補助金ガイド

ものづくり補助金にサービス業で申請する際の要件と採択事例を解説

2022/5/19

2022/05/19

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

お客様の資金調達支援実績4,500件以上 自社でも、
小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金の採択をされている。

ものづくり補助金とは、事業者が革新性のある製品・サービス等のために試作品を作る際、および、生産性向上に役立つ生産プロセスの改善をする際に、そのかかる費用の一部を支援してくれる補助金です。 

ことばのイメージから、ものづくり補助金は製造業や建設業のための補助金というイメージがあるかもしませんが、ものづくり補助金ではサービス事業者も応募できます。 

今回の記事では、サービス業としてものづくり補助金を検討している事業者に向け、基本的な要件と、どのような事業が過去に採択されたのかを明します。

ものづくり補助金はサービス業も応募可能

ものづくり補助金は、サービス業でも応募できます。ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言い、製造業だけでなく、宿泊業や情報サービス業などのサービス業も補助の対象です。 

対象となるサービス業の種類

ものづくり補助金でサービス業は対象となりますが、すべてのサービス業が対象なわけではありません。ものづくり補助金で対象となる事業者は、資本金と常勤する従業員数に制限があります。

たとえば、以下のサービス業の場合、資本金と常時従業員数は以下のような規定があります。

【ものづくり補助金で対象となる事業者の資本金と常勤する従業員数】

資本金

常時従業員数

運輸業、旅行業

3億円以下

300人以下

サービス業※

5,000万円以下

100人以下

小売業

5,000万円

50人

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

※ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く

サービス業にはさまざまな分野がありますが、総務省の公式サイト「日本標準産業分類の大分類体系」では以下のようにサービス業を分類しています。

大分類

中分類

小分類

A農業,林業

013農業サービス業(園芸サービス業を除く)

0131穀作サービス業0132野菜作・果樹作サービス業0133穀作,野菜作・果樹作以外の耕種サービス業

0134畜産サービス業(獣医業を除く)

A農業,林業

014園芸サービス業

0141園芸サービス業

A農業,林業

024林業サービス業

0241育林サービス業0242素材生産サービス業

0243山林種苗生産サービス業

0249その他の林業サービス業

E製造業

15印刷・同関連業

1591印刷関連サービス業

G情報通信業

37通信業

373電気通信に附帯するサービス業

3731電気通信に附帯するサービス業

G情報通信業

39情報サービス業

392情報処理・提供サービス業

3921情報処理サービス業

3922情報提供サービス業

3929その他の情報処理・提供サービス業

G情報通信業

40インターネット附随サービス業

4011ポータルサイト・サーバ運営業

4012アプリケーション・サービス・コンテンツ・プロバイダ

4013インターネット利用サポート業

G情報通信業

41映像・音声・文字情報制作業

416映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業

4161ニュース供給業

4169その他の映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業

H運輸業,郵便業  

489その他の運輸に附帯するサービス業

4899他に分類されない運輸に附帯するサービス業

J金融業,保険業

67保険業(保険媒介代理業,保険サービス業を含む)

6751保険料率算出団体

6752損害査定業

6759  その他の保険サービス業

L学術研究,専門・技術サービス業

72専門サービス業(他に分類されないもの)

7231  行政書士事務所

7241  公認会計士事務所

7242  税理士事務所

7251  社会保険労務士事務所

7261  デザイン業

729  その他の専門サービス業 

L学術研究,専門・技術サービス業

74技術サービス業(他に分類されないもの)

7421  建築設計業

7422  測量業

7429  その他の土木建築サービス業

7499その他の技術サービス業

M宿泊業,飲食サービス業

77持ち帰り・配達飲食サービス業

7711  持ち帰り飲食サービス業

7721  配達飲食サービス業

N生活関連サービス業,娯楽業

78洗濯・理容・美容・浴場業

7894ネイルサービス業

N生活関連サービス業,娯楽業

79その他の生活関連サービス業

7921家事サービス業(住込みのもの)

