業計画書②」です。小規模事業者持続化補助金に申請する人は、規定の様式があることを覚えておきましょう。

 受け取れる補助金額の計算例

ウェブ関連費を含むときに受け取れる補助金額の計算例を紹介します。今回の計算例では、通常枠の補助率(2/3)補助上限額(50万円)で計算します。

 <申請する補助金額の計算例>
経費区分 補助対象経費額
開発費 20万円
機械装置費等 40万円
ウェブサイト関連費 30万円
ⅰウェブサイト関連費を除いた経費の計算 計算額
①     ウェブサイト関連費を除く対象経費を合計する
20万円 + 40万円 = 60万円
補助対象経費小計(a)
60万円
②     補助対象経費小計(a) × 補助率 = 補助金交付申請額(b)
60万円 × 2/3 = 40万円
補助金交付申請額(b)
40万円
ⅱウェブサイト関連費を使用する場合に必要な計算 計算額
③     ウェブサイト関連費30万円 × 補助率2/3
=ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(c) 20万円
ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(c)
20万円
④     補助金交付申請額(b)÷ 3
=ウェブサイト関連費の交付申請上限(d)※最大50万円まで
40万円 ÷ 3 = 13.3万円
ウェブサイト関連費の交付申請上限(d)
13.3万円
⑤     次の3項目を比較して金額の低い方を「ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(f)」にする
・ウェブサイト関連費の補助金交付申請額 (c) 20万円
・ウェブサイト関連費の交付申請上限 (d) 13.3万円
・補助上限額50万円 × 1/4 = 12.5万円
ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(f)
12.5万円
ⅲ 合計額を計算 計算額
⑥     補助金交付申請額(b) +ウェブサイト関連費の補助金交付申請額(b) = 補助金交付申請額合計(g)
40万円 + 12.5万円 = 52.5万円
補助金交付申請額合計(g)
52.5万円
⑦     補助金交付申請額合計(g)と補助上限額を比較
低い方を補助金交付申請額合計にする
52.5万円 > 50万円
補助金交付申請額合計
50万円

 たとえば、補助金交付申請額合計(g)が49万円だった場合は、補助上限額を下回るので最終的な補助金交付申請額合計が49万円になります。補助金交付申請額の計算をした人は、補助上限額との比較を忘れず行いましょう

 なお、実際の計算でわからないことがある場合、小規模事業者持続化補助金の公式サイト「よくある質問」が参考になる場合があるので確認してみてください。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金の補助率とは、申請する経費のうち補助対象になる金額の割合のことで、補助金額を計算する3つの要素の1つです。補助金額をいくらもらえるか計算するために必要な3つの要素は「補助率」「補助上限額」「補助対象経費」で、これらが決まっていない場合は、補助金額を計算できません。補助率や補助上限額は、申請枠によって決められているため事業者は、補助金額の計算をする前に、事業規模や事業の状況に合わせて申請枠を選択します。ウェブサイト関連費を含む申請を行なう場合、ウェブサイト関連費を含まない申請と計算方法が異なるため、小規模事業者持続化補助金に申請する人は注意しましょう。

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