『お客様と社会にとって価値のある事務所へ』グリーン司法書士法人 代表社員の山田さんをインタビューしました
グリーン司法書士法人
山田 愼一さんが代表社員をするグリーン司法書士法人は、東京都新宿区にあります。
不動産登記、遺言・相続手続き、債務整理、企業法務などを行ない、それらを手段として「お客様と社会にとって価値のある事務所」を目指し業務に取り組まれています。
公式サイト:https://green-osaka.com/
Twitter:https://twitter.com/green_shihou
独立開業を目指したきっかけ
―――よろしくお願いいたします!
よろしくお願いします。
―――はじめに、起業しようかなって思ったタイミングをうかがってもよろしいでしょうか?
起業のきっかけは、28歳ぐらいの時に妻との結婚を考えるようになった頃、小さい時から自分で商売したいと思っていたことを思い出したんです。
小さい時はどちらかというとお金に苦労している家庭だったので、親に家買ってあげたいなとかそういう考えだったと思います。
ただ、当時フリーターだったので、本屋さんへ就職情報誌を探しに行きました。
その時に偶然、本屋さんで資格の本を見て、司法書士って書いてあるのを見つけたんです。
合格率が当時、2.8%で一体どんな試験なんだって思ったんですけど、商売したいと思っていたし、そんなに難しい試験だったら、資格試験に合格できれば、参入障壁もあるのでノウハウのない自分でもチャンスがあるんじゃないかと思って目指しました。
その時に、資格試験の合格から創業までの計画をして、年収も独立して3年以内には3000万ぐらいになってとかをイメージして資格試験の勉強をスタートしました。
―――なるほど。ちなみにご家庭の事情などもあって、小さいころから独立を考えていたんですか?
そうですね。小さい時から思っていましたね。
まあ、学校の先生になりたいとかも考えたことはあるんです。でも、お金稼ぎたいっていう思いがあったんですよね。
貧乏でも全然楽しかったんですけど、お金の問題で諦めなきゃいけないこともあったので。
―――司法書士を目指す前はフリーターだったというお話でしたが、司法書士と関係ある仕事だったんでしょうか?
そんなことないです。当時、何して良いかも分かんなかったので。
バイト先でよく正社員にならないかって声かけていただいていたんですけど。ずっとこの仕事する気はないしなって思いが強かったです。
―――では、偶然、資格の本で司法書士を知ったのがターニングポイントになったってことですよね。
そうですね。当時は、弁護士や税理士は知っていたんですけど、司法書士は知らなかったので、本屋さんに行かなかったら思いつかなかったです。
それに、自分には縁がない仕事だと思っていたんですよ。大学に行ってないと、税理士は日商簿記検定1級を取得してからなどの受験資格があって受験は無理だなぁと思っていたので。
でも司法書士は、受験資格のハードルが低かったんですよね。
―――なるほど!司法書士は受かれば参入障壁が高いしビジネスチャンスかもしれないっていう直感で行動されたんでしょうか?
そうです。そういう試験受ける友達や知り合いが周囲にあまりいなかったんですが、学生の頃クラスで優秀だった子とかが目指す試験なのかなと思ったら、同じ土俵にたてるチャンスなんじゃないかと思ったんですよ。
まあ、そんな甘いものじゃなかったんですけど(笑)
なので、当時は飲食業とかも考えていたんです。でもそれよりこっちの方がチャンスあるなと思って。
それで、思い立った日に試験予備校に申し込みに行きました。
―――それじゃあ試験予備校みたいなところに申し込みして、そこから本格的に受験勉強されたんですか?また、どれくらいの期間で合格されたんでしょうか?
いや、最初の半年ぐらいはバイトもしていました。けど、そこから一年間全く働かずに勉強しましたね。
あの瞬間、自分より勉強している人は日本にいなかったんじゃないかって思うくらい勉強していました。合格までにかかった期間は、1年半ですね。
独立前の就職について
―――司法書士に受かった後はすぐ独立されたんですか?
