ものづくり補助金における交付申請の手続きを解説
2024/07/16
2024/7/16
ものづくり補助金に採択された事業者は「補助金交付候補者」となります。採択されただけでは、補助金の交付は決定していないため、ものづくり補助金に採択された事業者は交付申請の手続きを行わなければなりません。
当記事では、ものづくり補助金の交付申請の手続きを解説します。「必要書類」「手続きの流れ」など、交付申請の手続き内容を解説しているため、ものづくり補助金の交付申請の情報を知りたい人は参考にしてみてください。
なお、当記事はものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)を参考に作成しています。
Contents
交付申請の手続きは採択後に行う
ものづくり補助金の交付申請は採択後に行います。ものづくり補助金に採択されただけでは、申請内容のすべてが承認されてはいないため、補助事業を開始する前に交付申請を行うことにより、補助金事務局に補助事業の内容を再度精査してもらう手続きを踏まなければなりません。
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交付申請の内容は「すでに提出した申請書類の確認や修正」です。「事業計画書」「経費明細表」など、応募申請時に提出した書類を確認し、必要があれば変更することにより、補助金事務局に補助事業の内容を再度精査してもらう作業を行います。
交付申請の内容は「補助対象経費の確認や修正」です。「見積書」「相見積り」など、補助事業期間中に発生する経費の明細を確認し、必要があれば変更することにより、補助金事務局に補助対象経費の内容を再度精査する作業を行います。
交付申請した内容が承認されると、交付決定を受けられます。「補助対象経費」「補助金交付決定額」が記載された交付決定通知書を受け取ることにより、補助事業を開始することができるため、ものづくり補助金に採択された人は必ず交付申請の手続きを行いましょう。
交付申請は採択後から1か月程度を目安に行う
交付申請の手続きは採択後から1か月以内に行うことが目安とされています。交付申請の手続きに期限はありませんが、交付決定がおりなければ補助事業が開始できないため、採択後は速やかに交付申請の手続きを進めるようにしましょう。
※精査した内容に問題があれば、差し戻しとなる場合がある |
交付申請の流れは「申請書類の準備」「書類の提出」「事務局による精査」「交付決定」の順に進みます。提出書類に問題がある場合は、補助金事務局からJグランツのシステム上で差し戻しされるため、速やかに対応して再提出することになります。
書類の提出から交付決定にかかる期間の目安は30日程度です。事業者が交付申請書類の提出に1か月かかった場合、交付決定がおりるまでさらに30日かかるとすると、採択後から補助事業開始まで約2か月間かかることになります。
なお、交付決定を受ける前に発生した経費は補助対象外となります。交付決定を受ける前に設備の契約や発注などを行った場合、発生した費用は補助対象外となってしまうため、ものづくり補助金に採択された事業者は交付申請を速やかに進めることを検討してみましょう。
交付申請に必要な書類を確認する
ものづくり補助金の交付申請を行う人は、交付申請に必要な書類を押さえておきましょう。交付申請に必要な書類は多岐にわたるため、計画的に書類を準備しなければ、交付申請の手続きに余計な時間がかかるおそれもあるため、交付申請を行う人は必要な書類を確認してみましょう。
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参考:説明動画(交付申請)|ものづくり補助金
交付申請に必要な書類は「現況確認資料」「電子申請システムからダウンロードする資料」「見積書」に分けられます。それぞれの書類の概要を押さえることにより、交付申請の手続きを計画通りに進められる可能性があるため、ものづくり補助金の交付申請を行う人は必要書類を確認してみましょう。
現況確認資料
ものづくり補助金の交付申請に必要な書類のひとつは「現況確認資料」です。「法人」「個人事業主」とでは、揃える書類が異なるため、現況確認資料を準備するときは事業形態に合わせた書類を揃えるようにしましょう。
項目 |
書類名 |
法人の場合 |
履歴事項証明書 (交付申請書提出日より過去3か月以内に発行されたもの) |
個人事業主の場合 |
直近の確定申告書第一表 (交付申請書提出日より過去3か月以内に発行されたもの) |
参考:補助事業の手引き p.3(18次締切)|ものづくり補助金
