ひきたて、打ちた立て、ゆでたて――。しっとりと心和ませる
そば 冷泉 代表 辻智彦
古民家を活かした店舗で本格的なそばを提供している「そば冷泉」。今回は大きな困難を乗り越えてそばを打ち続ける辻智彦様にインタビューを行い、そばへのこだわりを聞きました。
修業先で知ったそばの魅力
-辻様は10年以上飲食店での経験がお有りになるんですよね?そばに出会ったのはいつ頃のことだったんですか?
辻氏:北新地にある人気店『そば処 とき』で修業をさせてもらっていた時ですね。そこで約6年間修業を積ませてもらっていたんですが、その時に食べたそばが決定的でした。「ああ、これが本物のそばなのか」と。
-それでそばに魅了されてしまったんですね。
辻氏:まさにそうです。『そば処 とき』では手打ちそばを扱っていたということもあり、もっとたくさんの人に「手打ちそば」の魅力を知ってもらいたいと思いました。
-なるほど、それがご開業のきっかけになったんですね。
辻氏:そうです。でも、そう順調にはいきませんでした。
-というと?
辻氏:「創業して自分の店を持つ」という目標を抱えていたんですけど、ある時大きな交通事故に巻き込まれてしまって。
-交通事故ですか!大丈夫だったんですか?
辻氏:大丈夫、ではなかったですね。事故の後遺症で腕が自由に動かせなくなってしまったんです。料理人としては致命的ですよね。
-……それからどうされたんですか?
辻氏:とにかくリハビリを頑張りました。とにかく大変で、きつかったですが、その甲斐もあり何とか料理人と復帰することが出来ました。それでさらに自分の店を持ちたいという想いが強くなったんです。
飲める蕎麦屋
-そば冷泉はいわゆる古民家風の外観になっていますよね。なんでも古民家再生プロジェクトで出会ったものとか。
辻氏:そば冷泉がある「大阪市城東区蒲生4丁目」通称「がもよん」は私の地元でもあるんですが、大正時代から残る米蔵、戦前に建てられ戦火を免れた長屋、古民家など、本来の役割を果たせていない古い建物が、街の中に多く存在していて、その使い道に困っていたんです。
そうした古民家を再利用することで、そばを作るだけでなく、より地元のがもよんに貢献できるのではないかと思って、古民家を利用して創業することに決めたんです。
-そうだったんですね。実際に開業されるにあたって、ここにこだったというところはありますか?
辻氏:まずはなによりもそばです。「ひきたて、打ちたて、ゆでたて」にこだって、店内の工房でそば粉から作っています。打ってからゆでるまでの時間がたつほど味が落ちてしまうので、常にできたてを食べてもらうため1日に3回ほどそば打ちを行い、手打ちならではのコシの強さを保つようにしています。
それから前職でも人気があった巻き寿司とそばの組み合わせに加えてお酒にもこだっています。そうすることで「飲める蕎麦屋」というコンセプトを目指しています。
-一番人気のメニューを教えてください!
辻氏:ざる蕎麦ですね。ランチタイムメニューは100円増しで、卵焼きやうなぎなどを巻いた巻きずし3個を付けています。
-本日は貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。最後にこのサイトを読んでいる読者の方々に何か一言ありましたらお願いします。
辻氏:そば冷泉ではそばの風味がしつこくなりすぎないように意識してそばを作っています。だれでも気軽にそばを楽しめる店なので、是非ご来店を心よりお待ちしております!