7922家事サービス業(住込みでないもの)

7999  他に分類されないその他の生活関連サービス業

8096  娯楽に附帯するサービス業

P医療,福祉

83医療業

8369その他の医療に附帯するサービス業

Rサービス業(他に分類されないもの)

88  廃棄物処理業

89  自動車整備業

90  機械等修理業

91職業紹介・労働者派遣業

92その他の事業サービス業

95その他のサービス業

8815ごみ収集運搬業

891  自動車整備業

9012建設・鉱山機械整備業

9111職業紹介業

9211速記・ワープロ入力業

9221ビルメンテナンス業

9294コールセンター業

など

上記を見ると、サービス業は農業や製造業、印刷業までと幅広い業種に浸透していることがわかります。

ものづくり補助金の要件

サービス業を営む事業者がものづくり補助金に応募する場合、事業者は以下3つの基本要件をすべて満たす事業計画を立てる必要があります。 

  • 付加価値額 +3%以上/年
  • 給与支給総額 +1.5%以上/年
  • 事業場内最低賃金地域別最低賃金+30円 

1付加価値額とは、「営業利益 + 人件費 + 減価償却費」で求められる数値です。

2給与支給額は事業者から従業員に支払う給与に残業代と休日出勤手当を加えたものです。

3最低賃金は法で定められている従業員に支払う最低基準の賃金(交通費含む)です。 

従業員をもたない一人社長や個人事業主も対象ですが、その場合は従業員がいない事業者向けの提出用書類(ものづくり補助金 賃金引上げ計画の表明書/様式1-2)を使用することで、申請できます。

ただし、ものづくり補助金に採択された場合で賃上げを実行しない事業者は、支給された補助金の一部返還、回復型賃上げ・雇用拡大枠の場合、全額返還が求められます。 

ものづくり補助金の補助額と補助率

ものづくり補助金の補助金額とは、事業者が補助事業で支払う経費を補助できる上限の金額です。

ものづくり補助金の補助率とは、事業者が補助事業で支払う経費を補助できる割合です。

補助金額や補助率を超える経費は、事業者の自己負担になります。

たとえば、補助金額1,250万円、補助率2/33,000万円の金属プレス機器を購入する場合は次の計算になります。

補助金額や補助率を超える経費は、事業者の自己負担になります。

例)補助金額1,250万円、補助率2/3、で3,000万円の金属プレス機器を購入する場合

まずは、補助率から補助対象経費を計算します。

3,000万円×補助率2/32,000万円

補助率で計算すると2,000万円が対象ですが、補助金額1,250万円が上限のため、補助される金額は1,250万円になります。

最後に自己負担金額を計算します。

3,000万円―1,250万円=1,750万円

計、補助金額1,250万円、自己負担1,750万円

ものづくり補助金の10次公募の場合、一般型とグローバル展開型で補助金額や補助率が異なります。 申請する型ごとに確認してみましょう。

類型ごとの補助金額と補助率

ものづくり補助金は現在、【一般型】と【グローバル展開型】の2つの型があります。さらに、【一般型】は以下4つの補助枠に分けられます。

  1. 通常枠
  2. 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  3. デジタル枠
  4. グリーン枠

類型や枠によって補助金額と補助率は異なるため、申請する前に確認しておきましょう。

1.通常枠

(補助金額上限)

  • 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円
  • 6人~20人:100万円~1,000万円
  • 21人以上 :100万円~1,250万円

(補助率)

1/2

※小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

2.回復型賃上げ・雇用拡大枠

 

(補助金額上限)

  • 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円
  • 6人~20人:100万円~1,000万円
  •  21人以上 :100万円~1,250万円

(補助率)

2/3

3. デジタル枠

(補助金額上限)

  • 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円
  • 6人~20人:100万円~1,000万円
  • 21人以上 :100万円~1,250万円

(補助率)

2/3

4.グリーン枠

(補助金額上限)