法人が揃える現況確認資料は「履歴事項証明書」です。「本店所在地」「取締役」などの企業情報が記載されているため、交付申請するときは履歴事項証明書の内容とものづくり補助金の申請内容が一致しているかどうかも確認しておくことになります。
個人事業主が揃える現況確認資料は「直近の確定申告書第一表」です。確定申告書の第一表には、「現在住所」「屋号」などの事業主の情報が記載されているため、交付申請するときは確定申告書の内容とものづくり補助金の申請内容が一致しているかどうかも確認しておくことになります。
なお、応募申請時に現況確認資料を提出している場合は、交付申請時に提出は不要です。加点申請の必要資料として、すでに現況確認資料を提出している場合などは、交付申請時の再提出は不要であることを留意しておきましょう。
電子申請システムからダウンロードする資料
ものづくり補助金の交付申請に必要な書類のひとつは「電子申請システムからダウンロードする資料」です。応募申請時に使用した電子申請システムから書類をダウンロードし、交付申請時に使用するJグランツシステムに書類をアップロードし直すため、ものづくり補助金に採択された事業者は電子申請システムから書類をダウンロードすることになります。
項目 |
シート名 |
すべての事業者が提出する書類 |
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対象となる事業者が提出する書類 |
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参考:説明動画(交付申請)|ものづくり補助金
交付申請時に変更する可能性がある資料のひとつは「会社全体の事業計画書」です。決算期を迎えたことにより、応募申請以降に基準年度の事業実績の数値が確定した事業者の場合は、事業計画書の基準年度の数値を最新のものに変更する必要があります。
交付申請時に変更する可能性がある資料のひとつは「経費明細表」です。交付申請時に見積書も補助金事務局へ提出する関係上、設備やシステムなどの費用を概算で入力していた場合は、見積書と経費明細表の内容を一致させるため、経費明細表を変更する必要があります。
なお、電子申請システムからの資料ダウンロードは期限内に行いましょう。電子申請システムから資料をダウンロードできる期限は限られているため、ものづくり補助金が採択された事業者は期限内にダウンロードを完了させるようにしましょう。
交付申請時は補助事業にかかる経費を再度確認する
交付申請時は補助事業にかかる経費を再度確認するようにしましょう。交付申請時に事務局は補助対象経費の算入可否を精査するため、事業者は補助対象経費と補助対象外経費を再度確認し、それぞれ区分けして記載することになります。
経費の項目 |
具体例 |
補助対象となる経費 |
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補助対象外となる経費 |
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補助対象経費の一例として、「専門ソフトウェアや情報システムの構築費」が挙げられます。外部SIerを活用する場合、保守・メンテナンス契約を締結することが定められていますが、保守・メンテナンス費用は補助対象外経費となるため、該当の経費が発生する場合は区分けして記載することになります。
補助対象経費の一例として、「機械装置を設置場所へ取り付ける据付け費」が挙げられます。機械装置の設置費用として据付け費は補助対象経費に含められますが、設置場所の改修費用や整備工事費用は補助対象外経費となるため、該当の経費が発生する場合は区分けして記載することになります。
補助事業にかかる経費の内訳は「経費明細表」に記載します。経費明細表の「積算基礎」項目に補助対象経費と補助対象外経費を区分けして記載するよう求められているため、交付申請時は経費明細表をあらためて確認し、必要があれば修正しましょう。
見積書
ものづくり補助金の交付申請に必要な書類のひとつは「見積書」です。見積書は補助金交付額を決定するための資料となるため、留意事項を押さえた見積書を揃えることにより、希望する補助金額を受給できる可能性があります。
項目 |
留意事項の例 |
発行日の確認 |
交付申請日時点で有効な見積書 |
表記の確認 |
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見積依頼書の有無の確認 |
