最後の一枚までしっかりとこだわる
SweetBank株式会社 代表 樫村瞳
樫村瞳様は、さつまいもから商品のパッケージの細部までしっかりとこだわり抜いた干し芋を販売している方です。
今回は、樫村様が干し芋にかける想いについて伺いました。
お客様に喜んでいただくためのこだわり
―樫村様は、なぜ干し芋の販売をしようと考えたのでしょうか?
樫村氏:地元で口にする干し芋をもっと多くの人が必要としているのでは?と考えたことがきっかけでした。
私自身、干し芋が好きでよく買いに行っていました。茨城県は干し芋でありふれているので、地域の人は干し芋があって当たり前のような空気感がありました。地元では干し芋が日常生活で当たり前のように口にしていました。
地元の人たちがよく口にする干し芋の切り落としという商品を私もよく買っていたのですが、私のいる地域ではごくごく当たり前に、安い金額で干し芋の切り落としが購入出来ました。でも、地元で消費されてしまうので、他県の方は購入することが出来なかったんです。
そこで、メルカリを通して販売をしてみたらどういう反応が返ってくるのかなと思って、販売を開始したことがスタートですね。
―そのような経緯で販売を開始したのですね。
樫村氏:そうです。原点は農家さんが作られたものを売っているという状態だったのですが、会社となってから農家さんと直接やり取りをするようになって、工程や干し芋を作っている衛生環境、農家さんの熱意などを見させていただいて、信頼している農家さんと取引をさせていただいています。
―干し芋のどのような部分にこだわっているのでしょうか?
樫村氏:まず、お芋に関しては本当に良いもののみをしっかりと選別をしていて、ランク付けしています。通常、干し芋農家さんから買うにしてもお店で買うにしても、干し芋は良いものから、これはちょっとどうなのっていうようなものまであるんです。
よくあることが、袋の上に形がいいものが入っていて、いざ買ってみると下の方には切り落としのような、小さいものが入っていたりすることがあります。そうなると購入したお客様の立場からすると、残念な気持ちになってしまい、そのような気持ちにさせてしまうのはとても悲しいことなので、最後の一枚までしっかり美味しいなと食べてもらえるようにお芋を選別するところから加工工程、梱包までこだわっています。
―お客様に喜んでいただけるよう、お芋の選別からこだわりを持たれているのですね。加工工程ではどのようなこだわりをお持ちなのでしょうか?
樫村氏:紅はるかという品種が一般的に知られていて、弊社でも主に紅はるかを使用しています。紅はるかは通常のさつまいもに比べ、根っこが多くありまして、それを干し芋にするのに、さつまいもを蒸かして、平たくスライスして、干す、という作業の流れで加工しています。
まず、蒸した時に皮を薄く削る作業があるのですが、薄く削ると根っこがいっぱい残ってしまい、見た目や風味、食感などが変わってしまいます。しかし、皮を厚く切りすぎるとスライスした時に平干しの数量が減ってしまうという難点があるんです。
―質と量、どちらを選択するかになってしまうのですね。
樫村氏:ただ、薄く切るにしても、根っこを1つ1つピンセットで取ることで、質も量も保持することができるのですが、人の作業になるので、すごく時間がかかってしまうのです。このコストが割に合わなくてやらないという方が多いので、そこの所に着目して、この根っこを取る作業を私たちの方でやろうといったところで、根っこを私たちで綺麗に取っています。それを商品化して綺麗に並べて出しているので、普通に食べる干し芋より、見た目も食べた食感もかなり美味しくできています。どうせ食べてもらうなら感動していただけるような商品を作りたいと考えて、この作業もやらせていただいています。
―そのような思いで商品を作成されているのですね!
樫村氏:はい。それに以前給食センターで働いていたこともあり、加工環境の衛生面にもこだわっています。やはりお客様には安心安全な干し芋を食べていただきたいという思いがあるのですが、干し芋農家さんといっても、干し芋を作るということに関してはプロなのですが、衛生面に関してはもう少し頑張っていただきたいという部分もあるんです。その衛生面に関しては私共の方で、加工する環境を作り、お客様に安心安全なものを提供させていただいています。
―それはお客様も安心して食べることができますね。梱包をする際も、お客様に安心して食べていただけるような工夫はどんなことをされているんでしょうか?
樫村氏:はい、バリアフィルムという特殊なフィルムを使っています。一枚当たりの単価が高いので、やっている農家さんが非常に少ないのですが、お客様に安心して食べていただくためにこのフィルムを使っています。
このフィルムを使用することで、商品の劣化やカビ、風味を損なわないようにするだけでなく賞味期限の延長ができます。第三者機関の企業様に過酷検査という、24時間365日40℃の環境の中でその商品がどれだけ賞味期限が持つのか、ブドウ球菌とかサルモネラ菌とかの菌がどれくらいの日数で繁殖するのかという検査をさせていただきました。その検査結果で1年持つという結果が出まして、通常であれば平干しとか切り落としに関しては2カ月、丸干しに関しては1カ月のところが、平干しと切り落としが1年持つというような検査結果が出ました。これはお客様のためになると思い、干し芋の中でも美味しく、品質保持もできている商品にするためにこのフィルムを使用しています。
―そのような過酷な検査を通った商品がお客様に届けられているのですね!
樫村氏:さらに、お客様に食べていただくときの工夫もしています。お芋自体どうしてもべたつきがあるものなので、どうしても手が汚れてしまいます。最近はスマホを操作しながら干し芋を食べていただく方も多いので、極力手が汚れない状態で食べていただきたいという意味も込めて、お芋の上にフィルムを乗せています。
また、一度開封してもすぐしまえるようにジッパー付きにしています。
―お芋の選別からお客様に食べていただくまで、細部までこだわり抜かれた商品なのですね。
樫村氏:干し芋を販売していく中で、最後まで切り落としのような小さい干し芋ではなく、きちんとした干し芋を食べたいという声や、安心安全で美味しい干し芋が食べたいという声を聞き、そこに特化して販売をしようとなりました。そこが現在、弊社の強みにもなっています。
海外の方にも干し芋を食べていただきたい
―細部までこだわり抜かれた商品を食べていただいたお客様に、どう思っていただきたいですか?
樫村氏:私たちは小売業をやらせていただいて、食べ物をお渡ししているので、エンターテイメントではないのですが、ある種のエンターテイメントと考えています。
商品が届いたときの喜びから、食べてみた時の感動を感じていただけたら、それもある種のエンターテイメントだと思います。
なので買ってよかった、美味しかったと思っていただきたいです。ECサイトで商品を購入して届いたときに、「こんなちょっとしか入ってないのか」だったり「写真と違うな」なんて思うような商品もあると思います。それで食べてみたら美味しくなかったなと、そういうような残念な気持ちになっていただきたくないと思っているので、そうならないように努力しています。
―確かに商品が届いたときの喜びはある種のエンターテイメントですね!
樫村氏:その喜びや感動を海外の方にも食べて、感じていただきたいなと思っています。
―海外には干し芋すら知らない方も沢山いらっしゃいますよね。現在既に海外に販売するための準備などはされているのでしょうか?
樫村氏: 会社を立ち上げる時に、元々海外に展開することも視野に入れていました。しかし、コロナ禍になってしまい、干し芋が海外で受け入れられるのか、現地にいって市場調査をすることが出来なくなってしまったのです。
最近は規制も緩んできたこともあるので、自分で調べたり、知り合いの方にご教授していただいたりして、少しずつではありますが、出店できるような状態を作り上げようというところで、着々と準備を進めています。