いえ、一年間司法書士事務所で働かせていただきました。
―――そうなんですね。就職を決めたときも独立を前提に考えていたんですか?
はい、なので、給料とか条件も聞かずに就職先を決めました。
―――就職先を選んだ理由は何かあったんでしょうか?
全然です。当時Googleがなくて、電話帳の上から下まで片っ端から電話かけて、その中で1社だけ話を聞いてくれたんです。
ほとんどのところは電話しても相手してくれなかったんですよね(笑)
―――就職も結構厳しかったんですね。
どうでなんでしょう、司法書士会などに行って正攻法で就職活動していたら違ったかもしれないですね。
自分は、就職先の探し方を知らなくて、いきなり事務所の電話にダイレクトにかけていたので怪しまれていたのかもしれません(笑)
―――確かに、就職活動で片っ端から電話っていうのはあまり聞かないですね(笑)では、就職してから約1年で独立に踏み切れた理由はありますか?
就職をする時から決めていたからですね。
本当は一年ぴったりで独立を考えていたんですけど、身内の不幸があって忙しかったので。あと、代表にお葬式に列席いただいこともあって、御恩を感じて残ろうかなって思った時期もあったんですよね。
就職先の方には、結構気に入っていただいて、残らないかって説得もされて迷ったこともあるんですけど、ここで残ったら自分の性格的にずっとこの事務所で働くだろうなと思ったんです。なので、辞めることにしました。
―――独立するっていう決意があって、目的通りに独立に踏み切れたという事ですね!ちなみに独立する際にお世話になったとか、あの人がいたから頑張れたとかってありましたか?
そうですね。まあ色々教えていただいた先輩とかにはすごく恩を感じていますし、今でもやり取りしてたりとかはあるんですけど、そういう意味で言うと、やっぱり妻ですね。
妻は貧しい時から支えてもらっていたんで、何とかいい思いをさせたいなっていう思いがありました。
創業直後の集客を振り返る
―――創業後3年で計画通りに収入を伸ばせたというお話しでしたが、創業した時から仕事があるような状況だったんですか?
そうですね。仕事は結構ありました。
―――おー!最近では仕事が取れないっていう方の話も聞くんですが、集客できたきっかけってあったんでしょうか?
今考えるとなんですけど、事務所を構える立地や宣伝広告を使ったことだと思います。
事務所を構えた当時は、司法書士目線で考えるのが当たり前だったんです。例えば、司法書士なら法務局のそばに事務所を設置するみたいな。
あんまりお客様視点の意識がなかったんですよね。
その中で、ある程度お客さまが来やすい駅近にしようとか。なんかそういう考えで事務所設置したら結構お客様に来てもらえたんです。
あとは、当時解禁されたばかりの宣伝広告ですね。解禁されてすぐだったので誰もやってなかったんですよ。
なので、自分は開業してすぐにとりあえず試しに宣伝広告を出してみたんです。それがすごく当たって仕事がまた増えたっていう感じでした。
―――広告が解禁されたばかりで知識もなかったと思うんですが、最初は何の広告を打ったんですか?
かなり小規模なやつなんですけど、よく行くスーパー銭湯のフリーペーパーみたいなやつでした。
しかも、四ページしかない手作りの広告募集みたいな。
電話したら料金が25,000円だったのでやってみようって。そしたらそれで200万ぐらい売上があがりました。
―――すごい!なかなか聞かない話ですね(笑)
これはすごいなと思いましたね(笑)
―――先生って色々な手法に挑戦されていて、集客が上手い印象なんですが、最初にした挑戦の成功体験が今につながっているんですね。
そうですね。逆に最初のころの成功体験を引きずり過ぎないようにとは思っています。
広告を打てば仕事が来ていた頃とは変わってきているので。
ただ、当時はどんどん広告を出していましたね。
―――なるほど。では、最初の広告からもいろんな広告を試したんですね。失敗などはなかったんですか?