以下にかかる費用のうち、税抜き50万円以上の支出となるものは見積依頼書が必要
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参考:補助事業の手引き p.3(18次締切)|ものづくり補助金
見積書を手配するときの留意事項のひとつは「見積書の表記」です。「内訳が不明瞭な見積書」「税込み価格の表記しかない見積書」など、交付規定に沿っていない見積書は認められないため、見積書を手配するときは表記してほしい項目を依頼先に伝えることになります。
見積書を手配するときの留意事項のひとつは「見積依頼書の有無」です。「システム構築費」「物件購入費」などのうち、税抜き50万円以上の費用を支出する場合は、事業者が依頼先の業者へ見積依頼書を作成した上で、見積書を手配することになります。
なお、見積書の発行には時間がかかることも想定されます。補助事業の実施期間が限られている関係上、採択後は速やかに交付申請を行う必要があるため、見積書の発行に時間がかかる場合は、採択前の段階から見積書を取得することも検討しておきましょう。
単価が税抜き50万円を超える場合は相見積りを取得する
単価が税抜き50万円を超える費用が発生する場合は相見積りを取得します。相見積りに不備がある状態での交付申請を行った場合、補助金事務局から差し戻しされるため、相見積りを取得するときは留意点を押さえておくようにしましょう。
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参考:補助事業の手引き p.14(18次締切)|ものづくり補助金
相見積りを取得するときの留意点のひとつは「同一条件かつ同一仕様での相見積りを取得する」ことです。「部品名」「機械装置名」「システム機能」「付帯費用」など、見積書と相見積書の記載内容が同一のものとなるように手配します。
相見積りを取得するときの留意点のひとつは「中古品を購入する場合は3者以上の相見積りを取得する」ことです。中古品を購入する場合は、「製造年月日」「性能」などが同一程度の相見積書を3者以上から手配します。
なお、相見積りが取得できない場合は「業者選定理由書」を提出することになります。発注先を限定する合理的な理由がある場合、業者選定理由書を提出することにより、相見積書が不要となる可能性があるため、該当する費用がある場合は検討してみましょう。
交付申請時の変更が認められない場合がある
変更内容によっては、ものづくり補助金の交付申請時に変更が認められない場合があります。事業計画書や経費明細表など、必要に応じて修正や変更は可能ですが、内容によっては変更が認められない場合もあるため、交付申請するときは念頭においておきましょう。
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参考:説明動画(交付申請)|ものづくり補助金
事業計画の数値が応募申請時の数値を下回る場合は、変更が認められません。基準年度の数値を変更することにより、「給与支給総額」「付加価値額」の伸び率が変わり、応募時の数値を下回る場合は、事業計画全体の数値を修正することになります。
また、補助金交付申請額が応募申請時の交付申請額を上回る場合は、変更が認められません。見積書を揃えたことにより、補助金交付申請額が応募時の申請額を上回る場合は、補助金交付申請額の上限は応募時の申請額までとなります。
なお、他にも認められない変更内容がある可能性があります。補助金事務局が変更内容を認めない場合、採択が取り消しになる可能性もあるため、変更内容に不安がある場合は補助金事務局へ問い合わせることも検討してみましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の交付申請は採択後に行います。ものづくり補助金に採択されただけでは、申請内容のすべてが承認されてはいないため、補助事業を開始する前に交付申請を行うことにより、補助金事務局に補助事業の内容を再度精査してもらう手続きを踏まなければなりません。
ものづくり補助金の交付申請を行う人は、交付申請に必要な書類を押さえておきましょう。交付申請に必要な書類は「現況確認資料」「電子申請システムからダウンロードする資料」「見積書」に分けられるため、交付申請を行う人はそれぞれの書類の概要を確認してみましょう。
変更内容によっては、ものづくり補助金の交付申請時に変更が認められない場合があります。事業計画書や経費明細表など、必要に応じて修正や変更は可能ですが、内容によっては変更が認められない場合もあるため、交付申請するときは念頭においておきましょう。