  • 従業員数 5 人以下 :100万円~1,000万円
  • 6人~20人:100万円~1,500万円
  • 21人以上 :100万円~2,000万円

(補助率)

2/3

サービス業ではいずれの補助枠でも応募可能ですが、回復型賃上げ・雇用拡大枠は授業員がひとりもいない事業者は申請できませんサービス業で革新的な製品・サービスや生産性アップをするには、通常枠か、デジタル枠の利用を検討してみてください。

ものづくり補助金の補助対象経費

ものづくり補助金の補助対象経費とは、事業者が補助事業のために支払う経費で国からキャッシュバックされる対象の経費です。ものづくり補助金に応募する事業者は、申請の際に補助対象経費の中でどの項目にいくら使う予定なのかを、事業計画書に記載します。一般型の補助経費になるものは次のとおりです。

【一般型】補助対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

【グローバル展開型】の対象経費には、一般型の補助対象経費に「海外旅費」が加わります。

サービス業としてどのような補助対象経費を使うのかは、各事業者の事業内容によりさまざまです。例として、過去には以下のような補助対象経費で採択されたケースをご紹介します。

補助対象経費の種類

利用例

機械装置・システム構築費

  • ロールケーキの小分け需要に応える、洋菓子スライサーの導入費用
  • 小ロットで印字する素材を選ばない、レーザー印字機器の導入費用

技術導入費

  • 女性の就労を援助するためのマッチングアプリの開発費用
  • 有機EL 照明の長期安定化を実現する真空蒸着技術の開発費用

専門家経費

  • 黒にんにくのブランディング事業を行うための専門家経費
  • Dスキャナー及びマルチコプター導入による取引先拡大のためのコンサルティング費用

クラウドサービス利用費

  • 教育界での自学学習ツールの導入費用
  • レジャー産業施設のe-チケット事業のためのクラウドサービス導入費用

原材料費

  • 味付き豆腐の試作品開発のための費用
  • ホタテの未利用部分を使用した新製品開発にかかる費用

知的財産権等関連経費

  • 地方小売業マーケティングのビッグデータ活用法の国内向け特許申請費用
  • 世界に1着しかないロンパースベア(ぬいぐるみ)の海外特許取得費用

なお、機械装置・システム構築費については単価50万円以上(税抜き)である必要があります

たとえば、単価49万円の3Dプリンターをサービス業の事業主が購入する場合は、ものづくり補助金の対象外となるため、設備金額に注意しましょう。 

サービス業の採択事例

サービス業がものづくり補助金に申請して採択されたのには、以下のような事例があります。

  • 医療サービスにおけるデータレンジングツール(ETLツール)の開発
  • 情報サービスにおける病院の待ち時間を短縮のためのLINEを使ったシステム開発
  • 衛生サービス分野におけるクリーニング店への紫外線照射(UV Clean)と高温殺菌技術の提供
  • その他サービスにおける灯油の受注ロスを防ぐ灯油買い忘れ防止サービスの実施
  • 測量サービスにおけるドローン空撮画像と3Dプリンター画像での受注率アップ

他の事例を知りたい人は、ものづくり補助金公式サイトの「採択結果」から確認できます。

これらの採択事例の共通点は、自社の課題(時間短縮や効率性、売上改善など)をデジタル技術や高度技術で改善する流れがわかりやすい事業計画になっていることです。

ものづくり補助金に応募するサービス業の事業者は、自社の課題を設備投資やシステム構築などで解決するためのプロセスがわかる事業計画書を用意しましょう。

この記事のまとめ

・ものづくり補助金ではサービス業も対象です。応募するには、従業員の賃上げを行うという要件を満たす必要があります。

・サービス業は全14種に分かれますが、資本金が5,000万円~3億円、常時雇用の従業員数は50~300人以下の事業者が対象です。

・サービス業としてものづくり補助金に採択された事例は、情報サービス分野や測量サービス分野など、さまざまな分野があります。

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