最初の2年ぐらいはほぼなかったです。
というのも、他の事務所がほとんど広告を出していなかったんです。
当時は、宣伝広告が解禁されたばかりだったので、広告を出したら罰則があるんじゃないかっていう心配をする人がいたりして。ルール守っていれば大丈夫なんですけどね。
―――では、創業後は想定通りのスタートダッシュが出来たんでしょうか?
想像以上でした。宣伝広告の解禁があったりしたので、タイミングも良かったと思います。
―――司法書士の中には、広告に重きを置かない方もいたと思うのですが、広告に挑戦できた要因って何かありますか?
事業への投資の意識は最初からあったと思います。会社の経営が悪化しないラインを見極めてその範囲で投資するっていう感覚でやっていました。
自分や事業に投資しすぎる性格なので戒めているんですけど、最初の頃はそれがうまい方向に出たのかなと思います。
自分はどんどん広告を出していたんですけど、他の方は少額の5万とか10万円は入れるけど、それ以上は出さない人が多かったので。
―――創業初期に広告を出稿する場合、自己資金や創業後に稼いだ資金、借入した資金を投資していくなど、色んなパターンがあるかなと思います。先生は創業前に自己資金を貯めていましたか?
全然です。当時、30万円しか持ってなかったので、親族にお金を借りて130万円を元手に日本政策金融公庫から300万円融資を受けて創業しました。
でも、僕より先に独立している人には、何でそんな創業資金を用意するの?と言われていましたね。
―――駅近に事務所を構えたというお話がありましたが、まずは自宅で創業っていう司法書士の方もいると思います。最初から戦略的に考えて駅近くに事務所を借りる計画だったんでしょうか?
そこまで深く考えてなかったはなかったと思うんですが、とにかくお客さんが来ないとビジネスにはならないなって言う考えでした。
それには、お客様が行きやすい場所がいいよなと思っていたので、自宅でやるっていうのも全く頭になかったですね。
―――駅近に事務所を構えるというのは、当時あまり発想してない方も多かったのかなと思うんですが、その決断をしたきっかけはありましたか?本を読んでいたとか、ひらめいたとか。
それで言うとひらめきですかね。
その当時、勉強全くしてなかったので、マーケティングとか全然わからなかったんですけど、とにかくお客様側のことを考えたら駅から近いほうが絶対いいよなって思っていたので。
創業後にしておけばよかったこと
―――創業後はすぐに従業員も増やしたんでしょうか?
いえ、最初の頃は人を雇うのが怖くて、一人目雇ったのが3~4か月目ぐらいだったと思います。
それも、お客さんに怒られたのがきっかけでした。
事務所での対応中に電話がずっと鳴っていたり他のお客様が尋ねてきたり(笑)それで、もうちょっといい加減に人を雇ってくれません?って怒られて、あぁ人を雇わないとなって思いました。
―――じゃぁ仕事が忙しくて採用したという感じなんですね。
そうですね。
でも、本当に雇うのは嫌でしたね。
広告とかノウハウとかには投資するんですけど、人に投資ってどちらかというと苦手なタイプだったので。
だから、採用がコストになると思っていたんです。今は逆に人がいないと事業を展開できないと思っているんですけど、当時はギリギリまで自分で対応していました。
―――忙しい時にさらに採用業務をやろうとすると大変だったと思うのですが、採用関係の知見があったんでしょうか?
全くないですね。なので、ハローワークに求人を出すとか、そういう知恵もなかったんですよ。
そんな時に当時、よく講義の依頼があった資格学校で募集したらいいんじゃないかって思いついたんですよね。
そしたら本当にその時に講義を受けていた人が一人目のアルバイトで入ってくれたんです。
―――じゃあ、そこからは少しずつ人も採用しながら拡大されたんですね。
まあ、それでも2年目で四人ぐらいだったと思います。それも渋々、一人ずつ取ってみたいな(笑)
―――ちなみに、創業一年目から2年目、3年目で集客もできて、かなりバタバタされたんじゃないかなと思うんですけど、その時に大変だったことはありましたか?
仕事上で言うと経験があまりなかったので、実務で苦労しました。
ただ、最初から仕事を断るのは極力しないと決めていたので、やったことない領域でも勉強しながらやっていました。ミスしたらお客様に迷惑をかけることになるので大変でしたね。
―――わかります。仕事を受けて行動し続けていると、いろんなことができるようになりますよね。
そうですね。やりながら覚えるみたいな。
背水の陣でやっていましたね(笑)
―――お客さんに迷惑かけるわけにはいかないので、全力ですよね。では、振り返ると、あの時これをしとけばよかったなと思うことはありますか?
そうですね。採用をしておけばよかったなと思います。
起業してすぐの僕に何かアドバイスするとしたら、会社のミッションやビジョンとか、そういう所をしっかりと決めて採用活動をすることですかね。
あと会社も大事なんですけど、一個人としてどういう人生を送っていきたいのかっていうのをはっきりしてやったほうが良いっていうのは言います。
―――過去に戻って採用ができるとしたら何年目のタイミングでどれぐらい採用しておきたかったなーみたいなのありますか?すごいざっくりでいいんですけど。
やっぱり創業してすぐにですかね。
新卒採用と司法書士採用と両方やっておけば良かったと思います。
今後の展望について
―――個人から法人にされたきっかけは何だったんでしょうか?
きっかけとしては、東京に支店を出すっていうのを決めていたので、それが大きかったですね。
売り上げ的に言うと、2年目ぐらいから法人化した方がいいよとは言われていたんですけど。
―――現在は東京に支店を出されていると思いますが、今後の展望をお伺いしたいです。
まず、安定的に成長し続けるっていうのは経営者として自分自身で決めていることなんで、安定的に成長させていきたいですね。
あとは、業界内では規模や待遇はトップまで持って行きたいです。
ほかには、日本全国にネットワークを広げていきたいなと思っています。
―――では今後は3支店目や4支店目を検討されているんですか?
そうですね、再来年あたりに関東に出したいなと考えています。
4年後には関西にも支店をだして、計画的に名古屋や福岡、全国へ展開していきたいと考えています。
―――現在も採用活動されていると思うんですが、今後も採用は継続していきたいとお考えですか?
そうですね。やっぱり事業拡大して行くには司法書士が必要になるので。
ほかにも、新卒の採用ですね。新卒の社員には、会社のいろんな機能、マーケティングとか営業とか管理系を担ってほしいなと思っています。
実務面は司法書士じゃないとできない事があるので安定的に司法書士と新卒の採用をしていきたいですね。
起業を目指す方へのアドバイス
―――最後に起業を検討している方に、メッセージをいただけると嬉しいです。
何の仕事でもそうだと思うんですけど、覚悟はある程度いる仕事だと思います。全部、自分の責任になるので、だから覚悟を持ってやれるっていう人はチャレンジしてほしいです。
まあ、起業は全員やった方がいいとまでは言いません。僕は16年やってきて、どっちかというといいことよりも大変なことの方が多いと思うので。
でも、起業して逃げられないポジションに就くことで自分が成長させてもらえるんです。成長できると、人生豊かになるし、自分が成長すると出会う人も変わってきて、すごく勉強になる方にいっぱい出会える。
金銭面は、メリットデメリットの両面あるので、そこは覚悟された方がいいと思うんですけどね。
あと、メンタルは結構強くないと、大変なポジションなのでそこで向き、不向きあると思います。割と大胆かつちょっといい加減だけど細かい面を持っている人は向いているかもしれないです。
あんまり適当にできないとか人の失敗が許せない性格の人だと大変かもしれないので、自分の適性見た上で是非チャレンジしていただけたらと思います。
―――ありがとうございました。
ありがとうございました。